(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
過去数十年にわたり、オフセット印刷およびフレキソ印刷システムは、使用の際のそれらの適応性、例えば種々のデータ印刷のお陰で、そして生産ライン中へのそれらの取り込みを可能にするそれらの高められた信頼性のお陰で、工業的インキジェット印刷システムにより、ますます取って替わられている。
【0003】
放射線硬化性インキジェットインキは、信頼性の理由で、そして高質画像が非吸収性インキレシーバー上に印刷できるので、インキの好ましい選択であった。しかし、経済的および生態学的理由のために、これらの工業的インキジェット印刷システム上で信頼できる方法で、水性系樹脂系インキが印刷可能であることは望ましい。
【0004】
付着能、引っかき耐性、耐溶媒性、耐水性および柔軟性のような印刷された前記画像に必要な物理的性質を水性インキにより得ることは、反応性インキにより得ることに比較して、ずっと困難であることもさらに認められてきた。
【0005】
水性インキにより得られた画像の物理的性質を改善するために、前記インキ配合物にポリマー樹脂が添加される。前記水性インキ中への水溶性樹脂の使用は、非常にしばしば、噴射の信頼性に対し、そして前記プリンターにおけるインキジェットヘッドの待ち時間(latency)に対し、有害な影響を有する。これらの側面は、中断時間(down time)および複雑な保守サイクルを回避しなければならない工業的環境において、特に重要である。
【0006】
工業印刷のためのデジタル印刷装置の信頼性を示しながら、広範な基材上に、良好な物理的性質を示すインキジェットインキの組み合わせを達成するために、幾つかの考え方が提唱された。これらの考え方の一つは、自己分散性カプセル中に、モノマー、架橋剤、オリゴマー、ポリマー樹脂のような反応性化学物質(reactive chemistry)を取り込むことである。前記カプセルのコア中の化学反応体は、熱および/または光の適用時に反応生成物を形成することが可能である:(特許文献1、2および/または3参照)。前記開示のカプセルはすべて、前記カプセルのシェルポリマーに共有結合されたアニオン分散基により安定化される。
【0007】
アニオン分散基により安定化されたカプセルは、それらが、同一の水性配合物中で、カチオンで帯電した表面か、無機顔料(Al−酸化物、TiO
2、Fe
2O
3、…)のような最初にカチオンで帯電した表面かを有するインキの顔料と相容性でないという欠点を有する。アニオン分散基により安定化されたカプセルはさらに、それらが、ガラス、織物繊維(セルロース、ビスコース、…)、未加工紙およびボール紙のような、マイナスに帯電した表面を有する基材に対して、ほとんどまたは全く親和性を示さないという欠点を有する。前記基材に対する前記カプセルの、この、ほとんどまたは全く親和性がない事実は、前記硬化ステップまたは熱活性化ステップ後に、前記カプセルの低い付着をもたらす。
【0008】
急速に進歩している技術は、スクリーン印刷のような古典的テキスタイル印刷技法からデジタルテキスタイル印刷に向かう明らかな進展を示す、デジタルテキスタイル印刷である。さらに、染料系インキから顔料系インキに移行する傾向がある。顔料系インキは、例
えば木綿におけるセルロース基材の繊維のような天然繊維と、ポリエステルおよびポリアミドのような合成繊維の両方の異なる繊維と相容性である見込みを保持する。顔料系インキは、染料系インキより高い光堅牢度を有する画像を提供する利点を有する。前記顔料を異なる種類の繊維に付着させるために、好ましくは、前記インキに反応性結合剤の技術が導入されなければならない。幾つかのアプローチは本特許の参考文献に開示された。
【0009】
特許文献4は、少なくとも1種の顔料と、アクリルアクリロニトリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル−ブタジエン樹脂、ブタジエンアクリロニトリル樹脂およびポリウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の分散樹脂と、少なくとも1種の架橋剤と、液体溶媒と、を含むインキ組成物を開示している(特許文献4参照)。メラミン樹脂は開示された特に好ましい樹脂である。
【0010】
特許文献5は、拡散(spreading)制御のための特定の湿潤剤を含むテキスタイル印刷用インキを開示している(特許文献5参照)。前記インキは、固着剤(fixing agent)としてのメラミンと組み合わせて、顔料分散剤としてのポリウレタンを含む(特許文献5参照)。
【0011】
特許文献6は、着色剤と、加水分解安定性のためにデザインされた特定の架橋ポリウレタンと、アミドおよびアミンホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂およびブロックトイソシアネートからなる群から選択された後硬化剤と、を含むインキ組成物を開示しおり(特許文献6参照)、好ましい実施態様はメラミンホルムアルデヒド樹脂である。
【0012】
特許文献7は、そのインキが、少なくとも1種の顔料と、酸、塩基、エポキシおよびヒドロキシル基から選択された官能基を有するポリマーとを含み、そして前記織物が、ヒドロキシル、アミン、アミドおよびカルボニル部分からなる群から選択された少なくとも1個の特定の官能基と、特定の有機金属化合物およびイソシアネートから選択された架橋剤とを含む、インキおよびテキスタイルの組み合わせを開示している(特許文献7参照)。
【0013】
特許文献8は、固着液と、顔料分散物を含むインキとを含むインキセットを開示している(特許分散物8参照)。前記固着剤は、−10℃未満のTgを有する特定のポリマー粒子と、反応体、好ましくはブロックトイソシアネート分散物とを含む。
【0014】
特許文献9は、顔料と、前記顔料のための分散剤、典型的にはアクリレート基剤樹脂と、水溶性固着剤、典型的にはポリ(ビニルアルコール)誘導体またはポリウレタン基剤樹脂のような水溶性ポリマー、と、架橋剤、好ましくはブロックトイソシアネート、と、を含むインキを開示しており、前記架橋剤は、少なくとも100℃の温度における熱処理時に前記分散剤と前記ポリマー固着剤とを架橋させることが可能である。
【0015】
特許文献10は、テキスタイル印刷織物を製造するためのカプセル封入反応性化学物質の使用を開示している。ブロックトイソシアネートは好ましい反応性化学物質として開示されている。
【0016】
大部分の布地は多孔性を有する。異なる布地上に顔料インキで印刷するときは、顔料は前記布地中に、より深く浸透して、色域(gamut)の喪失をもたらす。同様な問題は紙の基材上に印刷するときにも知られている。これらの課題を解決するために、最初に、最適化剤(optimizers)が紙基材上に噴射され、次に水性染料または顔料インキが噴射されて最適化画質をもたらす幾つかのアプローチは、本特許の参考文献中に開示されている(特許文献11、12、13参照)。
【0017】
大部分の前記布地の前処理は、噴霧またはパディング(padding)アプローチを使用し、画像内容と独立して前記布地を総括的に前処理することによりオフラインで実施され、厳密にその際必要とされる量より大量の化学物質の消費をもたらす。従って、前記印刷画像の内容に基づいて前記の最適化化学物質を適用するデジタルアプローチが極めて好ましい。印刷において、前記布地上に最適化液を印刷するための幾つかのアプローチが開示された:(特許文献14参照)。しかし、これらのアプローチのどれも、前記繊維に対して最大の付着を必要とする織物の適用においてしばしば遭遇される、クロック(crock)堅牢度、化学的耐性および洗浄堅牢性に対する高度の機能的要求を満たす必要がある反応性結合化学物質物質は含まない。
【0018】
古典的パディングまたは噴霧アプローチを使用する反応性前処理剤は、特許文献15および16中に開示される(特許文献15、16参照)。これらのアプローチは再度、前記応用に必要とされた量よりもずっと多量の化学物質を使用した。
【0019】
同一の水性配合物中で、マイナス電荷を担持する表面に高い親和性を示すそれらの表面でプラス電荷を示す顔料と相容性であり、そして織物繊維に対する最大の付着性を達成するか、または必要な画質にマッチするために異なる布地上の印刷画像の色域を増加するための前処理剤として役立つ場合がある反応性化学物質を含むカプセルを含む配合物をデザインすることが、極めて望ましいと考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
A.ナノカプセル
A.1. 調製法
本発明のカプセル、それらの小粒度のために以後ナノカプセルと呼ばれる、の調製法は、好ましくは前記カプセルをデザインする際に最高の制御を可能にする重合法による。より好ましくは、本発明に使用されるカプセルを調製するために界面重合法が使用される。この方法は公知であり、近年、Zhang Y.and Rochefort D.(Journal of Microencapsulation,29(7),636−649(2012)により、そしてStalitin(Encapsulation Nanotechnologies,Vikas Mittal(ed.),chapter
5,137−173(Scrivener Publishing LLC(2013)中)により総説された。
【0028】
界面重合法は、本発明に従うカプセルの調製に特に好ましい方法である。界面重縮合(polycondensation)のような界面重合法において、2種の反応体が前記エマルション液滴の界面で遭遇し、急速に反応する。
【0029】
界面重合は一般に、水性連続相中に親油性相の分散物を要求し、またはその逆も言える。前記各相は、別の相、例えば水性相中に溶解された別のモノマー(第2のシェル成分)と反応することが可能な、少なくとも1種の溶解されたモノマー(例えば前記親油性相中の第1のシェル成分)を含む。重合すると、前記水性相と前記親油性相との両方に不溶性のポリマーが形成される。その結果、前記の形成されたポリマーは、前記親油性相と水性相との界面で沈殿する傾向を有し、それにより前記分散相の周囲にシェルを形成し、それがさらなる重合時に成長する。本発明に従うカプセルは好ましくは、水性連続相中の親油性分散物から調製される。
【0030】
A.2.ポリマーシェル
界面重合により形成された典型的なポリマーのシェルは、典型的には第1のシェル成分としての二酸クロリドもしくは多塩基酸クロリドおよび第2のシェル成分としてのジアミンもしくはオリゴアミンから調製されたポリアミドと、典型的には第1のシェル成分としてのジイソシアネートもしくはオリゴイソシアネートおよび第2のシェル成分としてのジアミンもしくはオリゴアミンから調製されたポリ尿素と、典型的には第1のシェル成分としてのジイソシアネートもしくはオリゴイソシアネートおよび第2のシェル成分としてのジアルコールもしくはオリゴアルコールから調製されたポリウレタンと、典型的には第1のシェル成分としてのジスルホクロリドもしくはオリゴスルホクロリドおよび第2のシェル成分としてのジアミンもしくはオリゴアミンから調製されたポリスルホンアミドと、典型的には第1のシェル成分としての二酸クロリドもしくはオリゴ酸クロリドおよび第2のシェル成分としてのジアルコールもしくはオリゴアルコールから調製されたポリエステルと、典型的には第1のシェル成分としてのジクロロホルメートもしくはオリゴクロロホルメートおよび第2のシェル成分としてのジアルコールもしくはオリゴアルコールから調製
されたポリカーボネートとからなる群から選択される。前記シェルは、これらのポリマーの組み合わせからなる場合がある。
【0031】
さらなる実施態様において、ゼラチン、キトサン、アルブミンおよびポリエチレンイミンのようなポリマーは、第1のシェル成分としての、ジイソシアネートもしくはオリゴイソシアネート、二酸クロリドもしくはオリゴ酸クロリド、ジクロロホルメートもしくはオリゴクロロホルメート、および、エポキシ樹脂と組み合わせて、第2のシェル成分として使用される場合がある。
【0032】
特に好ましい実施態様において、前記シェルは、ポリウレタン、ポリ尿素またはそれらの組み合わせからなる。さらなる好ましい実施態様において、前記シェル形成の前または後に溶媒のストリッピングにより除去される水混和性溶媒が前記分散ステップにおいて使用される。特に好ましい実施態様において、前記水混和性溶媒は、常圧において100℃未満の沸点を有する。水混和性溶媒としてエステルは特に好ましい。
【0033】
さらなる好ましい実施態様において、前記ナノカプセルは自己分散性カチオンナノカプセルである。自己分散性ナノカプセルは、コロイドの安定性を担う前記カチオン分散基が前記シェルに共有結合されているナノカプセルと規定される。
【0034】
本発明のナノカプセルのシェルの一部を生成するカチオン分散基は、好ましくは、プロトン化アミン、複素環式芳香族化合物を含むプロトン化窒素、四級化第三アミン(quaternized tertiary amines)、N−四級化複素環式芳香族化合物、スルホニウムおよびホスホニウムから選択され、四級化第三アミンおよびN−四級化複素環式芳香族化合物がより好ましい。さらなる好ましい実施態様において、前記カチオン分散基は第四アンモニウム基であり、テトラアルキルアンモニウム基が特に好ましい。より好ましい実施態様において、前記第四アンモニウム基は本発明に従うナノカプセルのシェルに共有結合される。特に好ましい実施態様において、前記カチオン分散基は、少なくとも1個の第一もしくは第二アミン基および少なくとも1個の第四アンモニウム基を含む界面活性剤と、前記シェルの二酸クロリドもしくは多塩基酸クロリド、ジイソシアネートもしくはオリゴイソシアネート、ジスルホクロリドもしくはオリゴスルホクロリド、ジクロロホルメートもしくはオリゴクロロホルメート、およびイソシアネートモノマーの群から選択される化合物と、の反応により、本発明に従う前記ナノカプセルのシェルに共有結合される。より好ましくは、少なくとも1個の第一もしくは第二アミン基および少なくとも1個の第四アンモニウム基を含む界面活性剤は、前記シェルのイソシアネートモノマーと反応する。前記界面活性剤は、前記親水性基が、少なくとも1個の第一もしくは第二アミン基および少なくとも1個の第四アンモニウム基を含むことを特徴とする。前記界面活性剤の疎水性基は、あらゆる疎水性基であってもよいが、好ましくは、すべてが少なくとも8個の炭素原子を有する置換もしくは未置換アルキル基、置換もしくは未置換アルケニル基、または、置換もしくは未置換アルキニル基である。カチオン分散基を含むシェルを得るために界面活性剤を使用する利点は、前記界面活性剤の乳化機能が、前記カプセルの調製期間中、連続水性相中の親油性相を安定化できる点である(A.1.節の第3段落参照)。
【0035】
さらに、より好ましい実施態様において、前記界面活性剤は、一般式I
【化1】
[R
1は、置換または未置換アルキル基と、置換または未置換アルケニル基と、置換または未置換アルキニル基とからなる群から選択され、但しR
1は少なくとも8個の炭素原子を含むこととされ、
R
2、R
3およびR
4は、独立して、置換または未置換アルキル基と、置換または未置換アルケニル基と、置換または未置換アルキニル基と、置換または未置換アラルキル基と、置換または未置換アルカリール基と、置換または未置換(ヘテロ)アリール基とからなる群から選択され、
L
1は、8個以下の炭素原子を含む2価の結合基を表わし、
Xは、アンモニウム基のプラス電荷を補償するための対イオンを表わす]
に従う界面活性剤である。
【0036】
一般式II
【化2】
[R
1、R
2、R
3、R
4およびXは一般式Iにおける通りに規定され、
R
5は、水素またはメチル基を表わし、
Yは、酸素原子およびNR
6からなる群から選択され、
R
6は、水素と、置換または未置換アルキル基と、からなる群から選択され、
L
2は、置換または未置換アルキレン基を表わす]
に従う界面活性剤は特に好ましい。
【0037】
より好ましい実施態様において、R
1は少なくとも10個の炭素原子を含み、そして最も好ましくは少なくとも12個の炭素原子を含む。さらなる好ましい実施態様において、R
2、R
3およびR
4は、独立して、低級アルキル基を表わし、メチルおよびエチル基が特に好ましい。別の好ましい実施態様において、YはNHを表わす。
【0038】
一般式Iおよび一般式IIに従う界面活性剤の具体的な例は、以下に記載されるが、それらに限定されない。
【表1-1】
【表1-2】
【0039】
A.3.ナノカプセルのコア
A.3.1.熱反応性化学物質
本発明の前処理液中の前記カプセルのコアは、熱硬化性化合物を含む1種または複数の化学反応体を含む場合がある。前記熱硬化性化合物は、好ましくは、エポキシド、オキセタン、アジリジン、アゼチジン、ケトン、アルデヒド、ヒドラジドおよびブロックトイソシアネートからなる群から選択された少なくとも1個の官能基で官能化された低分子量のオリゴマーまたはポリマー化合物である。さらなる好ましい実施態様において、前記熱硬化性化合物または熱反応性化学物質は、ホルムアルデヒドおよびメラミンの、場合によりエーテル化された縮合生成物と、ホルムアルデヒドおよび尿素の、場合によりエーテル化された縮合生成物と、フェノールのホルムアルデヒド樹脂、好ましくはレゾール、とからなる群から選択される。
【0040】
前記熱反応性化学物質は、一成分または二成分系の場合がある。一成分系は、熱活性化するとそれ自体で反応することにより、ポリマー樹脂または架橋ネットワークを形成することが可能な反応性系と規定される。二成分系は、熱活性化すると、前記系中の、熱反応性架橋剤とも呼ばれる第2の成分と反応することにより、ポリマー樹脂または架橋ネットワークを形成することが可能な反応性系と規定される。
【0041】
熱反応性架橋剤は、好ましくは、エポキシド、オキセタン、アジリジン、アゼチジン、ケトン、アルデヒド、ヒドラジドおよびブロックトイソシアネートからなる群から選択された少なくとも2個の官能基を含む。さらなる好ましい実施態様において、前記熱反応性架橋剤は、該架橋剤が少なくとも2個の熱反応性基を含むことを条件として、ホルムアルデヒドおよびメラミンの、場合によりエーテル化された縮合生成物と、ホルムアルデヒドおよび尿素の、場合によりエーテル化された縮合生成物と、フェノールホルムアルデヒド樹脂、好ましくはレゾール、とからなる群から選択される。
【0042】
ブロックトイソシアネートは熱反応性架橋剤として特に好ましい。ブロックトイソシア
ネートの合成は当業者に周知であり、Wicks D.A. and Wicks Z.W.Jr.(Progress in Organic Coatings, 36,148−172(1999))およびDelebecq et al.(Chem;Rev.,113,80−118(2013))により総説された。古典的ブロックトイソシアネートは、熱処理すると前駆体からイソシアネートを形成することが可能な化学物質と規定される。概して、前記反応は、以下のスキーム1に与えるようにまとめることができる。
スキーム1
【化3】
[LVは離脱基を表わす]
【0043】
脱ブロッキング温度(deblocking temperature)とも呼ばれる活性化温度は、前記離脱基に左右され、その適用に応じて選択される。100℃ないし160℃間の多種の(variable)非ブロック化温度を有する、適切なイソシアネート前駆体が以下に記載される。
【化4】
【0044】
上記の6種のイソシアネート前駆体において、Rは、二官能価、多官能価またはポリマーのブロックトイソシアネートの残基を表わす。二官能価および多官能価ブロックトイソシアネートが好ましい。さらなる好ましい実施態様において、Rは、前記ブロックトイソシアネートが前記にリストされた第1のブロックトイソシアネートと同一でもまたは異なってもよい、少なくとも1個の、そして好ましくは2個以上の、ブロックトイソシアネートでさらに官能化された炭化水素基を表わす。前記炭化水素基は、好ましくは40個以下の炭素原子、より好ましくは30個以下の炭素原子、そして最も好ましくは8ないし25個の炭素原子を含む。第1のブロックトイソシアネートと同様なブロックトイソシアネート官能基が好ましい。さらなる好ましい実施態様において、Rは、脂肪族、脂環式または芳香族フラグメントまたはそれらの組み合わせを含む。好ましい脂肪族フラグメントは、2ないし12個の炭素原子を含む、直線状または分枝飽和炭化水素鎖である。好ましい脂環式フラグメントは、5または6員の飽和炭化水素環であり、6員の炭化水素環が特に好ましい。好ましい芳香族フラグメントは、フェニル環およびナフチル環からなる群から選択され、フェニル環が特に好ましい。特に好ましい実施態様において、Rは、[1,3,
5]トリアジナン−2,4,6−トリオンフラグメントおよびビウレットフラグメントからなる群から選択される少なくとも1個のフラグメントを含む。
【0045】
ブロッキング剤としての活性メチレン化合物は、中間体イソシアネートを生成せず、Progress in Organic Coatings,36,148−172(1999))、段落3.8.中に開示された通りに、エステル形成により前記系を架橋することにより、代替的な反応経路を介して作用する古典的ブロックトイソシアネートの代替物として広く使用されている。活性メチレン基のブロックトイソシアネートの適切な例は、以下に記載される。
【化5】
【0046】
上記の4つの化合物において、Rは、二官能価、多官能価、またはポリマーのブロックトイソシアネートか、または活性メチレン基のブロックトイソシアネートかの残基を表わす。二官能価および多官能価ブロックトイソシアネートまたは活性メチレン基のブロックトイソシアネートが好ましい。さらなる好ましい実施態様において、Rは、少なくとも1個、そして好ましくは2個以上のブロックトイソシアネート、または活性メチレン基のブロックトイソシアネートでさらに官能化された炭化水素基を表わし、前記ブロックトイソシアネートは、前記に挙げた第1の活性メチレン基のブロックトイソシアネートと同一でも異なってもよい。前記炭化水素基は、好ましくは40個以下の炭素原子、より好ましくは30個以下の炭素原子、そして最も好ましくは8ないし25個間の炭素原子を含む。二官能価または多官能価の活性メチレン基のブロックトイソシアネートが好ましく、すべてのブロック官能基が同一であることが特に好ましい。さらなる好ましい実施態様において、Rは、脂肪族、脂環式または芳香族フラグメントまたはそれらの組み合わせを含む。好ましい脂肪族フラグメントは、2ないし12個の炭素原子を含む、直線状または分枝飽和炭化水素鎖である。好ましい脂環式フラグメントは、5または6員の飽和炭化水素環であり、6員の炭化水素環が特に好ましい。好ましい芳香族フラグメントは、フェニル環およびナフチル環からなる群から選択され、フェニル環が特に好ましい。特に好ましい実施態様において、Rは、[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオンフラグメントおよびビウレットフラグメントからなる群から選択された少なくとも1個のフラグメントを含む。
【0047】
好ましい実施態様において、前記ブロックトイソシアネートは、2ないし6個のブロックトイソシアネート官能基(functions)を有する多官能価ブロックトイソシアネートである。三官能価および四官能価ブロックトイソシアネートが特に好ましい。好ましいブロックトイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリルジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、トリメチルヘキシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、および1種または複数の前記イソシアネートの縮合生成物、の群から選択された、二官能価または多官能価イソシアネートを熱活性化時に形成可能な前駆体である。別の好ましいブロックトイソシアネートは、イソシアネートのTakenate(商標) シリーズ(Mitsui)、Duranate(商標) シリーズ(Asahi Kasei Corporation)およびBayhydur(商標) シリーズ(Bayer AG)、からの誘導体である。
【0048】
適切なブロックトイソシアネートは、Trixene(商標) シリーズ(Baxenden Chemicals LTD)およびBayhydur(商標) シリーズ(Bayer AG)から選択される場合がある。ブロックトイソシアネートの好ましい例は、それらに限定されずに、以下に記載される。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0049】
より好ましい実施態様において、前記ブロックトイソシアネートは、イソシアネートを末端基とするオリゴエーテル、イソシアネートを末端基とするオリゴエステル、イソシアネートを末端基とするオリゴカルボネート、イソシアネートを末端基とするブタジエンオリゴマーまたは水素化ブタジエンオリゴマー、イソシアネートを末端基とするイソプレンオリゴマー、イソシアネートを末端基とするシリコーンオリゴマーおよびそれらの組み合わせ、の群から選択された、二官能価、三官能価または四官能価のイソシアネートを末端基とするオリゴマーから誘導される。
【0050】
最も好ましい実施態様において、前記ブロックトイソシアネートは、一般構造Iに従う構造を有する。
【化6】
[R
1は、置換または未置換アルキル基と、置換または未置換アルケニル基と、置換または未置換アルキニル基と、置換または未置換アラルキル基と、置換または未置換アルカリール基と、置換もしくは未置換の、アリールまたはヘテロアリール基とからなる群から選択される]
【0051】
Aは、オリゴエーテル、オリゴエステル、オリゴカルボネート、ブタジエンオリゴマー、水素化ブタジエンオリゴマー、イソプレンオリゴマー、シリコーンオリゴマーおよびそれらの組み合わせからなる群から選択された二官能価オリゴマー基を表わす。
【0052】
好ましい実施態様において、前記ポリエーテルオリゴマーは、好ましくは3ないし50反復単位、より好ましくは5ないし40反復単位、そして最も好ましくは6ないし30反復単位を含む。前記ポリエステル系オリゴマーは、好ましくは2ないし20反復単位、よ
り好ましくは3ないし15反復単位、そして最も好ましくは4ないし10反復単位を含む。前記ポリシロキサン系オリゴマーは、好ましくは3ないし40反復単位、より好ましくは5ないし30反復単位、そして最も好ましくは6ないし20反復単位を含む。前記ポリカーボネート系オリゴマーは、好ましくは3ないし30反復単位、より好ましくは4ないし20反復単位、そして最も好ましくは5ないし15反復単位を含む。前記ポリブタジエン、水素化ポリブタジエンおよびポリイソプレン系オリゴマーは、好ましくは3ないし50反復単位、より好ましくは5ないし40反復単位、そして最も好ましくは6ないし30反復単位を含む。異なるオリゴマーの反復単位を含むオリゴマーは、好ましくは60以下の反復単位、より好ましくは50以下の反復単位、そして最も好ましくは30以下の反復単位を含む。
【0053】
さらなる実施態様において、本発明に従う分散物はさらに、前記熱反応性化学物質を活性化するための触媒を含む場合がある。前記触媒は好ましくは、ブレンステド酸、ルイス酸および熱酸発生剤、からなる群から選択される。前記触媒は、前記水性連続相中、前記カプセルのコア中、または、分離された分散相中に含まれる場合がある。
【0054】
A.3.2.放射線硬化性反応性化学物質
前記コア中の反応性化学物質はまた、UV光線のような放射線に反応性の場合がある。UV硬化性反応性化学物質は、フリーラジカル重合またはカチオン重合により硬化しうる、モノマー、オリゴマーまたはポリマーのような1種または複数の化学反応体を含む。好ましい実施態様において、前記モノマー、オリゴマーまたはポリマーは、重合可能な基として、少なくとも1個のアクリレート基を含む。
【0055】
前記カプセルのコアにおけるフリーラジカル重合またはカチオン重合により硬化可能なモノマー、オリゴマーまたはポリマーに加えて、水溶性のモノマーおよびオリゴマーもまた、前記カプセル分散物の水性溶媒中に含まれる場合がある。
【0056】
前記インキジェットインキは好ましくは、少なくとも1種の光開始剤を含む。水溶性または水分散性光開始剤は、前記水性溶媒中に使用される場合があるが、前記の少なくとも1種の光開始剤は好ましくは、前記カプセルのコア中に含まれる。さらに前記カプセル分散物の水性溶媒中には好ましくは、少なくとも1種の共開始剤が含まれる。同様に、前記の少なくとも1種の共開始剤は、前記水性溶媒中に含まれる場合があるが、好ましくは前記カプセルのコア中に含まれる。
【0057】
当該技術分野で一般に知られたあらゆる重合可能な化合物が使用される場合がある。モノマー、オリゴマーおよび/またはポリマーの組み合わせが使用される場合がある。前記モノマー、オリゴマーおよび/またはポリマーは、異なる度合いの官能価をもつ場合があり、そして一官能価、二官能価、三官能価、および、より高次の官能価のモノマー、オリゴマーおよび/またはポリマーの組み合わせを含む混合物が使用される場合がある。前記コア中に取り込まれることができる特に好ましい硬化性化合物は、国際公開第2015/158649号パンフレット[0072−010]中に開示されている。
【0058】
A.4.溶媒
本発明に従うカプセルは、好ましくは、1種または複数の水溶性有機溶媒を含む場合がある水性溶媒中に分散される。
【0059】
前記の1種または複数の有機溶媒は、多様な理由で添加される場合がある。例えば、前記水性溶媒中の化合物の溶解を改善するために、少量の有機溶媒を添加することは有益な場合がある。好ましい水溶性有機溶媒は、ポリオール(例えば、エチレングリコール、グリセリン、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、テトラ
エチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2―ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオールおよび2−メチル−1,3−プロパンジオール)、アミン(例えば、エタノールアミン、および2−(ジメチルアミノ)エタノール)、一価アルコール(例えば、メタノール、エタノール、およびブタノール)、多価アルコールのアルキルエーテル(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、およびジプロピレングリコールモノメチルエーテル)、2,2’チオジエタノール、アミド(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)、複素環式化合物(例えば、2−ピロリドンおよびN−メチル−2−ピロリドン)、および、アセトニトリルである。
【0060】
前記水性溶媒は、前記カプセルを含む液体が噴射により適用される予定である場合に、ノズルの詰まりを防止するために湿潤剤を含む場合がある。前記防止は前記の前処理液、特に前記の液体中の水分、の蒸発速度を遅らせるその能力によるものである。前記湿潤剤は好ましくは、水より高い沸点を有する有機溶媒である。適切な湿潤剤は、トリアセチン、N−メチル−2−ピロリドン、グリセロール、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、アルキル尿素、アルキルチオ尿素、ジアルキル尿素とジアルキルチオ尿素、ジオール(エタンジオール、プロパンジオール、プロパントリオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、およびヘキサンジオールを含む)、グリコール(プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコールを含む)、および、それらの混合物と誘導体を含む。好ましい湿潤剤はグリセロールである。
【0061】
前記湿潤剤は好ましくは、前記液体の総重量に基づいて0.1ないし20重量%の量で前記液体配合物に添加される。
【0062】
B.カチオン安定化ナノカプセル分散物を含む水性配合物
B.1.テキスタイル印刷用の前処理液
本発明の分散物はさらに、本布地上に、インキを含む水性着色剤を印刷する前に、布地を処理するための前処理液として適当な、水性配合液になる添加剤を含む場合がある。前記ナノカプセルは好ましくは、前記の前処理液の総重量に基づいて、30重量%以下、好ましくは5ないし25重量%の間の量で前記の前処理液中に含まれる。
【0063】
前記ナノカプセルと一緒に、多価金属イオンが前記の前処理液中に含まれる場合がある。適切な例は、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ジルコニウムおよびアルミニウムのような2価以上の金属カチオンと、フルオリドイオン(F
−),クロリドイオン(Cl
−)、ブロミドイオン(Br
−)、スルフェートイオン(SO
42−)、ナイトレートイオン(NO
3−)およびアセテートイオン(CH
3COO
−)のようなアニオンと、から形成される水溶性金属塩である。
【0064】
これらの多価金属イオンは、前記インキジェットインキ中の顔料の表面上のカルボキシル基上、または前記インキ中に含まれるナノカプセルの分散ポリマー上、に作用することによりインキを凝集する機能を有する。その結果、前記インキは、前記布地の表面上に留まって発色性を改善する。従って、前記インキ中の顔料および/または前記インキ中に含
まれた前記ナノカプセルの分散ポリマーの表面はカルボキシル基を有することが好ましい。
【0065】
前記の前処理物はまた、有機酸を含む場合がある。前記有機酸の好ましい例は、それらに限定はされないが、酢酸、プロピオン酸および乳酸を含む。
【0066】
前記の前処理液はさらに、樹脂エマルションを含む場合がある。前記樹脂の例は、例えば、トウモロコシおよび小麦から誘導されるデンプン、セルロース物質(例えばカルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシメチルセルローセのような)、多糖類(例えばアルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、イナゴマメゴム、トラントゴム(trant gum)、グアゴム、タマリンダス・インデイカシードのような)、蛋白質(例えばゼラチンおよびカゼインのような)、水溶性の天然に存在するポリマー(例えばタンニンおよびリグニンのような)、合成水溶性ポリマー(ポリビニルアルコールを含むポリマー、ポリエチレンオキシドを含むポリマー、アクリル酸モノマーから形成されるポリマー、および無水マレイン酸モノマーから形成されるポリマーのような)、を含むが、これらに限定されない。極めて適切な樹脂は、欧州特許第2362014号明細書[0027−0030]に記載された通りのアクリルポリマーである。前記樹脂の含量は好ましくは、前記の前処理液の総質量(100質量%)に対して、20重量%以下である。
【0067】
前記の前処理液は界面活性剤を含む場合がある。いずれかの既知の界面活性剤を使用してもよいが、好ましくはグリコール界面活性剤および/またはアセチレンアルコール界面活性剤が使用される。前記アセチレングリコール界面活性剤および/または前記アセチレンアルコール界面活性剤の使用はさらに、ブリードを低減してテキスタイル印刷の質を改善し、そしてさらに、テキスタイル印刷における乾燥性を改善して高速テキスタイル印刷を可能にする。
【0068】
前記アセチレングリコール界面活性剤および/または前記アセチレンアルコール界面活性剤は好ましくは、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキシド付加物、2,4−ジメチル−5−デシン−4−オール、および、2,4−ジメチル−5−デシン−4−オールのアルキレンオキシド付加物、から選択される1種または複数である。これらは例えば、Olfine(登録商標)104シリーズおよびOlfine E1 010のようなEシリーズとしてAir Products(GB)から、またはSurfynol(登録商標)465およびSurfynol 61としてNissin Chemical Industryから入手可能である。
【0069】
前記の前処理液はまた顔料を含む場合がある。白色顔料を含む前処理液は、濃い色のテキスタイル上のテキスタイル印刷に特に有用である。水性の前処理液インキに好ましい前記顔料は二酸化チタンである。本発明において有用な二酸化チタン(TiO
2)顔料は、ルチルまたはアナターゼ結晶質形態にある場合がある。TiO
2を製造する方法は、その関連開示物がすべての目的のために参照により完全に本願明細書に引用されることとされる“The Pigment Handbook”,Vol.I,2nd Ed.,John Wiley & Sons,NY(1988),中にさらに詳細に説明されている。
【0070】
前記二酸化チタン粒子は、前記前処理液の所望される最終用途に応じて、約1ミクロン以下の広範な平均粒度を有する場合がある。高度隠蔽を要求する用途または装飾的印刷用途のための前記二酸化チタンの粒子は好ましくは、約1μm未満の平均粒度を有する。前記粒子は、好ましくは約100ないし約950nm、より好ましくは約125ないし約750nm、そしてまだより好ましくは約150ないし約500nmの平均粒度を有する。
【0071】
ある程度の透明度を有する白色を要求する用途に対する顔料の優先傾向は、「ナノ」二酸化チタンである。「ナノ」二酸化チタン粒子は典型的には、約10ないし約200nm、好ましくは約20ないし約150nm、そしてより好ましくは、約35ないし約75nmの範囲の平均粒度を有する。ナノ二酸化チタンを含むインキは、光線退色に対する十分な耐性および適当な色相角度をまだ保持しながら、改善された彩度(chroma)および透明度を提供する場合がある。非コートナノ等級の酸化チタンの市販例は、Degussa(Parsippany N.J.)から入手可能なP−25である。
【0072】
さらに、不透明度およびUV防御のような特有な利点は、複数の粒度により実現される場合がある。これらの複数の粒度は、TiO
2の顔料等級物(pigmentary)およびナノ等級物の両方を加えることにより達成される場合がある。
【0073】
前記二酸化チタンは好ましくは、スラーリー濃厚物組成物を介して前記の前処理配合物中に取り入れられる。前記スラーリー組成物中に含まれる二酸化チタンの量は好ましくは、前記スラーリーの総重量に基づいて、約15重量%ないし80重量%である。
【0074】
前記二酸化チタン顔料はまた、1種または複数の酸化金属の表面被膜を担持する場合がある。これらの被膜は当業者により知られた技法を使用して適用される場合がある。酸化金属被膜の例はなかでも、シリカ、アルミナ、アルミナシリカ、ボリア(boria)およびジルコニアを含む。これらの被膜は、前記二酸化チタンの光反応性低下を含む改善された性質を提供する場合がある。アルミナ、アルミナシリカ、ボリアおよびジルコニアの酸化金属被膜は、TiO
2顔料のプラス帯電表面をもたらし、従って、前記顔料のさらなる表面処理が必要でないために、本発明のカチオン安定化カプセルと組み合わせて、特に有用である。
【0075】
このようなコート二酸化チタンの市販例は、R700(アルミナコート、E.I.DuPont deNemours,Wilmington Del.から入手可能)、RDI−S(アルミナコート、Kemira Industrial Chemicals,Helsinki,Finlandから入手可能)、R706(DuPont,Wilmington Del.から入手可能)、および、W−6042(Tayco Corporation, Osaka Japanからのシリカアルミ処理ナノ等級二酸化チタン)を含む。
【0076】
殺生物剤は、前記液体中で時間が経てば発生する場合がある、望ましくない微生物の成長を防止するために、前記の前処理液に添加される場合がある。前記殺生物剤は単独でまたは組み合わせて使用される場合がある。本発明の前記インキジェットインキに適した殺生物剤は、ナトリウムデヒドロアセテート、2−フェノキシエタノール、ナトリウムベンゾエート、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、エチルp−ヒドロキシベンゾエートおよび1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンと、それらの塩とを含む。
【0077】
好ましい殺生物剤は、ARCH UK BIOCIDESから入手可能なProxel(商標) GXLおよびProxel(商標) Ultra 5と、COGNISから入手可能なBronidox(商標)と、である。
【0078】
殺生物剤は好ましくは、それぞれ前記液体の総重量に基づいて0.001ないし3重量%、より好ましくは0.01ないし1.0重量%の量で前記水性溶媒に添加される。
【0079】
前記の前処理液はさらに、前記液体中に粘度調整のための少なくとも1種の増粘剤を含む場合がある。適当な増粘剤は、尿素もしくは尿素誘導体、ヒドロキシエチルセルロース
、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、誘導キチン、誘導デンプン、カラゲーナン、プルラン(pullulan)、蛋白質、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(スチレン−コ−マレイン酸無水物)、ポリ(アルキルビニルエーテル−コ−マレイン酸無水物)、ポリアクリルアミド、部分加水分解ポリアクリルアミド、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、部分加水分解ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリビニルピロリドン、ポリ(2−ビニルピリジン)、ポリ(4−ビニルピリジン)、および、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)を含む。
【0080】
前記増粘剤は好ましくは、前記液体に基づいて、0.01ないし20重量%、より好ましくは0.1ないし10重量%の量で添加される。
【0081】
前記の前処理液は少なくとも1種のpH調整剤を含む場合がある。適切なpH調整剤は、有機アミン、NaOH、KOH、NEt
3、NH
3、HCl、HNO
3およびH
2SO
4を含む。好ましい実施態様において、前記の前処理液は7未満のpHを有する。7以下のpHは、特に前記分散基がアミンであるときに、前記カプセルの静電気的安定化に好都合な影響を与える場合がある。
【0082】
前記の前処理液はまた、赤外線源による発光波長範囲内で吸収するあらゆる適切な化合物の場合がある光熱変換物質を含む場合がある。赤外線染料は前記インキジェットインキ中への容易な取り扱いを可能にするので、前記光熱変換物質は好ましくは赤外線染料である。前記赤外線染料は前記水性溶媒中に含まれる場合があるが、好ましくは、前記カプセルのコア中に含まれる。後者において、前記熱移動は通常はるかに効率的である。
【0083】
赤外線染料の適切な例は、国際公開第2015158649号パンフレットの[0179]に開示されている。前記の1種または複数の光熱変換物質は好ましくは、前記インキジェットインキの総重量に基づいて、0.1ないし10重量%の範囲内で含まれる。
【0084】
B.2.インキジェットインキ
本発明のナノカプセルを含む分散物はまた、着色剤を含む水性インキジェットインキ中に取り込まれるのに適する。前記ナノカプセルは、好ましくは前記インキの総重量に基づいて30重量%以下、好ましくは5ないし25重量%の間の量で前記インキジェットインキ中に含まれる。あらゆる着色剤が適切な可能性はあるが、プラス帯電表面を有する無機顔料が特に適切である。このような顔料の例は、B.1.節に記載のTiO
2系白色顔料である。別の適切な無機顔料は、酸化鉄または酸化クロム系顔料である。
【0085】
前記顔料は、黒色、白色、シアン、マゼンタ、黄色、赤色、橙色、紫色、青色、緑色、茶色、それらの混合物、等の場合がある。色素顔料は、HERBST,Willy,et
al.Industrial Organic Pigments, Production, Properties, Applications.3rd edition.Wiley−VCH,2004.ISBN 3527305769により開示されたものから選択される場合がある。
【0086】
特に適切な顔料は、ポリマー分散剤またはカチオン界面活性剤を使用して水性溶媒中に分散される。自己分散性顔料も適切である。前記顔料の分散安定化は、前記カプセルに使用されたものと同様な静電気安定化法により実施されるために、後者(自己分散性顔料)は、前記インキジェットインキ(下記を参照)中に含まれる場合があるカプセルの分散基と、前記ポリマー分散剤との相互反応を妨げる。
【0087】
自己分散性顔料は、その表面上に、塩形成基(salt−forming group
s)のような共有結合されたアニオンまたはカチオンの親水性基か、または界面活性剤や樹脂を使用せずに前記顔料を水性溶媒中に分散させる、前記カプセルに対する分散基として使用される同様な基か、を有する顔料である。
【0088】
自己分散性顔料を生成する技術は公知である。例えば、欧州特許第1220879号明細書は、a)少なくとも1個の立体基と、b)少なくとも1個の有機イオン基および少なくとも1個の両性対イオンと、を有する顔料を開示し、前記両性対イオンは、インキジェットインキに適した前記有機イオン基の電荷に反対の電荷を有する。さらに欧州特許第906371A号明細書は、1個以上のイオン基またはイオン化可能な基を含む親水性有機基を有する、適切な表面修飾着色顔料を開示している。イオン基として適切なカチオン基は,国際公開第97/48769号パンフレット、6頁に開示されている。
【0089】
インキジェットインキ中の顔料粒子は、特に噴射ノズルにおける前記インキジェット印刷装置を通る前記インキの自由流動を可能にするために十分小さくなければならない。さらに、最大の色濃度のために小粒子を使用し、そして沈降を遅らせることが望ましい。
【0090】
前記顔料の平均粒度は、好ましくは0.050ないし1μm、より好ましくは0.070ないし0.300μm、そして特に好ましくは0.080ないし0.200μmの間である。最も好ましくは、前記の数値平均顔料粒度は0.150μm以下である。前記顔料粒子の平均粒度は、動力学的光散乱の原理に基づくBrookhaven Instruments Particle Sizer BI90plusを使用して決定される。前記インキは、0.002重量%の顔料濃度まで酢酸エチルで希釈される。前記BI90plusの測定設定値は23℃で5回の実行、90°の角度、635nmの波長およびグラフィック=補正関数(correction function)である。
【0091】
しかし、白色顔料のインキジェットインキに対しては、白色顔料の数値平均粒径は、好ましくは50ないし500nm、より好ましくは150ないし400nm、そして最も好ましくは200ないし350nmである。前記平均粒径が50nm未満であるときは十分な隠蔽力(hiding power)を得ることができず、また前記平均粒径が500nmを超えるときは、前記インキの貯蔵能および噴射適合性は劣化する傾向がある。前記数値平均粒径の決定は、前記着色インキジェットインキの希釈サンプル上に4mMのHeNeレーザーを使用して633nmの波長における光子補正分光法により最適に実施される。使用された適切な粒度分析装置は、Goggin−Meyvisから入手可能なMalvern(商標) nano−Sであった。サンプルは例えば、1.5mLの酢酸エチルを含むキュベットに対する一滴のインキの添加により調製され、そして均一なサンプルが得られるまで混合される場合がある。前記測定粒度は、20秒の6回の実行からなる3回連続測定の平均値である。
【0092】
適切な白色顔料は国際公開第2008/074548号パンフレットの[0116]中の表2により与えられる。前記白色顔料は好ましくは、1.60を超える屈折率をもつ顔料である。前記白色顔料は単独でまたは組み合わせて使用される場合がある。二酸化チタンは好ましくは、1.60を超える屈折率を有する顔料として使用される。適切な二酸化チタン顔料は、国際公開第2008/074548号パンフレットの[0117]および[0118]中に開示されたものである。
【0093】
前記水性インキジェットインキはさらに、添加剤として、界面活性剤、湿潤剤、殺生物剤および増粘剤を含む場合がある。これらの適切な添加剤は、B.1.節に記載される。
【0094】
C.インキジェット印刷法
テキスタイル印刷用の前処理液か、または本発明に従うカプセルの分散物を含む水性イ
ンキジェットインキのような液体か、を使用する印刷法は、少なくとも、a)基材上に、本発明に従うカプセルの分散物を含む液体を適用するステップと、b)熱および/または光線を適用して、前記カプセル中に1種または複数の化学反応体からの反応生成物を形成するステップとを含む。
【0095】
本発明のデジタルテキスタイル印刷法において使用される布地は、木綿、麻布、レーヨン繊維、アセテート繊維、絹、ナイロン繊維およびポリエステル繊維からなる群から選択される1つのタイプの繊維または2種以上のブレンド繊維でできている。前記布地はあらゆる形態、例えば、前記の繊維の織物、編物または不織布の形態であってもよい。
【0096】
前記デジタルテキスタイル印刷法の第1のステップにおいて、本発明に従うナノカプセルを含む前記の前処理液は好ましくは、噴霧、被覆、またはパディング印刷により前記布地に適用される場合がある。あるいはまた、前記の前処理液はまた、インキジェットヘッドまたは弁のジェットヘッドを使用して布地に適用される場合がある。前記の前処理液を適用するこの最後の手段は、必要な前処理液の量が実質的に別の適用法によるものよりも少ないという利点を有する。インキジェットヘッドにより、前記画像が印刷されなければならない布地の領域上に前記の前処理液を適用することが可能である。前記の前処理剤がインキジェットヘッドを使用して布地に適用される場合は、前記ナノカプセルおよび前記カチオンポリマー粒子の粒径は好ましくは、光散乱により決定される場合に50nmないし1μmの範囲内にある。1μmを超える粒径は、前記のインキジェットヘッドからの噴射の安定度に、劣化を誘発する傾向がある。前記粒径は、より好ましくは500nm以下である。前記の前処理液を適用するために適したインキジェットヘッドのタイプは、圧電タイプ、連続タイプ、熱プリントヘッドタイプまたは弁ジェットタイプである。好ましいカプセルは、熱反応性架橋剤を含み、そしてカチオン分散基で安定化されたコアを有するものである。
【0097】
前記の前処理液が適用された布地は乾燥され、そして場合により、インキを含む着色剤を使用するその後のインキ噴射ステップの前に、熱処理を受ける場合がある。前記熱処理は好ましくは、110ないし200℃、より好ましくは130ないし180℃における。110℃以上における加熱は、前記ナノ粒子のコアにおける前記熱反応性架橋剤を前記布地の繊維に固着させることを可能にする。前記加熱工程の例は、それらに限定はされないが、熱プレス、常圧蒸気処理、高圧蒸気処理およびTHERMOFIXを含む。前記の加熱法に対してあらゆる熱源が使用される場合があり、例えば、赤外線ランプが使用される。
【0098】
前記インキ噴射ステップ後に、前記捺布は乾燥され、そして加熱される。前記の前処理後の前記加熱ステップを実行しない(前記参照)場合は、前記捺布の加熱ステップが必要である。前記乾燥ステップは大気中で実施される場合があるが、前記加熱ステップは熱源を使用することにより実施されなければならず、その例は、強制空気加熱、NIR放射線とCIR放射線とを含むIR光線のような放射線加熱、伝導加熱、高周波乾燥およびマイクロウェーブ乾燥、のための装置を含む。前記布地の乾燥ステップは好ましくは、150℃未満、より好ましくは100℃未満、最も好ましくは、80℃未満の温度で実行される。前記加熱ステップは、好ましくは110ないし200℃、より好ましくは130ないし160℃における。
【0099】
本発明に従うインキジェット印刷法の別の実施態様は、少なくとも、a)基材上に、着色剤および本発明のカプセルを含むインキジェットインキを噴射するステップと、b)熱および/または光を適用して前記カプセル中の1種または複数の化学反応体から反応生成物を形成するステップとを含む。適切な基材は、布地、革、ガラス、陶器、金属、ガラス、木材、紙またはポリマー表面である。前記基材はまた、例えば白色インキにより下塗り
される場合がある。
【0100】
前記基材は、例えば、織物、紙およびダンボール基材のような多孔質か、例えばポリエチレンテレフタレートの表面を有するプラスチック基板のような、実質的に非吸収性基板かの場合がある。
【0101】
好ましい基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびポリラクチド(PLA)のような)、および、ポリイミドの表面を含む。
【0102】
前記基材はまた、普通紙のような紙基材、または樹脂コート紙、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンコート紙の場合がある。紙のタイプに実際的限定はなく、それは新聞紙、雑誌用紙、事務用紙、壁紙を含むが、さらに白板紙(white lined chipboard)、段ボールおよび包装用ボール(packing board)のような、通常、ボール紙と呼ばれる、より高い秤量の紙を含む。
【0103】
前記基材は,透明、半透明または不透明の場合がある。好ましい不透明基材は、1.10g/cm
3以上の密度を有する不透明のポリエチレンテレフタレートのシートの、Agfa−GevaertからのSynaps(商標)等級のような、いわゆる合成紙を含む。
【0104】
前記インキジェット印刷システムに好ましいインキジェットヘッドは、圧電インキジェットヘッドである。圧電インキジェット噴射は、電圧がそれに印加される場合の圧電セラミック変換器の運きに基づく。電圧の印加は、前記プリントヘッド中の前記圧電セラミック変換器の形状を変えて空隙を形成し、次にそれがインキで充満される。前記電圧が再度遮断されると、前記セラミックはその元来の形状に膨張し、前記インキジェットヘッドから1滴のインキを噴射する。しかし、本発明に従う前記インキの噴射は、圧電インキジェット印刷に制約はされない。別のインキジェット印刷ヘッドが使用され、連続タイプ、熱プリントヘッドタイプおよび弁噴射タイプのような様々なタイプを含む場合がある。
【0105】
光熱変換物質が本発明のナノカプセル中に含まれる場合は、前記加熱電源(mains)は適切な光源の場合がある。前記光熱変換物質が1種または複数の赤外線染料からなる場合は、赤外線源が使用される。前記放射光の少なくとも一部が前記熱反応性架橋剤を活性化するために適切である限り、あらゆる赤外線源が使用されてもよい。前記赤外線硬化手段は、赤外線レーザー、赤外線レーザーダイオード、赤外線LEDまたはそれらの組み合わせを含む場合がある。
【実施例】
【0106】
1.材料
・ Cab−o−Jet 465Mは、Cabotにより供給されたマゼンタ顔料分散物である。
・ Cab−o−Jet 465Cは、Cabotにより供給されたシアン顔料分散物である。
・ Alkanol XCは、Dupontにより供給されたアニオン界面活性剤である。
・ Desmodur N75 BAは、Bayer AGにより供給された三官能価イソシアネートである。
・ Trixene BI7963は、Baxenden Chemicals LTDにより供給されたマロネートブロックトイソシアネートである。
・ Lakeland ACP70は、Lakeland Laboratories LTDにより供給された両性イオン界面活性剤である。
・ Edaplan 482は、Muenzing Chemie GmbHにより供給されたポリマー分散剤である。
・ Hostaperm Blau B4G−KRは、Clariantにより供給されたPB15:3である。
・ Proxel Kは、YDS Chemicals NVにより供給された、Promex Clearの5重量%水溶液である。
・ Tivida FL2500は、Merckにより供給された界面活性剤である。
・ Capstone FS3100は、Dupontにより供給された界面活性剤である。
・ Tego Twin 4000は、Evonik Industriesにより供給された界面活性剤である。
【0107】
2.測定法
2.1.L値
印刷サンプルのL値を、Gretag SPM50(Gretag Limited,Switzerland)を使用して測定した。
【0108】
2.2.色域(colour gamut)
本発明のサンプルおよび比較サンプルおよび出発布地のa値およびb値を、Gretag SPM50(Gretag Limited,Switzerland)を使用して測定した。各サンプルのΔa値およびΔb値を、前記印刷サンプル上で測定した前記の値から、前記出発布上で測定したa値およびb値を差し引くことにより計算した。これらの値を以下の式:
【数1】
を使用して、ΔC値に変換した。
【0109】
3.本発明のナノカプセルの合成
3.1.共反応性カチオン界面活性剤の合成
Surf−2の合成
29g(0.105モル)の(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド)(水中75重量%として供給された)を、150gのイソプロパノール中に溶解した。26.9g(0.1モル)のオクタデシルアミンおよび15g(0.148モル)のトリエチルアミンを添加し、前記混合物を80℃に24時間加熱した。前記溶媒を減圧除去した。Surf−2を、さらに精製せずに、ナノカプセル合成に使用した。
【化7】
【0110】
Surf−3の合成
【化8】
【0111】
29g(0.105モル)の(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド)(水中75重量%として供給された)を150gのイソプロパノール中に溶解した。18.5g(0.1モル)のドデシルアミンおよび15g(0.148モル)のトリエチルアミンを添加し、前記混合物を80℃に24時間加熱した。前記溶媒を減圧除去した。Surf−3を、さらに精製せずに、以下に記載の通りのナノカプセル合成に使用した。
【0112】
Surf−5の合成
【化9】
【0113】
29g(0.105モル)の(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド)(水中75重量%として供給された)を150gのイソプロパノール中に溶解した。26.7g(0.1モル)のオレイルアミンおよび15g(0.148モル)のトリエチルアミンを添加し、前記混合物を80℃に24時間加熱した。前記溶媒を減圧除去した。Surf−5を、さらに精製せずに、以下に記載の通りのナノカプセル合成に使用した。
【0114】
3.2.ポリプロピレンオキシド系マロネートブロックトイソシアネートISO−1の合成:
【化10】
【0115】
17.6g(0.11モル)のジエチルマロネートを450mlのTHF中に溶解した。12.3g(0.11モル)のカリウムtert.ブトキシドを添加し、前記混合物を30分間撹拌した。前記カリウムtert.ブトキシドを添加すると、ジエチルマロネートのカリウム塩が前記溶媒から沈殿した。前記添加期間中、温度は40℃に上昇した。前記混合物を20℃に冷却し、115gのTDIを末端基にしたポリ(プロピレンオキシド)(Mn=2300、NCO−含量:3.6重量%)を添加した。前記反応を室温で16時間継続させた。前記溶媒を減圧蒸発させ、300mlのメチレンクロリドを添加した。前記メチレンクロリド溶液を、500mlの水中11gの濃塩酸の溶液に添加した。前記有機画分を単離し、200mlのtert.ブチルメチルエーテルを添加した。前記有機画分を250mlの生理食塩水で3回抽出し、MgSO
4上で乾燥し、減圧蒸発させた。129gの前記マロネートを末端基にしたキャップポリマーを単離した。前記オリゴマーブロックトイソシアネートを、さらに精製せずに使用した。
【0116】
3.3.熱反応性架橋剤を含むコアと、カチオン分散基により安定化されたシェルとを有するカプセルの合成
CATCAPS−1:
36.5gの酢酸エチル中、24gのDesmodur N75 BAと18gの前記オリゴマーのブロックトイソシアネートISO−1との溶液を調製し、該溶液を、80mlの水中、7gの前記カチオン界面活性剤SURF−5と1gのテトラエチレンペンタミンとの溶液に、18000rpmの回転速度のUltra−Turraxを使用して5分間撹拌しながら添加した。前記分散物に85mlの水を添加し、500mbarから120mbarに前記真空を漸増しながら、前記酢酸エチルを、減圧下、65℃で蒸発させた。前記酢酸エチルを完全に蒸発後に、さらなる65mlの水を蒸発させた。前記分散物を65℃で16時間撹拌した。前記分散物を室温に放置冷却した。150mlの水を添加し、前記分散物を、10μmおよび5μmのフィルター上で連続して瀘過した。前記分散物を145mlに減圧濃縮した。
【0117】
前記平均粒度をZetasizer(商標) Nano−S(Malvern Instruments,Goffin Meyvis)を使用して測定した。前記平均粒度は1100nmであった。
【0118】
CATCAPS−2:
36gの酢酸エチル中、22gのDesmodur BAと23gのTrixene BI7963との溶液を調製し、55gの水中、6.5gの前記カチオン界面活性剤SURF−5と30gのグリセロールとの溶液に、18000rpmの回転速度のUltra−Turrraxを使用して5分間撹拌しながら添加した。80gの水を添加し、500mbarから120mbarに前記真空を漸増しながら,前記酢酸エチルを、減圧下、65℃で蒸発させた。前記酢酸エチルを完全に蒸発後に、さらなる60mlの水を蒸発させた。前記分散物に水を添加して、総重量を145gにさせた。前記分散物を65℃で16時間撹拌した。前記分散物を室温に放置冷却し、5μmおよび2.7μのフィルター上で連続して瀘過した。
【0119】
平均粒度を、Zetasizer(商標) Nano−S(Malvern Instruments,Goffin Meyvis)を使用して測定した。前記平均粒度は185nmであった。
【0120】
CATCAPS−3:
36gの酢酸エチル中、22gのDesmodur BAと22gの前記オリゴマーのブロックトイソシアネートISO−1との溶液を調製し、18000rpmの回転速度のUltra−Turrraxを使用して5分間撹拌しながら、55gの水中、6.5gの前記カチオン界面活性剤SURF−5と30gのグリセロールとの溶液に添加した。80gの水を添加し、前記真空を500mbarから120mbarに漸増しながら、前記酢酸エチルを、減圧下、65℃で蒸発させた。前記酢酸エチルを完全に蒸発後に、さらなる60mlの水を蒸発させた。前記分散物に水を添加して145gの総重量にした。前記分散物を65℃で16時間撹拌した。前記分散物を室温に放置冷却し、5μmおよび2.7μmフィルター上で連続して瀘過した。
【0121】
前記平均粒度をZetasizer(商標) Nano−S(Malvern Instruments,Goffin Meyvis)を使用して測定した。前記平均粒度は190nmであった。
【実施例1】
【0122】
実施例1において、カチオン分散基で安定化されたナノカプセルを含む前処理液により前処理された木綿布上に画像を印刷する。
【0123】
本発明に従う前処理液の配合物
前処理液INKCAT−1
前記の前処理液INKCAT−1を、
表3に従う成分を混合することにより調製した。すべての重量百分率は前記インキジェットインキの総重量に基づく。
【表3】
【0124】
水性着色剤含有インキジェットインキ配合物:INKANION−1
ナノカプセルNANO−1の合成
151gの酢酸エチル中、91gのDesmodur N75 BAと、95gのTrixene BI7963との溶液を調製した。18000rpmの回転速度のUltra−Turrraxを使用して5分間撹拌しながら、本溶液を、310gの水中、33.1gのLakeland ACP70と8.27gのL−リシンと3.73gの33重量%の水酸化ナトリウム溶液との溶液に添加した。350mlの水を添加し、前記真空を500mbarから120mbarに漸増しながら、前記酢酸エチルを減圧下、65℃で蒸発させた。前記酢酸エチルを完全に蒸発後に、さらなる250mlの水を蒸発させた。前記分散物に水を添加して、それを600gの総重量にした。前記分散物を65℃で16時間撹拌した。前記分散物を室温に放置冷却した。
【0125】
前記平均粒度を、Zetasizer(商標) Nano−S(Malvern Instruments,Goffin Meyvis)を使用して測定した。前記平均粒度は200nmであった。
【0126】
水性インキジェットインキ配合物INKANION−1:
前記インキジェットインキINKANION−1を、表4に従う成分を混合することにより調製した。すべての重量百分率は前記インキジェットインキの総重量に基づく。
【表4】
【0127】
前記混合物を5分間、撹拌し、5μmフィルター上で瀘過した。
【0128】
本発明の印刷サンプルINV−1:
標準のDimatix(商標) 10plプリントヘッドを備えたDimatix(商標) DMP2831システムを使用して、未処理木綿織物上に前記の前処理液INKCAT−1を噴射することにより無地領域(solid area)に印刷した。前記インキを、5kHzの噴射周波数(firing frequency)、25Vの噴射電圧および標準波形を使用して、22℃で噴射した。
【0129】
標準Dimatix(商標)10plプリントヘッドを備えたDimatix(商標) DMP2831システムを使用して、前記印刷無地領域上に、前記インキINKANION−1を噴射した。前記インキを、5kHzの噴射周波数、25Vの噴射電圧および標準波形を使用して22℃で噴射した。前記サンプルINV−1を乾燥し、次に160℃で5分間、加熱固着を実施した。
【0130】
比較印刷サンプルCOMP−1:
標準のDimatix (商標)10plプリントヘッドを備えたDimatix(商標) DMP2831システムを使用して、未処理木綿織物上に、前記インキジェットインキのINKANION−1を噴射することにより、無地領域に印刷した。前記インキを、5kHzの噴射周波数、25Vの噴射電圧および標準波形を使用して22℃で噴射した。前記サンプルCOMP−1を乾燥し、次に160℃で5分間、加熱固着を実施した。
【0131】
本発明のサンプルおよび比較サンプル両方のL−値を
表5に要約する。
【表5】
【0132】
表5から、前記木綿布が本発明のナノカプセルを含む前処理液で前処理される場合は、前記の前処理によるよりも有意に濃い画像が得られることが認められる場合がある。
【実施例2】
【0133】
実施例2において、カチオン分散基で安定化されたナノカプセルを含む前処理液により前処理された木綿布上に、画像を印刷する。
【0134】
前処理液INKCAT−2およびINKCAT−3:
前記の前処理液INKCAT−2およびINKCAT−3を、
表6に従う成分を混合することにより調製した。すべての百分率は前記液体の総重量に基づく。
【表6】
【0135】
前記混合物を5分間撹拌し、1.6μmのフィルター上で瀘過した。
【0136】
水性インキジェットインキ配合物INKANION−2
前記インキINKANION−2を、
表7に従う成分を混合することにより調製した。すべての百分率は前記液体の総重量に基づく。
【表7】
DSP−Cは以下の通りに得られた分散物である。5.176kgの水中、124gのEdaplan 482の溶液を、DYNO−MILL ECM Poly mill(Willy A.Bachoven,Switzerlan)中に投入した。8.261kgの水中、4.279kgのEdaplan 482と160gのProxel Kとの溶液を60 lの容器中に調製した。前記容器を前記ミルに連結し、前記溶液を5分間、前記ミル上で循環させた。6kgのHostaperm Blau B4G−KRを60 lの容器内の溶液に添加し、前記分散物を30分間撹拌した。前記の前分散物 (predispersion)を毎分8 lの速度で、前記ミル上で循環させた。0.4mmのイットリウム安定化ジルコニアビーズ(TOSOH Co.からの「高耐摩耗性ジルコニア粉砕媒体」)を、42%の充填度において粉砕媒体として使用した。前記ミルの回転速度は14.7m/秒であり、前記滞留時間は42分であった。前記調製分散物を、3.904kgの水中2.615kgのEdaplan 482で希釈し、前記混合物を前記ミル上で10分間循環させた。前記混合物をさらに、9.481kgの水で希釈し、再度、前記ミル上で5分間循環させた。最終的分散物を60 lの容器中に排出した。前記分散物を1μmのフィルター上で瀘過した。前記粒度をZetasizer(商標) Nano−S(Malvern Instruments,Goffin Meyvis)を使用して測定した。前記平均粒度は131nmであった。
【0137】
本発明のテキスタイル印刷サンプルINV−2およびINV−3:
標準のDimatix(商標) 10plプリントヘッドを備えたDimatix(商標) DMP2831システムを使用して、未処理木綿織物上に、前記の前処理液INKCAT−2を噴射することにより、2つの無地領域に印刷した。前記インキを、5kHzの噴射周波数、25Vの噴射電圧および標準波形を使用して22℃で噴射した。
【0138】
標準のDimatix(商標) 10plプリントヘッドを備えたDimatix(商標) DMP2831システムを使用して、一方の前記印刷済み無地領域上に、前記アニオンインキINKANION−2を噴射した。前記インキを、5kHzの噴射周波数、25Vの噴射電圧および標準波形を使用して、22℃で噴射した。前記サンプルINV−2を乾燥し、次に160℃で5分間加熱固着(thermal fixation)を実施した。
【0139】
標準のDimatix(商標) 10plプリントヘッドを備えたDimatix(商標) DMP2831システムを使用して、第2の無地領域の上に、前記アニオンインキINKANION−1を噴射した。前記インキを、5kHzの噴射周波数、25Vの噴射電圧および標準波形を使用して22℃で噴射した。前記サンプルINV−3を乾燥し、次に160℃で5分間、加熱固着を実施した。
【0140】
比較テキスタイル印刷サンプルCOMP−2、COMP−3:
標準のDimatix(商標) 10plプリントヘッドを備えたDimatix(商標) DMP2831システムを使用して、前記インキINKANION−2およびINKANION−1それぞれを、未処理木綿布上の無地領域に噴射した。前記インキを、5kHzの噴射周波数、25Vの噴射電圧および標準波形を使用して22℃で噴射した。前記サンプルCOMP−2およびCOMP−3を乾燥し、次に160℃で5分間、加熱固着を実施した。
【0141】
前記色域の測定値の結果を
表8に要約する。
【表8】
【0142】
表8から、前記木綿が、カチオンの分散基で安定化されたナノカプセルを含む前処理液により前処理される場合は、比較的高い色域(gamut)を有する画像が得られる場合があることが明白になる。
【実施例3】
【0143】
実施例3において、カチオン分散基で安定化されたナノカプセルを含む前処理液により前処理された未処理ポリエステル布上に画像が印刷される。
【0144】
前記ポリエステル基材(George Otto Friedrichにより供給された、7048FLBS PTX−PES Decotex)を、処理する前に、イソプロパノールおよび酢酸エチルを使用して洗浄した。前記基材を印刷前に乾燥した。
【0145】
本発明のテキスタイル印刷サンプルINV−5およびINV−6
標準のDimatix(商標) 10plプリントヘッドを備えたDimatix(商標) DMP2831システムを使用して、前記の前処理液INKCAT−3を使用して前記の洗浄済みポリエステル基材上の2つの無地領域に噴射した。前記インキを、5kHzの噴射周波数、25Vの噴射電圧および標準波形を使用して22℃で噴射した。
【0146】
標準のDimatix(商標) 10plプリントヘッドを備えたDimatix(商標) DMP2831システムを使用して、前記ポリエステルの、印刷済み無地領域の一方上に、前記インキINKANION−2を噴射した。前記インキを、5kHzの噴射周波数、25Vの噴射電圧および標準波形を使用して22℃で噴射した。前記サン
プルINV−5を乾燥し、次に160℃で5分間、加熱固着を実施した。
【0147】
標準のDimatix(商標) 10plプリントヘッドを備えたDimatix(商標) DMP2831システムを使用して、第2の無地領域上に、前記インキINKANION−1を噴射した。前記インキを、5kHzの噴射周波数、25Vの噴射電圧および標準波形を使用して22℃で噴射した。前記サンプルINV−6を乾燥し、次に160℃で5分間、加熱固着を実施した。
【0148】
比較テキスタイル印刷サンプルCOMP−5およびCOMP−6
標準のDimatix(商標) 10plプリントヘッドを備えたDimatix(商標) DMP2831システムを使用して、前記の洗浄済みポリエステル基材上の無地領域に、前記インキINKANION−2およびINKANION−1それぞれを噴射した。前記インキを、5kHzの噴射周波数、25Vの噴射電圧および標準波形を使用して22℃で噴射した。前記サンプルCOMP−5およびCOMP−6を乾燥し、次に160℃で5分間、加熱固着を実施した。
【0149】
前記色域測定値の結果を
表9に要約する。
【表9】
【0150】
表9から、前記の前処理による前記ポリエステルの前記の前処理サンプルは、前記の前処理を伴わない対照サンプルに比較して、前記水性インキから得られたテキスタイル印刷物の色域を明らかに増加することが明白になる。