特許第6986617号(P6986617)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986617
(24)【登録日】2021年12月1日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】中継器
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20211213BHJP
【FI】
   H04Q9/00 311A
   H04Q9/00 301D
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-202755(P2020-202755)
(22)【出願日】2020年12月7日
(62)【分割の表示】特願2017-1170(P2017-1170)の分割
【原出願日】2017年1月6日
(65)【公開番号】特開2021-40347(P2021-40347A)
(43)【公開日】2021年3月11日
【審査請求日】2020年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000201814
【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000109923
【氏名又は名称】トーソー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】小倉 誠
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 一仁
(72)【発明者】
【氏名】馬場 義則
(72)【発明者】
【氏名】小林 正則
【審査官】 白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−302749(JP,A)
【文献】 特開2003−111149(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104978851(CN,A)
【文献】 特開2001−060907(JP,A)
【文献】 特開2015−076822(JP,A)
【文献】 特開2009−098746(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/185844(US,A1)
【文献】 特開2003−283524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被制御機器を制御するための制御信号を受信機へ無線中継する中継器であって、
中継器に割り当てられ且つ前記受信機に登録される識別子を記憶している記憶部と、
端末からの前記被制御機器を制御するための通信信号を受け付ける入力部と、
前記入力部によって受け付けられた前記端末からの前記通信信号に基づく信号を、前記制御信号として前記受信機へ無線で送信する出力部と、
を備え、
前記入力部は、前記端末と双方向通信を行う通信部であり、前記端末からの要求に応じて、前記記憶部に記憶されている識別子を前記端末へ送信し、
前記通信信号には前記識別子が含まれている、
中継器。
【請求項2】
前記端末とは異なる送信機から被制御機器を制御するための制御信号を受け付ける追加入力部をさらに備え、
前記出力部は、前記追加入力部によって受け付けられた制御信号を前記受信機へ無線で送信する、
請求項1に記載の中継器。
【請求項3】
前記入力部は、前記端末からの通信信号を、アクセスポイントを経由して受け付ける、
請求項1又は2に記載の中継器。
【請求項4】
前記通信信号のプロトコルは、前記制御信号のプロトコルとは異なっている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の中継器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継器に関する。
【背景技術】
【0002】
ホームオートメーションの分野において、制御対象の機器等を制御するための制御信号を無線で送信する送信機と、当該制御信号を受信して上述の制御を行うための受信機と、を用いる手法が知られている(たとえば特許文献1参照)。送信機には予め生産ラインで唯一無二の識別子(ID:Identifier)が割り当てられる。受信機には、受信機へ制御信号を送信しようとする送信機の、上記識別子が記憶(登録)される。送信機は、割り当てられた識別子と、制御コマンドとを含む信号を、制御信号として送信する。受信機は、登録されている識別子を含む制御信号を受け付け、当該制御信号に含まれる制御コマンドに従って、制御対象の機器等を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−284567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の送信機の機能を、スマートフォンなどの端末によっても実現できれば便利である。しかし、この場合には、送信機に割り当てられる識別子を含む制御信号を、端末を利用して送信できるようにする必要がある。
【0005】
本発明は、識別子を含む制御信号を、送信機とは異なる端末を利用して円滑に送信できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ホームオートメーションにおいて、送信機からの制御信号を受信機へ中継する中継器が用いられることもある。発明者らは、新規な構成を備える中継器を用いて上記課題を解決する手法を見出した。
【0007】
本発明の一態様に係る中継器は、被制御機器を制御するための制御信号を受信機へ無線中継する中継器であって、中継器に割り当てられ且つ受信機に登録される識別子を記憶している記憶部と、端末からの被制御機器を制御するための通信信号を受け付ける入力部と、入力部によって受け付けられた端末からの通信信号に基づく信号であって、記憶部に記憶されている識別子を含むように生成された信号を、制御信号として受信機へ無線で送信する出力部と、を備える。
【0008】
上記の中継器では、記憶部が、中継器に割り当てられ且つ受信機に登録される識別子を記憶している。そして、端末からの被制御機器を制御するための通信信号に基づき、記憶部に記憶されている識別子を含むように生成された制御信号が、受信機へ送信される。このような中継器の機能を用いることによって、識別子を含む制御信号を、端末を利用して円滑に送信することができる。
【0009】
端末からの通信信号は、制御内容を指定するための情報を含み、中継器は、端末からの通信信号と、記憶部に記憶されている識別子とに基づいて、制御信号を生成する信号生成部をさらに備え、出力部は、信号生成部によって生成された制御信号を受信機へ無線で送信してもよい。これにより、制御内容を指定するための情報を含む通信信号を中継器が受け付けるだけで、中継器において制御信号が生成され、受信機へ送信される。したがって、端末側で識別子を取得することなく、当該識別子を含む制御信号を、端末を利用して円滑に送信することができる。
【0010】
記憶部は、複数の識別子を記憶しており、端末からの通信信号は、複数の識別子のうちの所望の識別子を指定するためのインデックス情報を含み、信号生成部は、インデックス情報によって指定された識別子を用いて制御信号を生成してもよい。これにより、中継器がインデックス情報を含む通信信号を受け付けるだけで、中継器において、インデックス情報によって指定された識別子を用いて制御信号が生成され、受信機へ送信される。したがって、端末側でインデックス情報によって指定される識別子を取得することなく、当該識別子を含む制御信号を、端末を利用して円滑に送信することができる。
【0011】
中継器は、端末とは異なる送信機から被制御機器を制御するための制御信号を受け付ける別の入力部をさらに備え、送信部は、別の入力部によって受け付けられた制御信号を受信機へ無線で送信してもよい。これにより、制御信号を送信可能な専用の送信機からの信号を受信機へ無線中継することもできる。
【0012】
本発明の一態様に係る中継器は、被制御機器を制御するための制御信号を受信機へ無線中継する中継器であって、中継器に割り当てられ且つ受信機に登録される識別子を記憶している記憶部と、端末からの被制御機器を制御するための通信信号を受け付ける入力部と、入力部によって受け付けられた端末からの通信信号に基づく信号を、制御信号として受信機へ無線で送信する出力部と、を備え、入力部は、端末と双方向通信を行う通信部であり、端末からの要求に応じて、記憶部に記憶されている識別子を端末へ送信し、通信信号には識別子が含まれている。この中継器でも、記憶部が、中継器に割り当てられ且つ受信機に登録される識別子を記憶している。ここで、この中継装置では、端末からの要求に応じて記憶部に記憶されている識別子が端末へ送信される。また、端末からの通信信号には識別子が含まれている。このように端末からの被制御機器を制御するための通信信号が識別子を含んでいるので、当該通信信号に基づく信号を、制御信号として受信機へ送信することができる。このような中継器の機能によっても、識別子を含む制御信号を、端末を利用して円滑に送信することができる。
【0013】
入力部は、端末からの通信信号を、アクセスポイントを経由して受け付けてもよい。これにより、中継器は有線、無線を問わずアクセスポイントを利用して端末からの通信信号を受け取ることができる。
【0014】
通信信号のプロトコルは、制御信号のプロトコルとは異なっていてもよい。これにより、識別子を含む制御信号を、制御信号のプロトコルに対応していない端末を利用して円滑に送信することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、識別子を含む制御信号を、送信機とは異なる端末を利用して円滑に送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る中継器を含む中継システムの概略構成を示す図である。
図2】中継器および受信機の機能ブロック図である。
図3】中継器の記憶部に記憶されているリストの例を示す図である。
図4】通信信号および制御信号の構成例を示す図である。
図5】中継システムにおいて実行される処理の例を示すシーケンス図である。
図6】中継システムにおいて実行される処理の例を示すシーケンス図である。
図7】中継システムにおいて実行される処理の例を示すシーケンス図である。
図8】変形例に係る中継器を含む中継システムの概略構成を示す図である。
図9】変形例に係る中継器および受信機の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
図1は、中継システム1の概略構成を示す図である。中継システム1は、たとえばホームオートメーションにおいて、被制御機器70をリモート制御するために用いられる。被制御機器70の例は、カーテン、ブラインド、シャッターのような遮蔽物の開閉器である。
【0019】
中継システム1は、送信機10と、中継器20と、受信機30とを含む。送信機10は、被制御機器70を制御するための制御信号を無線で送信する。中継器20は、送信機10からの制御信号を、受信機30へ中継する。受信機30は、中継器20からの制御信号を受信し、当該制御信号に応じた被制御機器70の制御を実行する。受信機30は、たとえば、被制御機器70に設けられたモータ等の制御要素と電気的に接続されており、当該制御要素に制御信号を送ることによって、被制御機器70を制御することができる。中継器20および受信機30の機能の詳細については、後に図2を参照して説明する。
【0020】
送信機10を用いて制御信号を送信するために、中継システム1では、受信機30へ制御信号を送信しようとする送信機10に記憶しているIDを受信機30に記憶(登録)させる(ペアリングが行われる)。IDは、中継システム1において送信機10を特定するための識別子である。送信機10は、割り当てられたIDと、制御コマンドとを含む信号を、上述の制御信号として、中継器20を介して受信機30へ送信する。受信機30は、中継器20から送られてくる制御信号のうち、登録されているIDを含む制御信号を受け付け、当該制御信号に含まれる制御コマンドに従って、被制御機器70の制御を実行する。このようにして、送信機10を用いた被制御器の制御が実現される。
【0021】
さらに、中継システム1では、送信機10とは異なる要素を用いても、予め中継器に割り当てられたIDを含む制御信号を送信し、被制御機器70の制御を実現することができる。送信機10とは異なる要素として、本実施形態では、端末40を例に挙げて説明する。端末40の例は、スマートフォンのようなモバイル端末である。
【0022】
中継システム1において、中継器20は、端末40と通信可能に構成される。図1に示される例では、中継システム1は、AP(アクセスポイント)50および通信線60をさらに含む。AP50は、Wi−Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などを利用した近距離無線通信を行うための無線アクセスポイントである。通信線60は、中継器20とAP50とを接続している。通信線60は、LAN(たとえばイーサネット(登録商標))によって、中継器20およびAP50を接続する。
【0023】
なお、中継システム1に含まれる中継器20および受信機30の数は、図1に示される例に限定されない。複数の中継器20が存在する場合には、各中継器20が、通信線60によって接続される。端末40は、各中継器20と、AP50および通信線60を介して通信する。各中継器20は、たとえばシリアル番号(S/N)を有しており、端末40は、各中継器20をS/Nで区別し得る。
【0024】
図2は、中継器20および受信機30の機能ブロック図である。まず、中継器20について説明し、その後、受信機30について説明する。
【0025】
中継器20は、第1入力部21と、第2入力部22と、記憶部23と、信号生成部24と、出力部25とを含む。
【0026】
第1入力部21は、送信機10からの制御信号を受け付ける部分である。制御信号は、たとえば、2.4GHz帯域を用いた独自プロトコルに基づく信号である。たとえば、帯域幅が数kHz〜数百kHz程度の、FSK変調を用いた低速信号が用いられてよい。このような独自プロトコルに基づく信号を制御信号として用いることで、たとえばWi−Fiの通信規格に準拠した信号若しくはBluetoothの通信規格に準拠した信号を制御信号として用いる場合と比較して、信号同士の共存性を高め、また、通信距離を長くすることもできる。
【0027】
第2入力部22は、端末40からの通信信号を受け付ける部分である。より具体的には、端末40からの通信信号が、AP50および通信線60を介して、第2入力部22によって受け付けられる。端末40とAP50との間の通信信号は、上述のようなWi−Fiの通信規格に準拠した信号等であってよく、上記制御信号の独自プロトコルとは異なるプロトコルに基づく信号である。この場合、通信信号は、帯域幅が上述の制御信号の帯域幅よりも広い、DSSS、OFDMなどを用いた高速信号である。中継器20がAP50(図1)を介して端末40と通信するため、第2入力部22は、端末40と双方向通信を行う通信部としても機能する。AP50と中継器20の第2入力部22との間の通信に関しては、通信線60における信号がたとえばLANの通信規格に準拠した信号であり上述のWi−Fiの通信規格に準拠した信号とは異なっているが、このような通信線60における信号も、本明細書における通信信号に含まれてよい。
【0028】
記憶部23は、受信機30に登録されるIDを記憶している部分である。具体的に、記憶部23は、予め中継器20の製造工程で割り当てられたIDを記憶している。なお、一つの中継器20に、複数のIDが記憶されていてもよい。記憶部23は、IDをリストの形態で記憶し得る。
【0029】
図3は、記憶部23に記憶されているリストの例である。この例では、リスト23aは、21種類の「ID」(ID1〜ID21)を記憶している。リスト23aは、「インデックス」と、「ID」とを対応づけている。インデックスは、リスト23aの上から順に、1〜21の番号で表され、受信機30が記憶する中継器20のIDを指定するために用いられる。
【0030】
再び図2に戻り、信号生成部24は、中継器20から受信機30へ送信(中継)するための制御信号を生成する部分である。信号生成部24による制御信号の生成は、第1入力部21が送信機10からの制御信号を受け付けた場合と、第2入力部22が端末40からの被制御機器70を制御するための通信信号を受け付けた場合とで異なる。第1入力部21が送信機10から制御信号を受け付けた場合、信号生成部24は、当該制御信号に対して復調処理および変調処理を行うことによって制御信号を再生する。一方、第2入力部22が端末40から通信信号を受け付けた場合、信号生成部24は、当該通信信号に基づいて、制御信号を生成する。後者の場合について、以下、詳述する。
【0031】
端末40からの被制御器を制御するための通信信号は、被制御機器70の制御内容(たとえば遮蔽物を開くまたは閉じる)を含む。また、先に説明したように、記憶部23内に複数のIDが記憶されている場合もある。その場合、通信信号は、複数のIDのうちの所望のIDを指定するためのインデックス情報も含んでよい。インデックス情報は、図3に示されるような、1〜21の数値のうちのいずれかであってよい。信号生成部24は、記憶部23に記憶されているIDと、上述の通信信号に含まれる制御内容に対応した制御コマンド(後に図4を参照して説明)とを含むように制御信号を生成する。通信信号にインデックス情報が含まれる場合には、記憶部23に記憶されているIDのうちの、当該インデックス情報に対応するID(図3)を含むように制御信号が生成される。
【0032】
図4は、通信信号および制御信号の構成例を示す図である。端末40からの被制御機器を制御するための通信信号は、図4の(a)に示されるように、「アドレス」と、「インデックス」と、「制御内容」とを含む。アドレスは、通信線60によって構成されたネットワークにおける中継器20のアドレス(たとえばLAN、Wi−Fiの場合にはIPアドレス)である。一方、信号生成部24によって生成される制御信号は、図4の(b)に示されるように、「ID」と、「制御コマンド」とを含む。制御コマンドは、制御内容に係る制御を受信機30において実行させるためのコマンドである。たとえば、制御内容と制御コマンドとを対応づけたコマンドリストが記憶部23に予め記憶されており、信号生成部24は、当該コマンドリストを参照することによって、制御コマンドを含む制御信号を生成することができる。制御内容が制御コマンドそのものであってもよく、その場合には、上述のコマンドリストは不要である。なお、第1入力部21(図2)が受け付ける送信機10からの制御信号も、図4の(b)と同様の構成であってよい。
【0033】
再び図2に戻り、出力部25は、信号生成部24によって生成された制御信号を受信機30へ無線で送信する部分である。送信される制御信号は、送信機10からの制御信号と同じプロトコルに基づく信号である。
【0034】
次に、受信機30について説明する。受信機30は、受信部31と、記憶部32と、照合部33と、機器制御部34とを含む。受信部31は、中継器20からの制御信号を受信する部分である。記憶部32は、先に説明した受信機30に登録されるIDを記憶する部分である。記憶部32は、たとえば不揮発性メモリである。記憶部32は、複数のIDを記憶していてもよい。記憶部32へのIDの記憶手順は、後に図6を参照して改めて説明する。照合部33は、受信部31によって受け付けられた制御信号に含まれるIDと、記憶部32に記憶されているIDとを照合する部分である。制御信号に含まれるIDが、記憶部32に記憶されているIDと一致する場合(記憶部32に複数のIDが存在する場合にはいずれかと一致する場合)、機器制御部34は、制御信号に含まれる制御コマンドに従って、被制御機器70の制御(たとえば遮蔽物の開閉制御)を実行する。
【0035】
次に、中継システム1において実行される処理の例を、図5図7を参照して説明する。
【0036】
図5は、端末40が中継器20の探索、存在確認を行う際に実行される処理の例を示すシーケンス図である。
【0037】
端末40において、中継器探索指示がなされる(ステップS1)。中継器探索指示は、ユーザ操作によって行われてもよいし、所定の周期で定期的に行われてもよい。端末40で中継器探索指示がなされると、中継器探索信号が中継器20へ送信される(ステップS2)。中継器探索信号の送信は、ブロードキャスト信号の発信によって行われてもよい。中継器探索信号は、先に説明した通信信号と同じプロトコルの信号であってよい。
【0038】
端末40からの中継器探索信号を受信した中継器20は、端末40に自局の情報を応答する(ステップS3)。中継器探索信号の受信および自局の情報の応答は、たとえば第2入力部22が応答信号を端末40へ送信することによって実行される。端末40と通信可能な中継器20が複数存在している場合には、複数の中継器20の各々が、端末40に自局の情報を応答する。図5に示される例では、中継器20のS/Nおよびアドレスが、自局の情報として端末40へ送信される(ステップS3の実線矢印)。複数の中継器20が存在する場合には、他の中継器20も同様に、端末40に対して自局の情報を応答する(ステップS3の破線矢印)。
【0039】
端末40は、中継器20からS/Nおよびアドレスを取得し(ステップS4)、端末40と通信可能な中継器のリストを作成する(ステップS5)。リストは、たとえば、各中継器のS/Nおよびアドレスを対応づけて記述するように作成される。
【0040】
以上のようにして、端末40は、通信可能な中継器20を区別するためのS/Nおよびそれら中継器20との通信に必要なアドレスを取得することができる。端末40は、上記の処理を随時または定期的に実施するように構成されてよい。これにより、中継器20の電源断、故障、端末40と中継器20との間のネットワークの不安定性、切断等、さらには、LANにおける中継器20のアドレス(IPアドレス等)の変更など、さまざまな環境変化に対応することができる。
【0041】
図6は、端末40と受信機30とのペアリングを行う際に実行される処理の例を示すシーケンス図である。
【0042】
受信機30において、ペアリング指示がなされる(ステップS11)。たとえば受信機30に設けられた操作ボタンをユーザが操作することによって、受信機30がペアリングモードに設定される。また、端末40においても、ユーザ操作等によって、ペアリング指示がなされ、端末40もペアリングモードに設定される(ステップS12)。
【0043】
端末40においてペアリング指示がなされると、ペアリングコマンドが端末40から中継器20へ送信される(ステップS13)。端末40から中継器20へのペアリングコマンドは、先に説明した通信信号と同じプロトコルの信号を用いて送信されてよい。ペアリングコマンドは、IDを示す情報を含む。図7に示される例では、ペアリングコマンドは、インデックス(図3)を含む。中継器20の記憶部23が複数のIDを記憶している場合には、たとえば端末40のユーザ操作によって選択された所望のIDを示すインデックスが、ペアリングコマンドに含まれる。
【0044】
中継器20は、端末40から送信されたペアリングコマンドに含まれるインデックスを、当該インデックスに対応するIDに置き代え、受信機30へ送信(転送)する(ステップS14)。置き代え処理は、たとえば信号生成部24によって実行される。中継器20から受信機30へ送信されるペアリングコマンドは、制御コマンドの一種として送信されてもよい。
【0045】
受信機30は、中継器20からのペアリングコマンドを受信すると、記憶部32にペアリングコマンドに含まれるIDを記憶・保持し、ペアリングモードを完了する(ステップS15)。このようにして受信機30にIDが登録される。
【0046】
中継器20は、受信機30へのペアリングコマンドの送信が完了した後、端末40からのコマンドを受け付けた旨(ACK)を応答する(ステップS16)。ACKの応答は、たとえば第2入力部22によって実行される。
【0047】
端末40は、中継器20からのACKを受信し、ペアリング指示を完了する(ステップS17)。このようにして端末40にIDが割り当てられる。
【0048】
以上のようにして、IDを端末40に割り当て(ステップS17)、且つ受信機30にIDを登録して(ステップS15)、ペアリングを行うことができる。ペアリングは、端末40が被制御機器70を制御する前(機器設置時)に少なくとも一度行われればよい。なお、図6の例では、中継器20と受信機30との間の通信が一方向(中継器20→受信機30)の単向通信であると想定し、上記の処理において、端末40へのACKの送信は、受信機30ではなく、中継器20によって実行されるようになっている(ステップS16)。中継器20と受信機30との間の通信が双方向通信の場合には、端末40へのACKが受信機30から送信されてもよい。
【0049】
図7は、端末40が被制御機器70を制御する際に実行される処理の例を示すシーケンス図である。
【0050】
端末40において、制御指示が行われる(ステップS21)。たとえばユーザ操作によって、制御対象の被制御機器70および制御内容が指定される。ユーザ操作による被制御機器70および制御内容の指定の手法は特に限定されないが、たとえば、端末40において、各被制御機器70の名称および制御の種別(遮蔽物を開くまたは閉じる等)をユーザに選択させるための画面を表示させるようにするとよい。各被制御機器70の名称は、ペアリング時に選択されたIDを指定するためのインデックスに対応づけられている。端末40において制御指示が行われると、被制御機器70を制御するための通信信号が中継器20へ送信される(ステップS22)。この通信信号は、先に図4を参照して説明したように、中継器20のアドレス、IDを指定するためのインデックスおよび制御内容を含む。
【0051】
中継器20において、端末40からの通信信号に基づいて制御信号が生成され、受信機30へ送信される(ステップS23)。通信信号は、第2入力部22によって受け付けられる。制御信号は、信号生成部24によって生成される。この制御信号は、先に図4を参照して説明したように、IDおよび制御コマンドを含む。
【0052】
受信機30において、制御信号に含まれるIDが先のステップS15(図6)で記憶部32に記憶されたIDと一致する場合に、中継器20からの制御信号に従って、被制御機器70の制御が実行される(ステップS24)。IDが一致するか否かは、照合部33によって実行される。被制御機器70の制御は、機器制御部34によって実行される。
【0053】
中継器20は、制御信号の送信が完了した後、端末40からの通信信号を受け付けた旨(ACK)を応答する(ステップS25)。ACKは、第2入力部22によって送信される。
【0054】
端末40は、中継器20からのACKを受信し、制御指示を完了する(ステップS26)。
【0055】
以上のようにして、端末40を用いた被制御器の制御が実現される。
【0056】
なお、以上説明した中継システム1(図1)では、中継器20が、送信機10からの制御信号を受信機30へ中継することもできる構成となっていたが、そのような構成を有さない中継システムも考えられる。たとえば図8に示される中継システム1Aは、中継システム1(図1)と比較して、送信機10を含まない点、および中継器20(図1)に代えて中継器20Aを含む点において相違する。中継システム1Aのその他の部分は、中継システム1の対応する部分と同様であるので説明を省略する。図9に示されるように、中継器20Aは、中継器20(図2)と比較して、第1入力部21(図2)を含まない点において相違する。中継器20Aのその他の部分については中継器20の対応する部分と同様であるので説明を省略する。中継器20Aが第1入力部21を含まないので、中継器20Aは、中継器20のように送信機10からの制御信号を受信機30へ中継する必要がない。
【0057】
逆に、中継器20は、次のように説明することもできる。すなわち、中継器20は、中継器20Aと比較して、端末40とは異なる送信機10から被制御機器70を制御するための制御信号を受け付ける第1入力部21をさらに備える。第1入力部21は、第2入力部22とは別の追加の入力部(追加入力部)に相当する。中継器20Aの出力部25は、第1入力部21によって受け付けられた制御信号を受信機30へ無線で送信(中継)する。
【0058】
以上説明した中継器20、20Aでは、記憶部23が、中継器20、20Aに割り当てられ受信機30に登録されるIDを記憶している。そして、端末40からの通信信号に基づき、記憶部23に記憶されているIDを含むように生成された制御信号が、受信機30へ送信される(ステップS23)。このような中継器20、20Aの機能を用いることによって、中継器20、20Aに割り当てられるIDを含む制御信号を、端末40を利用して円滑に送信することができる。さらに、中継器20Aにおいては、送信機10からの制御信号を受信機30へ中継するための処理を行う必要がないので、その分、処理負担が軽減される。中継処理に関する要素(第1入力部21)が不要となる分、小型化、低コスト化を図ることもできる。
【0059】
端末40からの通信信号は、制御内容を指定するための情報を含み(図4の(b))、中継器20、20Aは、端末40からの通信信号と、記憶部23に記憶されているIDとに基づいて、制御信号を生成する信号生成部24をさらに備え、出力部25は、信号生成部24によって生成された制御信号を受信機30へ無線で送信してもよい。これにより、制御内容を指定するための情報を含む通信信号を中継器20、20Aが受け付けるだけで、中継器20、20Aにおいて制御信号が生成され、受信機30へ送信される。したがって、端末40側でIDを取得することなく、当該IDを含む制御信号を、端末40を利用して円滑に送信することができる。
【0060】
記憶部23は、複数のIDを記憶しており(図5)、端末40からの通信信号は、複数のIDのうちの所望のIDを指定するためのインデックス情報を含み(図4の(a))、信号生成部24は、インデックス情報によって指定されたIDを用いて制御信号を生成してもよい。これにより、中継器20、20Aがインデックス情報を含む通信信号を受け付けるだけで、中継器20、20Aにおいて、インデックス情報によって指定されたIDを用いて制御信号が生成され、受信機30へ送信される。したがって、端末40側でインデックス情報によって指定されるIDを取得することなく、当該IDを含む制御信号を、端末40を利用して円滑に送信することができる。
【0061】
中継器20(図2)は、中継器20A(図9)と比較して、端末40とは異なる送信機10から被制御機器70を制御するための制御信号を受け付ける第1入力部21をさらに備え、出力部25は、第1入力部21によって受け付けられた制御信号を受信機30へ送信してもよい。これにより、制御信号を送信可能な専用の送信機10からの信号を受信機30へ無線中継することもできる。
【0062】
第2入力部22は、端末40からの通信信号を、AP50を経由して受け付けることができる。これにより、中継器20は、無線、有線を問わずAP50を利用して端末40からの通信信号を受け取ることができる。
【0063】
通信信号のプロトコル(あるいは変調方式)は、制御信号のプロトコル(あるいは変調方式)とは異なっていてもよい。これにより、IDを含む制御信号を、制御信号のプロトコル(あるいは変調方式)に対応していない端末40を利用して円滑に送信することができる。
【0064】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0065】
上記実施形態では、端末40から中継器20、20A(以下、まとめて中継器20と言う)へ送信される通信信号が、IDを指定するためのインデックスを含む例を説明した。一方、端末40から中継器20へ送信される通信信号が、インデックスに代えてIDを含むように構成されてもよい。このような変形例においては、たとえば、上述のステップS3(図5)において、中継器20が、端末40からの要求に応じて、記憶部23に記憶されているID(たとえばリスト23a)も、端末40へ送信する。ステップS13(図6)において、端末40から中継器20へ送信されるペアリングコマンドが、インデックスに代えてIDを含むように構成される。ステップS22(図7)において、端末40から中継器20へ送信される通信信号が、インデックスに代えてIDを含むように構成される。このように、IDを端末40に取得させることによって、端末40側でIDを含むような信号を通信信号として生成することもできる。この場合、端末40から中継器20に送られる被制御機器70を制御するための通信信号にすでにIDが含まれているので、先に図2を参照して説明したような、中継器20の信号生成部24が記憶部23からインデックス情報に対応するIDを読み出す処理等が不要となり、その分、中継器20における処理負担を軽減することができる。また、中継器20が通信線60上に複数存在する場合において、1台の中継器20が持つIDを他の中継器20を経由しても送信可能となる。1台の中継器20の通信範囲に記憶部23に記憶されたIDの数を超える受信機30がある場合でも、個別に制御することが可能となる。
【符号の説明】
【0066】
1…中継システム、10…送信機、20、20A…中継器、21…第1入力部、22…第2入力部、23…記憶部、24…信号生成部、25…出力部、30…受信機、31…受信部、32…記憶部、33…照合部、34…機器制御部、40…端末、50…AP、60…通信線、70…被制御機器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9