特許第6986634号(P6986634)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986634
(24)【登録日】2021年12月1日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】非線形増幅器の線形化
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/32 20060101AFI20211213BHJP
   H03F 3/24 20060101ALI20211213BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20211213BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   H03F1/32 158
   H03F3/24
   H04B1/04 R
   H04B7/06 982
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-532584(P2020-532584)
(86)(22)【出願日】2017年12月14日
(65)【公表番号】特表2021-507588(P2021-507588A)
(43)【公表日】2021年2月22日
(86)【国際出願番号】SE2017051269
(87)【国際公開番号】WO2019117771
(87)【国際公開日】20190620
【審査請求日】2020年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(72)【発明者】
【氏名】グスタフソン, ユールフ
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】フェイガー, クリスチャン
【審査官】 渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−232866(JP,A)
【文献】 特開2015−050687(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/108228(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0052819(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/32
H03F 3/24
H04B 1/04
H04B 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が非線形増幅器特性に関連した複数の非線形増幅器(331、332、333、334)に関連するプリディストーションパラメータを決定するように構成された線形化装置(380)であって、前記線形化装置は、
前記複数の非線形増幅器と送信観測受信機(370)との間にあり、対応する複数の送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とを介した複数の無線通信経路(391、392、393、394)のチャネル特性を示す複数のチャネル係数を受信するように構成された第1のポート(381)と、ここで、前記送信観測受信機(370)は、前記複数の非線形増幅器によって生成され、前記複数の無線通信経路を介して転送される送信信号の和を受信するように構成されており、
前記送信観測受信機(370)から前記送信信号の和を受信するように構成された第2のポート(382)と、
前記受信された複数のチャネル係数と、前記送信信号の受信された和と、前記非線形増幅器(331、332、333、334)の前記非線形増幅器特性の非線形多項式モデルとに基づいて前記プリディストーションパラメータを決定するように構成された決定回路(383)と、
を有する線形化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の線形化装置であって、前記非線形多項式モデルは、複数の非線形基底関数によって張られた空間内の複数の増幅係数によって表される非線形多項式モデルである、線形化装置。
【請求項3】
請求項2に記載の線形化装置であって、前記非線形基底関数は、i=1,2,...,Pに対してxn(m) |xn(m) |iであり、ここで、xn(m)は、m番目の送信機ブランチの電力増幅器のn番目の入力サンプルを表し、Pは、前記空間の次元の数を表し、前記複数の増幅係数は、i=1,2,...,Pに対してθiである、線形化装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の線形化装置であって、前記線形化装置は、L個の受信アンテナポートを介して前記送信観測受信機により受信された前記送信信号の和のN個のサンプルに基づいて、
前記複数の非線形増幅器の各々に対して、対応する推定チャネル係数を要素として有する列ベクトルと、対応するサンプルに対する対応する非線形増幅器の非線形基底関数を要素として有する回帰行列との間のクロネッカー積を決定することと、
前記複数の非線形増幅器のうちの決定されたクロネッカー積を連結することによって形成される行列の一般化擬似逆行列を計算することと、
前記計算された一般化擬似逆行列と、前記L個の受信アンテナポートのそれぞれからの前記送信信号の和のN個のサンプルを要素として有する列ベクトルとの間の行列積を決定することと、
によって、前記プリディストーションパラメータを決定するように構成される、
線形化装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の線形化装置であって、前記線形化装置は、最小二乗推定を用いて前記プリディストーションパラメータを決定するように構成される、線形化装置。
【請求項6】
無線送信機ノードのためのアレンジメントであって、前記無線送信機ノードは、各々対応する受信アンテナ素子(350、351、352)に接続可能な少なくとも1つの受信アンテナポート(355、356、357)と、複数の送信アンテナポート(345、346、347、348)と、を有し、各送信アンテナポートは、複数の送信アンテナ素子(341、342、343、344)を有するアクティブアンテナアレイの対応する送信アンテナ素子にそれぞれ接続可能であり、各送信アンテナポートは、それぞれ送信機ブランチに関連付けられており、各送信機ブランチは、
非線形増幅器特性に関連付けられており、前記送信機ブランチの信号を増幅するように構成された非線形増幅器(331、332、333、334)と、
プリディストーションパラメータに基づいて前記送信機ブランチの信号をプリディストーションすることによって前記非線形増幅器特性を補償するように構成されたデジタルプリディストーション回路(321、322、323、324)と、を有し、
前記アレンジメントは、
前記少なくとも1つの受信アンテナポートのうちの1つに関連付けられ、前記複数の非線形増幅器によって生成され、前記複数の非線形増幅器と前記送信観測受信機との間にあり、対応する複数の送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とを介した複数の無線通信経路(391、392、393、394)を介して転送される送信信号の和を受信するように構成された送信観測受信機(370)と、
前記複数の無線通信経路のチャネル特性を示す複数のチャネル係数を推定するように構成されたチャネル推定器(360)と、
請求項1から5のいずれか1項に記載された線形化装置(380)であって、前記第1のポートが前記チャネル推定器に接続され、前記第2のポートが前記送信観測受信機に接続され、前記線形化装置が、前記送信機ブランチのデジタルプリディストーション回路に前記決定されたディストーションパラメータを提供するように構成された、線形化装置と、
を有するアレンジメント。
【請求項7】
請求項6に記載のアレンジメントであって、前記少なくとも1つの受信アンテナポートおよびなくとも1つの前記受信アンテナ素子をさらに有する、アレンジメント。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか1項に記載の線形化装置と、請求項67のいずれか1項に記載のアレンジメントと、の少なくとも1つを有する無線送信機ノード。
【請求項9】
請求項1から5のいずれか1項に記載の線形化装置を有するクラウドベースのサーバノードであって、前記クラウドベースのサーバノードは、前記決定されたプリディストーションパラメータを無線送信機ノードに提供するように構成されている、クラウドベースのサーバノード。
【請求項10】
それぞれが非線形増幅器特性に関連した複数の非線形増幅器(331、332、333、334)に関連するプリディストーションパラメータを決定するための線形化装置のための方法であって、前記方法は、
前記線形化装置の第1のポート(381)を介して、前記複数の非線形増幅器と送信観測受信機(370)との間にあり、対応する複数の送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とを介した複数の無線通信経路(391、392、393、394)のチャネル特性を示す複数のチャネル係数を受信すること(410)と、ここで、前記送信観測受信機(370)は、前記複数の非線形増幅器によって生成され、前記複数の無線通信経路を介して転送される送信信号の和を受信するように構成されており、
前記線形化装置の第2のポート(382)を介して、前記送信観測受信機(370)から送信信号の和を受信すること(420)と、
前記受信された複数のチャネル係数、前記送信信号の受信された和、および、前記非線形増幅器(331、332、333、334)の前記非線形増幅器特性の非線形多項式モデルに基づいて、前記プリディストーションパラメータを決定すること(440)とを有する方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記非線形多項式モデルが、複数の非線形基底関数によって張られた空間内の複数の増幅係数によって表される非線形多項式モデルである、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記非線形基底関数は、i=1,2,...,Pに対してxn(m) |xn(m) |iであり、ここで、xn(m)は、m番目の送信機ブランチの電力増幅器のn番目の入力サンプルを表し、Pは、前記空間の次元の数を表し、前記複数の増幅係数は、i=1,2,...,Pに対してθiである、方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載の方法であって、L個の受信アンテナポートを介して前記送信観測受信機によって受信された送信信号の和のN個のサンプルに基づいて前記プリディストーションパラメータを決定することは、
前記複数の非線形増幅器の各々に対して、対応する推定チャネル係数を要素として有する列ベクトルと、対応するサンプルに対する前記非線形増幅器の非線形基底関数を要素として有する回帰行列との間のクロネッカー積を決定することと、
前記複数の非線形増幅器のうちの決定されたクロネッカー積を連結することによって形成される行列の一般化擬似逆行列を計算することと、
前記計算された一般化擬似逆行列と、前記L個の受信アンテナポートのそれぞれからの送信信号の和のN個のサンプルを要素として有する列ベクトルとの間の行列積を決定することと、
を有する、方法。
【請求項14】
請求項10から13のいずれか1項に記載の方法であって、前記プリディストーションパラメータを決定することは、最小二乗推定を使用して実行される、方法。
【請求項15】
請求項10から14のいずれか1項に記載の方法であって、さらに、前記複数のチャネル係数を推定することを有する、方法。
【請求項16】
プログラム命令を含むコンピュータプログラムを有する、非一時的なコンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラムプロダクトであって、前記コンピュータプログラムは、データ処理ユニットにロード可能であり、前記コンピュータプログラムは、前記データ処理ユニットによって実行されると、請求項10から15のいずれか1項に記載の方法を実行させるように構成されている、コンピュータプログラムプロダクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、無線通信の分野に関する。より詳細には、非線形増幅器の線形化に関する。
【背景技術】
【0002】
大型マルチアンテナシステム(例えば、アドバンスドアンテナシステム、AAS)は、例えば、第5世代(5G)システムに関連して、無線通信においてますます適用されている。多数の(潜在的に数十、数百、またはそれ以上の)送信機ブランチを装備した無線送信機ノード(例えば、無線基地局、RBS)は、当該技術分野で知られているように、無線信号処理に関して課題と機会の両方をもたらす。
【0003】
1つの課題は、特に無線信号処理(例えば、デジタルプリディストーション(事前歪み付与)、DPD)に関連する無線送信機ノードの部分に関して、実装の複雑さが増加することである。DPDに関連する実装の1つのコストは、送信観測受信機(TOR)、または複数の送信観測受信機であり、これは電力増幅器の出力の監視およびDPDのための測定データの抽出に使用される。
【0004】
様々なプリディストーションの解決策が、US9,337,886B1、US2013/0094550A1、およびUS2012/0281777A1に記載されている。
【0005】
図1は、各個々の送信機ブランチ(1、b、...、n)が専用のTOR 114a,114b、...,114nによって監視される従来技術による例示的な構成を概略的に示す。各電力増幅器(PA)112a、112b、...、112nの出力は、送信のためにアンテナアレイ120に供給され、それぞれのサーキュレータ116a、116b、...、116nおよびそれぞれの方向性結合器115a、115b、...、115nを使用して、それぞれのTOR 114a、114b、...、114nにフィードバックされる。
【0006】
それぞれTOR 114a、114b、...、114nで受信された信号は、それぞれ対応するパラメータ推定器 113a、113b、...、113nに供給され、これらは、それぞれ対応するPA 112a、112b、...、112nの非線形性を補償することを目的として、それぞれ対応するPA 112a、112b、...、112nに入力される信号のデジタルプリディストーションのためにそれぞれ対応するアクチュエータ111a、111b、...、111nで使用されるパラメータを推定する。
【0007】
図1の解決策は、送信アンテナ素子の数と同様にTOR(複数可)の数が増加するため、送信アンテナ素子の数とそれによる送信機のブランチの数とともにますます複雑さをもたらす。
【0008】
図2は、送信機ブランチ(1、b、...、n)が共用TOR 214によって監視される従来技術による例示的な構成を概略的に示す。
各電力増幅器(PA)212a、212b、...、212nの出力は、送信用のアンテナアレイ220に提供され、それぞれのサーキュレータ216a、216b、...、216nおよびそれぞれの方向性結合器215a、215b、...、215nを用いて、共用TOR 214にフィードバックされる。
【0009】
共有TOR 214によって受信された信号は、パラメータ推定器213に供給され、これは、それぞれのPA 212a、212b、...、212nの非線形性を補償することを目的として、それぞれのPA 212a、212b、...、212nに入力される信号のデジタルプリディストーションのために、それぞれのアクチュエータ211a、211b、...、211nによって使用されるべきパラメータを推定する。
【0010】
送信機ブランチ間でのTOR 214の共有は、ソフトウェア制御で切替可能なネットワーク210、217によって、または任意の他の適切なアプローチによって達成され得る。
【0011】
また、図2の解決策は、送信アンテナ素子の数が増えるにつれて複雑になり、それによって送信機のブランチの数が増える。これは、共用(例えば、ソフトウェア制御される切り替え可能なネットワーク)がますます複雑になるからである。
【0012】
典型的には、従来の解決策は、個々の送信機ブランチが、(図1に示すような)専用TORか、または、(図2に示すような)スイッチおよび損失のある分配ネットワークを介して他の送信機ブランチと共有されるTORによって監視されるような、アプローチを実装する。いずれの場合も、実装は、アクティブなハードウェアおよび信号のルーティングおよび分配に関してコストがかかり、これは、送信機ブランチの数が増加するつれて(すなわち、送信アンテナ素子の数が増加するにつれて)ますます煩わしくなる。
【0013】
したがって、従来技術のプリディストーション(DPD)アプローチは、TORの数に関して、および/またはTOR共有のための切替可能ネットワークのサイズに関して、複雑さの問題を抱えている。さらに、図1および図2のアプローチは、いずれも、送信機ブランチごとに個々の方向性結合器を必要とし、これは、典型的には、実装のサイズおよびコストの両方を増大させ、追加の損失をもたらす。
【0014】
したがって、非線形増幅器の線形化に対する新規で代替的なアプローチが必要とされている。好ましくは、大型アンテナアレイに適用される場合、従来技術の解決策よりも複雑でないアプローチが必要とされている。
【発明の概要】
【0015】
本明細書で使用される場合、「有する(comprises)/有している(comprising)」という用語は、述べられた特徴、数、ステップ、または構成要素の存在を指定するために採用されるが、1つまたは複数の他の特徴、数、ステップ、構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことを強調されるべきであり、本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される。
【0016】
いくつかの実施形態の目的は、上記または他の欠点の少なくともいくつかを解決または軽減、低減、または排除することである。
【0017】
第1の態様によれば、これは、各々が非線形増幅器特性に関連する複数の非線形増幅器に関連するプリディストーション(事前歪み)パラメータを決定するように構成された線形化装置によって達成される。線形化装置は、第1のポートと、第2のポートと、決定回路とを有する。第1のポートは、複数の非線形増幅器と送信観測受信機との間の複数の通信経路のチャネル特性を示す複数のチャネル係数を受信するように構成されている。送信観測受信機は、複数の非線形増幅器によって生成され、複数の通信経路を介して転送される送信信号の和を受信するように構成される。第2のポートは、送信観測受信機から送信信号の和を受信するように構成される。
【0018】
決定回路は、受信した複数のチャネル係数、送信信号の受信和、および当該非線形増幅器の非線形増幅器特性のモデルに基づいて、プリディストーションパラメータを決定するように構成される。
【0019】
いくつかの実施形態で、当該モデルは、複数の非線形基底関数によって張られた空間内の複数の増幅係数によって表される非線形多項式モデルであってもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、非線形基底関数は、i=1,2,...,Pの場合、xn(m)| xn(m) |iであってもよく、ここで、xn(m)は、m番目の送信アンテナ経路の電力増幅器のn番目の入力サンプルを表し、Pは、空間の次元の数を表し、複数の増幅係数は、i=1,2,...,Pの場合、θiである。したがって、非線形基底関数は多項式性質のものであってもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、線形化装置は、対応する推定チャネル係数を要素として有する列ベクトルと、対応するサンプルについての対応する非線形増幅器の非線形基底関数(またはその異なる置換)を要素として有する回帰行列との間のクロネッカー積を(複数の非線形増幅器のそれぞれについて)決定し、複数の非線形増幅器について決定されたクロネッカー積を連結することによって形成された行列の一般化擬似逆行列を計算し、計算された一般化擬似逆行列と、L個の受信アンテナポートのそれぞれからの送信信号の和についてのN個のサンプルを要素として有する列ベクトルとの間の行列積を決定することによって、L個の受信アンテナポートを介して送信観測受信機によって受信された送信信号の和についてのN個のサンプルに基づいてプリディストーションパラメータを決定するように構成され得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、複数の通信経路は、対応する複数の送信アンテナ素子および受信アンテナ素子を介した、複数の非線形増幅器と送信観測受信機との間の無線通信経路であってもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、線形化装置は、最小二乗推定を使用して、プリディストーションパラメータを決定するように構成されてもよい。
【0024】
第2の態様は、無線送信機ノードのためのアレンジメント(構成物)であり、無線送信機ノードは、少なくとも1つの受信アンテナポートを備え、各々は、対応する受信アンテナ素子に接続可能であり、複数の送信アンテナポートを備え、各々は、複数の送信アンテナ素子を有するアクティブアンテナアレイの対応する送信アンテナ素子に接続可能である。
【0025】
各送信アンテナポートは、それぞれの送信機ブランチに関連付けられ、各送信機ブランチは、非線形増幅器特性に関連付けられ、送信機ブランチの信号を増幅するように構成された非線形増幅器と、プリディストーションパラメータに基づいて送信機ブランチの信号を事前に歪ませることによって非線形増幅器特性を補償するように構成されたデジタルプリディストーション回路とを有する。
【0026】
このアレンジメントは、少なくとも1つの受信アンテナポートのうちの1つに関連付けられ、複数の非線形増幅器によって生成され、複数の非線形増幅器と送信観測受信機との間の複数の通信経路を介して転送される送信信号の和を受信するように構成された送信観測受信機を有する。
【0027】
このアレンジメントは、また、複数の通信経路のチャネル特性を示す複数のチャネル係数を推定するように構成されたチャネル推定器を含む。
【0028】
アレンジメントは、さらに、第1の態様のいずれかの線形化装置を含み、第1のポートがチャネル推定器に接続され、第2のポートが送信観測受信機に接続され、線形化装置が、決定されたプリディストーションパラメータを、送信機ブランチのデジタルプリディストーション回路に提供するように構成される。
【0029】
いくつかの実施形態では、当該アレンジメントは、少なくとも1つの受信アンテナポートと、少なくとも1つの受信アンテナ素子と、複数の送信アンテナポートと、アクティブアンテナアレイと、送信機ブランチとをさらに有することができる。
【0030】
第3の態様は、第1の態様の線形化装置および第2の態様の構成のうちの少なくとも1つを有している無線送信機ノードである。
【0031】
第4の態様は、第1の態様の線形化装置を備えるクラウドベースのサーバノードであり、クラウドベースのサーバノードは、無線送信機ノードに、決定されたプリディストーションパラメータを提供するように構成される。
【0032】
第5の態様は、各々が非線形増幅器特性を関連付けられている複数の非線形増幅器に関連したプリディストーションパラメータを決定するための線形化装置のための方法である。
【0033】
本方法は、(前記線形化装置の第1のポートを介して)複数の非線形増幅器と送信観測受信機との間の複数の通信経路のチャネル特性を示す複数のチャネル係数を受信するステップを含み、送信観測受信機は、複数の非線形増幅器によって生成され、複数の通信経路を介して転送される送信信号の和を受信するように構成される。典型的には、チャネル係数は、チャネル係数を推定したチャネル推定器から受信されてもよい。
【0034】
本方法はまた、(線形化装置の第2のポートを介して)送信観測受信機からの送信信号の和を受信するステップと、受信した複数のチャネル係数、受信された送信信号の和、および非線形増幅器の非線形増幅器特性のモデルに基づいて、プリディストーションパラメータを決定するステップとを有する。
【0035】
第6の態様は、プログラム命令を含むコンピュータプログラムを有する、一時的でないコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラムプロダクトである。
コンピュータプログラムは、データプロセッシング(処理)ユニットにロード可能であり、コンピュータプログラムがデータ処理ユニットによって実行されるときに、第5の態様による方法を実行させるように構成される。
【0036】
いくつかの実施形態では、上記の態様のいずれかは、さらに、他の態様のいずれかについて上記で説明された様々な特徴のいずれかと同一または対応する特徴を有することができる。
【0037】
いくつかの実施形態の利点は、特に送信アンテナ素子の数を増加させるために、従来技術によるアプローチよりも、複雑さを低減することが達成され得ることである。複雑さは、例えば、TORの数、スイッチングネットワークの複雑さ(例えば、サイズ)、および方向性結合器の数、のうちの1つまたは複数に関して定義されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
さらなる目的、特徴、および利点は、添付の図面を参照して、以下の実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、例示的な実施形態を示すことに重点が置かれている。
図1】は、従来技術による例示的な構成を示す概略ブロック図である。
図2】は、従来技術による例示的な構成を示す概略ブロック図である。
図3】は、いくつかの実施形態による例示的な構成を示す概略ブロック図である。
図4】は、いくつかの実施形態による例示的な方法ステップを示すフローチャートである。
図5】は、いくつかの実施形態による例示的なコンピュータ可読媒体を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
既に上述されたように、本明細書で使用される場合、「有する/有している」という用語は、述べられた特徴、数、ステップ、または構成要素の存在を指定するために採用されるが、1つまたは複数の他の特徴、数、ステップ、構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことを強調すべきであり、本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される。
【0040】
以下、添付図面を参照して、本開示の実施形態をより詳細に説明し、例示する。しかしながら、本明細書に開示された解決策は、多くの異なる形態で実現することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。
【0041】
以下では、単一のTORが、方向性結合器またはスイッチングネットワークを必要とせずに、複数の送信機ブランチのためのプリディストーションパラメータの決定に関連して使用可能である実施形態について説明される。
【0042】
これは、送信信号の和の(同時並行的)観測によって達成され、ここで、当該和における各送信信号は、複数の非線形増幅器のうちの対応する1つによって生成され、非線形増幅器と送信観測受信機との間の通信経路を介して転送される。複数の非線形増幅器と送信観測受信機との間の複数の通信経路のチャネル特性を示すチャネル係数は、任意の適切な方法によって推定されてもよく、あるいは、既知の値であってもよい。
【0043】
次に、プリディストーションパラメータが、チャネル係数、送信信号の受信和、および非線形増幅器の非線形増幅器特性のモデルに基づいて、複数の送信機ブランチについて決定される。
【0044】
図3は、いくつかの実施形態による無線送信機ノードのための例示的なアレンジメント300を概略的に示す。無線送信機ノードは、それぞれ対応する受信アンテナ素子350、351、352に接続可能な少なくとも1つの受信アンテナポート355、356、357と、送信アンテナポート345、346、347、348の複数(図示のために図3では4つとして例示)とを備え、それぞれが複数の送信アンテナ素子341、342、343、344を有するアクティブアンテナアレイの対応する送信アンテナ素子に接続可能である。
【0045】
各送信アンテナポートは、それぞれの送信機ブランチに関連付けられ、各送信機ブランチは、非線形増幅器特性に関連付けられ、送信機ブランチの信号を増幅するように構成された非線形電力増幅器(PA)331、332、333、334を有する。各送信機ブランチはまた、プリディストーションパラメータに基づいて送信機ブランチの信号を事前に歪ませることによって非線形増幅器特性を補償するように構成されたデジタルプリディストーション回路(DPD)321、322、323、324を有する。
【0046】
プリディストーション回路は、例えば、図3に図示されるように、送信機ブランチのそれぞれに対してそれぞれのプリディストーション回路、または送信機ブランチのすべてに対して共有される共通のプリディストーション回路を有してもよい。
【0047】
送信されるべき信号は、任意の適切なアプローチにしたがって、送信プリコーダ(TPC)310により、各送信機ブランチによって送信されるべき各信号に分割される。
伝送される信号は、広範囲の信号特性(例えば、異なる振幅および/または異なる周波数)を含むことが好ましい場合があり、その理由は、そのような多様な信号特性が、非線形増幅器の適切な線形化を提供するからである。
【0048】
必ずしもそうである必要はないが、典型的には、アレンジメント(構成)300は、送信機ブランチとは異なるハードウェアユニット内に実装される。
【0049】
アレンジメント300は、少なくとも1つの受信アンテナポート355、356、357のうちの1つに関連付けられ、複数の非線形増幅器によって生成され、複数の通信経路391、392、393、394(例えば、無線通信経路)を介して複数の非線形増幅器と送信観測受信機との間で転送される送信信号の和を受信するように構成された送信観測受信機(TOR)370を有する。
【0050】
典型的には、このアレンジメントは、受信アンテナポートの各々に関連付けられた単一の送信観測受信機(TOR)370を有する。これは、受信アンテナポートが1つしかない場合に特に関連するが、いくつかの受信アンテナポートがある場合にも関連することがあり、その場合には、単一のTORをいくつかの受信アンテナポートに関連付けることができる。あるいは、いくつかの受信アンテナポートがある場合には、当該アレンジメントは、各々が受信アンテナポートの単一のものと関連しているいくつかのTOR(複数可)を有することができる。他の組み合わせも考えられる。例えば、複数のTORおよびより多くの複数の受信アンテナポートとの組み合わせが考えられ、この場合、各TORは、受信アンテナポートのサブセットに関連付けられる。
【0051】
したがって、無線送信機ノードは、単一の受信アンテナポート又は複数の受信アンテナポート(例えば、搭載される送信アンテナポートの数と同数の受信アンテナポート)を有することができる。典型的には、本明細書に記載される線形化プロセスの収束時間は、受信アンテナポートの数が増加するにつれて減少する。しかしながら、適切な線形化を提供するためには、単一の受信アンテナポートで十分であることに留意されたい。
【0052】
また、アレンジメント300は、複数の通信経路のチャネル特性を示す複数のチャネル係数を推定するように構成されたチャネル推定器(CE)360を有する。
【0053】
様々な実施形態では、このアレンジメントはまた、少なくとも1つの受信アンテナポート355、356、357と、少なくとも1つの受信アンテナ素子350、351、352と、複数の送信アンテナポート345、345、347、348と、送信アンテナ素子341、342、343、344を有するアクティブアンテナアレイと、送信機ブランチとのうちのいくつかまたはすべてを有することができる。
【0054】
また、アレンジメント300は、線形化装置(LIN;例えば、線形化回路)380を含む。線形化装置380は、デジタルプリディストーション回路321、322、323、324によって使用されるべき非線形増幅器331、332、333、334に関連するプリディストーションパラメータを決定するように構成される。この目的のために、線形化装置は、第1のポート381、第2のポート382、および決定回路(DET)383を備える。
【0055】
一般に、線形化装置が本明細書で言及される場合、線形化装置は、無線システム中の1つまたは複数の非線形要素によって導入される信号中の歪みを補償するように構成されるデバイスとして定義され得る。非線形要素とは、構成要素への入力に対して線形関数とはならない出力を持つ構成要素である。非線形要素の一例は、図3に関連して論じられた電力増幅器のような非線形電力増幅器である。
【0056】
第1のポート381は、複数の非線形増幅器と送信観測受信機370との間にある、複数の通信経路391、392、393、394のチャネル特性を示す複数のチャネル係数を受信するように構成される。図3の実施形態では、チャネル係数は、チャネル推定器360から受信される。
【0057】
第2のポート382は、送信観測受信機370からの送信信号の和を受信するように構成され、決定回路383は、受信された複数のチャネル係数、送信信号の受信和、および非線形増幅器の非線形増幅器特性のモデルに基づいて、プリディストーションパラメータを判定するように構成される。
【0058】
一般に、チャネル係数が本明細書で言及される場合、チャネル係数は、任意の適切な、既知の、または将来の手法にしたがって定義され得る。例えば、各チャネル係数は、送信信号と特定の時間に受信される対応する信号の一部との間の差(振幅および位相に関して)を記述する複素値を参照することができ、ここで、異なるチャネル係数は、例えば、この場合の複数の非線形増幅器と送信観測受信機370との間にある複数の通信経路391、392、393、394のモデルであるマルチパスチャネルモデルを記述するために、異なる特定の時間を参照する。したがって、本明細書で言及されるチャネル推定は、アクセス目的(典型的には、チャネル推定のためのケースである)ではなく、複数の非線形増幅器と送信観測受信機370との間にある複数の通信経路391、392、393、394を含むチャネルについての推定である。
【0059】
図3の実施形態では、第1のポート381はチャネル推定器に接続され、第2のポート382は送信観測受信機に接続される。線形化装置は、図3の384によって示されるように、決定されたプリディストーションパラメータを送信機ブランチのデジタルプリディストーション回路に供給するように構成される。
【0060】
図3において、線形化装置380(およびアレンジメント300)は、無線送信機ノードで構成されるものとして図示されている。他の実施形態では、線形化装置380は、別のノード、例えばクラウドベースのサーバノードに含まれてもよいことに留意されたい。そのような実施形態では、他方のノードは、決定されたディストーションパラメータを、無線送信機ノードの中で適用するために、当該無線送信機ノードに提供するように構成されてもよい。
【0061】
代替的に又は追加的に、チャネル推定器360は、無線送信機ノードとは別のノードに含まれてもよい(この別のノードは、線形化装置を含むノードと同じであっても異なっていてもよい)。そのような実施形態では、チャネル推定器を備えるノードは、線形化装置を備える当該ノードに当該ノードの中で適用するためにチャネル係数を提供するように構成され得る。実際、チャネル係数は、いくつかの実施形態によれば、チャネル推定器によって提供されることさえなくてもよいが、他の何らかの方法(例えば、事前に知られている値)で取得されてもよい。
【0062】
線形化装置によるプリディストーションパラメータの決定を以下に例示する。この文脈において、いくつかの実施形態は、送信信号の和からプリディストーションパラメータを決定することが可能であるアプローチを提供することに留意されたい。すなわち、各送信機ブランチの個々の送信信号を分離することは必要でないが、これが可能であってもよい。
【0063】
次のプリディストーションパラメータの決定例では、それぞれが非線形増幅器を有するM個の送信機ブランチがあり、インデックスmが関連する送信機ブランチおよび増幅器を識別するものと仮定する。
【0064】
m番目の増幅器からの出力は、非線形増幅器の瞬時入出力関係を記述する非線形多項式モデルを用いてモデル化することができる。メモリが無い場合、この関係は
【0065】
【数1】
【0066】
と表すことができる。ここで、xn(m)はサンプルnに対するm番目の増幅器の入力を示し、yn(m)はサンプルnに対するm番目の増幅器の出力を示し、f( )は入出力関係を示し、θi(m)はm番目の増幅器に対する多項式モデルにおけるi番目の係数を示す。上記の式は、以下のように行列ベクトル形式で書くことができる: y(m)=G(m)θ(m)、ここで、y(m)=[y1(m) ...yN(m)Tおよびθ(m)=[θ1(m) ...θP(m)T。ただし、N個のサンプルを考慮する場合、G(m)はm番目の増幅器の回帰行列である(多くの場合、回帰行列はすべての増幅器について等しいと考えることができる)。
【0067】
【数2】
【0068】
回帰行列は、非線形増幅器特性の非線形多項式モデルを表す。当該モデルは、複数の非線形基底関数(各サンプルについて、回帰行列の行によって表される)によってスパンされた(張られた)空間内の複数の増幅係数θi(m)によって表される。したがって、非線形基底関数は、i=1,2,...,Pに対して、xn(m) |xn(m) |iである。ここで、xn(m)は、m番目の送信機ブランチの電力増幅器のn番目の入力サンプルを表し、Pは、空間の次元の数を表し、複数の増幅係数は、i=1,2,...,Pに対してθi(m)である。
【0069】
一般化システムモデル(図3と比較)を用いて、L個の測定受信機(すなわちL個の受信機アンテナポート)とM個の送信機を用いて、長さNの測定ベクトルを次のように書くことができる。
【0070】
【数3】
【0071】
ここで、r(l)=[(r1(l) ...rN(l)Tは、l番目の受信アンテナポートで受信されたN個のサンプルのベクトルであり、h(m)=[h(m,1) ...h(m,L)Tは、m番目の送信機ブランチに関連する測定チャネルベクトルであり、(×)は、クロネッカー積である。
【0072】
したがって、rは、L個の受信アンテナポートを介して送信観測受信機によって受信された送信信号の和のN個のサンプルを表し、h(m) (×) G(m)は、(m番目の増幅器について)対応する推定チャネル係数を要素として有する列ベクトルと回帰行列との間のクロネッカー積を表し、各行は、要素として、対応するサンプルについての対応する非線形増幅器の非線形基底関数を有し、[(h(1) (×) G(1) ...h(M) (×) G(M)]は、複数の非線形増幅器のクロネッカー積を連結することによって形成される行列を表す。
【0073】
上記の式から、サンプル数Nを増加させることは、受信機アンテナポートの数Lを増加させることと同じ結果をもたらし、逆もまた同様であることに留意されたい。チャネルの推定値h(m)が与えられると、MP×1係数ベクトルの最小二乗推定値ΘLSは、以下のように計算することができる。
【0074】
【数4】
【0075】
ここで[ ]は一般化された擬似反転を表す。上記は、[(h(1) (×) G(1) ...h(M) (×) G(M)]の一般化擬似逆行列と、L個の受信アンテナポートを介して送信観測受信機によって受信された送信信号の和のN個のサンプルを要素として有する列ベクトルrとの間の行列積を決定することを表す。
【0076】
非線形増幅器の特性がすべての増幅器で同一である(つまり、モデル内の係数ベクトルが同じである)と仮定すると、上記の式は次のように減少する。
【0077】
【数5】
【0078】
ここで、IP はP×P の単位行列である。また、この係数ベクトルは、θ(m)=ΘLSを設定することで、非線形増幅器の特性がすべての増幅器で同一でない場合の初期値として役立ち、収束を早め、初期計算量を削減する可能性がある。
【0079】
各増幅器に対する係数ベクトルが上記のように推定されると、非線形増幅器特性のモデルは完成し、デジタルプリディストーションパラメータは、任意の適切なアプローチを用いて決定され得る。このようなアプローチの例には、MILA(P. Landin氏、A. Mayer氏、and T. Eriksson氏、「MILA-A Noise Mitigation Technique for RF Power Amplifier Linearization(RF電力増幅器の線形化のためのノイズ低減技術)」, International Multi-Conference on Systems, Signals & Devices(システム、信号およびデバイスについての国際複合会議), Conference on Communication & Signal Processing(通信および信号処理についての会議), 2014年に記載されているモデルベースの間接学習アルゴリズム)、および、他のDLA (Direct Learning Algorithm:直接学習アルゴリズム)を基礎とした方法(これはモデル逆変換を含みうる)を含む。
【0080】
典型的には、係数ベクトルは、比較的に安定しており、比較的めったに更新することができないが、プリディストーションパラメータは、比較的頻繁に決定される必要がある場合がある。典型的には、プリディストーションパラメータを決定するプロセスは、反復的な方法で連続的に実行されてもよく、係数ベクトルは、トリガーイベント(例えば、チャネルが変化したことの検出、一定の時間間隔、DPDが何らかの性能要件を満たさないことの検出など)に応答して更新されてもよい。
【0081】
図4は、いくつかの実施形態による例示的な方法400を示す。例示的な方法は、例えば、図3に関連して説明されて、例示されたような、線形化装置380またはアレンジメント300によって実行されてもよく、図3と関連して説明される任意の特徴は、様々な実施形態による例示的な方法400に等しく適用可能であってもよい。
【0082】
例示的な方法400は、各々が非線形増幅器特性に関連する複数の非線形増幅器に関連するプリディストーションパラメータを決定するためのものである。
【0083】
ステップ410では、(例えば、線形化装置の第1のポートを介して)複数のチャネル係数が受信される。複数のチャネル係数は、複数の非線形増幅器と送信観測受信機との間にある複数の通信経路のチャネル特性を示すものであり、送信観測受信機は、複数の非線形増幅器によって生成され、複数の通信経路を介して転送される送信信号の和を受信するように構成される。
【0084】
ステップ420では、送信観測受信機から(例えば、線形化装置の第2のポートを介して)送信信号の和が受信される。
【0085】
ステップ440では、受信された複数のチャネル係数、送信信号の受信和、および非線形増幅器についての非線形増幅器特性のモデルに基づいて、プリディストーションパラメータが決定される。
【0086】
ここに記載された実施形態およびそれらの均等物は、ソフトウェアまたはハードウェア、あるいはそれらの組み合わせで実現されてもよい。実施形態は、汎用回路によって実行されてもよい。汎用回路の例としては、ディジタル信号プロセッサ(DSP)、中央演算処理装置(CPU)、コプロセッサユニット、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)および他のプログラマブルハードウェアが挙げられる。代替的に又は追加的に、実施形態は、特定用途向け集積回路(ASIC)のような特殊化された回路によって実行されてもよい。汎用回路および/または専用回路は、例えば、無線送信機ノード(例えば、ネットワークノード)またはクラウドベースのサーバノードなどの機器に関連付けられてもよく、または含まれてもよい。
【0087】
実施形態は、本明細書で説明される実施形態のいずれかによるアレンジメント(構成)、回路、および/またはロジックを備える電子機器(無線送信機ノードまたはクラウドベースサーバノードなど)内に現れ得る。代替的にまたは追加的に、電子機器(無線送信機ノードまたはクラウドベースサーバノードなど)は、本明細書で説明される実施形態のいずれかによる方法を実行するように構成され得る。
【0088】
いくつかの実施形態によれば、コンピュータプログラムプロダクトは、例えば、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)メモリ、プラグインカード、組み込みドライブまたは読み出し専用メモリ(ROM)などのコンピュータ可読媒体を有する。図5は、コンパクトディスク(CD)ROM 500の形態のコンピュータ可読媒体の一例を示す。コンピュータ可読媒体は、プログラム命令を含むコンピュータプログラムをそこに記憶している。コンピュータプログラムは、データプロセッサ(PROC)520にロード可能であり、データプロセッサは、例えば、無線送信機ノードまたはクラウドベースのサーバノードに含まれていてもよい。データ処理ユニットにロードされると、コンピュータプログラムは、データ処理ユニットに関連するかまたはそこに含まれるメモリ (MEM) 530に記憶されてもよい。いくつかの実施形態によれば、コンピュータプログラムは、データ処理ユニットにロードされ、データ処理ユニットによって実行されると、例えば、図4に示された方法または本明細書で説明された方法にしたがって、方法ステップの実行を引き起こすことができる。
【0089】
一般に、本明細書で使用されるすべての用語は、異なる意味が明確に与えられ、かつ/またはそれが使用される文脈から暗示されない限り、関連する技術分野におけるそれらの通常の意味にしたがって解釈されるべきである。
【0090】
本明細書では、様々な実施形態を参照した。しかしながら、当業者は、依然として特許請求の範囲内に含まれる、記載された実施形態に対する多数の変形を認識するであろう。
【0091】
例えば、本明細書で説明される方法の実施形態は、特定の順序で実行されるステップによる例示的な方法を開示する。しかしながら、これらの一連の事象は、特許請求の範囲から逸脱することなく、別の順序で起こり得ることを認識されるであろう。さらに、いくつかの方法ステップは、それらが順番に実行されるものとして説明されているにもかかわらず、並列に実行されてもよい。したがって、本明細書で開示される任意の方法のステップは、ステップが別のステップの後または前として明示的に記載されていない限り、および/またはステップが別のステップの後または前になければならないことが暗黙的である場合、開示される正確な順序で実行される必要はない。
【0092】
同様に、実施形態の説明において、機能ブロックを特定のユニットに分割することは、決して限定を意図するものではないことに留意されたい。反対に、これらの分割は単なる例である。1つのユニットとして本明細書で説明される機能ブロックは、2つ以上のユニットに分割され得る。さらに、2つ以上のユニットとして実装されるものとして本明細書で説明される機能ブロックは、より少ない(例えば、単一の)ユニットにマージされてもよい。
【0093】
本明細書に開示される実施形態のいずれかの任意の特徴は、適切な場合には、任意の他の実施形態に適用されてもよい。同様に、任意の実施形態の任意の利点は、任意の他の実施形態に適用することができ、その逆も同様である。
【0094】
したがって、記載された実施形態の詳細は、単に説明の目的のために提示された例であり、特許請求の範囲内に入るすべての変形が、特許請求の範囲に包含されることが意図されることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5