(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6986654
(24)【登録日】2021年12月1日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】機械学習及び画像処理アルゴリズムを用いて医用画像の血管を自動的にセグメンテーションする方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20211213BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20211213BHJP
G06T 7/11 20170101ALI20211213BHJP
【FI】
A61B6/03 360J
G06T7/00 350C
G06T7/00 614
G06T7/11
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2021-512715(P2021-512715)
(86)(22)【出願日】2019年9月5日
(86)【国際出願番号】KR2019011438
(87)【国際公開番号】WO2020050635
(87)【国際公開日】20200312
【審査請求日】2021年3月5日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0105726
(32)【優先日】2018年9月5日
(33)【優先権主張国】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520478622
【氏名又は名称】エーアイ メディック インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】チョ ハンヨン
(72)【発明者】
【氏名】クォン スンスン
(72)【発明者】
【氏名】チョ ウサン
【審査官】
遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−98195(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/159379(WO,A1)
【文献】
Xiaoming LIU et al.,Automatic Organ Segmentation for CT Scans Based on Super-Pixel and Convolutional Neural Networks,Journal of Digital Imaging,2018年04月,Manuscript Number:JDIM-D-17-00244R1
【文献】
Huiyan JIANG et al.,A Region Growing Vessel Segmentation Algorithm Based on Spectrum Information,Conputational and Mathematical Methods in Medicine,2013年11月,Vol. 2013 Article ID 743870,1-9
【文献】
Weii-Chih HUNG et al.,Adversarial Learning for Semi-Supervised Semantic Segmentation,aeXiv.org,2018年07月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14、5/055
G06T 1/00−1/40、3/00−5/50,7/00−7/90、9/00−9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを利用して患者の3次元医用画像データを3次元形状血管データにセグメンテーションする方法であって、
患者の3次元医用画像データの入力を受けるステップと、
3次元形状血管データを生成するように機械学習されたセグメンテーションプログラムを用いて、前記入力された3次元医用画像データから3次元形状の機械−学習血管データを生成するステップと、
画像処理セグメンテーションプログラムを用いて、前記入力された3次元医用画像データと前記生成された3次元形状の機械−学習血管データから補正された3次元形状血管データを生成するステップと、を含み、
前記3次元形状の機械−学習血管データは、血管領域ではない少なくとも一つのノイズデータセット、及び血管領域が欠落したデータセットで構成され、
前記画像処理セグメンテーションプログラムは、入力された3次元医用画像データと生成された3次元形状の機械−学習血管データとを比較して、入力された3次元医用画像データの血管領域データの座標をマッチングするステップと、マッチングされた血管領域データをシードとして用いて、入力された3次元医用画像データを処理して3次元形状の機械−学習血管データの欠落血管領域を連結するステップと、連結された血管セグメンテーションデータのボリュームを計算するステップと、前記計算されたボリュームが所定の値以下である血管領域のデータをノイズとして除去して、補正された3次元形状血管データを生成するステップと、を含む、3次元形状血管データを自動的にセグメンテーションする方法。
【請求項2】
前記機械学習されたセグメンテーションプログラムはFCNアルゴリズムを含む、請求項1に記載の3次元形状血管データを自動的にセグメンテーションする方法。
【請求項3】
前記機械学習されたセグメンテーションプログラムのFCNアルゴリズムは、
3次元医用画像のアキシアル方向スライスイメージをそれぞれビットマップイメージに変換し、それぞれの変換されたビットマップイメージの血管領域をラベリングし、それぞれのラベリングされたビットマップイメージを学習データとして活用するためにマスクイメージに変換し、前記変換されたビットマップイメージとマスクイメージとを1対にして学習されたFCNアルゴリズムである、請求項2に記載の3次元形状血管データを自動的にセグメンテーションする方法。
【請求項4】
前記機械学習されたセグメンテーションプログラムはGANアルゴリズムをさらに含む、請求項3に記載の3次元形状血管データを自動的にセグメンテーションする方法。
【請求項5】
前記画像処理セグメンテーションプログラムの欠落血管領域を連結するステップは、マッチングされた血管領域データをシードとして用いて、3次元医用画像データを領域成長アルゴリズム(Region Growing Algorithm)で処理して3次元形状の機械−学習血管データの欠落血管領域を連結するように構成された、 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の3次元形状血管データを自動的にセグメンテーションする方法。
【請求項6】
患者の3次元医用画像データを自動的に3次元形状血管データにセグメンテーションするコンピュータシステムであって、
前記コンピュータシステムは、プロセッサとメモリを含み、前記メモリは、前記プロセッサで実行されるためのアプリケーションプログラムを含み、
前記アプリケーションプログラムは、機械学習セグメンテーションプログラムと画像処理セグメンテーションプログラムを含み、
前記機械学習セグメンテーションプログラムは、入力された患者の3次元医用画像データを処理して、血管領域ではない少なくとも一つのノイズデータセットと血管領域が欠落したデータセットを含む3次元形状の機械−学習血管データを生成するように構成され、
前記画像処理セグメンテーションプログラムは、前記入力された3次元医用画像データと前記生成された3次元形状機械−学習血管データとを比較して、入力された3次元医用画像データの血管領域データの座標をマッチングし、マッチングされた血管領域データの座標をシードとして用いて3次元医用画像データを処理して3次元形状の機械−学習血管データの欠落血管領域を連結し、連結された血管セグメンテーションデータのボリュームを計算し、前記計算されたボリュームが所定の値以下である血管領域のデータをノイズとして除去して、補正された3次元形状血管データを生成するように構成されたことを特徴とする、患者の3次元医用画像データを自動的に3次元形状血管データにセグメンテーションするためのコンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像データから血管を自動的にセグメンテーションする方法及びシステムに関する。より詳細には、機械学習と画像処理アルゴリズムを用いて医用画像の血管を自動的にセグメンテーションする方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
3次元医用画像データは、患者の血管や骨などのさまざまな人体部分についての情報を含んでいる。血管に異常がある患者の診断及び治療を行うために、3次元医用画像データから血管を抽出してセグメンテーション(Segmentation)する作業が必要である。現在、医療現場で3次元医用画像データを解析して血管を抽出及びセグメンテーションする作業は、ほとんど手作業で行われている。血管のセグメンテーションを手作業で行う場合、血管のセグメンテーションに多くの時間がかかり、作業者(医師又は技術者)のミスによる血管セグメンテーションエラーが発生するおそれがあり、同じ3次元医用画像に対して作業者ごとに同じ結果を得るための標準化が難しいという問題点がある。
【0003】
3次元医用画像データから作業者の介入なしに血管を自動的に検出し、セグメンテーションして3次元形状データに再構成する技術は、血管に関連する疾患の診断、治療及びモニタリングをより迅速かつ正確に行うことができる。
【0004】
例えば、非特許文献1には、患者の心臓CT画像から冠状動脈の3次元形状を構成し、3次元形状の冠状動脈に対して血流力学シミュレーションを行って非侵襲的にFFR数値を予測し、冠状動脈疾患を診断する技術(CT−FFR技術)が開示されている。もし心臓CT画像から冠状動脈を自動的に検出し、セグメンテーションすることができる場合には、CT画像を持って冠状動脈の狭窄による疾患の診断をより迅速かつ正確に行うことができる。また、特許文献1には、医用画像から脳血管の3次元形状を構成し、流体構造相互作用モデリング(FSI、Fluid Structure Interaction Modeling)とシミュレーションを行って脳血管の機能を予測するための技術が開示されている。もし脳を撮影した3次元画像から脳血管の3次元形状を自動的に検出し、セグメンテーションすることができる場合には、脳血管に対する解剖学的状態を迅速に把握して診断に活用することができるだけでなく、脳血管に対するシミュレーションを迅速かつ正確に行って脳血管の血流の圧力及び速度を予測し、脳血管に対する状態を機能的に把握し、診断に活用することができる。
【0005】
最近、機械学習(Machine Learning)を用いた血管のセグメンテーション技術が開発されている。特許文献2には、血管方向テンソルクラシファイア学習(trained vessel orientation tensor classifier)を用いてボクセルから血管をセグメンテーションする技術が開示されている。また、機械学習を用いて血管をセグメンテーションする技術については、非特許文献2〜4に開示されている。また、特許文献3には、ユーザーが介入して3次元医用画像データから自動的に血管をセグメンテーションする技術が開示されている。
【0006】
本発明の発明者らが機械学習による血管のセグメンテーションを試みた結果、血管ではない部分を血管にセグメンテーションする場合(ノイズ又はアウトライアーの生成)と、血管である部分を血管ではないとしてセグメンテーションから除外する場合(血管領域の欠落)が発生することが分かった。このようなエラーが発生する原因としては、機械学習に使用されたデータの量が足りないことや、不正確にラベリングされたマスクデータが機械学習に使用されたことと推定される。結局、現在の技術レベルで機械学習方法で血管をセグメンテーションする場合、ある程度の血管ノイズと血管欠落を避けることが難しいことが分かった。
【0007】
一方、既知の画像処理アルゴリズムで3次元医用画像データから血管をセグメンテーションする場合、これまで知られている画像処理アルゴリズムが完璧ではないため、血管のセグメンテーションが完全に自動化されていない。特に、冠状動脈のセグメンテーション又は脳血管のセグメンテーションにおいて、血流力学シミュレーションを行うほどのレベルで正確な血管の形状と寸法を完全に自動的にセグメンテーションする方法は開発されていない。したがって、セグメンテーションの開始前に作業者がセグメンテーションのためのシードを入力するか、或いはセグメンテーション途中又は完了後に作業者が介入してセグメンテーションエラー領域を除去又は修正する過程が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US 2012/0203530 A1, METHOD AND SYSTEM FOR PATIENTS PECIFIC COMPUTATIONAL MODELING AND SIMULATION FOR COUPLED HEMODYNAMIC ANALYSIS OF CEREBRAL VESSELS
【特許文献2】US 2017/0262981 A1, METHOD AND SYSTEM FOR MACHINE LEARNING BASED ESTIMATION OF ANISOTROPIC VESSEL ORIENTATION TENSOR
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Kwon, Soon-Sung, et al. "A novel patient-specific model to compute coronary fractional flow reserve." Progress in biophysics and molecular biology 116.1 (2014): 48-55.
【非特許文献2】Manoj, S., Sandeep PM Muralidharan, and M. Sandeep. "Neural network based classifier for retinal blood vessel segmentation." International Journal of Recent Trends in Electrical & Electronics Engineering 3.1 (2013): 44-53.
【非特許文献3】Moeskops, Pim, et al. "Deep learning for multi-task medical image segmentation in multiple modalities." International Conference on Medical Image Computing and Computer-Assisted Intervention. Springer, Cham, 2016.
【非特許文献4】Long, Jonathan, Evan Shelhamer, and Trevor Darrell. "Fully convolutional networks for semantic segmentation." Proceedings of the IEEE conference on computer vision and pattern recognition. 2015.
【非特許文献5】Goodfellow, Ian, et al. "Generative adversarial nets." Advances in neural information processing systems. 2014.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、作業者の介入なしに3次元医用画像データから迅速かつ正確に3次元形状血管データを完全自動的にセグメンテーションすることができる新規な方法及び装置に対する要求がある。本発明は、このような要求を満たすことができる新規な血管のセグメンテーション方法及び装置を提供することを目的とする。
特に、本発明は、機械学習方法によるセグメンテーション方法の欠点を画像処理アルゴリズムによるセグメンテーション方法で補完して作業者の介入なしに血管を自動的にセグメンテーションすることができる新規な方法及びシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る患者の3次元医用画像データから3次元形状血管データをセグメンテーション(Segmentation)する方法は、コンピュータシステム内でプログラムの形態で実行される。本発明に係る3次元形状血管データを自動的にセグメンテーションする方法は、患者の3次元医用画像データの入力を受けるステップと、3次元形状血管データを生成するように機械学習されたセグメンテーションプログラムを用いて、前記入力された3次元医用画像データから3次元形状の機械−学習血管データを生成するステップと、画像処理プログラムを用いて、前記入力された3次元医用画像データと前記生成された3次元形状の機械−学習血管データから補正された3次元形状血管データを生成するステップとを含む。また、前記3次元形状の機械−学習血管データは、血管領域ではない少なくとも一つのノイズデータセット、及び血管領域が欠落した少なくとも一つの欠落データで構成され、前記画像処理プログラムは、入力された3次元画像データと生成された3次元形状の機械−学習データとを比較して血管領域をマッチングし、前記欠落したデータセットを補充し、前記ノイズデータセットを除去するように構成され、前記補正された3次元形状血管データを生成する。
【0012】
本発明において、3次元医用画像データは、CT画像、MRI画像及び超音波画像を含む。機械学習されたセグメンテーションプログラムは、CNN(convolutional neural network)、FCN(fully convolutional network)アルゴリズムを含むことができる。
【0013】
幾つかの実施形態において、前記機械学習されたセグメンテーションプログラムは、FCNアルゴリズムを含むことが好ましい。前記機械学習されたセグメンテーションプログラムのFCNアルゴリズムは、3次元医用画像のアキシアル(axial)方向スライスイメージ(slice image)をそれぞれビットマップイメージに変換し、それぞれの変換されたビットマップイメージの血管領域をラベリング(labeling)し、それぞれのラベリングされたビットマップイメージを学習データとして活用するためにマスクイメージに変換し、前記変換されたビットマップイメージとマスクイメージとを一対にして学習されたアルゴリズムである。幾つかの実施形態において、前記機械学習されたセグメンテーションプログラムは、GANアルゴリズムをさらに含むことができる。
【0014】
幾つかの実施形態において、前記画像処理プログラムは、生成された3次元形状の機械−学習データの座標情報をシードとして用いて、前記入力された3次元画像データの血管領域をセグメンテーションし、セグメンテーションされた3次元形状血管データのボリュームを演算し、演算されたボリュームが所定の値以下である血管データはノイズデータセットと判断して除去するように構成できる。
【0015】
幾つかの実施形態において、前記画像処理プログラムは、生成された3次元形状の機械−学習データの座標情報をシードとして用いて、前記入力された3次元画像データ血管領域に領域成長アルゴリズム(Region Growing Algorithm)を用いて欠落データセット領域を連結し、欠落したデータセット領域が連結された3次元形状血管データのボリュームを演算し、演算されたボリュームが所定の値以下である血管データはノイズデータセットと判断して除去するように構成できる。
【0016】
本発明の他の側面によれば、コンピュータを利用して患者の3次元医用画像データから3次元形状血管データをセグメンテーションするための医用画像処理システムが提供される。本発明に係る3次元医用画像処理システムは、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法を行うためのコンピュータプログラムがインストールされたコンピュータを含むシステムである。
【0017】
本発明に係る3次元医用画像で血管を自動的にセグメンテーションする方法は、コンピュータを利用して患者の3次元医用画像データから3次元形状血管データを自動的にセグメンテーションする方法であって、患者の3次元医用画像データの入力を受けるステップと、人工知能ニューラルネットワークを利用して、入力された患者の3次元医用画像データを処理して、1次3次元形状の血管データを生成するステップと、前記1次3次元形状の血管データを画像処理して2次3次元形状の血管データを生成するステップとを含み、前記2次3次元形状の血管データを生成するステップは、1次3次元形状の血管データをシードとして用いて2次3次元形状の血管データを生成する。本発明において、人工知能ニューラルネットワークは、CNN又はFCNを含む。
【0018】
幾つかの実施形態において、前記人工知能ニューラルネットワークを利用して1次に血管領域をセグメンテーションするステップは、人工知能ニューラルネットワークを構成するステップと、複数の患者の3次元医用画像を加工して人工知能ニューラルネットワークを学習させるステップと、学習された人工知能ニューラルネットワークで、学習資料として使用されていない患者の3次元医用画像を1次セグメンテーションするステップとを含む。また、前記人工知能ニューラルネットワークを構成するステップは、初動学習のためにFCNを構成するステップと、GANアルゴリズムを適用してニューラルネットワークの性能を向上させるために、前記FCNをジェネレータモジュールとして用いるステップと、GANアルゴリズムの実行のためにディスクリミネータモジュールを構築するステップとを含むことができる。
【0019】
本発明において、前記人工知能ニューラルネットワークを利用して1次に生成された3次元形状の血管データは、血管領域ではない少なくとも一つのノイズデータセット、及び血管領域が欠落した少なくとも一つの欠落データセットで構成される。
【0020】
幾つかの実施形態において、前記2次3次元形状の血管データを生成するステップは、1次3次元形状の血管データと入力された3次元画像データとを比較して血管領域をマッチングするステップと、前記欠落データセットを補充して血管を連結するステップと、前記ノイズデータセットを除去するステップとを含む。また、前記欠落データセットを補充して血管を連結するステップは、生成された1次3次元形状の血管データの座標情報をシードとして用いて、前記入力された3次元画像データの血管領域に領域成長アルゴリズムを用いて欠落データ領域を連結することができる。また、前記ノイズデータセットを除去するステップは、欠落データ領域が連結された3次元形状血管データセットのボリュームを演算するステップと、演算されたボリュームが所定の値以下である血管データセットをノイズデータと判断して除去するステップとを含むことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る患者の3次元医用画像データから3次元形状血管データをセグメンテーションする方法は、機械学習と画像処理アルゴリズムの欠点を補完して3次元形状の血管データセグメンテーションを完全自動的に処理する。
【0022】
本発明に係る方法は、機械学習によって生成された3次元形状血管データを画像処理アルゴリズムのシードとして使用する。機械学習によって生成された3次元形状血管データは、血管以外の部分がセグメンテーションされたノイズデータセットを含み、且つ血管領域のデータが欠落した不正確なデータである。3次元画像処理アルゴリズムは、不正確な機械学習によって生成された3次元形状血管データをシードとして用いて、原本医用画像データを処理し、欠落した血管データセットを補充して連結し、ノイズデータセットを除去することにより、3次元形状血管データを生成する。
【0023】
従って、本発明に係る方法は、作業者の介入なしに完全自動的に迅速かつ正確に3次元形状血管データを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る医用画像処理システムの構成を示す概略図である。
【
図2】
図2(a)は機械学習のための心臓CT画像の原本画像、
図2(b)は
図2(a)の原本画像に血管領域をラベリングした画像である。
【
図3】機械学習に使用するために
図2(b)のラベリングされた画像を用いて作成したマスクイメージである。
【
図4】ニューラルネットワーク学習のための原本イメージセット(a)とマスクイメージセット(b)を示す図である。
【
図5】スライドが±k枚で重畳するwindowing技法の適用時にセグメンテーション対象である血管部分が重畳する分布を示す説明図である。
【
図6】畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional neural network、CNN)の一種であるFCN(Fully Convolutional network)の構造を示す説明図である。
【
図7】本発明に使用されたGANアルゴリズムを示す概略図である。
【
図8】心臓CTスライド一枚を本発明に係る機械学習セグメンテーションプログラムによって処理した結果を示すイメージである。
【
図9】患者の3次元心臓CT画像を本発明による機械学習セグメンテーションプログラムによって処理した結果を示す冠状動脈の3次元形状図である。
【
図10】本発明に係る画像処理セグメンテーションプログラムで行われる2次セグメンテーションの手順を示すフローチャートである。
【
図11】本発明に係る画像処理セグメンテーションプログラムで行われた、
図9に示された1次セグメンテーション結果を2次セグメンテーションした結果を示す冠状動脈の3次元形状図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係る3次元形状血管データを自動的にセグメンテーションする方法を説明する。
【0026】
図1は本発明に係る医用画像処理システムの構成を示す概略図である。本発明に係る3次元医用画像処理システム200は、典型的なコンピュータシステムを使用するか、或いはCT撮影装置などの3次元医用画像取得装置のシステムに組み込まれた装置であり得る。典型的なコンピュータシステムは、プロセッサ、メモリ、ストレージ、入力及び出力装置、通信装置を備え、オペレーティングシステムとアプリケーションプログラムを備える。
【0027】
本発明に係る患者の3次元医用画像データから3次元形状血管データをセグメンテーション(Segmentation)する方法は、コンピュータシステム200内でプログラムの形態で実行される。画像処理システム200は、アプリケーションプログラムとして機械学習セグメンテーションプログラム110と画像処理セグメンテーションプログラム130を含む。機械学習セグメンテーションプログラム110は、3次元医用画像データ100(DICOM標準形式のファイルが好ましいが、これに限定されるものではない)の入力を受け、3次元形状の機械−学習血管データ120を生成して出力する。出力された3次元形状の機械−学習血管データ120は、画像処理システム200のメモリに格納される。3次元形状の機械−学習血管データ120は、血管以外の部分がセグメンテーションされたノイズデータセットを含み、かつ血管領域のデータが欠落した不正確なデータである。画像処理セグメンテーションプログラム130は、機械−学習セグメンテーションプログラム130が生成した3次元形状の機械−学習血管データ120と3次元医用画像データ100の入力を受け、補正された3次元形状血管データ140を生成して出力する。補正された3次元形状血管データ140は、欠落した血管領域データが連結され、ノイズが除去された3次元形状血管データである。
【0028】
以下、
図2乃至
図9を参照して機械学習セグメンテーションプログラム110について説明する。
【0029】
機械学習(Machine Learning又はDeep Learning)アルゴリズムを利用して、3次元医用画像から3次元形状血管セグメンテーションを行うために、まずCNN(convolutional neural network)又はFCN(fully convolutional network)ニューラルネットワークを構築し、ニューラルネットワークに対する学習が先行すべきである。機械学習のためには、血管が含まれている原本画像データ、及び原本画像の血管領域を示すラベリング(labeling)されたデータが必要である。本明細書において、CNN、FCNのように学習のためのニューラルネットワークを人工知能ニューラルネットワークで表現する。
【0030】
図2(a)は心臓CT画像の原本画像であり、
図2(b)は機械学習に使用されるグラウンドトゥルース(ground truth)画像であるマスク(mask)イメージを生成するために
図2(a)の原本画像に血管領域をラベリングした画像である。ラベリングは、心臓血管に対する解剖学知識があり、CT画像解析能力を備えた専門家によって行われる。
【0031】
図3は機械学習に使用するために、
図2(b)のラベリングされた画像を用いて作成したマスクイメージを示す。マスクイメージは、ラベリングされた部分のみを分離してニューラルネットワークの学習に直接利用するための目的で生成される。本実施形態において、マスクイメージは、
図2に示すように、ラベリングされた(セグメンテーションされた)部分は緑色、残りの領域はすべて黒色で表示した。緑色で表示されたマスク(mask)イメージは、
図2(a)の原本画像における血管の位置と面積に関する情報を提供する。
【0032】
図4はニューラルネットワーク学習のための原本イメージセットとマスクイメージセットを示す。ニューラルネットワーク学習のためのデータは、
図4に示すように、原本画像と原本画像に対応するマスクイメージとが1対として構成される。一般的にCT、MRAなどの医用画像は、患者を撮影する場合、約100〜300枚程度のアキシアル(axial)シートイメージが生成される。したがって、一つのケースの学習データは、医用画像データの枚数の2倍である約200〜600枚になる。
【0033】
医用画像は、Z軸を基準に順次連結されたそれぞれのスライドで構成されている。これにより、セグメンテーションしようとする血管の位置が前のスライドと比較して多く移動又は変化しない特徴を持つ。このような特徴のため、一枚のスライドをそれぞれニューラルネットワークに入力せずに、一枚のスライドから+Z軸方向にk枚、−Z軸方向にk枚の画像を積んで(windowing技法)前後の血管に対する情報を含むデータをニューラルネットワークに入力する。前記windowing技法を使用すると、医用画像内の血管位置や血管連結に関する情報を提供するので、ピクセル単位の学習を繰り返し行わなくてもよいという利点があり、性能の向上にも役立つ。前記windowing技法は、既存の機械学習を用いた血管セグメンテーション方法で主に使用されるボクセル(voxel)単位の学習とは差別される。本発明では、ピクセル単位の学習のみ行い、±k枚で構成されたデータは、血管に対する情報のみをニューラルネットワークに提供するだけであり、学習に直接利用しない。Windowing技法を適用すると、上記で提起されたように、Z軸を基準に±k枚の層で構成するので、ターゲット(target)血管が存在するスライドと±k枚内のスライドには、血管が重なり合う区間が必ず存在する。
【0034】
図5はスライドが±k枚で重畳するwindowing技法の適用時にセグメンテーションの対象である血管部分が重畳する分布を示す。結果的に、ニューラルネットワーク前後の血管情報を提供するための入力データは、単一画像ではなく、2k+1のwindowing stackが入力され、医用画像に対してピクセル単位のX軸、Y軸のサイズをそれぞれx、yと定義する場合、stackは(x、y、2k+1)次元のテンソル(tensor)になる。ところが、上記で提起されたように、ニューラルネットワーク学習には直接利用されない。
【0035】
図6は畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional neural network、CNN)の一種であるFCN(Fully Convolutional network)の構造を示す。CNN又はFCNニューラルネットワーク学習をディープラーニング(Deep learning)又は人工知能(AI、artificial intelligence)学習という。FCNの実現は、python open libraryの中で最も効率性が高く、関連技術に多く用いられているテンソルフロー(tensorflow)を使用する。本発明において、FCNは、Convolution−Relu−Maxpoolingを一つのセットとし、1セットを4つの層で構成してダウンサンプリング(downsampling)を行うようにした。また、ニューラルネットワークの最後の部分にはアップサンプリング(upsampling)と同時にセグメンテーション(segmentation)を行うための3つのデコンボリューション(Deconvolution)層で構成した。また、ダウンサンプリング(Downsampling)とアップサンプリング(upsampling)を行う層の間には、skip−connectionを行うための層を構成した。Skip−connectionは、ディープラーニング層が深くなるほどlocal featureの情報は失い、global featureの情報が優勢となるようにする役割を果たす。前記skip−connection技術は、医用画像から血管の位置はよく見付けるが、血管領域(lumen)の面積を正確にセグメンテーションすることが難しいという問題を解決するための目的で適用した。前記skip−connectionを使用すると、local feature情報の損失が発生する直前層のfeature情報を格納して、global feature情報が優勢な層のfeature情報と結合するので、血管の領域(面積)に対する問題を解決することができる。
【0036】
前記FCNで構成された人工知能ニューラルネットワーク学習は、gradient descentアルゴリズムの中で最も最適化された技法であるADAM(Adaptive Moment Estimation)を用いてweightとbiasを繰り返し更新しながらcross entropyを最小値に収束するようにする。Cross entropyを最小化するために、10万回程度のiterationによる初動学習を行う。非特許文献3及び4には、CNN及びFCNに対する技術が開示されている。
【0037】
また、ディープラーニング(Deep learning)ニューラルネットワークの精度を向上させるために、GAN(Generative Adversarial Networks)アルゴリズムをさらに適用することができる。
図7は本発明に使用されたGANアルゴリズムに対する概略図である。GANアルゴリズムは、血管セグメンテーションのためのニューラルネットワークである、前記開発されたFCNをジェネレータモジュール300として使用し、セグメンテーション結果を検収するためのニューラルネットワークであるディスクリミネータモジュール310を開発して統合した。ジェネレータモジュール300とディスクリミネータモジュール310の出力が完全接続ニューラルネットワーク320に伝達される。前記ディスクリミネータモジュール310とジェネレータモジュール300のmin−max problemで、ディスクリミネータモジュール310はmax値1に近接するための学習を行い、ジェネレータモジュール300はmin値0に近接する値を作るための学習を行う。完全接続ニューラルネットワーク320は、4つの層で構成されており、活性関数(activation function)は、他の層と同様にRelu関数を使用した。完全接続ニューラルネットワーク320は、入力されたマスク(mask)イメージがリアル(real)イメージであるか、ジェネレータモジュールから出力されたフェイク(fake)イメージであるかを検収する。一般的に、GANモデルは、最初から二つのニューラルネットワークを同時に学習し、ディスクリミネータのグラジエント(gradient)をジェネレータモジュールに適用して変数を修正するが、本発明では、学習過程を2ステップに分離して行った。本発明でも、二つのニューラルネットワークが同時に学習されるが、初動学習ステップではディスクリミネータのグラジエント(gradient)がジェネレータモジュールに伝達されない。10万回程度のiterationによる初動学習過程で、ジェネレータモジュールは実際グラウンドトゥルース(ground truth)データの確率分布を調べ出して模写する方向に学習される。初動学習後にモデルが収束すると、追加学習を行うが、この時、ディスクリミネータモジュールのgradientをジェネレータモジュールに入力してウェイト(weight)、バイアス(bias)を再修正する。GANアルゴリズムの学習は、一種のmin−max problemを解決するために競争する方法であるといえる。非特許文献5には、GAN学習に対する技術が公開されている。
【0038】
本発明に係る人工知能ニューラルネットワークの学習ステップは、複数の2次元断層の医用画像であるDIOCM形式の原本ファイルを学習に利用するためのデータとして活用するために、ビットマップイメージ(bitmap image、BMP)に変換するステップと、複数の2次元断層画像内の血管をセグメンテーションして学習に正解(labeling)データとして使用するためにビットマップイメージ(bitmap image、BMP)を格納するステップと、ニューラルネットワーク学習に直接用いることができるように加工された正解(labeling)データからマスク(mask)イメージを生成する前処理(pre−processing)ステップと、ビーズマップイメージとマスクイメージでFCNを学習させるステップとを含む。
【0039】
また、本発明に係る人工知能ニューラルネットワークの学習にGANアルゴリズムをさらに学習させることができる。本発明に係るGANアルゴリズムをさらに学習させるための人工知能ニューラルネットワークの学習ステップは、Z軸を基準に積み上げた2次元断層画像を、Z軸に積み上げた原本ファイルを用いてビットマップイメージに変換したデータと前処理ステップでマスク(mask)されたイメージとを一対にしてFCN(Fully Convolutional Network)アルゴリズム(ジェネレータモジュール)に入力するステップと、FCNの初期の3層と後期のdeconvolutional3層との間にskip−connectionを構成して画像情報の補完を行うステップと、gradient descentアルゴリズムであるADAM(Adaptive Moment Estimation)を用いてcross entropyが最小化されるように変数を初動学習させるステップと、GAN(Generative Adversarial Networks)アルゴリズムをニューラルネットワークに適用するためのディスクリミネータ(Discriminator)モジュールを開発するステップと、ジェネレータ(generator)モジュールであるFCNから出力したフェイクイメージ(fake image)又はマスク(mask)されたイメージ(real image)を任意にディスクリミネータモジュールに入力してイメージを区分するステップと、前記ステップを繰り返し行ってディスクリミネータモジュールとジェネレータモジュールのmin−max problemを用いて競争学習を行うステップと、ディスクリミネータのgradientをジェネレータモジュールに適用してweight及びbiasを修正し、cross entropyを前記ステップと比較してより一層最小化する変数を追跡するステップとを含むことができる。
【0040】
本発明に係る機械学習セグメンテーションプログラム110は、上述の方法によって学習されたアルゴリズムを含んでいるが、これに限定されるものではなく、既知の他の機械学習(ディープラーニング)アルゴリズムを含むこともできる。
図8は心臓CTスライド一枚を本発明に係る機械学習セグメンテーションプログラムによって処理した結果を示すイメージであり、
図9は患者の3次元心臓CT画像を本発明による機械学習セグメンテーションプログラムによって処理した結果を示す冠状動脈の3次元形状である。
【0041】
機械学習セグメンテーションプログラム110で心臓CTスライド一枚に対してセグメンテーションを行った場合、
図8に示すように、血管領域に対するセグメンテーションがよく行われたことを確認することができるが、患者の心臓CTを構成する200〜300枚のスライスに対してセグメンテーションを行った場合、
図9に示すように、血管ではないところがセグメンテーションされた部分400と血管である領域をセグメンテーションしていない欠落部分500があることを確認することができる。
【0042】
一般的に、機械学習セグメンテーションプログラム110で生成された3次元形状の機械−学習血管データ120は、血管以外の部分がセグメンテーションされたノイズデータセットを含み、かつ血管領域のデータが欠落した欠落データセットを含む不正確にセグメンテーションされたデータである。
【0043】
本発明は、このように不正確な3次元形状の機械−学習血管データ120を補完するために、画像処理セグメンテーションプログラム130で、機械学習アルゴリズムによって1次にセグメンテーションされた3次元形状の機械−学習血管データ120を2次にセグメンテーションして補正するステップを行う。
【0044】
図10は本発明に係る画像処理セグメンテーションプログラムで行われる2次セグメンテーションの手順を示すフローチャートである。
図10を参照すると、まず、画像処理セグメンテーションプログラム130で不正確な3次元形状の機械−学習血管データ120と3次元医用画像データ100を入力する(S300)。次に、画像処理セグメンテーションプログラム130で不正確な3次元形状の機械−学習血管データ120と3次元医用画像データ100とを比較し、血管領域データの座標をマッチングする(S310)。次に、画像処理セグメンテーションプログラム130でマッチングされた血管領域データの座標をシードとして、3次元医用画像データ100に領域成長を行うことにより、欠落した血管領域を連結する(S320)。欠落した部分500の連結は、領域成長以外の画像処理方法でも可能である。次に、ノイズデータセット(血管以外の領域が血管で表示されたデータセット)を除去するために、画像処理セグメンテーションプログラム130で連結された血管セグメンテーションデータセットそれぞれのボリュームを計算し(S330)、計算されたボリュームが所定の値以下である血管データセットをノイズデータセットと判断して除去する(S340)。
【0045】
図11は本発明に係る画像処理セグメンテーションプログラムで行われた、
図9に示された1次セグメンテーション結果を2次セグメンテーションした結果を示す冠状動脈の3次元形状図である。
図11を参照すると、
図9に示された血管ではない部分がセグメンテーションされたノイズ部分400が除去され、血管である部分がセグメンテーションされていない欠落部分500が連結されていることを確認することができる。
【0046】
本発明の中心的なアイデアは、機械学習セグメンテーションプログラムを用いて1次に3次元形状血管データをセグメンテーションした後、画像処理プログラムでその結果をシードとして用いて2次に3次元形状血管データをセグメンテーションしてノイズと欠落部分を補正することである。以下では、本発明の中心的なアイデアをもって本発明の他の実施形態の方法を説明する。
【0047】
本発明に係る3次元医用画像で血管を自動的にセグメンテーションする方法は、コンピュータを利用して、患者の3次元医用画像データから3次元形状血管データをセグメンテーションする方法であって、患者の3次元医用画像データの入力を受けるステップと、人工知能ニューラルネットワークを利用して、入力された患者の3次元医用画像データを処理して1次3次元形状の血管データを生成するステップと、前記1次3次元形状の血管データを画像処理して2次3次元形状の血管データを生成するステップとを含み、前記2次3次元形状の血管データを生成するステップは、1次3次元形状の血管データをシードとして用いて2次3次元形状の血管データを生成する。本発明において、人工知能ニューラルネットワークはCNN又はFCNを含むことができる。
【0048】
幾つかの実施形態において、前記人工知能ニューラルネットワークを利用して、1次に血管領域をセグメンテーションするステップは、人工知能ニューラルネットワークを構成するステップと、複数の患者の3次元医用画像を加工して人工知能ニューラルネットワークを学習させるステップと、学習された人工知能ニューラルネットワークで、学習資料として使用されていない患者の3次元医用画像を1次セグメンテーションするステップとを含む。また、前記人工知能ニューラルネットワークを構成するステップは、初動学習のためにFCNを構成するステップと、GANアルゴリズムを適用してニューラルネットワークの性能を向上させるために前記FCNをジェネレータモジュールとして用いるステップと、GANアルゴリズムを行うためにディスクリミネータモジュールを構築するステップとを含むことができる。
【0049】
本発明において、前記人工知能ニューラルネットワークを利用して1次に生成された3次元形状の血管データは、血管領域ではない少なくとも一つのノイズデータセット、及び血管領域が欠落した少なくとも一つの欠落データセットで構成される。
【0050】
幾つかの実施形態において、前記2次3次元形状の血管データを生成するステップは、1次3次元形状の血管データと入力された3次元画像データとを比較して血管領域をマッチングするステップと、前記欠落データセットを補充して血管を連結するステップと、前記ノイズデータセットを除去するステップとを含む。また、前記欠落データセットを補充して血管を連結するステップは、生成された1次3次元形状の血管データの座標情報をシードとして用いて、前記入力された3次元画像データの血管領域に領域成長アルゴリズムを用いて欠落データ領域を連結することができる。また、前記ノイズデータセットを除去するステップは、欠落データ領域が連結された3次元形状血管データセットのボリュームを演算するステップと、演算されたボリュームが所定の値以下である血管データセットをノイズデータと判断して除去するステップとを含むことができる。
【0051】
以上で説明した実施形態は、本発明の好適な実施形態を説明したものに過ぎず、本発明の権利範囲は、説明された実施形態に限定されるものではない。本発明のアイデアは、この分野の当業者によって様々な変更、変形又は置換が可能であり、それらの実施形態は、本発明の範囲に属するものと理解されるべきである。例えば、様々な方法で機械学習セグメンテーションプログラムを構成することができ、機械学習セグメンテーションプログラムで生成された不完全な3次元形状の機械−学習血管データを補正するための様々な画像処理セグメンテーションプログラムを実現することができる。
【要約】
【課題】本発明は、医用画像データから血管を自動的にセグメンテーションする方法及びシステムに関する。より詳細には、機械学習と画像処理アルゴリズムを用いて医用画像の血管を自動的にセグメンテーションする方法及びシステムに関する。
【解決手段】本発明に係る3次元医用画像で血管を自動的にセグメンテーションする方法は、コンピュータを利用して患者の3次元医用画像データから3次元形状血管データをセグメンテーションする方法であって、患者の3次元医用画像データの入力を受けるステップと、人工知能ニューラルネットワークを利用して、入力された患者の3次元医用画像データを処理して、1次3次元形状の血管データを生成するステップと、前記1次3次元形状の血管データを画像処理して2次3次元形状の血管データを生成するステップとを含み、前記2次3次元形状の血管データを生成するステップは、1次3次元形状の血管データをシードとして用いて2次3次元形状の血管データを生成する。本発明に係る方法は、作業者の介入なしに完全自動的に迅速かつ正確に3次元形状の血管データを生成することができる。
【選択図】
図1