(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも前記第1操作ボタン部を構成する操作ボタンは、表面の傾きが互いに異なるものを含んでいることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の診断又は治療装置。
前記第1操作ボタン部は、前記ガントリのボアの前方側に配置された寝台及び天板の動きを操作する前記操作ボタンを当該動きを高速化する前記操作ボタンの周囲に配置することを特徴とする請求項1または請求項3に記載の診断又は治療装置。
前記第1操作パネル装置は、前記第2操作ボタン部より前記第1操作ボタン部の方が前記寝台に近い位置に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の診断又は治療装置。
前記第1操作パネル装置の少なくとも前記第1操作ボタン部は、使用頻度の高い前記操作ボタンの方が当該操作ボタンより使用頻度の低い前記操作ボタンよりも前記寝台に近い位置に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の診断又は治療装置。
前記第1操作パネル装置は、円形の前記ボアの中央高さより高く当該ボアの上端より低い位置に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の診断又は治療装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。なお、以下の説明で前後上下左右の方向の説明は、図面中に示した装置の方向を示す矢印の指示に従う。
【0009】
図1は、本発明の一実施例にかかる診断又は治療装置1の全体の外観を示す斜視図である。この例では、診断又は治療装置1は、医療用の診断装置であるCT(Computed(Computerized)Tomography)装置の例で説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明は、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、PET((Positron Emission Tomography)−CT装置、重粒子線治療装置、陽子線治療装置などの医学用又は獣医学用等の診断又は治療に使用する各種装置にも適用することができる。
【0010】
図1に示すように、診断又は治療装置1は、大別して、ガントリ2と、ガントリ
2に設けられたボア3の前方側に配置された寝台4と、寝台4上に設けられた天板5とを備えている。ガントリ2は、ボア3内に入った対象者又は対象物(ここでは患者である対象者)に対して診断又は治療のための所定の物理的作用を施す装置を備えている。本例では、診断又は治療装置1は、CT装置であり、放射線などを利用して対象者の体の断層撮影を行う装置であるため、ガントリ2内には、対象者に対して放射線を照射する放射線照射装置などが設けられている。
【0011】
ガントリ2は、所定のアクチュエータにより、前傾動作及び後傾動作(何れも後述)を行うことができる。また、寝台4は、所定のアクチュエータにより、上昇動作及び下降動作を行うことができる。さらに、横臥姿勢の対象者の体を支持する天板5は、所定のアクチュエータにより、ボア3内への前進動作、ボア3内からの後退動作、上昇動作、下降動作及び横方向への移動動作(右シフト動作及び左シフト動作)を行うことができる。
【0012】
ガントリ2の前面2aにおけるボア3の右側及び左側には、各々操作パネル装置6R,6L(第1操作パネル装置)が設けられている。操作パネル装置6R,6Lは寝台4の近傍に配置されている。また、ガントリ2の前面2aにおけるボア3の上部には、タッチパネル装置7(第2操作パネル装置)が設けられている。タッチパネル装置7は、各種情報の表示器であるとともに、タッチパネル方式の操作装置でもある。タッチパネル装置7も寝台4の近傍に配置されている。
【0013】
操作パネル装置6R,6Lは、円形のボア3の中央高さより高く当該ボアの上端より低い位置に設けられている。
次に、操作パネル装置6R,6Lの詳細について説明する。操作パネル装置6Rと6Lとは類似の構成であるため、まず、代表して操作パネル装置6Lについて説明する。
図2は、操作パネル装置6Lの平面図である。
【0014】
操作パネル装置6Lは、例えば、四隅の角を丸くした矩形状に近い外形のパネルである。このパネル表面に向かって右側には、対象者とガントリ2との相対的な位置関係の指示を検査技師が行うための単一の操作ボタン又は複数の操作ボタンを含んでなる第1操作ボタン部11が設けられている。本例では、第1操作ボタン部11は、複数の操作ボタン12乃至20の集合である。
【0015】
また、操作パネル装置6Lの第1操作ボタン部11よりも向かって左側には、第2操作ボタン部21が設けられている。第2操作ボタン部21は、ガントリ2側から当該ガントリ2のボア3内の対象者に対して診断又は治療のための所定の物理的作用を施す処理の開始及び終了に関する指示を検査技師が行うための単一の操作ボタン又は複数の操作ボタンを含んでなる。本例では、第2操作ボタン部21は、前記の物理的作用の発生として放射線等の照射を行い、複数の操作ボタン22乃至25の集合である。
【0016】
さらに、操作パネル装置6Lの第1操作ボタン部11及び第2操作ボタン部21の上部、例えば、操作パネル装置6Lの上端縁部分には、第3操作ボタン部31が設けられている。第3操作ボタン部31は、第1及び第2操作ボタン部11,21に含まれる各操作ボタン12乃至20、各操作ボタン22乃至25よりも操作頻度の低い所定の処理の指示を検査技師が行うための単一の操作ボタン又は複数の操作ボタンを含んでなる。本例では、第3操作ボタン部31は、複数の操作ボタン32乃至37の集合である。
【0017】
そして、第1乃至第3操作ボタン部11,21,31は、互いに所定の距離をあけて操作パネル装置6R,6Lのパネル面44上に設けられている。なお、
図2の例では、第1乃至第3操作ボタン部11,21,31は、単一のパネル上に配置されているが、各操作ボタン部が異なるパネル上に配置されるようにしてもよい。
第1操作ボタン部11の操作ボタン12乃至20の詳細について説明する。第1操作ボタン部11は、対象者とガントリ2との相対的な位置関係の指示を検査技師が行うための操作ボタンからなるため、操作パネル装置6Lの中で最も頻繁に操作される。
【0018】
天板前進操作ボタン12は、天板5をボア3内に向かって前進させる(診断又は治療装置1の後方に移動)指示を行う操作ボタンである。天板後退操作ボタン13は、天板5をボア3内から後退(診断又は治療装置1の前方に移動)させる指示を行う操作ボタンである。寝台上昇操作ボタン14は、寝台4を上昇させる指示を行う操作ボタンである。寝台下降操作ボタン15は、寝台4を下降させる指示を行う操作ボタンである。高速操作ボタン16は、天板前進操作ボタン12、天板後退操作ボタン13、寝台上昇操作ボタン14及び寝台下降操作ボタン15の各操作ボタンの押下による動作を高速化する指示を行う操作ボタンである。高速操作ボタン16は、これらの各操作ボタンと同時に押下することで前記の高速化が図られる。
【0019】
これらの各操作ボタンは、高速操作ボタン16を中心に、これに隣接して、天板前進操作ボタン12、天板後退操作ボタン13、寝台上昇操作ボタン14及び寝台下降操作ボタン15が配置されている。すなわち、操作パネル装置6Lの前面に向かって、高速操作ボタン16の右側が天板前進操作ボタン12、左側が天板後退操作ボタン13、上側が寝台上昇操作ボタン14、下側が寝台下降操作ボタン15である。さらに、寝台上昇操作ボタン14の上部には当該寝台上昇操作ボタン14と隣接してガントリ前傾操作ボタン17及びガントリ後傾操作ボタン18が設けられている。ガントリ前傾操作ボタン17は、ガントリ2の上側が寝台4側から遠ざかるようにガントリ2を傾ける指示を行う操作ボタンである。ガントリ後傾操作ボタン18は、ガントリ2の上側が寝台4側に近づくようにガントリ2を傾ける指示を行う操作ボタンである。寝台下降操作ボタン15の下部には当該寝台下降操作ボタン15と隣接して寝台右シフト操作ボタン19及び寝台左シフト操作ボタン20が設けられている。寝台右シフト操作ボタン19は、寝台4をガントリ2の前面2aに向かって右方向にシフト移動することを指示する操作ボタンである。寝台左シフト操作ボタン20は、寝台4をガントリ2の前面2aに向かって左方向にシフト移動することを指示する操作ボタンである。
【0020】
第2操作ボタン部21の操作ボタン22乃至25について説明する。第2操作ボタン部21は、HOME操作ボタン22、ライトローカライザ操作ボタン23、PRESET1操作ボタン24及びPRESET2操作ボタン25を備えている。これらの各操作ボタンは互いに少し離れて操作パネル装置6L上に配置されている。HOME操作ボタン22は、第2操作ボタン部21の下側に配置され、天板5を被検者である対象者の昇降位置に移動する指示を行う操作ボタンである。ライトローカライザ操作ボタン23は、第2操作ボタン部21の上側に配置され、所定の位置にあるライトを点灯する指示を行う操作ボタンである。これは、被検者である対象者の位置決めを行う場合に用いられる。PRESET1操作ボタン24は、第2操作ボタン部21の右側に配置され、天板5上に横臥している対象者を頭部スキャン位置に移動することを指示する操作ボタンである。PRESET2操作ボタン25は、第2操作ボタン部21の左側に配置され、天板5上に横臥している対象者を胸部、腹部スキャン位置に移動することを指示する操作ボタンである。
【0021】
第3操作ボタン部31の操作ボタン32乃至37について説明する。第3操作ボタン部31には、左から右に順に、START操作ボタン32、STOP操作ボタン33、0クリア操作ボタン34、RESET操作ボタン35、デモ操作ボタン36及びPAT操作ボタン37が隣接し合って配置されている。START操作ボタン32は、対象者の体のスキャンを開始することを指示する操作ボタンである。これは、点滅している場合にのみ操作可能である。STOP操作ボタン33は、対象者の体のスキャンを中断することを指示する操作ボタンである。これら、スキャンの開始及び中断は、通常は、診断又は治療装置1が設置されている部屋と隣接する別室から操作して行われるが、例外的に対象者の近くで当該操作を行う必要がある場合にSTART操作ボタン32及びSTOP操作ボタン33は使用される。0クリア操作ボタン34は、天板5の前後位置(POSITION)を0にすることを指示する操作ボタンである。デモ操作ボタン36は、対象者のスキャン前に、対象者が息継ぎのタイミング、息止めのタイミングを知るためのデモンストレーションを行うことを指示する操作ボタンである。PAT操作ボタン37は、ボア3内で水平・上下に配置されているライトの位置からスキャンの位置まで天板5を移動させることを指示する操作ボタンである。この操作を行った場合、天板5は前記の前進方向にだけ移動して自動停止する。途中で当該PAT操作ボタン37の機能を解除するにはRESET操作ボタン35を押下する。
【0022】
操作パネル装置6Lは、第2操作ボタン部21よりも第1操作ボタン部11の方が寝台4に近い位置に配置されている。すなわち、操作パネル装置6Lは、寝台4の左側に位置しているので、操作パネル装置6Lに向かって、第2操作ボタン部21よりも第1操作ボタン部11の方が寝台4に近い位置にある。
操作パネル装置6Lの少なくとも第1操作ボタン部11は、使用頻度の高い操作ボタン部の方が使用頻度の低い前記操作ボタン部より前記寝台に近い位置に配置されている。
より具体的には、操作パネル装置6Lの第1操作ボタン部11は、天板5をボア3内に向かって前進させる操作を行う天板前進操作ボタン12の方が天板5をボア3内から後退させる操作を行う天板後退操作ボタン13よりも寝台4に近い位置に配置されている。
【0023】
次に、操作パネル装置6Rについて説明する。図示はしないが、操作パネル装置6Lと操作パネル装置6Rとはガントリ2の前面2a側から向かって視て同種の操作ボタンが左右対称になるように配置されている。まず、操作パネル装置6Rには、操作パネル装置6Lに存在する第1乃至第3操作ボタン部11,21,31は全て存在し、操作パネル装置6Lに存在する各操作ボタンも全て存在する。
【0024】
操作パネル装置6Rが操作パネル装置6Lと異なるのは、第1及び第2操作ボタン部11,21と操作ボタンの左右方向の配置が逆になっていることである。すなわち、操作パネル装置6Rでは、パネル上において、第1操作ボタン部11が左側で、第2操作ボタン部21に配置されている。また、操作パネル装置6Rにおいて、天板前進操作ボタン12と天板後退操作ボタン13とは操作パネル装置6Lと比べて左右が逆転している。また、操作パネル装置6Rにおいて、ガントリ前傾操作ボタン17とガントリ後傾操作ボタン18とは操作パネル装置6Lと比べて左右が逆転している。さらに、操作パネル装置6Rにおいて、寝台右シフト操作ボタン19と寝台左シフト操作ボタン20とは操作パネル装置6Lと比べて左右が逆転している。その上、操作パネル装置6Rにおいて、PRESET1操作ボタン24とPRESET2操作ボタン25とは操作パネル装置6Lと比べて左右が逆転している。さらに、操作パネル装置6Rにおいて、第3操作ボタン部31の左右の操作ボタン32乃至37の並びは左右逆転している。その他の操作パネル装置6Rの第1及び第2操作部11,21において、操作ボタン配置は前記した操作パネル装置6Lと同様である。このように、操作パネル装置6Rは操作パネル装置6Lと鏡合わせのような操作ボタン配置となっている。
【0025】
以上のような、操作パネル装置6R,6Lの操作ボタンの種類と配置はあくまでもCT装置の一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。本発明をMRT装置その他の機器に適用する場合、操作ボタンの種類や配置は、当然前記のものと異なってくる場合がある。
【0026】
図3は、
図2のA−A切断断面図で、操作パネル装置6Lの概略構造を示すものである。
まず、
図3に示すように、操作パネル装置6Lは、容器状の内側筐体41を備え、この内側筐体41は、ガントリ2の前面2a側の筺体に埋め込まれている。この内側筐体41内には基板48が設けられている。基板48の前面側には複数個の機械式スイッチ42が設けられている。内側筐体41を覆う外側筐体43は、前面側の表面が外部に露出したパネル面44をなしている。外側筐体43には前記の操作ボタンが設けられている。この例では、高速操作ボタン16、寝台上昇操作ボタン14、寝台下降操作ボタン15、ガントリ前傾操作ボタン17、寝台右シフト操作ボタン19及びデモ操作ボタン36が示されている。高速操作ボタン16、寝台上昇操作ボタン14、寝台下降操作ボタン15、ガントリ前傾操作ボタン17及び寝台右シフト操作ボタン19は、前面側が操作側となって、検査技師が指Fで略垂直に矢印a方向に押下することにより操作することができる。これらの高速操作ボタン16、寝台上昇操作ボタン14、寝台下降操作ボタン15、ガントリ前傾操作ボタン17及び寝台右シフト操作ボタン19は、押下側と反対側に押圧突起45が設けられている。これらの操作ボタンは、押下することにより、押圧突起45が機械式スイッチ42を押圧し、これにより該当の操作ボタンはONになる。なお、図示しない弾性部材の付勢力により、これらの高速操作ボタン16、寝台上昇操作ボタン14、寝台下降操作ボタン15、ガントリ前傾操作ボタン17及び寝台右シフト操作ボタン19は、押下した状態から指Fを離すことで、押圧突起45と機械式スイッチ42との接触が解除されて該当の操作ボタンはOFFになる。これらの構造については、他の第1及び第2操作ボタン部11,21に属する全ての操作ボタンで共通である。
【0027】
デモ操作ボタン36の後側には、外側筐体43に機械式スイッチ42が設けられている。このデモ操作ボタン36は、その基端部36aの回転軸36bで操作パネル装置6Lの外側筐体43に回動自在に支持されている。そして、デモ操作ボタン36の先端部36c側を矢印bに示すように押下することで、操作ボタン36は回転軸36bを中心に回転して、デモ操作ボタン36の反対側の押圧突起36dが機械式スイッチ42を押圧し、ONになる。なお、図示しない弾性部材の付勢力により、デモ操作ボタン36は、押下した状態から指Fを離すことで、押圧突起36dと機械式スイッチ42との接触が解除されてデモ操作ボタン36はOFFになる。なお、かかる構造は、第3操作ボタン31の他の操作ボタンについても同様である。
【0028】
なお、これら機械式接点スイッチの詳細については公知であるため、これらの各操作ボタンの支持構造等、より詳細な構造については図示、説明を省略する。
このように、第1及び第2操作ボタン部11,21と第3操作ボタン部31とでは操作ボタンの押下方向が異なる。すなわち、前者はパネル面44に対して略垂直な方向に押下するのに対して、後者は回転軸36bを中心に回転させるように操作する。
以上のような
図3の操作パネル装置6Lの構造は、操作パネル装置6Rにおいても同様である。
【0029】
図4は、
図2のB−B切断断面図で、操作パネル装置6Lの各操作ボタンの形状を示すものである。
図4においては、
図3とは異なり、操作パネル装置6Lの内部構造の図示は省略している。
図3、
図4から明らかなように、第1操作ボタン部11は、高速操作ボタン16の表面がパネル面44と略平行である。そして、高速操作ボタン16に隣接する、天板前進操作ボタン12、天板後退操作ボタン13、寝台上昇操作ボタン14及び寝台下降操作ボタン15の表面の傾きは高速操作ボタン16とは異なる。すなわち、後者の4つの操作ボタンは、表面がパネル面44に対して操作パネル装置6Lの外側に向かって上り傾斜している。この場合、当該登り傾斜している操作ボタンは、その上部に第3操作ボタン部31が位置している寝台上昇操作ボタン14だけでもよい。また、第2操作ボタン部21の少なくとも一部の操作ボタンも同様の上り傾斜を有していてもよい。
【0030】
このように、少なくとも第1操作ボタン部11を構成する操作ボタンは、表面の傾きが互いに異なるものを含んでいる。
また、
図3、
図4に示すように、第1及び第2操作ボタン部11,21の各操作ボタンは、パネル面44の表面高さから視て操作パネル装置6Lの筺体奥側に幾分窪んでいる。このような構成は、操作パネル装置6Rについても同様である。
【0031】
図5は、ガントリ2の前面2aを操作パネル装置6Lの位置で切断した縦断面図である(操作パネル装置6Rについては省略)。
図5、
図3に示すように、操作パネル装置6Lは、その操作面であるパネル面44の面方向が鉛直方向と鋭角をなして上向きである。
図3に示す例では、このように操作パネル装置6Lのパネル面44を幾分上向きにするために、内側筐体41の深さを上側に位置するに従って漸次浅くなるようにしている。その他に、内側筐体41の深さは均一のまま、操作パネル装置6Lを取り付けるガントリ2の前面2a部分の筺体に傾斜をつけて、操作パネル装置6Lの前面を幾分上向きになるようにしてもよい。このような構成は、操作パネル装置6Rについても同様である。
【0032】
図4、
図3に示すように、操作パネル装置6Lは、その操作面であるパネル面44の面方向がボア3の径方向の面と鋭角をなして当該ボア3側に向いている。
図4、
図5に示す例では、ガントリ2の前面2aにおける操作パネル装置6Lの取り付け部分(筺体)が、ボア3に近づくにつれて漸次ガントリ2の前方側から後方側になるように緩やかに傾斜していることにより、操作パネル装置6Lのパネル面44が幾分ボア3側を向くようにしている。その他に、操作パネル装置6Lの内側筐体41の深さがボア3側に近づくほど漸次浅くなるようにして、操作パネル装置6Lのパネル面44が幾分ボア3側を向くようにしてもよい。このような構成は、操作パネル装置6Rについても同様である。よって、ガントリ2の前方側から視て操作パネル装置6Rと6Lとは、左右方向の傾きが左右対称になる。
【0033】
図6は、診断又は治療装置1の制御系の概略構成を示すブロック図である。
図6において、制御部51は、診断又は治療装置1の各種制御を行う1又は複数台のマイクロコンピュータやASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で構成される制御装置である。制御部51は、その一機能として選択部52を備えている。制御部51には、所定のインターフェイス(図示せず)を介して、操作パネル装置6R,6L並びにタッチパネル装置7が接続されている。また、制御部51には、前記した診断又は治療装置1の各部に設けられている各種アクチュエータ及び各種センサ53が所定のインターフェイス(図示せず)を介して接続されている。診断又は治療装置1に一般的に使用される様々なアクチュエータやセンサは公知であるため、ここでは各種アクチュエータ及び各種センサ53として包括的に図示し、その個々の説明や図示は省略する。また、制御部51には、操作パネル装置54が所定のインターフェイス(図示せず)を介して接続されている。操作パネル装置54は、診断又は治療装置1が設置されている部屋と隣接する別室に設置され、診断又は治療装置1を操作するための装置である。
制御部51は、操作パネル装置6R,6Lの操作により、診断又は治療装置1で、
図2を参照して前記した操作ボタンのメニューに従った様々な制御を行う。
【0034】
図7は、選択部52が実行する処理を説明するフローチャートである。また、
図8乃至
図11は、タッチパネル装置7の様々な画面表示例を示す平面図である。まず、
図8の画面例では、画面中央にガントリ2と天板5との相対的な位置関係の限界値をメートル法等で表示する位置情報61が表示されている。これは、ガントリ2を表す画像2bと天板5を表す画像5aを使って表示されている。この表示は、天板5の高さ(HEIGHT)、その左右方向へのスライド距離、ガントリ2の傾斜方向とその傾斜角度(TILT)、などの可能限度の値等である。最上段には、現在情報62が表示されている。現在情報62の上段には、例えば、対象者の氏名、年齢、性別等の個人情報が表示される。現在情報62の下段には、例えば、現在の前記のPOSITION、HEIGHT、TILTなどが表示される。これらの現在情報62における下段の値等は、第1操作ボタン部11等を操作することにより変動する。
図8の画面の最下段には、各種操作ボタン63が表示される。
【0035】
ここで、
図7の処理について説明する。所定のメニュー画面(タッチパネル表示)で所定の操作ボタンを操作して、所望の操作ボタンの表示が要求されたときは(S1のYes)、選択部52は、S2以下の処理を行う。すなわち、各種操作ボタン63の所定の操作ボタンを操作して、画面の右側に操作ボタンを表示するように要求があったときは(S2のYes)、選択部52は、
図9に示すように、タッチパネル装置7の画面の右側に1又は複数個のタッチ式の操作ボタン71を表示する(S3)。また、ガントリ2の正面における向かって右側の操作パネル装置6Rの操作があったときは(S4のYes)、選択部52は、同様に、
図9に示すように、タッチパネル装置7の画面の右側に1又は複数個のタッチ式の操作ボタン71を表示する(S3)。
【0036】
一方、各種操作ボタン63の所定の操作ボタンを操作して、画面の左側に操作ボタンを表示するように要求があったときは(S5のYes)、選択部52は、
図10に示すように、タッチパネル装置7の画面の左側に1又は複数個のタッチ式の操作ボタン71を表示する(S6)。また、ガントリ2の正面における向かって左側の操作パネル装置6Lの操作があったときは(S7のYes)、選択部52は、同様に、
図10に示すように、タッチパネル装置7の画面の左側に1又は複数個のタッチ式の操作ボタン71を表示する(S6)。なお、S4やS7の処理を省略して、S2及びS5の判断だけでS3の処理かS6の処理かを選別するようにしてもよい。
【0037】
図11の画面では、検査技師や対象者が確認するための各種の情報をタッチパネル装置7に表示する例を示している。画面の中央には、大きく、対象者の個人情報81等が表示される。この個人情報81は、対象者の氏名、年齢、性別、受診している診療科名などである。最上段には、第1操作ボタン部11を操作することにより決定した、前記のPOSITION、HEIGHT、TILTなどの決定情報82が表示される。最下段には、所定の操作ボタン83等が表示される。
【0038】
次に、本実施例の作用効果について説明する。
本実施例の操作パネル装置6R,6Lは、第1乃至第3操作ボタン部11,21,31に区分けされている。そして、第1操作ボタン部11は、対象者とガントリ2との相対的な位置関係の指示を行う操作ボタンを含んでなる。第2操作ボタン部21は、ガントリ2側から当該ガントリ2のボア3内の対象者に対して診断又は治療のための所定の物理的作用を施す処理の開始及び終了に関する指示を行う操作ボタンを含んでなる。そのため、操作パネル装置6R,6Lは、密接に関連性のある操作ボタンが同一のボタン部に集合しているので、操作がし易い。すなわち、対象者とガントリ2との相対的な位置関係の決定は、第1操作ボタン部11の中だけで操作できる。また、対象者に対する所定の物理的作用を施す処理の開始及び終了に関する操作は、第2操作ボタン部21の中だけで操作できる。普段あまり使用しない操作ボタンは第3操作ボタン部31に集合しているので、普段あまり使用しない操作ボタンを誤って操作することを防止することもできる。よって、従来に比べて操作性が高い操作パネル装置6R,6L及び診断又は治療装置1を提供することができる。
【0039】
また、操作パネル装置6R,6Lは、その操作ボタンの操作により寝台4、天板5及びガントリ2のうちの少なくともひとつの移動を指示することで、対象者とガントリとの相対的な位置関係を指示するものである。そして、操作パネル装置6R,6Lは、ガントリ2の前面におけるボア3の左右側にそれぞれ設けられている。よって、検査技師は、対象者が横臥する天板5や、それを支持する寝台4や、ガントリ2と当該対象者との相対的な位置関係を決定する操作を、当該対象者の右側に立っていても左側に立っていても行うことができる。
【0040】
また、第3操作ボタン部31は、第1及び第2操作ボタン部11,21よりも上部に設けられている(
図2)。そのため、あまり操作しない操作ボタンからなる第3操作ボタン部31を、第1及び第2操作ボタン部11,21の操作中に誤って第3操作ボタン部31を操作してしまう可能性を低減し、操作パネル装置6R,6Lの操作性を向上させることができる。
【0041】
さらに、少なくとも第1操作ボタン部11を構成する操作ボタンは、表面の傾きが互いに異なるものを含んでいる(
図3、
図4)。そのため、手探りでも第1操作ボタン部11内の操作ボタンを識別して操作することができ、操作パネル装置6R,6Lの操作性を向上させることができる。同様に、第2及び第3操作ボタン部21,31についても表面の傾きが互いに異なる操作ボタンを含むようにしてもよい。
【0042】
その上、前記のとおり、第3操作ボタン部31は、第1及び第2操作ボタン部11,21よりもガントリ2の前面2aの上部に設けられている。そして、第1及び第2操作ボタン部11,21のうち少なくとも前者は、少なくとも当該操作ボタン部の上部に配置され表面がパネル面44に対して操作パネル装置6R,6Lのパネルの外側に向かって上り傾斜している操作ボタン(寝台上昇操作ボタン14)(
図2)を備えている。そのため、寝台上昇操作ボタン14を操作中に指F(
図3)が滑って、通常はめったに操作しない第3操作ボタン部31を誤って操作してしまう可能性を低減し、操作パネル装置6R,6Lの操作性を向上させることができる。同様に、天板後退操作ボタン13や寝台下降操作ボタン15も表面がパネル面44に対して操作パネル装置6R,6Lのパネルの外側に向かって上り傾斜している。そのため、これらのボタンを操作している指Fが滑って誤って寝台右シフト操作ボタン19及び寝台左シフト操作ボタン20又はPRESET1操作ボタン24などを操作してしまうことがないので、操作パネル装置6R,6Lの操作性を向上させることができる。同様の傾斜は第2操作ボタン部21にも設けるようにしてもよい。
【0043】
また、第1操作ボタン部11は、ガントリ2のボア3の前方側に配置された寝台4及び天板5の動きを操作する天板前進操作ボタン12、天板後退操作ボタン13、寝台上昇操作ボタン14及び寝台下降操作ボタン15の配置が次のようになっている。すなわち、これらの操作ボタンは、当該動きを高速化する高速操作ボタン16の周囲に配置さている(
図2)。そのため、天板前進操作ボタン12、天板後退操作ボタン13、寝台上昇操作ボタン14又は寝台下降操作ボタン15と高速操作ボタン16とを指Fで同時押しして、寝台4及び天板5の動きを高速化する操作が容易となる。これにより、操作パネル装置6R,6Lの操作性を向上させることができる。
さらに、第1及び第2操作ボタン部11,21と第3操作ボタン部31とでは押下方向が異なる。
【0044】
具体的には、第1及び第2操作ボタン部11,21は、操作パネル装置6R,6Lのパネル面44に対して略垂直方向に押下することで操作されるものである。これに対して、第3操作ボタン部31は、その各操作ボタンが基端部の回転軸36bで操作パネル装置6R,6Lの外側筐体43に回動可能に支持されていて、先端部36c側を押下することで回転軸36bを中心に回動することで操作される(
図3)。よって、間違って第1及び第2操作ボタン部11,21を操作するような操作を第3操作ボタン部31の操作ボタンに行っても、あまり操作されることがない当該操作ボタンが操作されることはない。これにより、操作パネル装置6R,6Lの操作性を向上させることができる。なお、第1及び第3操作ボタン部11,21,31の押下方向は前記の例に限定されるものではない。
【0045】
その上、操作パネル装置6R,6Lは、第2操作ボタン部21より第1操作ボタン部11の方が寝台4に近い位置に配置されている。そのため、天板5上の対象者を観察したり、処置したりしながら、最も操作頻度の高い第1操作ボタン部11を最も手近で操作することができ、操作パネル装置6R,6Lの操作性を向上させることができる。
【0046】
また、操作パネル装置6R,6Lの少なくとも第1操作ボタン部11は、天板5をボア3内に収納する操作を行う天板前進操作ボタン12の方が、天板5をボア3内から取り出す操作を行う天板後退操作ボタン13よりも寝台4に近い位置に配置されている。天板前進操作ボタン12の方が天板後退操作ボタン13よりも使用頻度が高い操作ボタンである。よって、検査技師は、天板5上の対象者を観察したり、処置したりしつつ、手近な位置で使用頻度の高い天板前進操作ボタン12を操作することができる。従って、操作パネル装置6R,6Lの操作性を向上させることができる。
【0047】
さらに、操作パネル装置6Rと6Lとは、ガントリ2の前面2aに向かって視て同種の操作ボタンが左右対称になるように配置されている。従って、検査技師は、天板5上の対象者に向かって当該対象者を観察し、あるいは処置をしつつ対象者の右側に立って操作パネル装置6Rを操作する時も、左側に立って操作パネル装置6Lを操作するときも、同種操作ボタンは同じ距離感で操作することができる。よって、操作パネル装置6R,6Lの操作性を向上させることができる。
【0048】
その上、操作パネル装置6R,6Lは、円形のボア3の中央高さより高くボア3の上端より低い位置に設けられている。よって、操作パネル装置6R,6Lは、検査技師がボア3内に入る対象者を観察し、あるいは処置をしつつ操作するのに程良い高さである(
図1)。よって、操作パネル装置6R,6Lの操作性を向上させることができる。
【0049】
この際に、この高さは、多くの検査技師にとって、直立して軽く操作パネル装置6R,6Lを見下ろすような高さとなる場合が多い。そして、操作パネル装置6R,6Lは、その操作面(パネル面44)の面方向が鉛直方向と鋭角をなして上向きである(
図3、
図5)。よって、多くの検査技師にとって操作パネル装置6R,6Lのパネル面44は見易い。そのため、操作パネル装置6R,6Lの操作性を向上させることができる。
【0050】
また、操作パネル装置6R,6Lは、その操作面(パネル面44)の面方向がボア3の径方向の面と鋭角をなしてボア3側に向いている(
図4、
図5)。よって、検査技師は、ボア3に入ろうとする天板5上の対象者を観察し、あるいは処置をしつつ、操作パネル装置6R,6Lの操作を行い易い。そのため、操作パネル装置6R,6Lの操作性を向上させることができる。
【0051】
さらに、操作パネル装置6R,6Lは、第1及び第2操作ボタン部11,21の各操作ボタンは、パネル面44の表面高さから視て操作パネル装置6Lの筺体奥側に幾分窪んでいる(
図3、
図4)。そのため、第1及び第2操作ボタン部11,21に不用意に体が当接してしまっても、操作ボタンが操作されない可能性を高めることができる。
【0052】
さらに、ガントリ2の前面2aでボア3の上部位置にはタッチパネル装置7が設けられている。そして、タッチパネル装置7の画面中における左側及び右側のうち操作ボタンを表示する方を選択部52で選択することができる(
図6、
図7)。従って、検査技師は、天板5の右側に立っているか左側に立っているかによって、タッチパネル装置7における自分が立っているのと同じ側に操作ボタン71を表示できるので、タッチパネル装置7を操作し易い。従って、タッチパネル装置7の操作性を向上させることができる。
【0053】
このときに、天板5の右側にある操作パネル装置6Rを操作するか、左側にある操作パネル装置6Lを操作するか否かによって、タッチパネル装置7における当該操作パネル装置6R又は6Lと同じ側に操作ボタン71を表示できる(
図7のS4,S7)。従って、操作ボタン71をタッチパネル装置7の右側に表示させるか左側に表示させるかの選択が自動で行え、タッチパネル装置7の操作性を更に向上させることができる。
【0054】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。