(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。尚、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0011】
(本開示の一形態を得るに至った経緯)
特許文献1に記載の骨伝導マイクを搭載したハンズフリー通話ユニットは、メガネの鼻当て部分に振動センサを組み込んでいるので、メガネを掛ける感覚で装着することができ、装着しやすい利点がある。しかし、予め矯正用メガネや防塵用メガネなどの別のメガネを掛けた人が骨伝導マイク付きメガネを利用しようとすると、別のメガネと骨伝導マイク付きメガネとの位置が重複するので、双方の装着は難しい。仮に別のメガネと骨伝導マイク付きメガネの双方を装着した場合、別のメガネの上方又は下方から重ねて骨伝導マイク付きメガネを掛けることになるので、別のメガネの鼻当て部分と骨伝導マイク付きメガネの鼻当て部分とが干渉する。そのため、骨伝導マイク付きメガネが鼻骨上の皮膚の振動を適正にピックアップすることが困難である。
【0012】
つまり、別のメガネを掛ける必要がある人は、予め、骨伝導マイク付きメガネのフレームに、矯正用レンズや防塵用レンズを嵌め込んだ、専用の骨伝導マイク付きメガネを新たに用意する必要がある。従って、例えば別のメガネを掛ける必要のある人にとっては、特許文献1に記載のハンズフリー通話ユニットは、コストが余計にかかるようになるか、使い勝手が悪くなったりする。
【0013】
以下の実施形態では、生命体がメガネを装着する場合でも、骨伝導マイクを別途装着でき、鼻骨上の皮膚の振動の検出精度の低下を抑制できる骨伝導マイク及び骨伝導ヘッドセットについて説明する。
【0014】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態の骨伝導マイクについて説明する。
図1は、第1実施形態の骨伝導マイクの装着状態を示す斜視図である。
図1では、上下、前後、左右の方向を示している。これらの方向は、人物から見た前後、上下、左右の方向に基づく。この上下、前後、左右の方向は、すべての実施形態で同じである。
【0015】
図1に示すように、第1実施形態の骨伝導マイク1は、装着者(人体)200の顔面202の中央の鼻部205に体外から接触し、鼻骨上の皮膚の振動を電気信号に変換する左右の振動センサ15を備える。骨伝導マイク1は、鼻部205より上の頭部201に装着される頭部装着部としてのヘッドバンド11を備える。骨伝導マイク1は、ヘッドバンド11の左右方向の中央部11aから下方に延びて左右の振動センサ15を鼻部205に向けて支持するセンサ支持部としての2本のセンサ支持ワイヤ13と、を備える。なお、人体は、生命体の一例であり、他の生命体(例えば動物)でもよい。
【0016】
ヘッドバンド11は、弾力を持ったC字形の頭部装着具で、C字の開いた部分を広げながら、中央部11aを額203の上の前頭部に位置させつつ、左右方向の端部11b(両端部)を耳の後ろの側頭部に来るように装着する。これにより、ヘッドバンド11は、左右方向の端部11b(両端部)の間隔が狭まろうとする弾力によって、頭部201に確実に装着される。ヘッドバンド11は、樹脂や金属で製作することができる。ここでは一例として、ヘッドバンド11は、装着性や重量を考慮して、樹脂で形成されている。
【0017】
2本のセンサ支持ワイヤ13は、ヘッドバンド11の左右方向の中央部11aに各上端が連結されることで、眉間204の前方を通って下方へ延びるように垂下されている。そして、2本のセンサ支持ワイヤ13の下端に、それぞれ左右の振動センサ15が取り付けられている。つまり、振動センサ15は、鼻部の左側に接触する振動センサと、鼻部の右側に接触する振動センサと、を含む。
【0018】
センサ支持ワイヤ13は、屈曲変形又は湾曲変形自在で変形した形態を保持し得る構成とされている。これにより、振動センサ15の位置や向きなどを容易に調節できるようになっている。センサ支持ワイヤ13は、金属製でもよいし、弾力性のある樹脂製とされてもよい。
【0019】
ヘッドバンド11の左右方向の端部11bのうちの片方の端部(図示例では、左耳の上に位置する左側の端部)には、電子回路である無線モジュール25や電源であるバッテリ26が内蔵されている。無線モジュール25は、バッテリ26から給電されることで動作し、振動センサ15の検出信号を無線で外部(例えば骨伝導マイク1の近くに存在するスマートフォン)に送信する機能を有する。無線モジュール25の例としては、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)モジュールつまりBluetooth(登録商標)用の無線モジュール)、NFC(Near Field Communication)モジュールつまり近距離通信用のモジュール、無線LAN(Local Area Network)モジュール、等を任意に採用することができる。なお、ヘッドバンド11における無線モジュール25やバッテリ26の配置位置は任意であり、例えば、左右方向の中央部11aの付近に無線モジュール25やバッテリ26が配置されてもよい。
【0020】
振動センサ15から無線モジュール25までの信号伝送用の導線21、22は、センサ支持ワイヤ13やヘッドバンド11の中を通されている。センサ支持ワイヤ13は、例えば、細いチューブにより構成されており、チューブの中に、それぞれ振動センサ15に繋がる導線21が通されている。センサ支持ワイヤ13のチューブの上端を出た2本の導線21は、1本の導線22に纏められて、ヘッドバンド11の中空部などを通って、無線モジュール25に接続されている。
【0021】
なお、配線の仕方については、導線21、22をセンサ支持ワイヤ13やヘッドバンド11の中に通す方法以外に、任意に選択することができる。例えば、センサ支持ワイヤ13自体を、金属製のワイヤで構成して導線21の機能を兼ねるようにしてもよい。また、ヘッドバンド11の表面に配線のメッキ等を形成してもよい。
【0023】
この骨伝導マイク1を使用する場合は、
図1に示すように、ヘッドバンド11を頭部201に装着し、センサ支持ワイヤ13の下端に支持された左右の振動センサ15を鼻部205の鼻骨のある箇所の左右の皮膚面に押し当てる。これにより、左右の振動センサ15は、鼻骨の両側から鼻部205を摘まむように挟み込む。
【0024】
この状態で、装着者200が発声すると、発声による振動が鼻腔に伝わり、鼻骨上の皮膚の振動が、鼻部205に押し当てられた振動センサ15によって検出される。そして、検出された信号(検出信号)が、無線モジュール25に伝送され、必要に応じて処理が施された後に、無線モジュール25等を介して、外部のスマートフォン等の通信端末に送信される。
【0025】
この骨伝導マイク1は、
図1に示すように、装着者200が矯正用などのメガネMを掛けていても、その上からメガネMの邪魔にならないように装着することができる。つまり、メガネMのフレームを避けてセンサ支持ワイヤ13が振動センサ15を鼻部205に当てるので、骨伝導マイク1は、メガネMを掛けているか否かに拘わらず装着可能である。また、骨伝導マイク1は、両目の真ん中をセンサ支持ワイヤ13が通過することになるので、視界を制限することを極力抑制できる。
【0026】
また、骨伝導マイク1は、センサ支持ワイヤ13の曲げ具合を調節することで、振動センサ15が鼻部205に当たる位置や向きを調整することができる。これにより、骨伝導マイク1は、装着者200がメガネMを掛けていても、メガネMの鼻当て部分に振動センサ15が干渉することを回避することができる。従って、振動センサ15の検出精度の低下を抑制できる。
【0027】
また、骨伝導マイク1は、センサ支持ワイヤ13に調整機能を持たせることで、鼻部205の位置やサイズに合わせて振動センサ15を感度の高い位置に密着させることができ、適切に鼻骨上の皮膚の振動をピックアップすることができる。
【0028】
また、センサ支持ワイヤ13の中に導線21を通しているので、導線21を外から見えないように隠すことができ、見栄えを良くすると共に、導線21が視界の一部を遮断することを抑制できる。
【0029】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の骨伝導マイクについて説明する。
図2は、第2実施形態の骨伝導マイクの装着状態を示す斜視図である。
【0030】
図2に示すように、第2実施形態の骨伝導マイク2の、
図1に示した第1実施形態の骨伝導マイク1との違いは、センサ支持ワイヤ13とヘッドバンド11との間に支持フレーム12(支持ベース部材の一例)を設けたことである。支持フレーム12は、左右方向に長いC字形に湾曲した棒状の部材で、左右方向の端部12bが、ヘッドバンド11の左右方向の端部11bの近傍に連結されている。
【0031】
これにより、ヘッドバンド11を頭部201に装着した際に、支持フレーム12の左右方向の中央部12aが額203の前方に非接触で浮いた状態に支持されるようになっている。そして、下端に振動センサ15の取り付けられた左右のセンサ支持ワイヤ13の各上端が、支持フレーム12の中央部12aに連結されている。ここでは、ヘッドバンド11と支持フレーム12が、頭部装着部10を構成しており、ヘッドバンド11が頭部装着部本体に相当している。なお、支持フレーム12は、金属製でもよいし、軽量化や製作性の観点などから樹脂製とされてもよい。
【0032】
骨伝導マイク2においても、振動センサ15で検出された信号が伝送される2本の導線21が、それぞれセンサ支持ワイヤ13の中を通り、支持フレーム12の中で1本にまとめられて、支持フレーム12の中央部12aから連結部を介してヘッドバンド11の左側端部に内蔵してある無線モジュール25に接続されている。
【0033】
この骨伝導マイク2を装着者が装着した場合、額203の前方に非接触で浮いた状態となる支持フレーム12に、センサ支持ワイヤ13の上端が連結されているので、頭部装着部10において生じる可能性のある装着部位の擦過音などの振動が、センサ支持ワイヤ13を通して振動センサ15に伝わり難くなる。そのため、骨伝導マイク2は、雑音を拾いにくくなり、鼻骨振動の検出精度の向上が図れる。
【0034】
また、骨伝導マイク2は、額203の前方にせり出した支持フレーム12の中央部12aからセンサ支持ワイヤ13を垂下させる。この場合、鼻部205の真上から顔面202に平行にセンサ支持ワイヤ13を垂下させる場合とは異なり、骨伝導マイク2は、額203の前方から鼻部205に向かって、つまり、顔面202の前方から徐々に顔面に近づく方向(後方)に向かって、傾斜を付けてセンサ支持ワイヤ13を垂下させることができる。従って、骨伝導マイク2では、鼻部205に対して振動センサ15をより適切に押し付けやすくなる。
【0035】
また、センサ支持ワイヤ13の上端が、額203の前方に位置する支持フレーム12に連結されているので、支持フレーム12から振動センサ15まで延びるセンサ支持ワイヤ13の長さを短くすることができる。例えば、センサ支持ワイヤ13を細いチューブ状のワイヤで構成した場合、長くなると強度が弱くなり、振動センサ15の鼻部205への押し付けが不適切になる可能性を生じる。これに対し、骨伝導マイク2は、センサ支持ワイヤ13の長さを短くできることで、センサ支持ワイヤ13の強度の低下を抑制できる。言い換えると、センサ支持ワイヤ13の長さが短くなることで、骨伝導マイク2は、センサ支持ワイヤ13をより細いワイヤで構成できることになり、視界の邪魔になることをより抑制できる。
【0036】
なお、無線モジュール25及びバッテリ26は、第1実施形態と同様にヘッドバンド11に設けてもよいし、支持フレーム12に設けてもよい。
【0037】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の骨伝導マイクについて説明する。
図3は、第3実施形態の骨伝導マイクの装着状態を示す斜視図である。
図4は、骨伝導マイクの非装着時の状態を示す正面図である。
図5Aは、骨伝導マイクにおける頭部装着部本体と支持ベース部材の連結部の構成を示す図であり、外側(表側)から見た斜視図である。
図5Bは、骨伝導マイクにおける頭部装着部本体と支持ベース部材の連結部の構成を示す図であり、内側(裏側)から示す斜視図である。
図6Aは、骨伝導マイクにおける二股のクリップの構成を示す概略図であり、非装着時にクリップの2つのアームがバネ力(弾性力)により閉じている状態を示す正面図である。
図6Bは、骨伝導マイクにおける二股のクリップの構成を示す概略図であり、装着時にクリップの2つのアームがバネ力に反して開いている状態を示す正面図である。
【0038】
図3及び
図4に示すように、第3実施形態の骨伝導マイク3の、
図2に示した第2実施形態の骨伝導マイク2との違いは、下記2点を含む。具体的には、2本のセンサ支持ワイヤ13の代わりに1本のセンサ支持ロッド16を設け、センサ支持ロッド16の下端に、二股のクリップ17を介して振動センサ15を取り付けた点である。また、支持フレーム12の左右方向の端部12b(両端部)をヘッドバンド11に上下方向に回動可能に連結した点、である。
【0039】
図5A及び
図5Bに詳細を示すように、支持フレーム12の左右方向の端部12bは、頭部装着部本体であるヘッドバンド11の左右方向の端部11bの近傍に連結ピン18を介して上下方向(矢印A方向)に回動自在に連結されている。これにより、
図4に示すように、骨伝導マイク3は、支持フレーム12の中央部12aの位置を、上下方向(矢印B方向)に調節することができる。
【0040】
センサ支持ロッド16は、湾曲自在とされており、上端が支持フレーム12の中央部12aに一体に連結されている。センサ支持ロッド16は、支持フレーム12と一体に樹脂成形されてよい。センサ支持ロッド16の下端には、
図6Aに示すように、二股のクリップ17が設けられている。クリップ17は、下方に延在する2本のアーム17aを有し、2本のアーム17aを閉じる方向の付勢力Fを発生する。そして、クリップ17の2本のアーム17aのそれぞれの先端に、鼻部205の左右に接触する左右の振動センサ15が取り付けられている。ここで、センサ支持ロッド16及び二股のクリップ17によりセンサ支持部が構成される。
【0041】
振動センサ15から出た導線21は、クリップ17の各アーム17aの中を通り、センサ支持ロッド16の内部で1本の導線22に纏められて、支持フレーム12、連結ピン18による回動連結部、ヘッドバンド11に順番に通されて無線モジュール25に接続されている。
【0042】
骨伝導マイク3では、支持フレーム12が上下方向に回動自在であり、センサ支持ロッド16が湾曲自在である。よって、この骨伝導マイク3を装着者が装着した場合、骨伝導マイク3は、頭部201のサイズや鼻部205のサイズや位置に個人差があっても、支持フレーム12の上下方向の位置調整、センサ支持ロッド16の湾曲により、振動センサ15を鼻部205の感度良好となる適切な位置に適切な方向から接触させることを容易にできる。
【0043】
また、骨伝導マイク3は、付勢力Fを発生する二股のクリップ17の各アーム17aの先端に振動センサ15を取り付けているので、
図6Bに示すように、振動センサ15を鼻部205へ適切な押圧力をもって押し付けることができる。従って、骨伝導マイク3は、装着性が優れ、鼻骨上の皮膚の振動を適切に感度良く拾えるようになると共に、鼻部205のサイズに拘わらず、振動センサ15の感度の個人差を小さくすることができる。
【0044】
また、骨伝導マイク3は、センサ支持ロッド16の中に導線22を通すことで、導線22を外から見えないように隠すことができ、振動センサ15から出ている導線21をセンサ支持ロッド16の長さの範囲で容易に1本に集約することができる。
【0045】
なお、骨伝導マイク3は、センサ支持ロッド16を、金属ワイヤで構成してもよいし、クリップ17をセンサ支持ロッド16と一体に構成してもよい。
【0046】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態の骨伝導マイクについて説明する。
図7は、第4実施形態の骨伝導マイクの非装着時の状態を示す正面図である。
【0047】
図7に示すように、第4実施形態の骨伝導マイク4の、
図3に示した第3実施形態の骨伝導マイク3との違いは、支持フレーム32(支持ベース部材の一例)に対してセンサ支持ロッド16を上下方向に回動可能に連結している点である。
【0048】
支持フレーム32は、中央で間隔を開けて左右のフレーム32a、32aに分割されており、左右の分割端32b、32bに軸受穴32c、32cが設けられている。一方、センサ支持ロッド16の上端がT字バー状に形成され、2本の左右に突き出した軸部16c、16cが、左右のフレーム32a、32aの各軸受穴32c、32cに挿入されている。それにより、センサ支持ロッド16が上下方向(矢印D方向)に回動自在に支持フレーム12に対して連結されている。この場合、ヘッドバンド11と支持フレーム32が頭部装着部を構成しており、ヘッドバンド11は頭部装着部本体に相当する。
【0049】
振動センサ15から出た導線21は、二股のクリップ17の各アーム17aの中を通り、センサ支持ロッド16の内部で1本の導線22に纏められて、軸部16a及び軸受穴32cを介して支持フレーム12に導かれ、さらに連結ピン18による回動連結部、ヘッドバンド11に順番に通されて、無線モジュール25に接続されている。なお、回動機構部分を経由せずに導線22を配線してもよい。
【0050】
この骨伝導マイク4を装着者が装着した場合、骨伝導マイク4は、センサ支持ロッド16を上下方向に回動させることで、鼻部205のサイズや位置に個人差があっても、振動センサ15を鼻部205の適切な位置に容易に接触させることができるようになる。つまり、骨伝導マイク4は、振動センサ15を鼻部205に当てる位置や圧力を調整しやすくなる。
【0051】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態として骨伝導マイクを含むヘッドセットについて説明する。
図8は、第5実施形態として、第2実施形態の骨伝導マイク2をベースにして構成した骨伝導ヘッドセット5の装着状態を示す斜視図である。なお、他の実施形態の骨伝導マイクをベースにして、骨伝導ヘッドセットが構成されてもよい。
【0052】
図8に示すように、第5実施形態の骨伝導ヘッドセット5の、
図2に示した第2実施形態の骨伝導マイク2との違いは、骨伝導スピーカ50を追加して設けている点である。
【0053】
骨伝導スピーカ50は、耳の近くの骨のある部分、例えば、耳の前側あるいは後ろ側の部分に当てることができるように、ヘッドバンド11の左側の端部からアーム51を介して支持さている。骨伝導スピーカ50は、無線モジュール25と電気的に接続されており、無線モジュール25から音声信号を取得し、音声信号に応じた振動を発生させることで、音声信号を出力する。
【0054】
この骨伝導ヘッドセット5を装着者が装着した場合、骨伝導ヘッドセット5は、周りの雑音が大きい状況であっても、骨伝導スピーカ50によって、骨伝導により装着者200に目的の音をクリアに伝えることができる。
【0055】
以上のように、上記実施形態で示した骨伝導マイク及び骨伝導ヘッドセットは、矯正用メガネや防塵用メガネなどを掛けていても、その上からメガネの邪魔にならないように装着することができる。また、骨伝導マイク及び骨伝導ヘッドセットは、振動センサ15を鼻部の適正位置に当接でき、鼻腔共鳴時の鼻部の皮膚の振動を検出できる。
【0056】
以上、図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0057】
上記の各実施形態の少なくとも一部は、他の実施形態と組み合わされてよい。
【0058】
以上のように、上記実施形態の骨伝導マイクは、人体(生命体の一例)(例えば装着者200)の鼻部205に体外から接触し鼻骨上の皮膚の振動を電気信号に変換する振動センサ15と、鼻部より上の人体の頭部に装着される頭部装着部10と、頭部装着部10から下方に延びて振動センサ15を鼻部205に向けて支持するセンサ支持部(例えばセンサ支持ワイヤ13、下端にクリップ17が設けられたセンサ支持ロッド16)と、を備えてよい。
【0059】
これにより、骨伝導マイクは、矯正用メガネや防塵用メガネなどを掛けていても、その上からメガネの邪魔にならないように装着可能である。つまり、骨伝導マイクは、装着者がメガネを掛けているか否かに拘わらず、装着可能である。また、骨伝導マイクは、振動センサ15が鼻に当たる位置を調整することにより、メガネを掛けていても、メガネの鼻当て部分に振動センサ15が干渉することを抑制できる。従って、骨伝導マイクは、振動センサ15の検出精度の低下を抑制できる。また、骨伝導マイクは、センサ支持部に調整機能を持たせることにより、振動センサが鼻部に当たる位置を調整することができる。従って、骨伝導マイクは、鼻部205の位置やサイズに合わせて振動センサ15を感度の高い位置に密着させることができ、適切に鼻骨上の皮膚の振動をピックアップすることができる。
【0060】
また、センサ支持部は、頭部装着部10に連結された上端から、人体の頭部201の眉間204の前方を通って下方へ延びることで、振動センサ15を支持してよい。
【0061】
これにより、骨伝導マイクは、両目の真ん中をセンサ支持部が通過することになるので、視界を制限することを極力抑制できる。
【0062】
また、頭部装着部10は、頭部201に装着される頭部装着部本体(例えばヘッドバンド11)と、頭部装着部本体に、装着時に側頭部近傍に位置する左右方向の端部11b(両端部)が連結されることで、装着時に中央部11aが人体の頭部201の額203の前方に非接触で浮いた状態となるよう支持され、且つ、センサ支持部の上端が連結された支持ベース部材(例えば支持フレーム12)と、を備えてよい。
【0063】
これにより、装着時に額203の前方に非接触で浮いた状態となる支持ベース部材に、センサ支持部の上端が連結されているので、頭部装着部10において生じる可能性のある装着部位の擦過音などの振動が、センサ支持部を通して振動センサ15に伝わり難くなる。そのため、骨伝導マイクは、雑音を拾いにくくなり、鼻骨振動の検出精度の向上を図れる。また、骨伝導マイクは、額203の前方にせり出した支持ベース部材の中央部12aからセンサ支持部を垂下させるので、鼻の真上から顔面202に平行にセンサ支持部を垂下させることと違って、額203の前方から鼻に向かって、つまり、顔面202の前方から徐々に顔面202に近づく方向(後方)に向かって、傾斜を付けてセンサ支持部を垂下させることができる。従って、骨伝導マイクは、鼻部205に対して振動センサ15を適切に押し付けやすくなる。
【0064】
また、センサ支持部の上端が、額203の前方に位置する支持ベース部材に連結されているので、骨伝導マイクは、支持ベース部材から振動センサ15まで延びるセンサ支持部の長さを短くすることができる。例えば、センサ支持部を細いチューブ状のワイヤで構成した場合、長くなると強度が弱くなり、振動センサ15の鼻部205への押し付けが不適切になる可能性を生じる。これに対し、骨伝導マイクは、センサ支持部の長さを短くできることで、センサ支持部の強度の低下を抑制できる。言い換えると、骨伝導マイクは、センサ支持部の長さが短くなることで、センサ支持部をより細いワイヤで構成できることになる。
【0065】
また、支持ベース部材の両端部が、頭部装着部本体に上下方向に回動自在に連結されてよい。
【0066】
これにより、骨伝導マイクは、頭の大きさや鼻の大きさや位置に個人差があっても、支持ベース部材の上下方向の位置を調整することで、振動センサ15を鼻部205の適切な位置に接触させることができる。従って、骨伝導マイクの装着性の向上が図れる。
【0067】
また、支持ベース部材に対しセンサ支持部が上下方向に回動可能に連結されてよい。
【0068】
これにより、骨伝導マイクは、センサ支持部を回動させることで、鼻部205のサイズや位置に個人差があっても、振動センサ15を鼻部の適切な位置に容易に接触させることができる。つまり、骨伝導マイクは、振動センサ15を鼻部に当てる位置や圧力を調整しやすくなる。
【0069】
また、センサ支持部は湾曲自在とされており、センサ支持部の中に、振動センサ15から頭部装着部10まで信号を伝送する導線21が通されてよい。
【0070】
これにより、骨伝導マイクは、センサ支持部が湾曲自在となっているので、センサ支持部の湾曲度合を調整することによって、振動センサ15の位置や向きを調整することができる。従って、振動センサ15を鼻部205の適切な位置に適切な方向から押し付けることが容易にできるようになる。また、骨伝導マイクは、センサ支持部の中に導線21を通すことで、導線21を外から見えないように隠すことができ、振動センサ15から出ている導線21をセンサ支持部の長さの範囲で容易に1本に集約することができる。
【0071】
また、骨伝導マイクは、センサ支持部は、下端部に、下方に延在する2本のアーム17aを閉じる方向の付勢力Fを発生するクリップ17を備えてよい。クリップ17の各アーム17aの先端に、鼻部205の左右に接触する左右の振動センサ15が取り付けられてよい。
【0072】
これにより、骨伝導マイクは、付勢力Fを発生する二股のクリップ17の各アーム17aの先端に振動センサ15を取り付けているので、振動センサ15を鼻部205へ適切な押圧力をもって押し付けることができる。従って、骨伝導マイクは、鼻骨上の皮膚の振動を適切に感度良く拾えるようになる共に、鼻部205のサイズに拘わらず、振動センサ15の感度の個人差を小さくすることができる。
【0073】
また、上記実施形態の骨伝導ヘッドセット5は、人体の鼻部205に体外から接触し鼻骨上の皮膚の振動を電気信号に変換する振動センサ15と、鼻部205より上の人体の頭部201に装着される頭部装着部10と、頭部装着部10から下方に延びて振動センサ15を鼻部205に向けて支持するセンサ支持部と、頭部装着部10に連結され、振動により音声信号を出力する骨伝導スピーカ50と、を備えてよい。
【0074】
これにより、骨伝導ヘッドセット5は、矯正用メガネや防塵用メガネなどを掛けていても、その上からメガネの邪魔にならないように装着可能である。つまり、骨伝導ヘッドセット5は、装着者がメガネを掛けているか否かに拘わらず、装着可能である。また、骨伝導ヘッドセット5は、振動センサ15が鼻に当たる位置を調整することにより、メガネを掛けていても、メガネの鼻当て部分に振動センサ15が干渉することを抑制できる。従って、骨伝導ヘッドセット5は、振動センサ15の検出精度の低下を抑制できる。また、骨伝導ヘッドセット5は、センサ支持部に調整機能を持たせることにより、振動センサ15が鼻部205に当たる位置を調整することができる。従って、骨伝導ヘッドセット5は、鼻部205の位置やサイズに合わせて振動センサ15を感度の高い位置に密着させることができ、適切に鼻骨上の皮膚の振動をピックアップすることができる。また、周りの音が大きく装着者が聞き取りづらい状況であっても、骨伝導ヘッドセット5は、骨伝導スピーカ50によって、骨伝導により装着者に目的の音をクリアに伝えることができる。