(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記評価値算出部は、所定の条件を満たす前記顧客の前記ストレス指標が第1閾値よりも大きい場合、前記ストレス指標が大きいほどより大きなオフセット値を前記ストレス指標に付加する補正を行い、補正後の前記ストレス指標に基づいて前記客室乗務員の評価値を算出する、請求項1に記載の客室乗務員の評価システム。
前記評価値算出部は、所定の条件を満たす前記顧客の前記ストレス指標が第2閾値よりも小さい場合、前記ストレス指標が小さいほどより大きなオフセット値を前記ストレス指標から減じる補正を行い、補正後の前記ストレス指標に基づいて前記客室乗務員の評価値を算出する、請求項1に記載の客室乗務員の評価システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の一態様に至る経緯)
上記の特許文献1は、飛行機の座席に設けられた感圧チューブにより座席に座る対象者の生体情報を検出し、検出した生体情報から対象者のストレスを判定し、判定したストレスが大きい場合、その旨をキャビンアテンダントやパイロット等に通知する技術を開示する。
【0012】
しかし、特許文献1のそもそもの課題は、対象者の生体情報の検出精度を向上できる生体情報取得装置を提供することにある(段落[0008])。その一態様として特許文献1は、生体情報取得装置を飛行機の座部に配置した具体例を開示するに過ぎない。そして、この具体例の効果として、キャビンアテンダントやパイロットがストレスの大きな対象者に対して細心の注意を払ったサービスを提供することが開示されているに過ぎない。
【0013】
したがって、特許文献1は、対象者のストレスからキャビンアテンダントを評価することはできないという課題がある。
【0014】
ところで、旅客機においては、複数の客室乗務員のそれぞれには客室内において自身が担当するエリアが事前に割り当てられており、そのエリア内の座席に搭乗する顧客に対してサービスを提供するのが一般的である。
【0015】
したがって、各客室乗務員が割り当てられたエリア毎に顧客のストレス指標を集計すれば、各客室乗務員の顧客に対するサービスが適切であるか否かが分かり、その結果、各客室乗務員の評価を行うことができる。
【0016】
本開示は、上記の知見に着目したものであり、顧客の生体データを用いて各客室乗務員を評価する技術を提供することを目的とする。
【0017】
本開示の一態様に係る客室乗務員の評価システムは、乗物に搭乗中の顧客の第1生体データを計測する第1生体センサと、
前記第1生体データと、搭乗中の前記顧客の座席を示す座席識別子と、前記座席を担当する客室乗務員を示す乗務員識別子と、を対応付けた乗務員対応データを記憶する記憶部と、
前記乗務員対応データを前記乗務員識別子毎に分類し、1の乗務員識別子に対応付けられた前記第1生体データに基づいて前記顧客のストレス指標を算出し、前記ストレス指標に基づいて前記1の乗務員識別子で示される前記客室乗務員の評価値を算出する評価値算出部と、
前記評価値を提示する表示装置と、
を備える。
【0018】
本態様によれば、飛行機に搭乗中の顧客の第1生体データと、顧客が搭乗した座席を示す座席識別子と、座席を担当する客室乗務員を示す乗務員識別子とが対応付けられた乗務員対応データが記憶される。そして、記憶された乗務員対応データが乗務員識別子毎に分類され、分類された乗務員対応データから、客室乗務員のそれぞれが担当する座席に搭乗した顧客のストレス指標が算出され、算出されたストレス指標から客室乗務員のそれぞれの評価値が算出される。そのため、第1生体データから各客室乗務員が担当する顧客のストレス指標を集計し、集計したストレス指標が大きければ、該当する客室乗務員のサービスが不適切であり、集計したストレス指標が小さければ、該当する客室乗務員のサービスが適切であったというようにして、各客室乗務員の評価値を算出し、各客室乗務員を評価することができる。そして、評価結果を提示することで、客室乗務員のサービスに対する顧客の満足度を客室乗務員にフィードバックすることができ、客室乗務員のサービスの向上を図ることができる。
【0019】
上記態様において、前記評価値算出部は、前記顧客の前記ストレス指標の平均値を前記客室乗務員の前記評価値として算出してもよい。
【0020】
本態様によれば、各顧客のストレス指標の平均値が各客室乗務員のそれぞれの評価値として算出されるので、各客室乗務員の評価値を正確に算出できる。
【0021】
上記態様において、前記表示装置は、前記客室乗務員の評価の出力指示を検知したとき、前記客室乗務員の前記評価値を提示してもよい。
【0022】
本態様によれば、例えば、所望する客室乗務員の評価値を容易に認識することができる。
【0023】
上記態様において、前記評価値算出部は、所定の条件を満たす前記顧客の前記ストレス指標が第1閾値よりも大きい場合、前記ストレス指標が大きいほどより大きなオフセット値を前記ストレス指標に付加する補正を行い、補正後の前記ストレス指標に基づいて前記客室乗務員の評価値を算出してもよい。
【0024】
本態様によれば、特別座席(例えば、ファーストクラス、ビジネスクラス)を利用する顧客や、マイレージポイントが高い顧客というような重要度の高い第2顧客に対し、ストレスを上げるようなサービスを行った客室乗務員の評価を下げることができる。
【0025】
上記態様において、前記評価値算出部は、所定の条件を満たす前記顧客の前記ストレス指標が第2閾値よりも小さい場合、前記ストレス指標が小さいほどより大きなオフセット値を前記ストレス指標から減じる補正を行い、補正後の前記ストレス指標に基づいて前記客室乗務員の評価値を算出してもよい。
【0026】
本態様によれば、例えば、特別座席(例えば、ファーストクラス、ビジネスクラス)を利用する顧客や、マイレージポイントが高い顧客というような重要度の高い第2顧客に対し、ストレスを下げるようなサービスを行った客室乗務員の評価を上げることができる。
【0027】
上記態様において、前記乗物に搭乗する前の前記顧客の第2生体データを計測する第2生体センサを更に備え、
前記記憶部は、前記第2生体データを前記第1生体データと対応付けて前記乗務員対応データとして記憶し、
前記評価値算出部は、前記第1生体データに基づいて算出される第1ストレス指標と前記第2生体データに基づいて算出される第2ストレス指標との差分に基づいて、前記ストレス指標を算出してもよい。
【0028】
本態様によれば、顧客が飛行機に搭乗する前、例えば、顧客が搭乗ゲートを通過するときの第2生体データから算出される第2ストレス指標と、飛行機に搭乗している顧客の第1生体データから算出される第1ストレス指標との差分に基づいてストレス指標が算出されているので、顧客毎のストレス指標を正確に算出できる。
【0029】
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1に係る客室乗務員の評価システム1の全体構成の一例を示す図である。客室乗務員の評価システム1は、飛行機Xの複数の座席101に取り付けられた複数の生体センサ110と、生体センサ110で計測された生体データを記録する記録装置20と、記録装置20が記録する生体データを統計処理する統計処理装置30と、統計処理装置30により算出された評価値を表示する評価表示装置40とを備える。
【0030】
飛行機Xは、例えば、航空会社が所有する旅客機である。飛行機Xは、顧客102が座る複数の座席101を備える。生体センサ110は、複数の座席101のそれぞれに対応して設けられている。但し、これは一例であり、生体センサ110が、同時に複数の人物の生体データを計測可能な生体センサで構成されているのであれば、生体センサ110は、生体データが計測可能な複数の人物に対応する複数の座席毎に1つ設けられればよい。
【0031】
座席101は顧客102の腰を支える座部101aと顧客の背中を支える背部101bとを備える。生体センサ110は、例えば、ミリ波レーダーで構成され、背部101bにおいて、後方の座席101に座る顧客102と対向するように配置されている。
図1の例では、生体センサ110は背部101bの上端に配置されているが、これは一例であり、顧客102の顔の前方に位置するように背部101bに配置されてもよい。生体センサ110は、顧客に対して放射するミリ波(計測波)が着座時の顧客102の顔付近に放射されるように、指向性が設定されている。
【0032】
また、
図1の例では、生体センサ110は、背部101bに設けられているが、これは一例であり、飛行機Xの室内の天井に設けられてもよい。この場合、生体センサ110は、各座席101の真上に位置するように天井に設けられればよい。
【0033】
記録装置20は、例えば、CPU、ROM、RAM、及び通信装置等を含むコンピュータで構成されており、所定のネットワークを介して飛行機Xと通信可能に接続されている。統計処理装置30は、例えば、CPU、ROM、RAM、及び通信装置等を含むコンピュータで構成されており、所定のネットワークを介して記録装置20と通信可能に接続されている。評価表示装置40は、CPU、ROM、RAM、及び通信装置等を含むコンピュータで構成され、統計処理装置30と所定のネットワークを介して通信可能に接続されている。評価表示装置40は、例えば、据え置き型のコンピュータで構成されているが、これは一例であり、スマートフォン、タブレット端末、及びボタン式の携帯電話等の携帯型のコンピュータで構成されてもよい。
【0034】
評価表示装置40は、例えば、航空会社において、客室乗務員を管理する管理部門に設置されたコンピュータで構成されてもよいし、各客室乗務員や各客室乗務員を管理する管理者が所持する携帯型のコンピュータで構成されてもよい。
【0035】
図2は、本開示の実施の形態1に係る客室乗務員の評価システム1の構成を示すブロック図である。客室乗務員の評価システム1は、飛行機Xに設けられた生体情報取得装置10と、
図1で示した記録装置20、統計処理装置30、及び評価表示装置40を備える。生体情報取得装置10及び記録装置20は、ネットワークNT1を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワークNT1としては、WiFi(登録商標)等の飛行機と地上の基地局との間で通信可能な無線通信網を含む公衆通信網が採用できる。
【0036】
記録装置20、統計処理装置30、及び評価表示装置40は、ネットワークNT2を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワークNT2としては、携帯電話通信網、WiFi(登録商標)通信網及びインターネット通信網等を含む公衆通信網が採用できる。なお、
図2では、説明の便宜上、ネットワークNT1とネットワークNT2とを分けて記載しているが、これは一例であり、両ネットワークは同じであってもよい。
【0037】
生体情報取得装置10は、例えば、飛行機X内に設けられたコンピュータで構成され、生体センサ110(第1生体センサの一例)、処理部120、生体データ記憶部130、及び通信部140を備える。
【0038】
生体センサ110は、通信部140と無線LAN又は有線LANで通信可能に接続されており、座席101に座る顧客102の生体データを計測し、通信部140に送信する。近年、ミリ波レーダーを用いて非接触で、同時に複数の人物の生体データを計測する計測技術が知られている。詳細には、この計測技術は、例えば60GHz帯のミリ波を人物に照射し、計測されるレーダー信号から心拍信号を抽出し、抽出した心拍信号から位相特徴点を抽出し、抽出した位相特徴点の時系列パターンから心拍間隔を推定する。
【0039】
そして、心拍間隔が推定できれば、例えば、特許第5257525号公報に示されているように、心拍間隔のゆらぎの周波数解析を行うことで、人物のストレスを検知することができる。
【0040】
そこで、本実施の形態では、生体センサ110として、ミリ波レーダーを採用する。
【0041】
また、背景技術で説明した特許文献1には、座部101aに装着された感圧チューブと、この感圧チューブで生じた内圧に応じた信号に基づいて、対象者の生体データを計測する技術が開示されている。そこで、本開示では、特許文献1に記載された技術を用いて顧客102の生体情報を計測してもよい。
【0042】
処理部120は、例えば、CPUで構成され、生体情報取得装置10の全体制御を司る。処理部120は、生体センサ110で計測された生体データを、座席識別子と、飛行機Xの便名識別子とに対応付けることで保存生体データを生成し、生体データ記憶部130に記憶する。生体データ記憶部130は、例えば、不揮発性の記憶装置で構成され、保存生体データが登録された保存生体テーブルT1を記憶する。
【0043】
図3は、生体データ記憶部130が記憶する保存生体テーブルT1のデータ構成の一例を示す図である。保存生体テーブルT1は、1つのレコードに1つの保存生体データが登録されたテーブルであり、「便名識別子」、「座席識別子」、及び「生体データ」のフィールドを備える。
【0044】
「便名識別子」は、飛行機Xの識別子であり、便名、飛行日付、及び飛行ルートを含む。
図3の例では、便名「PAL485便」、飛行日付「2016年10月1日」、及び飛行ルート「A空港からB空港」で構成された便名識別子が登録されている。
【0045】
「座席識別子」は、飛行機Xの室内の複数の座席のそれぞれを識別する情報であり、各座席に対して一意的に割り付けられた記号列が採用されている。「生体データ」のフィールドには、生体センサ110により計測された生体データが登録されている。
【0046】
ここで、生体センサ110は、飛行機Xの飛行中に一定のサンプリング間隔で生体データを計測するので、生体データは生体センサ110による生体データの計測値の時系列データとなる。生体センサ110は、自身に対して予め割り付けられた座席識別子と対応付けて生体データを送信する。そのため、処理部120は、生体データに座席識別子を対応付けて保存生体データを生成することができる。なお、生体センサ110に対して割り付けられる座席識別子としては、
図1に示すように、測定対象となる顧客102が座る座席101の座席識別子が採用される。なお、便名識別子は処理部120が事前に記憶している。
【0047】
図2を参照する。通信部140は、例えば、WiFi(登録商標)等の無線通信を用いてネットワークNT1に生体情報取得装置10を接続させる通信装置で構成されている。通信部140は、処理部120の制御の下、生体データ記憶部130に記憶された保存生体データを、ネットワークNT1を介して記録装置20に送信する。ここで、通信部140は、飛行機Xが目的地に到着した時に、処理部120の制御の下、保存生体データを記録装置20に送信すればよい。但し、これは、一例であり、通信部140は、保存生体データを生成する都度、すなわち、生体センサ110が生体データを計測する都度、保存生体データを記録装置20に送信してもよい。
【0048】
また、通信部140は、生体センサ110により計測された生体データを、飛行機X内に設けられた無線LAN又は有線LANを介して取得する。
【0049】
記録装置20は、生体データ管理部210、乗務員対応データ記憶部220(記憶部の一例)、及び通信部230を備える。
図2において、生体データ管理部210は、例えば、CPUで構成されている。また、乗務員対応データ記憶部220は、例えば、不揮発性の記憶装置で構成される。通信部230は、例えば、記録装置20をネットワークNT1,NT2に接続するための通信装置で構成されている。
【0050】
生体データ管理部210は、生体情報取得装置10から送信された保存生体データを、乗務員識別子と対応付けることで乗務員対応データを生成し、乗務員対応データ記憶部220に記憶する。ここで、生体データ管理部210は、生体情報取得装置10から保存生体データが送信されると、送信された保存生体データに含まれる座席識別子及び便名識別子に対応する乗務員識別子を、担当座席テーブルT2(
図4)を参照して取得すればよい。
【0051】
図4は、担当座席テーブルT2のデータ構成の一例を示す図である。担当座席テーブルT2は、1つのレコードに1つの担当座席データが登録されたデータベースで構成され、「便名識別子」、「乗務員識別子」、及び「座席識別子」のフィールドを備える。担当座席データは、各客室乗務員がどの飛行機便においてどの座席を担当したかを示すデータである。
【0052】
「便名識別子」及び「座席識別子」は
図3と同じである。「乗務員識別子」は各客室乗務員を区別するために一意的に割り付けられた記号列で構成されている。
図4の1行目の担当座席データの例では、便名識別子「PAL485便、2016年10月1日 A空港→B空港」において、乗務員識別子「J01」の客室乗務員が座席識別子「3列A,3列B,・・・」で示される座席から構成されるエリアを担当したことが登録されている。
【0053】
このように、担当座席テーブルT2には、「便名識別子」、「乗務員識別子」、及び「座席識別子」が対応付けて登録されているので、生体データ管理部210は、保存生体データに含まれる「便名識別子」及び「座席識別子」から対応する「乗務員識別子」を特定し、乗務員対応データを生成できる。
【0054】
図5は、飛行機Xの室内の座席101の配置を示す座席配置図の一例を示す図である。この座席配置図では、縦方向の上側が室内の前方を示している。また、この座席配置図では、各座席101には、横列の順番を示す数値と、縦列の順番を示す記号との組によって、座席識別子が付与されている。横列は前方から順番に「1」、「2」、「3」というように数値が割り当てられ、縦列は左方から右方に向けて「A」、「B」、「C」というように記号が割り当てられている。この例では、座席101の縦列が9個あるので、縦列には「A」〜「I」の9個の記号が割り当てられている。したがって、左上の頂点に位置する座席101は座席識別子「1A」となり、その右隣に位置する座席101は座席識別子「1B」となる。なお、
図5では、座席101の縦列が9個あるが、これは一例であり、座席101の縦列は10個以上又は8個以下の座席で構成されてもよい。座席識別子「1A」の座席の前方には飛行機Xの外部と連絡する搭乗口601が設けられている。
【0055】
各客室乗務員は、自身が担当する座席101のエリアが事前に定められており、基本的にはそのエリア内の座席101に座る顧客102に対してサービスを行う。
図5の例では、例えば、横列「1」〜「4」及び縦列「A」〜「C」からなるエリアは、客室乗務員「J01」、横列「1」〜「4」及び縦列「D」〜「F」からなるエリアは、客室乗務員「J02」、横列「1」〜「4」及び縦列「G」〜「H」からなるエリアは、客室乗務員「J03」というように、各客室乗務員は、自身が担当するエリアが事前に定められている。したがって、あるエリアの座席101に座る顧客102のストレス指標が高ければ、そのエリアを担当する客室乗務員のサービスが不適切であったと考えられる。一方、担当するエリアの座席101に座る顧客102のストレス指標が低ければ、そのエリアを担当する客室乗務員のサービスが適切であったと考えられる。本実施の形態は、この点に着目し、各客室乗務員の顧客102へのサービスを評価する。
【0056】
図2に参照を戻す。乗務員対応データ記憶部220は、乗務員対応データが登録された乗務員対応テーブルT3を記憶する。
図6は、乗務員対応テーブルT3のデータ構成の一例を示す図である。乗務員対応テーブルT3は、1つのレコードに1つの乗務員対応データが登録されたデータベースであり、「便名識別子」、「座席識別子」、「乗務員識別子」、及び「生体データ」のフィールドを備える。乗務員対応データは、
図3に示す保存生体データに対して更に「乗務員識別子」が対応付けられたデータである。「便名識別子」及び「座席識別子」は
図3と同じである。「生体データ」のフィールドには、各顧客102の生体データが登録されている。「乗務員識別子」は
図4に示す「乗務員識別子」と同じである。
【0057】
図6では、乗務員識別子「J01」について、座席識別子「3列A」の顧客102の「生体データ」として生体データVT11、座席識別子「3列B」の顧客102の「生体データ」として生体データVT13が登録されている。また、乗務員識別子「J02」について、座席識別子「10列A」の顧客102の「生体データ」として、生体データVT12が登録されている。但し、これは一例である。実際には、乗務員対応テーブルT3には、管理対象となる全客室乗務員が担当する全座席についての乗務員対応データが登録されている。
【0058】
このように、乗務員対応テーブルT3には、各客室乗務員が担当する顧客の生体データが登録されているので、後述する評価値算出部310は、各客室乗務員の評価値を算出できる。
【0059】
図2に参照を戻す。通信部230は、生体データ管理部210の制御の下、乗務員対応テーブルT3に登録された乗務員対応データを、ネットワークNT2を介して統計処理装置30に送信する。
【0060】
ここで、通信部230は、乗務員対応テーブルT3に登録される乗務員対応データの数が一定個数増加する度に乗務員対応データを統計処理装置30に送信してもよいし、一定時間が経過する度(例えば、1日毎)に乗務員対応データを統計処理装置30に送信してもよい。この場合、通信部230は、送信済みの乗務員対応データは送信しなくてもよい。また、通信部230は、送信済みの乗務員対応データは乗務員対応テーブルT3から削除してもよい。また、生体データが計測される都度、生体情報取得装置10から記録装置20に保存生体データが送信する態様が採用される場合、通信部230は、乗務員対応テーブルT3に新たに乗務員対応データが登録される度に乗務員対応データを統計処理装置30に送信してもよい。
【0061】
統計処理装置30は、評価値算出部310、処理部320、記憶部330、提示処理部340、及び通信部350を備える。
図2において、評価値算出部310、処理部320及び提示処理部340は、例えば、CPUで構成され、記憶部330は、例えば、不揮発性の記憶装置で構成される。通信部350は、統計処理装置30をネットワークNT2に接続するための通信装置で構成される。
【0062】
処理部320は、記録装置20から送信された乗務員対応データを通信部350が受信したとき、受信した乗務員対応データを記憶部330に記憶させる。詳細には、記憶部330は、乗務員対応データ記憶部220と同様、記録装置20から送信された乗務員対応データが登録された乗務員対応テーブルT3(
図6)を記憶している。したがって、処理部320は、記録装置20から送信された乗務員対応データを乗務員対応テーブルT3に登録する。
【0063】
評価値算出部310は、記憶部330が記憶する乗務員対応テーブルT3に登録された乗務員対応データを乗務員識別子毎に分類し、分類した乗務員対応データに含まれる生体データから、客室乗務員のそれぞれが担当する座席101に座った顧客102のストレス指標を算出し、算出したストレス指標から客室乗務員のそれぞれの評価値を算出する。
【0064】
本実施の形態では、生体センサ110としてミリ波レーダーが採用されている。そこで、評価値算出部310は、生体センサ110で計測された生体データから、心拍間隔を推定し、推定した心拍間隔に対して上述の特許第5257525号公報に記載された心拍間隔のゆらぎの周波数解析をすることで、客室乗務員のそれぞれが担当する座席101に搭乗した顧客102のストレス指標(乗務員対応データ毎のストレス指標)を算出すればよい。
【0065】
詳細には、評価値算出部310は、推定した心拍間隔を周波数解析することで、周波数0.3Hz前後に発生する高周波ピークのレベルHFと、0.1Hz前後に発生する低周波ピークのレベルLFとを検知し、LF/HFをストレス指標として算出すればよい。なお、ストレスが高いほど、LF/HFの値は増大する。したがって、ストレス指標は、値が大きいほど、ストレスが高いことを示す。
【0066】
そして、評価値算出部310は、乗務員対応データ毎に算出したストレス指標を客室乗務員毎に分類し、客室乗務員毎のストレス指標の平均値を客室乗務員のそれぞれの評価値として算出する。
図6の例では、乗務員識別子「J01」の客室乗務員について、例えば、生体データVT11から得られるストレス指標と生体データVT13から得られるストレス指標との平均値が評価値として算出される。
【0067】
評価値算出部310は、客室乗務員毎に算出した評価値を記憶部330が記憶する評価テーブルT4に登録する。
図7は、評価テーブルT4のデータ構成の一例を示す図である。評価テーブルT4は、1つのレコードに1の客室乗務員が割り当てられたデータベースで構成され、「乗務員識別子」及び「評価値」のフィールドを備える。「乗務員識別子」は
図4と同じである。「評価値」は、各客室乗務員を評価する値である。このように、評価テーブルT4には、客室乗務員毎の評価値が登録されているので、後述する評価表示装置40は、客室乗務員毎の評価値を表示できる。
【0068】
なお、評価値算出部310は、記憶部330が記憶する乗務員対応テーブルT3において、ストレス指標が算出済みの乗務員対応データについてはストレス指標の算出を省略してもよい。この場合、評価値算出部310は、乗務員対応テーブルT3に新たに追加された乗務員対応データについてのみストレス指標を算出すればよい。そして、評価値算出部310は、算出したストレス指標を客室乗務員毎に分類し、分類したストレス指標から客室乗務員毎の評価値を算出し、算出した評価値と評価テーブルT4に既に登録されている評価値との平均値を算出することで客室乗務員毎の評価値を新たに算出すればよい。そして、評価値算出部310は、新たに算出した客室乗務員毎の評価値で、評価テーブルT4を更新すればよい。
【0069】
記憶部330は、乗務員対応テーブルT3(
図6)、評価テーブルT4(
図7)、及び乗務員テーブル(
図8)を記憶する。
図8は、乗務員テーブルのデータ構成の一例を示す図である。乗務員テーブルT5は、1つのレコードに1の客室乗務員の個人データが割り当てられたデータベースであり、「乗務員識別子」、「性別」、「名前」、「年齢」、及び「所属」のフィールドを備える。
【0070】
「乗務員識別子」は
図4と同じである。「性別」、「名前」、「年齢」のフィールドには、該当する客室乗務員の性別、名前、及び年齢がそれぞれ登録されている。「所属」のフィールドには、航空会社での該当する客室乗務員の担当する航路や所属する部署が登録されている。ここでは、「所属」として、「国内線」及び「国際線」が登録されているが、これは一例である。
【0071】
提示処理部340は、通信部350がある客室乗務員の評価値を問い合わせる問い合わせ信号を受信すると、問い合わせ信号が指定する客室乗務員の評価値を評価テーブルT4から抽出する。提示処理部340は、抽出した評価値を通信部350を用いて評価表示装置40に送信し、評価表示装置40に評価値を提示させる。このとき、提示処理部340は、該当する客室乗務員の個人データを乗務員テーブルT5から読み出し、読み出した個人データを評価値と合わせて、通信部350を用いて評価表示装置40に送信し、個人データを評価表示装置40に提示させてもよい。
【0072】
通信部350は、処理部320の制御の下、記録装置20から送信された乗務員対応データを、ネットワークNT2を介して受信する。また、通信部350は、評価表示装置40から、評価値の問い合わせ信号を受信する。
【0073】
評価表示装置40は、処理部410、表示部420、操作部430、及び通信部440を備える。
図2において、処理部410は、例えば、CPUで構成される。表示部420は、液晶パネル等の表示装置で構成される。操作部430は、タッチパネルやキーボートやマウス等の入力装置で構成される。通信部440は、評価表示装置40をネットワークNT2に接続させる通信装置で構成される。
【0074】
処理部410は、客室乗務員のうちのいずれかの客室乗務員の評価値の出力指示が操作部430により受け付けられたとき、通信部440を用いて出力指示を統計処理装置30に送信する。また、処理部410は、記録装置20から評価値が送信された場合、当該評価値を示す評価画像(
図9)を表示部420に表示させる。
【0075】
表示部420は、処理部410の制御の下、各種の画像(評価画像等)を表示する。操作部430は、オペレータからの各種操作(評価値の出力指示等)を受け付ける。ここで、操作部430は、表示部420に表示された入力画像(図略)に設けられた名前入力欄及び/又は識別子入力欄に出力を希望する客室乗務員の名前又は乗務員識別子を入力させることで、出力指示を受け付ける。処理部410は、受け付けた出力指示によって指定された、客室乗務員の名前及び/又は乗務員識別子を含む評価値の問い合わせ信号を生成し、通信部440を用いて、評価表示装置40に送信する。
【0076】
通信部440は、統計処理装置30から各種情報(評価値等)を受信すると共に、統計処理装置30に対して各種情報(評価値の問い合わせ信号等)を送信する。
【0077】
図9は、評価表示装置40が表示する評価画像G900の一例を示す図である。評価画像G900は、該当する客室乗務員の顔画像を表示する顔画像表示欄R901と、該当する客室乗務員の個人情報を表示する個人データ表示欄R902とを備える。個人データ表示欄R902には、該当する客室乗務員の「名前」、「年齢」、及び「評価値」が含まれている。なお、該当する客室乗務員の「名前」、「年齢」、及び顔画像は、該当する客室乗務員の評価値と共に、統計処理装置30から送信される。
【0078】
図10は、本開示の実施の形態1に係る客室乗務員の評価システム1において、生体データが計測されてから評価値が算出されるまでの処理の一例を示すフローチャートである。
【0079】
まず、生体情報取得装置10の生体センサ110は、生体データを計測する(S601)。ここで、生体センサ110は、所定のサンプリング間隔で生体データを計測する。
【0080】
次に、生体情報取得装置10の処理部120は、計測された生体データを保存生体テーブルT1に登録する(S602)。詳細には、処理部120は、計測された生体データを座席識別子と便名識別子と対応付けることで保存生体データを生成し、保存生体テーブルT1に登録する。
【0081】
次に、生体情報取得装置10の通信部140は、飛行機Xが目的地に到着した時に、保存生体テーブルT1に登録した全ての保存生体データを記録装置20に送信する(S603)。なお、保存生体データの記録装置20への送信が終了すると、処理部120は、保存生体テーブルT1に登録されている保存生体データを消去すればよい。また、保存生体データが生成される都度、保存生体データを記録装置20に送信する態様が採用される場合、保存生体テーブルT1は不要となる。
【0082】
次に、記録装置20の通信部230は、生体情報取得装置10から保存生体データを受信する(S611)。次に、記録装置20の生体データ管理部210は、受信された保存生体データに含まれる便名識別子及び座席識別子に対応する乗務員識別子を、担当座席テーブルT2を参照することで抽出する。生体データ管理部210は、抽出した乗務員識別子を保存生体データに対応付け、乗務員対応データを生成し、乗務員対応テーブルT3に登録する(S612)。
【0083】
次に、記録装置20の通信部230は、生体データ管理部210の制御の下、乗務員対応テーブルT3に登録された乗務員対応データを統計処理装置30に送信する(S613)。この場合、通信部230は、上述したように、例えば、乗務員対応テーブルT3に登録される乗務員対応データの数が一定個数増加する度に、又は一定時間が経過する度に、乗務員対応データを統計処理装置30に送信すればよい。
【0084】
次に、統計処理装置30の通信部350は、記録装置20から送信された乗務員対応データを受信する(S621)。このとき、処理部320は、受信された乗務員対応データを記憶部330に記憶された乗務員対応テーブルT3に登録する。
【0085】
次に、統計処理装置30の評価値算出部310は、乗務員対応テーブルT3に登録された乗務員対応データを乗務員識別子毎に分類する(S622)。
【0086】
図6の例では、乗務員識別子「J01」及び乗務員識別子「J02」の客室乗務員の乗務員対応データが登録されているので、両客室乗務員毎に乗務員対応データが分類される。
【0087】
次に、評価値算出部310は、分類した乗務員対応データに含まれる生体データから、客室乗務員のそれぞれが担当する座席101に搭乗した顧客102のストレス指標を算出する(S623)。
図6の例では、乗務員識別子「J01」の客室乗務員については、生体データVT11に対応するストレス指標が算出され、且つ、生体データVT13に対応するストレス指標が算出される。また、
図6の例では、乗務員識別子「J02」の客室乗務員については、生体データVT12に対応するストレス指標が算出される。
【0088】
次に、評価値算出部310は、算出したストレス指標の各客室乗務員の平均を各客室乗務員の評価値として算出し(S624)、評価テーブルT4に登録する。
【0089】
以上により、各客室乗務員が担当する顧客102の生体データからストレス指標が算出され、算出されたストレス指標から各客室乗務員の評価値が算出される。
【0090】
図11は、本開示の実施の形態1に係る客室乗務員の評価システム1において、評価値が提示される処理の一例を示すフローチャートである。
【0091】
まず、評価表示装置40の操作部430は、いずれかの客室乗務員の評価値の出力指示の入力を受け付ける(S711)。出力指示の入力が受け付けられた場合(S711でYES)、評価表示装置40の通信部440は、出力指示によって指定された、客室乗務員の名前及び/又は乗務員識別子を含む評価値の問い合わせ信号を統計処理装置30に送信する(S712)。
【0092】
一方、出力指示の入力が受け付けられない場合(S711でNO)、処理をS711に戻す。
【0093】
次に、統計処理装置30の通信部350は、評価値の問い合わせ信号を受信する(S701)。次に、提示処理部340は、評価テーブルT4から該当する客室乗務員の評価値を抽出する(S702)。次に、統計処理装置30の通信部350は、抽出された評価値を該当する客室乗務員の個人データと合わせて評価表示装置40に送信する(S703)。
【0094】
次に、評価表示装置40の通信部440は、評価値及び個人データを受信する(S713)。次に、評価表示装置40の処理部410は、受信した評価値及び個人データから評価画像G900を生成し、表示部420に表示させる。これにより、
図9に示すような評価画像G900が提示される。
【0095】
このように、客室乗務員の評価システム1によれば、飛行機Xに搭乗中の顧客102の生体データと、顧客102が座った座席101を示す座席識別子と、座席101を担当する客室乗務員を示す乗務員識別子とが対応付けられた乗務員対応データが記憶される。そして、記憶された乗務員対応データが乗務員識別子毎に分類され、分類された乗務員対応データから、客室乗務員のそれぞれが担当する座席101に搭乗した顧客102のストレス指標が算出される。そして、算出されたストレス指標から客室乗務員のそれぞれの評価値が算出される。そのため、生体データから各客室乗務員が担当する顧客のストレス指標を集計し、集計したストレス指標が大きければ、該当する客室乗務員のサービスが不適切であり、集計したストレス指標が小さければ、該当する客室乗務員のサービスが適切であるというようにして、各客室乗務員の評価値を算出できる。そして、評価結果を提示することで、客室乗務員のサービスに対する顧客の満足度を客室乗務員にフィードバックすることができ、客室乗務員のサービスの向上を図ることができる。
【0096】
(実施の形態2)
図12は、本開示の実施の形態2に係る客室乗務員の評価システム1Aの全体構成の一例を示す図である。客室乗務員の評価システム1Aは、飛行機X内で生体データを計測することに加えて、空港の搭乗ゲート501に設けられた生体センサ510(第2生体センサの一例)も用いて生体データを計測し、両生体データを用いてストレス指標を算出することを特徴とする。なお、実施の形態2において実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省く。
【0097】
搭乗ゲート501は、顧客102が飛行機Xに搭乗する直前に通過するゲートである。
【0098】
生体センサ510は、飛行機Xに搭乗していない状態での顧客102のストレスを計測するために用いられる。空港内において例えば国内線の飛行機Xに搭乗する場合、まず、チェックインカウンターで搭乗手続きを行い、次に、手荷物カウンターで大型の荷物を預け、次に、検査場にてセキュリティチェックを受け、最後に、搭乗ゲートを通過するという手順を踏むのが一般的である。生体センサ510は、飛行機Xに乗る前の顧客102の生体データが計測できれば十分である。よって、生体センサ510の設置場所は、搭乗ゲート501に限定されず、チェックインカウンター、手荷物カウンター、又は検査場であってもよい。
【0099】
図13は、本開示の実施の形態2に係る客室乗務員の評価システム1Aの構成を示すブロック図である。客室乗務員の評価システム1Aは、
図2に示す客室乗務員の評価システム1に対して、更に、第2生体情報取得装置50が設けられている。なお、実施の形態2において、実施の形態1の生体情報取得装置10を、第2生体情報取得装置50と区別するために、第1生体情報取得装置10Aと記述する。また、実施の形態2では、生体センサ510で計測された生体データと生体センサ110で計測された生体データとを区別するために、前者を第2生体データ、後者を第1生体データと記述する。
【0100】
第2生体情報取得装置50は、生体センサ510、処理部520、及び通信部530を備える。生体センサ510は、生体センサ110と同様、例えば、ミリ波レーダーを採用する。
【0101】
処理部520は、例えば、CPUで構成され、第2生体情報取得装置50の全体制御を司る。処理部520は、生体センサ510で計測された第2生体データを、座席識別子及び便名識別子と対応付けて、ネットワークNT2を介して、記録装置20に送信する。なお、処理部520は、例えば、図略のスキャナを用いて顧客102が所有する飛行機Xのチケットに記載された座席情報及び飛行機Xの便名を読み取ることで、座席識別子及び便名識別子を取得すればよい。
【0102】
通信部530は、例えば、WiFi(登録商標)等の無線通信又は有線通信を用いて、第2生体情報取得装置50をネットワークNT2に接続する通信装置で構成されている。通信部530は、処理部520の制御の下、便名識別子及び座席識別子が対応付けられた第2生体データ(以下、「第2保存生体データ」と記述する。)を記録装置20に送信する。なお、実施の形態2では、第1生体情報取得装置10Aで生成された保存生体データを第1保存生体データと記述する。
【0103】
図14は、本開示の実施の形態2における第1保存生体データが登録された第1保存生体テーブルT11のデータ構成の一例を示す図である。第1保存生体テーブルT11において、
図3に示す保存生体テーブルT1との違いは、「生体データ」が「第1生体データ」になっているだけであり、本質的な違いはない。
【0104】
図15は、本開示の実施の形態2に係る第2保存生体データのデータ構成の一例を示す図である。第2保存生体データは、「便名識別子」、「座席識別子」、及び「第2生体データ」のフィールドを備える。なお、第2保存生体データにおいて、
図14に示す第1保存生体データとの違いは、「第1生体データ」が「第2生体データ」になっているだけであり、本質的な違いはない。
【0105】
図13に参照を戻す。実施の形態2においては、生体データ管理部210は、第1保存生体データに対して、第2保存生体データに含まれる第2生体データを対応付けることで乗務員対応データを生成し、乗務員対応データ記憶部220に記憶する。
【0106】
図16は、本開示の実施の形態2に係る乗務員対応データが登録された乗務員対応テーブルT31のデータ構成の一例を示す図である。乗務員対応テーブルT31において、
図6に示す乗務員対応テーブルT3との相違点は、「第2生体データ」のフィールドが更に追加されている点にある。
【0107】
生体データ管理部210は、第2保存生体データにおける「便名識別子」及び「座席識別子」と同じ「便名識別子」及び「座席識別子」を持つ第1保存生体データを特定し、特定した第1保存生体データに、第2保存生体データに含まれる第2生体データを対応付けることで乗務員対応データを生成すればよい。
【0108】
図17は、本開示の実施の形態2に係る客室乗務員の評価システム1Aにおいて、第1,第2生体データが計測されてから評価値が算出されるまでの処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図17において、
図10と同じ処理には同一の符号を付し、説明を省く。
【0109】
まず、第2生体情報取得装置50の生体センサ510は、搭乗ゲート501を通過する顧客102の第2生体データを計測する(S1001)。次に、第2生体情報取得装置50の処理部520は、S1001で計測された第2生体データを「便名識別子」及び「座席識別子」と対応付けて第2保存生体データを生成し、通信部530を用いて、記録装置20に送信する(S1002)。
【0110】
次に、記録装置20の通信部230は、第2保存生体データを受信する(S1011)。続いて、実施の形態1と同様、S611の処理が実行される。次に、記録装置20の生体データ管理部210は、受信した第2保存生体データに含まれる第2生体データを、対応する第1保存生体データと対応付けることで、乗務員対応データを生成し、乗務員対応テーブルT31に登録する(S1012)。
【0111】
S622に続くS1021では、統計処理装置30の評価値算出部310は、分類した乗務員対応データに含まれる第1,第2生体データから、客室乗務員のそれぞれが担当する座席101に搭乗した顧客102の第1,第2ストレス指標を算出する。
【0112】
図16の例では、乗務員識別子「J01」の客室乗務員については、第1生体データVT11に対応する第1ストレス指標が算出され、且つ、生体データVT13に対応する第1ストレス指標が算出される。同様に、乗務員識別子「J01」の客室乗務員については、第2生体データVT21に対応する第2ストレス指標が算出され、且つ、生体データVT23に対応する第2ストレス指標が算出される。なお、第1,第2ストレス指標は、実施の形態1で示すストレス指標と同一の手法を用いて算出される。
【0113】
次に、評価値算出部310は、乗務員対応データ毎に第1ストレス指標から第2ストレス指標を減じることで乗務員対応データ毎のストレス指標を算出する(S1022)。
図16の1行目の乗務員対応テーブルT31を用いて、ストレス指標の算出処理の一例を説明する。評価値算出部310は、第1生体データVT11から算出された第1ストレス指標から、第2生体データVT21から算出された第2ストレス指標を減じることで、1行目の乗務員対応データに対するストレス指標を算出する。評価値算出部310は、他の乗務員対応データに対しても同様の処理を行い、ストレス指標を算出する。
【0114】
次に、評価値算出部310は、S1022で算出したストレス指標の各客室乗務員の平均を各客室乗務員の評価値として算出し(S1023)、評価テーブルT4に登録する。
【0115】
飛行機Xに搭乗中の顧客102のストレスが増大するにつれて、第1ストレス指標と第2ストレス指標との差分は増大する。しかも、この差分から得られるストレス指標は、飛行機Xに搭乗する前のストレス指標を基準としているので、飛行機Xが顧客102に与えるストレスの影響を正確に反映していると言える。そこで、本実施の形態では、第1ストレス指標から第2ストレス指標を減じることで得られるストレス指標を用いて評価値を算出する。
【0116】
このように、実施の形態2に係る客室乗務員の評価システム1Aによれば、顧客102が飛行機Xに搭乗する前の第2生体データから算出される第2ストレス指標と、飛行機Xに搭乗している顧客102の第1生体データから算出される第1ストレス指標との差分に基づいてストレス指標が算出されているので、ストレス指標を正確に算出できる。
【0117】
(実施の形態3)
実施の形態3に係る客室乗務員の評価システム1Bは、第1顧客よりも重要度の高い第2顧客に対し、ストレスを上げるようなサービスを行った客室乗務員の評価を下げ、第2顧客に対し、ストレスを下げるようなサービスを行った客室乗務員の評価を上げることを特徴とする。第2顧客とは、特別座席(例えば、ファーストクラス、ビジネスクラス)に座った顧客や、マイレージポイントが一定値以上の顧客が該当する。第1顧客とは第2顧客以外の顧客が該当する。
【0118】
なお、実施の形態3において実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省く。また、実施の形態3は実施の形態1、2のいずれの構成を採用した場合も適用可能であるが、以下の説明では、実施の形態1の構成を採用した場合を例に挙げて説明する。したがって、実施の形態3に係る客室乗務員の評価システム1Bにおいて、全体構成は
図1及び
図2と同じである。
【0119】
図2を参照する。実施の形態3では、統計処理装置30の評価値算出部310は、第2顧客については、生体データから算出したストレス指標K1が第1閾値TH1より大きければ、ストレス指標K1と第1閾値TH1との差が増大するにつれて、ストレス指標K1を増大させるためのオフセット値αを決定し、ストレス指標K1+オフセット値αによりストレス指標K1を補正してストレス指標K2を算出する。一方、評価値算出部310は、ストレス指標K1が第2閾値TH2(<TH1)よりも小さければ、ストレス指標K1と第2閾値TH2との差が増大するにつれて、ストレス指標K1を減少させるためのオフセット値βを決定し、ストレス指標K1−オフセット値βによりストレス指標K1を補正してストレス指標K2を算出する。
【0120】
ここで、第1閾値TH1としては、ストレス指標K1がこれ以上増大すると第2顧客のストレスが平常時のストレスを超えることが想定される経験的に得られた値が採用できる。また、第2閾値TH2としては、ストレス指標K1がこれ以下に低下すると、第2顧客のストレスが平常時のストレスを下回り、心地よいと感じることが想定される経験的に得られた値が採用できる。
【0121】
オフセット値αは、例えば、ストレス指標K1から第1閾値TH1を減じた差分(K1−TH1)が増大するにつれて値が単調増加する関数によって決定される。オフセット値βは、例えば、第2閾値TH2からストレス指標K1を減じた差分(TH2−K1)が増大するにつれて値が単調増加する関数によって決定される。
【0122】
図18は、本開示の実施の形態3に係る客室乗務員の評価システム1Bにおいて、生体データが計測されてから評価値が算出されるまでの処理の一例を示すフローチャートである。
図18においては、S1101の処理のみが
図10と相違する。S1101では、統計処理装置30の評価値算出部310は、評価値の算出処理を実行する。
【0123】
図19は、
図18のS1101に示す評価値の算出処理の一例を示すフローチャートである。まず、評価値算出部310は、乗務員識別子毎に分類された乗務員対応データの中から、処理対象となる1つの乗務員対応データを特定する(S1201)。ここで、評価値算出部310は、乗務員識別子毎に分類された乗務員対応データの中から1の乗務員対応データを所定の順番(例えば、登録順)に特定すればよい。
【0124】
次に、評価値算出部310は、特定した1の乗務員対応データに含まれる顧客識別子が第2顧客の顧客識別子であるかを判定する。ここで、評価値算出部310は、記憶部330に事前に記憶された予約情報テーブルT6(
図20)及び記憶部330に事前に記憶された顧客テーブルT7(
図21)を参照することで、該当する顧客識別子が第2顧客の顧客識別子であるか否かを判定すればよい。
【0125】
図20は、本開示の実施の形態3に係る客室乗務員の評価システム1Bで用いられる予約情報テーブルT6のデータ構成の一例を示す図である。予約情報テーブルT6は、1つのレコードに対して1つの予約情報が登録されたデータベースであり、「便名識別子」、「座席識別子」、及び「顧客識別子」のフィールドを備える。予約情報は、各顧客102について、どの飛行機便のどの座席を予約したかを示す情報である。
【0126】
「便名識別子」及び「座席識別子」は
図3と同じである。「顧客識別子」は、管理対象となる顧客を一意的に識別するためのデータである。
図20では、顧客識別子「U03」の顧客102が便名識別子「PAL485便、2016年10月1日、A空港からB空港」の飛行機Xに対して、座席識別子「3列A」の座席を予約していることを示す予約情報が登録されている。
【0127】
なお、
図20の例では、1つの予約情報しか示されていないが、実際には、管理対象となる複数の飛行機Xに対する複数の座席に対する予約情報が登録されている。なお、予約情報テーブルT6は、統計処理装置30の記憶部330が事前に記憶しているものとする。
【0128】
図21は、本開示の実施の形態3に係る客室乗務員の評価システム1Bで用いられる顧客テーブルT7のデータ構成の一例を示す図である。顧客テーブルT7は1つのレコードに対して1の顧客データが割り当てられたデータベースであり、「顧客識別子」、「名前」、「マイレージポイント」、及び「属性」のフィールドを備える。「顧客識別子」は
図20と同じである。「名前」のフィールドには、顧客の氏名が登録されている。「マイレージポイント」のフィールドには顧客が所持するマイレージポイントが登録されている。マイレージポイントは、例えば、顧客102が該当する航空会社の飛行機に搭乗したトータル距離が増大するにつれて値が増大するポイントである。「属性」のフィールドには顧客が第2顧客の属性を持つか否かを示すデータが登録されている。ここでは、「属性」のフィールドに「プレミアム」が登録されている場合、その顧客は第2顧客となる。ここでは、マイレージポイントが一定値以上である顧客又は特別座席に搭乗した回数が一定値以上の顧客に「プレムアム」の属性が付与される。なお、特別座席に座る顧客が第2顧客として取り扱われても良い。この場合、特別座席に座っているか否かは座席識別子から特定できる。
【0129】
評価値算出部310は、1の乗務員対応データに含まれる「便名識別子」及び「座席識別子」に対応する「顧客識別子」を予約情報テーブルT6から抽出する。そして、評価値算出部310は、顧客テーブルT7を参照して、抽出した「顧客識別子」に対応する顧客データの「属性」のフィールドに「プレミアム」が登録されている場合、該当する顧客を第2顧客と判定すればよい。或いは、評価値算出部310は、1の乗務員対応データに含まれる「座席識別子」が事前に定められた特別座席に該当する座席を示すのであれば、該当する顧客を第2顧客と判定してもよい。
【0130】
図19に参照を戻す。評価値算出部310は、顧客識別子が第2顧客の顧客識別子を示す場合(S1202でYES)、1の乗務員対応データに含まれる生体データからストレス指標K1を算出する(S1203)。一方、顧客識別子が第2顧客の顧客識別子を示さない場合(S1202でNO)、評価値算出部310は、該当する顧客は第1顧客と判定し、処理をS1211に進める。
【0131】
S1204では、ストレス指標K1が第1閾値TH1より大きければ(S1204でYES)、評価値算出部310は、差分(K1−TH1)からオフセット値αを決定する(S1205)。一方、ストレス指標K1が第1閾値TH1以下であれば(S1204でNO)、処理はS1208に進む。
【0132】
S1206では、評価値算出部310は、K2=K1+αによりストレス指標K2を算出する。ここで、オフセット値αは、差分(K1−TH1)が増大するにつれて値が大きくなるので、ストレス指標K2は、ストレス指標K1が第1閾値TH1を超える量が増大するにつれて、すなわち、第2顧客のストレスが増大するにつれて増大する。よって、この第2顧客を担当した客室乗務員のストレス指標K1は増大するように補正され、この客室乗務員の評価値は低下する。
【0133】
S1208では、ストレス指標K1が第2閾値TH2よりも小さければ(S1208でYES)、評価値算出部310は、差分(TH2−K1)からオフセット値βを決定する(S1209)。次に、評価値算出部310は、K2=K1−βによりストレス指標K2を算出する(S1210)。ここで、オフセット値βは、差分(TH2−K1)が増大するにつれて増大するので、ストレス指標K2は、第2顧客のストレスが低下するほど低下する。よって、この第2顧客を担当した客室乗務員のストレス指標K1は減少するように補正され、この客室乗務員常の評価値は上昇する。
【0134】
S1211では、評価値算出部310は、1の乗務員対応データに含まれる生体データからストレス指標K1を算出する。次に、評価値算出部310は、S1211又はS1203で算出したストレス指標K1をストレス指標K2として算出する(S1212)。
【0135】
すなわち、第1顧客については、ストレス指標K1は補正されずに、そのままストレス指標K2として算出されるのである(S1202でNO、S1211、S1212)。また、第2顧客であっても、ストレス指標K1が第1閾値以下且つ第2閾値以上であれば(S1204でNO、S1208でNO)、ストレス指標K1は補正されずに、そのままストレス指標K2として算出されるのである。
【0136】
S1207では、ストレス指標K2が未算出の乗務員対応データがあれば、評価値算出部310は、終了条件を満たさないと判定し(S1207でNO)、処理をS1201に戻す。一方、ストレス指標K2が未算出の乗務員対応データが無ければ、評価値算出部310は、終了条件を満たすと判定し(S1207でYES)、処理を終了する。
【0137】
このように、実施の形態3では、第2顧客に対する客室乗務員の評価を第1顧客に対する客室乗務員の評価よりも厳しくすることができる。
【0139】
(1)実施の形態1〜3では、評価値は、ストレス指標が大きいほど値が増大するように定められているので、値が増大するほど評価が低いことを示している。本開示はこれに限定されず、評価値は、ストレス指標が小さいほど値が増大するように定められても良い。この場合、評価値は、ストレス指標の逆数を客室乗務員毎に平均した値が採用されればよい。
【0140】
(2)実施の形態1〜3では、ストレス指標の平均値が評価値として採用されているが、本開示はこれに限定されず、ストレス指標の平均値の偏差値が評価値として採用されてもよい。
【0141】
(3)実施の形態1〜3では、記録装置20、統計処理装置30、及び評価表示装置40は別のコンピュータで構成されているが、本開示はこれに限定されず、1つのコンピュータで構成されてもよい。
【0142】
(4)上記実施の形態では、生体センサ110として、ミリ波レーダー又は感圧チューブを用いたセンサが採用できるとして説明したが、本開示はこれに限定されない。
【0143】
例えば、特許第5735592号公報には、心拍数、脈拍、及び体温等の生体データから利用者の快度を−5〜+5の10段階で評価することが開示されている。そこで、本開示は、この公報に開示された快度をストレス指標として採用してもよい。この場合、脳波、脳血流、脈波、血圧、呼吸数、体温、及び発汗量からストレス指標を算出すればよい。
【0144】
また、特開2012−249797号公報には、心拍数、体温、血圧、及び発汗量を一次結合した値をストレス値として算出することが開示されている。そこで、本開示は、この公報に記載されたストレス値をストレス指標として採用してもよい。
【0145】
また、例えば、特表2003−534864号公報は、人物の顔面の熱画像データを使用して、人物のストレスを判定する技術を開示する。そこで、本開示は、この公報に記載された技術を用いてストレス指標を算出してもよい。
【0146】
(5)実施の形態1〜3では、評価表示装置40は、飛行機Xの外部に設けられていたが、飛行機X内に設けられてもよい。この場合、客室乗務員の評価システムは、リアルタイムで客室乗務員の評価値を算出し、評価表示装置40に提示させればよい。更に、この場合、統計処理装置30は、現在搭乗中の顧客102の生体データのみを用いて各客室乗務員の評価値を算出すればよい。