(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スペーサ部材における前記アーチ部の内側の領域は、平面視で前記冷却ファンの前記吸込口に面する領域を含み、前記アーチ部の内側と前記外枠の間には前記内枠は設けられていない、請求項4に記載の高周波加熱装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明は、被加熱物を収容する加熱室内に高周波を供給して前記被加熱物を加熱処理する高周波加熱装置であって、前記加熱室の下方に設けられた機械室であって、前記高周波加熱装置の底部を構成する底壁を有し、前記底壁に複数のパンチング孔を形成した機械室と、前記機械室内に配置され、前記加熱室に向けて高周波を放射するマグネトロンと、前記機械室内に配置され、前記機械室の前記パンチング孔に面する吸込口を有して、前記吸込口から吸い込んだ空気を前記マグネトロンに向けて送風する冷却ファンと、前記機械室の前記底壁の下で、前記パンチング孔が形成される前記底壁の領域と平面視で部分的に重なり、かつ、上下方向に厚みを有したスペーサ部材と、を備える、高周波加熱装置である。
【0011】
このような構成によれば、高周波加熱装置を布などの上に置いて運転し、パンチング孔に布が吸い込まれようとする場合でも、パンチング孔を部分的に覆うスペーサ部材を設けることで、パンチング孔の全体が布で塞がれることを防止することができる。これにより、冷却ファンの吸込口からの吸気を確保することができ、高周波加熱装置をより正常に運転し、高周波加熱装置の信頼性を向上させることができる。
【0012】
第2の発明は、特に、第1の発明における前記スペーサ部材は、前記パンチング孔を形成する前記底壁に対して平行に延びる線状の部材である。
【0013】
このような構成によれば、スペーサ部材の占有面積を小さくしながら吸気口からの吸気を確保することができる。
【0014】
第3の発明は、特に、第1の発明又は第2の発明における前記スペーサ部材は、平面視で前記スペーサ部材の外周を構成する外枠と、前記外枠の内側に架け渡される内枠とを備える。
【0015】
このような構成によれば、スペーサ部材の形状を様々な形にすることができる。
【0016】
第4の発明は、特に、第3の発明における前記スペーサ部材の前記内枠は、平面視で格子状に延びる格子部を備える。
【0017】
このような構成によれば、スペーサ部材の強度を確保しながら吸気口からの吸気を確保することができる。
【0018】
第5の発明は、特に、第3の発明又は第4の発明における前記スペーサ部材の前記内枠は、平面視で曲線状に湾曲するアーチ部を備える。
【0019】
このような構成によれば、スペーサ部材の形状をより様々な形にすることができる。また格子部と組み合わせた場合、形状の多様化と強度の確保を両立することができる。
【0020】
第6の発明は、特に、第5の発明における前記スペーサ部材における前記アーチ部の内側の領域は、平面視で前記冷却ファンの前記吸込口に面する領域を含み、前記アーチ部の内側と前記外枠の間には前記内枠は設けられていない。
【0021】
このような構成によれば、冷却ファンの吸込口に面する領域をできるだけスペーサ部材によって塞がないようにすることができ、吸込口からの吸気をより確保することができる。
【0022】
第7の発明は、特に、第1の発明から第6の発明のいずれかにおける前記スペーサ部材を前記機械室の前記底壁に取り付ける取付部をさらに備える。
【0023】
このような構成によれば、スペーサ部材を機械室の底壁と別部材で構成することで、一体的に構成する場合よりもスペーサ部材の製造が容易になる。
【0024】
第8の発明は、特に、第1の発明から第7の発明のいずれかにおける前記機械室は、前記冷却ファンの前方において複数のパンチング孔を形成する側壁部をさらに有する。
【0025】
このような構成によれば、機械室の底壁だけでなく側壁部からも吸気を行うことができ、冷却ファンの吸気経路をより多く確保することができる。
【0026】
第9の発明は、特に、第1の発明から第8の発明のいずれかにおける前記スペーサ部材の最下点は、前記高周波加熱装置の最下点よりも高い位置にある。
【0027】
このような構成によれば、スペーサ部材が高周波加熱装置の設置面に接触しないため、高周波加熱装置を設置面に置く際にスペーサ部材が邪魔にならない。
【0028】
第10の発明は、特に、第1の発明から第9の発明のいずれかにおける前記パンチング孔を形成する前記底壁の領域から、前記高周波加熱装置の最下点までの高さ距離は、10mm以下である。
【0029】
このような構成によれば、スペーサ部材による吸気経路の確保の効果をより効果的に発揮することができる。
【0030】
以下に、本発明にかかる実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0031】
(実施形態)
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の図面において、X方向を高周波加熱装置1の横方向(幅方向)とし、Y方向を縦方向(前後方向)とし、Z方向を高さ方向(上下方向)とする。なお、この実施形態によって本発明が限定されるものではない。
【0032】
図1は、実施形態に係る高周波加熱装置1の前方斜視図である。
図2は、扉9を開けた状態における高周波加熱装置1の前方斜視図である。
【0033】
図1及び
図2に示すように、高周波加熱装置1は、本体3と、本体3の内部で発生する水を収容するトレイ7と、開閉可能に本体3に取り付けられる扉9とを備える。
【0034】
本体3は、
図2に示すように、本体3の内部で食品などの被加熱物(図示せず)を収容する加熱室31と、本体3の前面に設けられる前枠33とを有する。加熱室31の前面には、被加熱物を出し入れする開口31aが設けられる。前枠33は、加熱室31の開口31aの周囲に設けられ、開口31aを含む。
【0035】
トレイ7は、前枠33の下方(−Z方向)に設けられ本体3に着脱可能に取り付けられ、前枠33を流れ落ちる水を収容する。トレイ7は、第1トレイ71と、第2トレイ73とを有する。第1トレイ71は本体3の横方向の一端側に設けられ、第2トレイ73は横方向において第1トレイ71の他端側に並んで設けられる。第2トレイ73は、蒸気を発生させるための水を収容する水タンク(図示せず)も兼ねている。
【0036】
扉9は、加熱室31の開口31aを開閉可能に覆う。扉9は、開口31aの下方において、扉9が水平方向の回転中心で本体3に開閉自在に取り付けられる。扉9の上部に取り付けられたハンドル91をユーザが引くことで扉9が開く。扉9が垂直状態となるように回転操作されることで、加熱室31が閉鎖され、水平状態となるように回転操作されることで加熱室31が開放される。
【0037】
扉9には、
図1に示すように、正面視で一側方に表示部93と操作部95とが配置されている。表示部93は、例えば液晶画面であり、メニュー画面などが表示される。操作部95は、押しボタン、ダイヤルを含む。ユーザは操作部95を用いて高周波加熱装置1に種々の調理指示を出す。
【0038】
本体3は、高周波加熱装置1の外枠を構成する外枠部3bを備える。外枠部3bは、加熱室31と間隔を空けた状態で固定されている。外枠部3bと加熱室31の間の空間には、蒸気発生装置(図示せず)などの各種機械部品が配置される。
【0039】
高周波加熱装置1において外枠部3bおよび第1トレイ71、第2トレイ73などを省略した状態を
図3に示す。
図3は、外枠部3bなどを省略した高周波加熱装置1の前方斜視図である。
【0040】
図3に示すように、加熱室31の下方には機械室40が設けられる。機械室40は、後述するマグネトロン、冷却ファンなどの機械部品を収容するための空間を形成する。機械室40は、高周波加熱装置1の底部を構成する底壁42を有する。底壁42は、高周波加熱装置1が設置される設置面(例えばラック)に対向する。
【0041】
機械室40に配置される機械部品を
図4、
図5に示す。
図4は、底壁42を省略した状態の機械部品の下方斜視図であり、
図5は、機械部品を上から見た平面図である。
【0042】
図4、
図5に示すように、機械室40には、マグネトロン44と、インバータ46と、冷却ファン48とが設けられている。
【0043】
マグネトロン44は、高周波であるマイクロ波を加熱室31に向けて放射する部材(マイクロ波放射部)である。インバータ46は、マグネトロン44を駆動する部材(駆動部)である。マグネトロン44とインバータ46はともに、高周波加熱装置1の運転時に発熱する発熱部品である。冷却ファン48は、マグネトロン44、インバータ46などの発熱部品を冷却するための部材である。
【0044】
図4に示すように、冷却ファン48は、空気を吸い込むための吸込口48Aを下部に有する。吸込口48Aは、機械室40の底壁42(
図3)に向かって下方(―Z方向)を向いている。冷却ファン48はさらに、
図4、
図5に示すように、第1吐出口48Bと、第2吐出口48Cとを有する。第1吐出口48Bはマグネトロン44に向けて開口し、第2吐出口48Cはインバータ46に向けて開口する。冷却ファン48は、第1吐出口48Bからマグネトロン44へ送風し、第2吐出口48Cからインバータ46へ送風する。
【0045】
図5に示すように、機械室40の底壁42には、複数のパンチング孔42Aが形成されている。パンチング孔42Aは、冷却ファン48によって部分的に覆われており、冷却ファン48の吸込口48A(
図4)に対向する領域を含む位置に形成されている。パンチング孔42Aは、冷却ファン48が高周波加熱装置1の外部から空気を吸い込むための吸気口として機能する。
【0046】
パンチング孔42Aを裏から見た図を
図6、
図7に示す。
図6は、高周波加熱装置1の底壁42およびスペーサ部材50を示す下方斜視図であり、
図7は、同底面図である。
【0047】
図6、
図7に示すように、パンチング孔42Aに隣接する位置にスペーサ部材50が設けられている。スペーサ部材50は、パンチング孔42Aに布などが吸い込まれてパンチング孔42Aが閉塞されることを防止するための部材である。スペーサ部材50は、底壁42の下方(―Z方向)に設けられ、上下方向に厚みを有している。スペーサ部材50は、底壁42と高周波加熱装置1の設置面(図示せず)の間隔を確保するスペーサとして機能する。
【0048】
図7に示すように、スペーサ部材50は平面視して、パンチング孔42Aが形成される底壁42の領域と部分的に重なるように配置される。すなわち、スペーサ部材50は、平面視してパンチング孔42Aの領域を部分的に隠すように配置される。
【0049】
本実施形態のスペーサ部材50は、底壁42の面に対して平行に延びる線状の部材である。スペーサ部材50を線状で構成することで、スペーサ部材50の占有面積を小さくしながらパンチング孔42Aからの吸気を確保することができる。
【0050】
図6、
図7に示すように、スペーサ部材50は、外枠52と、内枠54とを備える。外枠52は、平面視でスペーサ部材50の外周を構成する部分である。内枠54は、外枠52の内側に架け渡される部分である。このように、スペーサ部材50を外枠52と内枠54で構成することで、スペーサ部材50の形状を様々な形にすることができる。
【0051】
図7に示すように、内枠54は、格子部54Aと、アーチ部54Bとを備える。
【0052】
格子部54Aは、平面視で格子状に延びる部分である。アーチ部54Bは、平面視で曲線状に湾曲する部分である。本実施形態のアーチ部54Bは、中央部が曲線部であり、端部を含むそれ以外の部分が直線部である。
【0053】
格子部54Aを設けることで、スペーサ部材50の強度を確保しながらパンチング孔42Aからの吸気を確保することができる。さらにアーチ部54Bを設けることで、スペーサ部材50の形状を様々な形に変えることができる。さらに、格子部54Aとアーチ部54Bを組み合わせることで、スペーサ部材50の形状の多様化と強度の確保を両立することができる。
【0054】
スペーサ部材50におけるアーチ部54Bの内側の領域Xは、平面視で冷却ファン48の吸込口48A(
図4)に面する領域を含んでいる。領域Xでは、外枠52との間に内枠を構成する線状の部材は設けられていない。すなわち、領域Xの全面において、パンチング孔42Aは高周波加熱装置1の設置面(図示せず)に対して露出する。
【0055】
このような領域Xを設けることで、冷却ファン48の吸込口48Aに面するパンチング孔42Aの領域をできるだけスペーサ部材50によって塞がないようにしている。これにより、例えば高周波加熱装置1の下に布が置かれない場合に、より多くの吸気量を確保することができる。
【0056】
次に、スペーサ部材50を単独で図示したものを
図8、
図9に示す。
図8は、スペーサ部材50の平面図であり、
図9は、スペーサ部材50の斜視図である。
【0057】
図8、
図9に示すように、スペーサ部材50には、複数の爪部56が設けられている。爪部56は、スペーサ部材50を機械室40の底壁42に取り付けるための取付部である。爪部56を底壁42に引っ掛けることで、スペーサ部材50が底壁42に固定される。スペーサ部材50にはさらに、複数のボルト挿通孔58が設けられている。ボルト挿通孔58は、スペーサ部材50を機械室40の底壁42に取り付けるためのボルト(図示せず)を挿通する孔である。ボルト挿通孔58にボルトを挿通して底壁42に螺合させることで、スペーサ部材50が底壁42に固定される。ボルト挿通孔58およびボルトは、爪部56と同様にスペーサ部材50を底壁42に取り付ける取付部として機能する。
【0058】
このように爪部56、ボルト挿通孔58などの取付部を設け、スペーサ部材50を底壁42と別部材で構成することで、底壁42と一体的に構成した場合よりもスペーサ部材50の製造が容易になる。
【0059】
図6、
図7に戻ると、底壁42の前方(―Y方向)にはトレイ7(第1トレイ71)が配置されている。
【0060】
トレイ7を省略した図を
図10に示す。
図10に示すように、機械室40には側壁部60が設けられている。側壁部60は、冷却ファン48の前方において複数のパンチング孔60Aを形成した壁部である。側壁部60とトレイ7(
図6、
図7)の間には隙間が設けられている。隙間を設けることで、冷却ファン48は底壁42のパンチング孔42Aだけでなく側壁部60のパンチング孔60Aからも空気を吸い込むことができる。これにより、冷却ファン48の吸気経路をより多く確保することができる。
【0061】
また、高周波加熱装置1を設置面に配置したときに、スペーサ部材50は設置面に接触しない高さに設定されている。言い換えれば、スペーサ部材50の最下点は、高周波加熱装置1の最下点よりも高い位置になるように設定される。このような構成によれば、高周波加熱装置1を設置面に置いたときにスペーサ部材50が邪魔にならない。
【0062】
上述したように、本実施形態の高周波加熱装置1は、被加熱物を収容する加熱室31内に高周波を供給して被加熱物を加熱処理する高周波加熱装置1である。高周波加熱装置1は、機械室40と、マグネトロン44と、冷却ファン48と、スペーサ部材50とを備える。機械室40は、加熱室31の下方に設けられた機械室であって、高周波加熱装置1の底部を構成する底壁42を有し、底壁42に複数のパンチング孔42Aを形成する。マグネトロン44は、機械室40内に配置され、加熱室31に向けて高周波を放射する。冷却ファン48は、機械室40内に配置され、機械室40のパンチング孔42Aに面する吸込口48Aを有して、吸込口48Aから吸い込んだ空気をマグネトロン44に向けて送風する。スペーサ部材50は、機械室40の底壁42の下で、平面視で、パンチング孔42Aが形成される底壁42の領域と部分的に重なり、上下方向に厚みを有する。
【0063】
このような構成によれば、高周波加熱装置1を布などの上に置いて運転した場合、冷却ファン48による吸引力によって底壁42のパンチング孔42Aから布が吸い込まれようとする。これに対して、パンチング孔42Aの下にパンチング孔42Aの領域と部分的に重なるようにスペーサ部材50を設けていることで、布が吸い込まれようとする場合でもパンチング孔42Aの全体が塞がれることを防止できる。これにより、パンチング孔42Aを通じて冷却ファン48の吸込口48Aからの吸気を確保することができ、高周波加熱装置1をより正常に運転することができ、高周波加熱装置1の信頼性を向上させることができる。
【0064】
本実施形態では特に、
図6、
図7に示すパンチング孔42Aを形成する底壁42の領域から、高周波加熱装置1の最下点までの高さ距離が10mm以下である。このような構成によれば、高周波加熱装置1の設置面からパンチング孔42Aまでの距離が短いため、冷却ファン48による吸込口48Aからの吸込み力は強くなる。これに対して、前述したようにスペーサ部材50を設けて布などがパンチング孔42Aの全体を塞ぐことを防止することで、パンチング孔42Aからの吸気経路を効果的に確保することができる。
【0065】
以上、上述の実施形態を挙げて本開示の発明を説明したが、本開示の発明は上述の実施形態に限定されない。
【0066】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。また、各実施形態における要素の組合せや順序の変化は、本開示の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。