特許第6986686号(P6986686)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986686
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】情報処理方法、制御装置及び係留移動体
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/00 20060101AFI20211213BHJP
   B64F 3/00 20060101ALI20211213BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20211213BHJP
   B64C 27/04 20060101ALI20211213BHJP
   G08G 5/00 20060101ALI20211213BHJP
   G08G 5/04 20060101ALI20211213BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   G05D1/00 Z
   B64F3/00
   B64C39/02
   B64C27/04
   G08G5/00 A
   G08G5/04 A
   G08G1/00 X
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-126716(P2018-126716)
(22)【出願日】2018年7月3日
(65)【公開番号】特開2020-8927(P2020-8927A)
(43)【公開日】2020年1月16日
【審査請求日】2021年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小西 一暢
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ステファン ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】井上 和夫
(72)【発明者】
【氏名】浅井 勝彦
【審査官】 牧 初
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−105222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00− 1/12
B64B 1/00− 1/70
B64C 1/00−99/00
B64F 3/00− 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを用いて、
第1領域を示す第1領域情報を取得し、
係留索によって係留移動体に係留される無人飛行体の位置を示す第1位置情報を取得し、
前記第1領域情報及び前記第1位置情報を用いて前記係留移動体の移動先である第1移動先を決定し、
前記係留移動体を前記第1移動先に移動させ、
前記第1移動先は、前記無人飛行体の位置からの距離が最短となる前記第1領域の境界上の点から前記無人飛行体の位置に向かう方向における、前記第1領域の境界上の点からの距離が所定距離以上である位置である
情報処理方法。
【請求項2】
前記第1位置情報は、前記無人飛行体の位置として前記無人飛行体の移動先である第2移動先を示し、
前記無人飛行体の前記第2移動先への移動に応じて、前記係留移動体を前記第1移動先に移動させる
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記係留索の長さは、前記所定距離に応じた長さである
請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記係留索の長さは、可変であり、
前記無人飛行体と前記係留移動体との位置関係に応じて、前記係留移動体に前記係留索の長さを変えさせる
請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記所定距離は、前記点における前記境界の曲率半径以下の距離である
請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記係留移動体の異常を検出し、
前記係留移動体が前記第1領域の境界に近づく場合、前記係留移動体に前記係留索を短くさせる
請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記係留移動体の異常を検出し、
前記係留移動体が前記第1領域の境界から遠ざかる場合、前記係留移動体に前記係留索を長くさせる
請求項1〜6のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
第1領域を示す第1領域情報を取得する第1取得部と、
係留索によって係留移動体に係留される無人飛行体の位置を示す第1位置情報を取得する第2取得部と、
前記第1領域情報及び前記第1位置情報を用いて前記係留移動体の移動先である第1移動先を決定する決定部と、
前記係留移動体を前記第1移動先に移動させる移動制御部と、を備え、
前記第1移動先は、前記無人飛行体の位置からの距離が最短となる前記第1領域の境界上の点から前記無人飛行体の位置に向かう方向における、前記第1領域の境界上の点からの距離が所定距離以上である位置である
制御装置。
【請求項9】
係留索によって無人飛行体を係留する係留移動体であって、
第1領域を示す第1領域情報を取得する第1取得部と、
前記無人飛行体の位置を示す第1位置情報を取得する第2取得部と、
前記第1領域情報及び前記第1位置情報を用いて前記係留移動体の移動先である第1移動先を決定する決定部と、
前記係留移動体を前記第1移動先に移動させる移動制御部と、を備え、
前記第1移動先は、前記無人飛行体の位置からの距離が最短となる前記第1領域の境界上の点から前記無人飛行体の位置に向かう方向における、前記第1領域の境界上の点からの距離が所定距離以上である位置である
係留移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、係留索によって係留される無人飛行体についての情報処理方法、制御装置及び係留移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
ドローン、無人航空機又はUAV(Unmanned Aerial Vehicle)等の無人飛行体が、催し場の上空を飛行しながら撮影等を行う際に安全対策を講じる必要がある。例えば、安全対策として、無人飛行体を中心とした、無人飛行体の飛行高度に応じた距離を人の立入禁止区画として設けるという、国土交通省によって定められたものがある。しかし、当該安全対策が行われる場合、無人飛行体が人等の撮影対象に接近して撮影を行うことができないという問題がある。これに対して、無人飛行体に係留装置の係留索を装着したり、催し場に無人飛行体用の防護ネットを張り巡らせたりする場合には、立入禁止区画を設けなくてもよいと決められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、無人飛行体に係留索を装着して無人飛行体の飛行範囲を制限する技術が開示されており、また、特許文献2には、さらに当該係留索の長さを変えることができる技術が開示されており、このような係留索により安全対策を講じることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許2887597号公報
【特許文献2】特開2017−217942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1及び2に開示されたような係留索によって係留される無人飛行体が、飛行可能エリアの境界近傍を飛行する際に無人飛行体に問題が発生した場合、係留索に接続されていても上記境界を越えて人等が存在する飛行禁止エリアへ進入して墜落するおそれがある。
【0006】
そこで、本開示は、無人飛行体が飛行する領域外の安全性を高めることができる情報処理方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、プロセッサを用いて、第1領域を示す第1領域情報を取得し、係留索によって係留移動体に係留される無人飛行体の位置を示す第1位置情報を取得し、前記第1領域情報及び前記第1位置情報を用いて前記係留移動体の移動先である第1移動先を決定し、前記係留移動体を前記第1移動先に移動させ、前記第1移動先は、前記無人飛行体の位置からの距離が最短となる前記第1領域の境界上の点から前記無人飛行体の位置に向かう方向における、前記第1領域の境界上の点からの距離が所定距離以上である位置である。
【0008】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、又は、コンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの非一時的な記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、及び、記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様に係る情報処理方法等によれば、無人飛行体が飛行する領域外の安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態における制御装置等の構成を概略的に示す図である。
図2】実施の形態における制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図3A】従来の問題を説明するための図である。
図3B】従来の問題を説明するための図である。
図4】第1移動先の決定方法を説明するための図である。
図5】係留移動体の第1移動先への移動の具体例を示す図である。
図6A】係留移動体が地上を移動する場合に発生する問題を説明するための図である。
図6B】係留移動体が地上を移動する場合に発生する問題を説明するための図である。
図7】係留移動体が飛行体の場合の係留移動体の第1移動先への移動の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、プロセッサを用いて、第1領域を示す第1領域情報を取得し、係留索によって係留移動体に係留される無人飛行体の位置を示す第1位置情報を取得し、前記第1領域情報及び前記第1位置情報を用いて前記係留移動体の移動先である第1移動先を決定し、前記係留移動体を前記第1移動先に移動させ、前記第1移動先は、前記無人飛行体の位置からの距離が最短となる前記第1領域の境界上の点から前記無人飛行体の位置に向かう方向における、前記第1領域の境界上の点からの距離が所定距離以上である位置である。
【0012】
これによれば、無人飛行体の位置に応じて、無人飛行体の位置からの距離が最短となる第1領域の境界上の点、無人飛行体、及び、係留移動体がこの順序で直線上に並ぶように係留移動体の第1移動先が決定される。これらが上記直線上に並んだ状態において係留索の長さがこれ以上長くならないようにされれば、係留索によって制限された係留移動体を中心とした無人飛行体の可動範囲のうち、上記状態における位置が最も無人飛行体が境界に接近した位置となる。つまり、無人飛行体が暴走等したとしても、上記状態における位置よりも境界に近づくことができず、境界を越えて飛行禁止エリアへ進入することを抑制できるため、無人飛行体が飛行する領域外の安全性を高めることができる。
【0013】
また、前記第1位置情報は、前記無人飛行体の位置として前記無人飛行体の移動先である第2移動先を示し、前記無人飛行体の前記第2移動先への移動に応じて、前記係留移動体を前記第1移動先に移動させてもよい。
【0014】
これによれば、無人飛行体の現在位置ではなく移動先である第2移動先に応じて係留移動体の移動先である第1移動先が決定されるため、無人飛行体の移動とともに係留移動体を第1移動先へ移動させることができる。したがって、係留移動体を、無人飛行体が飛行禁止エリアへ進入することを抑制できる第1移動先へより早く移動させることができるようになるため、無人飛行体が飛行する領域外の安全性をより高めることができる。
【0015】
また、前記係留索の長さは、前記所定距離に応じた長さであってもよい。
【0016】
これによれば、係留索の長さを所定距離に応じて決定することができる。
【0017】
また、前記係留索の長さは、可変であり、前記無人飛行体と前記係留移動体との位置関係に応じて、前記係留移動体に前記係留索の長さを変えさせてもよい。
【0018】
これによれば、無人飛行体が係留移動体側へ移動しても係留索がたるまないように係留索の長さを調整できる。
【0019】
また、前記所定距離は、前記点における前記境界の曲率半径以下の距離であってもよい。
【0020】
係留索の長さが長いほど、係留索の長さを半径とする円上における無人飛行体の移動は直線移動に近くなり、無人飛行体が上記円上を移動しても無人飛行体を例えば直線の境界に接近させた状態を保つことができる。しかし、境界は必ずしも直線ではなく湾曲している場合がある。そして、所定距離が当該湾曲した境界上の無人飛行体の位置からの距離が最短となる点における境界の曲率半径よりも大きい場合、無人飛行体が上記円上を移動することで、無人飛行体が境界を越えて飛行禁止エリアへ進入することがある。そこで、所定距離が上記点における境界の曲率半径以下であることで、無人飛行体が境界を越えて飛行禁止エリアへ進入することをより効果的に抑制できる。
【0021】
また、前記係留移動体の異常を検出し、前記係留移動体が前記第1領域の境界に近づく場合、前記係留移動体に前記係留索を短くさせてもよい。
【0022】
これによれば、係留移動体の異常により係留移動体が境界側へ移動した場合、その移動した分、無人飛行体も境界側へ近づき、境界を越えてしまうことがある。そこで、このような異常が発生した場合であっても、係留索を短くすることで、無人飛行体が境界を越えて飛行禁止エリアへ進入することを抑制できる。
【0023】
また、前記係留移動体の異常を検出し、前記係留移動体が前記第1領域の境界から遠ざかる場合、前記係留移動体に前記係留索を長くさせてもよい。
【0024】
これによれば、係留移動体の異常により係留移動体が境界から遠ざかる方向へ移動した場合、境界付近を飛行している無人飛行体が係留移動体に無理やり引っ張られ、墜落してしまうおそれがある。そこで、このような異常が発生した場合であっても、係留索を長くすることで、無人飛行体が係留移動体に無理やり引っ張られることを抑制できる。
【0025】
本開示の一態様に係る制御装置は、第1領域を示す第1領域情報を取得する第1取得部と、係留索によって係留移動体に係留される無人飛行体の位置を示す第1位置情報を取得する第2取得部と、前記第1領域情報及び前記第1位置情報を用いて前記係留移動体の移動先である第1移動先を決定する決定部と、前記係留移動体を前記第1移動先に移動させる移動制御部と、を備え、前記第1移動先は、前記無人飛行体の位置からの距離が最短となる前記第1領域の境界上の点から前記無人飛行体の位置に向かう方向における、前記第1領域の境界上の点からの距離が所定距離以上である位置である。
【0026】
これによれば、無人飛行体が飛行する領域外の安全性を高めることができる制御装置を提供できる。
【0027】
本開示の一態様に係る係留移動体は、係留索によって無人飛行体を係留する係留移動体であって、第1領域を示す第1領域情報を取得する第1取得部と、前記無人飛行体の位置を示す第1位置情報を取得する第2取得部と、前記第1領域情報及び前記第1位置情報を用いて前記係留移動体の移動先である第1移動先を決定する決定部と、前記係留移動体を前記第1移動先に移動させる移動制御部と、を備え、前記第1移動先は、前記無人飛行体の位置からの距離が最短となる前記第1領域の境界上の点から前記無人飛行体の位置に向かう方向における、前記第1領域の境界上の点からの距離が所定距離以上である位置である。
【0028】
これによれば、無人飛行体が飛行する領域外の安全性を高めることができる係留移動体を提供できる。
【0029】
さらに、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、又は、コンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの非一時的な記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、及び、記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0030】
以下、実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0031】
また、以下の説明に用いられる各図は、模式図であり、必ずしも厳密に構成要素の配置及び大きさ等を図示していない。
【0032】
(実施の形態)
以下、図1から図7を用いて実施の形態について説明する。
【0033】
[制御装置等の構成]
図1は、実施の形態における制御装置10等の構成を概略的に示す図である。なお、図1には、制御装置10の他に係留移動体100、無人飛行体200及びコントローラ300も示している。
【0034】
無人飛行体200は、ドローン、無人航空機又はUAV等の飛行体であり、カメラやマイク等が搭載された無人飛行体を空高く移動させることにより、人が容易に行けない場所から撮影を行ったり音声の収音を行ったりすることができる。無人飛行体200は、例えば、催し場等で利用される。無人飛行体200は、例えば、無人飛行体200の現在位置情報を取得するためのGPS(Global Positioning System)を備える。
【0035】
コントローラ300は、無人飛行体200を制御(操縦)するためのプロポ(プロポーショナルシステム)等のリモートコントローラである。コントローラ300は、無人飛行体200と無線通信可能に接続されている。コントローラ300は、無人飛行体200を移動(上昇下降、前後左右移動又は旋回等)させるための指令を無人飛行体200へ送信する。無人飛行体200は、無人飛行体200の現在位置情報及び無人飛行体200に異常(電源不足、機体異常、信号異常、暴走等)があるか否かを示す情報等を含む機体情報をコントローラ300へ送信する。
【0036】
係留移動体100は、係留索111によって無人飛行体200を係留する装置である。係留移動体100は、地面に固定されるものではなく、移動可能に構成されている。例えば、係留移動体100は車輪等を有し、外部からの指令によって地面を走行可能となっている。この場合、係留移動体100は、無人飛行体200を係留する必要があるため、無人飛行体200の推進力によって動かされない程度の質量を有している。例えば、係留索111の長さは、後述する所定距離に応じた長さである。係留索111の長さは、可変であり、当該長さは、係留移動体100が備える係留索調整部110によって調整される。係留移動体100は、例えば、係留移動体100の現在位置情報を取得するためのGPSを備える。係留移動体100は、制御装置10と無線通信可能に接続されている。係留移動体100は、係留移動体100の現在位置情報及び係留移動体100に異常(電源不足、機体異常、信号異常、暴走等)があるか否かを示す情報等を含む機体情報を制御装置10へ送信する。
【0037】
係留索調整部110は、例えば、係留索111が巻回されるドラム(リール)、及び、当該ドラムを回転させるモータと、当該モータの駆動を制御するモータ制御部とを有する。モータ制御部が外部からの指令に応じてモータを駆動することで、ドラムの回転方向及び回転量が制御され、係留索111の長さが調整される。
【0038】
制御装置10は、無人飛行体200の安全性を高めるための装置である。制御装置10は、例えば、催し場等に設置されるPC(Personal Computer)等である。制御装置10は、第1取得部21、第2取得部22、決定部23、移動制御部24、環境情報取得部25、警告提示部26及びデータベース30を備える。制御装置10は、例えば、プロセッサ20(マイクロプロセッサであってもよい)、メモリ、通信回路等を含む装置である。通信回路は、アンテナ等を含んでいてもよい。メモリは、ROM、RAM等であり、プロセッサ20により実行される制御プログラムを記憶することができる。また、当該メモリにデータベース30が記憶されていてもよいし、他のメモリにデータベース30が記憶されていてもよい。第1取得部21、第2取得部22、決定部23、移動制御部24、環境情報取得部25及び警告提示部26は、制御装置10におけるメモリに格納された制御プログラムを実行するプロセッサ20及び通信回路等により実現される。第1取得部21、第2取得部22、決定部23、移動制御部24、環境情報取得部25、警告提示部26及びデータベース30について、図2を用いながら説明する。
【0039】
[制御装置の動作]
図2は、実施の形態における制御装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0040】
第1取得部21は、第1領域を示す第1領域情報を取得する(ステップS11)。例えば、第1領域は、飛行禁止エリアであり、第1領域情報は、飛行禁止エリアの位置情報、範囲情報又は境界情報等を含む。なお、第1領域は、飛行可能エリアであってもよく、第1領域情報は、飛行可能エリアの位置情報、範囲情報又は境界情報等を含んでいてもよい。つまり、第1領域は、飛行禁止エリア及び飛行可能エリアのいずれであってもよい。本開示では、飛行禁止エリアと飛行可能エリアとの境界がわかればよく、飛行禁止エリアの境界と飛行可能エリアの境界とは同一となるためである。なお、第1領域情報に境界情報が含まれていなくてもよく、境界を算出可能な情報が含まれていればよい。本実施の形態では、飛行禁止エリアを第1領域とする。また、飛行可能エリアを第2領域とも呼ぶ。第1領域情報は、例えば、予めデータベース30に含まれており、第1取得部21は、データベース30から第1領域情報を取得する。なお、第1領域情報は、外部サーバ等に記憶されていてもよく、第1取得部21は、外部サーバ等から第1領域情報を取得してもよい。
【0041】
第2取得部22は、係留索111によって係留移動体100に係留される無人飛行体200の位置を示す第1位置情報を取得する(ステップS12)。例えば、制御装置10は、コントローラ300と無線通信可能に接続されている。第2取得部22は、コントローラ300を介して、無人飛行体200の現在位置情報を含む機体情報を取得する。また、第2取得部22は、コントローラ300から無人飛行体200を移動させるための指令を取得する。無人飛行体200の現在位置と、当該位置から無人飛行体200をどのように移動させるかを示す指令とを用いることで、無人飛行体200の移動先を推定することができる。このように、第2取得部22は、無人飛行体200の位置として無人飛行体200の移動先である第2移動先を示す第1位置情報を取得する。
【0042】
なお、制御装置10は、無人飛行体200と無線通信可能に接続されていてもよく、第2取得部22は、無人飛行体200の機体情報及び上記指令をコントローラ300を介さずに無人飛行体200から取得してもよい。つまり、無人飛行体200は、現在位置情報を制御装置10へ送信し、また、コントローラ300から受信した指令を制御装置10へ転送してもよい。
【0043】
決定部23は、第1領域情報及び第1位置情報を用いて係留移動体100の移動先である第1移動先を決定する(ステップ13)。第1移動先については、後述する図4及び図5を用いて説明する。
【0044】
そして、移動制御部24は、係留移動体100を第1移動先に移動させる(ステップS14)。例えば、移動制御部24は、係留移動体100を第1移動先に移動させるための指令を係留移動体100に送信し、係留移動体100は、当該指令に基づいて自身を第1移動先へ移動させる。移動制御部24は、係留移動体100の現在位置情報を含む機体情報を受信することで、係留移動体100が第1移動先に移動できたか否かを判断することができる。
【0045】
環境情報取得部25は、無人飛行体200を飛行させている催し場等の周辺の風速又は雨量等の環境情報を取得する。例えば、環境情報取得部25は、環境情報を外部サーバ等から取得する。
【0046】
警告提示部26は、例えば、環境情報が所定の基準を超えた場合、無人飛行体200の機体情報が異常を示す場合、又は、係留移動体100の機体情報が異常を示す場合等にこれらの異常を、ランプ、音声、無線通信等によって提示する。これにより、ユーザは、これらの異常の対策を行うことができる。当該対策については、後述する。
【0047】
[従来の問題点]
本開示では、無人飛行体200を係留するための装置として、移動可能な係留移動体100が用いられるが、従来は、地面等に固定された係留固定部が用いられていた。ここで、係留固定部が用いられる場合に発生する問題について図3A及び図3Bを用いて説明する。
【0048】
図3A及び図3Bは、従来の問題を説明するための図である。図3A及び図3Bでは、鉛直方向をz軸方向とし、z軸方向と直角に交差する方向(水平方向)であって、互いに直角に交差する方向をx軸方向及びy軸方向としている。これについて、後述する図5から図7についても同様である。また、図3A及び図3Bは、係留固定部100a及び無人飛行体200を上空(z軸方向)から見た図となっている。これについて、後述する図4及び図5についても同様である。
【0049】
図3Aは、無人飛行体200が第2領域側の境界近傍において飛行している状態を示している。ここで、無人飛行体200が境界を越えて第1領域へ進入しないように、例えば無人飛行体200が第2領域内において現在位置から大きく離れた別の位置に移動する場合を除き、係留索111の長さは固定される。これにより、図3Aに示される係留索111の長さを半径とする、無人飛行体200が移動可能な範囲A1は、第1領域まで届かないため、無人飛行体200が境界を越えないようにすることができる。
【0050】
次に、図3Aに示される状態から、無人飛行体200を境界に沿ってy軸方向プラス側へ移動させる場合、図3Aに示される係留索111の長さでは、無人飛行体200は、範囲A1内しか移動できないため、図3Bに示される、第2領域内の範囲A1外の位置へ無人飛行体200を移動させることはできない。そこで、係留固定部100aは、係留索111の長さを変える機能を有し、無人飛行体200を図3Bに示される位置へ移動させることができる。
【0051】
しかしこの場合、図3Bに示される係留索111の長さを半径とする、無人飛行体200が移動可能な範囲A2は、境界を越えて第1領域と重複している。このため、無人飛行体200が暴走等して図3Bに示される矢印の方向へ移動すると、無人飛行体200が境界を越えて第1領域へ進入してしまうことになる。このように、従来の係留固定部100aを用いた場合、無人飛行体200が飛行する領域外の安全性を確保できていなかった。
【0052】
このような問題を解消するために、本開示では、上述したように、無人飛行体200を係留するための装置として、移動可能な係留移動体100が用いられる。具体的には、係留移動体100を第1移動先へ移動させることで、無人飛行体200が飛行する領域外の安全性を高めることができる。
【0053】
[第1移動先の詳細]
ここで、第1移動先について図4を用いて説明する。
【0054】
図4は、第1移動先の決定方法を説明するための図である。図4では、第1移動先P1を示している。
【0055】
第1移動先P1は、例えば上空(z軸方向)から見て、第1位置情報が示す無人飛行体200の位置からの距離が最短となる第1領域の境界上の点P2から無人飛行体200の位置に向かう方向における、第1領域の境界上の点P2からの距離が所定距離以上である位置である。点P2から無人飛行体200の位置に向かう方向は、点P2における境界の接線の方向と直角の方向となる。図4では、第1移動先P1と点P2との距離を所定距離としている。所定距離は、特定の条件を満たすように適宜設定される。例えば、所定距離は点P2における境界の曲率半径以下の距離となるように設定される。所定距離を曲率半径以下の距離とすることで奏される効果について以下説明する。
【0056】
係留索111の長さが長いほど、係留索111の長さを半径とする円上における無人飛行体200の移動は直線移動に近くなり、無人飛行体200が上記円上を移動しても無人飛行体200を例えば直線の境界に接近させた状態を保つことができる。しかし、境界は必ずしも直線ではなく図4に示されるように湾曲している場合がある。そして、所定距離が当該湾曲した境界上の無人飛行体200の位置からの距離が最短となる点P2における境界の曲率半径よりも大きい場合、無人飛行体200が上記円上を移動することで、境界を越えて第1領域へ進入することがある。具体的には、所定距離が当該曲率半径よりも大きい場合、無人飛行体200の移動可能範囲は大きな円(図4中の破線円)の範囲となり、無人飛行体200が当該円上を図4中の破線矢印の方向に沿って移動すると境界を越えて第1領域へ進入することがある。そこで、所定距離が点P2における境界の曲率半径以下の距離であることで、無人飛行体200の移動可能範囲が小さな円の範囲となり、無人飛行体200が境界を越えて第1領域へ進入することをより効果的に抑制できる。
【0057】
このように、所定距離が設定され、第1移動先P1は、点P2から無人飛行体200の位置に向かう方向における、点P2からの距離が所定距離以上である位置に決定される。
【0058】
次に、係留移動体100の第1移動先への移動の具体例について図5を用いて説明する。
【0059】
図5は、係留移動体100の第1移動先への移動の具体例を示す図である。図5には、移動前の係留移動体100及び無人飛行体200、並びに、移動後の係留移動体100及び無人飛行体200が示されている。移動前の係留移動体100及び無人飛行体200をy軸方向マイナス側に示し、移動後の係留移動体100及び無人飛行体200をy軸方向プラス側に示している。
【0060】
移動前の係留移動体100は、移動前の無人飛行体200の位置からの距離が最短となる第1領域の境界上の点から当該無人飛行体200の位置に向かう方向における、当該点からの距離が所定距離以上である位置にある。係留索111の長さは、所定距離に応じた長さであり、例えば、無人飛行体200が第2領域内において現在位置から大きく離れた別の位置に移動する場合を除き、係留索111の長さは無人飛行体200が境界を越えて第1領域へ進入しないように固定される。これにより、図5に示される係留索111の長さを半径とする、移動前の無人飛行体200が移動可能な範囲A1は、第1領域まで届かないため、移動前の無人飛行体200が境界を越えないようにすることができる。なお、プロセッサ20は、無人飛行体200と係留移動体100との位置関係に応じて、係留移動体100に係留索111の長さを変えさせてもよい。例えば、無人飛行体200と係留移動体100とが近づく場合、係留索111の長さが固定されていると、係留索111がたるむことになる。そこで、無人飛行体200と係留移動体100との位置が近づく場合、係留索111がたるまない程度に短くする。例えば、無人飛行体200の移動に影響を与えない程度の力であって、係留索111がたるまない程度の力を係留索111が巻回されたドラムに与えるように、プロセッサ20は、当該ドラムを回転させるためのモータ制御部を制御する。これにより、無人飛行体200が係留移動体100側へ移動しても係留索111がたるまないように係留索111の長さを調整できる。
【0061】
次に、第2取得部22は、無人飛行体200の位置として無人飛行体200の第2移動先を示す第1位置情報を取得し、移動制御部24は、無人飛行体200の第2移動先への移動に応じて、係留移動体100を第1移動先に移動させる。つまり、移動制御部24は、無人飛行体200が第2移動先に移動した後に、係留移動体100を第1移動先に移動させるのではなく、無人飛行体200の第2移動先への移動と共に、係留移動体100を第1移動先に移動させる。これにより、無人飛行体200の現在位置ではなく移動先である第2移動先に応じて係留移動体100の第1移動先が決定されるため、無人飛行体200の移動とともに係留移動体100を第1移動先へ移動させることができる。したがって、係留移動体100を、無人飛行体200が第1領域へ進入することを抑制できる第1移動先へより早く移動させることができるようになるため、無人飛行体が飛行する領域外の安全性をより高めることができる。具体的には、図5に示される係留索111の長さを半径とする、移動後の無人飛行体200が移動可能な範囲B1は、第1領域まで届かないため、移動後の無人飛行体200についても境界を越えないようにすることができる。
【0062】
[地面を走行する係留移動体の問題点]
上記説明では、地面を走行する係留移動体100について説明したが、この場合、以下に説明する問題が生じることがある。これについて、図6A及び図6Bを用いて説明する。
【0063】
図6A及び図6Bは、係留移動体100が地上を移動する場合(係留移動体100が飛行できない場合)に発生する問題を説明するための図である。図6A及び図6Bは、係留移動体100及び無人飛行体200を水平方向(y軸方向)から見た図となっている。
【0064】
図6Aは、無人飛行体200が第2領域側の境界近傍において飛行しようとしている状態を示している。ここで、無人飛行体200が境界を越えて第1領域へ進入しないように、例えば無人飛行体200が第2領域内において現在位置から大きく離れた別の位置に移動する場合を除き、係留索111の長さは固定される。これにより、図6Aに示される係留索111の長さを半径とする、無人飛行体200が移動可能な範囲A1は、第1領域まで届かないため、無人飛行体200が境界を越えないようにすることができる。
【0065】
次に、図6Aに示される状態から、無人飛行体200を境界に沿ってz軸方向プラス側へ移動させる場合、図6Aに示される係留索111の長さでは、無人飛行体200は、範囲A1内しか移動できないため、図6Bに示される、第2領域内の範囲A1外の位置へ無人飛行体200を移動させることはできない。そこで、係留移動体100は、係留索111の長さを変えることで、無人飛行体200を図6Bに示される位置へ移動させることができる。
【0066】
係留移動体100が第1移動先にいる場合、図5に示されるように、無人飛行体200は、上空(z軸方向)から見た場合のxy平面(水平面)の移動については境界を越えず第1領域に進入しない。図5では、無人飛行体200の位置からの距離が最短となる第1領域の境界上の点から無人飛行体200の位置に向かう方向を、水平方向としており、無人飛行体200の高さ方向の移動について考慮していない。
【0067】
しかし、水平方向から見た場合、図6Bに示される係留索111の長さを半径とする、無人飛行体200が移動可能な範囲A2は、境界を越えて第1領域と重複している。このため、無人飛行体200が暴走等して図6Bに示される矢印の方向へ移動すると、無人飛行体200が境界を越えて第1領域へ進入してしまうことになる。このように、水平方向(y軸方向)から見た場合のxz平面(鉛直面)の移動について、無人飛行体200は、境界を越えて第1領域に進入することがある。水平方向から見た場合、空中の無人飛行体200の位置からの距離が最短となる第1領域の境界上の点から無人飛行体200の位置に向かう方向における、当該点からの距離が所定距離以上である位置は無人飛行体200と同じ高さの位置となり、係留移動体100が飛行できない場合、係留移動体100は、当該位置に到達できないためである。
【0068】
このような問題を解消するために、係留移動体100は、例えば、ドローン、無人航空機又はUAV等の飛行体であってもよい。これについて、図7を用いて説明する。
【0069】
[係留移動体が飛行体の場合]
図7は、係留移動体100が飛行体の場合の係留移動体100の第1移動先への移動の具体例を示す図である。図7には、移動前の係留移動体100及び無人飛行体200、並びに、移動後の係留移動体100及び無人飛行体200が示されている。移動前の係留移動体100及び無人飛行体200をz軸方向マイナス側に示し、移動後の係留移動体100及び無人飛行体200をz軸方向プラス側に示している。
【0070】
移動前の係留移動体100は、移動前の無人飛行体200の位置からの距離が最短となる第1領域の境界上の点から当該無人飛行体200の位置に向かう方向における、当該点からの距離が所定距離以上である位置にある。係留移動体100及び無人飛行体200が共に地上付近に存在するため、移動前の係留移動体100は、上空から見た場合であっても、水平方向から見た場合であっても、上記位置にある。これにより、図7に示される係留索111の長さを半径とする、移動前の無人飛行体200が移動可能な範囲A1は、第1領域まで届かないため、移動前の無人飛行体200が境界を越えないようにすることができる。
【0071】
次に、第2取得部22は、無人飛行体200の位置として無人飛行体200の第2移動先を示す第1位置情報を取得し、移動制御部24は、無人飛行体200の第2移動先への移動に応じて、係留移動体100を第1移動先に移動させる。ここで、第2移動先は空中となっている。そこで、移動制御部24は、水平方向から見た場合であっても、空中の無人飛行体200の位置からの距離が最短となる第1領域の境界上の点から無人飛行体200の位置に向かう方向における、当該点からの距離が所定距離以上である位置(つまり、第2移動先の高さと同じ高さの位置)である第1移動先に係留移動体100を移動させる。係留移動体100は、飛行体であるため、第2移動先の高さと同じ高さの第1移動先への移動が可能となっている。このように、無人飛行体200の位置からの距離が最短となる第1領域の境界上の点から、当該境界面に対して垂直な方向を見たときに、当該点、無人飛行体200及び係留移動体100がこの順序で重複して並ぶように係留移動体100を第1移動先へ移動させる。これにより、図7に示される係留索111の長さを半径とする、移動後の無人飛行体200が移動可能な範囲B1は、水平方向から見た場合であっても第1領域まで届かないため、移動後の無人飛行体200について境界を越えないようにすることができる。
【0072】
なお、係留移動体100が飛行体の場合、係留移動体100は空中において無人飛行体200を係留する必要があるため、例えば、無人飛行体200よりも大きな質量、及び、無人飛行体200の推進力よりも大きな推進力を有している必要がある。
【0073】
また、係留移動体100が飛行体の場合、係留移動体100に対する安全対策を講じる必要がある。例えば、係留移動体100から係留移動体100の飛行高度に応じた距離を人の立入禁止区画として設けるという、国土交通省によって定められた安全対策を講じることが考えられる。この場合、所定距離は、係留移動体100の飛行高度に応じた距離として設定される。具体的には、係留移動体100が、0〜20mで飛行する場合当該距離は30mとなり、20〜50mで飛行する場合当該距離は40mとなり、50〜100mで飛行する場合当該距離は60mとなり、100〜150mで飛行する場合当該距離は70mとなる。
【0074】
なお、係留移動体100は、飛行体に限らず、移動式クレーンのように、係留索調整部110(係留索111の根元)の水平方向及び鉛直方向への移動が可能なものであってもよい。
【0075】
[異常発生時の制御装置の動作]
次に、係留移動体100又は無人飛行体200に異常が発生した場合における制御装置10の動作について説明する。例えば、係留移動体100が飛行体であるとする。
【0076】
環境情報取得部25が、所定の基準を超える異常な環境情報を取得した場合、警告提示部26は、当該異常を提示する。警告提示部26の提示を確認したユーザは、例えば、コントローラ300を操作することで、無人飛行体200を現在位置又はホームポジション等へ移動、着陸をさせ、暴風、降雨等により無人飛行体200が墜落等することを抑制できる。また、移動制御部24は、係留移動体100を現在位置又はホームポジション等へ移動、着陸をさせることで、暴風、降雨等により係留移動体100が墜落等することを抑制できる。なお、プロセッサ20が、無人飛行体200を現在位置又はホームポジション等へ移動、着陸をさせてもよい。
【0077】
また、図示していないが、制御装置10は、例えば、係留移動体100及び無人飛行体200の電源不足、機体異常、信号異常、暴走等の異常を検出する異常検出部を備える。係留移動体100及び無人飛行体200について、これらの異常があるか否かを示す情報を含む機体情報をプロセッサ20が取得することで、異常検出部はこれらの異常を検出できる。
【0078】
無人飛行体200の異常が検出された場合、警告提示部26は、当該異常を提示する。警告提示部26の提示を確認したユーザは、例えば、コントローラ300を操作することで、無人飛行体200を現在位置又はホームポジション等へ移動、着陸をさせ、当該異常により無人飛行体200が墜落等することを抑制できる。また、移動制御部24は、係留移動体100を現在位置又はホームポジション等へ移動、着陸をさせることで、係留移動体100が無人飛行体200の異常による影響を受けて墜落等することを抑制できる。なお、プロセッサ20が、無人飛行体200を現在位置又はホームポジション等へ移動、着陸をさせてもよい。
【0079】
係留移動体100の異常が検出された場合、警告提示部26は、当該異常を提示する。警告提示部26の提示を確認したユーザは、例えば、コントローラ300を操作することで、無人飛行体200を現在位置又はホームポジション等へ移動、着陸をさせ、当該異常による影響を受けて無人飛行体200が墜落等することを抑制できる。また、移動制御部24は、係留移動体100を現在位置又はホームポジション等へ移動、着陸をさせることで、当該異常により係留移動体100が墜落等することを抑制できる。なお、プロセッサ20が、無人飛行体200を現在位置又はホームポジション等へ移動、着陸をさせてもよい。
【0080】
係留移動体100の異常により、係留移動体100が第1領域の境界に近づく場合、係留移動体100に係留索111を短くさせてもよい。係留移動体100の異常により係留移動体100が境界側へ移動した場合、その移動した分、無人飛行体200も境界側へ近づき、境界を越えてしまうことがあるが、係留索111を短くすることで、無人飛行体200が境界を越えて第1領域へ進入することを抑制できる。
【0081】
また、係留移動体100の異常により、係留移動体100が第1領域の境界から遠ざかる場合、係留移動体100に係留索111を長くさせてもよい。係留移動体100の異常により係留移動体100が境界から遠ざかる方向へ移動した場合、境界付近を飛行している無人飛行体200が係留移動体100に無理やり引っ張られ、墜落してしまうおそれがあるが、係留索111を長くすることで、無人飛行体200が係留移動体100に無理やり引っ張られることを抑制できる。
【0082】
なお、異常発生時に、ホームポジションが現在位置より境界に近い場合、係留移動体100又は無人飛行体200をホームポジションに移動させず、現在位置に着陸させることが好ましい。ホームポジションが現在位置より境界に近い場合に、係留移動体100又は無人飛行体200をホームポジションに移動させたときには、係留移動体100又は無人飛行体200を第1領域に接近させることになるためである。
【0083】
[まとめ]
以上説明したように、無人飛行体200の位置に応じて、無人飛行体200の位置からの距離が最短となる第1領域の境界上の点、無人飛行体200、及び、係留移動体100がこの順序で直線上に並ぶように係留移動体100の第1移動先が決定される。これらが上記直線上に並んだ状態において係留索111の長さがこれ以上長くならないようにされれば、係留索111によって制限された係留移動体100を中心とした無人飛行体200の可動範囲のうち、上記状態における位置が最も無人飛行体200が境界に接近した位置となる。つまり、無人飛行体200が暴走等したとしても、上記状態における位置よりも境界に近づくことができず、境界を越えて飛行禁止エリア(第1領域)へ進入することを抑制できるため、無人飛行体200が飛行する領域外の安全性を高めることができる。
【0084】
なお、無人飛行体200の位置からの距離が最短となる第1領域の境界上の点、無人飛行体200、及び、係留移動体100がこの順序で直線上に並ぶとは、例えば、上空(z軸方向)から見て直線上に並ぶことであってもよいし、水平方向(y軸方向)から見て直線上に並ぶことであってもよいし、上空及び水平方向のいずれの方向から見ても直線上に並ぶことであってもよい。
【0085】
(その他の実施の形態)
以上、本開示の制御装置10について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、および、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0086】
例えば、上記実施の形態では、制御装置10は、催し場等に設置されるPC等であったが、サーバ装置等により実現されてもよい。また、制御装置10が備える機能構成要素は、複数のサーバ装置に分散して配置されていてもよい。
【0087】
また、例えば、上記実施の形態では、第1位置情報は、無人飛行体200の位置として無人飛行体200の移動先である第2移動先を示したが、これに限らない。例えば、第1位置情報は、無人飛行体200の現在位置を示す情報であってもよい。
【0088】
また、例えば、上記実施の形態では、無人飛行体200の位置は、GPSを利用して取得されたが、これに限らない。例えば、係留索111の長さ及び係留索111が延びている方向に基づいて係留移動体100に対する無人飛行体200の位置が算出されてもよい。また、例えば、無人飛行体200の撮影による画像認識によって無人飛行体200の位置が推定されてもよい。その他、あらゆる公知の位置計測手段を用いて無人飛行体200の位置が取得されてもよい。
【0089】
また、例えば、上記実施の形態では、無人飛行体200は、1つの係留移動体100によって係留されたが、これに限らない。例えば、無人飛行体200は、複数の係留移動体100によって係留されてもよい。この場合、1つの係留移動体100の質量を小さくしたり、推進力を小さくしたりすることができる。また、複数の係留移動体100のうちの1つの係留移動体100が故障しても、他の係留移動体100によって無人飛行体200の係留を行うことができるため、直ちに無人飛行体200の係留ができなくなるという状態に陥ることを抑制できる。
【0090】
また、例えば、上記実施の形態では、第1領域と第2領域との境界は、鉛直方向に延びる境界であったが、これに限らない。例えば、境界は、水平方向に延びていてもよい。例えば、無人飛行体200の飛行について高度制限が設けられている場合に、水平方向に延びる境界が設けられる場合がある。
【0091】
また、例えば、係留移動体100が制御装置10の機能を有していてもよく、本開示は、係留移動体100として実現してもよい。つまり、係留移動体100が、第1領域を示す第1領域情報を取得する第1取得部21と、無人飛行体200の位置を示す第1位置情報を取得する第2取得部22と、第1領域情報及び第1位置情報を用いて係留移動体100の移動先である第1移動先を決定する決定部23と、係留移動体100を第1移動先に移動させる移動制御部24と、を備えていてもよい。
【0092】
また、本開示は、制御装置10、係留移動体100として実現できるだけでなく、制御装置10、係留移動体100を構成する各構成要素が行うステップ(処理)を含む情報処理方法としても実現できる。
【0093】
具体的には、図2に示されるように、情報処理方法は、プロセッサ20を用いて、第1領域を示す第1領域情報を取得し(ステップS11)、係留索111によって係留移動体100に係留される無人飛行体200の位置を示す第1位置情報を取得し(ステップS12)、第1領域情報及び第1位置情報を用いて係留移動体100の移動先である第1移動先を決定し(ステップS13)、係留移動体100を第1移動先に移動させる(ステップS14)。第1移動先は、無人飛行体200の位置からの距離が最短となる第1領域の境界上の点から無人飛行体200の位置に向かう方向における、第1領域の境界上の点からの距離が所定距離以上である位置である。
【0094】
また、例えば、それらのステップは、コンピュータ(コンピュータシステム)によって実行されてもよい。そして、本開示は、それらの方法に含まれるステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムとして実現できる。さらに、本開示は、そのプログラムを記録したCD−ROM等である非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現できる。
【0095】
例えば、本開示が、プログラム(ソフトウェア)で実現される場合には、コンピュータのCPU、メモリおよび入出力回路等のハードウェア資源を利用してプログラムが実行されることによって、各ステップが実行される。つまり、CPUがデータをメモリまたは入出力回路等から取得して演算したり、演算結果をメモリまたは入出力回路等に出力したりすることによって、各ステップが実行される。
【0096】
また、上記実施の形態の制御装置10、係留移動体100に含まれる複数の構成要素は、それぞれ、専用または汎用の回路として実現されてもよい。これらの構成要素は、1つの回路として実現されてもよいし、複数の回路として実現されてもよい。
【0097】
また、上記実施の形態の制御装置10、係留移動体100に含まれる複数の構成要素は、集積回路(IC:Integrated Circuit)であるLSI(Large Scale Integration)として実現されてもよい。これらの構成要素は、個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。LSIは、集積度の違いにより、システムLSI、スーパーLSIまたはウルトラLSIと呼称される場合がある。
【0098】
また、集積回路はLSIに限られず、専用回路または汎用プロセッサで実現されてもよい。プログラム可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、または、LSI内部の回路セルの接続および設定が再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサが、利用されてもよい。
【0099】
さらに、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて、制御装置10、係留移動体100に含まれる各構成要素の集積回路化が行われてもよい。
【0100】
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本開示の一態様は、例えば、無人飛行体が飛行する領域外の安全性を高めるための装置等に利用できる。
【符号の説明】
【0102】
10 制御装置
20 プロセッサ
21 第1取得部
22 第2取得部
23 決定部
24 移動制御部
25 環境情報取得部
26 警告提示部
30 データベース
100 係留移動体
100a 係留固定部
110 係留索調整部
111 係留索
200 無人飛行体
300 コントローラ
A1、A2、B1 範囲
P1 第1移動先
P2 点
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7