【実施例】
【0023】
本発明である塗布装置(以下、本装置という)および従来の塗布装置(以下、従来装置という)をそれぞれ用いて、後述する試験条件で被塗布物の加熱試験を行った。その試験結果について以下に説明する。本装置は、
図1および
図2で示した同一形態の装置とした。これに対して、従来装置はヒータ等の加熱部品上にプレートを直接載置する形態とした。本加熱試験の被塗布物としては、縦80mm×横75mm×厚さ0.1mmのステンレス鋼(SUS304)製の箔材を使用した。
【0024】
次に、加熱試験の手順について説明する。まず、室温を23℃の雰囲気に設定した状態で、塗布装置のプレート上にステンレス鋼製の箔材を設置して、塗布装置の本体部に組み込まれたヒータの設定温度(以下、SVという)を50℃から10℃刻みで最高100℃までの範囲に設定した。
【0025】
SVの設定を行い、所定の時間が経過した後に同箔材の表面温度(以下、PVという)を赤外線式温度計により測定した。PVの測定は、箔材の四隅および中心位置の計5箇所について行い、時間を変えて合計5回の計測を行った。その後、各箇所の温度から箔材全体の平均値を算出した。
【0026】
なお、本試験の塗布装置は、本装置としてステンレス鋼製のプレートとケースおよびアルミニウム合金製のヒータボックスから構成される装置とした。これに対して、従来装置としては、プレート,ケースおよびヒータボックスの全てがアルミニウム合金製である装置(以下、従来装置1とする),プレート,ケースおよびヒータボックスの全てがステンレス鋼製である装置(以下、従来装置2とする)の2種類の装置を使用した。
【0027】
本装置を用いたステンレス鋼製の箔材における表面温度の測定結果を表1、従来装置1を用いた測定結果を表2、従来装置2を用いた測定結果を表3にそれぞれ示す。表1ないし表3において、ヒータの設定温度であるSV(℃),箔材の四隅および中心位置における計5箇所の測定温度の平均値(PV:℃)およびSVとPVの差をそれぞれ示す。各温度測定は、同一箔材に対して5回繰り返し行った。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
本装置を用いた加熱試験では表1に示すようにヒータの設定温度であるSVと箔材表面の測定温度であるPVの差(SV−PV)は、SVに関わらず0.2℃以下の範囲であった。
【0032】
これに対して、従来装置1および2を用いた加熱試験では表2および表3に示すようにSVとPVの差は従来装置1を用いた場合は0.9〜2.1℃、従来装置2を用いた場合は0.1〜0.8℃の範囲であった。いずれの場合も本装置を用いた場合よりもSVとPVの差は大きくなった。
【0033】
本装置の加熱試験において、従来装置1および2の場合に比べてSVとPVの差が 小さくなった原因は、本体部を構成するヒータボックスの材質が熱伝導率の高いアルミニウム合金(熱伝導率:1.95(W/m・℃) ×10
−2)であること、プレートおよびその周囲を取り囲むケースの材質に保温性が良好なステンレス鋼(熱伝導率:0.16(W/m・℃) ×10
−2)を選定したことにより、ステンレス鋼製の箔材の表面を均一に加熱できたためと考えられえる。
【0034】
これに対して、従来装置1には、本体部を構成する全ての材質に熱伝導率の高いアルミニウム合金を使用した結果、本体部のプレートを加熱すると同時に放熱も起ったために本装置の場合に比べてSVとPVの差が広がったと考えられる。
【0035】
また、従来装置2の場合、本体部を構成する全ての材質に熱伝導率の低いステンレス鋼を使用していたので、本体部全体が十分に加熱しなかったことによりSVとPVの差が本装置の場合に比べて広がった原因と思われる。
【0036】
次に、本装置を用いたステンレス鋼製の箔材における四隅および中心位置の表面温度の測定結果を表4、従来装置1を用いた測定結果を表5、従来装置2を用いた測定結果を表6にそれぞれ示す。表4ないし表6において、ヒータの設定温度であるSV(単位:℃)、箔材の四隅(隅部1〜4)および中心位置の測定温度であるPV(単位:℃)およびPVの最大値と最小値の差をそれぞれ示す。
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】
本装置を用いた加熱試験では、表4に示すようにSVに関わらず箔材表面の測定温度であるPVはSVとの誤差範囲が1℃未満であった。また、箔材の表面温度の測定箇所(全5箇所)の温度バラつきも0.1〜0.4℃の範囲で1℃未満であった。これらの測定結果より、本装置を用いた加熱方式ではヒータによる加熱(入熱)が効率的に箔材を加熱して、同時に箔材の表面全体を均一に加熱していることがわかった。
【0041】
一方、従来装置1を用いた加熱試験では表5に示すように箔材表面のPVはSVとの誤差範囲が0.7〜1.7℃の範囲であり、表1に示す本装置の誤差範囲に比べて広がった。加えて、ヒータの設定温度SVに対してPVが1℃以上低下する測定箇所も存在した。その原因は、前述したように本体部を構成する全ての材質に熱伝導率の高いアルミニウム合金を使用した結果、本体部のプレートを加熱すると同時に放熱も起ったことによるものと考えられる。
【0042】
また、従来装置2を用いた加熱試験では表6に示すように箔材表面のPVはSVとの誤差範囲が0.8〜3.5℃の範囲であり、表5に示す従来装置1を用いた測定結果に比べて誤差範囲が更に広がった。特に、SVが80℃以上の場合がその傾向は顕著に見られた。合わせて、従来装置1の測定結果と同様に設定したSVに対して実際の測定値であるPVが1℃以上低く測定される箇所が存在した。この原因も前述したように本体部を構成する全ての材質に熱伝導率の低いステンレス鋼を使用した結果、本体部全体が十分に加熱しなかったことによるものと思われる。
【0043】
なお、本実施例に用いた本装置を構成するヒータボックスにはアルミニウム合金、ケースおよびプレートにはステンレス鋼を使用したが、いずれの部品もそれらの材質には限定されない。例えば、ヒータボックスの材質は相対的に熱伝導率の良好な錫,鉛,銅等の合金などでも構わない。また、ケースやプレートの材質は比較的に保温性の高い鋳鉄等の鉄基合金やニッケル合金でも良い。
【0044】
また、プレートの表面には図示するように多数の孔部を有し、それらの孔部からエアによる吸引によって被塗布物を固定させる構造としているが、孔部を設けることなく被塗布物をテープなどの固定手段によって被塗布物をプレート上に拘束する形態でも構わない。