(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記送電装置から前記移動体への前記電力の送電状況、前記移動体の位置、および前記二次電池の残量の少なくとも1つの情報を取得し、前記情報に基づいて、前記送電装置からの前記電力を受け取るか否かを判断し、前記電力を受け取らないと判断したとき、前記第1制御回路に前記指示を送る第2制御回路をさらに備える、請求項1に記載の移動体。
前記第2制御回路は、前記受電回路における電力、電圧、および電流の少なくとも1つの値または時間変化率が閾値を超えたとき、前記第1制御回路に前記指示を送る、請求項1または2に記載の移動体。
前記送電装置が前記移動体とは異なる他の移動体に送電しているとき、前記受電回路における電力、電圧、および電流の前記少なくとも1つの値または時間変化率は、前記閾値を超え、
前記送電装置が前記移動体とは異なる他の移動体に送電していないとき、前記受電回路における電力、電圧、および電流の少なくとも1つの値または時間変化率は、前記閾値を超えない、請求項3に記載の移動体。
前記第1制御回路は、前記2つの受電電極が、前記2つの送電電極にそれぞれ対向している状態において、前記受電回路における電力、電圧、および電流の前記少なくとも1つの値または時間変化率が前記閾値を超えずに所定時間が経過したとき、前記送電装置に送電を要求する、請求項3または4に記載の移動体。
前記第1制御回路は、前記移動体の運行を管理する中央制御装置から、前記指示を受けたとき、前記送電装置から見た前記移動体のインピーダンスを増加させる、請求項1から5のいずれかに記載の移動体。
前記中央制御装置は、前記送電装置から前記移動体への前記電力の送電状況、前記移動体の位置、および前記二次電池の残量の少なくとも1つの情報を取得し、前記情報に基づいて、前記移動体に前記送電装置からの前記電力を受電させるか否かを判断し、前記移動体に前記送電装置からの前記電力を受電させないと判断したとき、前記第1制御回路に前記指示を送る、請求項6に記載の移動体。
前記第1制御回路は、前記電気モータを制御するモータ制御回路を含み、前記モータ制御回路が前記電気モータに停止指令を送ることにより、前記送電装置から見た前記移動体の前記インピーダンスを増加させる、請求項1から7のいずれかに記載の移動体。
前記第1制御回路は、前記電気モータに前記停止指令を送った後、前記受電回路における電力、電圧、および電流の前記少なくとも1つの値または時間変化率が前記閾値以下の第2の閾値よりも低くなったとき、前記電気モータに駆動を再開させる指令を送る、請求項8または9に記載の移動体。
前記第1制御回路は、前記受電回路に、前記受電回路が有する抵抗、インダクタンスおよびキャパシタンスの少なくとも1つの値を変更する指令を送ることにより、前記送電装置から見た前記移動体の前記インピーダンスを高くする、請求項1から15のいずれかに記載の移動体。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見)
本開示の実施形態を説明する前に、本開示の基礎となった知見を説明する。
【0011】
図1は、本発明者が開発を進めている電界結合方式による無線電力伝送システムの一例を模式的に示す図である。図示されている無線電力伝送システムは、例えば工場内で物品の搬送に用いられる搬送ロボット(無人搬送車(Automated Guided Vehicle:AGV))10に無線で電力を伝送するシステムである。搬送ロボット10は、本開示における移動体の一例である。このシステムでは、路面(床面)30に平板状の一対の送電電極120a、120bが配置されている。搬送ロボット10は、一対の送電電極120a、120bに対向する不図示の一対の受電電極を備えている。搬送ロボット10は、送電電極120a、120bから伝送された交流電力を、一対の受電電極によって受け取る。受け取った電力は、搬送ロボット10が有するモータ、二次電池、または蓄電用のキャパシタなどの負荷に供給される。これにより、搬送ロボット10の駆動または充電が行われる。
【0012】
図1には、互いに直交するX、Y、Z方向を示すXYZ座標が示されている。以下の説明では、図示されているXYZ座標を用いる。送電電極120a、120bが延びる方向をY方向、送電電極120a、120bの表面に垂直な方向をZ方向、Y方向およびZ方向に垂直な方向をX方向とする。なお、本願の図面に示される構造物の向きは、説明のわかりやすさを考慮して設定されており、本開示の実施形態が現実に実施されるときの向きをなんら制限するものではない。また、図面に示されている構造物の全体または一部分の形状および大きさも、現実の形状および大きさを制限するものではない。
【0013】
図2は、
図1に示す無線電力伝送システムの概略的な構成を示す図である。この無線電力伝送システムは、送電装置100と、搬送ロボット(移動体)10とを備えている。送電装置100は、一対の送電電極120a、120bと、送電電極120a、120bに交流電力を供給する送電回路110とを備えている。送電回路110は、例えば、インバータ回路を含む交流出力回路である。送電回路110は、不図示の直流電源から供給された直流電力を、交流電力に変換して一対の送電電極120a、120bに出力する。
【0014】
搬送ロボット10は、受電装置200と、負荷330とを備えている。受電装置200は、一対の受電電極220a、220bと、受電電極220a、220bが受け取った交流電力を負荷330が要求する電力(例えば所定の電圧の直流電圧または所定の周波数の交流電力)に変換して負荷330に供給する受電回路210とを備えている。受電回路210は、例えば整流回路または周波数変換回路等の各種の回路を含み得る。負荷330は、例えばモータ、蓄電用のキャパシタ、または二次電池などの、電力を消費または蓄える機器である。一対の送電電極120a、120bと、一対の受電電極220a、220bとの間の電界結合(容量結合)により、両者が対向した状態で電力が無線で伝送される。
【0015】
このような無線電力伝送システムにより、搬送ロボット10は、送電電極120a、120bに沿って移動しながら、無線で電力を受け取ることができる。搬送ロボット10は、送電電極120a、120bと受電電極220a、220bとが近接して対向した状態を保ちながら、送電電極120a、120bが延びる方向(
図1におけるY方向)に移動する。これにより、搬送ロボット10は、例えばキャパシタ等の蓄電器を充電しながら移動することができる。
【0016】
しかし、このような無線電力伝送システムにおいて複数の移動体(例えば搬送ロボット)が同時に移動し、同時に充電され得るとき、以下の問題が発生する。第1の移動体が充電している最中に、第2の移動体が送電電極120a、120bの上を走行すると、送電電極120a、120bから送出されたエネルギの一部を第2の移動体が受け取ることになる。その結果、第1の移動体への電力伝送の効率が低下するおそれがある。
【0017】
本発明者は、以上の課題を見出し、この課題を解決するための構成を検討した。その結果、以下に説明する本開示の各態様により、上記課題を解決することに成功した。
【0018】
本開示の一態様に係る移動体は、
2つの送電電極を有する送電装置から無線で伝送された電力によって駆動される移動体であって、
前記2つの送電電極とそれぞれ容量結合して前記2つの送電電極から交流電力を受け取る2つの受電電極と、
前記2つの受電電極に接続され、前記2つの受電電極が受け取った交流電力を直流電力または他の交流電力に変換して、前記移動体を駆動する電気モータ、または前記移動体を駆動するための電力を蓄える二次電池に供給する受電回路と、
前記2つの受電電極が前記2つの送電電極に対向した状態で前記移動体が移動している間、前記送電装置からの前記電力の受け取りを停止すべき旨の指示を受けたとき、前記送電装置から見た前記移動体のインピーダンスを増加させる第1制御回路と、
を備える。
【0019】
上記態様によれば、前記移動体は、
前記移動体が前記2つの送電電極の近傍を走行している間、前記送電装置からの前記電力の受け取りを停止すべき旨の指示を受けたとき、前記送電装置から見た前記移動体のインピーダンスを増加させる第1制御回路を備える。
【0020】
これにより、移動体が送電電極の近傍を走行しても、送電電極から他の移動体への電力伝送効率が低下することを抑制することができる。
移動体は、前記送電装置から前記移動体への前記電力の送電状況、前記移動体の位置、および前記二次電池の残量の少なくとも1つの情報を取得し、前記情報に基づいて、前記送電装置からの前記電力を受け取るか否かを判断し、前記電力を受け取らないと判断したとき、前記第1制御回路に前記指示を送る第2制御回路をさらに備えていてもよい。
【0021】
第2制御回路を備えることにより、移動体は、電力を受け取るか否かを自ら判断し、必要な場合に、送電装置から見た前記移動体のインピーダンスを増加させる。これにより、移動体が送電電極の近傍を走行しても、送電電極から他の移動体への電力伝送効率が低下することを抑制することができる。
【0022】
「前記送電装置から前記移動体への電力の送電状況」は、例えば移動体の受電回路における電力、電圧、および電流の少なくとも1つの値またはその時間変化率の情報を含み得る。
【0023】
前記第2制御回路は、前記受電回路における電力、電圧、および電流の少なくとも1つの値または時間変化率が閾値を超えたとき、前記第1制御回路に前記指示を送ってもよい。
【0024】
ある実施形態において、前記送電装置が前記移動体とは異なる他の移動体に送電しているとき、前記受電回路における電力、電圧、および電流の前記少なくとも1つの値または時間変化率は、前記閾値を超える。前記送電装置が前記移動体とは異なる他の移動体に送電していないとき、前記受電回路における電力、電圧、および電流の少なくとも1つの値または時間変化率は、前記閾値を超えない。
【0025】
前記第1制御回路は、前記2つの受電電極が、前記2つの送電電極にそれぞれ対向している状態において、前記受電回路における電力、電圧、および電流の前記少なくとも1つの値または時間変化率が前記閾値を超えずに所定時間が経過したとき、前記送電装置に送電を要求してもよい。
【0026】
受電回路における電力、電圧、および電流の少なくとも1つの値または時間変化率が閾値を超えずに所定時間が経過したということは、送電装置から電力の供給を受けている他の移動体が存在しないと推定される。そこで、そのような場合には、第1制御回路は、送電装置に送電を要求してもよい。送電装置は、この要求に応答して、送電電力を増加させればよい。
【0027】
本開示は、送電装置と、1以上の移動体と、前記送電装置および前記1以上の移動体とを制御する中央制御装置とを備える無線電力伝送システム(「移動体システム」とも称する)を含む。中央制御装置は、送電装置および1以上の移動体との間で無線通信を行い、これらを制御する。移動体は、中央制御装置からの指示に応答して、前述のインピーダンスの制御を行ってもよい。
【0028】
言い替えれば、前記第1制御回路は、前記移動体および前記送電装置を制御する中央制御装置から、前記指示を受けたとき、前記送電装置から見た前記移動体のインピーダンスを増加させてもよい。
【0029】
ある実施形態において、前記中央制御装置は、前記送電装置から前記移動体への前記電力の送電状況、前記移動体の位置、および前記二次電池の残量の少なくとも1つの情報を取得し、前記情報に基づいて、前記移動体に前記送電装置からの前記電力を受電させるか否かを判断し、前記移動体に前記送電装置からの前記電力を受電させないと判断したとき、前記第1制御回路に前記指示を送る。
【0030】
このような実施形態では、中央制御装置は、送電装置および/または移動体から、例えば無線通信によって送電状況、移動体の位置、および二次電池の残量の少なくとも1つの情報を取得し得る。
【0031】
本開示における「移動体」は、前述の搬送ロボットのような車両に限定されず、電力によって駆動される任意の可動物体を意味する。移動体には、例えば、電気モータおよび1以上の車輪を備える電動車両が含まれる。そのような車両は、例えば、前述の搬送ロボットなどの無人搬送車(AGV)、電気自動車(Electric Vehicle:EV)、または電動カートであり得る。本開示における「移動体」には、車輪を有しない可動物体も含まれる。例えば、二足歩行ロボット、マルチコプターなどの無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle:UAV、所謂ドローン)、および有人の電動航空機も、「移動体」に含まれる。
【0032】
以下、本開示のより具体的な実施形態を説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明および実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。以下の説明において、同一または類似する機能を有する構成要素については、同じ参照符号を付している。
【0033】
(実施形態1)
まず、本開示の例示的な第1の実施形態を説明する。本実施形態では、移動体が、送電装置から移動体への前記電力の送電状況が所定の条件に該当したとき、送電装置からの電力を受け取らないと判断する。より具体的には、移動体は、受電回路における電力、電圧、および電流の少なくとも1つの値または時間変化率が閾値を超えたとき、送電装置からの電力を受け取らないように、送電装置から見た移動体のインピーダンスを増加させる。これにより、他の移動体への電力伝送の効率の低下を抑制することができる。
【0034】
図3は、本開示の実施形態の無線電力伝送システムにおける送電装置100および搬送ロボット(移動体の一例)10の構成を示す図である。
【0035】
送電装置100は、送電回路110と、一対の送電電極120a、120bと、送電検出器190と、送電制御回路150とを有する。外部の交流電源20は、送電回路110に交流電力を供給する。送電回路110は、コンバータ回路およびインバータ回路を含み得る。送電回路110に供給された交流電力は、コンバータ回路によって直流電力に変換
される。その後、直流電力はインバータ回路によって他の交流電力に変換される。一対の送電電極120a、120bは送電回路110に接続されている。一対の送電電極120a、120bは、送電回路110から出力された交流電力を無線で送電する。送電検出器190は、送電回路110内の特定の箇所における電力、電圧、または電流などを検出する。本実施形態では、一例として、送電検出器190は、送電回路110におけるインバータ回路から出力される電流を検出する。送電検出器190は、その検出値を示すデータを送電制御回路150に送る。送電制御回路150は、その情報に基づく指令を送電回路110に送る。
【0036】
一方、搬送ロボット10は、受電回路210と、一対の受電電極220a、220bと、受電検出器290と、受電制御回路250と、電気モータ330(以下、単に「モータ330」と称することがある)と、モータ制御回路340と、充放電制御回路350と、二次電池320(以下、単に「電池320」と称することがある)とを有する。一対の受電電極220a、220bは、一対の送電電極120a、120bとそれぞれ容量結合する。一対の受電電極220a、220bは、一対の送電電極120a、120bから交流電力を受け取る。受電回路210は、一対の受電電極220a、220bに接続されている。受電回路210は、整流回路を含み得る。受電回路210は、一対の受電電極220a、220bが受け取った交流電力を整流回路によって直流電力に変換する。受電回路210は、受け取った交流電力を他の交流電力に変換してもよい。
【0037】
受電回路210は、その変換された電力を、搬送ロボット10を駆動する電気モータ330または/および電池320に供給する。電池320における充放電は、充放電制御回路350によって制御される。受電検出器290は、受電回路210内の特定の箇所(例えば整流回路の後段)における電力、電圧、または電流などを検出する。本実施形態では、一例として、受電検出器290は、受電回路210における整流回路から出力される電流を検出する。受電回路210は、その検出値を示すデータを受電制御回路250に送る。受電制御回路250は、その情報に基づく指令を受電回路210およびモータ制御回路340に送る。モータ制御回路340は、その指令に応じて電気モータ350の駆動を開始または停止する。モータ制御回路340は、電気モータ350の駆動方式に応じて、コンバータ回路またはインバータ回路を含み得る。本実施形態においては、モータ制御回路340が第1制御回路に該当し、受電制御回路250が第2制御回路に該当する。
【0038】
受電制御回路250は、送電装置100から移動体10への電力の送電状況および電池320の残量の情報を取得し、当該情報に基づいて、送電装置100からの電力を受け取るか否かを判断する。受電制御回路250は、電力を受け取らないと判断したとき、モータ制御回路340に、電力の受け取りを停止すべき旨の指示を送る。モータ制御回路340は、当該指示を受けると、モータ330を停止させることにより、送電装置100から見た移動体10のインピーダンスを増加させる。
【0039】
送電装置100の送電制御回路150と搬送ロボット10の受電制御回路250は、無線により互いに通信することができる。
【0040】
以下の説明において、送電電極120a、120bを特に区別せずに表現する際には、「送電電極120」の表記を用いる。同様に、受電電極220a、220bを特に区別せずに表現する際には、「受電電極220」の表記を用いる。また、送電回路110/受電回路210内の特定の箇所における電流/電圧/電力を、単に「送電回路110/受電回路210における電流/電圧/電力」と呼ぶことがある。
【0041】
以下、本実施形態における基本的な動作を説明する。まず、搬送ロボットが送電電極120の上を走行するときに、送電電極120上に他の搬送ロボットが存在しない場合の動作の例を説明する。
【0042】
図4Aは、搬送ロボット10aおよび送電電極120の位置関係の時間変化を模式的に示す図である。上向きの矢印は搬送ロボット10aに供給される電力を模式的に表している。矢印の本数は、受電量に対応している。下向きの白い矢印は時間経過を意味する。上段の図に示すように搬送ロボット10aが送電電極120の上に存在しないとき、すなわち、搬送ロボット10の受電電極220が送電電極120と対向していないときであっても、送電装置100は、常に送電電極120から微弱電力の送電を行っている。この微弱電力のレベルは、環境に影響のない程度であり、受電側回路で検出可能なレベルである。中段の図に示すように走行中の搬送ロボット10aが送電電極120の上を走行し始めると、搬送ロボット10aは送電電極120からの微弱電力の受電を開始する。このときには、搬送ロボット10aの受電回路210における整流回路から出力される電力、電圧および電流は、伝送される電力が微弱であるため、ゼロからあまり大きく増加しない。
【0043】
したがって、受電回路210における電力、電圧および電流の少なくとも1つの値または時間変化率が閾値を超えずに所定時間が経過した場合、搬送ロボット10aの受電制御回路250は、送電電極120上に受電中の他の搬送ロボットが存在しないと判断できる。
【0044】
さらに搬送ロボット10aの受電制御回路250は、現時点での負荷の状況から受電する必要があるかないかの判断を行う。受電する必要がある場合とは、例えば、搬送ロボット10aの電池320の残量が所定値よりも少ない場合などである。
図4Aの下段の図に示すように搬送ロボット10aが完全に送電電極120の上に来て、搬送ロボット10aの受電制御回路250が、受電の必要があり、かつ送電電極120上に受電中の他の搬送ロボットが存在しないと判断した場合、受電制御回路250は、送電装置100の送電制御回路150に本格送電を要求する。本格送電とは、搬送ロボットに電力を供給するための、比較的大電力での送電を意味する。本格送電の電力は、微弱送電の電力よりも大きい。受電制御回路250からの本格送電の要求を受け取った送電制御回路150からの指令により、送電回路110は、微弱送電から本格送電へ切り替える。
【0045】
図4Bは、搬送ロボット10aの受電回路210における電流の時間変化の一例を示す図である。一例として、受電回路210内を流れる電流の検出値を用いる場合を説明する。電流に代えて、受電回路210内の電圧または電力の検出値を用いてもよい。図示される例では、検出される受電回路210内の電流は直流電流である。検出される受電回路210における電流が交流電流のときは、交流電流の振幅の時間変化に基づいて他の搬送ロボットの有無を判断すればよい。簡単のために、以下では、受電回路210における電流を直線的な変化で表す。実際には、受電回路210内の電流は、ノイズまたは過渡応答により、曲線的に変化し得る。
【0046】
まず、搬送ロボット10aが受電する必要がない場合の動作の例を説明する。この場合、搬送ロボット10aは送電電極120から微弱電力を受け取り続ける。走行中の搬送ロボット10aの受電電極220の一部が送電電極120に対向すると、受電回路210における電流C
0はゼロから増加し始める。搬送ロボット10aが送電電極120に沿って移動すると、その移動に伴い、送電電極120と受電電極220との重なりの面積が次第に増加するため、検出される電流も増加する。受電電極220の全体が送電電極120に対向すると、受電回路210における電流C
0は、その時の負荷状態および伝送効率で決定される値I
weakになる。受電の必要がない場合、搬送ロボット10aは、送電装置100に本格送電を要求しない。このため、
図4Bにおいて破線で示すように、受電回路210における電流C
0は、一定値I
weakのまま推移する。
【0047】
次に、搬送ロボット10aが受電する必要がある場合(例えば、電池残量が少ない場合)の動作の例を説明する。この場合、搬送ロボット10aは、送電電極120に本格送電の要求を行う。走行中の搬送ロボット10aが送電電極120上を走行すると、受電回路210の出力電流C
1は、受電する必要がない場合と同様に、ゼロから増加し、I
weakになる。このとき、もし送電電極120上に充電中の他の搬送ロボットがいる場合には、その送電電力を搬送ロボット10aも受け取ることになる。その結果、搬送ロボット10aの受電回路210の電流C
1は、
図4Bに示す例とは異なり、急激に増加し、I
weakよりも遥かに高い値になる。したがって、電流C
1の値が閾値(例えば、I
weak以上の値)を超えた場合には、他の搬送ロボットが充電中であると判断できる。逆に、電流C
1の値が当該閾値を超えずに所定時間が経過したときには、搬送ロボット10aの受電制御回路250は、送電電極120上に受電中の他の搬送ロボットが存在しないと判断できる。その判断後、搬送ロボット10aの受電制御回路250は送電制御回路150に本格送電の開始を要求する。送電装置100の送電回路110が本格送電を始めると、受電回路210の電流C
1は急激に増加し、一定値I
fullになる。I
weakおよびI
fullを区別するために、I
fullはI
weakの例えば5倍以上に設定され得る。
【0048】
図4Cは、搬送ロボット10aの受電回路210における電流が時間変化する他の例を示す図である。受電回路210の電流C’
1の時間変化率が閾値(例えば、電流C
0のゼロからの増加量の時間変化率)を超えずに所定時間が経過したとき、搬送ロボット10aの受電制御回路250は、送電電極120上に受電中の他の搬送ロボットが存在しないと判断できる。その判断後、搬送ロボット10aの受電制御回路250は送電制御回路150に送電の開始を要求する。送電装置100の送電回路110が本格送電を始めると、受電回路210の電流C’
1は急激に増加する。その後、受電回路210の電流C’
1は比例的に増加し、一定値I
fullになる。電流の時間変化率に基づいて他の搬送ロボットの有無を判断することにより、電流の値に基づいて判断する場合よりも早い時間で送電制御回路150に本格送電の開始を要求する信号を送ることができる。
【0049】
本格送電の開始後、受電中の搬送ロボット10aは送電電極120上を通り過ぎる。そのとき、受電回路210における電流はI
fullから減少し始め、最終的にゼロになる。同様に、送電回路110における電流も減少し始める。これにより、送電制御回路150は搬送ロボット10aの通過を判断できる。その判断後、送電制御回路150からの指令により、送電回路110は本格送電から微弱送電へ切り替える。別の方法として、搬送ロボット10aが送電電極120上を通過している最中に、搬送ロボット10aの受電制御回路250が、送電制御回路150に本格送電から微弱送電へ切り換える指令を送ってもよい。
【0050】
次に、
図5Aを参照しながら、搬送ロボット10aが送電電極120の上を走行するときに、送電電極120上に他の搬送ロボット10bが存在する場合の動作の例を説明する。搬送ロボット10aに電力の一部が供給され出すと、受電中の他の搬送ロボット10bに供給される電力が小さくなり、搬送ロボット10bへの電力伝送効率が低下してしまう。このような事態を避けるため、搬送ロボット10aは、送電電極120からの受電を抑制するための制御を行う。
【0051】
搬送ロボット10aへの電力供給を抑制することは、搬送ロボット10aの受電回路210における電流を小さくすることに相当する。これは、送電装置100から見た搬送ロボット10aのインピーダンスが増加することに等しい。送電装置100から見た搬送ロボット10aのインピーダンスを制御する方法として、搬送ロボット10aの電気モータ330の駆動を制御する方法(モータ駆動制御法と称する)が考えられる。
【0052】
図5Aは、モータ駆動制御法による制御を行う2台の搬送ロボット10a、10bおよび送電電極120の位置関係の時間変化を模式的に示す図である。
図5Aの上段の図に示すように、送電電極120上に受電中の搬送ロボット10bが存在する。
図5Aの中段の図に示すように搬送ロボット10aが送電電極120の上を走行する場合、搬送ロボット10aは送電電極120から送電された電力を受ける。このとき、本格送電中であるため、搬送ロボット10aの受電回路210における電流は、ゼロから急激に増加する。その電流の値および時間変化率は、
図4Bおよび
図4Cに示す例と比較して、著しく大きい。したがって、搬送ロボット10aの受電回路210における電流の値または時間変化率が閾値を超えた場合、搬送ロボット10aの受電制御回路250は、送電電極120上に受電中の他の搬送ロボット10bが存在すると判断できる。その場合、搬送ロボット10aの受電制御回路250は、モータ制御回路340に、電気モータ330の駆動を停止すべき旨の指令を送る。
図5Aの下段の図に示すように、モータ駆動の停止の指令により、搬送ロボット10aは、送電電極120の入口付近で停止する。これにより、送電電極120から他の搬送ロボット10bへの電力伝送効率が低下することを抑制できる。
【0053】
図5Bは、モータ駆動制御法による制御が行われる場合における搬送ロボット10aの受電回路210における電流の時間変化の一例を示す図である。この例では、受電回路210における電流の閾値がI
weak以上の値に設定されている。
【0054】
図5Bにおける電流C
0は、受電する必要がない場合の受電回路210における電流の時間変化の例を示している。この電流は、
図4Bに示す電流C
0に相当する。ただし、時間および電流のスケールが
図4Bの例とは異なる。
図5Bに示すように、走行中の搬送ロボット10aが送電電極120の上を走行すると、受電回路210における電流C
2は、他の搬送ロボット10bが存在しない場合と比較して、大きく増加する。この電流が閾値を超えたとき、搬送ロボット10aの受電制御回路250は、モータ制御回路340に、電気モータ330の駆動を停止する指令を送る。この場合、送電電極120と搬送ロボット10aの受電電極220との対向面積は、最大面積に対して十分に小さい一定面積のままで停止する。その結果、受電回路210内の電流C
2は一定値になる。この一定値は本格送電におけるI
fullよりも十分小さくなり、搬送ロボット10bへの影響を十分に小さくすることが期待できる。搬送ロボット10aの受電回路210における電流を十分に小さくすることは、送電装置100から見た搬送ロボット10aのインピーダンスを増加させることに等しい。
【0055】
図5Cは、モータ駆動制御法による制御が行なわれる場合における搬送ロボット10aの受電回路210における電流の時間変化の他の例を示す図である。この例では、受電回路210における電流値がI
weakに達する前の電流C
0の時間変化率が閾値として設定されている。電流の時間変化率が閾値を超えたとき、搬送ロボット10aのモータ制御回路340に、電気モータ330の駆動を停止する指令を送る。その結果、受電回路210の電流C’
2の最終的な値は、
図5Bの例における値よりも小さくなる。電流の時間変化率に基づいて判断することにより、電流の値に基づいて判断する場合よりも早い時間で受電回路210にモータ停止信号を送ることができる。
【0056】
次に、搬送ロボット10aのモータ駆動の停止の後、搬送ロボット10bが送電電極120の上を通り過ぎる場合の動作の例を説明する。この場合、送電装置100は本格送電から微弱送電に切り替える。同時に、搬送ロボット10aの受電回路210における電流は一定値から減少し始める。例えば、
図5Bにおける電流C
2が減少してI
weakに達したとき、搬送ロボット10aのモータ制御回路340は、電気モータ330に駆動を開始すべき旨の指令を送る。その結果、搬送ロボット10aは再び走行し始める。この場合、送電電極120上に受電中の搬送ロボット10bが存在しないことは明らかである。したがって、搬送ロボット10aの受電制御回路250は、受電が必要な場合のみ、送電装置100の送電制御回路150に微弱送電から本格送電へ切り替える指令を送る。受電回路210の電流の減少は、受電回路210の電流の値または時間変化率が閾値よりも低くなったか否かに基づいて判断してもよい。この閾値は、送電電極120上における受電中の搬送ロボット10bの有無を判断するために用いられる閾値とは異なっていてもよい。
【0057】
図6は、搬送ロボット10aのモータ駆動制御の一例を示すフローチャートである。受電制御回路250は、受電回路210における電流の値または時間変化率が閾値を超えずに所定時間が経過したかを判断する(S101)。受電回路210における電流の値または時間変化率が閾値を超えずに所定時間が経過した場合、受電制御回路250は、受電する必要があるかを判断する(S102)。受電する必要がある場合、受電制御回路250は、送電制御回路150に微弱送電から本格送電へ切り替える指令を送る(S103)。一方、受電回路210の電流の値または時間変化率が閾値を超えた場合、受電制御回路250は、モータ制御回路340を介して、電気モータ330に駆動を停止する指令を送る(S104)。その後、受電制御回路250は、受電回路210における電流が減少し始めたかを判断する(S105)。受電回路210の電流が減少し始めた場合、受電制御回路250は、電気モータ330に駆動を開始する指令を送る(S106)。その後、受電制御回路250は、受電する必要があるかを判断する(S102)。
【0058】
上述したモータ駆動制御の他に、送電装置100から見た搬送ロボット10aのインピーダンスを制御する方法として、搬送ロボット10aの受電回路210の電気的な接続を切り替える方法(「受電回路制御法」と称する)も考えられる。
【0059】
図7Aは、本実施形態の変形例に係る無線電力伝送システムにおける送電装置100および搬送ロボット10の構成を示す図である。搬送ロボット10は、スイッチ制御回路255を有する。受電回路210は、電気的な接続を切り替えるスイッチを有する。スイッチ制御回路255は、受電制御回路250からの指示を受けて、受電回路210におけるスイッチの接続を切り替える指令を送る。本実施形態においては、受電制御回路250とスイッチ制御回路255とが別個の回路であるが、これらの回路を含む単一の回路を設けてもよい。
図7Aの例では、スイッチ制御回路255が第1制御回路に該当し、受電制御回路250が第2制御回路に該当する。
【0060】
図7Bは、スイッチ回路270の配置例を模式的に示す図である。例では、受電回路210は整合回路280と、整流回路260と、複数のスイッチ回路270とを含む。スイッチ回路270は、受電電極220とインピーダンス整合回路(以下、「整合回路」と呼ぶ)280との間、整合回路280と整流回路260との間、整流回路260と充放電制御回路350との間、および充放電制御回路350と電気モータ330との間の少なくとも1箇所に接続されている。本明細書においては、受電電極220と電気モータ330との間の構成要素を含む回路について「受電回路」の用語を用いることもある。
【0061】
図8Aは、受電回路制御法による制御が行なわれる場合における、2台の搬送ロボット10a、10bおよび送電電極120の位置関係の時間変化の例を模式的に示す図である。
図8Aの上段の図に示すように、送電電極120上に受電中の搬送ロボット10bが存在する。
図8Aの中段の図に示すように走行中の搬送ロボット10aが送電電極120の上を走行した場合、搬送ロボット10aは送電電極120からの受電を開始する。この場合、搬送ロボット10aの受電回路210における電流は、他の搬送ロボット10bへの本格送電が行われているため、ゼロから急激に増加する。したがって、搬送ロボット10aの受電回路210における電流の値または時間変化率が閾値を超えた場合、搬送ロボット10aは、送電電極120上に受電中の搬送ロボット10bが存在すると判断できる。そのとき、搬送ロボット10aの受電制御回路250は、スイッチ制御回路255を介して、受電回路210に少なくとも1つのスイッチの電気的な接続をオフにする指令を送る。その結果、受電回路210の電流経路が遮断され、受電回路210における電流はゼロなる。
図8Aの下段の図に示すように、受電回路210への指令により、搬送ロボット10aは、受電を停止する。しかし、モータ330への給電は継続できる。このため、搬送ロボット10aは、搬送ロボット10bへの給電に影響を及ぼすことなく走行を継続することができる。モータ駆動制御法と異なり、受電回路制御法では、搬送ロボット10aを停止させずに、送電電極120から他の搬送ロボット10bへの電力伝送効率が低下することを抑制することができる。
【0062】
図8Bは、受電回路制御法による制御が行なわれる場合における搬送ロボット10aの受電回路210における電流の時間変化の一例を示す図である。この例では、電流の閾値がI
weak以上の値に設定されている。電流C
0は、微弱送電時の受電回路210内の電流の時間変化である。この電流は、
図5Bにおける受電回路210の電流C
0に相当する。
図8Bに示すように、搬送ロボット10aが送電電極120の上を走行すると、受電回路210の電流C
3は、微弱送電時と比較して、ゼロから大きく増加する。受電回路210内の電流C
3が閾値を超えたとき、搬送ロボット10aのスイッチ制御回路255は、受電回路210に、少なくとも1つのスイッチの電気的な接続をオフにする指令を送る。その結果、受電回路210の電流はゼロになる。受電回路210に流れる電流をゼロにすることは、送電装置100から見た搬送ロボット10aのインピーダンスが無限大に増加することに等しい。
【0063】
図8Cは、受電回路制御法による制御が行なわれる場合における搬送ロボット10aの受電回路210内の電流の時間変化の他の例を示す図である。この例では、電流値がI
weakに達する前の微弱送電時の電流C
0の時間変化率が閾値として設定されている。この電流の時間変化率が閾値を超えたとき、搬送ロボット10aの受電制御回路250は、スイッチ制御回路255を介して、受電回路210に電気的な接続をオフにする指令を送る。その結果、受電回路210の電流C’
3はゼロになる。電流の時間変化率に基づいて判断することにより、電流の値に基づいて判断する場合よりも早い時間で搬送ロボット10aの受電回路210に電気的な接続をオフにする信号を送ることができる。
【0064】
電気的な接続をオフにした後、所定時間が経過すると、搬送ロボット10aのスイッチ制御回路255は、受電回路210における電気的な接続をオンにする指令を送る。上記所定時間は、搬送ロボット10bが送電電極120上を通り過ぎ、送電装置100が本格送電から微弱送電状態に戻ったと推定される時間に設定され得る。上記指令により、送電電極120上を走行する搬送ロボット10aは、再び送電電極120からの受電を開始する。その後、搬送ロボット10aの受電制御回路250は、再び送電電極120上における受電中の搬送ロボット10bの有無を判断する。
【0065】
図9は、搬送ロボット10aの受電回路制御の一例を示すフローチャートである。
図6のフローチャートにおけるステップS104、S105、S106に代えて、ステップS107、S108、S109が実行される。受電回路210内の電流の値または時間変化率が閾値よりも高い場合、受電制御回路250は、スイッチ制御回路255を介して受電回路210に電気的な接続をオフにする指令を送る(S107)。その後、受電制御回路250は、所定時間が経過したかを判断する(S108)。所定時間が経過した場合、受電制御回路250は、スイッチ制御回路255を介して受電回路210に電気的な接続をオンにする指令を送る(S109)。その後、受電制御回路250は、再び、受電回路210の電流の値または時間変化率が閾値以下であるかを判断する(S101)。
【0066】
送電電極120上に受電中の搬送ロボット10bが存在する場合における、上述したモータ駆動制御法および受電回路制御法の振舞いを比較すると、以下のようになる。
【0067】
モータ駆動制御法では、搬送ロボット10aは送電電極120の入口付近で停止する(
図5A)。これに対し、受電回路制御法では、搬送ロボット10aは受電せずに送電電極120の上を走行する(
図8A)。すなわち、受電回路制御では、搬送ロボット10aの走行にタイムロスがない。
【0068】
モータ駆動制御法では、搬送ロボット10aの受電回路210における電流はI
fullよりも十分小さい一定値になる(
図5Bまたは
図5C)。これに対し、受電回路制御では、搬送ロボット10aの受電回路210の電流はゼロになる(
図8Bまたは
図8C)。すなわち、受電回路制御法では、搬送ロボット10aが送電電極120上の受電中の搬送ロボット10bに影響を与えることはない。
【0069】
モータ駆動制御法では、モータ駆動を開始した後(
図6のS106)、再び送電電極120上に受電中の搬送ロボット10bが存在するかどうかを判断する必要はない(
図6のS102)。これに対し、受電回路制御法では、受電回路210の電気的な接続をオンにした後(
図9のS109)、再び送電電極120上に受電中の搬送ロボット10bが存在するかどうかが判断される(
図9のS101)。
【0070】
変形例として、上述したモータ駆動制御法と受電回路制御法とを組み合わせてもよい。
【0071】
図10は、搬送ロボット10aのモータ駆動制御法の他の例を示すフローチャートである。
図9のフローチャートにおけるステップS107からS109に代えて、ステップS110からS112が実行される。受電回路210の電流の値または時間変化率が閾値を超えた場合、受電制御回路250は、電気モータ330に駆動を停止する指令を送る(S110)。その後、受電制御回路250は、所定時間が経過したかを判断する(S111)。所定時間が経過した場合、受電制御回路250は、モータ制御回路340を介して、電気モータ330に駆動を開始する指令を送る(S112)。その後、受電制御回路250は、再び、受電回路210の電流の値または時間変化率が閾値以下であるかを判断する(S101)。所定時間として、送電電極120の長さを搬送ロボット10bの移動速度で割って得られた時間が用いられ得る。この場合、搬送ロボット10aのモータ駆動開始(S112)後、送電電極120上に受電中の搬送ロボット10bが存在することはない。受電制御回路250は、次に受電する必要があるかを判断すればよい(S102)。
【0072】
図11は、搬送ロボット10aの受電回路制御法の他の例を示すフローチャートである。
図6のステップS104からS106に代えて、ステップS113からS115が実行される。受電回路210の電流の値または時間変化率が閾値を超えた場合、受電制御回路250は、受電回路210にインピーダンスを高くする指令を送る(S113)。このとき、受電回路210の電流は、I
fullよりも十分小さくなる。しかし、受電回路210の電流は上述した受電回路制御法と異なりゼロにはならないとする。その後、受電制御回路250は、受電回路210の電流が減少し始めたかを判断する(S114)。受電回路210の電流が減少し始めた場合、受電制御回路250は、スイッチ制御回路255を介して、受電回路210にインピーダンスを低くする指令を送る(S115)。その後、受電制御回路250は、受電する必要があるかを判断する(S102)。受電回路210のインピーダンスの高低の調整は、例えば、受電回路210が有する抵抗、インダクタンス、およびキャパシタンスの少なくとも1つの値を変更することにより実現できる。
【0073】
次に、本実施形態の効果を、特許文献1の技術と対比して説明する。特許文献1では、送電装置の電圧監視部が電圧を監視する。電圧が所定の閾値を超えた場合、送電装置の電力伝送停止部が受電装置への電力伝送を停止する。一方、本実施形態では、搬送ロボット10aの受電制御回路250が、送電電極120上における他の搬送ロボット10bの有無を判断する。送電電極120上に他の搬送ロボット10bが存在する場合、搬送ロボット10aは送電電極120からの受電を抑制する。つまり、本実施形態では、受電側で電力伝送を制御できる。この受電側での電力伝送の制御は、2台の移動体のみならず、3台以上の移動体を含むシステムにも適用できる。
【0074】
上述した実施形態では、搬送ロボット10aが送電電極120上を走行していることを前提として、搬送ロボット10aの受電制御回路250は、送電制御回路150に本格送電の開始を要求する。しかし、搬送ロボット10aが送電電極120上を走行していないときでも、ノイズの影響により、または搬送ロボット10aが送電電極120に近づくことにより、受電回路210にI
weakよりもかなり小さい微弱電流が流れる場合がある。この場合、所定時間が経過すると、搬送ロボット10aの受電制御回路250は、誤って送電制御回路150に送電の開始を要求し得る。
【0075】
このような誤作動を防ぐために、送電電極120上における受電中の搬送ロボット10bの有無を判断するために用いられる閾値(第1の閾値)とは別に、送電要求に必要な閾値(第2の閾値)を導入してもよい。第2の閾値は第1の閾値よりも小さい値に設定され得る。例えば、所定時間経過後に、電流の値または時間変化率が第1の閾値を超えず、かつ、第2の閾値を超えたときのみ、搬送ロボット10aの受電制御回路250は送電制御回路150に送電の開始を要求してもよい。一方、電流の値または時間変化率が第1の閾値を超えずに所定時間が経過しても、電流の値または時間変化率が第2の閾値を超えないときは、搬送ロボット10aの受電制御回路250は、自身が送電電極120上を走行していないと判断できる。その場合、搬送ロボット10aの受電制御回路250は、送電制御回路150に送電の開始を要求しなくてもよい。
【0076】
電流の値を用いる場合、第2の閾値は、例えば、I
weakまたはそれよりも少し小さい値であり得る。電流の時間変化率を用いる場合、第2の閾値は、例えば、電流C
0のゼロからの増加量の時間変化率またはそれよりも少し小さい値であり得る。
【0077】
これまでの実施形態では、受電制御回路250は、搬送ロボット10aにおける受電回路210に流れる電流または電力の変化に基づく判断によって送電装置100に本格送電を要求する。このような動作に代えて、送電装置100が微弱送電を行っている際に、送電回路110に流れる電流または電力の変化に基づいて、送電制御回路150が、送電電極120上に搬送ロボット10aが来たと判断してもよい。送電装置100が搬送ロボット10aに本格送電するか否かの判断を要求してもよい。搬送ロボット10aの受電制御回路250は、当該要求を受けた場合、本格送電が必要と判断すれば、送電装置100に本格送電を要求してもよい。
【0078】
次に、本実施形態の無線電力伝送システムにおける電力伝送に関する構成をより詳細に説明する。なお、以下に説明するシステムの構成は一例であり、要求される機能および性能に応じて、適宜変更してもよい。
【0079】
図12は、本実施形態の無線電力伝送システムにおける電力伝送に関する構成を概略的に示すブロック図である。
図12においては、受電制御回路250の図示は省略されている。送電装置100は、外部の直流電源310から供給される直流電力を交流電力に変換するインバータ回路160と、交流電力を送電する2つの送電電極120a、120bと、インバータ回路160と送電電極120a、120bとの間に接続された整合回路180とを備える。「直流電源310」は、外部から供給された交流電力を、コンバータ回路で直流電力に変換した電源も含む。本実施形態では、インバータ回路160は、整合回路180を介して第1および第2の送電電極120a、120bに電気的に接続され、第1および第2の送電電極120a、120bに交流電力を出力する。搬送ロボット10は、受電装置200と、負荷330とを備える。
【0080】
受電装置200は、2つの送電電極120a、120bと容量結合して電力を受け取る2つの受電電極220a、220bと、2つの受電電極220a、220bに接続された整合回路280と、整合回路280に接続され、受け取った交流電力を直流電力に変換して出力する整流回路260とを有する。第1の受電電極220aは、第1の送電電極120aと対向したときに、第1の送電電極120aとの間に容量結合を形成する。第2の受電電極220bは、第2の送電電極120aと対向したときに、前記第2の送電電極との間に容量結合を形成する。これらの2つの容量結合を介して交流電力が送電装置100から受電装置200に非接触で伝送される。
【0081】
本実施形態における搬送ロボット10の筐体、送電電極120a、120b、および受電電極220a、220bのそれぞれのサイズは、特に限定されないが、例えば以下のサイズに設定され得る。送電電極120a、120bの長さ(Y方向のサイズ)は、例えば50cm〜20mの範囲内に設定され得る。送電電極120a、120bのそれぞれの幅(X方向のサイズ)は、例えば5cm〜2mの範囲内に設定され得る。搬送ロボット10の筐体の進行方向および横方向におけるそれぞれのサイズは、例えば、20cm〜5mの範囲内に設定され得る。受電電極220aの長さ(進行方向におけるサイズ)は、例えば5cm〜2mの範囲内に設定され得る。受電電極220aの幅(横方向におけるサイズ)は、例えば2cm〜2mの範囲内に設定され得る。但し、これらの数値範囲に限定されない。
【0082】
負荷330は、例えば駆動用の電気モータおよび蓄電用のキャパシタを含み、受電回路210から出力された直流電力によって駆動または充電される。
【0083】
電気モータは、直流モータ、永久磁石同期モータ、誘導モータ、ステッピングモータ、リラクタンスモータなどの、任意のモータであり得る。モータは、シャフトおよびギア等
を介して搬送ロボット10の車輪を回転させ、搬送ロボット10を移動させる。モータの種類に応じて、受電回路210は、整流回路、インバータ回路、インバータ制御回路などの、各種の回路を含み得る。
【0084】
キャパシタは、例えば電気二重層キャパシタまたはリチウムイオンキャパシタなどの、高容量かつ低抵抗のキャパシタであり得る。このようなキャパシタを蓄電器として用いることにより、バッテリ(二次電池)を用いた場合よりも、急速な充電が可能である。なお、キャパシタに代えて、二次電池(例えば、リチウムイオン電池等)を用いてもよい。その場合、充電に要する時間は増加するが、より多くのエネルギを蓄えることができる。搬送ロボット10は、キャパシタまたは二次電池に蓄えられた電力によってモータを駆動して移動する。
【0085】
搬送ロボット10が移動すると、キャパシタまたは二次電池の蓄電量(充電量)が低下する。このため、移動を継続するためには、再充電が必要になる。そこで、搬送ロボット10は、移動中に充電量が所定の閾値を下回ると、送電装置100から充電を行う。
【0086】
図13は、無線電力伝送システムのより詳細な構成例を示す回路図である。図示される例では、送電装置100における整合回路180は、送電回路110に接続された直列共振回路130sと、送電電極120a、120bに接続され、直列共振回路130sと誘導結合する並列共振回路140pとを有する。整合回路180は、インバータ回路160のインピーダンスと送電電極120a、120bのインピーダンスとを整合させる機能を有する。送電装置100における直列共振回路130sは、第1のコイルL1と第1のキャパシタC1とが直列に接続された構成を有する。送電装置100における並列共振回路140pは、第2のコイルL2と第2のキャパシタC2とが並列に接続された構成を有する。第1のコイルL1と第2のコイルL2とは、所定の結合係数で結合する変圧器を構成する。第1のコイルL1と第2のコイルL2との巻数比は、所望の変圧比(昇圧比または降圧比)を実現する値に設定される。
【0087】
受電装置200における整合回路280は、受電電極220a、220bに接続された並列共振回路230pと、整流回路260に接続され、並列共振回路230pと誘導結合する直列共振回路240sとを有する。整合回路280は、受電電極220a、220bのインピーダンスと、受電回路210のインピーダンスとを整合させる機能を有する。並列共振回路230pは、第3のコイルL3と第3のキャパシタC3とが並列に接続された構成を有する。受電装置200における直列共振回路240sは、第4のコイルL4と第4のキャパシタC4とが直列に接続された構成を有する。第3のコイルL3と第4のコイルL4とは、所定の結合係数で結合する変圧器を構成する。第3のコイルL3と第4のコイルL4との巻数比は、所望の変圧比を実現する値に設定される。
【0088】
なお、整合回路180、280の構成は、
図13に示す構成に限定されない。例えば、直列共振回路130s、240sのそれぞれに代えて、並列共振回路を設けてもよい。また、並列共振回路140p、230pのそれぞれに代えて、直列共振回路を設けてもよい。さらには、整合回路180、280の一方または両方を省略してもよい。整合回路180を省略する場合、インバータ回路160と送電電極120a、120bとが直接接続される。整合回路280を省略する場合、整流回路260と受電電極220a、220bとが直接接続される。本明細書においては、整合回路180を設けた構成も、インバータ回路160と送電電極120a、120bとが電気的に接続された構成に該当する。同様に、整合回路280を設けた構成も、整流回路260と受電電極220a、220bとが電気的に接続された構成に該当する。
【0089】
図14Aは、インバータ回路160の構成例を模式的に示す図である。この例では、イ
ンバータ回路160は、4つのスイッチング素子(例えばIGBTまたはMOSFET等のトランジスタ)を含むフルブリッジ型のインバータ回路と、送電制御回路150とを有する。送電制御回路150は、各スイッチング素子のオン(導通)およびオフ(非導通)の状態を制御する制御信号を出力するゲートドライバと、ゲートドライバに制御信号を出力させるマイクロコントローラ(マイコン)等のプロセッサとを有する。図示されるフルブリッジ型のインバータ回路の代わりに、ハーフブリッジ型のインバータ回路、または、E級などの他の発振回路を用いてもよい。インバータ回路160は、通信用の変復調回路や電圧・電流などを測定する各種センサを有していてもよい。通信用の変復調回路を有する場合、交流電力に重畳してデータを受電装置200に送信することができる。
【0090】
なお、本開示は、電力伝送の目的ではなく、データを送信する目的で微弱な交流信号(例えばパルス信号)を受電装置200に送信する形態も含まれる。そのような形態でも、微弱な電力が伝送されるといえるため、微弱な交流信号(例えばパルス信号)を伝送することも、「送電」または「電力伝送」の概念に含まれる。また、そのような微弱な交流信号も、「交流電力」の概念に含まれる。
【0091】
図14Bは、整流回路260の構成例を模式的に示す図である。この例では、受電回路210は、ダイオードブリッジと平滑コンデンサとを含む全波整流回路である。整流回路260は、他の整流器の構成を有していてもよい。整流回路260の他にも、定電圧・定電流制御回路、通信用の変復調回路などの各種の回路を含んでいてもよい。整流回路260は、受け取った交流エネルギを負荷330が利用可能な直流エネルギに変換する。直列共振回路240sから出力される電圧および電流などを測定する各種のセンサが整流回路260に含まれていてもよい。
【0092】
共振回路130s、140p、230p、240sにおける各コイルは、例えば、回路基板上に形成された平面コイルもしくは積層コイル、または、銅線、リッツ線、もしくはツイスト線などを用いた巻き線コイルであり得る。共振回路130s、140p、230p、240sにおける各キャパシタには、例えばチップ形状またはリード形状を有するあらゆるタイプのキャパシタを利用できる。空気を介した2配線間の容量を各キャパシタとして機能させることも可能である。各コイルが有する自己共振特性をこれらのキャパシタの代わりに用いてもよい。
【0093】
直流電源310は、例えば、商用電源、一次電池、二次電池、太陽電池、燃料電池、USB(Universal Serial Bus)電源、高容量のキャパシタ(例えば電気二重層キャパシタ)、商用電源に接続された電圧変換器などの任意の電源であってよい。
【0094】
共振回路130s、140p、230p、240sの共振周波数f0は、典型的には、電力伝送時の伝送周波数fに一致するように設定される。共振回路130s、140p、230p、240sの各々の共振周波数f0は、伝送周波数fに厳密に一致していなくてもよい。各々の共振周波数f0は、例えば、伝送周波数fの50〜150%程度の範囲内の値に設定されていてもよい。電力伝送の周波数fは、電力伝送の周波数fは、例えば50Hz〜300GHz、より好ましくは20kHz〜10GHz、さらに好ましくは20kHz〜20MHz、さらに好ましくは20kHz〜7MHzに設定され得る。
【0095】
本実施形態では、送電電極120a、120bと受電電極220a、220bとの間は空隙であり、その距離は比較的長い(例えば、10mm程度)。そのため、電極間のキャパシタンスCm1、Cm2は非常に小さく、送電電極120a、120b、および受電電極220a、220bのインピーダンスは非常に高い(例えば、数kΩ程度)。これに対し、送電回路110および受電回路210のインピーダンスは、例えば数Ω程度と低い。
本実施形態では、送電電極120a、120b、および受電電極220a、220bに近い側に並列共振回路140p、230pがそれぞれ配置され、送電回路110および受電回路210に近い側に直列共振回路130s、240sがそれぞれ配置される。このような構成により、インピーダンスの整合を容易に行うことができる。直列共振回路は、共振時にインピーダンスがゼロ(0)になるため、低いインピーダンスとの整合に適している。一方、並列共振回路は、共振時にインピーダンスが無限大になるため、高いインピーダンスとの整合に適している。よって、
図13に示す構成のように、低いインピーダンスの電源側に直列共振回路を配置し、高いインピーダンスの電極側に並列共振回路を配置することにより、インピーダンス整合を容易に実現することができる。同様に、電極側に並列共振回路を配置し、負荷側に直列共振回路を配置することにより、受電装置200におけるインピーダンス整合を好適に実現することができる。
【0096】
なお、送電電極120a、120bと受電電極220a、220bとの間の距離を短くしたり、間に誘電体を配置したりした構成では、電極のインピーダンスが低くなるため、上記のような非対称な共振回路の構成にする必要はない。また、インピーダンス整合の問題がない場合は、整合回路180、280自体を省略してもよい。
【0097】
(実施形態2)
次に、本開示の例示的な第2の実施形態を説明する。
【0098】
本実施形態では、移動体が受電するか否かの判断を、移動体とは異なる外部の装置が実行する。外部の装置は、判断の結果を移動体に通知する。移動体は、通知を受けて、自己のインピーダンスを変化させる。
【0099】
図15は、本実施形態における無線電力伝送システムの構成を示すブロック図である。この無線電力伝送システムは、少なくとも1つの送電装置100と、少なくとも1つの移動体10と、移動体10の運行を管理する中央制御装置300とを備える。中央制御装置300は、送電装置100と、少なくとも1つの移動体10とを制御する。中央制御装置300は、送電装置100における送電制御回路150と、移動体10における受電制御回路250に、無線または有線で接続される。
【0100】
中央制御装置300は、例えばCPUなどの制御回路、およびメモリなどの記憶装置とを備えたコンピュータによって実現され得る。記憶装置に格納されたコンピュータプログラムを制御回路が実行することにより、後述する動作が実現され得る。
【0101】
中央制御装置300は、送電制御回路150に、送電の停止および開始の指令を送る。送電制御回路150は、送電中、送電状態に関する情報、例えば、送電回路110内の電流、電圧、および電力の少なくとも1つの値を、中央制御装置300に送る。送電装置100から中央制御装置300へのこの情報送信は、例えば所定時間ごとに実行される。
【0102】
中央制御装置300はまた、受電制御回路250に、受電の開始および停止の指令を送る。受電制御回路250は、移動体10の位置を示す情報と、電池320の残量を示す情報とを中央制御装置300に送る。受電装置10から中央制御装置300へのこの情報送信は、例えば所定時間ごとに実行される。
【0103】
図15に示す送電装置100および移動体10の構成は、
図3に示す構成と同じである。移動体10は、
図7Aに示す構成を備えていてもよい。
【0104】
中央制御装置300は、送電状態を示す情報、移動体320の位置を示す情報、および電池320の残量を示す情報の少なくとも1つの情報に基づいて、移動体10の受電の開始および停止のタイミングを決定する。中央制御装置300は、移動体10が送電電極120の上に到達しようとしているとき、上記の情報に基づいて、移動体10に受電させるか否かを判断する。中央制御装置300は、その判断の結果に基づいて、受電開始指令または受電停止指令を、受電制御回路250に送信する。移動体10における受電制御回路250は、受電開始指令および受電停止指令に従い、自己のインピーダンスを調整する。
【0105】
図16は、本実施形態における移動体10の動作を示すフローチャートである。移動体10の受電制御回路250は、以下の動作を実行する。
ステップS201:受電制御回路250は、受電開始指令を受けたかを判定する。判定がYesの場合はステップS202に進む。判定がNoの場合はステップS203に進む。
ステップS202:受電制御回路250は、受電開始指令を受けると、送電制御回路150に、微弱送電から本格送電への切り替え指令を送る。
ステップS203:受電制御回路250は、受電停止指令を受けたかを判定する。判定がYesの場合はステップS204に進む。判定がNoの場合はステップS201に戻る。
ステップS204:受電制御回路250は、受電停止指令を受けると、インピーダンスを増加させる指令をモータ制御回路340に送る。モータ制御回路340は、この指令を受けて、モータ330を停止させる。
ステップS205:次に、受電制御回路250は、再び受電開始指令を受けたかを判定する。判定がYesの場合、ステップS206に進む。判定がNoの場合、再びステップS205を実行する。
ステップS206:受電制御回路250は、再び受電開始指令を受けると、インピーダンスを低下させる指令をモータ制御回路340に送る。モータ制御回路340は、この指令を受けて、モータ330を再び駆動させる。
【0106】
図16の例では、モータ制御回路340がモータ330を停止させることによって送電装置100から見た移動体10のインピーダンスを増加させる。これに代えて、受電制御回路250が受電回路210内のスイッチ、抵抗、キャパシタンス、インダクタンスの制御によってインピーダンスを増加させてもよい。本実施形態では、受電制御回路250およびモータ制御回路340が協働して「第1制御回路」として機能する。
【0107】
中央制御装置300は、例えば以下の前提に基づいて、受電開始/停止の判断を行う。
前提:
(1)システム内に含まれる全ての送電電極120の位置情報を保持している。
(2)各送電電極120について、送電装置が送電を行っているか否かの情報を常時、取得している。
(3)システム内に含まれる全ての移動体10の位置情報および電池320の充電残量情報を常時、取得している。
(4)ある移動体10が送電電極120に近づくと、その移動体10とは異なる他の移動体10が送電電極120上にいる場合には、それらの移動体10に対して“受電開始/停止”の判断を行い、指令を送る。
【0108】
中央制御装置300は、各移動体10の受電開始/停止の判断を、例えば以下の基準1〜3のいずれかに基づいて実行する。
・基準1:先方優先
先に送電電極上にいる移動体を優先して、近づいてきた移動体に“受電停止”指令を送る。
・基準2:充電残量優先
充電残量の少ない移動体を優先し、充電残量の多い移動体に“受電停止”指令を送る。
・基準3:後方優先
後から来た移動体を優先して、送電電極上に先にいる移動体に“受電停止”指令を送る。
【0109】
以下、
図17を参照して、中央制御装置300の動作の一例を説明する。
図17は、中央制御装置300の動作の一例を示すフローチャートである。ここで、
図5Aに示すように、2台の移動体10a、10bが、一対の送電電極120から受電しようとしている場合を想定する。先に送電電極上にいる移動体10bを、「先の移動体10b」と称し、送電電極に近づいてきた移動体を「後の移動体10a」と称する。この例では、中央制御装置300は、以下の動作を実行する。
S301:送電装置100から送電状態情報を取得する。
S302:後の移動体10aから移動体位置情報および充電状態情報を取得する。
S303:先の移動体10bから移動体位置情報および充電状態情報を取得する。
なお、ステップS301〜S303は、どの順序で行ってもよい。
S304:後の移動体10aと送電電極120との距離が指定値以下になったかを判定する。判定がNoの場合は、ステップS301〜S303に戻る。判定がYesの場合は、ステップS305に進む。なお、移動体10aと送電電極120との距離は、各送電電極および各移動体の位置情報から計算され得る。
S305:送電装置100が送電中か否かを判定する。判定がYesの場合はステップS306に進む。判定がNoの場合はステップS309に進む。
S306:先の移動体10bの位置が送電電極上か否かを判定する。判定がYesの場合、ステップS307に進む。判定がNoの場合、ステップS309に進む。
S307:後の移動体10aの電池残量が指定値よりも大きいか否かを判定する。判定がYesの場合はステップS308に進む。Noの場合はステップS312に進む。
S308:後の移動体10aに受電停止指令を発信する。
S309:先の移動体10bに受電停止指令を発信する。
S310:後の移動体10aに受電開始指令を発信する。
S311:送電装置100に送電開始指令を発信する。
S312:後の移動体10aの電池残量が先の移動体10bの電池残量よりも大きいかを判定する。判定がYesの場合はステップS313に進む。Noの場合はステップS309に移行する。
S313:後の移動体10aに受電停止指令を発信する。
【0110】
以上の動作により、先の移動体10bと後の移動体10aの電池残量の応じて、適切に電力供給を行うことが可能となる。
【0111】
以上の実施形態では、一対の送電電極120は、地面に敷設されているが、一対の送電電極120は、壁などの側面、または天井などの上面に敷設されていてもよい。送電電極120が敷設される場所および向きに応じて、移動体10の受電電極220の配置および向きが決定される。
【0112】
図18Aは、送電電極120が壁などの側面に敷設された例を示している。この例では、受電電極220は、移動体10の側方に配置される。
図18Bは、送電電極120が天井に敷設された例を示している。この例では、受電電極220は、移動体10の天板に配置される。これらの例のように、送電電極110および受電電極210の配置には様々なバリエーションがある。
【0113】
本開示の実施形態における無線電力伝送システムは、前述のように、工場内における物品の搬送用のシステムとして利用され得る。搬送ロボット10は、物品を積載する荷台を有し、工場内を自律的に移動して物品を必要な場所に搬送する台車として機能する。しかし、本開示における無線電力伝送システムおよび移動体は、このような用途に限らず、他の様々な用途に利用され得る。例えば、移動体は、AGVに限らず、他の産業機械、サービスロボット、電気自動車、マルチコプター(ドローン)等であってもよい。無線電力伝送システムは、工場内に限らず、例えば、店舗、病院、家庭、道路、滑走路その他のあらゆる場所で利用され得る。
【0114】
以上のように、本開示は、以下の項目に記載の移動体および無線電力伝送システムを含む。
【0115】
[項目1]
2つの送電電極を有する送電装置から無線で伝送された電力によって駆動される移動体であって、
前記2つの送電電極とそれぞれ容量結合して前記2つの送電電極から交流電力を受け取る2つの受電電極と、
前記2つの受電電極に接続され、前記2つの受電電極が受け取った交流電力を直流電力または他の交流電力に変換して、前記移動体を駆動する電気モータ、または前記移動体を駆動するための電力を蓄える二次電池に供給する受電回路と、
前記2つの受電電極が前記2つの送電電極に対向した状態で前記移動体が移動している間、前記送電装置からの前記電力の受け取りを停止すべき旨の指示を受けたとき、前記送電装置から見た前記移動体のインピーダンスを増加させる第1制御回路と、
を備える移動体。
【0116】
[項目2]
前記送電装置から前記移動体への前記電力の送電状況、前記移動体の位置、および前記二次電池の残量の少なくとも1つの情報を取得し、前記情報に基づいて、前記送電装置からの前記電力を受け取るか否かを判断し、前記電力を受け取らないと判断したとき、前記第1制御回路に前記指示を送る第2制御回路をさらに備える、項目1に記載の移動体。
【0117】
[項目3]
前記第2制御回路は、前記受電回路における電力、電圧、および電流の少なくとも1つの値または時間変化率が閾値を超えたとき、前記第1制御回路に前記指示を送る、項目1または2に記載の移動体。
【0118】
[項目4]
前記送電装置が前記移動体とは異なる他の移動体に送電しているとき、前記受電回路における電力、電圧、および電流の前記少なくとも1つの値または時間変化率は、前記閾値を超え、
前記送電装置が前記移動体とは異なる他の移動体に送電していないとき、前記受電回路における電力、電圧、および電流の少なくとも1つの値または時間変化率は、前記閾値を超えない、項目3に記載の移動体。
【0119】
[項目5]
前記第1制御回路は、前記2つの受電電極が、前記2つの送電電極にそれぞれ対向している状態において、前記受電回路における電力、電圧、および電流の前記少なくとも1つの値または時間変化率が前記閾値を超えずに所定時間が経過したとき、前記送電装置に送電を要求する、項目3または4に記載の移動体。
【0120】
[項目6]
前記第1制御回路は、前記移動体の運行を管理する中央制御装置から、前記指示を受けたとき、前記送電装置から見た前記移動体のインピーダンスを増加させる、項目1から5のいずれかに記載の移動体。
【0121】
[項目7]
前記中央制御装置は、前記送電装置から前記移動体への前記電力の送電状況、前記移動体の位置、および前記二次電池の残量の少なくとも1つの情報を取得し、前記情報に基づいて、前記移動体に前記送電装置からの前記電力を受電させるか否かを判断し、前記移動体に前記送電装置からの前記電力を受電させないと判断したとき、前記第1制御回路に前記指示を送る、項目6に記載の移動体。
【0122】
[項目8]
前記第1制御回路は、前記電気モータを制御するモータ制御回路を含み、前記モータ制御回路が前記電気モータに停止指令を送ることにより、前記送電装置から見た前記移動体の前記インピーダンスを増加させる、項目1から7のいずれかに記載の移動体。
【0123】
[項目9]
前記第1制御回路は、前記電気モータに前記停止指令を送った後、所定時間が経過したとき、前記電気モータに駆動を再開させる指令を送る、項目8に記載の移動体。
【0124】
[項目10]
前記第1制御回路は、前記電気モータに前記停止指令を送った後、前記受電回路における電力、電圧、および電流の前記少なくとも1つの値または時間変化率が前記閾値以下の第2の閾値よりも低くなったとき、前記電気モータに駆動を再開させる指令を送る、項目8または9に記載の移動体。
【0125】
[項目11]
前記受電回路は、前記2つの受電電極と前記電気モータとの間の電気的な接続を切替えるスイッチを有し、
前記第1制御回路は、前記スイッチに前記接続をオフにする指令を送ることにより、前記送電装置から見た前記移動体の前記インピーダンスを増加させる、項目1から10のいずれかに記載の移動体。
【0126】
[項目12]
前記制御回路は、前記スイッチに前記指令を送った後、所定時間が経過したとき、前記スイッチに前記接続をオンにする指令を送る、項目11に記載の移動体。
【0127】
[項目13]
前記受電回路は、
整流回路と、
前記2つの受電電極と前記整流回路との間に接続され、前記スイッチを含むスイッチ回路と、
を有する、項目11または12に記載の移動体。
【0128】
[項目14]
前記受電回路は、
整流回路と、
前記整流回路と前記電気モータとの間に接続され、前記スイッチを含むスイッチ回路と、
を有する、項目11または12に記載の移動体。
【0129】
[項目15]
前記受電回路は、
整流回路と、
前記2つの受電電極と前記整流回路との間に接続されたインピーダンス整合回路と、
前記2つの受電電極と前記インピーダンス整合回路との間、または、前記インピーダンス整合回路と前記整流回路との間に接続され、前記スイッチを含むスイッチ回路と、
を有する、項目12または13に記載の移動体。
【0130】
[項目16]
前記第1制御回路は、前記受電回路に、前記受電回路が有する抵抗、インダクタンスおよびキャパシタンスの少なくとも1つの値を変更する指令を送ることにより、前記送電装置から見た前記移動体の前記インピーダンスを高くする、項目1から15のいずれかに記載の移動体。
【0131】
[項目17]
前記電気モータをさらに備える、項目1から16のいずれかに記載の移動体。
【0132】
[項目18]
前記受電回路における電力、電圧および電流の少なくとも1つを検出する検出器をさらに備える、項目1から17のいずれかに記載の移動体。
【0133】
[項目19]
前記移動体は、無人搬送車である、項目1から18のいずれかに記載の移動体。
【0134】
[項目20]
項目1から19のいずれかに記載の移動体と、
前記送電装置と、
を備える無線電力伝送システム。
【0135】
[項目21]
項目6または7に記載の移動体と、
前記送電装置と、
前記中央制御装置と、
を備える無線電力伝送システム。