特許第6986730号(P6986730)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986730
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】固形化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20211213BHJP
   A45D 33/00 20060101ALI20211213BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20211213BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20211213BHJP
   A61Q 1/06 20060101ALI20211213BHJP
   A61Q 1/08 20060101ALI20211213BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20211213BHJP
   B41M 1/12 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   A61K8/02
   A45D33/00 615Z
   A45D33/00 650Z
   A61Q1/02
   A61Q1/04
   A61Q1/06
   A61Q1/08
   A61Q1/10
   B41M1/12
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-50313(P2017-50313)
(22)【出願日】2017年3月15日
(65)【公開番号】特開2018-154560(P2018-154560A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2020年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000158781
【氏名又は名称】紀伊産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167900
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 仁
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 春香
(72)【発明者】
【氏名】青木 実緒
(72)【発明者】
【氏名】小林 浩之
(72)【発明者】
【氏名】渡部 友絵
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−177325(JP,A)
【文献】 特開2009−073813(JP,A)
【文献】 Gradation Eyes Palette,ID#:4391737,Mintel GNPD[online],2016年7月,[検索日2020.05.29],https://www.portal.mintel.com
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
A45D 33/00−33/38
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に収容された固形化粧料であって、
前記容器に収容された第1の化粧料と、
前記第1の化粧料の表面に付された化粧料側模様と、
前記容器の表面に付された容器側模様とを備え、
前記化粧料側模様は、前記第1の化粧料の色とは異なる色を有し、前記第1の化粧料の表面に模様を形成する第2の化粧料からなり、
前記容器側模様は、前記容器の表面に模様を形成する模様形成用化粧料からなり、
前記第1の化粧料の表面および前記容器の表面は、隣接して配置され、
前記化粧料側模様および前記容器側模様は、一体的に組み合わせることによって、前記化粧料の使用に関する情報を使用者に伝達する形態を除く形態を形成することを特徴とする固形化粧料。
【請求項2】
請求項1に記載された固形化粧料において、
前記模様形成用化粧料および前記第2の化粧料は、同一の化粧料であることを特徴とする固形化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に収容された固形化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器に収容された化粧料と、化粧料の表面に付された模様とを備える固形化粧料が知られている。例えば、特許文献1に記載された多色メイクアップ化粧料の製造方法は、複数色のスラリー状の化粧料を複数の空圧式噴霧機にて化粧料の表面に噴霧することによって、所定の方向に色の変化するグラデーション(模様)を化粧料の表面に表現している。
ところで、このような固形化粧料に模様を付す場合には、化粧料の表面だけでなく、化粧料を収容する容器の表面に模様を付すことも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−166822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、容器の表面に模様を付した場合には、この模様は、例えば、固形化粧料の製造時や、固形化粧料の使用時に削れてしまうので、容器に収容された化粧料にインクなどの不純物が混ざってしまい、ひいては化粧料の品質を損なってしまう場合があるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、化粧料の品質を損なうことなく、化粧料を収容する容器の表面に模様を付すことができる固形化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の固形化粧料は、容器に収容された固形化粧料であって、容器に収容された第1の化粧料と、第1の化粧料の表面に付された化粧料側模様と、容器の表面に付された容器側模様とを備え、化粧料側模様は、第1の化粧料の色とは異なる色を有し、第1の化粧料の表面に模様を形成する第2の化粧料からなり、容器側模様は、容器の表面に模様を形成する模様形成用化粧料からなり、第1の化粧料の表面および容器の表面は、隣接して配置され、化粧料側模様および容器側模様は、一体的に組み合わせることによって、化粧料の使用に関する情報を使用者に伝達する形態を除く形態を形成することを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、容器の表面に付された容器側模様は、容器の表面に模様を形成する模様形成用化粧料からなるので、例えば、固形化粧料の製造時や、固形化粧料の使用時に削れてしまっても、容器に収容された化粧料と、模様形成用化粧料とが化粧料同士で混ざるだけとなる。したがって、固形化粧料は、化粧料の品質を損なうことなく、化粧料を収容する容器の表面に模様を付すことができる。
また、容器側模様は、模様形成用化粧料からなるので、容器の表面から拭き取ることなどによって、消失させることができる。したがって、使用者は、容器側模様に煩わしさを感じることがなく、快適に固形化粧料を使用できる。
【0009】
また、固形化粧料は、第1の化粧料の表面に付された化粧料側模様と、容器の表面に付された容器側模様とを備えているので、化粧料側模様および容器側模様のいずれか一方に模様を付す場合と比較して大きな領域に模様を付すことができる。
【0011】
そして、第1の化粧料の表面および容器の表面は、隣接して配置されているので、固形化粧料は、第1の化粧料の表面と、容器の表面とを合わせた広い面積の領域を1つの領域と見立てて、この領域に化粧料側模様および容器側模様を一体的に組み合わせた大きな特定の模様を付すことができる。
【0012】
本発明では、模様形成用化粧料および第2の化粧料は、同一の化粧料であることが好ましい。
【0013】
ここで、従来のように容器側模様をシルク印刷等によってインクを用いて印刷する場合や、化粧料側模様を模様形成用化粧料と異なる化粧料とする場合には、固形化粧料は、第1の化粧料の表面に化粧料側模様を付す工程と、容器の表面に容器側模様を付す工程との少なくとも2回の工程を経て製造することになる。
本発明によれば、模様形成用化粧料および第2の化粧料は、同一の化粧料であるので、化粧料側模様および容器側模様は、1回の工程で効率的に第1の化粧料の表面および容器の表面に付すことができる。したがって、化粧料側模様および容器側模様は、ズレや歪みのない美しい模様となり、固形化粧料は、その製造効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係るアイシャドウの固形化粧料を示す上面図
図2】模様を印刷する静電スクリーン印刷装置を示す断面模式図
図3】本発明の第2実施形態に係るアイシャドウの固形化粧料を示す上面図
図4】本発明の第3実施形態に係る固形化粧料を示す上面図
図5】本発明の第1変形例に係る固形化粧料を示す上面図
図6】本発明の第2変形例に係る固形化粧料を示す上面図
図7】本発明の第3変形例に係る固形化粧料を示す上面図
図8】本発明の第4変形例に係る固形化粧料を示す上面図
図9】本発明の第5変形例に係る固形化粧料を示す上面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るアイシャドウの固形化粧料を示す上面図である。
固形化粧料1は、図1に示すように、ハイライトカラーのアイシャドウの化粧料21と、ミディアムカラーのアイシャドウの化粧料22と、アクセントカラーのアイシャドウの化粧料23と、ダークカラーのアイシャドウの化粧料24とを備えている。
また、固形化粧料1は、化粧料22の色とは異なる色を有し、化粧料22の表面(上面)に付された化粧料側模様32と、化粧料23の色とは異なる色を有し、化粧料23の表面(上面)に付された化粧料側模様33と、化粧料24の色とは異なる色を有し、化粧料24の表面(上面)に付された化粧料側模様34とを備えている。
【0019】
ここで、異なる色の化粧料とは、人間の視覚に基づいて、両者の違いを区別できる化粧料を言うものとし、明度、彩度、および色相の異なる化粧料はもとより、パール等を加えたものと、そうでないものといったように同一色であっても光沢感の異なる化粧料などを含むものとする。
なお、本実施形態では、化粧料側模様32〜34は、同一の色を採用しているが、異なる色を採用してもよい。
【0020】
この固形化粧料1は、容器としての化粧皿4に収容されている。
化粧皿4は、略矩形状の4つの収容部41〜44を有し、各収容部41〜44は、固形化粧料1の各化粧料21〜24を収容している。
具体的には、左上の収容部41は、ハイライトカラーのアイシャドウの化粧料21を収容し、右上の収容部42は、ミディアムカラーのアイシャドウの化粧料22を収容し、左下の収容部43は、アクセントカラーのアイシャドウの化粧料23を収容し、右下の収容部44は、ダークカラーのアイシャドウの化粧料24を収容している。
また、化粧皿4は、その表面(上面)に付された容器側模様51を備えている。
【0021】
容器側模様51は、左上の収容部41の上方に配置されたテキスト部511を備えている。
テキスト部511は、化粧料21を塗る順番を示す順番情報511Aと、化粧料21を塗る濃淡を示す濃淡情報511Bとを備えている。図1では、順番情報511Aは、化粧料21を1番目に塗ることを使用者に伝達する「1」を表示し、濃淡情報511Bは、化粧料21を最も淡いハイライトカラーに塗ることを使用者に伝達する「ハイライト」を表示している。
【0022】
化粧料側模様32は、化粧料22の上部に配置されたテキスト部321を備えている。
テキスト部321は、化粧料22を塗る順番を示す順番情報321Aと、化粧料22を塗る濃淡を示す濃淡情報321Bとを備えている。図1では、順番情報321Aは、化粧料22を2番目に塗ることを使用者に伝達する「2」を表示し、濃淡情報321Bは、化粧料22を中間の濃さのミディアムカラーに塗ることを使用者に伝達する「ミディアム」を表示している。
【0023】
化粧料側模様33は、化粧料23の上部に配置されたテキスト部331を備えている。
テキスト部331は、化粧料23を塗る順番を示す順番情報331Aと、化粧料23を塗る濃淡を示す濃淡情報331Bとを備えている。図1では、順番情報331Aは、化粧料23を3番目に塗ることを使用者に伝達する「3」を表示し、濃淡情報331Bは、化粧料23をミディアムカラーよりも濃いアクセントカラーに塗ることを使用者に伝達する「アクセント」を表示している。
【0024】
化粧料側模様34は、化粧料24の上部に配置されたテキスト部341を備えている。
テキスト部341は、化粧料24を塗る順番を示す順番情報341Aと、化粧料24を塗る濃淡を示す濃淡情報341Bとを備えている。図1では、順番情報341Aは、化粧料24を4番目に塗ることを使用者に伝達する「4」を表示し、濃淡情報341Bは、化粧料24を最も濃いダークカラーに塗ることを使用者に伝達する「ダーク」を表示している。
【0025】
したがって、本実施形態では、化粧料側模様32〜34および容器側模様51は、化粧料21〜24の使用に関する情報を使用者に伝達する情報伝達手段として機能している。換言すれば、この情報伝達手段は、化粧料側模様32〜34および容器側模様51を含むことによって、化粧料21〜24の使用に関する情報を使用者に伝達している。
また、本実施形態では、順番情報511A,321A,331A,341Aおよび濃淡情報511B,321B,331B,341Bは、化粧料21〜24の使用態様に関する情報を使用者に伝達する使用態様情報部として機能している。
【0026】
この固形化粧料1は、化粧皿4に化粧料21〜24を充填し、この化粧料21〜24を打型することによって固化させた後、この化粧料22〜24の表面および化粧皿4の表面に化粧料側模様32〜34および容器側模様51を同時に印刷することによって製造できる。
以下、化粧料22〜24の表面および化粧皿4の表面に化粧料側模様32〜34および容器側模様51を同時に印刷する固形化粧料1の製造方法を例として説明する。
【0027】
図2は、模様を印刷する静電スクリーン印刷装置を示す断面模式図である。
静電スクリーン印刷装置9は、図2に示すように、化粧皿4を搬送するベルトコンベア91と、ベルトコンベア91の上方に設けられた印刷部92と、ベルトコンベア91および印刷部92の間に電圧を印加する電源93とを備えている。
【0028】
ベルトコンベア91は、化粧皿4を搬送することによって、印刷部92の下方位置に化粧皿4を配置する。
印刷部92は、化粧料側模様32〜34および容器側模様51の形状に対応した開孔を有する矩形板状のスクリーン921と、スクリーン921に当接するようにして設けられたスクリーンブラシ922とを備えている。
なお、前述した電源93は、印刷部92のスクリーン921に接続されている。
【0029】
スクリーンブラシ922は、水平軸を中心として回転することによって、スクリーン921の上面に所定量だけ供給された粉体Pをスクリーン921に擦り込み、スクリーン921に形成された開孔を介して落下させる。このとき、粉体Pは、スクリーンブラシ922との摩擦によって帯電し、ベルトコンベア91にて搬送される化粧皿4に引き寄せられて化粧料22〜24の表面および化粧皿4の表面に付着する。これによって、静電スクリーン印刷装置9は、化粧料22〜24の表面および化粧皿4の表面に化粧料側模様32〜34および容器側模様51を印刷することができる。ここで、粉体Pは、化粧料21〜24とは異なる色の模様形成用化粧料である。
なお、複数の色を利用して化粧料の表面および化粧皿の表面に模様を印刷する場合には、各色の粉体と、各色を印刷する部位の形状に対応した開孔を有するスクリーンとを用意し、これらを交換しながら化粧料の表面および化粧皿の表面に繰り返し印刷することによって、化粧料の表面および化粧皿の表面に複数の色を有する模様を印刷することができる。
【0030】
このように、本実施形態では、化粧皿4に収容された化粧料22〜24(第1の化粧料)と、化粧料22〜24の表面に付された化粧料側模様32〜34とを備えている。化粧料側模様32〜34は、化粧料22〜24の色とは異なる色を有し、化粧料22〜24の表面に模様を形成する第2の化粧料からなる。
また、本実施形態では、化粧料22〜24の表面および化粧皿4の表面に化粧料側模様32〜34および容器側模様51を印刷する粉体P(模様形成用化粧料および第2の化粧料)は、同一の化粧料である。
【0031】
このような本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏することができる。
(1)化粧皿4の表面に付された容器側模様51は、化粧皿4の表面に模様を形成する模様形成用化粧料からなるので、例えば、固形化粧料1の製造時や、固形化粧料1の使用時に削れてしまっても、化粧皿4に収容された化粧料21〜24と、模様形成用化粧料とが化粧料同士で混ざるだけとなる。したがって、固形化粧料1は、化粧料21〜24の品質を損なうことなく、化粧料21〜24を収容する化粧皿4の表面に模様を付すことができる。
(2)容器側模様51は、模様形成用化粧料からなるので、化粧皿4の表面から拭き取ることなどによって、消失させることができる。したがって、使用者は、容器側模様51に煩わしさを感じることがなく、快適に固形化粧料1を使用できる。
【0032】
(3)固形化粧料1は、化粧料22〜24の表面に付された化粧料側模様32〜34と、化粧皿4の表面に付された容器側模様51とを備えているので、化粧料側模様32〜34および容器側模様51のいずれか一方に模様を付す場合と比較して大きな領域に模様を付すことができる。
(4)模様形成用化粧料および第2の化粧料は、同一の化粧料であるので、化粧料側模様32〜34および容器側模様51は、1回の工程で化粧料22〜24の表面および化粧皿4の表面に付すことができる。したがって、化粧料側模様32〜34および容器側模様51は、ズレや歪みのない美しい模様となり、固形化粧料1は、その製造効率を向上させることができる。
【0033】
(5)固形化粧料1は、固形化粧料1の使用に関する情報を使用者に伝達する情報伝達手段を備えているので、使用者は、使用に関する情報を確認することができる。また、情報伝達手段は、模様を含むことによって、固形化粧料1の使用に関する情報を使用者に伝達しているので、使用者は、紙製の外箱や、樹脂製のフィルムなどの付属品を参照することなく、使用に関する情報を確認することができる。
【0034】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0035】
図3は、本発明の第2実施形態に係るアイシャドウの固形化粧料を示す上面図である。
固形化粧料1Aは、図3に示すように、ハイライトカラーのアイシャドウの化粧料21と、ミディアムカラーのアイシャドウの化粧料22と、アクセントカラーのアイシャドウの化粧料23と、ダークカラーのアイシャドウの化粧料24とを備えている。
また、固形化粧料1Aは、化粧料21の色とは異なる色を有し、化粧料21の表面(上面)に付された化粧料側模様31Aと、化粧料22の色とは異なる色を有し、化粧料22の表面(上面)に付された化粧料側模様32Aと、化粧料23の色とは異なる色を有し、化粧料23の表面(上面)に付された化粧料側模様33Aと、化粧料24の色とは異なる色を有し、化粧料24の表面(上面)に付された化粧料側模様34Aとを備えている。
なお、本実施形態では、化粧料側模様31A〜34Aは、同一の色を採用しているが、異なる色を採用してもよい。
【0036】
この固形化粧料1Aは、容器としての化粧皿4に収容されている。
化粧皿4は、略矩形状の4つの収容部41〜44を有し、各収容部41〜44は、固形化粧料1Aの各化粧料21〜24を収容している。
また、化粧皿4は、その表面(上面)に付された容器側模様51A〜54Aを備えている。
【0037】
化粧料側模様31Aおよび容器側模様51Aは、一体的に組み合わせることによって、化粧料21を塗る順番を示す順番情報として機能している。具体的には、化粧料側模様31Aおよび容器側模様51Aは、化粧料21を1番目に塗ることを使用者に伝達する「1」を表示している。
化粧料側模様32Aおよび容器側模様52Aは、一体的に組み合わせることによって、化粧料22を塗る順番を示す順番情報として機能している。具体的には、化粧料側模様32Aおよび容器側模様52Aは、化粧料22を2番目に塗ることを使用者に伝達する「2」を表示している。
化粧料側模様33Aおよび容器側模様53Aは、一体的に組み合わせることによって、化粧料23を塗る順番を示す順番情報として機能している。具体的には、化粧料側模様33Aおよび容器側模様53Aは、化粧料23を3番目に塗ることを使用者に伝達する「3」を表示している。
化粧料側模様34Aおよび容器側模様54Aは、一体的に組み合わせることによって、化粧料24を塗る順番を示す順番情報として機能している。具体的には、化粧料側模様34Aおよび容器側模様54Aは、化粧料24を4番目に塗ることを使用者に伝達する「4」を表示している。
【0038】
このように、本実施形態では、化粧料21〜24の表面および化粧皿4の表面は、隣接して配置されている。また、本実施形態では、化粧料側模様31A〜34Aおよび容器側模様51A〜54Aは、一体的に組み合わせることによって、特定の模様を形成し、化粧料21〜24の使用に関する情報を使用者に伝達する情報伝達手段として機能している。
また、本実施形態では、順番情報は、化粧料21〜24の使用態様に関する情報を使用者に伝達する使用態様情報部として機能している。
【0039】
この固形化粧料1Aは、化粧皿4に化粧料21〜24を充填し、この化粧料21〜24を打型することによって固化させた後、この化粧料21〜24の表面および化粧皿4の表面に化粧料側模様31A〜34Aおよび容器側模様51A〜54Aを同時に印刷することによって製造できる。
【0040】
このように、本実施形態では、化粧皿4に収容された化粧料21〜24(第1の化粧料)と、化粧料21〜24の表面に付された化粧料側模様31A〜34Aとを備えている。化粧料側模様31A〜34Aは、化粧料21〜24の色とは異なる色を有し、化粧料21〜24の表面に模様を形成する第2の化粧料からなる。
また、本実施形態では、化粧料21〜24の表面および化粧皿4の表面に化粧料側模様31A〜34Aおよび容器側模様51A〜54Aを印刷する粉体P(模様形成用化粧料および第2の化粧料)は、同一の化粧料である。
【0041】
このような本実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の作用・効果を奏することができる他、以下の作用・効果を奏することができる。
(6)化粧料21〜24の表面および化粧皿4の表面は、隣接して配置されているので、固形化粧料1Aは、化粧料21〜24の表面と、化粧皿4の表面とを合わせた広い面積の領域を1つの領域と見立てて、この領域に化粧料側模様31A〜34Aおよび容器側模様51A〜54Aを一体的に組み合わせた大きな特定の模様を付すことができる。
【0042】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0043】
図4は、本発明の第3実施形態に係る固形化粧料を示す上面図である。
固形化粧料1Bは、図4に示すように、3色のアイシャドウの化粧料25と、チークの化粧料26と、リップの化粧料27とを備えている。
また、固形化粧料1Bは、化粧料26の色とは異なる色を有し、化粧料26の表面(上面)に付された化粧料側模様35と、化粧料27の色とは異なる色を有し、化粧料27の表面(上面)に付された化粧料側模様36とを備えている。
なお、本実施形態では、化粧料側模様35,36は、同一の色を採用しているが、異なる色を採用してもよい。
【0044】
この固形化粧料1Bは、容器としての化粧皿4Bに収容されている。
化粧皿4Bは、円形状の3つの収容部45〜47を有し、各収容部45〜47は、固形化粧料1Bの各化粧料25〜27を収容している。
また、化粧皿4Bは、その表面(上面)に付された容器側模様55を備えている。
【0045】
化粧料側模様35,36および容器側模様55は、一体的に組み合わせることによって、人体の顔を表現している。
そして、化粧料25〜27の位置は、化粧料側模様35,36および容器側模様55にて表現された人体の顔の位置と対応し、化粧料25〜27を塗る部位を示す部位情報として機能している。具体的には、化粧料25の位置は、化粧料25を瞼に塗ることを使用者に伝達し、化粧料26の位置は、化粧料26を頬に塗ることを使用者に伝達し、化粧料27の位置は、化粧料27を唇に塗ることを使用者に伝達している。
【0046】
このように、本実施形態では、化粧料25〜27の表面および化粧皿4Bの表面は、隣接して配置されている。また、本実施形態では、化粧料側模様35,36および容器側模様55は、一体的に組み合わせることによって、特定の模様を形成し、化粧料25〜27の使用に関する情報を使用者に伝達する情報伝達手段として機能している。
また、本実施形態では、部位情報は、化粧料25〜27の使用箇所に関する情報を使用者に伝達する使用箇所情報部として機能している。
【0047】
この固形化粧料1Bは、化粧皿4Bに化粧料25〜27を充填し、この化粧料25〜27を打型あるいは冷却することによって固化させた後、この化粧料25〜27の表面および化粧皿4Bの表面に化粧料側模様35,36および容器側模様55を同時に印刷することによって製造できる。
【0048】
このように、本実施形態では、化粧皿4Bに収容された化粧料25〜27(第1の化粧料)と、化粧料25〜27の表面に付された化粧料側模様35,36とを備えている。化粧料側模様35,36は、化粧料25〜27の色とは異なる色を有し、化粧料25〜27の表面に模様を形成する第2の化粧料からなる。
また、本実施形態では、化粧料25〜27の表面および化粧皿4Bの表面に化粧料側模様35,36および容器側模様55を印刷する粉体P(模様形成用化粧料および第2の化粧料)は、同一の化粧料である。
【0049】
このような本実施形態によれば、前記第2実施形態と同様の作用・効果を奏することができる。
【0050】
〔実施形態の変形例〕
以下、本発明の変形例を図面に基づいて説明する。
前記各実施形態では、固形化粧料1〜1Bは、固形化粧料1〜1Bの使用に関する情報を使用者に伝達する情報伝達手段を備え、情報伝達手段は、模様を含むことによって、固形化粧料1〜1Bの使用に関する情報を使用者に伝達していた。
これに対して、固形化粧料は、容器の表面に付された容器側模様と、第1の化粧料の表面に付された化粧料側模様とを備えていれば、情報伝達手段を備えていなくてもよい。
【0051】
図5は、本発明の第1変形例に係る固形化粧料を示す上面図である。
固形化粧料1Cは、図5に示すように、アイシャドウの化粧料21Cと、化粧料21Cとは異なる色のアイシャドウの化粧料22Cとを備えている。
また、固形化粧料1Cは、化粧料21Cの色とは異なる色を有し、化粧料21Cの表面(上面)に付された化粧料側模様31Cと、化粧料22Cの色とは異なる色を有し、化粧料22Cの表面(上面)に付された化粧料側模様32Cとを備えている。
【0052】
この固形化粧料1Cは、容器としての化粧皿4Cに収容されている。
化粧皿4Cは、略矩形状の2つの収容部41C,42Cを有し、各収容部41C,42Cは、固形化粧料1Cの各化粧料21C,22Cを収容している。
また、化粧皿4Cは、その表面(上面)に付された容器側模様51Cを備えている。
化粧料側模様31C,32Cおよび容器側模様51Cは、一体的に組み合わせることによって、特定の模様(星柄)を形成している。
【0053】
図6は、本発明の第2変形例に係る固形化粧料を示す上面図である。
固形化粧料1Dは、図6に示すように、口紅の化粧料21Dを備えている。
また、固形化粧料1Dは、化粧料21Dの色とは異なる色を有し、化粧料21Dの表面(周面)に付された化粧料側模様31Dとを備えている。
【0054】
この固形化粧料1Dは、有底筒状に形成された繰り出し容器4Dに収容されている。
繰り出し容器4Dは、化粧料21Dを収容する収容部を有し、略円筒状に形成された本体部48と、本体部48の内部に収納されるとともに、化粧料21Dを載置する載置部(図示略)と、本体部48の中心軸回りに回動自在に本体部48の底面に取り付けられた回動部49とを備えている。この繰り出し容器4Dは、回動部49を回動させることによって、本体部48の中心軸方向に沿って載置部を昇降させることができるようになっている。
使用者は、順方向に回動部49を回動させることによって、本体部48から露出させて化粧料21Dを使用することができ、逆方向に回動部49を回動させることによって、本体部48に化粧料21Dを収納することができる。
【0055】
また、繰り出し容器4Dは、その表面(周面)に付された容器側模様51Dを備えている。
化粧料側模様31Dおよび容器側模様51Dは、一体的に組み合わせることによって、特定の模様(ハート柄の模様)を形成している。
【0056】
また、前記各実施形態では、固形化粧料1〜1Bは、化粧皿4,4Bに収容された第1の化粧料と、第1の化粧料の表面に付された化粧料側模様とを備えていたが、化粧料側模様を備えていなくてもよい。要するに、固形化粧料は、容器の表面に付された容器側模様を備えていればよい。
【0057】
図7は、本発明の第3変形例に係る固形化粧料を示す上面図である。
固形化粧料1Eは、図7に示すように、3色のアイシャドウの化粧料21E〜23Eを備えている。この3色のアイシャドウの化粧料21E〜23Eは、左上に配置された化粧料21Eと、左下に配置された化粧料22Eと、右側に配置された化粧料23Eとを有し、全体として人体の瞼を表現している。
【0058】
この固形化粧料1Eは、化粧皿4Eに収容されている。
化粧皿4Eは、3つの収容部41E〜43Eを有し、各収容部41E〜43Eは、固形化粧料1Eの各化粧料21E〜23Eを収容している。
また、化粧皿4Eは、その表面(上面)に付された容器側模様51Eを備えている。
【0059】
容器側模様51Eは、人体の睫毛を表現している。
そして、化粧料21E〜23Eの位置は、化粧料21E〜23Eおよび容器側模様51Eにて表現された人体の瞼および睫毛の位置と対応し、化粧料21E〜23Eを塗る部位を示す部位情報として機能している。具体的には、化粧料21Eの位置は、化粧料21Eを瞼の左上に塗ることを使用者に伝達し、化粧料22Eの位置は、化粧料22Eを瞼の左下に塗ることを使用者に伝達し、化粧料23Eの位置は、化粧料23Eを瞼の右側に塗ることを使用者に伝達している。
【0060】
図8は、本発明の第4変形例に係る固形化粧料を示す上面図である。
固形化粧料1Fは、図8に示すように、化粧料21Fを備え、化粧皿4Fに収容されている。
化粧皿4Fは、円形状の収容部41Fを有し、この収容部41Fは、固形化粧料1Fの化粧料21Fを収容している。
また、化粧皿4Fは、その表面(上面)に付された容器側模様51Fを備えている。
【0061】
容器側模様51Fは、化粧料21Fを塗る濃淡を示す濃淡情報51FAと、化粧料21Fを塗る部位を示す部位情報51FBとを備えている。図8では、濃淡情報51FAは、化粧料21Fをハイライトカラーに塗ることを使用者に伝達する「ハイライト」を表示し、部位情報51FBは、化粧料21Fを鼻筋や頬の高い所に塗ることを使用者に伝達する「はなすじ、ほほの高い所に」を表示している。
【0062】
図9は、本発明の第5変形例に係る固形化粧料を示す上面図である。
固形化粧料1Gは、図9に示すように、ハイライトカラーのアイシャドウの化粧料21Gと、ミディアムカラーのアイシャドウの化粧料22Gとを備え、化粧皿4Gに収容されている。
化粧皿4Gは、略矩形状の2つの収容部41G,42Gを有し、各収容部41G,42Gは、固形化粧料1Gの各化粧料21G,22Gを収容している。
具体的には、左側の収容部41Gは、ハイライトカラーのアイシャドウの化粧料21Gを収容し、右側の収容部42Gは、ミディアムカラーのアイシャドウの化粧料22Gを収容している。
また、化粧皿4Gは、その表面(上面)に付された容器側模様51G,52Gを備えている。
【0063】
容器側模様51Gは、左側の収容部41Gの上方に配置されたテキスト部511Gを備えている。
テキスト部511Gは、化粧料21Gを塗る順番を示す順番情報511GAと、化粧料21Gを塗る濃淡を示す濃淡情報511GBと、化粧料21Gを塗る方法を示す方法情報511GCとを備えている。図9では、順番情報511GAは、化粧料21Gを1番目に塗ることを使用者に伝達する「1」を表示し、濃淡情報511GBは、化粧料21Gをハイライトカラーに塗ることを使用者に伝達する「ハイライト」を表示し、方法情報511GCは、化粧料21Gを指で塗ることを使用者に伝達する「指でぬる」を表示している。
【0064】
容器側模様52Gは、右側の収容部42Gの上方に配置されたテキスト部521Gを備えている。
テキスト部521Gは、化粧料22Gを塗る順番を示す順番情報521GAと、化粧料22Gを塗る濃淡を示す濃淡情報521GBと、化粧料22Gを塗る方法を示す方法情報521GCとを備えている。図9では、順番情報521GAは、化粧料22Gを2番目に塗ることを使用者に伝達する「2」を表示し、濃淡情報521GBは、化粧料22Gをミディアムカラーに塗ることを使用者に伝達する「ミディアム」を表示し、方法情報521GCは、化粧料22Gをチップを使って塗ることを使用者に伝達する「チップを使う」を表示している。
【0065】
また、前記各実施形態および各変形例では、第1の化粧料は、アイシャドウの化粧料、チークの化粧料、リップの化粧料、および口紅の化粧料としているが、例えば、ファンデーションや、フェイスパウダーなどの他の化粧料であってもよく、粉末化粧料であっても油性化粧料であってもよい。
前記各実施形態では、模様形成用化粧料および第2の化粧料は、同一の化粧料であったが、異なる化粧料としてもよい。
【0066】
前記各実施形態では、情報伝達手段は、絵柄(図形)またはテキスト(文字)を採用していたが、これら以外の伝達方法を採用してもよい。要するに、情報伝達手段は、模様を含むことによって、固形化粧料の使用に関する情報を使用者に伝達することができればよい。
【0067】
前記各実施形態では、情報伝達手段は、模様のみによって、固形化粧料の使用に関する情報を使用者に伝達していたが、例えば、化粧料と、模様とを組み合わせることによって、固形化粧料の使用に関する情報を使用者に伝達してもよい。要するに、情報伝達手段は、模様を含むことによって、固形化粧料の使用に関する情報を使用者に伝達することができればよい。
具体的には、情報伝達手段は、化粧料の色と、模様との組み合わせや、化粧料の形状(平面的な形状だけでなく立体的な形状を含む)と、模様との組み合わせ等によって、固形化粧料の使用に関する情報を使用者に伝達してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明は、容器に収容された固形化粧料に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0069】
1〜1B 固形化粧料
21〜27 化粧料(第1の化粧料)
32〜36 化粧料側模様(第2の化粧料,情報伝達手段)
31A〜34A 化粧料側模様(第2の化粧料,情報伝達手段)
51,55 容器側模様(情報伝達手段)
51A〜54A 容器側模様(情報伝達手段)
4,4B 化粧皿(容器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9