【実施例】
【0013】
以下本発明の一実施例による栽培履歴明細チェック処理方法について説明する。
図1は、本実施例による栽培履歴明細チェック処理方法で処理対象となる栽培履歴データのイメージ図である。
栽培履歴データは、出荷者が出荷商品について登録する。
栽培履歴は、作業別、使用する肥料別、及び使用する農薬別で明細項目が登録される。
図1において、明細項目1A、1E、1Jは肥料明細項目、明細項目1B、1D、1F、1H、1K、1Lは農薬明細項目、明細項目1C、1G、1Mは作業明細項目である。
各明細項目1A〜1H、1J〜1Mは、それぞれ作業年月日データを登録できる。
【0014】
図2は本実施例による栽培履歴明細チェック処理方法の処理流れを示す概念図である。
本実施例による栽培履歴明細チェック処理方法は、作業年月日データが登録された明細項目を抽出する栽培履歴明細抽出ステップ10と、栽培履歴明細抽出ステップ10で抽出した明細項目1A〜1D、1F〜1H、1J〜1Mの中から農薬として登録された明細項目を農薬明細項目として抽出する農薬明細項目抽出ステップ20と、農薬明細項目抽出ステップ20で抽出した農薬明細項目における農薬に対して適用情報を取得する適用情報取得ステップ30と、適用情報取得ステップ30で取得した適用情報を基に農薬の使用方法の適否を判断する農薬チェック処理ステップ40とを有する。
栽培履歴明細抽出ステップ10では、
図1に示す明細項目1A〜1H、1J〜1Mの中で、明細項目1E以外が抽出される。作業年月日データが登録されていない場合には、作業が行われていないと判断する。
農薬明細項目抽出ステップ20では、
図1に示す明細項目1B、1D、1F、1H、1K、1Lが農薬履歴項目として抽出される。
適用情報取得ステップ30で取得される適用情報は、農薬別に決められた使用基準であり、希釈倍数使用量、散布液量、使用時期、その農薬の総使用回数、その農薬に含まれる成分の総使用回数などがある。
【0015】
農薬チェック処理ステップ40では、適用情報取得ステップ30で取得した適用情報に、特定作業に対する使用時期が含まれている場合(使用時期データ化ステップ41A)、農薬について農薬総使用回数が含まれている場合(農薬総使用回数データ化ステップ41B)、農薬に含まれる特定成分について成分総使用回数が含まれている場合(農薬成分総使用回数データ化ステップ41C)について以下に説明する。
【0016】
ステップ41Aにおける使用時期がある場合には、栽培履歴明細抽出ステップ10で抽出した明細項目1A〜1D、1F〜1H、1J〜1Mの中から特定作業の明細項目を検索する(特定作業検索ステップ42A)。
ステップ42Aにおける特定作業検索ステップで検索した結果、特定作業明細項目判定ステップ43Aにおいて該当する特定作業の明細項目があれば、使用時期が適合するか否かを判定する(時期判定処理ステップ45A)。
ステップ45Aにおける時期判定処理ステップでは、特定作業検索ステップ42Aで抽出した特定作業の明細項目に登録された作業年月日データ、及び農薬明細項目抽出ステップ20で抽出した農薬明細項目に登録された作業年月日データから、適用情報取得ステップ30で取得した特定作業に対する使用時期に該当するか否かを判定する。
ステップ45Aにおいて使用時期に該当すると判定した場合にはOK出力を行う(結果出力ステップ46A)。
ステップ43Aにおいて該当する特定作業の明細項目が無い場合にはNG出力を行う(結果出力ステップ47A)。
また、ステップ45Aにおいて使用時期に該当しないと判定した場合にはNG出力を行う(結果出力ステップ47A)。
OK出力を行うステップ46A及びNG出力を行うステップ47Aが結果出力ステップである。
【0017】
例えば、
図1に示す明細項目1D、1Kで使用している農薬「ABC水和剤」の適用情報に「収穫14日前まで」との使用時期が含まれている場合について説明する。
この場合には、特定作業が「収穫」であるため、栽培履歴明細抽出ステップ10で抽出した明細項目1A〜1D、1F〜1H、1J〜1Mの中から、「収穫」に関する明細項目を検索する。
「収穫」に関する明細項目1Mがあるため、ステップ45Aにおける時期判定処理が行われる。
明細項目1Dに登録された作業年月日データは「2017/4/25」であり、「収穫」に関する明細項目1Mに登録された作業年月日データは「2017/6/30」であるため、「収穫14日前まで」との使用時期に該当する。
従って、明細項目1Dについては、OK出力を行う(ステップ46A)。
一方、明細項目1Kに登録された作業年月日データは「2017/6/25」であり、「収穫」に関する明細項目1Mに登録された作業年月日データは「2017/6/30」であるため、「収穫14日前まで」との使用時期に該当しない。
従って、明細項目1Kについては、NG出力を行う(ステップ47A)。
このように、使用時期が適用情報に含まれている場合には、特定作業の明細項目の作業年月日と、農薬明細項目の作業年月日とを用いて時期判定を行える。
【0018】
ステップ41Bにおける農薬総使用回数がある場合には、農薬明細項目抽出ステップ20で抽出した農薬明細項目における農薬と同一の農薬が登録された農薬明細項目の農薬項目数を集計する(農薬総使用回数集計ステップ42B)。
ステップ42Bにおける農薬総使用回数集計ステップで集計した農薬項目数が、適用情報取得ステップ30で取得した農薬総使用回数以下であるかを判定する(農薬総使用回数判定処理ステップ45B)。
ステップ45Bにおける農薬総使用回数判定処理ステップで判定した結果、ステップ45Bにおいて農薬総使用回数を越えていないと判定した場合には警告出力を行わない(警告出力ステップ46B)。
ステップ45Bにおいて農薬総使用回数を越えていると判定した場合には警告出力を行う(警告出力ステップ47B)。
【0019】
例えば、農薬「ABC水和剤」の適用情報に「1回以内」との総使用回数が含まれている場合について説明する。
この場合には、農薬「ABC水和剤」については、
図1に示す明細項目1D、1Kで使用しているため農薬項目数は「2」となり、「1回以内」との総使用回数を越える。従って、ステップ47Bにおける警告出力を行う。
なお、農薬総使用回数については以下の処理を行うことがより好ましい。
明細項目1Dに登録された作業年月日データは「2017/4/25」であり、明細項目1Dにおける農薬「ABC水和剤」は、「2017/4/25」以前には使用されていない。
従って、明細項目1Dについては、警告出力を行わない(ステップ46B)
一方、明細項目1Kに登録された作業年月日データは「2017/6/25」であり、明細項目1Kにおける農薬「ABC水和剤」は、「2017/6/25」以前である「2017/4/25」に明細項目1Dで使用されているため、農薬項目数は「2」となる。
従って、明細項目1Kについては、警告出力を行う(ステップ47B)。
このように、明細項目が作業日別に登録されているため、該当する農薬が登録されている農薬項目数から農薬総使用回数を越えていないか判定することができる。
【0020】
ステップ41Cにおける成分総使用回数がある場合には、農薬明細項目抽出ステップ20で抽出した農薬明細項目における特定成分と同一の特定成分が登録された農薬明細項目の農薬項目数を集計する(成分総使用回数集計ステップ42C)。
ステップ42Cにおける成分総使用回数集計ステップで集計した農薬項目数が、適用情報取得ステップ30で取得した成分総使用回数以下であるかを判定する(成分総使用回数判定処理ステップ45C)。
ステップ45Cにおける成分総使用回数判定処理ステップで判定した結果、ステップ45Cにおいて成分総使用回数を越えていないと判定した場合には警告出力を行わない(警告出力ステップ46C)。
ステップ45Cにおいて成分総使用回数を越えていると判定した場合には警告出力を行う(警告出力ステップ47C)。
【0021】
例えば、農薬「BCスミチオン乳剤」に含まれる特定成分の適用情報に「3回以内」との成分総使用回数が含まれている場合について説明する。農薬「BCスミチオン乳剤」に含まれる特定成分は、農薬「ABスミチオン乳剤」、及び「BSスミチオン乳剤」にも含まれているとする。
この場合には、特定成分については、
図1に示す明細項目1B、1F、1H、1Lで使用しているため農薬項目数は「4」となり、「3回以内」との成分総使用回数を越える。従って、ステップ47Cにおける警告出力を行う。
なお、成分総使用回数については以下の処理を行うことがより好ましい。
【0022】
明細項目1Bに登録された作業年月日データは「2017/4/2」であり、明細項目1Bにおける「ABスミチオン乳剤」に含まれる特定成分は、「2017/4/2」以前には使用されていない。
従って、明細項目1Bについては、警告出力を行わない(ステップ46C)
明細項目1Fに登録された作業年月日データは「2017/5/1」であり、明細項目1Fにおける「BSスミチオン乳剤」に含まれる特定成分は、「2017/5/1」以前には明細項目1Bで使用しているため農薬項目数は「2」となり、「3回以内」との成分総使用回数を越えていない。
従って、明細項目1Fについては、警告出力を行わない(ステップ46C)
明細項目1Hに登録された作業年月日データは「2017/6/2」であり、明細項目1Hにおける「BCスミチオン乳剤」に含まれる特定成分は、「2017/6/2」以前には明細項目1B及び明細項目1Fで使用しているため農薬項目数は「3」となり、「3回以内」との成分総使用回数を越えていない。
従って、明細項目1Hについては、警告出力を行わない(ステップ46C)
一方、明細項目1Lに登録された作業年月日データは「2017/6/27」であり、明細項目1Lにおける「BCスミチオン乳剤」に含まれる特定成分は、「2017/6/27」以前には明細項目1B、明細項目1F、及び明細項目1Hで使用しているため農薬項目数は「4」となり、「3回以内」との成分総使用回数を越える。
従って、明細項目1Lについては、警告出力を行う(ステップ47C)。
このように、明細項目が作業日別に登録されているため、特定成分が登録された農薬明細項目の農薬項目数から成分総使用回数を越えていないか判定することができる。
【0023】
次に、本実施例による栽培履歴明細チェック処理方法における使用時期データ化ステップについて説明する。
図3は、使用時期データ化ステップを示す説明図である。
使用時期データ化ステップ41Aでは、農薬に対する使用時期に関するテキストデータ2から、作業名
(特定作業)に該当する時期データ3Aと、時期データ3Aに対する前後関係データ3Bと、時期データ3Aに対する日数データ3Cとを分離抽出して基準値データ3を作成するとともに、基準値データ3として作成できない源情報データ4を登録する。
【0024】
例えば、
図3において、テキストデータ2が「収穫14日前まで」であれば、時期データ3A1(3A)として「収穫」を、前後関係データ3B1(3B)として「前まで」を、日数データ3C1(3C)として「14」を分離抽出して基準値データ3を作成する。
なお、
図3に示すように、テキストデータ2が「収穫予定日の3ヶ月前、但し、収穫45日前まで」のように、複数の時期データ3Aを有する場合がある。この場合には、時期データ3A1として「収穫」を、前後関係データ3B1として「前」を、日数データ3C1として「90」を分離抽出するとともに、時期データ3A2として「収穫」を、前後関係データ3B2として「前まで」を、日数データ3C2として「45」を分離抽出して基準値データ3を作成する。
テキストデータ2が「移植後1日〜ノビエ2.5葉期、ただし移植後30日まで」である場合には、分離抽出できない「ノビエ2.5葉期」が含まれる。このような分離抽出できないデータが含まれる場合には、基準値データ3として作成できない源情報データ4として、「移植後1日〜ノビエ2.5葉期、ただし移植後30日まで」とのテキストデータ2を登録する。
【0025】
このように使用時期データ化ステップ41Aで作成した基準値データ3は、
図2における時期判定処理ステップ45Aにおいて用いる。
また、源情報データ4が含まれる場合には、結果出力ステップ46A、47Aでは、要確認出力を行うことで、サーバー50(
図4参照)にてチェックできない人的チェックの支援を行える。
【0026】
図4は本実施例による栽培履歴明細チェック処理方法に用いる装置を機能実現手段で表したブロック図である。
本実施例による栽培履歴登録方法を実現するサーバー50は、定期更新変更手段51、農薬情報変換手段52、明細項目抽出手段53、農薬明細項目抽出手段54、適用情報取得手段55、使用時期判断手段56、農薬総使用回数判断手段57、成分総使用回数判断手段58、及びデータベース59を備えている。
サーバー50は、例えばインターネットなどの通信網を介して、農薬情報データベース61、管理者端末処理装置62、及び出荷者端末処理装置63と接続されている。
【0027】
定期更新変更手段51は、外部のデータベースである農薬情報データベース61から定期的にデータを入手し、追加、変更、失効された農薬データを農薬データベース59Aに登録する。
農薬情報変換手段52は、農薬情報データベース61から入手したデータを変換する。
定期更新変更手段51で入手した追加、変更、失効された農薬データは、農薬情報変換手段52によって変換されて農薬データベース59Aに登録される。
農薬情報変換手段52は、使用時期データ化処理を行う。
すなわち、農薬情報変換手段52では、農薬に対する使用時期に関するテキストデータ2から、作業名に該当する時期データ3Aと、時期データ3Aに対する前後関係データ3Bと、時期データ3Aに対する日数データ3Cとを分離抽出して基準値データ3を作成するとともに、基準値データ3として作成できない源情報データ4を登録する。
【0028】
データベース59は、農薬データベース59Aと栽培履歴データベース59Bとを有する。
農薬データベース59Aは、農薬情報変換手段52によって変換された農薬情報データベース61からの農薬データを蓄積している。農薬データベース59Aは、定期更新変更手段51によって定期的に更新され、変更や失効された農薬は、変更及び失効情報として追加している。
栽培履歴データベース59Bには、出荷者が登録した栽培履歴が登録されている。
【0029】
明細項目抽出手段53では、処理対象とする栽培履歴データから、作業年月日データが登録された明細項目を抽出する。
農薬明細項目抽出手段54では、明細項目抽出手段53で抽出した明細項目の中から農薬として登録された明細項目を農薬明細項目として抽出する。
適用情報取得手段55では、農薬明細項目抽出手段54で抽出した農薬明細項目における農薬に対して適用情報を取得する。
【0030】
使用時期判断手段56では、適用情報取得手段55で取得した適用情報に、特定作業に対する使用時期が含まれている場合に、農薬の使用時期の適否を判断する。
特定作業検索手段56Aでは、明細項目抽出手段53で抽出した明細項目の中から特定作業の明細項目を検索する。
使用時期判定手段56Bでは、特定作業検索手段56Aで検索された特定作業の明細項目に登録された作業年月日データ、及び農薬明細項目抽出手段54で抽出した農薬明細項目に登録された作業年月日データから、適用情報取得手段55で取得した特定作業に対する使用時期に該当するか否かを判定する。
出力手段56Cでは、使用時期判定手段56Bにおいて使用時期に該当すると判定した場合にはOK出力を、特定作業検索手段56Aにおいて該当する特定作業の明細項目が無い場合にはNG出力を、使用時期判定手段56Bにおいて使用時期に該当しないと判定した場合にはNG出力を行う。
【0031】
農薬総使用回数判断手段57では、適用情報取得手段55で取得した適用情報に、農薬について農薬総使用回数が含まれている場合に、農薬の使用回数の適否を判断する。
農薬明細項目集計手段57Aでは、農薬明細項目抽出手段54で抽出した農薬明細項目における農薬と同一の農薬が登録された農薬明細項目の農薬項目数を集計する。
農薬総使用回数判定手段57Bでは、農薬明細項目集計手段57Aで集計した農薬項目数が、適用情報取得手段55で取得した農薬総使用回数以下であるかを判定する。
出力手段57Cでは、農薬総使用回数判定手段57Bで判定した結果、農薬総使用回数を越えていないと判定した場合には警告出力を行わず、農薬総使用回数を越えていると判定した場合には警告出力を行う。
【0032】
成分総使用回数判断手段58では、適用情報取得手段55で取得した適用情報に、農薬に含まれる特定成分について成分総使用回数が含まれている場合に、特定成分の使用回数の適否を判断する。
農薬明細項目集計手段58Aでは、農薬明細項目抽出手段54で抽出した農薬明細項目における特定成分と同一の特定成分が登録された農薬明細項目の農薬項目数を集計する。
成分総使用回数判定手段58Bでは、農薬明細項目集計手段58Aで集計した農薬項目数が、適用情報取得手段55で取得した成分総使用回数以下であるかを判定する。
出力手段58Cでは、成分総使用回数判定手段58Bで判定した結果、成分総使用回数を越えていないと判定した場合には警告出力を行わず、成分総使用回数を越えていると判定した場合には警告出力を行う。
【0033】
本実施例によれば、農薬情報変換手段52において、基準値データ3を作成しているため、サーバー50にて時期判定を行え、基準値データ3として作成できない源情報データ4については、要確認出力を行うことで、サーバー50にてチェックできない人的チェックの支援を行える。