【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1. 平成29年11月20日〜平成29年11月22日 HOSPEX Japan 2017に展示 2. KUROGANE建材製品総合カタログVOL.3に掲載 3. 株式会社くろがね工作所のウェブサイトに公開した、KUROGANE建材製品総合カタログVOL.3に掲載
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
医療用ガスのアウトレットや医療用壁掛式吸引器の取り付けフック、ナースコール子機器具、コンセント、スイッチなどが組み付けられ、主に病室、居室の壁体に設置される医療用コンソールユニットにおいて、医療用コンソールユニットは、壁面に固定される単位部材のフレーム基材と、フレーム基材に連結し、かつ、フレーム基材を覆い隠蔽する単位部材のカバー部材で構成される設備機器収納部と、設備機器収納部の上部に連設される配管や電線などが通される配管ボックス部で構成され、配管ボックスは、壁面に固定される少なくとも一対の単位部材であるフレーム材と、フレーム材に連結し、かつ、フレーム材を覆い隠蔽するとともに前記配管や電線などを覆い隠すパネル部材で構成されることを特徴とする医療用コンソールユニット。
【実施例】
【0014】
以下、実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1、
図2において、符号1は、本件医療用コンソールユニットを示し、符号2は、設備機器収納部、符号3は、配管ボックス部を示している。
図1における符号500は、配管ボックス部3に取り付けられた照明器具を示し、符号600は電気関連器具を示し、符号700は、医療用ガス器具を示している。
【0015】
図3において、符号4は、フレーム基材を示し、符号5は、左側フレーム材を示し、符号6は、右側フレーム材を示し、符号7は笠木を示す。
そして、符号8は、カバー部材を示し、符号9は下部パネル部材、符号10は上部パネル部材を示している。
【0016】
次に各部材について詳述する。
フレーム基材4は、壁面に接し壁面にアンカー止めされる横方向に細長い長方形を成す板状のカバー用基板40と、カバー用基板40の下端部より前方に突出し同じく板状のカバー用取り付け部41で側面視L字状に形成され、カバー用基板40には、アンカー固定用の貫通孔40aが複数個設けられ、カバー用取り付け部41には、後述するカバー部材取り付けネジ用の螺孔41aが複数個設けられている。
【0017】
左側フレーム材5と右側フレーム材6は対称形であるため、左側フレーム材6についてのみ詳述する。
左側フレーム材5は、壁面に接し壁面にアンカー止めされる縦方向に細長い長方形を成す板状のパネル用基板50と、パネル用基板50の左端部より前方に突出し同じく板状の側面案内部51と、側面体51の前端面の上部の一部を除く前端部より内側(右側)に突出するパネル用取り付け部52と、側面案内部51の上端部より一旦外側(左側)に突出し、すぐに上方に突出する支持部53と、支持部53の上端部より外側(左側)に突出する上部パネル固定部54で平面視略コ字状断面に形成される。また、側面案内部51の下端部から下方に突出する差込片51bが形成されている。
【0018】
そして、パネル用基板50には、アンカー固定用の横向き小判状の貫通孔50aが複数個設けられ、側面体51の上部には、縦向き長尺な小判状の調整用貫通孔51a、51aが設けられ、パネル用取り付け部52には後述する下部パネル9に設けられた取り付け孔に対応して、パネル用螺孔52aが設けられ、上部パネル固定部54には、後述する上部パネル固定ネジ用の螺孔54aが設けられている。
尚、右側フレーム材6の場合には、左側フレーム材5と対称形であるから、上記左側フレーム材5の説明の符号はそれぞれ、パネル用基板60、貫通孔60a、側面案内部61、調整用貫通孔61a、差込片61b、パネル用取り付け部62、支持部63、上部パネル固定部64、螺孔64aとなる。
【0019】
笠木7は、横方向に長い長方形を成す板状の正面板70と、正面板70の両端部からそれぞれ後方に突出する側面板71、71で平面視コ字状に形成され、正面板70、側面板71、71それぞれの上端部と下端部が内側に折り曲げられ笠木の剛性を確保している。
そして、側面板71、71には、前記調整用貫通孔51a、51aに対応して螺孔71a、71aが設けられている。
【0020】
カバー部材8は、横方向に長い長方形を成す板状の正面化粧部80と、正面化粧部80の下端部から一旦斜め後方に向かって突出したあと、後方に向かって水平に延伸する下面化粧部81と、下面化粧部81の後端部から上方に突出し、該突出端から後方に突出する取り付け化粧部82と、正面化粧部80の上端から後方に向かって水平に延伸する上面化粧部83と、上面化粧部83の後端部から上方に突出する上部取り付け部84で形成されるカバー体800の両端部を閉塞する板状の側面蓋801、801と、カバー体800の内面側に設置される医療用ガス器具などを取り付ける機器取り付け基材802が溶接などによってあらかじめ一体的に組み立てられるものである。
【0021】
そして、正面化粧部80には、電気器具を取り付けるための開口孔や取り付け螺孔、医療用ガス器具取り付け用の開口孔が、仕様に応じて適宜設けられる。また、上面化粧部83にも電気器具や医療用ガス器具に連結される電線や配管の挿通孔が、仕様に応じて適宜設けられる。さらに、上面化粧部83の左右端部付近には、前後方向に細長い長方形を成す差込孔83a、83aが設けられ、所定の位置に、後述する下部パネル9の下面の勘合孔91aに差し込まれるゴム製で上方に向かって細くなる円錐台状の突起体83b、83bが上部に突起して取り付けられている。
取り付け化粧部82の水平部には前記フレーム基材4の螺孔41aに対応した固定用貫通孔82aが設けられている。また、上部取り付け部84には、アンカー固定するための上部固定用貫通孔84aが複数個設けられている。
同じく、上部取り付け部84の両側端部付近の上部側に左側フレーム材5と右側フレーム材6のパネル用基板50、60の左右幅と略同寸であるが若干大きい幅の切り欠き84bが設けられている。
【0022】
下部パネル部材9は、横方向に長い長方形を成す板状の下部正面化粧板91と、下部正面化粧板91の両端部からそれぞれ後方に突出する下部側面化粧板92、92と、下部側面化粧板92、92それぞれの後端面からそれぞれに対向する内側に向かって突出する下部後面板93、93と、下部後面板93、93それぞれ突出端からそれぞれ前方に突出する下部案内板94、94と、下部案内板94、94それぞれの突出端からそれぞれに対向する内側に向かって突出する下部当接板95、95で形成される。
そして、下部正面化粧板91と下部側面化粧板92、92の上下端はそれぞれ内側に折り曲げられ、該上端側の折り曲げ部は先端でさらに上部に折り曲げられ下部パネル部材9の補強とされ下部パネル部材9の剛性を確保している。
該折り曲げられた部分の内、下部正面化粧板91側の折り曲げ部分には、丸孔である勘合孔91a、91aが設けられている。
下部正面化粧板91の裏面(内面)には、適宜必要に応じて補強板などの補強部材90が溶接などで取り付けられる。
【0023】
下部当接板94、94の上端はそれぞれ下部正面化粧板90の上端より上に突出し、該突出部には、前記左側フレーム材5、右側フレーム材6のパネル用螺孔52a、62aに対応して取り付け孔94a、94aが設けられている。
【0024】
上部パネル部材10は、横方向に長い長方形を成す板状の上部正面化粧板101と、上部正面化粧板101の両端部からそれぞれ後方に突出する上部側面化粧板102、102と、上部側面化粧板102、102それぞれの後端面からそれぞれに対向する内側に向かって突出する上部後面板103、103と、上部後面板103、103それぞれ突出端からそれぞれ前方に突出する上部案内板104、104と、上部案内板104、104それぞれの突出端からそれぞれに対向する内側に向かって突出する上部当接板105、105で形成される。
そして、上部正面化粧板101と上部側面化粧板102、102の上下端はそれぞれ内側に折り曲げられ、上部パネル部材10の補強とされ上部パネル部材10の剛性を確保している。
該上部側面化粧板102、102の折り曲げ部のうち上部折り曲げ部106、106には、前記左右のフレーム材5、6に設けられた螺孔54a、64aに対応した上部取り付け孔106a、106aが設けられている。
尚、上部正面化粧板10の裏面(内面)には、適宜必要に応じて補強板などの補強部材100が溶接などで取り付けられる。
【0025】
このように下部パネル部材9、上部パネル部材10は、それぞれ、補強部材90、100を除く部材が一枚の鋼板を折り曲げることによって形成されており、使用状態における正面側と両側面側が一体的であるから、部材点数が少なく、梱包工程、塗装工程のコストダウンに寄与できる。
また、フレーム基材4、左側フレーム材5、右側フレーム材6、カバー部材8は、前述のとおり、それぞれ単一部材として構成されている。
【0026】
次に、このように各部材が構成された本件医療用コンソールユニット1の設置方法について説明する。
医療用コンソールユニット1を取り付けるためのアンカー位置に対応して、あらかじめ骨材が埋め込まれた壁面に、フレーム基材4固定用のアンカーボルト4aを採寸された所定の位置に取り付ける。
フレーム基材4の40a貫通孔に該アンカーボルト4aが差し込まれるように、フレーム基材4を壁面に押し当て、フレーム基材4をアンカーボルト4aで壁面に固定する。
【0027】
次に、カバー部材8の固定用のアンカーボルト8aを、前記壁面の採寸された所定の位置に取り付ける。
そして、カバー部材8の上部取り付け部84の上部固定用貫通孔84aに該アンカーボルト8aが差し込まれるようにカバー部材8を壁面に押し当て、カバー部材8をアンカーボルト8aで壁面に仮固定する。
この状態から、フレーム基材4のカバー用取り付け部41の下面と、カバー部材8の取り付け化粧部82の上面が接するように、かつ、フレーム基材4の螺孔41aと固定用貫通孔82aの位置が合うようにカバー部材8の下部を調整し、カバー部材8の下面から固定用貫通孔82aにネジを貫通させ、螺孔41aを利用して、フレーム基材4とカバー部材8の下部をネジにて固定する。そして、前記仮止めのアンカーボルト8aを本固定して、カバー部材8の設置は完了し設備機器収納部2が設置された状態となる。
【0028】
このように、カバー部材8は、下部を簡単な形状のフレーム基材4に固定し、上部を直接壁面に固定するため、設備機器収納部2は、フレーム基材4、カバー部材8とフレーム基材4とカバー部材8を連結する締結具(ネジ)のみで構成されるので、部材点数が少なくすむことに加え、カバー部材8の壁面への固定を上部と下部で分離しているので、カバー部材8の高さが変化しても、フレーム基材4の高さを変える必要がなく一定のものを使用することができる。
【0029】
次に、左右のフレーム材5、6固定用のアンカーボルト5a、6aを、前記壁面の採寸された所定の位置に取り付ける。
左側フレーム材5の下部の差込片51bをカバー部材8の差込孔83
aに差込み、パネル用基板50の貫通孔50aに該アンカーボルト5aが差し込まれるように、左側フレーム材5を壁面に押し当て、アンカーボルト5aで壁面に仮固定する。
差込孔83
aは、差込片51bの断面形状と略同じで若干大きく形成され、差込片51bが差し込まれ、かつ、ガタツキが少なくなるように設定されている。
また、この時、カバー部材8の上部取り付け部84の切り欠き84bに左側フレーム材5のパネル用基板50の下部がはまり込むように、差込孔83
a、切り欠き84bの位置が決められている。そして、パネル用基板50の下端が、切り欠き84bの底面に当接し、フレーム部材の上下方向の位置が決められる。したがって、左側フレーム材5は、差込孔83
a、切り欠き84bによって、上下、左右、前後の位置が、カバー部材8によって決まるので、カバー部材8が左右のフレーム材の取り付け位置を決めるゲージの役割を担っている。そして、右側フレーム材6も左側フレーム材5と対称に左側フレーム材5と同様に組みつけられ仮固定される。
【0030】
仮固定された、左側フレーム材5、右側フレーム材6の上部の側面案内部51、61の内面間に、笠木7が、笠木7の側面板71、71の外側面が、側面案内部51、61の内面に接するように差し込まれ、側面案内部51、61のそれぞれの外側から調整用貫通孔51a、61aを貫通させてネジを、固定螺孔71a、71aに螺合させ、笠木7を左側フレーム材5、右側フレーム材6に固定する。
【0031】
この状態で左側フレーム材5、右側フレーム材6は上下部分が、それぞれカバー材8と笠木7で位置固定される。
そして、左側フレーム材5、右側フレーム材6の垂直度を水平器などで確認しながら、左側フレーム材5、右側フレーム材6が垂直な位置でアンカーを本締めし、左側フレーム材5、右側フレーム材6を固定する。
笠木7の固定ネジも一旦緩め、笠木7の上面が天井に接するように笠木7の高さ調整を行い、緩めたネジを締め笠木7の位置を固定する。
このように、左側フレーム材5、右側フレーム材6は、カバー材8と笠木7で左右間の位置が決まるので、施工が簡単となり施工コストの削減が可能である。
【0032】
次に、下部パネル部材9を左側フレーム材5、右側フレーム材6の正面から取り付ける。
この時、左右の下部案内板94、94が、それぞれ、左側フレーム材5、右側フレーム材6の側面案内部51、61の外側部に沿うように案内されるので、下部パネル部材9の左右方向の位置は自然と決められる。
そして、左側フレーム材5、右側フレーム材6のパネル用取り付け部52、62の正面側と下部パネル部材9の下部当接板95、95が当接することによって、下部パネル部材9の前後方向の位置が決められる。
この状態で、下部パネル部材9を下方に降ろしていき、下部パネル部材9の勘合孔91a、91aにカバー部材8の突起体83b、83bを差し込む。そして、カバー体8の上面と下部パネル部材9の下面が当接して、下部パネル部材9の上下方向が決められる。
勘合孔91aは、円錐台状の突起体83bの最大円周とほぼ同じ大きさの円形であるが、突起体83bはゴム製なので、多少の位置ずれは、突起体83bが弾性変形しながら吸収することが可能である。
尚、突起体83bは、下部パネル部材9の下部正面化粧板91の前後方向の撓みを防止するためのものである。
【0033】
このように、下部パネル部材9の前後左右上下の位置が決まった状態で、左側フレーム材5、右側フレーム材6の貫通孔パネル用螺孔52a、62aと、下部パネル部材9の下部取り付け孔95a、95aの位置が合うので、この部分でネジにて固定する。
【0034】
次に、上部パネル部材10を左側フレーム材5、右側フレーム材6の正面から取り付ける。この時、左右の上部案内板104、104が、それぞれ、左側フレーム材5、右側フレーム材6の側面案内部51、61の外側部に沿うように案内されるので、上部パネル部材10の左右方向の位置は自然と決められる。
そして、左側フレーム材5、右側フレーム材6のパネル用取り付け部52、62の正面側と上部パネル部材10の上部当接板105、105が当接することによって、上部パネル部材10の前後方向の位置が決められる。
この状態で、上部パネル部材10を下方に降ろしていき、上部パネル部材10の下面に設けられた丸孔の勘合孔101a、101aに、下部パネル部材9の上面に設けられた突起体91b、91bを差し込む。そして、下部パネル部材9の上面と上部パネル部材10の下面が当接して、上部パネル部材10の上下方向が決められる。
尚、勘合孔101aは、円錐台状の突起体91bの最大円周とほぼ同じ大きさの円形であるが、突起体91bは、突起体83bと同形状のゴム製であり、突起体83bの効果と同様に、多少の位置ずれは、突起体91bが弾性変形しながら吸収することが可能である。
突起体91bと勘合孔101aの勘合によって、下部パネル部材9と上部パネル部材10が協働で前後方向の撓みを防止することができる。
【0035】
上部パネル部材10の前後左右上下の位置が決まった状態で、左側フレーム材5、右側フレーム材6の上部パネル固定部54、64の螺孔54a、64aと、上部パネル部材10の上部取り付け孔106a、106aの位置が合うので、この部分で工具不要で締めることができる化粧ネジにて固定する。
【0036】
このようにして、本件発明の医療用コンソールユニットは壁面に取り付けられる。
そして、電線や配管の配設、電気器具やガス器具の取り付け時には、前記とは逆の手順で、上部パネル部材10、下部パネル部材9が取り外される。
次に、配管ボックス部3の上方の天井部より壁面を沿わしながら電線や配管が降ろされ、該電線や配管がカバー部材8の上面の挿通孔から設備機器収納部2の内部に引き込まれ、該電線や配管が電気器具やガス器具と連結された後、電気器具やガス器具が設備機器収納部2に固定される。そして、上記と同様の手順で下部パネル部材9、上部パネル部材10が取り付けられ、医療用コンソールユニットは使用状態となる。
【0037】
このように、本発明の医療用コンソールユニットは、部品点数が少ないためコストダウンが可能であるから、本実施例のように横に長い医療用コンソールユニットだけでなく、縦方向に細長い医療用コンソールユニットに利用してもよい。
【0038】
尚、本発明における設備機器収納部2は、配管ボックス部3を使用しなくても使用可能である。
例えば、前述の設備機器収納部2が設置された状態で、設備機器収納部2の上方の天井部より壁面を沿わしながら電線や配管が降ろし、該電線や配管がカバー部材8の上面の挿通孔から設備機器収納部2の内部に引き込み、該電線や配管が電気器具やガス器具と連結された後、電気器具やガス器具が設備機器収納部2に固定する。
そして、設備機器収納部2上部の電線や配管を隠蔽するように、設備機器収納部2の上部にふかし壁を形成し、該ふかし壁を壁クロス材などで化粧処理し、設備機器収納部2が使用状態となる。
このように、電線や配管のメンテナンスを考えると、本実施例における配管ボックス部3を有した形態のほうがより適しているが、建築全体のコストを考慮して、配管ボックス部3を排した形態で設備機器収納部2のみで医療用コンソールユニットを形成することもできる。
【0039】
また、本件実施例における配管ボックス部の基本構成は、壁面に固定される複数の単位部材のフレーム材と、フレーム材に連結し、かつ、複数のフレーム材を覆い隠蔽するとともに前記配管や電線などを覆い隠すパネル部で構成されるものであるから、部品点数が少なく製造コスト、施工コストが軽減できるため、ふかし壁の代わりとすることが可能であり、本件実施例における部品点数の少ない設備機器収納部2だけでなく、他の設備機器収納部の電線、配管の配設部分として利用することが可能である。