(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記薄板で結露した結露水を、前記放電電極で放電を発生させずに前記ピエゾ素子を振動させて飛散させる第1モードと、前記放電電極で放電を発生させ、かつ前記ピエゾ素子を振動させて飛散させる第2モードとを切り替えて、前記ピエゾ素子と前記放電電極を制御可能な制御部を備える請求項4に記載の結露水霧化装置。
前記制御部は、前記第1モードと前記第2モードに加え、前記薄板で結露した結露水を、前記ピエゾ素子を振動させずに前記放電電極で放電を発生させて飛散させる第3モードとを切り替えて、前記ピエゾ素子と前記放電電極を制御可能な請求項5または6に記載の結露水霧化装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、本実施形態に係るヘアドライヤー100の全体斜視図である。ヘアドライヤー100は、主に、温風や冷風を発生させる本体ユニット110と、ユーザが把持するグリップユニット180を備える。ヘアドライヤー100は、AC電源から供給される電力によって、熱や空気流を発生させる。
【0011】
本体ユニット110は、筐体であるハウジング116が外周を取り囲んで円筒形状を成し、一端側の開口である吸入口111から外気を取り入れ、他端側の開口である吹出口112から調整された空気流を吹き出す。吹出口112は、2つに分かれており、相対的に大量の空気流を吹き出す第1吹出口113と、第1吹出口よりは吐き出す空気流が少ない第2吹出口114とによって構成されている。なお、以降の説明においては、吸入口111側を上流側と称し、吹出口112側を下流側と称する。
【0012】
本体ユニット110は、グリップユニット180と接続する端部を有する。当該端部近傍には、トグル式のモードスイッチ115が設けられている。モードスイッチ115は、吹き出す空気流に美容成分を放出させる美容モードと放出させない非美容モードとを切り替える切替部として機能する。ユーザは、モードスイッチ115を操作して希望するモードに切り替える。
【0013】
グリップユニット180は、一端側が本体ユニット110と回動可能に接続されており、ユーザは、グリップユニット180を本体ユニット110に対して使用時においては直立させ、収容時においては並行にして折り畳む。グリップユニット180は、把持部の中央付近にオンオフスイッチ181を有する。ユーザは、オンオフスイッチ181を3つのポジションのいずれかにスライドさせることができる。それぞれのポジションは、1つがオフポジション、1つが後述するヒータへの通電を遮断して冷風を送出させる冷風ポジション、1つが電熱線に通電して温風を送出させる温風ポジションである。
【0014】
ユーザがモードスイッチ115を操作して美容モードに切り替えると、美容成分が混入した空気流が第2吹出口114から吐出される。美容成分は、美容成分保持部材としてのカートリッジ150に吸着保持されている。カートリッジ150は、本体ユニット110に対して交換可能に装着される。すなわち、美容成分を放出し尽くしたカートリッジ150は、新たなカートリッジ150に取り替えられる。これにより、ヘアドライヤー100は、美容成分の放散を継続的に維持することができる。
【0015】
図2は、本体ユニット110がカートリッジ150を装着する様子を示す部分拡大図である。ハウジング116の一部には開口部が設けられており、開口部は、通常の使用時には収容蓋117で覆われている。収容蓋117は、一端側に設けられたヒンジによりハウジング116に枢設されており、ユーザは、カートリッジ150の交換時に収容蓋117の他端側を持ち上げて開口部を開く。開口部の奥には装着部118が設けられており、ユーザはカートリッジ150を装着部118へ装着することができる。カートリッジ150を装着して収容蓋117を閉じれば、ユーザは、ヘアドライヤー100の美容モードを機能させることができる。なお、カートリッジ150が装着されていない状態ではモードスイッチ115を美容モードに切り替えられないように、モードスイッチ115にロック機構を設けても良い。
【0016】
図3は、
図1の座標系で示すxz平面と平行な断面で切断した、ハウジング116の中央断面の様子を模式的に示す図である。図は、主要な構成要素に限って表している。具体的には、ハウジング116内に配設されたヒータ121、モータ122、ファン123、霧化装置130と、装着部118に装着されたカートリッジ150を表している。
【0017】
ファン123は、モータ122によって回転され、吸入口111から外気を取り込んで、吹出口112へ向けて空気流を発生させる。モータ122は、例えば直流モータであり、ファン123と共に送風装置として機能する。ヒータ121は、通電されることにより熱を発生し、ファン123で発生された空気流を加熱して温風に変換する。ヒータ121は、例えば電熱線であり、絶縁板に巻回されるなどしてハウジング116の中空部に位置するように固定されている。
【0018】
ハウジング116の内部空間は、吸入口111から取り込まれた外気がファン123よりも下流側で二手に分流するように、内壁119によって2つに分割されている。すなわち、ファン123によって生成される空気流は、この内壁119によって、第1吹出口113へ向かう空気流B0と、第2吹出口114へ向かう空気流B1とに分かれる。ヒータ121は、空気流B0を温めるように、空気流B0の流路中に配設されている。したがって、ユーザがオンオフスイッチ181を温風ポジションに設定していれば、通電されたヒータ121が空気流B0を主に温める。
【0019】
霧化装置130は、空気流B1の流路中に配設されている。霧化装置130は、周辺空気に含まれる水分を結露させ、結露した水分をミスト化(霧化)して空気流B1に付与する結露水霧化装置である。具体的な構成については後述する。
【0020】
カートリッジ150は、霧化装置130よりも下流側に設けられた装着部118に装着されている。マイナスイオンに帯電したミストがカートリッジ150の内部を通過すると、カートリッジ150に吸着保持された美容成分がミストに溶出し、第2吹出口114から吐出される空気流B1は、当該美容成分を適度に含んだ状態でユーザの毛髪へ到達する。
【0021】
なお、図示するように、霧化装置130とヒータ121の間には内壁119が介在し、互いに隔離されているので、ヒータ121が発生する熱は、霧化装置130の結露部に到達しにくい。したがって、結露部は、より多くの水分を結露させることができる。また、内壁119は、ヒータ121の熱をより遮断するように、断熱性の高い素材で形成されると良い。あるいは、内壁119の表面に熱移動を遮断する断熱シートを貼着すると良い。
【0022】
図4は、霧化装置130を模式的に示す図であり、
図3に示す霧化装置130を拡大した図である。霧化装置130は、主に、ペルチェ素子131、冷却板132、放熱フィン133、放電電極134、ピエゾ素子135および断熱材136を含む。
【0023】
ペルチェ素子131の吸熱面側には導電性の冷却板132が貼り合わされており、冷却板132は、ペルチェ素子131によって冷却される。なお、冷却板132は、ペルチェ素子131の冷却面と直接貼り合わされていなくても、例えば熱良導体を介在させるなど、熱的に接続されていれば良い。
【0024】
冷却板132は、熱良導体の薄板であり、例えばステンレス板が用いられる。冷却板132は、ペルチェ素子131の冷却面と向き合って接触する接触部132aと、接触部132aから上流方向(x軸マイナス方向)へ向かって伸延する振動部132bとを有する。断熱材136は、冷却板132の接触部132aのうち、ピエゾ素子135の冷却面と接触する面とは反対側の面を覆うように固定されている。断熱材136は、例えばウレタンシートが用いられる。したがって、接触部132aの大部分は、直接的に空気流B1と接触することがないので、この表面では結露水はほとんど生成しない。
【0025】
冷却板132のうち空気流B1と触れる振動部132bの表面が、空気流B1を冷却して含まれている水分を結露させる。すなわち、冷却板132の振動部132bは、ペルチェ素子131と協働して結露部として機能する。なお、結露部は、ファン123が回っている場合には、空気流B1に含まれる水分を結露させるが、ファン123が回っていない無気流の場合であっても、周囲の空気から水分を結露させることもできる。
【0026】
振動部132bの先端部には、ピエゾ素子135が貼着されている。ピエゾ素子135は、後述するピエゾ回路と接続されており、パルス電圧が印加されることにより伸縮して振動部132bに振動を発生させる。ピエゾ素子135によって発生する振動は、結露水をミストWDとして飛散させる。すなわち、霧化装置130は、空気中の水分を冷却してミスト(霧化された液滴)を生成する装置として機能し、本実施形態においては、直径が十〜数百ナノメートルの液滴を生成する。なお、図においてはミストWDを大きく描いている。
【0027】
ミストWDを発生させる手段としては、ピエゾ素子135のみでも良いが、本実施形態においては、更に放電電極134によってもミストWDを発生させ得る。放電電極134は、後述する電極回路に接続されており、冷却板132を接地電極として放電が発生するように、冷却板132の振動部132bから所定量離間して配置されている。放電電極134に高圧の負パルスが印加されると、放電電極134の先端部と冷却板132の間で放電が起こり、冷却板132の結露面に結露していた結露水が、レイリー分裂により、マイナスイオンに帯電したミストとなって飛散する。すなわち、霧化装置130は、マイナスイオンに帯電したミスト(静電霧化した液滴)を、空気流B1に付与する。
【0028】
このように、放電電極134も備えることにより、ヘアドライヤー100は、マイナスイオンも毛髪や頭皮に供給することができる。マイナスイオンは、毛髪のキューティクルをより引き締めることができ、より高い保湿性を維持することができる。また、ピエゾ素子135で振動部132bを振動させると共に放電電極134で放電を発生させれば、直径の異なるミストを同時に生成することも可能である。直径の異なるミストが同時に生成できれば、カートリッジ150が複数の美容成分を吸着保持するような場合に、それぞれに都合の良い直径のミストを供給し得る。
【0029】
また、イオンモードスイッチを設けてマイナスイオン放出のオンオフを選択できるように構成すれば、ミストをイオンモードスイッチがオフのときにはピエゾ素子135で発生させ、オンのときには放電電極134で発生させても良い。すなわち、霧化装置130は、放電電極134で放電を発生させずにピエゾ素子135を振動させてミストを飛散させるモードと、ピエゾ素子135を振動させずに放電電極134で放電を発生させてミストを飛散させるモードを選択できるように構成しても良い。
【0030】
また、霧化装置130は、ピエゾ素子135を振動させると共に放電電極134で放電を発生させてミストを飛散させるモードも選択できるようにしても良い。このようなモードを利用すれば、短時間に多量のミストを発生させることができる。この場合、ピエゾ素子135の振動と放電電極134の放電のタイミングを制御すれば、より効率的にミストを発生させることができる。具体的には、例えば、ピエゾ素子135の振動により振動部132bの放電位置が傾斜するタイミングで放電を発生させれば、空気流B1方向にミストWDを飛散させることができる。
【0031】
ペルチェ素子131の発熱面側には放熱のための放熱フィン133が貼り合わされている。放熱フィン133から放出された熱は、空気流B1の一部に乗って第2吹出口114から外部に吐き出される。なお、霧化装置130のうち、結露部は直接的に空気流B1の流路中に配設されていなくても良い。結露面で結露した結露水がミスト化した場合に、当該ミストが空気流B1に誘引されるのであれば、空気流B1に直接晒されない箇所に配設することも可能である。
【0032】
図5は、カートリッジ150の全体斜視図である。カートリッジ150は、上述のように、美容成分を吸着保持する美容成分保持部材である。吸着保持する美容成分は、霧化装置130で発生したミストを媒体として空気流B1に放出される。美容成分は、例えば保湿性を有するものとして、タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、ビタミン類等が挙げられる。なお、美容成分としては、上記した以外のものも任意に選択して用いることができるが、毛髪等における保湿性等を向上させてキューティクルの痛みを回復させる等の観点から、美容成分としてはコラーゲンを含むことが好ましい。
【0033】
また、例えばコラーゲンなどに担持させるなどの態様により、金属微粒子を美容成分として採用することもできる。美容成分となり得る金属としては、金、銀、銅、白金、亜鉛、チタンが候補として挙げられる。このような金属微粒子は、毛髪に付着して抗菌作用や抗酸化作用を生じさせることができる。特に白金の微粒子は、抗酸化作用が極めて高いことが知られており、美容成分として採用すると良い。
【0034】
カートリッジ150は、本体部151と、本体部151に複数設けられた貫通孔152によって構成されている。本体部151は、多孔質素材が用いられることが好ましく、例えばセラミック焼結体である。多孔質素材の空隙は、美容成分を吸着保持させる空間として利用できるので、本体部151は、多孔質素材でない場合に比べて多量の美容成分を保持することができる。
【0035】
複数の貫通孔152は、カートリッジ150が装着部118に装着された場合に、空気流B1に沿うように設けられている。換言すると、装着部118は、貫通孔152が空気流B1に沿う向きにカートリッジ150が装着されるよう、収容形状が規定されている。したがって、空気流B1の少なくとも一部は、貫通孔152の内部を通過する。
【0036】
霧化装置130で生成されたミストを含む空気流B1が貫通孔152を通過したときに、当該ミストが貫通孔152の内面と接触して美容成分を溶かし込むように、当該美容成分は、貫通孔の内面に一定の厚みをもって吸着されている。貫通孔152の内面に吸着保持された美容成分が、ヘアドライヤー100の使用により消費され、多孔質素材の空隙から滲出する美容成分も消尽されると、カートリッジ150は交換時期を迎える。
【0037】
図6は、ヘアドライヤー100のシステム構成図である。ヘアドライヤー100は、例えばマイクロプロセッサである制御部190によって電気系統の全体が制御される。オンオフスイッチ181のスイッチ状態、およびモードスイッチ115のスイッチ状態は、電気的に検出されて制御部190へ伝達される。制御部190は、これらのスイッチ状態に応じて各回路を制御する。制御対象は、主に、ヒータ回路191、モータ回路192、ペルチェ回路193、電極回路194およびピエゾ回路195である。
【0038】
ヒータ回路191は、ヒータ121に通電して一定の発熱状態を保つ回路である。制御部190は、オンオフスイッチ181が温風ポジションであるときに、ヒータ回路191が機能するように制御する。モータ回路192は、モータ122に通電してファン123を一定の回転速度で回転させる回路である。制御部190は、オンオフスイッチ181が冷風ポジションまたは温風ポジションであるときに、モータ回路192が機能するように制御する。
【0039】
ペルチェ回路193は、ペルチェ素子131を駆動して吸熱面から発熱面へ熱移動させる回路である。制御部190は、結露部で結露水を生成する場合に、ペルチェ回路193が機能するように制御する。電極回路194は、放電電極134に高圧の負パルスを印加して、放電電極134と冷却板132の間で周期的に放電を発生させる回路である。制御部190は、マイナスイオンを発生させて結露水を飛散させる場合に、電極回路194が機能するように制御する。ピエゾ回路195は、周期的なパルス電圧を印加してピエゾ素子135を振動させる回路である。制御部190は、結露水を飛散させる場合に、ピエゾ回路195が機能するように制御する。
【0040】
次に、霧化装置の他の実施例について説明する。
図7は、他の実施例の霧化装置230を模式的に示す図である。
図7(a)は、霧化装置230を第2吹出口113側から観察した要部断面図であり、
図7(b)は、霧化装置230を
図4と同様に側方から観察した要部断面図である。霧化装置130と同じ要素については同符番を付してその説明を省略する。
【0041】
霧化装置230の冷却板232は、霧化装置130の冷却板132と同様に熱良導体の薄板である。また、冷却板232は、冷却板132と同様に、接触部232aと振動部232bを有し、接触部232aは、接触部132aと同様に、ペルチェ素子131の冷却面と向き合って接触する。しかし、振動部232bの構成が振動部132bと異なる。
【0042】
振動部232bは、ペルチェ素子131の冷却面の端部において、接触部232aとの境界となるx軸と平行な折曲線に沿って折曲げられ、下方に垂れ下がるように配置されている。ここで、下方とは、ヘアドライヤー100の通常の使用状態において重力方向であるz軸マイナス方向である。振動部232bは、下方で幅狭となる形状であり、生成された結露水が重力によって寄せ集められ、下端の一箇所に集中するようになっている。また、結露水がスムーズに寄せ集められるように、その表面にはガイド溝232cが設けられている。ガイド溝232cは、例えば、
図7(b)に示すように、外側から中心に向かって傾斜する複数の溝である。
【0043】
このように配置された振動部232bも、空気流B1を冷却して結露水を生成することができる。そして、振動部232bのうち折曲線近傍に配置されたピエゾ素子135を振動させると、先端部ほど大きく振動して、集められた結露水を空気流B1中へ効率的に飛散させることができる。また、先端部に対向して配置された放電電極134で放電を発生させても、集められた結露水を空気流B1中へ飛散させることができる。
【0044】
図8は、更に他の実施例の霧化装置330を模式的に示す図である。
図8は、霧化装置330を
図7(a)と同様に第2吹出口113側から観察した要部断面図である。霧化装置130と同じ要素については同符番を付してその説明を省略する。
【0045】
霧化装置330は、ペルチェ素子131を2つ備える。霧化装置330の放熱フィン333は、それぞれのペルチェ素子131の発熱面と接触する接触面333aが、空気流B1の流路中心近傍へ向かって傾斜する傾斜面になっている。それぞれのペルチェ素子131は、接触面333aに固定されている。
【0046】
霧化装置330の冷却板332は、霧化装置130の冷却板132と同様に熱良導体の薄板である。冷却板332は、側部がそれぞれのペルチェ素子131の冷却面と接触する接触部332aとなっており、両側部を接続する中央部が空気流B1の流路中心近傍を頂点として撓んだ形状を成す振動部332bとなっている。すなわち、冷却板232は、
図8に示す断面において略V字形状に配置されている。
【0047】
冷却板232の頂点部は、ヘアドライヤー100の通常の使用状態において重力方向であるz軸マイナス方向に位置するので、接触部332aおよび振動部332bの表面で生成された結露水は、重力によって寄せ集められ、頂点部に集中する。また、結露水がスムーズに寄せ集められるように、接触部332aおよび振動部332bの表面にはガイド溝が設けられていても良い。
【0048】
ピエゾ素子135は、冷却板332の頂点部の内側(放熱フィン333側)に貼着されている。このように重力方向の下端である頂点部に配置されたピエゾ素子135を振動させると、頂点部がより大きく振動し、集められた結露水を空気流B1中へ効率的に飛散させることができる。また、頂点部の外側に対向して配置された放電電極134で放電を発生させても、集められた結露水を空気流B1中へ飛散させることができる。なお、霧化装置330は、霧化装置130、230と異なり、接触部332aの表面を断熱材136で覆わなくても良い。接触部232aの表面に結露する結露水も傾斜に沿って下端部に移動するので、多くの結露水を収集することができる。
【0049】
図9は、更に他の実施例の霧化装置430を模式的に示す図である。
図9は、霧化装置430を
図7(a)と同様に第2吹出口113側から観察した要部断面図である。霧化装置130と同じ要素については同符番を付してその説明を省略する。
【0050】
霧化装置430は、ペルチェ素子131を2つ備える。霧化装置430の放熱フィン433は、それぞれのペルチェ素子131の発熱面と接触する接触面がz軸プラス方向に向けられ、熱を放散するフィンがz軸マイナス方向に向けられて配置されている。それぞれのペルチェ素子131は、発熱面が放熱フィン433の接触面と接触するように放熱フィン433上に固定されている。
【0051】
霧化装置430の冷却板432は、霧化装置130の冷却板132と同様に熱良導体の薄板である。冷却板432は、側部がそれぞれのペルチェ素子131の冷却面と接触する接触部432aとなっており、両側部を接続する中央部が空気流B1の流路中心近傍に位置する振動部432bとなっている。ペルチェ素子131の冷却面と接触部432aとは、弾性接着層439を介して互いに接着されている。弾性接着層439は、弾性接着剤によって形成される層であり、接触部232aで発生する振動を吸収する性質を有する。弾性接着剤は、熱伝導性の良いものが用いられる。例えば、金属ペーストが練り込まれたものが用いられる。
【0052】
ピエゾ素子135は、冷却板432の中央部の内側(放熱フィン433側)に貼着されている。このように中央部に配置されたピエゾ素子を振動させると、振動部432bを中心として大きく振動し、かつ両側部の接触部432aまで振動させることができるので、より広い面積で結露水を空気流B1中へ飛散させることができる。また、中央部の外側に対向して配置された放電電極134で放電を発生させても、生成した結露水を空気流B1中へ飛散させることができる。霧化装置430によれば、冷却板132の上面で結露水を生成するので、霧化装置から垂れてしまう水滴の発生を抑制できる。
【0053】
以上、他の実施例を含めて説明した本実施形態におけるヘアドライヤー100によれば、貯水タンクなどの給水手段を用いることなく、帯電していないミストを生成できる。なお、本実施形態においては、それぞれの霧化装置が放電電極を備える場合を説明したが、放電電極を備えない構成であっても良い。マイナスイオンを発生させる場合は、霧化装置とは独立したイオン発生ユニットを設けても良い。
【0054】
なお、本実施形態においては、放電電極134に負のパルスを印加してマイナスイオンを発生させたが、正のパルスを印加してプラスイオンを発生させても良い。正のパルスを印加して放電を発生させると、プラスイオンに帯電したミストが発生する。この場合は、プラスイオンがユーザの毛髪に到達し、プラスイオンによる抗菌効果などが期待できる。また、放電電極134に印加するパルスの極性を変化させることにより、マイナスイオンとプラスイオンをシーケンシャルに発生させても良い。また、放電電極134を複数設けて、プラスイオンとマイナスイオンを同時に発生させるようにしても良い。
【0055】
また、以上説明した本実施形態に係るヘアドライヤー100は、美容成分保持部材として交換式のカートリッジ150を採用したが、カートリッジ式ではなく、例えば美容成分を外部から注入できるような美容成分保持部材を採用しても良い。この場合の美容成分保持部材は、本体ユニット110に固定されていて良い。
【0056】
上述のように、カートリッジ150が吸着保持する美容成分は選択的であり、例えば、いずれも装着可能なカートリッジAとカートリッジBに別々の美容成分を吸着保持させることもできる。ユーザは得たい効果に即してカートリッジを選択する。このような場合に、制御部190は、装着されたカートリッジの性質に合わせて、ピエゾ素子135を振動させてミストを発生させるか、放電電極134の放電によりミストを発生させるかを切り替えても良い。
【0057】
以上のような構成により本実施形態に係るヘアドライヤー100は、使用するユーザの毛髪や頭皮に美容成分を供給することができる。したがって、毛髪の表面におけるキューティクルの剥離等のような髪のダメージをより効果的に修復し、さらには毛髪の保湿もより効果的に行うことができる。特に、ヘアドライヤー100は、ユーザが使用するたびにミストと美容成分を毛髪に供給することができるので、使用し続けることでキューティクルをより引き締めることができ、ブラッシングや温風による加熱等によるダメージを抑え、毛髪をより保湿性の高い状態に維持することができる。また、頭皮における皮脂の発生を抑制して毛穴を清潔な状態に保つことができる。さらにヘアカラーを行った場合の退色も抑制でき、染めた毛髪色を長期間に亘って維持することも期待できる。また、上記のヘアドライヤー100は、マイナスイオンも毛髪や頭皮に供給することができるので、毛髪のキューティクルをより引き締めることができ、より高い保湿性を維持することができる。
【0058】
また、本実施形態においては、霧化装置がヘアドライヤー100に搭載される実施例を説明したが、霧化装置を他の装置に組み込んで利用することも可能である。例えば、乾燥した皮膚に潤いを与える装置に組み込んで利用することができる。