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特許6986746ミルクシステムのクリーニング方法およびミルクシステム用のクリーニングモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986746
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】ミルクシステムのクリーニング方法およびミルクシステム用のクリーニングモジュール
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/60 20060101AFI20211213BHJP
   B08B 9/032 20060101ALI20211213BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   A47J31/60
   B08B9/032 321
   B08B3/04 Z
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-247745(P2017-247745)
(22)【出願日】2017年12月25日
(65)【公開番号】特開2018-138161(P2018-138161A)
(43)【公開日】2018年9月6日
【審査請求日】2020年8月13日
(31)【優先権主張番号】17150697.5
(32)【優先日】2017年1月9日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517452338
【氏名又は名称】カップ・ウント・チーノ カッフェーシステム−フェアトリーブ ゲーエムベーハー ウント コンパニー コマンディット ゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】CUP&CINO Kaffeesystem−Vertrieb GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フランク ヨーゼフ パウル エピング
【審査官】 山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−296185(JP,A)
【文献】 特開2003−251290(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0025762(US,A1)
【文献】 特表2017−532258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00−31/60
B08B 1/00−13/00
B67D 1/00−3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分配デバイスを有し、飲料メーカーと関連し、コントロールユニットおよびクリーニングモジュール(10)を有するミルクシステムのクリーニング方法であって、
a)少なくとも2つのゾーン(12、14)を有し、クリーニング液が第1ゾーン(12)および第2ゾーン(14)内に充填されており、クリーニング剤がチャンバ(24)内に充填されているクリーニングモジュール(10)により、前記ミルクシステムのミルクコンテナを置換する工程と、
b)クリーニング液を吸引するために前記ミルクシステムのドッキングユニット(18、18’)によって、前記第1ゾーン(12)および前記第2ゾーン(14)を結合し、前記ミルクシステムを通じて前記クリーニング液を運び、かつ、前記クリーニンモジュール(10)内のクリーニング液の少なくとも一部を再循環して運ぶ工程と、
c)前記クリーニングモジュール(10)の前記第1ゾーン(12)の外部および/または第2ゾーン(14)の外部の前記ミルクシステムを通じて運ばれるクリーニング液により前記ミルクシステムをリンスする工程と、
d)前記ミルクシステムを通じて前記クリーニング液が運ばれる回路をリンスする工程であって、クリーニング液が、前記第2ゾーン(14)から抽出され、加熱デバイスによって加熱され、かつ、前記チャンバ(24)内に戻され、それにより、流体伝導結合(26)を介して前記第2ゾーン(14)に到達する、ところの工程と、
e)前記回路のリンスを終了する工程であって、前記第2ゾーン(14)内のクリーニング液が導出され、クリーニング液の充填レベルが所定のレベル以下に低下したときに、前記第2ゾーン(14)のバルブデバイス(42)が閉止される、ところの工程と、
f)前記第1ゾーン(12)からのクリーニング液により前記ミルクシステムを最後にリンスする工程と
を備える方法。
【請求項2】
工程a)において、クリーニング液として真水が前記第1ゾーン(12)および第2ゾーン(14)内に充填される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程c)は、前記クリーニングモジュールの正しい位置がセンサーによって前記コントロールユニットに送信された時、コントロールユニットにより開始される、ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記クリーニング方法は、前記クリーニング液のコンダクタンスを測定する工程を有し、取得されたデータは、前記コントロールユニットに送信される、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
後続の工程への切り替えは、測定したコンダクタンスに従って生じる、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法のための手段としての、飲料メーカーと関連する分配デバイスを有するミルクシステム用のクリーニングモジュール(10)であって、前記クリーニングモジュール(10)は、クリーニング液を受け取るためのクリーニングコンテナを有し、前記クリーニングコンテナは少なくとも2つのゾーン(12、14)を有し、前記少なくとも2つのゾーン(12、14)は、前記クリーニング液が前記クリーニングコンテナから引かれ、前記ミルクシステムを通じて運ばれ、かつ、少なくとも部分的に前記クリーニングコンテナに戻されるように、流体伝導方式で前記ミルクシステムと結合可能である、ことを特徴とするクリーニングモジュール。
【請求項7】
前記第2ゾーン(14)内において、チャンバ(24)が形成され、前記チャンバが流体伝導結合(26)によって第2ゾーン(14)に結合される、ことを特徴とする請求項6に記載のクリーニングモジュール。
【請求項8】
前記クリーニングモジュール(10)は、前記ミルクシステムのミルクコンテナと交換可能であり、前記ミルクシステムのドッキングユニット(18、18’)と流体伝導方式で結合可能であり、クリーニング液は少なくとも前記第1ゾーン(12)および前記第2ゾーン(14)から抽出可能であり、少なくとも部分的に前記チャンバ(24)へ戻される、ことを特徴とする請求項6または7に記載のクリーニングモジュール。
【請求項9】
クリーニング液としての真水は、前記クリーニングコンテナの少なくとも前記第1ゾーン(12)および前記第2ゾーン(14)内へ充填可能である、ことを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載のクリーニングモジュール。
【請求項10】
少なくともひとつのバルブデバイス(36)が、前記第1ゾーン(12)へ流体伝導結合(34、32、32’)して配置される、ことを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載のクリーニングモジュール。
【請求項11】
少なくともひとつのバルブデバイス(42)が、前記第2ゾーン(14)へ流体伝導結合(34、32、32’)して配置され、それは、前記第2ゾーン(14)内のクリーニング液の充填レベルが所定のレベル以下となったときに閉止される、ことを特徴とする請求項6から10のいずれか一項に記載のクリーニングモジュール。
【請求項12】
クリーニング剤が前記チャンバ(24)内に充填可能であり、それにより、クリーニング液は、再循環ライン(44)を介して前記チャンバ(24)内に流入し、流体伝導結合(26)を介して、前記チャンバ(24)から前記第2ゾーン(14)へ流出する、ことを特徴とする請求項6から11のいずれか一項に記載のクリーニングモジュール。
【請求項13】
前記ミルクシステムの前記分配デバイスにおいて、前記分配デバイスに結合可能なクリーニングヘッドおよび再循環ラインを介して、前記クリーニング液が前記チャンバ(24)内に戻される、ことを特徴とする請求項6から12のいずれか一項に記載のクリーニングモジュール。
【請求項14】
クリーニング液は、前記飲料メーカーのドリップトレイ内に導出可能である、ことを特徴とする請求項6から13のいずれか一項に記載のクリーニングモジュール。
【請求項15】
クリーニング液は、第3ゾーン(20)内に戻り可能であり、それは、前記クリーニングモジュール(10)内に含まれる、ことを特徴とする請求項6から13のいずれか一項に記載のクリーニングモジュール。
【請求項16】
前記第3ゾーンは、別個のコンテナ(20)として設計される、ことを特徴とする請求項15に記載のクリーニングモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えば、飲料メーカーに関連するミルクシステムのクリーニング方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばコーヒーおよびココアなどの飲料を準備するために、手動システムから完全自動の機械までにおよぶ有用な複数の装置が存在する。飲料メーカーが使用する生産可能なデリカシーは、カプチーノ、ラテマキアートまたはコーヒーラテのようなミルクを含むドリンクを有し、それらを準備するためにミルクおよび/またはミルクの泡が必要である。ミルクは、概して、ミルクコンテナなどの対応するデバイス内に格納されており、それは飲料メーカーと一体化されるか、または、飲料メーカーと関連づけられ、供給システムを介して結合可能である。ミルクコンテナから始まり、供給デバイスおよび処理デバイスを通じたミルクは、例えば、コーヒーまたはココアドリンクと一緒に、加熱および泡立てられ、アウトレットで分配される。
【0003】
このシステムにおいて、ミルクと接触することになるすべてエレメントは、要求された衛生基準を満たすために、定期的にクリーニングしなければならない。それにより、迅速、安全かつ操作者と独立に所望の再生可能なクリーニング結果をもたらす自動クリーニング処理が所望される。
【0004】
独国特許出願公開第102014215689号には、飲料分配デバイス内のミルク用の供給装置をクリーニングする装置および方法が開示されている。それは、供給装置内に配置され、ミルクコンテナのそばに配置された、クリーニング剤で充たされたクリーニング剤タンクおよびそれに結合された抽出ポンプを有する。クリーニングモード用に、ミルクコンテナはクリーニング混合タンクと置換され、その中にクリーニング剤が移送される。付加的に、または、代替的に、特定の濃度のクリーニング溶液を与えるため、または、クリーニングモード用のリンス溶液を与えるために、真水が混合コンテナ内に導入される。クリーニング溶液が放出され、汚れたシステムエレメントは、飲料分配装置の供給ユニットによってリンスされる。
【0005】
この方法の欠点は、クリーニング剤を使ったクリーニングおよび、真水によるリンスが、同じ混合コンテナを通じて生じるということである。例えば、クリーニング剤のタンクは、リンス液の交換が可能になる前に、最初に完全に空にされなければならないため、この方法は時間がかかる。これに加え、大量の真水が使用される。さらに、システムは、クリーニングが実際に生じたか否かについてのチェックを与えない。クリーニング剤によってミルクの予想外の汚染が生じ、その結果、汚染された飲料が準備される可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、飲料メーカーに関連するミルクシステムのクリーニングを単純化すること、クリーニングに要する時間を短縮すること、ユーザーによって再生可能なように設計すること、常習的エラーを削減すること、および、モニタリングを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、特に、飲料メーカーと関連するミルクシステムをクリーニングするための本願発明にかかる方法によって達成される。当該方法は、少なくとも2つのゾーンを有するモジュールをクリーニングすることにより、ミルクコンテナが最初に置換され、それにより、クリーニング液は第1のゾーンおよびに第2のゾーンに充たされ、クリーニング剤がチャンバ内に充たされる。第1および第2ゾーンは、充填されたクリーニング液の充填レベルに応じて、少なくとも部分的に互いに流体伝導結合される。続いて、クリーニング液を吸引するために、ミルクシステムのドッキングユニットにより、第1ゾーンおよび第2ゾーンが結合され、ミルクシステムを通じてクリーニング液が輸送され、クリーニングモジュール内にクリーニング液を戻す。結合の後に、ミルクシステムは、クリーニング液によってリンスされ、クリーニング液はクリーニングシステムを通じて、クリーニングモジュールの第1ゾーンから外へ、および/または、第2ゾーンから外へ運ばれる。続いて、ミルクシステムの回路がリンスされる。クリーニング液は、第2ゾーンから引かれ、加熱デバイスによって加熱され、かつ、チャンバ内に戻される。それにより、流体伝導結合を介して第2ゾーンに到達する。回路のリンスは、予め決められたクリーニングサイクルの後に終了する。その後、第1ゾーンから引かれたクリーニング液によって、ミルクシステムが最後にリンスされる。
【0008】
本願発明に従い、第1および第2ゾーン内に充たされたクリーニング液は真水である。
【0009】
例えば、飲料メーカーのエレメントとしてすでに与えられている、第3ゾーンまたはドリップトレイ内にクリーニング液をリリースすることを通じて、第2ゾーン内の充填レベルは低下する。所定の低い充填レベルに達すると、第2ゾーンのバルブデバイスが閉止され、例えば、冷たい真水であるクリーニング液が最終リンスのために第1ゾーンから引かれる。
【0010】
当該方法は、いくつかの利点を組み合わせて備える。特に、真水による最初のリンスは、熱容量が適用されることなく、素早く伝導可能である。飲料コンテナ内に一体化された加熱デバイスは、特に、回路のリンス工程において有利に使用され、それは好適には、厚膜加熱エレメントである。有利な熱特性を有する厚膜加熱エレメントは、コールド−ホットクリーニング法の組みあわせを可能にする。立証済みの利点は、クリーニング液内のクリーニング剤の濃度を段階的に増加できる点である。その結果、ミルク沈殿の防止および、乳脂肪の効果的な除去と同時に、最適なクリーニングが生じる。また、説明する方法および装置によれば、ミルクコンテナのドッキングシステムはミルク沈殿が残っていない外側からクリーニング可能である。同様に回路のリンス工程はリソースを節約する。
【0011】
個々のリンス工程間での切り替えが、コントロール無しで生じることの証明済みの利点を有する。例えば、第1ゾーンおよび第2ゾーン内に充たされたクリーニング液の充填レベルが低下したとき、第1および第2ゾーン間に流体伝導結合が存在しないように、再切り替えは、充填レベルに応じて生じる。充填レベルが第2ゾーン内のバルブレベルの閉止を生じさせるとき、同様に最終リンスへの再切り替えが生じる。バルブは好適には、フロートバルブとして設計される。
【0012】
既存のミルクコンテナは、本願発明に従うクリーニングモジュールと置換可能である。後者は、対応して設計されるハウジング内に押しこまれ、その結果、最終位置において、クリーニングモジュールは、与えられたドッキング装置および他の結合手段によって流体伝導結合される。クリーニングモジュールの存在および正確な位置は、クリーニングプロセスを開始するために、機械的、RFID、Hall、Reedまたは類似のセンサーによって検知され、与えられたコントロールユニットに送信される。この自動検知は、誤作動を防止し、かつ、特にユーザーフレンドリーである。
【0013】
また、モニタリングは、最終クリーニングの間にクリーニング液が流入されるドリップトレイが、システムが飲料準備用に再び稼働される前に、除去されかつクリーニングされることを確認するために設けられる。
【0014】
本願発明に従う、クリーニング方法の最初において、クリーニング液、特に真水の供給が、クリーニングモジュールの第1および/または第2ゾーンの少なくともひとつから生じる。クリーニングモジュールの第1ゾーンおよび/または第2ゾーンからのクリーニング液の少なくとも一部は、第1リンス工程において吸引される。与えられる第1および第2ゾーンは少なくとも部分的に流体伝導するように結合されるのが好ましい。真水の吸引中に、あるレベルまで充填レベルが沈むと、第1および第2ゾーン間の流体伝導結合は中断され、第1リンス工程は終了する。
【0015】
代替的に、バルブデバイスが、流体伝導結合に与えられてよい。当該バルブデバイスは、クリーニング液の吸引を制御するために、コントロールユニットによって開閉される。
【0016】
クリーニング方法のこのフェーズは、クリーニングすべきコンポーネントの完全なリンスを目的として機能し、それにより、乳結石の蓄積が冷水を通じて好適に防止される。その蓄積は、特に、温水によってリンスすることで観測可能である。プレリンスともよぶ第1フェーズの間に、特に格納された真水の一部が、吸引されかつ導出される。それにより、代替的に、それは、ドリップトレイ内または既存の第3ゾーン内に導出される。
【0017】
続く工程において、第2ゾーンから吸引されるクリーニング液は、回路内に伝導される。すなわち、それは、第2ゾーンから吸引され、クリーニング剤を有するチャンバ内へ戻される。そこから、それは、再び、第2ゾーンに達する。戻ったクリーニング液がチャンバ内に到達したとき、それは、そこに格納されたクリーニング剤を吸収する。例えば、チャンバ内に格納されるのは、特に、クリーニングタブレットのような濃縮クリーニング剤である。それは、戻りクリーニング液内へ徐々にクリーニング成分をリリースする。回路内で伝導されるクリーニング液内のクリーニング成分の濃度は、それにより変化し、そのクリーニング液は、クリーニングまたはリンス用の液体として続いて指定される。チャンバから、クリーニング成分の変化した割合を有するクリーニングまたはリンス溶液は、第2ゾーンに到達し、そこで、クリーニング液のリザーバーを形成する。チャンバ内へのクリーニング液の伝導を通じて、および、それによるダイナミックな流体移動を伴って、クリーニング成分は、有利にクリーニングまたはリンス溶液と混合され、特に、固体として与えられたクリーニング成分は残余なく大部分が溶解する。
【0018】
回路内で伝導されるクリーニングまたはリンス溶液は、好適には、加熱エレメントによって、好適には、厚膜技術に基づく加熱エレメントによって、クリーニング方法のこのフェーズで加熱される。特に、回路内で伝導されるクリーニングまたはリンス液は、決められた温度に加熱される。その温度は、達成すべき衛生効果の観点から、少なくとも70℃から80℃である。クリーニングまたはリンス液の循環により、この加熱は、特にエネルギー節約方法で実行可能である。さらに、短いクリーニング時間は、クリーニングすべきミルクシステムが、通常の動作モードで使用できないクリーニング時間に有利となる。
【0019】
クリーニング方法のさらなる工程において、循環モードは終了し、それにより、クリーニングおよびリンス液は、クリーニングモジュールの既存の第3ゾーン内に導入されるか、代替的に、飲料メーカーの既存のドリップトレイ内に導入される。第3ゾーンまたはドリップトレイはそれぞれシステムの外へ導出しかつ廃棄するためのクリーニング液およびリンス液用の集合コンテナを与える。所定のクリーニング時間の後に、クリーニング剤を含むクリーニング液が加熱され、回路内に伝導される。クリーニング液は、第3ゾーンまたはドリップトレイにそれぞれ導入され、それにより、第2ゾーン内の流体レベルが低下する。ある低い流体レベルから出発し、好適には、フロートバルブとして設計された既存のバルブデバイスが第2ゾーンからのクリーニング液供給を閉止し、それにより、自動的に、真水が第1ゾーンの外へ吸出される。その真水は、第3ゾーンまたは代替的にドリップトレイ内に伝導される。既存の加熱エレメントは、スイッチオフされ、その結果、より低い温度の真水が最後のリンスをあたえる。
【0020】
クリーニング方法の得られたクリーニング効果をチェックするために、クリーニングまたはリンス液のコンダクタンスが決定される。この目的のために、クリーニングまたはリンス液の回路内の好適にはポンプの吸引領域にコンダクタンスセンサが設けられる。そのセンサーは、運ばれる流体の実際の電解伝導度を測定し、それにより、流体またはその汚染レベルの性質に関する情報をもたらす。さらに、それにより、配管システム内にどの液体が配置されているかを確認することができる。コンダクタンスセンサは、クリーニング動作が成功して実行されたかどうかを示すために、コントロールユニットへ信号を送信する。クリーニングが不完全であった場合、特に、要求された衛生基準に一致しなかった場合、全システムはブロックされる。これは、操作者に対して、信頼できるチェックを提供する。
【0021】
本願発明に従う当該方法は、分配デバイスを有するミルクシステム用のクリーニングモジュールを手段として有し、それは、飲料メーカー、特にコーヒーマシンと関連している。個々のクリーニングモジュールは、スタンドアロンシステムとして設計されることも理解される。
【0022】
本願発明に従う、分配デバイス、例えば放水ヘッドを有するミルクシステム用のクリーニングモジュールは、クリーニング液を受け取るためのクリーニングコンテナを有し、それにより、クリーニングコンテナは、少なくとも2つのゾーンを有する。また、クリーニングモジュールは結合手段を有し、その結果、少なくとも2つのゾーンは、クリーニング液が抽出可能で、ミルクシステムを通じて輸送可能であり、かつ、少なくとも部分的にクリーニングモジュール内に回収可能であるような方法でミルクシステムと流体伝導して結合可能である。コンパクトなクリーニングモジュールが、容易に管理可能であり、その結果そのクリーニングは問題なく実行される。
【0023】
ミルクシステムまたは飲料メーカーは、少なくとも部分的に配管またはラインのシステム、少なくともひとつの輸送デバイス、および、分配デバイス、格納コンテナおよび、空気強化エレメント並びに少なくともひとつの加熱エレメントおよびコントロールユニットを有する。
【0024】
本願発明に従うクリーニングモジュールに関して、飲料メーカーと関連するミルクシステムのクリーニングが生じ、特に、ミルクと直接接触するシステムのコンポーネントのクリーニングが生じる、それらは、少なくともひとつのミルクコンテナから取られたミルクの吸引、輸送、準備および分配するための供給デバイス、処理デバイスまたは分配デバイスである。特に、インターフェース、例えば、ドッキングユニットおよび分配デバイスは、内側および外側の両方からクリーニング可能であることが予想できる。それにより特に、有利なのは、本願発明によれば、内側および外側の両方からクリーニング可能であるため、飲料メーカーの放水ヘッドをクリーニングするためにもはや分解する必要がないということである。
【0025】
クリーニングモジュールは、単純な方法で、飲料メーカーのミルクシステムに結合可能である。特に、ハウジング内に配置されたミルクコンテナはクリーニングモジュールと置換可能である。ミルクコンテナの外部へミルクを吸出し、システムのライン内でミルクを運ぶための既存の結合および吸引手段が、与えられたクリーニング液が吸引手段によりクリーニングモジュールの外に吸出され、かつ、ミルクと接触するミルクシステムのシステムコンポーネントを通じて運ばれ、少なくとも一部が戻されるような方法で、クリーニングモジュールへ結合可能である。
【0026】
ミルクコンテナと交換される際に、クリーニングモジュールは、例えば、ハウジング内に挿入され、かつ、流体伝導方式でミルクシステムの結合手段へ結合される。例えば、ミルクシステムの枠内に与えられたドッキングユニットおよびさらに既存の結合手段例えば、戻り用に使用可能である。それにより、欠陥のない結合が促進される。
【0027】
クリーニングモジュールは、複数のゾーン、好適に第1および第2ゾーンを有し、それらは、少なくとも部分的に互いに流体伝導方式で結合されている。ひとつの実施形態において、クリーニングモジュールは、3つのゾーンを有し、それにより、好適には3つのゾーン内の少なくともひとつは、分離した取り外し可能なコンテナとして設計される。また、クリーニングモジュールは、取り外し可能なエレメントを有し、その上にドッキングユニットおよびさらなる結合手段が設けられる。この多数の部分に分かれた特徴により、クリーニングモジュールの個別の部品のクリーニングおよび別個のエレメントの置換が促進される。
【0028】
クリーニングモジュールは、少なくとも第1および第2ゾーン内にクリーニング液を格納し、それにより、第2ゾーンにおいて、クリーニング液が充填されたチャンバが与えられ、それは、流体伝導方式で、第2ゾーン内へ結合される。クリーニング方法のフェーズにおいて、クリーニング液は、第2ゾーンのチャンバ内に戻され、それによって、クリーニング液は第2ゾーン内であふれ、よって回路に伝導可能となる。循環フェーズの終了後に、クリーニング液が例えば既存の第3ゾーン内に、代替的にドリップトレイ内に回収され、それは、廃水用の回収コンテナを与える。好適には、このような回収コンテナは、クリーニングモジュールから取り外し可能な方法で設計され、その結果、そこで回収されたクリーニング液は廃棄される。
【0029】
クリーニングモジュールの第1ゾーンおよび第2ゾーン内にはクリーニング液としての真水が与えられる。クリーニング剤は、クリーニング方法の最初においてチャンバ内に充たされてよい。第1および第2ゾーンは、充填レベルに応じて、互いに関して少なくとも部分的に流体伝導方式で結合され、または、第1ゾーン内に真水が存在する程度において互いから分離される。
【0030】
クリーニングモジュールは、好適には、分配デバイスに結合されたクリーニングヘッドおよび少なくともひとつのチャンバ内への再循環ラインを介して、ミルクシステムの当該分配デバイスにおけるクリーニング液がクリーニングモジュールの第3ゾーンまたはドリップトレイ内に戻ることができるような方法で設計される。クリーニングヘッドは、好適は、クリーニング液による分配デバイスのリンスが内側および外側から可能であるような方式で設計される。それにより、クリーニングヘッドは、分配デバイス上に配置される。例えば、それは、分配デバイスの放水側で磁石によって結合される。配置されたクリーニングヘッドは、分配デバイスの内側および外側が、渦流のクリーニング液により好適にリンスされるような方式で設計される。クリーニングヘッドの設計を通じて、集中的なクリーニングが可能となり、それにより、クリーニング液は、例えば、分配デバイスの最下点に設けられたアウトレット開口を介して、分配デバイスの外に完全に流れる。
【0031】
したがってクリーニングモジュールは、互いに独立に異なる媒体で充たされた互いに対して結合可能なコンテナとして設計された少なくとも2つのゾーンを有する。媒体は、例えば、真水またはクリーニング液のような流体、および/または、クリーニングタブレット(クリーニングタブ)のような固体を有する。第1および第2ゾーンは、充填レベルに応じて流体伝導方式で少なくとも部分的に結合される。例えば、第1および第2ゾーンは、パーティションにより、互いから部分的に分離されている。それにより、クリーニングモジュールの第1および第2ゾーンは、例えば、ミルクシステムの輸送デバイスにより吸引手段の吸引側に流体伝導方式で結合される。特に、吸引手段は、第1および第2ゾーン用の少なくとも2つの流体伝導結合を有する。チャンバおよび可能であれば第3ゾーンは、吸引手段の放出側と少なくとも間接的に流体伝導結合されている。
【0032】
クリーニングモジュールは、第1および第2ゾーンを流体伝導結合させるバルブデバイスを有する。好適なバルブは、充填レベルに応じて閉止するフロートバルブである。
【0033】
第1および第2ゾーンは、手動で、好適には冷たい真水であるクリーニング液によって充たされる。手動による充填は、少なくとも真水の結合およびさらなるコンポーネントが与えられる必要がないため、ミルクシステムまたは飲料メーカーに関連して生じる自動充填に比べて有利である。したがって、周辺イクイップメントに関してある独立性が存在する。また、手動充填は、一体型ポンプによる充填よりも短い時間で実行可能である。
【0034】
チャンバ内に格納され、クリーニングモジュールの第2ゾーン内に与えられるのは、クリーニング剤、例えば、濃縮タイプまたはクリーニングタブレットのクリーニング剤である。チャンバにクリーニング剤を充填するのは、同様に手動で行う。それは、エラーの傾向が小さく、加えて検証可能である。このチャンバは、クリーニングモジュールの第2ゾーンにより流体伝導結合される。好適には、クリーニング液は、結合されたクリーニングヘッドおよび含まれる循環ラインを介して、ミルクシステムの分配デバイスから第2ゾーンのチャンバ内へ導出される。それにより、可能であればそこでクリーニング剤により濃縮される。特に、チャンバ内に戻ったクリーニング液は、ラインを介して第2ゾーンに到達するか、クリーニング法のフェーズの間に回路に導くためにオーバーフローする。この戻りまたは再循環は、特に節水することが証明された。
【0035】
さらに、ひとつの実施形態において、バルブを有し、第3ゾーンまたは代替的にドリップトレイに結合可能である再循環ラインが存在し、その結果、再循環し、使用済みのクリーニング液が回収され、それは、再循環サイクルにもはや供給されず、単純な方法で廃棄可能である。
【0036】
本願発明に従うクリーニングモジュールは、飲料メーカーに一体化されるか、それに関連するミルクシステムをクリーニングするために使用される。飲料メーカーは、特に、コーヒーマシンであり、放出側にアウトレットラインを有し、かつ、吸引側に吸引ラインを有する少なくともひとつの輸送デバイスを有する。液体は、吸引ラインを介して吸引可能であり、輸送デバイスおよびアウトレットラインを介して分配デバイスへ輸送可能であり、特に、放出ヘッドとして設計される。
【0037】
さらに、クリーニング用のデバイスは、他にバルブ、ポンプ、加熱エレメントおよび/またはコンダクタンスセンサを有してよい。
【0038】
好適な特徴および実施形態は、以下に示す好適実施形態および図面を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、本願発明に従うクリーニングモジュールの略示図である。
図2図2は、流体伝導結合された本願発明に従うクリーニングモジュールの略示図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、本願発明に従うクリーニングモジュール10の実施形態の略示図である。実施形態において、クリーニングモジュール10は、複数のゾーンに分割され、それらは少なくとも部分的に形成されたコンテナにより、互いに対して結合可能である。第1ゾーン12および第2ゾーン14は、クリーニング処理の開始前に、クリーニング液、好適には、真水によって充たされている。真水は第1クリーニングフェーズおよび最終リンス工程用のリンス液を与える。第2ゾーン14内に格納された真水は、特に、再循環用に使用される。
【0041】
第1および第2ゾーン12、14は、ミルクシステムまたは飲料メーカー(図示せず)の少なくともひとつの輸送デバイスの吸引側に、流体伝導方式で結合可能である。特に、結合手段16、16’が与えられ、それらは、ミルクシステムまたは飲料メーカーのドッキングユニット18、18’とそれぞれ結合可能である。結合手段16、16’は、ミルクコンテナのドッキングユニット18、18’のリンスが外側でも生じるような方法で設計される。個々のラインへの結合ライン32、32’は、結合手段16、16’まで伸長する。
【0042】
さらに、図示された実施形態のクリーニングモジュール10において、第3ゾーン20が与えられ、それは、結合ピース22によって、リターンライン(図示せず)に結合可能である。第2ゾーン14内には、チャンバ24が形成され、それは、第2ゾーン14と流体伝導方式で結合可能である。特に、チャンバ24からのクリーニング液が第2ゾーン14に到達するように、オーバーフローエレメント26が与えられえる。チャンバ24は、第2結合ピース28によって流体伝導結合され、それによって、チャンバ24は少なくともひとつの輸送デバイスの放出側と少なくとも間接的に結合可能である。
【0043】
図2は、クリーニングモジュール10の個々のゾーンへの流体伝導結合を示す。ドッキングユニット18、18’から始まり、結合ライン32、32’が伸長し、それは、第1ゾーン12および第2ゾーンに対して流体伝導結合を与え、すなわち、これらのゾーンを少なくともひとつの輸送デバイス(図示せず)に結合する。また、第1ゾーン12から格納されたクリーニング液が、吸引ポート34およびバルブデバイス36を介して、結合ピース38において、結合ライン32、32’へ結合されることが示されている。同様に、結合ピース38へ導かれるのは、第2ゾーン14から始まり、バルブデバイス42を有する流体伝導結合40である。第2バルブデバイス42は、特に、フロートバルブとして設計される。流体伝導結合40は、第2ゾーン14内の充填レベルが所定のレベル以下に低下したときに遮断される。
【0044】
図2からわかるように、第2ゾーン14内に形成されたチャンバ24内へ再循環ラインが進入する。それを介してクリーニング液が再循環され、回路内に再び導入されるように、オーバーフロー26を介して第2ゾーン14に到達する。チャンバ24内には好適に濃縮クリーニング剤が格納され、それは、チャンバ24のリンス工程を通じて、クリーニング液に徐々に渡される。
【0045】
図2からわかるように、第3ゾーン20が流体伝導方式で第2の再循環ライン46へ同様に結合可能である。第2の再循環ライン46を介して第3ゾーン20へ運ばれたクリーニング液は、第3ゾーン20内に回収される。この回収されたクリーニング液は、クリーニングモジュール10を手動で除去することにより空になる。好適には、第3ゾーン20は取り外し可能な回収コンテナとして設計される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0046】
【特許文献1】独国特許出願公開第102014215689号公報
図1
図2