特許第6986760号(P6986760)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6986760圧縮空気の冷却乾燥方法およびその冷却乾燥装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986760
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】圧縮空気の冷却乾燥方法およびその冷却乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20211213BHJP
   F04B 39/16 20060101ALI20211213BHJP
   F25B 9/02 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   B01D53/26 100
   F04B39/16 J
   F25B9/02 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-16070(P2019-16070)
(22)【出願日】2019年1月31日
(65)【公開番号】特開2020-121291(P2020-121291A)
(43)【公開日】2020年8月13日
【審査請求日】2020年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】511019133
【氏名又は名称】有限会社泰栄産業
(74)【代理人】
【識別番号】100085110
【弁理士】
【氏名又は名称】千明 武
(72)【発明者】
【氏名】川真田 博康
【審査官】 長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−123514(JP,A)
【文献】 特開昭49−120449(JP,A)
【文献】 特開2017−148682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/02−53/18
B01D 53/26
F04B 39/16
F25B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生成した圧縮空気をボルテックスチューブに導入して冷気と暖気を発生させ、前記ボルテックスチューブの両端部に冷気導管と暖気導管の一端部を接続し、それらの他端部を前置混合容器の端部に接続し、冷気と暖気を前置混合容器内に導入し、前置混合容器内の冷気導管の周面に水蒸気を凝結して暖気を除湿かつ冷却し、該暖気を前記冷気と共に前置混合容器外の混合容器に導入して調製し、該調製空気を下流のエアーツールへ供給する圧縮空気の冷却乾燥方法において、圧縮空気を貯留するエアータンクと前置混合容器との間に複数のボルテックスチューブを配置し、各ボルテックスチューブの冷気と暖気を一または複数の前置混合容器内に導入するとともに、前置混合容器内の冷気導管の下流側端部を開口し、前置混合容器内に導入した暖気を冷気導管から噴出した冷気に混合し、該混合気を前置混合容器内の上方へ移動し、該混合気を前置混合容器の上部から外部の混合容器へ導入して調製空気を作製することを特徴とする圧縮空気の冷却乾燥方法。
【請求項2】
各ボルテックスチューブに発生した冷気と暖気を前置混合容器の上下端部から導入する請求項1記載の圧縮空気の冷却乾燥方法。
【請求項3】
各ボルテックスチューブに発生した冷気と暖気を一の前置混合容器内に集約して導入する請求項1記載の圧縮空気の冷却乾燥方法。
【請求項4】
ボルテックスチューブに発生した冷気と暖気を前置混合容器内に導入し、前置混合容器内に扁平な中空の複数のクーリングチャンバを連通させて上下に離間して配置し、該クーリングチャンバにボルテックスチューブに発生した冷気を上方から導入し、最下位置のクーリングチャンバを開口するとともに、前置混合容器内の下部から暖気を導入し、前置混合容器内のクーリングチャンバの周面に水蒸気を凝結して除湿かつ冷却するとともに、前記暖気をクーリングチャンバから噴出した冷気に混合させ、この混合気を前置混合容器内の上方へ移動し、該混合気を前置混合容器の上部から外部の混合容器へ導入する請求項1記載の圧縮空気の冷却乾燥方法。
【請求項5】
生成した圧縮空気をボルテックスチューブに導入して冷気と暖気を発生可能に設け、前記ボルテックスチューブの両端部に冷気導管と暖気導管の一端部を接続し、それらの他端部を前置混合容器の端部に接続し、前記冷気と暖気を前置混合容器内に導入可能に設け、前置混合容器内の冷気導管の周面に水蒸気を凝結して暖気を除湿かつ冷却し、該暖気を前記冷気と共に前置混合容器外の混合容器に導入して調製可能に設け、該調製空気を下流のエアーツールへ供給可能に設けた圧縮空気の冷却乾燥装置において、圧縮空気を貯留可能なエアータンクと前置混合容器との間に複数のボルテックスチューブを配置し、各ボルテックスチューブの冷気と暖気を一または複数の前置混合容器内に導入するとともに、前置混合容器内の冷気導管の下流側端部を開口し、前置混合容器内に導入した暖気を冷気導管から噴出した冷気に混合可能に設け、該該混合気を前置混合容器内の上方へ移動可能に設け、該混合気を前置混合容器の上部から外部の混合容器へ導入して調製空気を作製可能にしたことを特徴とする圧縮空気の冷却乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば多量の圧縮空気を使用する生産工場等の使用に好適で、複数のボルテックスチューブ(vortex tube)を使用し、生成した圧縮空気を安価かつ合理的に冷却乾燥し、清浄で安全な圧縮空気をエアーツールへ供給し得るようにした、圧縮空気の冷却乾燥方法およびその冷却乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアーコンプレッサから吐出された圧縮空気には水や油分が混在し、この圧縮空気をエアードライバーやインパクトレンチ、塗装ガン等のエアーツールへ供給すると、空気導管の内部が錆たり、エアーツール内部の構成部品が錆びて機能が低下し故障を起こす惧れがあるため、圧縮空気中の水や油分を除去するエアードライヤを取付けて、冷却乾燥した圧縮空気をエアーツールへ供給するようにしている。
【0003】
前記エアードライヤには従来より種々のものが提案され、例えば中空円筒体の上部にインレットとアウトレットに連通する上カバーを取付け、前記円筒体の内側上半部に仕切り管を配置し、該仕切り管の内部に複数の仕切り構造を重ねてボルト連結し、各仕切り構造に小孔状の透孔を形成し、仕切り管の下方から導入された圧縮空気を透孔から噴出して断熱膨張し、圧縮空気中の水蒸気を凝縮し除湿かつ冷却して、アウトレットからエアーツールへ供給するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、前記エアードライヤは、部品点数が多く構成が複雑で製造が煩雑になり、また仕切り構造を移動する圧縮空気の経路が複雑で、その移動速度や透孔からの噴出速度が減速され、断熱膨張効果が概して低くなり、圧縮空気中の水分を十分に除去できないままエアーツールへ供給してしまうという問題があった。
【0005】
上記問題を解決するものとして、中空の容器本体の上部にインレットとアウトレットに連通する蓋体を取付け、該蓋体内に複数の環状溝と小孔を形成した胴体部を取付け、該胴体部の外側に管状の仕切体を配置し、容器本体内に導入した圧縮空気を環状溝に衝突させ、仕切体内に移動した圧縮空気を小孔から噴出させて断熱膨張し、圧縮空気中の水蒸気を凝縮し除湿かつ冷却して、アウトレットからエアーツールへ供給するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
しかし、前記エアードライヤは、前述のエアードライヤと同様に部品点数が多く、構成が複雑で製造が煩雑になり、また胴体部を移動する圧縮空気の経路が複雑で、その移動速度や小孔からの噴出速度が減速されて断熱膨張効果が概して低くなり、圧縮空気中の水分を十分に取り切れないままエアーツールへ供給してしまうという問題があった。
【0007】
また、圧縮空気の供給システムとして、エアーコンプレッサで生成した圧縮空気の供給配管の下流側に冷凍式エアードライヤを配置し、該冷凍式エアードライヤの上流にドレンフィルタとラインフィルタを配置し、冷凍式エアードライヤの下流にラインフィルタとミストフィルタ、活性炭フィルタを配置したものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
しかし、前記供給システムの冷凍式エアードライヤは、電力によって駆動させているため、システムが大掛かりで高価になる上に、システムの稼動に多大の電力を要して稼動費用が嵩み、生産性が低下するという問題があった。
【0009】
このような問題を解決する手段として、エアーコンプレッサで生成した高温高圧の圧縮空気をボルテックスチューブに導入し、その冷気抽出部と暖気抽出部に接続した冷気導管と暖気導管とを前置圧力容器に連通し、該前置圧力容器に冷気と暖気を導入して混合し、この混合気を外部の圧力容器に導入して緻密に混合し、この混合気をエア−ドヤイヤに導入して乾燥し、これをエアーツールへ供給するようにした圧縮空気の冷却乾燥装置がある(例えば、特許文献4参照)。
【0010】
しかし、前記冷却乾燥装置は前置圧力容器に暖気を吐出して導入する一方、冷気は冷気導管に導入して暖気と間接的に接触させているため、前置圧力容器内における冷気と暖気の混合が充分に行なわれず、比較的高温の混合気が圧力容器を経てエアードライヤに導入される結果、エアードライヤにおける冷却乾燥負荷が概して大きく、充分な冷却乾燥効果を得られない問題があった。
【0011】
そこで、前記問題を解決するものとして、エアーコンプレッサで生成した高温高圧の圧縮空気を熱交換器を経てボルテックスチューブに導入し、その冷気抽出部で抽出した冷気を前記熱交換器に導入して外部の容器に導入し、またボルテックスチューブの暖気抽出部で抽出した暖気を前記容器に導入して、冷気と暖気を混合し、その混合気を流量調整してエアーツールへ供給するようにした圧縮空気の除湿装置がある(例えば、特許文献5参照)。
【0012】
しかし、前記圧縮空気の除湿装置は、ボルテックスチューブで抽出した冷気を熱交換器に導入して、熱交換器に導入した高温高圧の圧縮空気に接触させているため、冷気の温度が上昇して容器に導入され、容器における混合気が高温を維持し、かつ水分を除去できないままエアーツールへ供給されるため、混合気の冷却乾燥効果が低く、管路が錆びたりエアーツールが機能低下し故障を起こし易いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第4789963号号公報
【特許文献2】特許第5467180号公報
【特許文献3】特開2002−239332号公報
【特許文献4】特許第6403703号号公報
【特許文献5】特開昭49−120449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明はこのような問題を解決し、例えば多量の圧縮空気を使用する生産工場等の使用に好適で、複数のボルテックスチューブ(vortex tube)を使用し、生成した圧縮空気を安価かつ合理的に冷却乾燥し、清浄で安全な圧縮空気をエアーツールへ供給し得るようにした、圧縮空気の冷却乾燥方法およびその冷却乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明は、生成した圧縮空気をボルテックスチューブに導入して冷気と暖気を発生させ、前記ボルテックスチューブの両端部に冷気導管と暖気導管の一端部を接続し、それらの他端部を前置混合容器の端部に接続し、冷気と暖気を前置混合容器内に導入し、前置混合容器内の冷気導管の周面に水蒸気を凝結して暖気を除湿かつ冷却し、該暖気を前記冷気と共に前置混合容器外の混合容器に導入して調製し、該調製空気を下流のエアーツールへ供給する圧縮空気の冷却乾燥方法において、圧縮空気を貯留するエアータンクと前置混合容器との間に複数のボルテックスチューブを配置し、各ボルテックスチューブの冷気と暖気を一または複数の前置混合容器内に導入するとともに、前置混合容器内の冷気導管の下流側端部を開口し、前置混合容器内に導入した暖気を冷気導管から噴出した冷気に混合し、該混合気を前置混合容器内の上方へ移動し、該混合気を前置混合容器の上部から外部の混合容器へ導入して調製空気を作製して、混合気を前置混合容器内で一様かつ十分に混合し、該混合気を前置混合容器の上部から外部の混合容器へ導入して調製空気を作製し、エアーツールに対し一様で安全な調製空気を多量に供給し得るようにして、多量の圧縮空気を使用する生産工場の使用に好適にしている。
【0016】
請求項2の発明は、各ボルテックスチューブに発生した冷気と暖気を前置混合容器の上下端部に導入し、えば暖気を下端部から導入し対流によって上動させて、前置混合容器内における暖気と冷気の混合を促し、前置混合容器の上部から外部の混合容器への導入を合理的かつ容易に行なうようにしている。
請求項3の発明は、各ボルテックスチューブに発生した冷気と暖気を一の前置混合容器内に集約して導入し、多数のボルテックスチューブを使用して、生成した圧縮空気を多量かつ合理的に除湿かつ冷却し、エアーツールに対し安全な調製空気を供給し得るようにしている。
請求項4の発明は、ボルテックスチューブに発生した冷気と暖気を前置混合容器内に導入し、前置混合容器内に扁平な中空の複数のクーリングチャンバを連通させて上下に離間して配置し、該クーリングチャンバにボルテックスチューブに発生した冷気を上方から導入し、最下位置のクーリングチャンバを開口するとともに、前置混合容器内の下部から暖気を導入し、前置混合容器内のクーリングチャンバの周面に水蒸気を凝結して除湿かつ冷却するとともに、前記暖気をクーリングチャンバから噴出した冷気に混合させ、この混合気を前置混合容器内の上方へ移動し、該混合気を前置混合容器の上部から外部の混合容器へ導入して調製空気を作製し、混合気を前置混合容器内で一様かつ十分に混合し、多量の調製空気を安価かつ合理的に得られるようにしている。
【0017】
請求項5の発明は、生成した圧縮空気をボルテックスチューブに導入して冷気と暖気を発生可能に設け、前記ボルテックスチューブの両端部に冷気導管と暖気導管の一端部を接続し、それらの他端部を前置混合容器の端部に接続し、前記冷気と暖気を前置混合容器内に導入可能に設け、前置混合容器内の冷気導管の周面に水蒸気を凝結して暖気を除湿かつ冷却し、該暖気を前記冷気と共に前置混合容器外の混合容器に導入して調製可能に設け、該調製空気を下流のエアーツールへ供給可能に設けた圧縮空気の冷却乾燥装置において、圧縮空気を貯留可能なエアータンクと前置混合容器との間に複数のボルテックスチューブを配置し、各ボルテックスチューブの冷気と暖気を一または複数の前置混合容器内に導入するとともに、前置混合容器内の冷気導管の下流側端部を開口し、前置混合容器内に導入した暖気を冷気導管から噴出した冷気に混合可能に設け、該該混合気を前置混合容器内の上方へ移動可能に設け、該混合気を前置混合容器の上部から外部の混合容器へ導入して調製空気を作製可能に設け、混合気を前置混合容器内で一様かつ十分に混合し、エアーツールに対し一様で安全な調製空気を多量に供給し得るようにして、多量の調製空気を使用する生産工場の使用に好適にしている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明は、圧縮空気を貯留するエアータンクと前置混合容器との間に複数のボルテックスチューブを配置し、各ボルテックスチューブの冷気と暖気を一または複数の前置混合容器内に導入するとともに、前置混合容器内の冷気導管の下流側端部を開口し、前置混合容器内に導入した暖気を冷気導管から噴出した冷気に混合し、該混合気を前置混合容器内の上方へ移動し、該混合気を前置混合容器の上部から外部の混合容器へ導入して調製空気を作製するから、混合気を前置混合容器内で一様かつ十分に混合し、該混合気を前置混合容器の上部から外部の混合容器へ導入して調製空気を作製し、エアーツールに対し一様で安全な調製空気を多量に供給することができ、多量の圧縮空気を使用する生産工場の使用に好適な効果がある。
【0019】
請求項2の発明は、各ボルテックスチューブに発生した冷気と暖気を前置混合容器の上下端部から導入し、例えば暖気を下端部から導入し対流によって上動させて、前置混合容器内における暖気と冷気の混合を促し、前置混合容器の上部から外部の混合容器への導入を合理的かつ容易に行なうことができる。
請求項3の発明は、各ボルテックスチューブに発生した冷気と暖気を一の前置混合容器内に集約して導入するから、多数のボルテックスチューブを使用して、生成した圧縮空気を量産かつ合理的に除湿かつ冷却し、エアーツールに対し安全な調製空気を供給することができる。
請求項4の発明は、ボルテックスチューブに発生した冷気と暖気を前置混合容器内に導入し、前置混合容器内に扁平な中空の複数のクーリングチャンバを連通させて上下に離間して配置し、該クーリングチャンバにボルテックスチューブに発生した冷気を上方から導入し、最下位置のクーリングチャンバを開口するとともに、前置混合容器内の下部から暖気を導入し、前置混合容器内のクーリングチャンバの周面に水蒸気を凝結して除湿かつ冷却するとともに、前記暖気をクーリングチャンバから噴出した冷気に混合させ、この混合気を前置混合容器内の上方へ移動し、該混合気を前置混合容器の上部から外部の混合容器へ導入して調製空気を作製し、混合気を前置混合容器内で一様かつ十分に混合し、多量の調製空気を安価かつ合理的に得られる効果がある。
【0020】
請求項5の発明は、圧縮空気を貯留可能なエアータンクと前置混合容器との間に複数のボルテックスチューブを配置し、各ボルテックスチューブの冷気と暖気を一または複数の前置混合容器内に導入するとともに、前置混合容器内の冷気導管の下流側端部を開口し、前置混合容器内に導入した暖気を冷気導管から噴出した冷気に混合可能に設け、該該混合気を前置混合容器内の上方へ移動可能に設け、該混合気を前置混合容器の上部から外部の混合容器へ導入して調製空気を作製可能にたから、混合気を前置混合容器内で一様かつ十分に混合し、エアーツールに対し一様で安全な調製空気を多量に供給することができ、多量の調製空気を使用する生産工場の使用に好適な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施形態の概要を示す正面図で、一部を断面図示している。
図2図2の平面図である。
図3】本発明の第2の実施形態の概要を示す正面図で、一部を断面図示している。
図4】本発明の第3の実施形態の要部を拡大して示す平面図である。
図5】本発明の第4の実施形態の要部の概要を示す正面図で、一部を断面図示している。
図6図5のA−A線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を図示の実施形態について説明すると、図1および図2において1はエアーコンプレッサ、2はエアーコンプレッサ1で生成した圧縮空気を貯留するエアータンクで、これらを空気導管3で接続しており、このエアータンク2の他側周面に複数、実施形態では2本の伝熱管4a,4bの一端が突設され、その他側端にエアータンク2の周囲に配置した2つのボルテックスチューブ5a,5bを接続している。
実施形態では、生産工場で多用されている0.7MPa以上の圧縮空気をエアーコンプレッサ1で生成し、これをエアータンク2からボルテックスチューブ5a,5bへ導入している。
【0023】
前記ボルテックスチューブ5a,5bは実質的に同一の中空筒状に形成され、その各両端部に冷気抽出口6a,6bと暖気抽出口7a,7bとが設けられ、これらに冷気通路、実施形態では冷気導管8aと暖気導管9aの一端が接続され、また冷気導管10aと暖気導管11aの一端が接続され、それらの他端を2つの前置混合容器12a,12bの上下端部に導入している。
【0024】
前記前置混合容器12a,12bは同様な中空筒体に形成され、その上端部に冷気導管8a,10aが挿入され、下端部に暖気導管9a,11aが挿入されている。
前記冷気導管8a,10aは、前置混合容器12a,12b内に導入後、コイル状に複数捲回され、そのコイル状部13a,13bの下端部を前置混合容器12a,12b内の下部側方に開口して、冷気を吹き出し可能にしている。
前記冷気は吹き出し後、前置混合容器12a,12b内の下部に滞留し、後述する暖気に押し動かされて、前置混合容器12a,12b内を上動するようにしている。
【0025】
一方、前記暖気導管9a,11aは前置混合容器12a,12b内の底部から突出して配管され、その管端部から暖気を上方へ吹き出し可能にされている。
前記暖気は吹き出し後、吹き出された冷気と混合し、対流によって前置混合容器12a,12b内を上方へ移動するとともに、冷気導管8a,10aと接触して、その表面に水蒸気を凝結させて除湿かつ冷却するようにしている。
前記除湿後の暖気の液滴は冷気導管8a,10aに沿って流下し、前置混合容器12a,12b内の底部にドレン14となって滞留し、オートドレン15または簡易ドレンによって除去するようにしている。
【0026】
こうして暖気は水蒸気を除去されて除湿され、かつ冷気導管8a,10aと接触し冷気と混合して次第に降温し、前置混合容器12a,12b内の上部に移動したところで、周面に設けた出口部16a,16bから混合管17a,17bへ送り出され、混合容器18へ導入可能にされている。
前記混合容器18は前置混合容器12a,12bの外側の等距離位置に配置され、各前置混合容器12a,12bで除湿かつ冷却された混合気が導入され、これらを一様に混合し、その調整空気を供給導管19を介してエアーツール20へ供給可能にしている。
【0027】
このように構成した本発明の圧縮空気の冷却乾燥方法およびその冷却乾燥装置は、同様な複数のボルテックスチューブ5a,5bを使用し、これを伝熱管4a,4bを介してエアータンク2に装着する。
各ボルテックスチューブ5a,5bの冷気抽出口6a,6bと暖気抽出口7a,7bに、冷気導管8aと暖気導管9a、および冷気導管10aと暖気導管11aを接続し、それらの端部を前置混合容器12a,12bの上下端部に接続する。
【0028】
そして、冷気導管8a,10aを前置混合容器12a,12b内にコイル状に捲回し、その下端部を開口するとともに、暖気導管9a,11aを前置混合容器12a,12bの底部に挿入して上方へ開口する。
すなわち、各前置混合容器12a,12b内に冷気導管8aと暖気導管9a、および冷気導管10aと暖気導管11aを開口し、冷気と暖気を混合可能に配置する。
各前置混合容器12a,12bの外側の等距離位置に混合容器18を配置し、該混合容器18に供給導管19を接続し、エアーツール20へ接続する。
【0029】
次に、エアータンク2から伝熱管4a,4bに導入された圧縮空気は、ボルテックスチューブ5a,5bの各冷暖気抽出口6a,6b、冷暖気抽出口7a,7bで冷気と暖気を発生し、これらが冷気導管8aと暖気導管9a、および冷気導管10aと暖気導管11aに導かれて、各前置混合容器12a,12b内に導入され、各開口部から吹き出される。
【0030】
その際、前記暖気は対流によって前置混合容器12a,12b内を上昇し、前記吹き出された冷気と接触して移動するとともに、冷気導管8a,10aの周面に水蒸気を凝結して除湿かつ冷却され、その液滴を冷気導管8a,10aに沿って流下し、前置混合容器12a,12b内の底部にドレン14として滞留する。
【0031】
こうして前置混合容器12a,12b内に導入された冷気と暖気は、当初の圧縮空気以下で、除湿かつ冷却され、これらが混合管17a,17bへ送り出されて、混合容器18へ導入されて合流する。
したがって、前置混合容器12a,12bによって、多量の除湿かつ冷却空気が非電力で生成され、安価かつ合理的に得られる。この後、前置混合容器12a,12bで生成された圧縮空気は、混合管17a,17bへ送り出されて混合容器18で一様に混合して合流し、エアーツール20へ供給される。
【0032】
図3乃至図6は本発明の他の実施形態を示し、前述の構成と対応する部分に同一の符号を用いている。
このうち、図3は本発明の第2の実施形態を示し、この実施形態は暖気導管9aを前置混合容器12aの底部に導入する代わりに、前置混合容器12aの上部に導入し、冷気と暖気を同側から導入して暖気の除湿と冷却を速やかに行ない、除湿かつ冷却空気を非電力で多量に生成し、これを安価かつ合理的に得られるようにしている。
【0033】
図4は本発明の第3の実施形態を示し、この実施形態はエアータンク2の周面に4本の伝熱管4a〜4dを装着し、その他端に4本の同様なボルテックスチューブ5a〜5dを配置し、各ボルテックスチューブ5a〜5dの両端部に、冷気導管8a,10a,14a,18aと、暖気導管9a,11a,15a,21aを接続し、それらの他端部を前置混合容器22aの上下端部に配管している。
【0034】
前置混合容器22aは、大径の有底中空の筒体に形成され、その内部に冷気導管8a,10a,14a,18aに連通するコイル状部13a〜13dが配置され、各コイル状部13a〜13dの下端部を開口して冷気を吹き出し可能にしている。
前記コイル状部13a〜13dの直下に暖気導管9a,11a,15a,21aが突出して配管され、その管端部を開口して暖気を上方に吹き出し可能にしている。
【0035】
そして、冷気導管8a,10a,14a,18aと、暖気導管9a,11a,15a,21aとから吹き出された圧縮空気を前置混合容器22a内で混合し、これを前置混合容器22aの上部から供給導管19へ送り出し、エアーツール20へ供給するようにしている。
【0036】
この実施形態は、複数のボルテックスチューブ5a〜5dで抽出した冷暖気を単一の前置混合容器22a内に集約して混合し、これを前置混合容器22aの上部から供給導管19へ送り出し、エアーツール20へ供給するようにして、構成の簡潔化と配管の合理化を図るようにしている。
【0037】
図5および図6は本発明の第4の実施形態を示し、この実施形態は前置混合容器12a内に冷気導管8aをコイル状に捲回して配置する代わりに、扁平な中空円筒状のクーリングチャンバ23を複数離間して配置し、それらの間に支持脚24を介在して支持するとともに、上下のクーリングチャンバ23の間に導管25を連通させて冷気を給排可能にしている。
図中、26は前置圧力容器12a内の底部に固定した堅牢なリング状の支持板で、その上面に前記支持脚24を設置している。
【0038】
この実施形態は、最上段のクーリングチャンバ23に冷気を導入し、これを導管25を介して下段のクーリングチャンバ23へ順次送り、各チャンバ23の周面を冷却し、その周面に暖気中の水蒸気を凝結させて、除湿ないし乾燥を図るようにしている。
【産業上の利用可能性】
【0039】
このように本発明の圧縮空気の冷却乾燥方法およびその冷却乾燥装置は、例えば多量の圧縮空気を使用する生産工場等の使用に好適で、ボルテックスチューブ(vortex tube)を使用した新規な圧縮空気の冷却乾燥方法とその冷却乾燥装置エアードライヤを提案し、非電力使用で圧縮空気中の水蒸気を安価かつ合理的に冷却乾燥するようにしている。
【符号の説明】
【0040】
5a,5b,5c,5d ボルテックスチューブ
8a 冷気通路(冷気導管)
9a 暖気通路(暖気導管)
12a,12b 前置混合容器
22a 前置混合容器
23 クーリングチャンバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6