【実施例1】
【0015】
本発明に係るロータリーミキサーは、
図1〜4に示す様に、プラスチック製のハウジング1と、並列配置されたプラスチック製の中央の駆動ローター2及び該駆動ローター2と同径の両側の従動ローター3、3aと、プラスチック製の蓋体4とを有している。
【0016】
ハウジング1は、
図5(a)及び
図5(b)に示す様に、蓋体4の収容空間6を、混合空間5における長手幅より直径が大径で、混合空間5の中心と同心の偏平円筒空間としている。
混合空間5は、
図3に示す様に、駆動ローター2及び従動ローター3、3aより若干大径な3つの円筒空間17、18、18a の一部を重ねて並列配置して形成している。
【0017】
駆動ローター2は、
図6に示す様に、180度右旋回状態の2条の螺旋翼部材20、20a を有する3個の左回り螺旋状エレメント21、21a 、21b と、180度左旋回状態の2条の螺旋翼部材22、22a を有する2個の右回り螺旋状エレメント23、23a とを、90°ずつ角度を変えて螺旋軸方向に交互に直列配置して一体化した駆動ローター本体8と、該駆動ローター本体8の上部の連結部9とを有している。
左回り螺旋状エレメント21、21a 、21b の螺旋翼部材20及び右回り螺旋状エレメント23、23a の螺旋翼部材22の集合体を一方の螺旋翼7とすると共に、左回り螺旋状エレメント21、21a 、21b の螺旋翼部材20a 及び右回り螺旋状エレメント23、23a の螺旋翼部材22a の集合体を他方の螺旋翼7aとしている。
【0018】
従動ローター3、3aは、
図6に示す様に、駆動ローター2の駆動ローター本体8と鏡面対称形状で、3個の右回り螺旋状エレメント23、23a 、23b 及び2個の左回り螺旋状エレメント21、21a だけで構成された従動ローター本体11だけで構成している。
右回り螺旋状エレメント23、23a 、23b の螺旋翼部材22及び左回り螺旋状エレメント21、21a の螺旋翼部材20の集合体を一方の螺旋翼10とすると共に、右回り螺旋状エレメント23、23a 、23b の螺旋翼部材22a 及び左回り螺旋状エレメント21、21a の螺旋翼部材20a の集合体を他方の螺旋翼10a としている。
【0019】
又、駆動ローター2は、駆動軸Sにより、最上段のエレメント(図面上、左回り螺旋状エレメント21)の螺旋方向とは逆位方向に回転し、これに伴い従動ローター3、3aも最上段のエレメント(図面上、右回り螺旋状エレメント23)の螺旋方向とは逆位方向に回転して、ハウジング1内に注入直後の薬液を一旦上方に押し上げることで、混合空間5の上部に空気溜まりが発生しない様にするのが好ましい。
【0020】
一方の薬液流入路13は、ハウジング1の外側面に入口を、混合空間5の中央上部に出口を設けた直線状の横穴で、混合空間5と収容空間6の境界段差部25における中央の円筒空間17の口縁部位形成した凹部26の立上げ面に出口を開口形成している。
他方の薬液流入路13a は、混合空間5と収容空間6の境界段差部25における凹部26の形成部位とは反対側の部位で、ハウジング1の内壁面と中央の円筒空間17との間に形成した凹部27と、ハウジング1の一方の薬液流入路13の入口とは反対側に入口を、凹部27に出口を形成した直線状の横穴28と、境界段差部25における凹部27の両側部より両側の円筒空間18、18a に至る様に形成した溝29、29a と、境界段差部25に密着する蓋体4とで形成している。
又、他方の凹部27における横穴28の出口の形成面との対向面に水平断面三角形状の分流突出部30を形成して、横穴28から凹部27内に流入した他方の薬液を分流させ易くしている。
混合液流出路14は、ハウジング1の下部中央に下方突設したノズル取付部31を縦貫形成して、混合空間5内の混合液を外部吐出可能にしている。
【0021】
蓋体4の貫通孔12の中間部にOリング34用の溝35を形成し、該溝35内に収容したOリング34を弾性変形状態で連結部9の外周面に密着させることで、駆動ローター2が回転可能なまま薬液に対するシール機能を保持可能にしている。
【0022】
蓋体4は、収容空間6に嵌め込んだ状態で、境界段差部25及びハウジング1の内面に密着させている。
【0023】
尚、駆動ローター本体8及び従動ローター本体11は、複数個の左回り螺旋状エレメント21、21a …及び右回り螺旋状エレメント23、23a …の複合体とするのが望ましいが、例えば、図示しないが、上下方向全体にわたって連続的に一体形成された螺旋翼を有した単体のものであっても良い。
【0025】
次に、本発明に係るロータリーミキサーの作用について説明する。
駆動ローター2を回転させると、これに従い従動ローター3、3aが逆方向に回転し、ハウジング1の薬液流入路13、13a の入口に接続された薬液圧送手段(図示せず)により圧送された2種類の薬液が混合空間5で合流する。
具体的には、一方の薬液流入路13より一方の凹部26を介して中央の円筒空間17に上方より一方の薬液を、他方の薬液流入路13a を構成する横穴28、他方の凹部27及び溝29、29a を介して側方の円筒空間18、18a に上方より他方の薬液を注入する。
薬液圧送手段(図示せず)による薬液の圧送継続により合流薬液は、混合空間5内に充満した状態で回転する駆動ローター2及び従動ローター3、3aを内装したハウジング1内を通過して、該ハウジング1内を先端に向かって流れ、その過程で1本の駆動ローター2及び2本の従動ローター3、3aの計3本で2種類の薬液が効率的に混合されて硬化が効率よく進行し、化学反応を起こして硬化開始し、ハウジング1の先端に装置された吐出ノズル7より硬化樹脂が押出されて、種々の用途に使用する。
【0026】
駆動ローター2及び従動ローター3、3aにあっては、所謂「スタティックミキサー」の内部エレメントに似た形状を呈しており、この形状にすることで、混合液の撹拌混合効率が向上する。
又、駆動ローター2は、最上段のエレメント(図面上、右回り螺旋状エレメント21)の螺旋方向とは逆位方向に回転し、これに伴い従動ローター3、3aも最上段のエレメント(図面上、左回り螺旋状エレメント23)の螺旋方向とは逆位方向に回転することで、ハウジング1内に注入直後の薬液を一旦上方に押し上げることにより、混合空間5の上部に空気溜まりが発生せず、停止後の残存薬液が勢い良く外部流出しない様にするのが好ましい。
【0027】
又、本発明に係るロータリーミキサーにあっては、硬化性樹脂の注入作業終了後に取り外して廃棄処分する無洗浄式として使用することを想定しているが、洗浄して再使用する洗浄式としても使用可能である。
【0028】
本発明に係るミキサー(新型ミキサー)と従来型ミキサーの比較実験を行った。
新型ミキサーは、5個のエレメントを備えた1本駆動ローター及び2本の従動ローターを有し、各ローターは直径6mm、長さ17.5mmとしている。
従来型ミキサーは、本願出願人である日本ソセー工業株式会社製の商品名『WONDER MIX SNP−M』(メインローターの直径18mm、長さ52mm)を使用した。
混合対象物は、6.8Pa・sの水あめ水溶液で、一方の薬液を、ヨウ素ヨウ化カリウム水溶液で着色した水あめ水溶液とし、他方の薬液を、チオ硫酸ナトリウムを溶解させた水あめ水溶液とし、供給量は各々0.25cc/sで合計0.5cc/sとした。
【0029】
ミキサーの回転数は100rpmとして、脱色法により装置内の混合過程を可視化した結果、新型ミキサーは2液の入口付近で混合液が透明となり混合が完了したが、従来型ミキサーは混合操作終了後の出口でも若干ヨウ素の色が残っており、混合が完了しなかった。
【0030】
一般に、ミキサー内での層流混合は無次元混合時間(混合完了までの時間と装置の回転数の積である総回転数)によって評価されるが、本実験では同じ流量で評価されるため、同一回転数で評価したならば、ミキサー内での入口からの距離で混合を評価することが可能となる。
したがって、新型ミキサーがより優れていると考えられる。