特許第6986762号(P6986762)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6986762二液混合型注入機におけるロータリーミキサー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986762
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】二液混合型注入機におけるロータリーミキサー
(51)【国際特許分類】
   B01F 7/24 20060101AFI20211213BHJP
   B01F 3/08 20060101ALI20211213BHJP
   B01F 15/02 20060101ALI20211213BHJP
   B01F 15/00 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   B01F7/24
   B01F3/08 Z
   B01F15/02 A
   B01F15/00 C
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-37677(P2019-37677)
(22)【出願日】2019年3月1日
(65)【公開番号】特開2020-138182(P2020-138182A)
(43)【公開日】2020年9月3日
【審査請求日】2020年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】391050145
【氏名又は名称】日本ソセー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073287
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 聞一
(72)【発明者】
【氏名】森川 議博
(72)【発明者】
【氏名】加藤 禎人
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−202438(JP,A)
【文献】 特開2008−221536(JP,A)
【文献】 特開2008−068206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 7/24
B01F 7/00
B01F 15/02
B29B 7/76
B29C 39/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多液混合型注入機におけるヘッド部に固定されるロータリーミキサーであって、
ハウジング内に1本の駆動ローター及び2本の従動ローターを並列収容し、前記ハウジングの上方開口部を蓋体で閉鎖し、前記ハウジングは、前記駆動ローター及び前記従動ローターを収容する混合空間を有し、該混合空間は、前記駆動ローター及び前記従動ローターを収容する3つの円筒空間の一部を重ねて並列配置して形成し、前記ハウジングの上部に前記混合空間の上部に出口を開口形成する2本の薬液流入路を形成すると共に、前記ハウジングの下部に混合液の流出路を形成し、前記混合空間は、前記駆動ローター及び前記従動ローターを回転可能とし、且つ前記駆動ローター及び前記従動ローターの位置を規制可能に形成し、前記駆動ローターは、螺旋翼を有する駆動ローター本体と、該駆動ローター本体の上部に一体形成した、前記蓋体を貫通した連結部とを有し、前記従動ローターは、螺旋翼を有する従動ローター本体のみで構成し、この螺旋翼は前記駆動ローターの螺旋翼と同ピッチで逆巻きとし、前記蓋体は前記混合空間の上方開口部を閉鎖し、中央に前記連結部の貫通孔を形成し、前記駆動ローターと前記従動ローターを噛み合わせることで、前記従動ローターの下端を前記混合空間の底部より上方に、上端を前記蓋体の下面より下方に位置させた状態で、前記駆動ローターの回転に伴い、前記従動ローターを定位置で逆方向に回転可能とし、前記薬液流入路の一方は、前記ハウジングの外側面の入口より混合空間における前記駆動ローターが収容された円筒空間の上部で開口する出口に到達可能に形成し、前記薬液流入路の他方は、前記ハウジングの外側面の入口より、下流側が2分岐して、前記混合空間における前記従動ローターが収容された円筒空間の上部で開口する出口に到達可能に形成したことを特徴とするロータリーミキサー。
【請求項2】
前記駆動ローター本体及び従動ローター本体は、右回り螺旋状エレメントと左回り螺旋状エレメントを、螺旋中心軸を揃えて交互に直列一体化した形状に形成し、前記駆動ローター本体と前記従動ローター本体は同段のエレメントの螺旋方向を逆にしたことを特徴とする請求項1記載のロータリーミキサー。
【請求項3】
前記駆動ローターの回転方向を、最上段の螺旋状エレメントの旋回方向とは逆方向としたことを特徴とする請求項2記載のロータリーミキサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注型、成形、塗装等において、2種類の薬液を混合して吐出する多液混合型注入機におけるロータリーミキサーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1本の駆動ローター及び複数本の従動ローターを備えた、2種類の流体を混合するミキサーとしては、1本の“central spindle”(以降、駆動ローターと称する)及び12本の“planet spindles”(以降、従動ローターと称する)を有し、“housing”(以降、ハウジングと称する)の上部に形成した“bore 19、26”(以降、薬液流入路と称する)より“chamber”(以降、混合空間と称する)に2種類の流体を注入し、混合流体をハウジングの下部から吐出させるものであったり(例えば、特許文献1参照)、或いは1本の“drive shaft“(以降、駆動ローターと称する)及び10本の“conveying shafts”(以降、従動ローターと称する)を有し、“housing”(以降、ハウジングと称する)の上部に形成した“feed aperture”(以降、薬液流入路と称する)及びflange”(以降、薬液流入路と称する)より“chamber”(以降、混合空間と称する)に2種類の流体を注入し、混合流体をハウジングの下部から吐出させるもの(例えば、特許文献2参照)が見受けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5106198号明細書
【特許文献2】米国特許第5108711号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術にあっては、駆動ローターと、該駆動ローターに噛み合う従動ローターが所謂「遊星歯車機構」であることから、ハウジングには内歯車(特許文献1のFig.4の“10a′”及び特許文献2のFig.3の“24”参照)を形成せねばならず、ハウジングの構造が複雑化するなど、解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記従来技術に基づく、遊星歯車機構でハウシングに内歯車が必要となる課題に鑑み、ハウジング内に1本の駆動ローター及び2本の従動ローターを並列収容し、前記ハウジングの上方開口部を蓋体で閉鎖し、前記ハウジングは、前記駆動ローター及び前記従動ローターを収容する混合空間を有し、該混合空間は、前記1本の駆動ローター及び前記2本の従動ローターを収容する3つの円筒空間の一部を重ねて並列配置して形成し、前記ハウジングの上部に前記混合空間の上部に出口を開口形成する2本の薬液流入路を形成すると共に、前記ハウジングの下部に混合液の流出路を形成し、前記混合空間は、前記駆動ローター及び前記従動ローターを回転可能とし、且つ前記駆動ローター及び前記従動ローターの位置を規制可能に形成し、前記駆動ローターは、螺旋翼を有する駆動ローター本体と、該駆動ローター本体の上部に一体形成した、前記蓋体を貫通した連結部とを有し、前記従動ローターは、螺旋翼を有する従動ローター本体のみで構成し、この螺旋翼は前記駆動ローターの螺旋翼と同ピッチで逆巻きとし、前記蓋体は前記混合空間の上方開口部を閉鎖し、中央に前記連結部の貫通孔を形成し、前記駆動ローターと前記従動ローターを噛み合わせることで、前記従動ローターの下端を前記混合空間の底部より上方に、上端を前記蓋体の下面より下方に位置させた状態で、前記駆動ローターの回転に伴い、前記従動ローターを定位置で逆方向に回転可能とし、前記薬液流入路の一方は、前記ハウジングの外側面の入口より混合空間における前記駆動ローターが収容された円筒空間の上部で開口する出口に到達可能に形成し、前記薬液流入路の他方は、前記ハウジングの外側面の入口より、下流側が2分岐して、前記混合空間における前記従動ローターが収容された円筒空間の上部で開口する出口に到達可能に形成したことによって、従動ローターの混合空間内での収容姿勢を維持する手段をハウジングに講じなくても、駆動ローターに噛み合わせて混合空間内に収容するだけで、従動ローターを定位置で回転可能にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
要するに本発明は、ハウジング内に1本の駆動ローター及び2本の従動ローターを並列収容し、前記ハウジングの上方開口部を蓋体で閉鎖し、前記ハウジングは、前記駆動ローター及び前記従動ローターを収容する混合空間を有し、該混合空間は、前記駆動ローター及び前記従動ローターを収容する3つの円筒空間の一部を重ねて並列配置して形成し、前記ハウジングの上部に前記混合空間の上部に出口を開口形成する2本の薬液流入路を形成すると共に、前記ハウジングの下部に混合液の流出路を形成し、前記混合空間は、前記駆動ローター及び前記従動ローターを回転可能とし、且つ前記駆動ローター及び前記従動ローターの位置を規制可能に形成し、前記駆動ローターは、螺旋翼を有する駆動ローター本体と、該駆動ローター本体の上部に一体形成した、前記蓋体を貫通した連結部とを有し、前記従動ローターは、螺旋翼を有する従動ローター本体のみで構成し、この螺旋翼は前記駆動ローターの螺旋翼と同ピッチで逆巻きとし、前記蓋体は前記混合空間の上方開口部を閉鎖し、中央に前記連結部の貫通孔を形成したので、特許文献1のものが、従動ローターとハウジングの内壁面との間が広く、従動ローター周辺の合流薬液しか混合出来ず、特許文献2のものが、仮に従動ローターだけで混合可能としても、複数個の薬液流入路が混合空間の下方部位に形成されているために、合流薬液を混合空間の下方領域でしか混合出来ないことから、特許文献1、2のものでは、混合空間に注入された2種類の薬液をハウジングの下部から吐出させる前までに均一に混合できず、均質な混合液が得られないのに対し、本願のものは、3本のローターで混合空間内に充満状態で上方から下方へ圧送される2種類の薬液を確実に撹拌混合することが出来ることから、効率的に混合することが出来て硬化を効率よく進行させることが出来るため、適正量で最適な材質から成る製品を製造することが出来る。
前記混合空間は、前記駆動ローター及び前記従動ローターを回転可能とし、且つ前記駆動ローター及び前記従動ローターの位置を規制可能に形成し、前記駆動ローターと前記従動ローターを噛み合わせることで、前記従動ローターの下端を前記混合空間の底部より上方に、上端を前記蓋体の下面より下方に位置させた状態で、前記駆動ローターの回転に伴い、前記従動ローターを定位置で逆方向に回転可能としたので、駆動ローターに噛み合わせて混合空間内に収容するだけで、従動ローターを定位置で回転可能とすることが出来るため、従動ローターの混合空間内での収容姿勢を維持する手段を不要とすることが出来、ハウジングの形状を単純化することが出来る。
【0007】
前記薬液流入路の一方は、前記ハウジングの外側面の入口より混合空間における前記駆動ローターが収容された円筒空間の上部で開口する出口に到達可能に形成し、前記薬液流入路の他方は、前記ハウジングの外側面の入口より、下流側が2分岐して、前記混合空間における前記従動ローターが収容された円筒空間の上部で開口する出口に到達可能に形成したので、2種類の薬液を混合空間全体に瞬時に行き渡らせて3本のローターで混合することが出来るため、2種類の薬液を更に確実に撹拌混合することが出来る。
【0008】
前記駆動ローター本体及び従動ローター本体は、右回り螺旋状エレメントと左回り螺旋状エレメントを、螺旋中心軸を揃えて交互に直列一体化した形状に形成し、前記駆動ローター本体と前記従動ローター本体は同段のエレメントの螺旋方向を逆にしたので、合流薬液が駆動ローター本体及び従動ローター本体を通過する際に、分割、転換、反転作用が加わって、更に効率的に混合することが出来る。
前記駆動ローターの回転方向を、最上段の螺旋状エレメントの旋回方向とは逆方向としたので、ハウジング内に注入直後の薬液を一旦上方に押し上げることにより、混合空間の上部に空気溜まりが発生しないため、停止後に混合空間内に残存した合流薬液が勢い良く外部流出せず、現場環境を良好に保つことが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るロータリーミキサーの中央縦断面図である。
図2図1のロータリーミキサーの中央横断面図である。
図3図1のロータリーミキサーの水平断面端面図である。
図4図1のロータリーミキサーの蓋体を外した状態の平面図である。
図5(a)】ハウジングの中央縦断面図である。
図5(b)】ハウジングの中央横断面図である。
図6】駆動ローター及び従動ローターの正面図である。
図7】本発明に係るロータリーミキサーの実施例3の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明にロータリーミキサーは、図7に示す様に、2液混合型注入機Aにおけるヘッド部Bに固定され、基本的には、ハウジング1と、該ハウジング1内に並列して収容される1本の駆動ローター2及び2本の従動ローター3、3aと、ハウジング1の上方開口部を閉鎖する蓋体4とを有している。
【0011】
ハウジング1は、駆動ローター2及び従動ローター3、3aを収容する混合空間5と、蓋体4の収容空間6とを有している。
混合空間5は、駆動ローター2及び従動ローター3、3aを回転可能とし、且つ駆動ローター2及び従動ローター3、3aの位置を規制可能に形成している。
【0012】
駆動ローター2は、螺旋翼7(、7a)を有する駆動ローター本体8と、該駆動ローター本体8の上部に一体形成した、蓋体4を貫通してヘッド部(図示せず)側の駆動軸Sの下端に連結可能な連結部9とを有している。
各従動ローター3、3aは、螺旋翼10(、10a )を有する従動ローター本体11のみで構成し、該従動ローター本体11は駆動ローター本体8と鏡面対称形状で、螺旋翼10(、10a )は駆動ローター2の螺旋翼7(、7a)と同ピッチで逆巻きとし、両者を噛み合わせることで、駆動ローター2の回転に伴い、従動ローター3、3aを逆方向に回転可能にしている。
【0013】
蓋体4は、収容空間6に嵌め込まれて、混合空間5の上方開口部を閉鎖し、中央に駆動ローター2の連結部9の貫通孔12を形成している。
【0014】
ハウジング1の上部に、混合空間5における上部に出口を開口する2本の薬液の流入路13、13a を形成し、ハウジング1の下部に、混合液の流出路14を形成している。
一方の薬液流入路13は、ハウジング1の外側面の入口より混合空間5の上部中央の出口に至る様に形成して、一方の薬液を混合空間5における駆動ローター2の領域に上部より薬液を注入可能にし、他方の薬液流入路13a はハウジング1の外側面の入口より、下流側が2分岐して、混合空間5の上部両側の出口に至る様に形成して、他方の薬液を混合空間5における従動ローター3、3aの領域に上部より薬液を注入可能にして、2種類の薬液を混合空間5に充満させた状態で駆動ローター2及び従動ローター3、3aにより混合可能としている。
【実施例1】
【0015】
本発明に係るロータリーミキサーは、図1〜4に示す様に、プラスチック製のハウジング1と、並列配置されたプラスチック製の中央の駆動ローター2及び該駆動ローター2と同径の両側の従動ローター3、3aと、プラスチック製の蓋体4とを有している。
【0016】
ハウジング1は、図5(a)及び図5(b)に示す様に、蓋体4の収容空間6を、混合空間5における長手幅より直径が大径で、混合空間5の中心と同心の偏平円筒空間としている。
混合空間5は、図3に示す様に、駆動ローター2及び従動ローター3、3aより若干大径な3つの円筒空間17、18、18a の一部を重ねて並列配置して形成している。
【0017】
駆動ローター2は、図6に示す様に、180度右旋回状態の2条の螺旋翼部材20、20a を有する3個の左回り螺旋状エレメント21、21a 、21b と、180度左旋回状態の2条の螺旋翼部材22、22a を有する2個の右回り螺旋状エレメント23、23a とを、90°ずつ角度を変えて螺旋軸方向に交互に直列配置して一体化した駆動ローター本体8と、該駆動ローター本体8の上部の連結部9とを有している。
左回り螺旋状エレメント21、21a 、21b の螺旋翼部材20及び右回り螺旋状エレメント23、23a の螺旋翼部材22の集合体を一方の螺旋翼7とすると共に、左回り螺旋状エレメント21、21a 、21b の螺旋翼部材20a 及び右回り螺旋状エレメント23、23a の螺旋翼部材22a の集合体を他方の螺旋翼7aとしている。
【0018】
従動ローター3、3aは、図6に示す様に、駆動ローター2の駆動ローター本体8と鏡面対称形状で、3個の右回り螺旋状エレメント23、23a 、23b 及び2個の左回り螺旋状エレメント21、21a だけで構成された従動ローター本体11だけで構成している。
右回り螺旋状エレメント23、23a 、23b の螺旋翼部材22及び左回り螺旋状エレメント21、21a の螺旋翼部材20の集合体を一方の螺旋翼10とすると共に、右回り螺旋状エレメント23、23a 、23b の螺旋翼部材22a 及び左回り螺旋状エレメント21、21a の螺旋翼部材20a の集合体を他方の螺旋翼10a としている。
【0019】
又、駆動ローター2は、駆動軸Sにより、最上段のエレメント(図面上、左回り螺旋状エレメント21)の螺旋方向とは逆位方向に回転し、これに伴い従動ローター3、3aも最上段のエレメント(図面上、右回り螺旋状エレメント23)の螺旋方向とは逆位方向に回転して、ハウジング1内に注入直後の薬液を一旦上方に押し上げることで、混合空間5の上部に空気溜まりが発生しない様にするのが好ましい。
【0020】
一方の薬液流入路13は、ハウジング1の外側面に入口を、混合空間5の中央上部に出口を設けた直線状の横穴で、混合空間5と収容空間6の境界段差部25における中央の円筒空間17の口縁部位形成した凹部26の立上げ面に出口を開口形成している。
他方の薬液流入路13a は、混合空間5と収容空間6の境界段差部25における凹部26の形成部位とは反対側の部位で、ハウジング1の内壁面と中央の円筒空間17との間に形成した凹部27と、ハウジング1の一方の薬液流入路13の入口とは反対側に入口を、凹部27に出口を形成した直線状の横穴28と、境界段差部25における凹部27の両側部より両側の円筒空間18、18a に至る様に形成した溝29、29a と、境界段差部25に密着する蓋体4とで形成している。
又、他方の凹部27における横穴28の出口の形成面との対向面に水平断面三角形状の分流突出部30を形成して、横穴28から凹部27内に流入した他方の薬液を分流させ易くしている。
混合液流出路14は、ハウジング1の下部中央に下方突設したノズル取付部31を縦貫形成して、混合空間5内の混合液を外部吐出可能にしている。
【0021】
蓋体4の貫通孔12の中間部にOリング34用の溝35を形成し、該溝35内に収容したOリング34を弾性変形状態で連結部9の外周面に密着させることで、駆動ローター2が回転可能なまま薬液に対するシール機能を保持可能にしている。
【0022】
蓋体4は、収容空間6に嵌め込んだ状態で、境界段差部25及びハウジング1の内面に密着させている。
【0023】
尚、駆動ローター本体8及び従動ローター本体11は、複数個の左回り螺旋状エレメント21、21a …及び右回り螺旋状エレメント23、23a …の複合体とするのが望ましいが、例えば、図示しないが、上下方向全体にわたって連続的に一体形成された螺旋翼を有した単体のものであっても良い。
【0025】
次に、本発明に係るロータリーミキサーの作用について説明する。
駆動ローター2を回転させると、これに従い従動ローター3、3aが逆方向に回転し、ハウジング1の薬液流入路13、13a の入口に接続された薬液圧送手段(図示せず)により圧送された2種類の薬液が混合空間5で合流する。
具体的には、一方の薬液流入路13より一方の凹部26を介して中央の円筒空間17に上方より一方の薬液を、他方の薬液流入路13a を構成する横穴28、他方の凹部27及び溝29、29a を介して側方の円筒空間18、18a に上方より他方の薬液を注入する。
薬液圧送手段(図示せず)による薬液の圧送継続により合流薬液は、混合空間5内に充満した状態で回転する駆動ローター2及び従動ローター3、3aを内装したハウジング1内を通過して、該ハウジング1内を先端に向かって流れ、その過程で1本の駆動ローター2及び2本の従動ローター3、3aの計3本で2種類の薬液が効率的に混合されて硬化が効率よく進行し、化学反応を起こして硬化開始し、ハウジング1の先端に装置された吐出ノズル7より硬化樹脂が押出されて、種々の用途に使用する。
【0026】
駆動ローター2及び従動ローター3、3aにあっては、所謂「スタティックミキサー」の内部エレメントに似た形状を呈しており、この形状にすることで、混合液の撹拌混合効率が向上する。
又、駆動ローター2は、最上段のエレメント(図面上、右回り螺旋状エレメント21)の螺旋方向とは逆位方向に回転し、これに伴い従動ローター3、3aも最上段のエレメント(図面上、左回り螺旋状エレメント23)の螺旋方向とは逆位方向に回転することで、ハウジング1内に注入直後の薬液を一旦上方に押し上げることにより、混合空間5の上部に空気溜まりが発生せず、停止後の残存薬液が勢い良く外部流出しない様にするのが好ましい。
【0027】
又、本発明に係るロータリーミキサーにあっては、硬化性樹脂の注入作業終了後に取り外して廃棄処分する無洗浄式として使用することを想定しているが、洗浄して再使用する洗浄式としても使用可能である。
【0028】
本発明に係るミキサー(新型ミキサー)と従来型ミキサーの比較実験を行った。
新型ミキサーは、5個のエレメントを備えた1本駆動ローター及び2本の従動ローターを有し、各ローターは直径6mm、長さ17.5mmとしている。
従来型ミキサーは、本願出願人である日本ソセー工業株式会社製の商品名『WONDER MIX SNP−M』(メインローターの直径18mm、長さ52mm)を使用した。
混合対象物は、6.8Pa・sの水あめ水溶液で、一方の薬液を、ヨウ素ヨウ化カリウム水溶液で着色した水あめ水溶液とし、他方の薬液を、チオ硫酸ナトリウムを溶解させた水あめ水溶液とし、供給量は各々0.25cc/sで合計0.5cc/sとした。
【0029】
ミキサーの回転数は100rpmとして、脱色法により装置内の混合過程を可視化した結果、新型ミキサーは2液の入口付近で混合液が透明となり混合が完了したが、従来型ミキサーは混合操作終了後の出口でも若干ヨウ素の色が残っており、混合が完了しなかった。
【0030】
一般に、ミキサー内での層流混合は無次元混合時間(混合完了までの時間と装置の回転数の積である総回転数)によって評価されるが、本実験では同じ流量で評価されるため、同一回転数で評価したならば、ミキサー内での入口からの距離で混合を評価することが可能となる。
したがって、新型ミキサーがより優れていると考えられる。
【符号の説明】
【0031】
1 ハウジング
2 駆動ローター
3、3a 従動ローター
4 蓋体
5 混合空間
7 螺旋翼
8 駆動ローター本体
9 連結部
10 螺旋翼
11 従動ローター本体
12 貫通孔
13、13a 流入路
14 流出路
21、21a … 左回り螺旋状エレメント
23、23a … 右回り螺旋状エレメント
A 多液混合型注入機
B ヘッド部
図1
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図6
図7