特許第6986764号(P6986764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986764
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】ラグスクリューボルトの連結方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 37/04 20060101AFI20211213BHJP
   E04B 1/48 20060101ALI20211213BHJP
   F16B 7/18 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   F16B37/04 T
   E04B1/48 E
   F16B7/18 D
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-220823(P2019-220823)
(22)【出願日】2019年12月6日
(65)【公開番号】特開2021-89053(P2021-89053A)
(43)【公開日】2021年6月10日
【審査請求日】2020年12月2日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 鉄構技術、第32巻、通巻378号、第22ページ、第48−49ページ、第50−51ページ、株式会社鋼構造出版、令和1年10月28日発行の刊行物により公開した。
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504170849
【氏名又は名称】株式会社トーネジ
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】岡部 昭
【審査官】 杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−044198(JP,A)
【文献】 特開2007−077611(JP,A)
【文献】 特開2013−014940(JP,A)
【文献】 特開2019−027022(JP,A)
【文献】 実公昭48−002909(JP,Y1)
【文献】 特開2000−074031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 37/04
E04B 1/48
F16B 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木・鋼ハイブリッド構造用の鋼材と木製床材を構成する直交集成板とを、ラグスクリューボルトと高力ボルトで連結するラグスクリューボルトの連結方法であって
ラグスクリューボルトは、直交集成板に開穿した下穴に埋設されるボルト本体の先端部側から後端部まで至るネジ山を有し、ボルト本体の後端部に形成された雌ネジ部に高力ボルト製の連結ボルトをねじ止めするラグスクリューボルトを使用し、
下穴の寸法を、ラグスクリューボルトのネジ山の谷径寸法と同径に形成し、ラグスクリューボルトの雌ネジ部に、雌ネジ部の径よりも小径のボルトで形成されたフランジ付のアタッチメントをねじ止めし、
該アタッチメントに締付工具を装着して直交集成板の連結端部にフランジが当接するまでラグスクリューボルトをねじ込み、
下穴に後端部までねじ込まれたラグスクリューボルトからアタッチメントを取り外した後、ラグスクリューボルトの後端部と直交集成板の連結端部とが鋼材に接する位置で鋼材とラグスクリューボルトとを連結ボルトで連結することを特徴とするラグスクリューボルトの連結方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RC造やS造に代わる直交集成板(CLT)を鋼材に連結する木・鋼ハイブリッド構造において、直交集成板と鋼材とを連結するのに好適なラグスクリューボルトの連結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
木製の直交集成板と鋼材を使用する木・鋼ハイブリッド構造は、RC造と同等の強度を持ち、RC造より数段軽量になるため、これまで不可能だった中高層ビルやスタジアム等への利用が可能になっている。海外では、直交集成板を使用した木・鋼ハイブリッド構造での高層建築なども完成している。
【0003】
このような木・鋼ハイブリッド構造でビル型建物を構築する場合、木製の直交集成板と鋼材との連結構造が極めて重要になっている。そのため、図7に示すように、鋼材Pの上面に頭なしのスタッド10を溶接し、このスタッド10を貫通させる貫通孔Q3を直交集成板Qに設けておき、この貫通孔Q3をスタッド10に合わせて直交集成板Qを落とし込み、スタッド10と貫通孔Q3との隙間にエポキシ樹脂11を充填して直交集成板Qと鋼材Pとを一体化する連結手段が採用されている。
【0004】
ところが、エポキシ樹脂の使用に課題があり、これを使用せずに連結する方法が求められている。すなわち、エポキシ樹脂を充填するには、養生作業や充填作業、さらに充填したエポキシ樹脂が硬化するまで待つ時間が必要になるなど、多くの手間や工期を必要とするものであった。しかも、エポキシ樹脂が高価であり、建築コストの増加も招いていた。
【0005】
そこで、鋼材に溶接するスタッドに代えて、図8に示すラグスクリューボルト20を使用する連結手段が研究された。このラグスクリューボルト20は、ボルトの後端部側に連結ボルトRを連結する雌ネジを形成した特殊なボルトで、この連結ボルトRで鋼材Pに直交集成板Qを連結するものである。
【0006】
すなわち、直交集成板Qの連結端部側に下穴Q1を形成し、この下穴Q1にラグスクリューボルト20を埋設しておく。一方、鋼材Pの連結部位にボルト挿通孔を開穿し、鋼材Pの下面からボルト挿通孔を通した連結ボルトRと、鋼材P上面の直交集成板Qのラグスクリューボルト20とをねじ止めして鋼材Pに直交集成板Qを連結する手段である。この連結手段により、エポキシ樹脂の使用量を少なくすることが可能になった。
【0007】
一方、従来の木材相互を連結するラグスクリューボルトは、ボルト頭部に締付工具を装着して木材の下穴にねじ込む構成を成している(特許文献1、特許文献2)。
【0008】
特許文献1に記載のラグスクリューボルトは、木材の下穴へのネジ込み力が軽くなり、引き抜き抵抗を高めるように構成されている。すなわち、ラグスクリューボルトの先端部にテーパーを形成し、ネジ山の先端部外周に切欠部を形成したものである。
【0009】
特許文献2に記載のラグスクリューボルトは、木材相互の結合強度を確保し、木質部材に真っ直ぐに且つ容易にねじ込むことができるようにした構成や埋め込み方法に関するものである。この埋め込み方法として、軸部の外径よりも小径の下穴を木質部材に穿設する工程と、下穴内に接着剤を充填する工程と、接着剤が充填された下穴に接合金具をねじ込む工程とを備えた埋め込み方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4462612号公報
【特許文献2】特開2007-77629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
木材相互を連結する従来のラグスクリューボルトは、頭部に締付工具を装着し、この締付工具でラグスクリューボルトを木材の下穴にねじ込む構造である。そのため、木材の連結端部には、ボルト頭部まで埋設する長さの下穴(特許文献1)や、座掘り(特許文献2)と称する凹部を予め形成する必要がある。
【0012】
特に、特許文献2のラグスクリューボルトは、下穴内に接着剤を充填する構成なので、この接着剤を充填するために必要な養生作業や充填作業、さらには充填した接着材が硬化するまでの時間など、多くの手間や工期を要する。
【0013】
一方、木・鋼ハイブリッド構造において、直交集成板Qと鋼材Pとを特殊なラグスクリューボルト20で連結する場合においても、直交集成板Qにラグスクリューボルト20の頭部を埋設する座繰りQ2の形成が必要になっていた(図8参照)。したがって、直交集成板Qの連結端部で座繰りQ2の凹部が深くなると、ラグスクリューボルト20と連結ボルトRとの緊締力が直交集成板Qに伝達されにくくなるため、この凹部にエポキシ樹脂を充填する必要があった。
【0014】
したがって、図8に示すラグスクリューボルト20を使用する場合のエポキシ樹脂の使用量は、図7に示すスタッド10を使用する連結手段に比べて極めて少なくなるので施工コストを下げることは可能になる。ところが、使用量が少なくなってもエポキシ樹脂を充填するために必要な養生作業や充填作業、さらには充填したエポキシ樹脂が硬化するまでの時間など、多くの手間や工期を要することに変わりはない。
【0015】
そこで本発明は、上述の課題を解消すべく案出されたもので、鋼材と直交集成板とを連結ボルトで連結する木・鋼ハイブリッド構造において、エポキシ樹脂を一切必要とせず、しかも、鋼材と直交集成板とを十分な強度で容易に連結することができるラグスクリューボルトの連結方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述の目的を達成すべく本発明の第1の手段は、木・鋼ハイブリッド構造用の鋼材Pと木製床材を構成する直交集成板Qとを、ラグスクリューボルトLと高力ボルトで連結するラグスクリューボルトの連結方法であってラグスクリューボルトLは、直交集成板Qに開穿した下穴Q1に埋設されるボルト本体1の先端部側から後端部まで至るネジ山2を有し、ボルト本体1の後端部に形成された雌ネジ部3に高力ボルト製の連結ボルトRをねじ止めするラグスクリューボルトLを使用し、下穴Q1の寸法を、ラグスクリューボルトLのネジ山2の谷径寸法と同径に形成し、ラグスクリューボルトLの雌ネジ部3に、雌ネジ部3の径よりも小径のボルトで形成されたフランジ31付のアタッチメント30をねじ止めし、該アタッチメント30に締付工具Tを装着して直交集成板Qの連結端部にフランジ31が当接するまでラグスクリューボルトLをねじ込み、下穴Q1に後端部までねじ込まれたラグスクリューボルトLからアタッチメント30を取り外した後、ラグスクリューボルトLの後端部と直交集成板Qの連結端部とが鋼材Pに接する位置で鋼材PとラグスクリューボルトLとを連結ボルトRで連結する連結方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の請求項1によると、直交集成板Qの連結端部から内部に開穿した下穴Q1にねじ込むネジ山2をボルト本体1の後端部側面から先端部側にかけて形成すると共に、該ネジ山2の谷径寸法を、前記直交集成板Qの前記下穴Q1の寸法と一致するように形成したことにより、「木・鋼ハイブリッド構造」の鋼材Pと直交集成板Qとの連結にエポキシ樹脂等の接着剤を一切使用せず、連結ボルトRのみで確実に連結することができた。
【0021】
したがって、木・鋼ハイブリッド構造において、エポキシ樹脂を一切使用せずに直交集成板Qと鋼材Pとを連結することが可能になった。この結果、エポキシ樹脂を充填するために必要な養生作業や充填作業、さらには充填したエポキシ樹脂が硬化するまでの時間など、多くの手間や工期をすべて省くことに成功し、高価なエポキシ樹脂を使用しないので、工事コストも下げることができる。これらのことから、木・鋼ハイブリッド構造でビル型建物を構築する際の工程数や後期が格段に減少し、木・鋼ハイブリッド構造の革新的技術を支える極めて重要な部材になっている。
【0022】
しかも、ボルト本体1のネジ山2の谷径寸法を、直交集成板Qの下穴Q1の寸法と一致するように形成することで、ボルト本体1と直交集成板Qとの一体化が最も堅固になり、「木・鋼ハイブリッド構造」における直交集成板Qと鋼材Pとを強固に連結することができるようになった。
【0023】
フランジ付ボルトで形成されたアタッチメント30を、下穴Q1にねじ込む前のラグスクリューボルトLの雌ネジ部3にねじ止めし、該アタッチメント30の頭部に締付工具Tを装着して直交集成板Qの連結端部にフランジ31が当接するまでラグスクリューボルトLをねじ込むことで、ボルト本体1の後端部4と直交集成板Qの連結端部とを正確かつ容易に一致させることができる。
【0024】
しかも、下穴Q1にねじ込まれたラグスクリューボルトLからアタッチメント30を取り外した後、連結ボルトRで鋼材Pと直交集成板Qとを連結するので、連結作業が簡素化し、極めて合理的な連結作業になる。
【0025】
更に、直交集成板Qの下穴Q1の寸法を、ラグスクリューボルトLのネジ山2の谷径寸法と同径に形成することで、直交集成板QとラグスクリューボルトLとの密着性が高まり、「木・鋼ハイブリッド構造」における安定した連結強度を得ることに成功した。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明ボルトの一実施例を示す側面図である。
図2】本発明ボルトの一実施例を示す後端面図である。
図3】本発明ボルトの連結作業を示す側断面図である。
図4】本発明ボルトが直交集成板に固定された状態を示す側断面図である。
図5】本発明にて鋼材と直交集成板とを連結した状態を示す側断面図である。
図6】本発明にて直交集成板相互を連結した側断面図である。
図7】従来のスタッドで鉄骨梁に直交集成板を連結した側断面図である。
図8】従来のラグスクリューボルトの使用例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を図示例に基づいて説明する。本発明のラグスクリューボルトLは、木・鋼ハイブリッド構造に使用するものであり、例えばビル型建物を構築する際に、鉄骨梁等の鋼材Pと直交集成板QとをこのラグスクリューボルトLと連結ボルトRとで固定するものである。
【0028】
このラグスクリューボルトLの構成は、円柱形状を成したボルト本体1の先端部側から後端部4までの側面にネジ山2を形成したもので、所謂、全ネジボルト状を成している(図1参照)。さらに、ボルト本体1の後端部に雌ネジ部3を形成している。そして、直交集成板Qの連結端部に開穿した下穴Q1に、このボルト本体1を予めねじ込んでおくものである。このボルト本体1の材質は、強度の高いボルトを使用するのが好ましい。
【0029】
下穴Q1にボルト本体1をねじ込む際に、ボルト本体1の後端部4の位置と、直交集成板Qの連結端部の位置、すなわち下穴Q1の開口端部の位置とが一致するまで下穴Q1にねじ込むようにする(図4参照)。木・鋼ハイブリッド構造において、直交集成板Qを鋼材Pに連結するには、鋼材Pを貫通する連結ボルトRを、ボルト本体1の雌ネジ部3にねじ止めすることで、鋼材Pと直交集成板Qとを連結する構造である(図5参照)。
【0030】
実験によると、鋼材Pと直交集成板Qとが連結されたときに、ボルト本体1の後端部と直交集成板Qの連結端部とが鋼材Pに接する位置に固定されるように連結すると、ボルト本体1と直交集成板Qと鋼材Pとの一体化が最も堅固になり、エポキシ樹脂を使用せずに十分な連結強度が得られることが分かった(図5参照)。すなわち、ボルト本体1の後端部4のネジ山2の位置と、直交集成板Q連結端部の下穴Q1の開口端部との位置とが一致して鋼材Pに接する連結状態である。
【0031】
この連結条件で下穴Q1にねじ込んだボルト本体1の押し抜きせん断試験を行ったところ、強軸、弱軸、板目、いずれも高いせん断耐力が得られている。そこで、ボルト本体1の後端部4と、直交集成板Qの連結端部の下穴Q1端部との位置とが一致する位置を、下穴Q1にねじ込むボルト本体1の定位置としている。
【0032】
一方、ボルト本体1の後端部側には、連結ボルトRをねじ止めする雌ネジ部3を形成している(図1図2参照)。鋼材Pを貫通した連結ボルトRをこの雌ネジ部3にねじ止めすることで、鋼材Pと直交集成板Qとが連結される(図5参照)。
【0033】
図示のボルト本体1は、先端部側にテーパー5を施すことで、下穴Q1への挿入を容易にしている(図1参照)。また、ボルト本体1の先端部側に形成するネジ山2は、このテーパー5に至るまで形成している。
【0034】
本発明ラグスクリューボルトLの連結方法は次のとおりである。まず、フランジ付ボルトで形成された連結用のアタッチメント30を用意する(図3参照)。次に、下穴Q1にねじ込む前のラグスクリューボルトLの雌ネジ部3にこのアタッチメント30をねじ止めする。さらに、この状態のアタッチメント30の頭部に、締付工具Tを装着し、フランジ31が直交集成板Qの連結端部に当接するまでラグスクリューボルトLを下穴Q1にねじ込む(図3参照)。
【0035】
次に、下穴Q1にねじ込まれたラグスクリューボルトLからアタッチメント30を取り外すと、フランジ31の作用でボルト本体1の後端部4の位置と直交集成板Qの連結端部の位置とが一致した状態になっている(図4参照)。最後に、下穴Q1にねじ込まれたラグスクリューボルトLからアタッチメント30を取り外した後、連結ボルトRで鋼材Pと直交集成板Qとを連結する(図5参照)。このとき使用するアタッチメント30は、ボルト本体1を下穴Q1にねじ込んだ後、雌ネジ部3から外し易くするために、雌ネジ部3よりも若干小径のフランジ付きボルトが使用される。
【0036】
本発明ラグスクリューボルトLは、特に、木・鋼ハイブリッド構造に使用する直交集成板Qを鋼材Pに連結する部材である。そこで、この直交集成板Qの連結強度をより高める下穴Q1を研究したところ、下穴Q1の寸法を、ラグスクリューボルトLのネジ山2の谷径寸法と同径に形成したときに、直交集成板QとラグスクリューボルトLとの密着性が高まり、直交集成板Qと鋼材Pとの安定した強度が得られた。
【0037】
例えば、従来の木材相互を連結するラグスクリューボルトの下穴の外径がM30とし、ネジ山2の谷径が直径25mmの場合、施工上、直径26mmの下穴が良いとされている。一方、本発明のラグスクリューボルトLでは、ネジ山2の谷径が直径25mmの場合、下穴Q1の径も直径25mmとするものである。この条件で下穴Q1にねじ込んだラグスクリューボルトLの引張試験によると、強軸、弱軸、板目、いずれも高い連結強度が得られ、ねじ込み作業の問題もなかった。
【0038】
図示の施工例では、木・鋼ハイブリッド構造の鉄骨梁を鋼材Pとし、床材として使用する直交集成板Qをこの鉄骨梁に連結したものである(図5参照)。また、この他の施工方法として、直交集成板Qを床材同士として連結することも可能である(図6参照)。
【0039】
図6のように、直交集成板Qの床材相互を連結するには、鋼材Pとして連結鋼板Mを使用する。すなわち、直交集成板Q相互の各連結部位に、ラグスクリューボルトL用の下穴Q1と、直交集成板Q相互に架け渡す連結鋼板Mを埋め込む座繰りQ2とを形成する。そして、各下穴Q1にラグスクリューボルトLをねじ込む。
【0040】
次に、この座繰りQ2の底部に連結鋼板Mを配置し、各ラグスクリューボルトLに連結鋼板Mを架け渡して連結ボルトRで連結する(図6参照)。このとき、直交集成板Qの連結端部は、連結鋼板Mに接する座繰りQ2の底部になる。このように、本ラグスクリューボルトLは、木・鋼ハイブリッド構造の直交集成板Qの各連結部位に使用することが可能になる。また、本発明ラグスクリューボルトLは、木・鋼ハイブリッド構造のみならず、鋼材Pと直交集成板Qとを連結ボルトRで連結するあらゆる施工に使用することも可能である。
【0041】
尚、本発明ボルトの構造、寸法、材質などは図示例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で任意に変更することができるものである。
【符号の説明】
【0042】
P 鋼材
Q 直交集成板
Q1 下穴
Q2 座繰り
Q3 貫通孔
連結ボルト
S 座金
T 締付工具
L ラグスクリューボルト
M 連結鋼板
1 ボルト本体
2 ネジ山
3 雌ネジ部
4 後端部
5 テーパー
10 スタッド
11 エポキシ樹脂
20 ラグスクリューボルト
30 アタッチメント
31 フランジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8