【文献】
次世代スイング解析システムM-Tracer[online],2014年07月23日,https://web.archive.org/web/20140723234504/https://www.softbankselection.jp/product/pdf/detail/mtg-manual.pdf,特に「3 スピード解析」の項を参照。[2021年4月27日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部が、前記第1のフェイス面画像および前記第2のフェイス面画像のうちの少なくとも1つのフェイス面画像が示すフェイス角を表示させる請求項1記載の画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の画像処理装置の一実施形態を用いたゴルフシミュレートシステムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態のゴルフシミュレートシステム1の概略構成図である。
【0025】
本実施形態のゴルフシミュレートシステム1は、
図1に示すように、撮影装置10と、画像処理装置20と、投影装置30とを備えている。撮影装置10と画像処理装置20との間および画像処理装置20と投影装置30との間は、有線または無線によって通信可能に接続されており、種々の信号のやり取りが可能に構成されている。なお、本実施形態では、撮影装置10が本発明の撮影部に相当し、投影装置30が本発明の投影部に相当する。
【0026】
撮影装置10は、ゴルファー40がゴルフクラブ41をスイングした際のそのゴルフクラブ41のクラブヘッド41aを上方から撮影する。撮影装置10は、ゴルフクラブ41をスイングするゴルファー40よりも上方に設置され、クラブヘッド41aが床面の近傍を通過する範囲を撮影可能なように、上記範囲の真上に設置される。具体的には、撮影装置10は、たとえば床面上に予め設定されたゴルフボール42の設置位置Pを中心近傍に含む所定の撮影範囲Rの真上に設置される。撮影装置10は、たとえばスタンドなどの支持部材に設置してもよいし、天井に設置するようにしてもよい。
【0027】
撮影装置10は、照明部11と、カメラ部12とを備えている。本実施形態の照明部11は、赤外光源を有し、その赤外光源から発せられた赤外光を上記撮影範囲Rに照射する。また、カメラ部12は、CMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)イメージセンサやCCD(Charged-coupled devices)イメージセンサなどの撮像素子と、その撮像素子の前面に配置されたIRフィルタを有する。IRフィルタは、可視光を吸収し、赤外光を透過する光学フィルタである。
【0028】
撮影装置10は、画像処理装置20の後述する制御部24から出力された制御信号に基づいて、照明部11から赤外光を出射し、カメラ部12によって上記撮影範囲Rの撮影を行う。具体的には、撮影装置10は、所定のフレームレートで照明部11から赤外光を出射するとともに、上記撮影範囲Rを通過するクラブヘッド41aを撮影する。撮影装置10によって所定のフレームレートで撮影された撮影画像は、画像処理装置20に出力される。
【0029】
画像処理装置20は、コンピュータなどから構成され、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random access memory)などの半導体メモリ、ハードディスクなどのストレージ、並びに通信I/Fなどのハードウェアを備える。
【0030】
画像処理装置20は、画像生成部21と、画像計測部22と、スイング履歴情報記憶部23と、制御部24と、表示部25と、入力部26とを備えている。
【0031】
画像処理装置20の半導体メモリまたはハードディスクには、本発明の画像処理プログラムの一実施形態を含むゴルフシミュレーションプログラムがインストールされている。そして、このプログラムがCPUによって実行されることによって、上述した画像生成部21と、画像計測部22と、制御部24とが機能する。なお、本実施形態においては、上述した各部の機能を全てゴルフシミュレーションプログラムによって実行するようにしたが、これに限らず、一部または全部の機能をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)、その他の電気回路などのハードウェアから構成するようにしてもよい。
【0032】
スイング履歴情報記憶部23は、半導体メモリまたはハードディスクから構成される。
【0033】
以下、画像処理装置20の各部について詳細に説明する。
【0034】
画像生成部21は、撮影装置10によって時系列に撮影された複数のクラブヘッド41aの撮影画像を取得し、その取得した複数の撮影画像に基づいて、各クラブヘッド41aのフェイス面を直線で表したフェイス面画像の群を生成する。なお、本明細書全体通してフェイス面という言葉を使用しているが、このフェイス面は、クラブヘッド41aにおいてゴルフボールがインパクトする面のことを意味するが、フェース面という言葉で表されることもある。すなわち本明細書で使用されているフェイス面とフェース面は同じ意味である。
【0035】
具体的には、ゴルファー40がスイングするゴルフクラブ41のクラブヘッド41aの上面には、
図2に示すように、フェイス面41bの指標となる2つのマークM1,M2が設けられる。マークM1,M2には、たとえばシールなどによって設けられる。マークM1とマークM2は、クラブヘッド41aのフェイス面41bに沿って所定の間隔を空けて設けられる。
【0036】
画像生成部21は、時系列に撮影された各撮影画像から、上述したマークM1,M2の画像部分を検出する。そして、画像生成部21は、マークM1の画像部分とマークM2の画像部分とを直線で結ぶことによって、フェイス面41bを直線で表したフェイス面画像を生成する。
【0037】
なお、本実施形態においては、マークM1,M2の画像部分を利用するようにしたが、これに限らず、たとえば撮影画像からクラブヘッド41aの画像部分を抽出し、その輪郭から予め設定された長さ以上の直線部分を検出することによって、上述したフェイス面画像を生成するようにしてもよい。クラブヘッド41aの画像部分の抽出については、たとえばパターン認識などの公知な画像処理を用いることができる。また、直線部分の検出についても、公知な直線検出処理を用いることができる。
【0038】
また、上述したマークM1,M2については、
図2に示すような単なる円形のシールだけでなく、
図3に示すような外周が白色で中心の円が黒色のドーナツ型(二重丸型)のシールを用いるようにしてもよい。これにより、その他の計測器用のシールとして、白色のシールを用いることができる。そして、画像認識時においては白黒反転させて認識することによって、本実施形態のシールは、外周が黒色で中心が白色のパターンを認識すればよく、その他の計測器用のシールについては、黒丸となるので除外することができる。これにより、本実施形態のマークM1,M2のシールと他の計測機用のシールとを同時に使用することができる。また、
図3に示すシールは、画像認識時には外周が黒色で中心が白色のパターンとなるので、クラブヘッド41a全体をマスキングテープなどで覆わなくても、高精度に検出することが可能である。
【0039】
また、ゴルフクラブ41がアイアンである場合には、上記と同様にシールを添付するなどしてトップブレードとリーディングエッジとの両方を認識し、これらのいずれかのフェイス面画像を生成して採用することが好ましい。トップブレードとリーディングエッジのどちらを使用するかについては、スイングの途中で切り替えることが望ましい。
【0040】
トップブレードとリーディングエッジの切り替え方法については、たとえば撮影画像からクラブヘッド41aのフェイス面の4隅の点を検出し、その4点を結んだ四角形の面積を計算する。そして、四角形の面積が予め設定された閾値以上である場合には、リーディングエッジを採用し、閾値未満である場合にはトップブレードを採用してフェイス面画像を生成することが望ましい。
【0041】
もしくは、フェイス面の面積ではなく、ゴルフボール42とクラブヘッド41aとの距離を算出し、その算出した距離に基づいて、トップブレードとリーディングエッジを切り替えて採用するようにしてもよい。たとえば上記距離が、予め設定された閾値以上である場合にはトップブレードを採用し、閾値未満である場合にはリーディングエッジを採用してフェイス面画像を生成することが望ましい。この切り替え方法を用いることによって、クラブヘッド41aのゴルフボール42へのインパクトのタイミングで、トップブレードとリーディングエッジを切り替えることができる。この切り替え方法は、ゴルフクラブ41がドライバの場合にも適用可能である。
【0042】
また、画像生成部21は、各撮影画像からクラブヘッド41aの画像部分を抽出し、そのクラブヘッド41aの画像部分に基づいて、クラブヘッド41aの軌道を線で表した軌道画像を生成する。具体的には、画像生成部21は、クラブヘッド41aの各画像部分の重心位置を算出し、算出した複数の重心位置を結んで曲線近似することによって軌道画像を生成する。
【0043】
画像計測部22は、撮影装置10によって時系列に撮影された複数のクラブヘッド41aの撮影画像を取得し、その取得した複数の撮影画像に基づいて、スイングの関する種々の項目を計測する。画像計測部22が計測する項目としては、たとえばクラブヘッド41aのヘッドスピード(HS)、ボールスピード(BS)、ミート率、クラブヘッド41aのフェイス角およびクラブパスなどがある。
【0044】
画像計測部22は、たとえばヘッドスピードについては、クラブヘッド41aの各撮影画像から生成された各フェイス面画像の間隔と撮影画像のフレームレートに基づいて計測する。画像計測部22は、たとえばフレーム間でフェイス面画像が移動した距離とフレームレートを乗算することによってヘッドスピードを算出する。なお、本実施形態においては、画像計測部22が、本発明の速度情報取得部に相当する。
【0045】
また、ボールスピードについては、時系列に撮影された各撮影画像からゴルフボール42の画像部分を抽出し、その画像部分の中心間の距離と撮影画像のフレームレートに基づいて計測する。なお、ゴルフボール42の画像部分の抽出については、たとえばパターン認識などの公知な画像処理を用いることができる。
【0046】
また、画像計測部22は、上述したようにして計測したヘッドスピードとボールスピードに基づいて、ミート率を計測する。ミート率とは、クラブヘッド41aがゴルフボール42にインパクトした直後のゴルフボール42の初速を、ヘッドスピードで除算した値(ボールスピード(初速)/ヘッドスピード)である。なお、ミート率を計測する際のヘッドスピードとは、クラブヘッド41aがゴルフボール設置位置Pを通過する際のヘッドスピードである。
【0047】
また、画像計測部22は、クラブヘッド41aのフェイス角については、クラブヘッド41aの各撮影画像から生成された各フェイス面画像に基づいて計測する。具体的には、画像計測部22は、たとえば水平面上におけるゴルフボール42の目標とする飛翔方向を設定する。そして、画像計測部22は、水平面上における上記飛翔方向に直交する方向に対する各フェイス面画像(直線)の延伸方向の角度をフェイス角として計測する。
【0048】
また、画像計測部22は、クラブパスについては、上述した軌道画像に基づいて計測する。具体的には、画像計測部22は、ゴルフボール42とクラブヘッド41aとのインパクトエリアをクラブヘッド41aが通過する際の軌道画像の水平面上における延伸方向をクラブパスとして計測する。
【0049】
スイング履歴情報記憶部23は、上述したフェイス面画像の群、軌道画像および画像計測部22による計測結果を、ゴルフクラブの種類およびそのスイング毎に記憶する。具体的には、スイング履歴情報記憶部23は、たとえばゴルファー40がゴルフクラブAを用いて1回目のスイングを行った場合には、そのゴルフクラブの種類「A」およびスイング回数「1回目」の情報と、そのスイングによって生成されたフェイス面画像の群、軌道画像および画像計測部22による計測結果とを対応づけて記憶する。
【0050】
そして、スイング履歴情報記憶部23は、続いてゴルファーがゴルフクラブAを用いて2回目のスイングを行った場合には、そのゴルフクラブの種類「A」およびスイング回数「2回目」の情報と、そのスイングによって生成されたフェイス面画像の群、軌道画像および画像計測部22による計測結果とを対応づけて記憶する。
【0051】
さらに、スイング履歴情報記憶部23は、次にゴルファーがゴルフクラブBを用いて1回目のスイングを行った場合には、そのゴルフクラブの種類「B」およびスイング回数「1回目」の情報と、そのスイングによって生成されたフェイス面画像の群、軌道画像および画像計測部22による計測結果とを対応づけて記憶する。
【0052】
制御部24は、CPUを備え、ゴルフシミュレートシステム1全体を制御する。具体的には、制御部24は、通信I/Fを介して撮影装置10と通信し、撮影装置10に対して撮影開始タイミングや撮影のフレームレートなどを指示する制御信号を出力する。
【0053】
撮影開始タイミングについては、たとえばユーザが、マウスやキーボードなどを有する入力部26を用いて指示入力するようにしてもよいし、撮影範囲R内のゴルフボールの設置位置Pにゴルフボール42が設置されたことを検出し、その検出信号に応じて撮影開始するようにしてもよい。ゴルフボール42の設置検出については、接触センサや光学センサを用いてもよいし、撮影装置10によって撮影された撮影画像を利用するようにしてもよい。撮影画像を利用する方法としては、たとえばゴルフクラブ41のスイングが開始される前に、撮影装置10によって撮影範囲の前撮影を行う。前撮影によって撮影された撮影画像は制御部24に入力される。
【0054】
そして、制御部24は、撮影画像内の予め設定された位置にゴルフボール42の画像が現れたことを検出することによって、ゴルフボール42の設置を検出する。制御部24は、ゴルフボール42の設置に応じて本撮影を開始し、クラブヘッド41aの撮影を開始する。
【0055】
なお、上述した前撮影と本撮影とでは、撮影条件を変更することが好ましい。具体的には、前撮影は、本撮影よりもフレームレートを低くし、かつ撮影画素数を高くすることが好ましい。前撮影の撮影画像は、ゴルフボール42の設置検出に用いられるので、高画質な撮影画像とし、ゴルフボール42の検出精度を上げることが好ましいからである。ただし、高画質にすることによって検出処理に時間を要するので、フレームレートは上述したように低くすることが好ましい。
【0056】
また、制御部24は、画像生成部21によって生成されたフェイス面画像の群と軌道画像を投影装置30に出力し、投影装置30によって床面に対してフェイス面画像の群と軌道画像を投影表示させる。
【0057】
図4は、1回のゴルフクラブ41のスイングによって生成されたフェイス面画像FGの群と軌道画像TGの投影表示例を示す図である。投影装置30は、床面に対して、たとえば
図4に示すようにフェイス面画像FGの群と軌道画像TGとを投影表示する。なお、
図4に示すCGは、クラブヘッドを表す3次元オブジェクト画像である。
【0058】
3次元オブジェクト画像CGとは、撮影装置10によって撮影された撮影画像とは異なり、クラブヘッドを模式的に3次元画像として表した画像である。このクラブヘッドを表す3次元オブジェクト画像CGも画像生成部21によって生成される。そして、制御部24が、その3次元オブジェクト画像CGを投影装置30に出力し、投影装置30によって床面に投影表示される。
【0059】
図4においては、軌道画像TG上の所定の位置のクラブヘッドの3次元オブジェクト画像CGを示しているが、投影装置30が、制御部24による制御により、軌道画像TGの線に沿って3次元オブジェクト画像CGを移動させてアニメーション表示するようにしてもよい。
【0060】
また、
図4においては、1回のスイングによるフェイス面画像FGの群と軌道画像TGを投影表示した例であるが、2回以上のスイングよるフェイス面画像の群と軌道画像とを重ねて投影表示するようにしてもよい。
図5は、1回目のスイングによるフェイス面画像FG1の群および軌道画像TG1の組と、2回目のスイングによるフェイス面画像FG2の群と軌道画像TG2の組を投影表示した例である。1回目のスイングによるフェイス面画像FG1の群および軌道画像TG1の組と、2回目のスイングによるフェイス面画像FG2の群と軌道画像TG2の組とは、異なる色で投影表示することが好ましい。
【0061】
さらに、本実施形態の制御部24は、スイング中におけるクラブヘッド41aの速度の情報に基づいて、軌道画像を区分した各部分の表示方法を変更する。なお、この表示方法の変更は、ユーザが入力部26を用いて所定の指示を入力した際に実行するようにしてもよいし、デフォルトの設定としてもよい。
【0062】
制御部24は、たとえばクラブヘッド41aの速度が最大となる部分の軌道画像の色をその他の部分の色と異なる色で表示させる。本実施形態では、上述したように画像計測部22によって所定のフレームレートで撮影された撮影画像に基づいて、クラブヘッド41aの速度(ヘッドスピード)を計測するので、たとえばフレーム間ごとのクラブヘッド41aの速度を算出することができる。
【0063】
したがって、たとえば
図6に示すように、軌道画像を各フレームに対応する点で区分し、その区分の中で、クラブヘッド41aの速度が最も速い区分を赤色で表示し、その他の部分を異なる色(たとえば緑)で表示することによって、クラブヘッド41aの速度が最も速い区分を識別可能に表示することができる。なお、
図6では、各フレームに対応する点を×印で示しているが、この×印は説明のために付したものであって表示されるものではない。また、クラブヘッド41aの速度が最も速い区分とその他の区分の色は上述した例(赤と緑)に限らず、最も早い区分が識別可能に表示されるのであればその他の色を採用するようにしてもよい。
【0064】
また、クラブヘッド41aの速度が最も速い区分の表示方法としては、上述したような色の変更に限らず、たとえば最も速い区分またはその他の区分を点滅表示させてもよいし、最も早い区分の軌道画像の線の太さをその他の区分よりも太くしてもよい。さらに、
図7に示すように、クラブヘッド41aの速度が最も速い区分の軌道画像の線に対して、星形などのマークを付けることによって識別可能に表示するようにしてもよい。
【0065】
また、本実施形態においては、スイング中におけるクラブヘッド41aの速度の情報に基づいて、軌道画像の表示方法を変更するようにしたが、これに限らず、フェイス面画像群を構成する各フェイス面画像の表示方法を変更するようにしてもよい。
【0066】
制御部24は、たとえばクラブヘッド41aの速度が最大となるフェイス面画像の色をその他のフェイス面画像の色と異なる色で表示させてもよい。なお、フェイス面画像に対するクラブヘッド41aの速度の割り当てについては、たとえば上述したようにフレーム間毎に算出された速度を、そのフレーム間の撮影タイミングが遅い方のフレームまたは速い方のフレームのフェイス面画像に割り当てるようにすればよい。もしくは、隣接するフレーム間で算出された2つの速度の平均値を、その隣接するフレーム間で挟まれるフレームのフェイス面画像に割り当てるようにしてもよい。
【0067】
そして、たとえばクラブヘッド41aの速度が最も速いフェイス面画像を赤色で表示し、その他のフェイス面画像を異なる色(たとえば緑)で表示することによって、クラブヘッド41aの速度が最も速いフェイス面画像を識別可能に表示することができる。なお、クラブヘッド41aの速度が最も速いフェイス面画像とその他のフェイス面画像の色はこの例(赤と緑)に限らず、最も早いフェイス面画像が識別可能に表示されるのであればその他の色を採用するようにしてもよい。
【0068】
また、クラブヘッド41aの速度が最も速いフェイス面画像の表示方法としては、上述したような色の変更に限らず、たとえば最も速いフェイス面画像またはその他のフェイス面画像を点滅表示させてもよいし、最も早いフェイス面画像の線の長さをその他のフェイス面画像よりも長くしてもよい。また、最も早いフェイス面画像の線の太さをその他のフェイス面画像よりも太くしたりしてもよい。さらに、クラブヘッド41aの速度が最も速いフェイス面画像に対して、星形などのマークを付けることによって識別可能に表示するようにしてもよい。
【0069】
また、本実施形態においては、クラブヘッド41aの速度が最大となる部分の軌道画像またはフェイス面画像を識別可能に表示するようにしたが、これに限らず、たとえばクラブヘッド41aの速度変化が最大となる部分の軌道画像またはフェイス面画像を識別可能に表示するようにしてもよい。
【0070】
また、スイングにおいて重要なのは、クラブヘッド41aがゴルフボール42にインパクトする直前のクラブヘッド41aの速度である。したがって、クラブヘッド41aがゴルフボール42にインパクトした時点から予め設定された距離だけ手前の範囲内において、クラブヘッド41aの速度が最大となる軌道画像の部分またはフェイス面画像を識別可能に表示するようにしてもよい。上述した距離としては、たとえば20cm以上40cm以下であることが好ましく、より好ましくは30cmである。
【0071】
また、制御部24は、クラブヘッド41aの速度に応じて軌道画像に沿って色を変更してグラデーション表示したり、クラブヘッド41aの速度に応じて各フェイス面画像の色を変更してグラデーション表示してもよい。
【0072】
また、制御部24は、フェイス面画像群を構成する各フェイス面画像について算出された各フェイス角に基づいて、時間的に隣接するフェイス面画像のフェイス角の変化(回転率)を算出し、そのフェイス角の変化が最大となるフェイス面画像を識別可能に表示するようにしてもよい。
【0073】
本実施形態のゴルフシミュレーションシステム1によれば、上述したように、スイング中におけるクラブヘッド41aの速度の情報に基づいて、軌道画像を区分した各部分またはフェイス面画像群を構成する各フェイス面画像の表示方法を変更するようにしたので、
スイング中におけるクラブヘッド41aの速度の変化を即座に把握することができる。たとえばスイング中においてクラブヘッド41aの速度が最速となる期間を即座に把握することができる。これにより、ゴルファーのスイングの特徴を把握することができるので、ゴルファーに対して適切な指導を行うことができる。また、ゴルファーに適したゴルフクラブ41またはクラブヘッド41aを選択することができる。
【0074】
また、制御部24は、画像生成部21によって生成されたフェイス面画像の群と軌道画像、および画像計測部22によって計測された計測結果を、画像処理装置20の表示部25に表示させる。
【0075】
図8は、制御部24によって表示部25に表示される計測結果表示画面の一例を示す図である。
図8に示す計測結果表示画面は、軌道表示欄R1と、ヘッドスピード表示欄R2と、フェイス角表示欄R3と、スイング履歴表示欄R4とを有する。
【0076】
軌道表示欄R1は、画像生成部21によって生成されたフェイス面画像の群と軌道画像を表示する欄である。
図8では、ゴルフクラブAを用いて2回のスイングを行い、ゴルフクラブB,Cを用いてそれぞれ1回ずつスイングを行った場合の合計4回のスイングのフェイス面画像の群および軌道画像を表示した例を示している。
【0077】
制御部24は、ゴルフクラブ毎のフェイス面画像の群および軌道画像をそれぞれ異なる色で表示させる。具体的には、たとえばゴルフクラブAを用いた2回のスイングに対応するフェイス面画像FGa1の群および軌道画像TGa1と、フェイス面画像FGa2の群および軌道画像TGa2は同じ色で表示するが、ゴルフクラブBを用いたスイングに対応するフェイス面画像FGbの群および軌道画像TGbと、ゴルフクラブCを用いたスイングに対応するフェイス面画像FGcの群および軌道画像TGcはそれぞれ異なる色で表示する。なお、
図8では、異なる色を異なる線種として示している。
【0078】
このようにゴルフクラブ毎に異なる色で表示することによって、ゴルフクラブ毎のフェイス面画像の群および軌道画像を識別し易くすることができる。ただし、これに限らず、同じゴルフクラブを用いた場合でもスイング毎に、フェイス面画像の群および軌道画像の色を変えるようにしてもよい。
【0079】
また、
図8に示すように、軌道表示欄R1には、ゴルフボール設置位置Pを示す円画像CCと、円画像CCの中心を通り、左右方向に延びるセンターラインCLとが表示される。センターラインCLは、ゴルフボール42の目標とする飛翔方向を表す線である。
【0080】
また、制御部24は、軌道表示欄R1の下に、2つのチェックボックスCB1,CB2を表示させる。そして、制御部24は、チェックボックスCB1のみがチェックされた場合には、軌道表示欄R1に軌道画像のみを表示させ、チェックボックスCB2のみがチェックされた場合には、軌道表示欄R1にフェイス面画像の群のみを表示させ、両方のチェックボックスCB1,CB2がチェックされた場合には、軌道表示欄R1に、軌道画像とフェイス面画像の群の両方を表示させる。
【0081】
また、制御部24は、上述した投影表示と同様に、軌道表示欄R1に表示される軌道画像についても、クラブヘッド41aの速度の情報に基づいて、軌道画像の各部分の表示方法を変更したり、フェイス面画像群を構成する各フェイス面画像の表示方法を変更したりすることができる。
【0082】
さらに、制御部24は、軌道表示欄R1内に、上述した3次元オブジェクト画像CGもしくはクラブヘッド41aの撮影画像を動画として表示するようにしてもよい。また、3次元オブジェクト画像CGもしくはクラブヘッド41aの撮影画像をコマ送り表示したりしてもよい。
【0083】
ヘッドスピード表示欄R2は、画像計測部22によって計測されたヘッドスピードをグラフ表示する欄である。
図8では、ゴルフクラブAを用いて2回のスイングを行い、ゴルフクラブB,Cを用いてそれぞれ1回ずつスイングを行った場合の合計4回のスイングのヘッドスピードのグラフを表示した例を示している。
【0084】
制御部24は、ゴルフクラブ毎のヘッドスピードのグラフをそれぞれ異なる色で表示させる。
図8では、異なる色を異なる線種として示している。このようにゴルフクラブ毎に異なる色で表示することによって、ゴルフクラブ毎のヘッドスピードの変化を識別し易くすることができる。なお、同じゴルフクラブを用いた場合でもスイング毎にヘッドスピードのグラフの色を変えるようにしてもよい。
【0085】
フェイス角表示欄R3は、画像計測部22によって計測されたフェイス角をグラフ表示する欄である。
図8では、ゴルフクラブAを用いて2回のスイングを行い、ゴルフクラブB,Cを用いてそれぞれ1回ずつスイングを行った場合の合計4回のスイングのフェイス角のグラフを表示した例を示している。
【0086】
制御部24は、ゴルフクラブ毎のフェイス角のグラフをそれぞれ異なる色で表示させる。なお、
図8では、異なる色を異なる線種として示している。このようにゴルフクラブ毎に異なる色で表示することによって、ゴルフクラブ毎のフェイス角の変化を識別し易くすることができる。なお、同じゴルフクラブを用いた場合でもスイング毎にフェイス角のグラフの色を変えるようにしてもよい。
【0087】
スイング履歴表示欄R4は、スイング履歴情報記憶部23に記憶されたゴルフクラブの種類およびスイング毎の計測結果がリスト表示される欄である。
図8では、ゴルフクラブA,B,Cを用いたスイングの計測結果が示されており、ゴルフクラブAについては、2回のスイングの計測結果が示され、ゴルフクラブBおよびゴルフクラブCについては、それぞれ1回のスイングの計測結果が示されている。また、各ゴルフクラブの測定結果の下には、各ゴルフクラブの計測結果の平均値が示されている。
【0088】
スイング履歴表示欄R4に表示されるヘッドスピード(HS)は、クラブヘッド41aがゴルフボール42にインパクトした時点、すなわちヘッドスピード表示欄R2のグラフの位置0cmのときのヘッドスピードを示している。また、フェイス角は、クラブヘッド41aがゴルフボール42にインパクトした時点、すなわちフェイス角表示欄R3のグラフの位置0cmのときのフェイス角を示し、フェイス角(手前)は、クラブヘッド41aがゴルフボール42にインパクトしたときから予め設定された距離だけ手前の位置のときのフェイス角を示している。この予め設定された距離は、ユーザによって任意に設定することが可能であるが、たとえば20cm以上40cm以下であることが好ましく、より好ましくは30cmである。
【0089】
また、スイング履歴表示欄R4の左端には、ゴルフクラブの種類およびスイング毎について、チェックボックスCB3〜CB6が表示される。制御部24は、チェックされたゴルフクラブの種類およびスイングに基づいて、スイング履歴情報記憶部23からフェイス面画像の群および軌道画像を読み出して軌道表示欄R1に表示させるとともに、ヘッドスピードおよびフェイス角の計測結果を読み出してヘッドスピード表示欄R2およびフェイス角表示欄R3に表示させる。すなわち、制御部24は、チェックされたチェックボックスに対応するフェイス面画像の群および軌道画像、並びにヘッドスピードおよびフェイス角のみ表示させる。なお、本実施形態では、後で説明するように、デフォルトとしてチェックボックスはチェックされた状態であり、ユーザが、そのチェックを解除することによって、そのチェックボックスに対応するフェイス面画像の群および軌道画像、並びにヘッドスピードおよびフェイス角が非表示となり、再びチェックされた場合には、再度これらが表示される。
【0090】
また、スイング履歴表示欄R4の左上には、チェックボックスCB7が表示され、このチェックボックスCB7がチェックされた場合には、スイング履歴表示欄R4内の全てのチェックボックスCB3〜CB6がチェックされた状態となり、チェックボックスCB7からチェックが外された場合には、全てのチェックボックスCB3〜CB6がチェックされていない状態となり、その後、任意のチェックボックスが選択可能な状態となる。
【0091】
また、スイング履歴表示欄R4の右上には、削除ボタンDBと終了ボタンEBとが表示される。削除ボタンDBが押された場合には、制御部24は、チェックされたチェックボックスに対応するフェイス面画像の群および軌道画像並びにヘッドスピードおよびフェイス角などの計測結果をスイング履歴情報記憶部23から削除する。また、終了ボタンEBが押された場合には、制御部24は、計測結果表示画面の表示を終了する。
【0092】
表示部25は、たとえば液晶ディスプレイなどの表示デバイスを備える。また、入力部26は、たとえばマウスやキーボードなどの入力デバイスを備える。また、画像処理装置20をタブレット端末から構成し、表示部25および入力部26をタッチパネルから構成するようにしてもよい。
【0093】
投影装置30は、プロジェクタから構成され、上述したように画像処理装置20の制御部24による制御によって、床面に対してフェイス面画像の群および軌道画像を投影表示する。投影装置30は、ゴルフクラブをスイングするゴルファーよりも上方に設置され、撮影装置10に隣接させて設置される。また、投影装置30は、フェイス面画像の群および軌道画像を床面上に対して、十分な明るさかつ明瞭に表示可能な投射距離と輝度を有する。
【0094】
投影装置30は、床面上のゴルフボールの設置位置Pを中心近傍に含む所定の投影範囲にフェイス面画像の群および軌道画像を投影表示可能なように設置される。投影装置30は、たとえば撮影装置10とともにスタンドなどの支持部材に設置してもよいし、天井に設置するようにしてもよい。
【0095】
また、投影装置30は、上述した軌道表示欄R1に表示されるフェイス面画像の群および軌道画像に連動して床面に対してフェイス面画像の群および軌道画像を投影表示する。すなわち、ユーザによってスイング履歴表示欄R4においてチェックされたスイングのフェイス面画像の群および軌道画像のみを床面に投影表示する。
【0096】
また、投影装置30は、上述したように床面に対してクラブヘッドの3次元オブジェクト画像を投影表示する。
【0097】
次に、本実施形態のゴルフシミュレートシステム1の動作について、
図9および
図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0098】
まず、ゴルフシミュレートシステム1の各装置が起動される(S10)。次いで、
図1に示すように撮影範囲Rの近傍にゴルファーが立ち、撮影範囲R内におけるゴルフボールの設置位置Pにゴルフボール42を設置する。また、この際、ゴルファーが用いるゴルフクラブ41の種類が、画像処理装置20においてユーザによって設定入力される(S12)。本実施形態では、
図5に示す軌道表示欄R1の上方に表示されたゴルフクラブ41の種類(たとえば「クラブA」)が、今回用いられるゴルフクラブ41の種類として設定される。軌道表示欄R1の上方に表示されたゴルフクラブ41の種類は、選択矢印A1,A2を押すことによって切り替えられる。
【0099】
そして、ユーザによって画像処理装置20において撮影開始指示が設定入力され、撮影装置10による撮影が開始される(S14)。
【0100】
撮影装置10による撮影が開始された後、ゴルファーがゴルフクラブ41をスイングし、ゴルフボール42を打つ(S16)。
【0101】
ゴルファーがゴルフクラブ41をスイングする間、撮影装置10によって撮影範囲R内の撮影画像が所定のフレームレートで撮影され、時系列に撮影された撮影画像が、画像処理装置20に順次出力される(S18)。撮影装置10は、撮影開始から予め設定された時間だけ経過した時点で撮影を終了する(S20)。
【0102】
撮影装置10から出力された撮影画像は画像処理装置20に入力され、画像生成部21は、入力された複数の撮影画像に基づいて、フェイス面画像の群および軌道画像を生成する(S22)。また、画像計測部22によってヘッドスピード(HS)、ボールスピード(BS)、ミート率、クラブヘッド41aのフェイス角およびクラブパスが計測される(S24)。
【0103】
そして、画像生成部21において生成されたフェイス面画像の群および軌道画像と、画像計測部22によって計測された計測結果が、ゴルフクラブ41の種類およびそのゴルフクラブ41を用いたスイング回数とに対応付けられてスイング履歴情報記憶部23に記憶される(S26)。
【0104】
続いて、画像処理装置20において所定の指示入力に応じて、
図4に示す計測結果表示画面が表示される(S28)。
【0105】
計測結果表示画面のスイング履歴表示欄R4には、上述したように各スイングに対応するゴルフクラブ41の種類、スイング回数および計測結果がリスト表示される(S30)。なお、この際、スイングに対応するチェックボックスは、デフォルトとしてチェックされた状態となる。
【0106】
また、今回のスイングに対応するフェイス面画像の群および軌道画像が軌道表示欄R1に表示されるとともに、そのスイングに対応するヘッドスピードの変化のグラフとフェイス角の変化のグラフが、それぞれヘッドスピード表示欄R2とフェイス角表示欄R3にそれぞれ表示される(S32)。
【0107】
さらに、今回のスイングに対応するフェイス面画像の群および軌道画像が投影装置30に出力され、投影装置30によって床面に投影表示される(S34)。
【0108】
続いて、さらにスイングを続ける場合には、S12からS34までの処理が繰り返し行われる(S36,NO)。なお、同じ種類のゴルフクラブ41を用いてスイングが行われた場合には、そのスイング毎にスイング回数が1インクリメントされる。
【0109】
そして、スイングを終了した場合には、フェイス面画像群、軌道画像および計測結果の表示対象のスイングの選択が行われる(S38,YES)。具体的には、スイング履歴表示欄R4のチェックボックスCB3〜CB6のいずれかのチェックが解除されることによって、そのチェックボックスに対応するスイングのフェイス面画像群、軌道画像および計測結果が非表示となり、チェックされた状態が維持されているチェックボックスに対応するスイングのフェイス面画像群、軌道画像および計測結果のみが表示される(S40)。また、チェックが解除されたチェックボックスが再びチェックされた場合には、そのチェックされたチェックボックスに対応するスイングのフェイス面画像群、軌道画像および計測結果が再表示される。なお、この際、投影装置30によって床面に投影表示されるフェイス面画像群および軌道画像も、軌道表示欄R1の表示に連動して表示が変更される(S42)。
【0110】
そして、S38においてスイングの選択を終了した場合には、終了ボタンEBが押下されることによって計測結果表示画面の表示を終了し、ゴルフシミュレートシステム1の処理を終了する(S44)。
【0111】
なお、上記実施形態のゴルフシミュレートシステム1においては、床面に多数のフェイス面画像からなる群を表示させるようにしたが、フェイス面画像の表示態様としてはこれに限られない。たとえば画像生成部21が、クラブヘッドがゴルフボール42にインパクトした時点の撮影画像に基づいて、第1のフェイス面画像を生成するとともに、インクパクトの位置よりも所定距離だけ前の時点の撮影画像に基づいて、第2のフェイス面画像を生成し、投影装置30が、
図11Aに示すように、第1のフェイス面画像F1Aと第2のフェイス面画像F2Aのみを床面に投影表示するようにしてもよい。また、この際、
図11Aに示すように、第1のフェイス面画像F1Aと第2のフェイス面画像F2Aの位置に、クラブヘッドの3次元オブジェクト画像を投影表示するようにしてもよい。なお、第2のフェイス面画像の位置については、ユーザが任意に設定することができるが、たとえば画像計測部22によって計測されるフェイス角(手前)の位置と同じ位置とすることができる。
【0112】
このように、第1のフェイス面画像F1Aと第2のフェイス面画像F2Aのみを投影表示させることによって、インパクトの手前からインパクトまでの間のクラブヘッド41aのフェイス角の変化をより分かり易くすることができる。
【0113】
さらに、インパクトの手前からインパクトまでの間のクラブヘッド41aのフェイス角の変化から、スイングした人(ゴルファー)に適切なゴルフクラブ41を選択することができる。
【0114】
たとえば
図11Aが、Aさんのスイングによる第1のフェイス面画像F1Aと第2のフェイス面画像F2Aであり、
図11Bが、Bさんのスイングによる第1のフェイス面画像F1Bと第2のフェイス面画像F2Bとする。
【0115】
図11Aと
図11Bとを比較すると、AさんとBさんは、同様にインパクト時に3度オープンする傾向があるが、インパクトの手前のフェイス角はそれぞれ異なる。すなわち、AさんとBさんとではクラブヘッド41aの使い方が異なる。Aさんはフェイス面がローテーションしてないが、Bさんはフェイス面が大きく閉じている。
【0116】
Bさんのようにフェイス面を大きく閉じる必要がある場合には、クラブヘッド41aの反応がよいゴルフクラブを使う方がよい傾向にある。すなわち、MOI(Moment of Inertia)が大き過ぎず、重心距離が短いクラブヘッド41aを選択することが好ましい。
【0117】
一方、Aさんはローテーションが少ないので、スイングが安定している場合には、今回の計測に使用したゴルフクラブとMOIが似たようなクラブヘッド41aで、重心距離だけが短いクラブヘッド41aを選択することが好ましい。
【0118】
上述したように第1のフェイス面画像F1A,F1Bと第2のフェイス面画像F2A,F2Bを投影表示させることによって、AさんとBさんに適切なクラブヘッド41aを選択することができる。
【0119】
なお、上述したように第1のフェイス面画像と第2のフェイス面画像を床面に投影表示させる場合、投影装置30が、第1のフェイス面画像および第2のフェイス面画像のうちの少なくとも1つのフェイス角を床面に投影表示するようにしてもよい。
図11Aおよび
図11Bは、第2のフェイス面画像のフェイス角を投影表示した例を示している。
【0120】
さらに、第2のフェイス面画像のフェイス角から第1のフェイス面画像のフェイス角までの回転方向を矢印で投影表示したり、回転量をテキストや色で投影表示したりしてもよい。回転量を色で投影表示する場合には、たとえば回転方向を示す矢印を回転量によって色分けして投影表示してもよい。
【0121】
また、上述したように投影装置30によって床面に投影される第1のフェイス面画像および第2のフェイス面画像、フェイス角、回転方向並びに回転量については、画像処理装置20の軌道表示欄R1に表示させるようにしてもよい。
【0122】
また、上記実施形態のゴルフシミュレートシステム1においては、ゴルファー40がゴルフクラブ41をスイングした後に、そのスイングに対応するフェイス面画像の群および軌道画像を床面に投影表示するようにしたが、これに限らず、制御部24が、ゴルファー40のゴルフクラブ41のスイングに合わせてフェイス面画像の群を投影装置30によってリアルタイムに床面に投影表示させるようにしてもよい。
【0123】
具体的には、制御部24は、フェイス面画像の群を構成する複数のフェイス面画像を床面に時系列に順次投影表示させる。この際、制御部24は、複数のフェイス面画像をその各フェイス面画像に対応する各撮影画像の撮影直後に順次投影表示させることが好ましい。これにより、ゴルファー40のスイングによって撮影範囲R上を移動するクラブヘッド41aの位置に合わせて各フェイス面画像を順次投影表示することができる。
【0124】
このようにフェイス面画像の群をリアルタイム表示することによって、ゴルファー40およびその周囲にいる指導者などが、ゴルフクラブ41のスイング過程におけるクラブヘッド41aのフェイス面41bの変化を即座に認識することができる。
【0125】
なお、上述したようにフェイス面画像の群をリアルタイム表示する場合、最後のフェイス面画像の表示まで、すなわちクラブヘッド41aが撮影範囲R内において最も前方に移動するまで先に表示されたフェイス面画像FGをそのまま継続して投影表示するようにしてもよいし、先に一回表示されたフェイス面画像FGは順次非表示にするようにしてもよい。すなわち、各フェイス面画像FGの投影表示の時間を短い時間に設定するようにしてもよい。
【0126】
図12は、先に表示されたフェイス面画像FGをそのまま継続して投影表示した例を時系列で示す図であり、
図13は、先に一回表示されたフェイス面画像FGは順次非表示にした例を時系列で示す図である。
【0127】
また、フェイス面画像の群を床面に投影表示する際、制御部24が、フェイス面画像の直線の長さを調整可能としてもよい。具体的には、たとえば上述したようにフェイス面画像の群を床面にリアルタイムに投影表示する場合には、クラブヘッド41aに移動に合わせて各フェイス面画像が表示されるため、線状のフェイス面画像の延伸方向を即座に把握しくい場合がある。このような場合、制御部24が、フェイス面画像の長さを、たとえばクラブヘッド41aのフェイス面41bの長さよりも長く設定することによって、フェイス面画像の延伸方向を即座に把握することができ、これによりフェイス角を即座に把握することができる。また、フェイス面画像の直線の長さだけでなく、太さも調整可能としてもよい。フェイス面画像の直線の長さおよび太さについては、ユーザが、任意に設定可能である。
【0128】
また、フェイス面画像は、実線に限らず、点線や一点鎖線などのその他の線種で表示するようにしてもよい。
【0129】
また、上記実施形態のゴルフシミュレーションシステム1においては、撮影画像を用いてクラブヘッド41aの速度の情報を取得するようにしたが、クラブヘッド41aの速度の情報を取得する方法としてはこれに限らず、たとえばクラブヘッド41a自体に加速度センサなどのセンサを設けて、これによる速度の情報を取得してもよいし、ドップラーセンサや光学センサなどを用いてクラブヘッド41aの速度の情報を取得するようにしてもよい。