(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フォトレジストは、前記第2有機リガンドと化学結合を形成して前記第1温度感知層上に塗布されることを特徴とする、請求項1に記載の高感度温度センサの製造方法。
前記膨張基板は、紫外線−オゾン(UV−ozone)及びAPTES((3−aminopropyl)triethoxysilane)処理されることを特徴とする、請求項1に記載の高感度温度センサの製造方法。
前記伝導性ナノ粒子は、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、及び鉄(Fe)のうちの少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の高感度温度センサの製造方法。
前記第1有機リガンドは、TOPO(trioctylphosphineoxide)、オクタデカノール(octadecanol)、オレイン酸(oleic acid)及びオレイルアミン(oleylamine)のうちの少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の高感度温度センサの製造方法。
前記第2有機リガンドは、MPA(3−mercaptopropionic acid)、EDT(1,2−ethanedithiol)、EDA(ethylenediamine)、BDT(benzenedithiol)、ピリジン(pyridine)、TGA(methanethiosulfonyl−galactoside)及びPDT(propanedithiol)のうちの少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の高感度温度センサの製造方法。
前記第1温度感知部及び前記第2温度感知部の温度−抵抗係数(temperature coefficient of resistance、TCR)は、0.05K−1〜0.6K−1であることを特徴とする、請求項11に記載の高感度温度センサ。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付の図面及び添付の図面に記載された内容を参照して、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明が実施例によって制限又は限定されるものではない。
【0034】
本明細書で使用された用語は、実施例を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は、文句で特に言及しない限り、複数形も含む。明細書で使用される「含む(comprises)」及び/又は「含んでいる(comprising)」は、言及された構成要素、段階以外に一つ以上の他の構成要素、段階の存在または追加を排除しない。
【0035】
本明細書で使用される「実施例」、「例」、「側面」、「例示」などは、記述された任意の態様(aspect)又は設計が他の態様又は設計よりも良好であるか、または利点があるものと解釈すべきものではない。
【0036】
また、「又は」という用語は、排他的論理和「exclusive or」よりは、包含的な論理和「inclusive or」を意味する。すなわち、特に言及しない限り、または文脈から明らかでない限り、「xがa又はbを用いる」という表現は、包含的な自然順列(natural inclusive permutations)のいずれか一つを意味する。
【0037】
また、本明細書及び特許請求の範囲で使用される単数表現(「a」又は「an」)は、特に言及しない限り、または単数形態に関するものであることが文脈から明らかでない限り、一般的に「一つ以上」を意味するものと解釈しなければならない。
【0038】
以下の説明で使用される用語は、関連する技術分野で一般的かつ普遍的なものが選択されたが、技術の発達及び/又は変化、慣例、技術者の選好などに応じて他の用語があり得る。したがって、以下の説明で使用される用語は、技術的思想を限定するものと理解されてはならず、実施例を説明するための例示的な用語として理解されなければならない。
【0039】
また、特定の場合は、出願人が任意に選定した用語もあり、その場合、該当する説明部分で詳細にその意味を記載する。したがって、以下の説明で使用される用語は、単純な用語の名称ではなく、その用語が有する意味、及び明細書全般にわたる内容に基づいて理解されなければならない。
【0040】
他の定義がなければ、本明細書で使用される全ての用語(技術及び科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通に理解される意味として使用され得る。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、明らかに特に定義されていない限り、理想的又は過度に解釈されない。
【0041】
一方、本発明を説明するにおいて、関連する公知の機能又は構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。そして、本明細書で使用される用語(terminology)は、本発明の実施例を適切に表現するために使用された用語であって、これは、使用者、運用者の意図、または本発明の属する分野の慣例などによって変わり得る。したがって、本用語に対する定義は、本明細書全般にわたる内容に基づいて行われるべきである。
【0042】
本発明に係る高感度温度センサ及びその製造方法は、熱によって膨張する膨張基板上に、鎖の長さが短い有機リガンド又は無機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子を塗布して、外部温度の増加に伴って膨張基板が膨張しながら、鎖の長さが短い有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子間の距離が増加して温度を感知できる高感度温度センサを製造することができる方法を提供する。
【0043】
本発明に係る高感度温度センサは、鎖の長さが短い有機リガンドによって形成されたクラックを用い、外部温度によって膨張基板が膨張しながらクラックの間隔がさらに広がることによって、温度の変化を非常に敏感に感知することができる。
【0044】
本発明の実施例に係る高感度温度センサの製造方法は、膨張基板上に、第1有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子を含む第1ナノ粒子層を形成するステップ(S110)と、前記第1ナノ粒子層の第1有機リガンドを第2有機リガンドで置換して、クラックを含む第1温度感知層を形成するステップ(S120)と、前記第1温度感知層上にフォトレジストを塗布及びエッチングして、前記第1温度感知層が露出した領域及び前記フォトレジストが残留した領域を形成するステップ(S130)と、前記第1温度感知層上に、前記第1有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子を含む第2ナノ粒子層を形成するステップ(S140)と、前記第2ナノ粒子層の第1有機リガンドを無機リガンドで置換して電極層を形成するステップ(S150)と、前記第1温度感知層上の前記フォトレジストが残留した領域を除去して電極及び第1温度感知部を形成するステップ(S160)と、前記電極及び前記第1温度感知部上に、第1有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子を含む第3ナノ粒子層を形成するステップ(S170)と、前記第3ナノ粒子層の第1有機リガンドを前記第2有機リガンドで置換して、クラックを含む第2温度感知層及び第2温度感知部を形成するステップ(S180)と、前記第2温度感知部上に保護層を形成するステップ(S190)とを含む。
【0045】
以下、
図1A乃至
図1Jを参照して、本発明の実施例に係る高感度温度センサの製造方法及びそれから製造された高感度温度センサについてより詳細に説明する。
【0046】
図1A乃至
図1Jは、本発明の実施例に係る高感度温度センサを製造する各工程の具体的な様子を示した断面図である。
【0047】
まず、
図1Aを参照すると、前記ステップS110は、膨張基板110上に、第1有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子を含む溶液を塗布して、第1ナノ粒子層120を形成する。
【0048】
前記伝導性ナノ粒子は、伝導性物質を含むナノメートルサイズの球状粒子であってもよい。
【0049】
例えば、前記伝導性ナノ粒子は、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、及び鉄(Fe)のうちの少なくともいずれか1つを含む球状の粒子であってもよく、伝導性を有する物質であれば、前記物質に制限されない。
【0050】
前記第1有機リガンドは、前記第2有機リガンドよりも鎖の長さが長いリガンドであって、実施例に応じて8個〜18個の炭素鎖を含むことができる。
【0051】
例えば、前記第1有機リガンドは、TOPO(trioctylphosphineoxide)、オクタデカノール(octadecanol)、オレイン酸(oleic acid)及びオレイルアミン(oleylamine)のうちの少なくともいずれか1つを含むことができる。
【0052】
前記第1有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子は、伝導性ナノ粒子に含まれた伝導性物質に対する前駆体と前記第1有機リガンドとを混合した後、脱気、加熱、冷却のような過程を経て合成され得る。
【0053】
実施例に応じて、硝酸銀(AgNO
3)、オレイルアミン、オレイン酸を混合した後、脱気、加熱、冷却のような過程を経て、オレイルアミン及びオレイン酸で囲まれた銀ナノ粒子を合成することができ、前記例示に制限されるものではない。
【0054】
前記第1有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子を含む、前記第1有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子を分散させる溶媒を含む溶液であってもよい。
【0055】
前記第1リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子を分散させる溶媒は、実施例に応じて、オクタン(octane)、ヘキサン(hexane)、及びトルエン(toluene)のうちの少なくともいずれか1つであってもよく、無極性溶媒であれば前記物質に制限されるものではない。
【0056】
実施例に応じて、前記第1有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子を含む溶液は、スピンコーティング(spin coating)、スプレーコーティング(spray coating)、ウルトラスプレーコーティング(ultra−spray coating)、電気紡糸コーティング、スロットダイコーティング(slot die coating)、グラビアコーティング(gravure coating)、バーコーティング(bar coating)、ロールコーティング(roll coating)、ディップコーティング(dip coating)、シアーコーティング(shear coating)、スクリーンプリンティング(screen printing)、インクジェットプリンティング(inkjet printing)及びノズルプリンティング(nozzle printing)のいずれか1つの方法により基板110上に塗布されてもよい。
【0057】
実施例に応じて、ステップS110は、前記第1リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子を含む溶液を膨張基板110上に塗布した後、追加で乾燥過程を行って前記第1ナノ粒子層120を形成することができる。
【0058】
または、実施例に応じて、第1有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子は、膨張基板110上にスパッタリング(sputtering)、原子層蒸着(ALD)、化学気相蒸着(CVD)、熱蒸着(thermal evaporation)、同時蒸発法(co−evaporation)、プラズマ強化化学気相蒸着(PECVD)、電子ビーム蒸着(e−beam evaporation)、RFスパッタリング(Radio Frequency sputtering)、マグネトロンスパッタリング(magnetron sputtering)、真空蒸着(vacuum deposition)及び化学的蒸着(chemical vapor deposition)のいずれか1つの方法により蒸着されて第1ナノ粒子層120を形成することができる。
【0059】
膨張基板110は、熱によって膨張するものであって、曲げることができる柔軟(flexible)基板とは異なり、柔軟でありながらも、熱によって膨張(stretchable)して、外部温度が増加するに伴って膨張基板110の面積が広くなり得る。
【0060】
膨張基板110は、外部温度が増加するに伴って膨張し、膨張基板110上に形成された第1温度感知部及び第2温度感知部のクラックの間隔を増加させて高感度温度センサの抵抗が増加することによって、高感度温度センサの抵抗の変化量を通じて外部温度の変化を敏感に感知することができる。このような膨張基板110を用いた高感度温度センサの原理は、後述する高感度温度センサの説明を通じて詳細に説明する。
【0061】
膨張基板110は、熱膨張係数が大きい物質を含むことで、外部温度の変化に対する敏感度が大きいので、外部温度の増加に伴う熱膨張を通じて温度の変化を敏感に感知することができる。
【0062】
実施例に応じて、膨張基板110は、1.0×10
−4K
−1〜1.0×10
−3K
−1の熱膨張係数を有する物質を含むことができる。
【0063】
熱膨張係数が1.0×10
−4K
−1未満である場合、外部温度を敏感に感知するほど膨張基板が十分に膨張しないことがある。
【0064】
例えば、熱膨張係数が約1.0×10
−6K
−1であるPET(polyethylene terephthalate)は、熱によって十分に膨張しないので、外部温度を敏感に感知することができないが、熱膨張係数が約1.0×10
−4K
−1であるPU(polyurethane)は、外部温度によってよく膨張して、外部温度を敏感に感知することができる。
【0065】
これによって、膨張基板110は、具体的にPDMS(polydimethylsiloxane)、エコフレックス(Ecoflex)及びヒドロゲルのうちの少なくともいずれか1つを含むことができ、熱膨張係数が1.0×10
−4K
−1以上である高分子であれば、前記物質に制限されない。
【0066】
PDMSは、熱膨張係数が3.2×10
−4K
−1として比較的大きい膨張係数を有するので、膨張基板110に含まれる物質として好ましい。
【0067】
実施例に応じて、前記ステップS110の前に、膨張基板110を紫外線−オゾン(UV−ozone)及びAPTES((3−aminopropyl)triethoxysilane)処理して自己組織化単分子膜(self−assembled monolayer)を形成することができる。
【0068】
紫外線−オゾン処理は、膨張基板110の表面の不純物を除去し、APTESとの結合力の向上のための過程であって、膨張基板110の表面にヒドロキシ基(−OH)を形成してAPTES分子と結合することができる。
【0069】
APTES処理は、紫外線−オゾン処理された膨張基板110上にアミン基(−NH
2)を形成して、最終的に自己組織化単分子膜を形成する過程であって、膨張基板110上に形成される第1ナノ粒子層120の伝導性ナノ粒子を前記アミン基と化学的に結合させることができる。
【0070】
これによって、第1ナノ粒子層120の伝導性ナノ粒子と膨張基板110との接着力を向上させることができる。
【0071】
紫外線−オゾン処理及びAPTES処理は、具体的に、膨張基板110の表面を紫外線−オゾン処理した後、APTES溶液をスピンコーティングして膨張基板110の表面に自己組織化単分子膜を形成することができ、自己組織化単分子膜に含まれたAPTESのアミン基が、膨張基板110と第1ナノ粒子層120との接着性を向上させることができる。
【0072】
図1Bを参照すると、ステップS120は、第1ナノ粒子層が形成された膨張基板110を第2有機リガンド溶液に浸漬して、前記第1有機リガンドを前記第2有機リガンドで置換する。
【0073】
前記第2有機リガンド溶液は、第2有機リガンドを含む溶液である。前記第2有機リガンドは、前記第1有機リガンドよりも鎖の長さが短いリガンドであって、実施例に応じて、1個〜3個の炭素鎖を含む有機リガンドであってもよい。
【0074】
例えば、前記第2有機リガンドは、MPA(3−mercaptopropionic acid)、EDT(1,2−ethanedithiol)及びEDA(ethylenediamine)のうちの少なくともいずれか1つを含むことができ、前記物質に制限されるものではない。
【0075】
ステップS120は、前記第1ナノ粒子層の伝導性ナノ粒子を取り囲み、鎖の長さが長い第1有機リガンドが、鎖の長さが短い前記第2有機リガンドで置換されることで、鎖の長さが短くなった空間の分だけクラック(図示せず)が形成され得る。
【0076】
これによって、ステップS120は、前記第1有機リガンドを前記第2有機リガンドで置換する工程を通じて、クラックを含む第1温度感知層121を形成することができ、第1温度感知層121は、第2有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子を含むことができる。
【0077】
図1Cを参照すると、ステップS130は、まず、第1温度感知層121上にフォトレジスト130を塗布する。
【0078】
一般に膨張基板110をなし得る実施例の一つであるPDMSは、安定性が非常に高い物質であるため、PDMS物質上に追加の工程が不可能である。
【0079】
すなわち、PDMSの高い安定性によって膨張基板110上にフォトレジスト130のコーティングが不可能であるので、フォトリソグラフィ(photo lithography)工程も不可能である。
【0080】
しかし、本発明の実施例に係る高感度温度センサの製造方法は、膨張基板110上に、第2有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子を含む第1温度感知層121を形成することによって、第2有機リガンドとフォトレジスト130との間に化学的結合(chemical bonding)を形成することができる。
【0081】
これによって、ステップS130は、従来とは異なり、第2有機リガンドを含む第1温度感知層121上にフォトレジスト130を塗布できるので、フォトリソグラフィ工程を行うことができる。
【0082】
実施例に応じて、フォトレジスト130は、スピンコーティング(spin coating)、スプレーコーティング(spray coating)、ウルトラスプレーコーティング(ultra−spray coating)、電気紡糸コーティング、スロットダイコーティング(slot die coating)、グラビアコーティング(gravure coating)、バーコーティング(bar coating)、ロールコーティング(roll coating)、ディップコーティング(dip coating)、シアーコーティング(shear coating)、スクリーンプリンティング(screen printing)、インクジェットプリンティング(inkjet printing)及びノズルプリンティング(nozzle printing)のいずれか1つの方法により第1温度感知層121上に塗布することができる。
【0083】
図1Dを参照すると、前記ステップS130は、第1温度感知層121上にフォトレジストを塗布した後、フォトリソグラフィ工程を通じてフォトレジストをエッチングして、第1温度感知層が露出した領域131及びフォトレジストが残留した領域132を形成することができる。
【0084】
具体的には、ステップS130は、パターンマスクを介してフォトレジストの一部をエッチングして、エッチングされた領域を介して第1温度感知層121の一部を露出させることができる。
【0085】
フォトリソグラフィ工程は、当業者に広く知られた技術であるので、詳細な説明は省略する。
【0086】
ステップS130は、第1ナノ粒子層上にフォトレジストを塗布し、フォトレジストの一部をエッチングして、第1温度感知層が露出した領域131及びフォトレジストが残留した領域132を形成することによって、段層が生じ得る。
【0087】
図1Eを参照すると、ステップS140は、前記ステップS130によって露出した第1温度感知層121及び残留したフォトレジスト133上に、第1有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子を含む溶液を塗布して第2ナノ粒子層140を形成する。
【0088】
第2ナノ粒子層140をなす第1有機リガンド及び伝導性ナノ粒子についての説明は、
図1Aを通じて説明したので、重複説明は省略する。
【0089】
実施例に応じて、前記第1有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子を含む溶液は、スピンコーティング(spin coating)、スプレーコーティング(spray coating)、ウルトラスプレーコーティング(ultra−spray coating)、電気紡糸コーティング、スロットダイコーティング(slot die coating)、グラビアコーティング(gravure coating)、バーコーティング(bar coating)、ロールコーティング(roll coating)、ディップコーティング(dip coating)、シアーコーティング(shear coating)、スクリーンプリンティング(screen printing)、インクジェットプリンティング(inkjet printing)及びノズルプリンティング(nozzle printing)のいずれか1つの方法により、露出した第1温度感知層121及び残留したフォトレジスト133上に塗布され得る。
【0090】
実施例に応じて、ステップS140は、前記第1リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子を含む溶液を、露出した第1温度感知層121及び残留したフォトレジスト133上に塗布した後、追加で乾燥過程を行って第2ナノ粒子層140を形成することができる。
【0091】
または、実施例に応じて、第1有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子は、露出した第1温度感知層121及び残留したフォトレジスト133上に、スパッタリング(sputtering)、原子層蒸着(ALD)、化学気相蒸着(CVD)、熱蒸着(thermal evaporation)、同時蒸発法(co−evaporation)、プラズマ強化化学気相蒸着(PECVD)、電子ビーム蒸着(e−beam evaporation)、RFスパッタリング(Radio Frequency sputtering)、マグネトロンスパッタリング(magnetron sputtering)、真空蒸着(vacuum deposition)及び化学的蒸着(chemical vapor deposition)のいずれか1つの方法により蒸着されて第2ナノ粒子層140を形成することができる。
【0092】
ステップS140は、前記ステップS130によって露出した第1温度感知層121と残留したフォトレジスト133による段層構造により、第2ナノ粒子層140も段層で形成することができる。
【0093】
図1Fを参照すると、ステップS150は、第2ナノ粒子層が形成された膨張基板110を無機リガンド溶液に浸漬して、第2ナノ粒子層に含まれた第1有機リガンドを無機リガンドで置換する。
【0094】
前記無機リガンド溶液は、無機リガンドを含む溶液である。前記無機リガンドは、前記第1有機リガンド及び前記第2有機リガンドよりも鎖の長さが非常に短いリガンドであり得る。
【0095】
実施例に応じて、前記無機リガンドは、硫黄イオン(S
2−)、塩素イオン(Cl
−)、臭素イオン(Br
−)、チオシアン酸イオン(SCN
−)、ヨウ素イオン(I
−)、二硫化物イオン(HS
−)、テルルイオン(Te
2−)、水酸化イオン(OH
−)、四フッ化ホウ酸イオン(BF
4−)及び六フッ化リン酸イオン(PF
6−)のうちの少なくともいずれか1つを含むことができるが、前記物質に制限されるものではない。
【0096】
実施例に応じて、前記無機リガンドは臭素イオン(Br
−)であってもよく、これによって、前記無機リガンド溶液は、臭素イオンを含むTBAB(tetra−n−butylammonium bromide)であってもよい。
【0097】
ステップS150は、前記第2ナノ粒子層の伝導性ナノ粒子を取り囲み、鎖の長さが長い第1有機リガンドを、前記無機リガンドで置換することで、鎖の長さが短くなった空間の分だけクラック(図示せず)を形成することができる。
【0098】
しかし、無機リガンドは長さが非常に短いため、無機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子同士が接触し得るので、第1温度感知層121よりも少ない数のクラックを含むことができ、伝導性ナノ粒子同士の接触により、第2有機リガンドを含む第1温度感知層121に比べて伝導性が高い。
【0099】
したがって、ステップS150は、前記第1有機リガンドを前記無機リガンドで置換する工程を通じて、第1温度感知層121よりも伝導性が高い電極層141を形成することができ、電極層141は、無機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子を含むことができる。
【0100】
併せて、ステップS150は、前記ステップS130によって露出した第1温度感知層121及び残留したフォトレジスト133上に電極層141を形成することができる。
【0101】
図1Gを参照すると、ステップS160は、第1温度感知層121上の前記フォトレジストが残留した領域に形成されたフォトレジストと、残留したフォトレジスト上に形成された電極層とを除去して、第1温度感知部160を形成することができる。
【0102】
また、ステップS160は、残留したフォトレジストと、残留したフォトレジスト上に形成された電極層とを除去することで、第1温度感知層121上に互いに離隔した電極151,152を形成することができる。
【0103】
第1温度感知部160は、第1温度感知層121上に電極151,152が形成された領域以外の領域であって、互いに離隔して形成された第1電極151と第2電極152との間に露出した第1温度感知層121である。
【0104】
図1Hを参照すると、ステップS170は、電極151,152及び第1温度感知部上に、第1有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子を含む溶液を塗布して、第3ナノ粒子層170を形成する。
【0105】
前記第1有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子は、前記ステップS110で説明したので、重複説明は省略する。
【0106】
実施例に応じて、前記第1有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子を含む溶液は、スピンコーティング(spin coating)、スプレーコーティング(spray coating)、ウルトラスプレーコーティング(ultra−spray coating)、電気紡糸コーティング、スロットダイコーティング(slot die coating)、グラビアコーティング(gravure coating)、バーコーティング(bar coating)、ロールコーティング(roll coating)、ディップコーティング(dip coating)、シアーコーティング(shear coating)、スクリーンプリンティング(screen printing)、インクジェットプリンティング(inkjet printing)及びノズルプリンティング(nozzle printing)のいずれか1つの方法により電極151,152及び第1温度感知部上に塗布することができる。
【0107】
実施例に応じて、ステップS170は、前記第1リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子を含む溶液を、電極151,152及び第1温度感知部上に塗布した後、追加で乾燥過程を行って第3ナノ粒子層170を形成することができる。
【0108】
または、実施例に応じて、第1有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子は、電極151,152及び第1温度感知部上に、スパッタリング(sputtering)、原子層蒸着(ALD)、化学気相蒸着(CVD)、熱蒸着(thermal evaporation)、同時蒸発法(co−evaporation)、プラズマ強化化学気相蒸着(PECVD)、電子ビーム蒸着(e−beam evaporation)、RFスパッタリング(Radio Frequency sputtering)、マグネトロンスパッタリング(magnetron sputtering)、真空蒸着(vacuum deposition)及び化学的蒸着(chemical vapor deposition)のいずれか1つの方法により蒸着されて第3ナノ粒子層170を形成することができる。
【0109】
ステップS170は、前記ステップS160により互いに離隔して形成された第1電極151及び第2電極152によって段層構造をなすことで、第3ナノ粒子層170も段層で形成することができる。
【0110】
図1Iを参照すると、ステップS180は、第3ナノ粒子層が形成された膨張基板110を第2有機リガンド溶液に浸漬して、第3ナノ粒子層の第1有機リガンドを第2有機リガンドで置換する。
【0111】
前記第2有機リガンド溶液及び第2有機リガンドは前記ステップS120で説明したので、重複説明は省略する。
【0112】
ステップS180は、第3ナノ粒子層の伝導性ナノ粒子を取り囲み、鎖の長さが長い第1有機リガンドが、鎖の長さが短い前記第2有機リガンドで置換されることで、鎖の長さが短くなった空間の分だけクラック(図示せず)を形成することができる。
【0113】
これによって、ステップS180は、前記第1有機リガンドを前記第2有機リガンドで置換する工程を通じて、電極151,152上に、クラックを含む第2温度感知層171を形成することができ、第1温度感知部上に、クラックを含む第2温度感知部180を形成することができる。
【0114】
このとき、第2温度感知層171及び第2温度感知部180は、第2有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子を含むことができる。
【0115】
実施例に応じて、本発明の実施例に係る高感度温度センサの製造方法は、ステップS170及びステップS180を繰り返して行うことで、少なくとも2つ以上の温度感知部を形成することができ、少なくとも2つ以上の温度感知部を介して、高感度温度センサの温度感知能力を向上させることができる。
【0116】
図1Jを参照すると、ステップS190は、封止(encapsulation)過程を通じて第2温度感知部180上に保護層190を形成することによって、高感度温度センサ100を製造することができる。
【0117】
保護層190は、第2温度感知部180上に形成されることで、第1温度感知部160、第2温度感知部180及び電極を含む高感度温度センサ100を物理的及び化学的汚染から保護することができる。
【0118】
実施例に応じて、保護層190は、膨張基板110と同じ物質を含むことで、外部温度の増加に伴って膨張基板110が膨張しながら保護層190と膨張基板110との間の熱膨張係数の差による剥離の危険性を最小化することができる。
【0119】
例えば、保護層190は、封止過程を通じて液状のPDMSで形成することができる。
【0120】
本発明の実施例に係る高感度温度センサの製造方法によって製造された高感度温度センサは、熱によって膨張する膨張基板を含むことによって、外部温度の増加に伴って膨張基板が熱膨張によって面積が広くなることで、第1温度感知部及び第2温度感知部に含まれたクラックの間隔がさらに広がりながら高感度温度センサの抵抗が増加するようになり、高感度温度センサの抵抗の変化を通じて外部温度の変化を敏感に感知することができる。
【0121】
このとき、第1温度感知層における第1電極及び第2電極と当接した領域と第2温度感知層とは、膨張基板の熱膨張による影響をほとんど受けない第1電極及び第2電極と接触しているため、第1温度感知部及び第2温度感知部よりも、温度を感知する能力、すなわち、膨張基板の熱膨張によってクラックの間隔が広がって抵抗が増加することによって外部温度の変化を感知できる能力が相対的に低い。
【0122】
したがって、本発明の実施例に係る高感度温度センサの製造方法によって製造された高感度温度センサは、第1温度感知部及び第2温度感知部が、膨張基板の熱膨張によってクラックの間隔が広がることによって抵抗が急激に増加して、外部温度の変化を敏感に感知することができる。
【0123】
膨張基板は、外部温度の増加に伴って全ての方向に熱膨張し、膨張基板上に形成される第1温度感知部及び第2温度感知部は、膨張基板と同一の熱膨張係数を有することができる。
【0124】
本発明の実施例に係る高感度温度センサの製造方法によって製造された高感度温度センサは、外部温度が増加しながら膨張基板が熱膨張する際に、第1温度感知部及び第2温度感知部に含まれたクラックにストレーンが集中することで、前記クラックに熱膨張現象が集中し、外部温度の変化を非常に敏感に感知することができる。
【0125】
また、本発明の実施例に係る高感度温度センサの製造方法は、第1ナノ粒子層の第2有機リガンドとフォトレジストとの間に形成された化学的結合によって第1ナノ粒子層上にフォトレジストを塗布できるので、PDMS基板上にフォトレジストを塗布できない従来技術とは異なり、フォトリソグラフィ工程を通じてパターニングが可能である。
【0126】
再び
図1Jを参照すると、本発明の高感度温度センサの製造方法によって製造された高感度温度センサ100は、膨張基板110と、膨張基板110上に形成され、第2有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子によってクラックが形成される第1温度感知部160を含む第1温度感知層121と、第1温度感知層121上に互いに離隔して形成され、無機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子を含む第1電極151及び第2電極152と、第1電極151と第2電極152との間に形成され、第2有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子によってクラックが形成される第2温度感知部180と、第1電極151及び第2電極152上に形成され、第2有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子によってクラックが形成される第2温度感知層171と、第2温度感知部180上に形成される保護層190と、を含む。
【0127】
このとき、本発明の実施例に係る高感度温度センサ100は、上述した高感度温度センサ100の製造方法の構成要素を含むので、重複説明は省略する。
【0128】
膨張基板110は、外部温度の増加に伴って全ての方向に熱膨張し、膨張基板110上に形成される第1温度感知部160及び第2温度感知部180は、膨張基板110と同一の熱膨張係数を有することができる。
【0129】
本発明の実施例に係る高感度温度センサ100は、外部温度が増加しながら膨張基板110が熱膨張する際に、第1温度感知部160及び第2温度感知部180に含まれたクラックにストレーンが集中することで、前記クラックに熱膨張現象が集中し、外部温度の変化を非常に敏感に感知することができる。
【0130】
膨張基板110は、外部温度の増加に伴って熱膨張し、膨張基板110の熱膨張係数は、1.0×10
−4K
−1〜1.0×10
−3K
−1であってもよい。
【0131】
第1温度感知部160及び第2温度感知部180は、膨張基板110の外部温度の増加に伴う熱膨張によってクラックの間隔が増加して、本発明の実施例に係る高感度温度センサ100の抵抗が増加し、高感度温度センサ100の抵抗の増加から外部温度の変化を感知することができる。
【0132】
また、本発明の実施例に係る高感度温度センサ100は、単一の温度感知部を含むものではなく、第1温度感知部160及び第2温度感知部180を含むことによって、外部温度の増加に伴う温度の変化をより敏感に感知することができる。
【0133】
実施例に応じて、本発明の実施例に係る高感度温度センサ100は、第1温度感知部160及び第2温度感知部180が繰り返して形成されることで、少なくとも2つ以上の温度感知部を含むことができる。
【0134】
図2は、本発明の実施例に係る第1有機リガンドを第2有機リガンドで置換した場合、温度の高低による伝導性ナノ粒子間の距離を示した模式図である。
【0135】
図2を参照すると、第1温度感知部及び第2温度感知部に含まれた、第2有機リガンド220で取り囲まれた伝導性ナノ粒子210が膨張基板上に形成された場合、第1有機リガンドが第2有機リガンド220で置換されることで、伝導性ナノ粒子210の間にクラックが形成され得る。
【0136】
膨張基板上に第2有機リガンド220で取り囲まれた伝導性ナノ粒子210は、低い温度から高い温度に外部温度が増加すると、膨張基板が熱膨張しながらクラックの間隔が増加するようになり、これによって、電荷移動経路が遮断されて抵抗度が増加するようになる。
【0137】
したがって、本発明の実施例に係る高感度温度センサは、外部温度の増加に伴って膨張基板が熱膨張しながら、第1温度感知部及び第2温度感知部に含まれたクラックの間隔が増加することで、抵抗が増加するようになり、抵抗の変化から、外部温度が増加したことを感知することができる。
【0138】
図3は、本発明の実施例に係る第1有機リガンドを無機リガンドで置換した場合、温度の高低による伝導性ナノ粒子間の距離を示した模式図である。
【0139】
図3を参照すると、第1電極及び第2電極に含まれた、無機リガンド230で取り囲まれた伝導性ナノ粒子210が膨張基板上に形成された場合、低い温度から高い温度に外部温度の増加に伴って膨張基板が熱膨張しても、伝導性ナノ粒子210間の距離がほとんど変わらないことを確認することができる。
【0140】
第1電極及び第2電極に含まれた、無機リガンド230で取り囲まれた伝導性ナノ粒子210は、長さが非常に短い無機リガンド230によってクラックがほとんど形成されず、伝導性ナノ粒子210同士が接触し得るので、電荷移動経路がよく形成され得、これによって電気的特性を有することができる。
【0141】
また、無機リガンド230は、実施例に応じて、臭素イオンのようなアニオンであってもよいところ、アニオンの電気的特性によって、無機リガンド230で取り囲まれた伝導性ナノ粒子210は、第2有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子210よりも電気的特性が強い。
【0142】
したがって、無機リガンド230で取り囲まれた伝導性ナノ粒子210は、電気的特性によって第1電極及び第2電極に使用され得、第2有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子210は、クラックによって電荷移動経路がよく生成されないので、第1温度感知部及び第2温度感知部に使用され得る。
【0143】
まとめると、本発明の実施例に係る高感度温度センサは、熱によって膨張する膨張基板、及び、第2有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子を含む第1温度感知部及び第2温度感知部のクラックによって、外部温度の増加を感知することができる。
【0144】
本発明の実施例に係る高感度温度センサの敏感度は、温度−抵抗係数(temperature coefficient of resistance、TCR)と関連がある。
【0145】
本発明の実施例に係る高感度温度センサは、第1温度感知部及び第2温度感知部によって外部温度の増加を感知できるので、本発明の実施例に係る高感度温度センサの敏感度は、第1温度感知部及び第2温度感知部の温度−抵抗係数と関連があるといえる。
【0146】
温度−抵抗係数は、温度変化量に対する抵抗変化量の比として定義することができ、同じ外部温度の変化量に対して高感度温度センサの抵抗の変化量が大きいほど、温度−抵抗係数の値が大きく、これは、外部温度の変化を敏感に感知するということを意味する。
【0147】
本発明の実施例に係る高感度温度センサの第1温度感知部及び第2温度感知部の温度−抵抗係数は、0.05K
−1〜0.6K
−1であってもよい。
【0148】
まとめると、本発明の実施例に係る高感度温度センサは、外部温度の増加に伴って熱膨張する膨張基板が第1温度感知部及び第2温度感知部のクラックの間隔を増加させて、抵抗が増加することによって、外部温度の変化を感知することができる。
【0149】
このような本発明の実施例に係る高感度温度センサは、外部温度の増加に伴って熱膨張する膨張基板を含むことによって、従来の温度センサよりも高い温度−抵抗係数を有することで、外部温度の変化を敏感に感知することができる。
【0150】
以下、本発明の高感度温度センサを実施例及び比較例によって製造した後、高感度温度センサの特性及び温度感知効果に対する特性の評価を行った。
【0151】
以下の特性の評価では、膨張基板の熱膨張による抵抗の変化及びクラックに印加されたストレーンを評価するために、膨張基板上に第2有機リガンドで取り囲まれた伝導性ナノ粒子を含むナノ粒子薄膜を実施例として製造し、外部温度の変化による抵抗の変化及び外部温度変化の感知の正確性を評価するために、高感度温度センサを実施例として製造した。
【0152】
物質
硝酸銀(AgNO
3、99.9+%)は、アルファエイサー社(Alfa Aeser,Co.)から購入した。
【0153】
オレイルアミン(OAm、70%)、オレイン酸(OA、90%)、EDT(≧98%)、TBAB(≧99.0%)、APTES(AP.99%)、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(MPTS、95%)、トルエン(99.8%)、アセトン(≧99.5%)、アセトニトリル(99.8%)、イソプロパノール(IPA、99.5%)、メタノール(99.8%)、エタノール(≧99.5%)、ヘキサン(95%)及びオクタン(99+%)は、シグマアルドリッチ社(Sigma−Aldrich,Co.)から購入した。
【0154】
ポリジメチルシロキサン(PDMS)は、ダウコーニング社(Dow Corning Corporation)から購買した。
【0155】
銀(Ag)ペースト(モデル番号16040−30)は、テッドペッラ社(Ted Pella)から購入した。
【0156】
実施例
[実施例1]
1.銀ナノ粒子の合成
硝酸銀3.4g、オレイルアミン10.0mL及びオレイン酸90.0mLを200mLの3口フラスコに入れ、混合した後、70℃で1時間脱気させた。
【0157】
脱気工程後、反応容器に窒素ガスを充填し、10分当たり10℃の昇温速度で180℃まで加熱した。
【0158】
混合物が180℃に到達した後、混合物を大気中で室温に冷却させた。
【0159】
冷却された混合物にトルエン90mL及びエタノール150mLを添加した後、遠心分離を通じて、合成された銀ナノ粒子(Ag NC)を収得した。
【0160】
以降、収得した銀ナノ粒子をヘキサンに分散させ、脱気させた後、200mg/mLの濃度でオクタンに再分散させて、第1有機リガンドで取り囲まれた銀ナノ粒子溶液を製造した。
【0161】
2.基板の準備
PDMS基板を30分間紫外線−オゾン処理して洗浄し、表面にヒドロキシ基(−OH)を形成した。
【0162】
以降、紫外線−オゾン処理されたPDMS基板上にAPTES溶液を塗布した後、1秒以内に3,000rpmで30秒間スピンコーティングして、PDMS基板に自己組織化単分子膜(SAM)を形成した。
【0163】
3.ナノ粒子薄膜の製造
合成した銀ナノ粒子溶液を、1000rpmで30秒間、PDMS基板上にスピンコーティングした。
【0164】
合成した銀ナノ粒子の有機リガンドを置換するために、EDTに1分間浸漬してリガンドの交換を行って、ナノ粒子薄膜を製造した。
【0165】
[比較例1]
PDMS基板の代わりにガラス基板を使用した以外は、前記実施例1と同様の方法でナノ粒子薄膜を製造した。
【0166】
[実施例2]
前記実施例1に係るナノ粒子薄膜である第1ナノ粒子層上にフォトレジストを塗布した後、フォトリソグラフィ工程を通じてフォトレジストの一部をエッチングした。
【0167】
以降、合成された銀ナノ粒子溶液を、1000rpmで30秒間、その上にスピンコーティングした後、TBAB溶液に3分間浸漬して電極層を製造した後、残留するフォトレジストを除去して、電極及び第1温度感知部を形成した。
【0168】
以降、その上に、合成された銀ナノ粒子溶液を1000rpmで30秒間スピンコーティングした後、EDT溶液に1分間浸漬してリガンド置換工程を行った後、PDMSで封止処理して保護層を形成することによって、高感度温度センサを製造した。
【0169】
特性の評価
図4は、本発明の実施例に係るEDT(1,2−ethanedithiol)で置換されてクラックを含むナノ粒子薄膜のFEM(finite element method)シミュレーションを示したイメージである。
【0170】
図4は、直交方向にクラックを有する実施例1のナノ粒子薄膜がPDMS基板上に形成された状態で、外部温度の変化が298Kから299Kに上昇する際に、クラックの構造の変化を観察した結果である。
【0171】
図4を参照すると、外部温度が上昇するに伴い、PDMS基板は全ての方向に熱膨張して、前記実施例1のナノ粒子薄膜に変形を引き起こすことを確認することができる。
【0172】
特に、前記実施例1のナノ粒子薄膜に含まれたクラックに最も高い変形が集中していることを確認することができる。(
図4の赤色の表示)
【0173】
これは、銀ナノ粒子とPDMS基板との間に熱膨張係数(thermal expansion coefficient、TEC)が互いに異なるためである。
【0174】
すなわち、外部温度が増加してPDMS基板が熱膨張すると、PDMS基板のストレーンは実施例1のナノ粒子薄膜のクラック界面に集中し、クラックの間隔が広がるようになり、これは、クラックにおいて電荷の挙動を大きく変化させ、抵抗が変わるようになる。
【0175】
図5は、本発明の実施例に係るナノ粒子薄膜の断面を示したSEM(scanning electron microscope)イメージである。
【0176】
図5を参照すると、実施例1のナノ粒子薄膜に形成されたクラックは、有限な長さを有することを確認することができる。
【0177】
図6は、本発明の実施例に係るナノ粒子薄膜の電荷移動経路を示したイメージである。
【0178】
このとき、
図6に示された矢印の厚さは、電荷移動の程度を示す。
【0179】
図6を参照すると、前記実施例1のナノ粒子薄膜は、上から下に向かうほど幅が狭くなるクラックが形成されたことを確認することができる。
【0180】
前記実施例1のナノ粒子薄膜に形成されたクラックにおいて幅が最も広い部分は、クラックの間隔が広すぎるため、電荷の移動が難しいことを確認することができる。(最も上の矢印)
【0181】
図6に示された中間位置の矢印は、前記実施例1のクラックの間隔が比較的狭いので、電荷の移動が多少行われることを示す。
【0182】
また、
図6に示された最も下に位置した矢印は、クラックがほとんど形成されていない部分であって、電荷の移動が非常に円滑に行われることを示す。
【0183】
図7は、
図5のナノ粒子薄膜のFEMシミュレーションを示したイメージである。
【0184】
図7を参照すると、前記実施例1のナノ粒子薄膜に形成されたクラックは、クラックの間隔が広い部分であるほど、外部温度が1Kずつ増加するに伴ってストレーンが集中したことを確認することができる。
【0185】
クラックの間隔が比較的狭いナノクラックの場合には、間隔が広いクラックに比べてストレーンが少なく集中したことを確認することができる。
【0186】
図8は、
図5のナノ粒子薄膜の相対的抵抗度に対するFEMシミュレーションを示したイメージである。
【0187】
図8を参照すると、前記実施例1のナノ粒子薄膜のクラックの間隔が広いほど高い抵抗を有することを確認することができる。
【0188】
これによって、クラックの間隔が広いほど電荷の移動が難しくなり、高い抵抗を有することがわかる。
【0189】
また、前記実施例1のクラックの間隔が狭くなるほど低い抵抗を有することを確認することができ、これは、クラックの間隔が広いときよりも電荷の移動が容易であるので、低い抵抗を有することを意味する。
【0190】
図9は、本発明の比較例及び実施例に係るナノ粒子薄膜の電圧に対する電流を示したグラフである。
【0191】
図9は、比較例1及び実施例1のナノ粒子薄膜に対して、外部温度30℃及び50℃のそれぞれで電圧に対する電流を測定した結果を示したグラフである。
【0192】
図9を参照すると、前記実施例1のナノ粒子薄膜に対して、50℃(PDMS−EDT50)での電圧に対する電流(即ち、抵抗の逆数)は、30℃(PDMS−EDT30)での抵抗の逆数よりも約1,113%増加したことを確認することができる。
【0193】
反面、前記比較例1のナノ粒子薄膜に対して、30℃(Glass−EDT30)及び50℃(Glass−EDT50)での抵抗の逆数値はほとんど差がないことからみて、外部温度の増加に伴って前記比較例1の抵抗が変化していないことを確認することができる。
【0194】
これによって、本発明の実施例に係る高感度温度センサは、膨張基板を使用することによって外部温度の変化を敏感に感知できることがわかる。
【0195】
図10は、本発明の比較例及び実施例に係るナノ粒子薄膜の温度に対する抵抗の変化を示したグラフである。
【0196】
図10は、前記比較例1及び実施例1の5Kずつの外部温度の変化による抵抗の変化率を示したものであり、プロットされたグラフの傾きを通じてTCRを算出することができる。
【0197】
図10を参照すると、前記実施例1(PDMS)は、外部温度が増加するほど抵抗の変化率が急激に増加するが、前記比較例1(Glass)は、抵抗の変化がほとんどないことを確認することができる。
【0198】
前記実施例1のTCRを計算した結果、4.84×10
−1±3.95×10
−2K
−1であって、前記比較例1のTCRである−1.85×10
−3±1.30×10
−4K
−1よりも非常に大きい値を有することを確認することができる。
【0199】
したがって、本発明の実施例に係る高感度温度センサのTCRは非常に大きい値を有するため、外部温度の変化に対する感知能力に優れる。
【0200】
図11は、本発明の比較例及び実施例に係るナノ粒子薄膜の反復的な温度の変化に対する抵抗の変化を示したグラフである。
【0201】
図11は、前記比較例1及び実施例1のナノ粒子薄膜に対して、303Kから323Kまで外部温度を反復的に増加及び減少を繰り返すときの抵抗の変化率を示したグラフである。
【0202】
図11を参照すると、前記実施例1(PDMS−EDT)の抵抗は、外部温度323Kで10.42ほど大きく増加する反面、前記比較例1(Glass−EDT)の抵抗は0.03だけ増加することを確認することができる。
【0203】
これによって、本発明の実施例に係る高感度温度センサは、膨張基板を使用することによって外部温度の変化を敏感に感知できるだけでなく、反復的な外部温度の変化にも一定の抵抗変化パターンを示すことで、耐久性及び信頼性に優れる。
【0204】
図12は、本発明の実施例に係る高感度温度センサの電圧に対する電流を示したグラフである。
【0205】
図12を参照すると、前記実施例2の高感度温度センサに対して、外部温度50℃(PDMS−EDT50)での電圧に対する電流(即ち、抵抗の逆数)は、30℃(PDMS−EDT30)での抵抗の逆数値よりも著しく小さいことを確認することができる。
【0206】
したがって、前記実施例2の高感度温度センサは、外部温度が増加するに伴って抵抗度が増加することを確認することができる。
【0207】
これによって、本発明の実施例に係る高感度温度センサは、前記実施例1の抵抗の変化の態様と同じ態様を有し、外部温度の変化を敏感に感知することがわかる。
【0208】
図13は、本発明の実施例に係る高感度温度センサを用いて測定した大気温度を示したグラフである。
【0209】
図13は、前記実施例2の高感度温度センサを窓際に取り付けた後、一日の温度を測定した結果を示したグラフであり、前記実施例2の高感度温度センサの抵抗を、2018年5月25日午後2時と午後10時、2018年5月28日午後3時に測定した後、温度に変換した。
【0210】
図13を参照すると、前記実施例2の高感度温度センサによって測定された外部温度は、それぞれ298K、293K及び302Kであって、韓国気象庁から提供された実際の気温と一致することを確認することができる。
【0211】
したがって、本発明の実施例に係る高感度温度センサは、外部温度の変化を敏感に感知するだけでなく、抵抗の変化による外部温度の変化を正確に感知することができる。
【0212】
以上のように、本発明は、たとえ限定された実施例と図面によって説明されたが、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者なら、このような記載から様々な修正及び変形が可能である。したがって、本発明の範囲は説明された実施例に限定されて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等なものによって定められなければならない。