(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986800
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】コントロールケーブル用アジャスター
(51)【国際特許分類】
F16C 1/22 20060101AFI20211213BHJP
F16B 37/02 20060101ALI20211213BHJP
F16B 35/00 20060101ALI20211213BHJP
F16B 37/04 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
F16C1/22 B
F16B37/02 E
F16B37/02 Z
F16B35/00 X
F16B37/04 M
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2021-114242(P2021-114242)
(22)【出願日】2021年7月9日
(62)【分割の表示】特願2019-169397(P2019-169397)の分割
【原出願日】2019年9月18日
(65)【公開番号】特開2021-165589(P2021-165589A)
(43)【公開日】2021年10月14日
【審査請求日】2021年8月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592209892
【氏名又は名称】株式会社林スプリング製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100073287
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 聞一
(72)【発明者】
【氏名】大野 仁資
(72)【発明者】
【氏名】亀子 英俊
【審査官】
日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第5119689(US,A)
【文献】
仏国特許出願公開第2921450(FR,A1)
【文献】
仏国特許出願公開第2686663(FR,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第1614597(EP,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0175676(US,A1)
【文献】
特開平4−231715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 1/22
F16B 37/02
F16B 35/00
F16B 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分断された第1、2アウターケーブルの間に配置され、且つ該第1、2アウターケーブル内に挿入されたインナーケーブルを貫通状態とした、該インナーケーブルにおける第1、2アウターケーブルから突出した両端部の遊動長を調節可能としたアジャスターであって、
前記第1アウターケーブルを固定するケーシングと、該ケーシングにおける前記第1アウターケーブルの固定部位とは反対側の部位を先端部位が貫通すると共に、基端部に前記第2アウターケーブルを固定するシャフトと、該シャフトにおける前記ケーシング内の部位に回転可能に外嵌されたシャフト固定具とを有し、前記ケーシングは一対の端板及び一対の側板を有する平面視長方形状の枠板と、該枠板内を区割する仕切板とを有し、前記一対の端板のうち一方の端板及び前記仕切板に前記シャフトが貫通すると共に、前記一対の端板のうち他方の端板に前記第1アウターケーブルを固定し、前記シャフトは前記ケーシングに対し回転不能で軸線方向に進退自在とし、前記ケーシング内に挿入可能な調整部位の外周面に、前記シャフトの軸線方向に等間隔に並列する複数の凸部を形成し、前記シャフト固定具は前記ケーシング内の前記仕切板と前記一方の端板との間に配置し、前記シャフトの挿通部位の内周面に、前記シャフト固定具を回転させた状態で前記シャフトの凸部に噛合可能な複数本の溝を形成して、未噛合状態で前記シャフトを進退可能とすると共に、噛合状態で前記シャフトを固定可能としたことを特徴とするコントロールケーブル用アジャスター。
【請求項2】
前記シャフト固定具の外周面にノブを突設し、前記一対の側板のどちらか一方における、前記一方の端板と前記仕切板との間の部位に指掛け部を形成したことを特徴とする請求項1記載のコントロールケーブル用アジャスター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コントロールケーブルにおけるアウターケーブルの端部からのインナーケーブルの端部の突出長さ、即ち遊動長を調節可能にしたアジャスターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コントロールケーブルの取付け長さを調整するアジャスターとしては、長さが調整されるコントロールケーブルの端部に形成されたロッドと、該ロッドが収容されるホルダと、該ホルダ内で、前記ロッドに係合して、このロッド及び該ロッドに固定されたコントロールケーブルの軸方向の移動を規制するロックピースと、該ロックピースを固定するロックとを有し、前記ホルダ内に、前記コントロールケーブルの一端に固定されたロッドを、軸方向に移動自在に設け、前記ロックピースを前記ホルダに設けられた挿着孔に押し込むことにより、前記ロッドに形成された被係合部と、前記ロックピースに形成された係合部とを係合して前記ロッドの軸方向の位置を調整し、前記ロッドの被係合部と前記ロックピースの係合部とを係合させた後、前記ロックを前記ロックピース側にスライドさせることにより、前記ロックピースを前記ホルダに固定して、前記コントロールケーブルの長さを調整可能にしたものが見受けられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−147292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術にあっては、調節作業時にロックピースをホルダの挿着孔に押し込む操作が必要になることから両手で行わねばならず、狭い作業空間での調節作業は非常に面倒で作業性が悪い欠点を有し、而もコントロールケーブルにおける操作手段であるインナーケーブルの端部に設けることで遊動長を調節可能にしたものであることから、細いインナーケーブルの通過箇所に配置しなければならないため、スペースの関係上対応出来ないことが有り得ることを否定出来ないなど、解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記従来技術に基づく、調節作業が両手でしか行えず、インナーケーブルの長さ調節で遊動長を調整している課題に鑑み、分断された第1、2アウターケーブルの間に配置され、且つ該第1、2アウターケーブル内に挿入されたインナーケーブルを貫通状態とした、該インナーケーブルにおける第1、2アウターケーブルから突出した両端部の遊動長を調節可能としたアジャスターであって、前記第1アウターケーブルを固定するケーシングと、該ケーシングにおける前記第1アウターケーブルの固定部位とは反対側の部位を先端部位が貫通すると共に、基端部に前記第2アウターケーブルを固定するシャフトと、該シャフトにおける前記ケーシング内の部位に回転可能に外嵌されたシャフト固定具とを有し、前記ケーシングは
一対の端板及び一対の側板を有する
平面視長方形状の枠板と、該枠板内を区割する仕切板とを有し、
前記一対の端板のうち一方の端板及び前記仕切板に前記シャフトが貫通すると共に、前記一対の端板のうち他方の端板に前記第1アウターケーブルを固定し、前記シャフトは前記ケーシングに対し回転不能で軸線方向に進退自在
とし、前記ケーシング内に挿入可能な調整部位の外周面に、前記シャフトの軸線方向に等間隔に並列する複数の凸部を形成し、前記シャフト固定具は前記ケーシング内の前記仕切板と前記
一方の端板との間に配置し、前記シャフトの挿通部位の内周面に、前記シャフト固定具を回転させた状態で前記シャフトの凸部に噛合可能な複数本の溝を形成して、未噛合状態で前記シャフトを進退可能とすると共に、噛合状態で前記シャフトを固定可能としたことによって、シャフト固定具の片手での正逆回転操作だけで、凸部と溝を噛合・未噛合状態に切換え可能にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
要するに本発明は、分断された第1、2アウターケーブルの間に配置され、且つ該第1、2アウターケーブル内に挿入されたインナーケーブルを貫通状態としたアジャスターであって、前記第1アウターケーブルを固定するケーシングと、該ケーシングにおける前記第1アウターケーブルの固定部位とは反対側の部位を先端部位が貫通すると共に、基端部に前記第2アウターケーブルを固定するシャフトと、該シャフトにおける前記ケーシング内の部位に回転可能に外嵌されたシャフト固定具とを有し、前記ケーシングは
一対の端板及び一対の側板を有する
平面視長方形状の枠板と、該枠板内を区割する仕切板とを有し、
前記一対の端板のうち一方の端板及び前記仕切板に前記シャフトが貫通すると共に、前記一対の端板のうち他方の端板に前記第1アウターケーブルを固定し、前記シャフトは前記ケーシングに対し回転不能で軸線方向に進退自在
とし、前記ケーシング内に挿入可能な調整部位の外周面に、前記シャフトの軸線方向に等間隔に並列する複数の凸部を形成し、前記シャフト固定具は前記ケーシング内の前記仕切板と前記
一方の端板との間に配置し、前記シャフトの挿通部位の内周面に、前記シャフト固定具を回転させた状態で前記シャフトの凸部に噛合可能な複数本の溝を形成して、未噛合状態で前記シャフトを進退可能とすると共に、噛合状態で前記シャフトを固定可能としたので、シャフト固定具の正逆回転操作だけで、凸部と溝を噛合・未噛合状態に切り換えることが出来るため、片手で操作することが出来、更にケーシング、シャフト、シャフト固定具及びスペーサは単純な形状で、而もシャフト固定具を収容したケーシングにシャフトを挿入するだけで組み立てることが出来る。
【0007】
前記シャフト固定具の外周面にノブを突設し、前記一対の側板のどちらか一方における、前記
一方の端板と前記仕切板との間の部位に指掛け部を形成したので、特にノブを倒して凸部と溝を噛合状態とする際に、2本の指、例えば親指と人指し指でノブと指掛け部を摘めば、より簡単にシャフト固定具を回転させることが出来る。
【0008】
前記シャフト固定具の外側に弾性を有するストッパーを設け、該ストッパーの基端部を前記ケーシングにおけるどちらか一方の側板に一体化し、前記ストッパーの先端下面又は前記シャフト固定具の外周面のどちらか一方に1つの係合手段を、他方に2つの被係合手段を形成し、一方の被係合手段は前記凸部と前記溝が未噛合状態で、他方の被係合手段は前記凸部と前記溝が噛合状態で、前記係合手段と係合可能に形成したので、前記凸部と前記溝の噛合・未噛合状態を確実に保持することが出来るため、作業後のシャフト固定具の回転を防止することが出来ると共に、シャフトの進退作業時に凸部と溝との未噛合状態を確実に保持することが出来るため、シャフトの進退作業を滞りなく行うことが出来る。
【0009】
前記ストッパーの先端に解除片を突設したので、ストッパーの先端を持ち上げ易くすることが出来るため、係合手段を被係合手段から外す作業を容易化することが出来、よって作業現場が狭く目視出来なくても手探りで簡単に行うことが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係るコントロールケーブル用アジャスターの実施例1を取り付けたコントロールケーブルの斜視図である。
【
図2】
図1のコントロールケーブルの調節前と調節後の状態を比較する断面図である。
【
図3】
図1のコントロールケーブルの水平断面図である。
【
図4】
図1のコントロールケーブルのロック状態を示す平面図である。
【
図7(a)】
図1のコントロールケーブルでシャフトが進退可能な状態を示す断面図である。
【
図7(b)】
図1のコントロールケーブルでシャフト固定具の操作途中の状態を示す断面図である。
【
図7(c)】
図1のコントロールケーブルでシャフト固定具をストッパーでロックした状態を示す断面図である。
【
図8(b)】
図8(a)のIII−III断面図である。
【
図8(c)】
図8(a)のIV−IV断面図である。
【
図9(d)】
図9(a)のVI−VI断面図である。
【
図10(c)】
図10(a)のVIII−VIII断面図である。
【
図11】本発明に係るコントロールケーブル用アジャスターの実施例2を取り付けたコントロールケーブルの平面図である。
【
図13】本発明に係るコントロールケーブル用アジャスターの実施例3を取り付けたコントロールケーブルの縦断面拡大図である。
【
図14(a)】シャフトの他実施例の要部拡大斜視図である。
【
図14(b)】
図14(a)のシャフトにおける調整部位の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る、チューブ状のアウターケーブル内にインナーケーブルを挿通させたコントロールケーブル用のアジャスター1にあっては、
図1〜6に示す様に、分断された第1、2アウターケーブル2、2aの間に配置され、且つ該第1、2アウターケーブル2、2a内に挿入されたインナーケーブル4を貫通状態として、設置前状態の第1、2アウターケーブル2、2aの先端部のキャップ3、3aからのインナーケーブル4の端部の変動可能な突出長さ、即ち設置前遊動長X1’、X2’を設定遊動長X1、X2にすべく、インナーケーブル4の両端を操作側(図示せず)及び作動側(図示せず)に固定すると共に、第1、2アウターケーブル2、2aの先端部のキャップ3、3aを移動しないブラケットB、Baに嵌め込む従来工程と同様の作業を行うだけで、設置前アウターケーブル全長Lo’を設定アウターケーブル全長Loに自動調節可能としている。
【0012】
このコントロールケーブル用のアジャスター1は、基本的に、分断された一方の第1アウターケーブル2を固定するケーシング5と、該ケーシング5における第1アウターケーブル1の固定部位とは反対側の部位を貫通させて、先端部位をケーシング5内に配置し、基端部に他方の第2アウターケーブル2aを固定するシャフト6と、該シャフト6におけるケーシング5内の部位に回転可能に外嵌されたシャフト固定具7とを有し、シャフト6はケーシング5に対し回転不能で軸線方向に進退自在とし、ケーシング5内に挿入可能な調整部位18の外周面に、シャフト6の軸線方向に等間隔に並列する複数の凸部22、22a …を形成し、シャフト固定具7はケーシング5内の所定位置に配置し、シャフト6の挿通部位26の内周面に、シャフト固定具7を回転させた状態でシャフト6の凸部22、22a …に噛合可能な複数本の溝29、29a …を形成して、未噛合状態でシャフト6を進退可能とすると共に、噛合状態でシャフト6を固定可能としている。
【実施例1】
【0013】
本発明に係るコントロールケーブル用のアジャスター1の実施例1は、
図1〜
図10(c)に示す様に、ケーシング5、シャフト6及びシャフト固定具7を有している。
【0014】
ケーシング5は、プラスチック製で、
図8(a)〜
図8(d)に示す様に、平面視長方形状の枠板8と、該枠板8内に設けた仕切板9とを有し、枠板8は一対の側板10、10a 及び一対の端板11、11a とを有し、枠板8内は仕切板9により2つの空間12、12a に区割され、一対の側板10、10a 、仕切板9及び一方の端板11で形成された一方の空間12をシャフト6の先端部位(後述する調整部位18)が貫通することで、一方の端板11及び仕切板9にシャフト6の挿通孔13、14が形成され、シャフト6の先端部が仕切板9を貫通して他方の空間12a 内に突出している。
【0015】
枠板8における他方の端板11a の外側面に突出部15を形成し、端板11a 及び突出部15にインナーケーブル4の挿通孔16を貫通形成し、突出部15の先端面に第1アウターケーブル2の基端部を挿入固定する凹部17を形成している。
【0016】
シャフト6は、プラスチック製で、
図9(a)〜
図9(d)に示す様に、断面両欠円形状のケーシング5内に挿入可能である調整部位18と、ケーシング5内に挿入不可である断面円形状の基端部位18a と、基端部に周設した鍔部19を有し、調整部位18は一対の平行な平坦面領域20、20a と一対の円周面領域21、21a とを有し、該一対の円周面領域21、21a の夫々には、シャフト6の軸線方向に等間隔に並列する複数の凸部22、22a …を有し、該凸部22、22a …は、シャフト6の軸線に対し螺旋方向に沿って形成された突条形態としている。
尚、調整部位18は、図面上、ボルトにおけるネジ山部位に平行な一対の平坦面を削成した形態、即ち各凸部22、22a …がシャフト6の軸線に対する螺旋方向に沿って形成されているが、図示しないが、シャフト6の軸線に対し直交方向に沿って形成しても良く、更に単なる突起であっても良いが、突条とするのが好ましい。
シャフト6は、中央にインナーケーブル4の挿通孔23を貫通形成し、基端面中央に第2アウターケーブル2aの基端部を挿入固定する凹部24を形成している。
シャフト6は、調整部位18における一方の空間12内の部分にシャフト固定具7を外嵌し、仕切板9及び一方の端板11の挿通孔13、14は両欠円形状としシャフト6の調整部位18を貫通状態とすることで、シャフト6に対しシャフト固定具7は正逆回転可能であるが、シャフト6自体は回転せずに軸線方向に進退可能と成っている。
【0017】
シャフト固定具7は、一方の空間12内に配置され、且つ仕切板9及び一方の端板11でシャフト6の軸線方向への移動が規制されており、
図10(a)〜(c)に示す様に、シャフト挿通部位26が貫設され、外周面にノブ25を一体突設するのが好ましい。
シャフト固定具7は、一対の側板10、10a 間の幅より若干小径な円筒形状で、シャフト挿通部位26は断面両欠円形状とし、該シャフト挿通部位26は一対の平行な平坦面領域27、27a と一対の円周面領域28、28a とを有し、一対の平行な平坦面領域27、27a の夫々には、シャフト6の凸部22、22a …が噛合可能な複数本の溝29、29a …を形成している。
【0018】
ケーシング5にシャフト固定具7のストッパー30を設け、該ストッパー30は円弧板状で、シャフト固定具7の外側に配置し、他方の側板10a に基端部を一体化し、先端下面に係止突起31を形成すると共に、シャフト固定具7のノブ25を貫通させる開口部32を形成している。
【0019】
シャフト固定具7の外周面に、ストッパー30の係止突起31が嵌まる係止溝33、33a を形成し、一方の係止溝33は、シャフト固定具7のノブ25が起立状態で、シャフト6の平坦面領域20、20a と、シャフト固定具7の平坦面領域27、27a を対向させた、シャフト6が進退可能な状態でストッパー30の係止突起31が嵌まり、他方の係止溝33a は、シャフト固定具7のノブ25を倒した状態で、シャフト6の凸部22、22a …がシャフト固定具7の溝29、29a …に完全に噛み合った状態でストッパー30の係止突起31が嵌まる様に形成している。
【0020】
ケーシング5の他方の側板10a に指掛け部34を一体突設し、該指掛け部34は他方の側板10a の上部より外方且つ上方へ斜めに突出している。
【0021】
ケーシング5の側板10、10a における他方の空間12a 内部位の内面で、シャフト6の両側部位にガイド突条35、35a を一体形成し、該ガイド突条35、35a とシャフト6の隙間を狭くして、シャフト6の進退時の横ぶれを抑えてスムーズな進退を可能としている。
【0022】
シャフト6の先端面に抜け止め36を形成し、該抜け止め36は弾性変形可能な左右一対の立ち上げ部37、37a と、該立ち上げ部37、37a の上端外側に一体形成した係止突起38、38a とを有し、シャフト6の差し込み時に抜け止め36が挿通孔13、14を通過する際に係止突起38、38a が挿通孔13、14の口縁部に当たり立ち上げ部37、37a が内側に徐々に倒れて係止突起38、38a が徐々に挿通孔13、14を通過し、完全に通過した時点で立ち上げ部37、37a が初期状態に復帰して、シャフト6を後退させても、仕切板9及び一方の端板11における挿通孔13、14の口縁部位に係止突起38、38a が当たって、シャフト6が抜けない様に成っている。
【0023】
シャフト6におけるケーシング5からの突出部位に圧縮バネ39を外装し、該圧縮バネ39の両端部を、ケーシング5及びシャフト6の鍔部19に固定状態として、ケーシング5に対しシャフト6を押し込む方向にスライドさせることで圧縮する様に成っており、而もシャフト6をケーシング5から抜き出す方向に付勢することで、凸部22、22a …と溝29、29a …の噛合状態を更に強固なものとすることを可能としている。
【実施例2】
【0024】
コントロールケーブル用のアジャスター1の実施例2は、基本的に、上記実施例1と同構成であるが、
図11、12に示す様に、ケーシング5のストッパー30に開口部32がなく、シャフト固定具7のノブ25の基端部に開口部40を形成し、該開口部40をストッパー30が貫通状態と成っている。
【実施例3】
【0025】
コントロールケーブル用のアジャスター1の実施例3は、基本的に、上記実施例1と同構成であるが、
図13に示す様に、ストッパー30の先端に解除片41を一体突設し、該解除片41に指を掛けて上へ持ち上げると、ストッパー30が撓んで係止突起31をシャフト固定具7の他方の係止溝33a から簡単に外すことが可能と成っている。
よって、例えば径年劣化に伴うメンテナンス作業時などに、解除片41があれば作業の容易化が図られる。
【0026】
シャフト6の他の実施例にあっては、
図14(a)及び
図14(b)に示す様に、螺旋方向に長い突条形態の凸部22、22a …の夫々の両端に面取り状の傾斜面42、42a を形成して、固定操作時にシャフト6の凸部22、22a …がシャフト固定具7の溝29、29a …に入り込み易くなる様にしても良い。
【0027】
次に、コントロールケーブル用のアジャスター1による調整方法について説明する。
(1)シャフト固定具7のノブ25を起立状態として、シャフト固定具7の一方の係止溝33にストッパー30の係止突起31が嵌まり込んだ状態として、シャフト6が進退可能な状態とする(
図2の「(a)調整前」を参照)。
(2)インナーケーブル4の一端を操作側(図示せず)に固定すると共に、第1アウターケーブル2のキャップ3を一方のブラケットBに嵌め込み固定して、インナーケーブル4の一端の突出長さが設定遊動長X1となる。
(3)インナーケーブル4の他端を作動側(図示せず)に固定し、第2アウターケーブル2aのキャップ3aを他方のブラケットBaに嵌め込み固定して、インナーケーブル4の他端の突出長さが設定遊動長X2となり、この過程において、シャフト6が自動的に進行して圧縮バネ39を圧縮変形させ、キャップ3、3aのブラケットB、Baへの嵌め込み固定により、設定アウターケーブル全長Loに自動的に調節される(
図2の「(b)調整後」を参照)。
(4)シャフト固定具7のノブ25及びケーシング5の指掛け部34を片手で摘んでシャフト固定具7のノブ25を、シャフト固定具7の他方の係止溝33a にストッパー30の係止突起31が嵌まり込むまで倒すと、シャフト6の凸部22、22a …がシャフト固定具7の溝29、29a …に完全に噛み合い、ケーシング5に対しシャフト6が固定される。
【0028】
尚、上記実施例において、仕切板9及び一方の端板11の挿通孔13、14、シャフト6の調整部位18及びシャフト固定具7におけるシャフト挿通部位26は2つの平行な平坦面を有する両欠円形状としているが、少なくとも1つの平坦面を有する欠円形状であれば良い。
【0029】
又、ストッパー30及び指掛け部34は、ケーシング5の他方の側板10a に形成されているが、ストッパー30は側板10、10a のどちらか一方に形成すれば良く、指掛け部34は側板10、10a におけるシャフト固定具7のノブ25を倒す側の一方に形成すれば良い。
【0030】
又、上記実施例1、2では、ストッパー30に係止突起31が、シャフト固定具7に係止溝33、33a が形成されているが、図示しないが、ストッパー30に1本の係止溝を、シャフト固定具7に2個の係止突起31を形成しても良い。
要するに、ストッパーの先端下面又はシャフト固定具の外周面のどちらか一方に1つの係合手段(係合突起又は係合溝)を、他方に2つの被係合手段(係合溝又は係合突起)を形成し、一方の被係合手段はシャフトの凸部とシャフト固定具の溝が未噛合状態で、他方の被係合手段はシャフトの凸部とシャフト固定具の溝が噛合状態で、前記係合手段と係合可能に形成すれば良い。
【符号の説明】
【0031】
1 アジャスター
2、2a 第1、2アウターケーブル
4 インナーケーブル
5 ケーシング
6 シャフト
7 シャフト固定具
8 枠板
9 仕切板
10、10a 側板
11、11a 端板
18 調整部位
22、22a … 凸部
25 ノブ
26 シャフト挿通部位
29、29a … 溝
34 指掛け部