特許第6986809号(P6986809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6986809-分割エンドピン 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986809
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】分割エンドピン
(51)【国際特許分類】
   G10D 3/01 20200101AFI20211213BHJP
【FI】
   G10D3/01
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-56871(P2019-56871)
(22)【出願日】2019年3月25日
(65)【公開番号】特開2020-160143(P2020-160143A)
(43)【公開日】2020年10月1日
【審査請求日】2020年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】719001783
【氏名又は名称】千田 守男
(72)【発明者】
【氏名】千田 守男
【審査官】 大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−007094(JP,U)
【文献】 特開2014−089821(JP,A)
【文献】 特開平05−291762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10D 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アコースティック・ギターに代表される、空洞を持った箱形弦楽器の吊り器具として使用されているエンドピンを、軸方向に正2分割して、双方の分割面中央の軸方向に対称となる位置に溝を設け、双方を合体させれば中空構造を持ったエンドピンとなる事を特徴とする分割エンドピン。
【請求項2】
二つに分けたエンドピンの一方の分割面に複数の凹み部を設け分割エンドピンメスとし、もう一方の対称面に同数の突起部を設け分割エンドピンオスとし、一対になって合体させる際に分割面がずれるのを防ぐと共に、ギターを吊り下げる保持器具としての強度も一定度保てる事を特徴とする請求項1に記載の分割エンドピン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアコースティック・ギターを演奏時に吊り下げる為の保持器具に関する。
【背景技術】
【0002】
アコースティック・ギターに具わっているエンドピンは、ギターを吊り下げて演奏する為の保持器具であるが、マイクシステムを組み込んだエレクトリック・アコースティック・ギターには、エンドピンに代わりマイクからの電気信号をギター外部に送り出すために、特許文献1の記述に相当する、標準サイズのオーディオ端子を具えたエンドピンジャックが装備されている。
以下エレクトリック・アコースティック・ギターをエレアコとする。
【0003】
マイクシステムが無いアコースティック・ギターをエレアコ化したい場合は、エレアコ用専用マイクシステムを採用する以外に、小径コンデンサーマイクの採用も選択できる。エレアコ専用マイクが多数開発される一方、音声会話用であるオーディオ用小径コンデンサーマイクは、軽量で小型のため場所を選ばず設置でき、楽器用にも転用されている。安価な製品の多くは出力用にミニ端子が具わり、ケーブルをギターのボディに這わせてテープ止めすれば、必ずしもエンドピンジャックは必要としないが、簡便で安全なケーブルの装着方法が必要と思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案出願公開 昭和56年-159394
【特許文献2】実用新案登録第3176690号(U3176690)
【特許文献3】US20060278059A1
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】http://tapastring.com/vintagejack.htm
【非特許文献2】https://item.rakuten.co.jp/craftn/cn-10002/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マイクケーブル7をギターの表板12や側板13にテープ止めした場合、テープの粘着剤はギターの塗装面に悪影響を与える場合がある。また演奏者の動作によってテープが剥落しケーブルの脱落の可能性もあるため、エンドピンジャックの採用には有為がある。しかし従来のエンドピン17を装着しているギターのエンドピンホール16は、差込口14で直径約8ミリの穴が開いているが、エンドピンジャックの外径は12ミリで、差込口14からエンドブロック15を貫通するまで穴径をエンドピンジャックの大きさに拡張しなければならず、エレアコ化を検討しているアコースティック・ギターの所有者には、費用負担と施工への不安や外観の変更への抵抗感がある。また、従来のエンドピン17にミニ端子を埋め込み成形加工した、ギターに未加工で装着できるエンドピンジャックも市販されているが、吊り下げによる負荷について、ミニ端子の耐久性や剛性への不安もある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この改善策として、エンドピン17にオーディオジャックの機能を付け加えるなどの複雑な機構は用いず、エンドブロック15内に具わるエンドピンホール16からギターの胴内部にマイクケーブル7を通して固定できる、単純な機構で成形が簡単な分割エンドピンを考案した。
【0008】
エンドピン17の軸方向に、マイクケーブル7の径と同じサイズの穴を通して開ける中空加工が可能であるが、マイクケーブル7の前後にケーブルの径よりも大きなマイク本体6およびミニ端子(プラグ)8又はミニ端子(ジャック)9が一式として接続されており、中空加工を施したエンドピンにマイク一式を貫通させることはできないため、エンドピン17を軸方向に正2分割して、双方の分割面中央の軸方向に溝を対称となる位置に設け、再び合体させれば中空加工を施したエンドピンと同等の機能を持たせる事が可能となり、マイクケーブル7を分割したエンドピンの間に挟み込み、一体にしてエンドピンホール16内に固定できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、マイクシステムがないアコースティック・ギターをエレアコ化する際に必要なエンドピンジャックは不要で、ギターの外観を変更することとなる胴部10への加工は無く、ケーブルの取り回しを行なうだけで済み、マイクシステムの必要が無くなれば従来のエンドピン17に戻す事ができる。また部品は合成樹脂や金属又は木材で成形加工が可能な2つのみで、安価に作成できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】分割エンドピンのギターへの実施方法を説明した図である。
図2】分割エンドピンとマイク一式の各部位を説明した図である。
図3】分割エンドピンとマイクケーブルを合体する実施方法を説明した図である。
図4】分割エンドピンの三面図である。
図5】従来例を示したエンドピンの断面図である。
図6】エンドピンの従来例を示したギターの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び図2は本発明に係る実施例を示す。第1図において分割エンドピンオスと分割エンドピンメスでマイクケーブル7を挟みこみ、一体となって差込口14からエンドピンホール16に差し込まれエンドブロック15内に固定される。
【0012】
第2図において分割エンドピンとマイクケーブル7が合体する実施例を示す。マイクケーブル7をケーブル通し溝5に置いて、分割エンドピンメス1の凹み部3と分割エンドピンオス2の突起部4を合わせて合体させれば、マイクケーブル7と分割エンドピンメス1および分割エンドピンオス2が一体になり外見上マイク一式がエンドピン17を貫いたようになる。
【実施例】
【0013】
図5で示したエレアコ化されていないアコースティック・ギターに取付けられたエンドピン17は、主に合成樹脂や木材で製造されており、図6で実施されているエンドピン17を引き抜けば、多くの場合空洞であるエンドピンホール16が現れる。このエンドピン17に代え、分割エンドピンを用いてマイクケーブル7を挟み、マイク一式と一体になってエンドピンホール16に差し込む様態を示したのが図1である。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は内部に空洞を持つ楽器に利用できる。
【符号の説明】
【0015】
1 分割エンドピンメス
2 分割エンドピンオス
3 凹み部
4 突起部
5 ケーブル通し用溝
6 マイク本体
7 マイクケーブル
8 ミニ端子(プラグ)
9 ミニ端子(ジャック)
10 胴部
11 サウンドホール
12 表板
13 側板
14 差込口
15 エンドブロック
16 エンドピンホール
17 エンドピン
18 装飾部
図1
図2
図3
図4
図5
図6