特許第6986840号(P6986840)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986840
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】導体編組の無い可動接点デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/02 20060101AFI20211213BHJP
【FI】
   H01H73/02 C
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-564079(P2016-564079)
(86)(22)【出願日】2015年4月21日
(65)【公表番号】特表2017-514283(P2017-514283A)
(43)【公表日】2017年6月1日
(86)【国際出願番号】FR2015051072
(87)【国際公開番号】WO2015162369
(87)【国際公開日】20151029
【審査請求日】2018年4月11日
(31)【優先権主張番号】1453706
(32)【優先日】2014年4月24日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516314136
【氏名又は名称】ヘイガー−エレクトロ エスエーエス(ソシエテ パー アクションズ シンプリフィー)
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(72)【発明者】
【氏名】デッカート,フランシス
(72)【発明者】
【氏名】シッツ,チエリー
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,ロイック
(72)【発明者】
【氏名】アイザード,ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ストッケル,ジル
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/016114(WO,A1)
【文献】 実開平05−075947(JP,U)
【文献】 特開平02−021516(JP,A)
【文献】 特開昭63−241833(JP,A)
【文献】 実開昭62−002137(JP,U)
【文献】 特開2005−353404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 71/00−83/22
H01H 69/00−69/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点(6)及びこの固定接点に載った閉鎖位置と固定接点(6)から離れた開放位置との間で枢動する、接点パッド(17)が固定された自由端部を有するアーム(16)を含む回転可動接点(5)を、各配線について絶縁ハウジング(B)内に具備しているブレーカタイプの少なくとも1つの配線の保護装置用の少なくとも1つの可動接点(5)を伴うデバイスであって、
− 前記デバイスが、短絡又は過電流の検出手段(9)によっても同様に起動され各可動接点(5)におけるロック(3)の移動に反応する機械的ロック(3)を介して接点(単複)(5)の位置制御レバー(2)に連結された接点ホルダー(単複)(4)を含み、
− 前記接点ホルダー(単複)(4)が、可動接点(5)の数に等しい数の収容部(24)を含み、各収容部(24)が、
・ 可動接点(5)のもう一方の端部(15)、
・ 一方では電流の通過を可能にするリンクにしたがった前記可動接点(5)の枢動を、他方では保護された配線に対する連結を可能にする、ハウジング(B)との関係において固定した支持体(10)、
・ 枢動軸にしたがって支持体(10)及び可動接点(5)のもう一方の端部(15)を横断するシャフト(11)、
・ 前記シャフト(11)に対して同軸でかつ枢動リンクの両側に局在化された状態で配置されている2つのねじり/圧縮螺旋バネ(23、23’)、
という構成要素を収容しており、
− 前記収容部(24)が、円筒形の外観を有し、可動接点のアームの長手方向中央平面との関係において対称な外観の連接サブアセンブリの形に組立てられた前記構成要素の導入を可能にする1つの開口部(30)を有しており、各収容部(24)が同様に、前記平面に対する対称を呈しており、
各収容部(24)が、機能的遊びを伴ってシャフト(11)の端部を収容し案内する目的で、枢動軸に対し直交し開口部(30)内に通じる収容部(24)の側壁(25、25’)内に設けられた直線的外観の溝(29)を含んでいること、及びバネ(23、23’)が、接点ホルダー(単複)(4)上のバネ(23、23’)の唯一の支承ゾーンを構成する収容部(24)の内部面(28、28’)に接して支持されるように具備された直線の端部(26、26’)、及び収容部(24)内に配置された可動接点(5)の端部(15)の側壁(25、25’)の方向にはみ出す足状部(21、21’)に繋留するように具備された湾曲した端部(27、27’)を含んでおり、前記足状部(21、21’)は枢動軸との関係においてアーム(16)の側とは反対の側に位置しており、前記足状部(21、21’)及びバネ(23、23’)の湾曲した端部(27、27’)は、第1に前記面(28、28’)によって前記直線の端部(26、26’)に対し前記面(28、28’)に直交する方向に第1の反力が加えられ、そして第2に前記足状部(21、21’)によって前記湾曲した端部(27、27’)に対し前記可動接点のアームの長手方向中央平面と平行な方向に第2の反力が加えられるように構成され配向されており、前記第1の反力及び前記第2の反力は互いに拮抗しており、前記可動接点のアームの長手方向中央平面と平行な方向は前記溝(29)と平行な方向と同じであること、前記可動接点のアームの長手方向中央平面が、前記可動接点のアームの長手方向に延在する平面に対応しており、前記側壁(25、25’)の方向が、足状部(21)に対する側壁(25)の方向又は足状部(21’)に対する側壁(25’)の方向に対応しており、前記収容部(24)の面(28、28’)に直交する方向が、湾曲した端部(27)に対する面(28)に直交する方向又は湾曲した端部(27’)に対する面(28’)に直交する方向に対応していること、を特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記可動接点(5)が2つの対称な要素で構成され、各要素が、もう一方の要素の対応する対称部分に対し対称平面に沿って並んで延在してアーム(16)を形成している第1の部分と、もう一方の要素の対称な耳部(14’、14)と共に既定の幅の内部空間を創成する、外部に向かってずらされた1つの耳部(14、14’)で形成された第2の部分(15)と、を含んでおり、前記第2の部分(15)にはシャフト(11)の通過のためのオリフィス(13)が穿孔されており、前記バネ(23、23’)と協働するために具備された足状部(21、21’)が含まれていること、を特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1の部分が、長手方向の外観をもつ剛化用リブ(18)を含むことを特徴とする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の部分が、前記収容部(24)の内部に位置するサブアセンブリの構成要素の保護シールド(20)の少なくとも1つの固定用スタッド(19)を含むことを特徴とする、請求項2及び3の一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記支持体(10)が、前記内部空間の既定の幅に等しい幅及び前記内部空間に対面する面との接触区域を形成する幾何形状を有するシャフト(11)通過用オリフィス(12)が備わった平面的外観の第1の区分(22)を含む部品で構成されており、前記第1の区分(22)が、前記収容部(24)の外部で、前記検出手段(9)との界面を構成するように形作られた第2の区分へと変化することを特徴とする、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記可動接点(5)との接触区域を形成する第1の区分(22)の部分が円形の外観を有することを特徴とする、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記界面が、トーラス型の電流センサー内を通過することを目的としかつ保護された配線の電気ケーブルの連結区域が備わったトーラスの出口自由端部を有する、前記第1の区分(22)を延長する導体ロッドで構成されていることを特徴とする、請求項5及び6の一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第2の区分が、前記第1の区分(22)の厚みに等しい厚みを有し検出手段(9)との連結用ネジの通過用オリフィス(32)が穿孔されている平面的外観の薄板の形に延長されているものであることを特徴とする、請求項5及び6の一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記支持体(10)が、少なくとも第1の区分内で前記可動接点のアームの長手方向中央平面との関係において対称な2つの部品によって作製されており、各部品が、穿孔(32)の場所で重なり合う自由端部の備わったもう一方の部分の外観と対称な外観の1つの部分によって延長されていることを特徴とする、請求項8に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばブレーカ及び/又は差動式デバイスなどのタイプの配線保護装置用の、少なくとも1つの可動接点デバイスに関する。したがって本発明は、従来少なくとも1本の電線路上に間置された装置の下流側の設備の保護を行う装置の分野に入る。
【背景技術】
【0002】
この場合、各配線について、これらの保護装置は、配線の接続手段の間に配置された固定接点と可動接点を1つずつ含む。一定の変位振幅を有していなければならない可動接点は、概して回転アームの形状をとり、その自由端部には接点パッドが固定され、上記アームは、固定した接点パッドに載った閉鎖位置とこの接点パッドから離れる開放位置との間で枢動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第2323155号明細書
【0004】
これらの接点を含む配線内で、例えば過電流又は短絡に起因して問題が発生した場合、保護装置の役割は、固定接点から可動接点を極めて迅速に分離し、配線を開放して、保護すべき回路を構成する装置及びデバイスに損傷を与えないようにすることである。
【0005】
このために、これらの保護装置は、機械的ロックを介して各可動接点の位置制御レバーに連結された可動接点ホルダー(単複)を含んでおり、この機械的ロックは、接点に対するハンドルレバーの位置又はその逆に反応し、短絡又は過電流の検出手段によっても同様に接点の開放に向かって起動され得る。ロックは、このとき、接点ホルダー(単複)及び可動接点を起動させて、開放を始める。
【0006】
これらの保護装置は、単極又は多極であり得、詳細には3相であり得る。全ての場合において、接点ホルダー(単複)は、保護対象の配線の数に実際に対応する数の保護装置に装備された全ての可動接点の移動を管理する。
【0007】
接点の閉鎖時における接触力を確保するため相互間で制御された回転横動遊びを発生させることができなければならないことから、可動接点は、動きのとれない形で接点ホルダー(単複)に固定されていない。その結果、各々の可動接点は、少なくとも1つのねじりバネを含む連接機構を用いて接点ホルダー(単複)に連結される。この機構は同様に、配線の開放のための接点ホルダー(単複)/可動接点(単複)アセンブリの枢動、及び保護すべき回路への連結デバイスに対する各可動接点の永続的な電気的及び機械的な2重リンクをも確保しなければならない。したがって、電流の通過のための機械的接触が関与するこの永続的リンクの2重の制約条件を管理し、接点の可動性を保たなければならない。
【0008】
実際には、これらの接点ホルダー(単複)は、可動接点の数に等しい数の収容部を含む。各収容部は、上述の機能を果たすことを可能にする異なる構成要素を格納しており、こうして、収容部/構成要素アセンブリは、連接機構を形成する。上記構成要素は実際には、組立てを容易にするため連接サブアセンブリの形で組織され得る。こうして、収容部は例えば、以下のものを収納している:すなわち
− 接点ホルダー(単複)及び配線の残りの部分を伴い、回転を実施することのできる可動接点の部分;
− ここでは枢動シャフトの形をしている、相対的枢動を行う手段;
− 上記シャフトに対しほぼ同軸で、接触力を及ぼすことができる少なくとも1つのねじり螺旋バネ;
− 出口側接続システムの方向での回路の下流側部分とのリンク。
【0009】
この最後のリンクは、短絡又は過電流の検出手段の上流側又はこの手段のレベルに位置していること、そして、その結果このリンクはこれらの手段との協働を可能にする形状をとらなければならないことに留意すべきである。本発明の場合、上記リンクは、先行技術において一般的に利用されてきた可能性にしたがって柔軟な導体編組を用いて実現されず、一方では電流の通過を可能にするリンクに沿った可動接点の各アームの枢動を、そして他方では保護対象配線の連結を可能にする装置のハウジングとの関係において固定した支持体を含む、一定の自由度(回転)をもつ堅固なリンクを介して実現される。
【0010】
接点ホルダー(単複)と可動接点のアームとの間に相対的回転が存在するため、接点ホルダー(単複)には、配線の残りの部分とのリンクを組織する構成要素の部分がはみ出している円形の外観の幾何形状を有することが求められる。こうして、接点ホルダー(単複)の収容部は、可動接点、回転シャフト又はその等価物、螺旋バネ(単複)及びアームの枢動支持体を含む、連接機構の導入を可能にする1つの開口部を有する円筒形の外観を有している。これらの構成要素は、その上、そのままの状態で操作可能でかつ収容部自体と同様に可動接点のアームの長手方向中央平面との関係において対称な外観を有する、連接サブアセンブリと呼ばれるサブアセンブリの形に組立てられる。
【0011】
このような構成は、先行技術において、例えば、可動接点のアームが支持体との関係において枢動できるようにする軸受により置換される枢動シャフトを除いて同じ構成要素に基づいている構成を示す特許文献1中に存在している。
【0012】
これら2つの要素間の回転リンクは、電流の通過を可能にし、ひいては、このような通過を保証する1つの接触区域を実施しなければならない。このような理由から、先に言及した螺旋ねじりバネは、突合せになっていない巻回を含み、回転リンクのレベルで接触アーム/支持体システムの相対する表面上の電流の通過を保証する、確実な接触力を枢動軸に対して平行に加える圧縮バネとしても同様に役立つ。
【0013】
異なる構成要素の相対的回転の実施を可能にすることが分かっている収容部は、結果として同様に、ねじりと圧縮の両方の役目を果たすことができるような形でバネにとっての適正な支承も可能にしなければならない。このタイプの構成における問題点は、容易な組付けを保証し、アームの枢動にもバネの機能にも不利な影響を及ぼすことなく収容部内で連接サブアセンブリを所定の位置に維持することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的である特定の構成は、これらの接点ホルダー(単複)/可動接点アセンブリにおいて提起されている機械的及び電気的問題点全体に応えるように各構成要素が最適化された1つの構想を提案することによって、これらの基準を満たしている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
要約すると、本発明のデバイスは、その絶縁ハウジング内に、短絡又は過電流の検出手段によっても同様に起動され各可動接点におけるロックの移動に反応する機械的ロックを介して接点(単複)の位置制御レバーに連結された接点ホルダー(単複)を含み、
− 上記接点ホルダー(単複)は、可動接点の数に等しい数の収容部を含み、各収容部は、
・ 可動接点のもう一方の端部、
・ 一方では電流の通過を可能にするリンクにしたがった上記可動接点の枢動を、他方では保護された配線に対する連結を可能にする、ハウジングとの関係において固定した支持体、
・ 枢動軸にしたがって支持体及び可動接点のもう一方の端部を横断するシャフト、
・ 上記シャフトに対してほぼ同軸でかつ枢動リンクの両側に局在化された状態で配置されている2つのねじり/圧縮螺旋バネ、
という構成要素を収容しており、
− 上記収容部は、円筒形の外観を有し、可動接点のアームの長手方向中央平面との関係において対称な外観の連接サブアセンブリの形に組立てられた上記構成要素の導入を可能にする1つの開口部を有しており、各収容部は同様に、上記平面に対する対称を呈している。
【0016】
本発明は次に、本質的に、各収容部が、機能的遊びを伴ってシャフトの端部を収容し案内する目的で、枢動軸に対しほぼ直交し開口部内に通じる収容部の側壁内に設けられた直線的外観の溝を含んでいること、及びバネが、接点ホルダー(単複)上のバネの唯一の支承ゾーンを構成する収容部の内部面に接して支持されるように具備されたほぼ直線の端部、及び収容部内に配置された可動接点の端部の側壁の方向にはみ出す足状部に繋留するように具備された湾曲した端部を含んでおり、上記足状部は枢動軸との関係においてアームの側とは反対の側に位置していることを特徴とする。上記足状部及びバネの湾曲した端部は、次にこの端部が足状部に対し、ほぼ溝の軸の方向及び両方の向きに2重の作用を加え、サブアセンブリ上の各バネの唯一の作用ゾーンを構成するように構成され配向されている。最後に、この足状部は、直線状端部上の内側面の反作用とは反対の向きではあるがほぼ同じ方向の作用を上記面に支持された状態で及ぼす。
【0017】
これらの特徴は、こうして可動接点のアームを中心として組織された連接サブアセンブリの容易な挿入を可能にし、作動状況の如何に関わらず、上記サブアセンブリのその収容部内での適正な位置づけを保証する。
【0018】
原則として、既存の解決法においては、ねじりバネの平衡は常に3つの点支承によって確保されており、こうしてこれらの支承は、端部足状部各々の上の支承、及び例えば中心軸上のバネの本体の内側レベルの第3の支承に振り分けられる。代替的には、第3の支承は、バネの本体の外側上、実際にはバネが挿入される収容部内で実現可能である。
【0019】
使用される解決法においては、バネの本体を構成する中央部分は、中心軸とも接点ホルダー(単複)の収容部の底面とも全く接触していない。
【0020】
可動接点のアームからはみ出している足状部のレベルの2重の接触は、支承がもはや厳密に言って点支承でなく、実際にはピボットタイプのリンクとして分析されるようなものである。あらゆる作動の場合において、この2重接触が、ほぼ溝の軸の方向で作用を及ぼすことから、可動接点及びそのシャフトは2つの直線溝の底面でまさに所定の位置にとどまり、連接サブアセンブリの安定した位置づけは、一方では上記足状部によってバネの両端部上に、そして他方では収容部内の反対側の表面上に及ぼされる反対の作用の結果としてももたらされている。
【0021】
考えられる1つの構成において、可動接点は、2つの対称な要素で構成され、各要素は、もう一方の要素の対応する対称部分に対し対称平面に沿って並んで延在してアームを形成している第1の部分と、もう一方の要素の対称な耳部と共に既定の幅の内部空間を創成する、外部に向かってずらされた1つの耳部で形成された第2の部分と、を含んでおり、上記第2の部分にはシャフトの通過のためのオリフィスが穿孔されており、バネと協働するために具備された足状部が含まれていること。
【0022】
固定支持体との電気的リンクが、相対的な回転運動と同時に一定の電流密度の通過を確保できるようにする幾何形状を有する接触区域によって行なわれることが重要である。選択された構成の場合、U字形態での構想が、2つの制約条件を遵守できるようにする優れた解決法を構成し、構成要素の異なる部分に対し行なわれる改造を用いて最適化され得る。
【0023】
したがって、第1の部分は、それが特に固定接点に押付けられた時点で曲げ応力を受けることが分かっているため、長手方向の外観をもつ剛化用リブを含むことができる。
【0024】
その上、第2の部分は、回転に対し当然好都合でありアーム及び支持体の相対的運動にも関わらず恒常な連結区域を提供する円形の幾何形状をとることができる。
【0025】
その上、可動アームは、特に接触圧力を確保する相対的回転の際に、収容部の壁の中に設けられたウィンドウ内を移動することができる。このウィンドウ内のアームの位置に応じて、このウィンドウの一部分は開放状態にされ得、収容部の内部に設置された連接サブアセンブリの構成要素にアクセスできることになる。ところが、例えば短絡の場合、接点の開放は電気アークを誘発し、アークの移動がこの部分に影響を及ぼし、潜在的には電気機械的リンクを破壊又は損傷する可能性がある。このような理由から、可動接点のアームの第1の部分はさらに、上記構成要素の保護シールド固定用の少なくとも1つのスタッドを含むことができる。
【0026】
可動接点の支持体の方は、可動接点の内部空間の既定の幅にほぼ等しい幅及び内部空間に対面する面との接触区域を形成する幾何形状を有するシャフト通過用オリフィスが備わった平面的外観の第1の区分を含む部品で構成されており、上記第1の区分は、収容部の外部で、検出手段との界面を構成するように形作られた第2の区分へと変化する。
【0027】
支持体の2つの役割、すなわち、一方では可動接点のアームを伴う相対的回転運動の可能性を保証すること、そして他方では、接点対の下流側に位置する検出手段とのリンクを可能にすること、という役割が明らかになるのが分かる。
【0028】
可動接点のアームの第2の部分のレベルでの回転接触区域について先に記したものと呼応する1つの可能性によると、可動接点とのこの接触区域を形成する上記支持体の第1の区分の部分は、円形の外観を有する。
【0029】
考えられる1つの変形形態によると、検出手段との界面は、トーラス型の電流センサー内を通過することを目的としかつ保護された配線の電気ケーブルの連結区域が備わったトーラスの出口自由端部を有する、上記第1の区分を延長する導体ロッドで構成され得る。
【0030】
この図の事例は、処理用電子回路に向けて、配線内を通る電流に比例する信号を送る電流センサーとして機能するトーラスを含む電子検出手段に対応している。このような電流センサーから受信した信号に応じて、電子回路は、引き外し用機械的ロックのアクチュエータを起動することができる。
【0031】
考えられる第2の変形形態によると、上記第1の区分は、上記第1の区分の厚みにほぼ等しい厚みを有し、検出手段との連結用ネジの通過用オリフィスが穿孔されている平面的外観の薄板の形に延長され得る。
【0032】
このバージョンは、機械的ロックの引き外しを起こすことができるように装置のハウジング内に位置づけされた磁気熱検出手段、要するに磁気コイル、例えばバイメタルと共に機能するようになっている。
【0033】
1つの可能性によると、磁気熱検出手段と協働するように想定されたこの支持体は、少なくとも第1の区分内で可動接点のアームの長手方向中央平面との関係において対称な2つの部品によって実現されており、各部品は、穿孔の場所で重なり合う自由端部の備わったもう一方の部分の外観と対称な外観の1つの部分によって延長されている。
【0034】
本発明についてここで、添付図面を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明に係る可動接点を伴うデバイスを備えたブレーカの断面図である。
図2】1本の配線用の本発明に係る固定接点/可動接点を伴うデバイスアセンブリを斜視図で表わしている。
図3】本発明の可動接点デバイスを分解組立斜視図で示す。
図4】収容部の近位側壁が切断された状態の、本発明に係るこのような固定接点/可動接点を伴うデバイスアセンブリの側面断面図である。
図5】接点ホルダー(単複)内へのサブアセンブリの挿入を斜視図で例示している。
図6】接点ホルダー(単複)内に挿入されたサブアセンブリの横断面である。
図7図4の場合と同様に接点ホルダー(単複)の近位側壁が切取られた状態の、白抜き矢印により象徴されているバネの巻上げ段階中の、接点ホルダー(単複)内に挿入されたサブアセンブリを、部分的に切取られた斜視図で示している。
図8】接点ホルダー(単複)の内側に固定された場合のバネの2つの端部に対し加えられる力を示す。
図9a】短絡又は過電流の電子検出手段を有する一変形形態を例示する。
図9b】短絡又は過電流の電子検出手段を有する一変形形態を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1を参照すると、この場合成形された絶縁ハウジングBが備わったものである図中に示されているブレーカ1は、従来、本発明を構成しないことから詳述されていない機械的ロック3を介して、固定接点6と協働するように具備された可動接点5を支持する接点ホルダー(単複)4に対して連結された制御レバー2を含んでいる。
【0037】
保護すべき配線への接続用手段7、8が固定接点6/可動接点5対の両側に配置されている。機械的ロック3は、制御レバー2の移動に反応する。こうしてこの制御レバー2は、開放し互いに距離をおいた状態又は閉鎖し互いに載っている状態という接点状態を各々反映している2つの安定した位置に対応する、ハンドルレバーがハウジング内で移動できる回転行程の2つの端部間で揺動可能である。
【0038】
機械的ロック3は特に、接点ホルダー(単複)4及び可動接点5に対して制御レバー2に伝えられた移動を伝達できるようにするナックル継手タイプの機構を含んでいる。例えば過電流又は短絡などの問題が配線内で発生した場合、(例えばバイメタルの形をした熱的手段及びコイル及び可動接極子付き磁気回路の形をした磁気的手段である)検出手段9が、機械的ロック3の平衡を破ることのできる引き外し装置を作動させて、今度は接点5、6の開放を誘発する。
【0039】
図2を参照すると、接点パッド17’とこのパッド17’が溶接されている端子とを含み、連結デバイス7との協働用の自由端部と共に全体として6という符号で呼称されている固定接点は、成形されたハウジングBの基部近傍に存在している。
【0040】
可動接点5は、接点ホルダー4(単複)由来のアーム16を含み、その上、ハウジングBの台座に固定され得る支持体10がこのホルダーのもう一方の側にはみ出している。本発明は、より詳細には、可動接点5、可動接点ホルダー(単複)4及び可動接点の回転を確保する機構を集中的に取り扱うものである。回転は2重である。すなわち、接点ホルダー(単複)4/可動接点5アセンブリは、一方では、例えば図2に見られる閉鎖位置と図4に示されている通りの開放位置との間で回転的に可動であり、他方では、図2に示されている閉鎖位置での接触力を確保するための接点ホルダー(単複)4と可動接点5との相対的回転が存在する。
【0041】
この2重の回転は、同じ回転軸との関係において行なわれる。機構全体は、図3に見られ、この図では、一方では支持体10のオリフィス12内、他方では可動接点5の第2の部分15の相同で対称な2つの耳部14、14’の中に設けられた同軸オリフィス13内に挿入された回転シャフト11が示されている。なおこの可動接点5は、可動接点5の第1の部分を形成するアーム16の端部に、固定接点6上に具備された相同の接点パッド17’に接して支持されるようになっている接点パッド17を含んでいる。その上、可動接点5のアーム16は、剛化用リブ18、ならびに図2に見られる保護シールド20を固定するのに役立つスタッド19を含む。このシールド20は、短絡後に電気アークが出現した場合に、連接機構、特に接点ホルダー(単複)4の内部に位置するバネを隔離するために具備されている。
【0042】
したがって、可動接点5の第1の部分は、細長いアーム16を含んでおり、このアームの一方の端部は接点パッド17を含み、もう一方の端部は、穿孔13を備えた2つの耳部14、14’で形成された第2の部分15に展開されている。穿孔12を備えた支持体10の自由端部と共に回転接触区域を実施するこれらの耳部14、14’には、さらに、回転シャフトを収容するオリフィス13との関係においてアーム16の反対側に位置する足状部21、21’が含まれている。
【0043】
このタイプの装置のために具備される電流強度ゲージとの関係において回転接触が適正に確保されるようにするため、支持体10の区分22、詳細には穿孔12の備わったその自由端部は、2つの耳部14、14’を離隔する距離にほぼ等しい幅を有する。
【0044】
2つのバネ23、23’は同様に、回転接触区域の適正な機能における中心的な役割を果たす。これらの螺旋バネ23、23’は、まず、以下でより詳細に見ていく通りの接触力の適用を可能にするねじりバネであるが、巻回が互いに離隔されているため、これらのバネは、圧縮バネの役目も同様に果たすことができ、耳部14、14’の外部表面上に作用してこれらの耳部を支持体10の区分22の丸味のある端部に対して押付け、回転接触を形成する。
【0045】
この圧縮作用は、特に図5及び6を参照することでより明確に分かる。可動接点5、支持体10、回転シャフト11及びバネ23、23’が、連接サブアセンブリと呼ばれるサブアセンブリの形に組立てられた時点で、このサブアセンブリは、接点ホルダー(単複)4の内部に具備された収容部24内に挿入される。円筒形の外観をもつこの収容部24は、一方では可動接点5のアーム16そして他方では支持体10の区分22の通過のための半径方向開口部を含む。この収容部は、シャフト11により具体化された回転軸の方向で、2つの側壁25、25’により制限されている。バネ23、23’の巻回は、これらの側壁25、25’と耳部14、14’の外部面との間で回転軸の方向に圧縮される。なお、この圧縮は、上記サブアセンブリの両側に配置された2つの白抜き矢印の示す通り、接点ホルダー(単複)4の収容部24内へ連接サブアセンブリを挿入する時点で実施すべきものである。サブアセンブリの挿入の向きは、他の2つの白抜き矢印に直交する外観の第3の白抜き矢印によって描かれている。
【0046】
2つのバネ23、23’は、直線の外観を有する端部26、26’と湾曲した端部27、27’を各々含んでいる。これらの端部26、26’;27、27’はそれぞれ、収容部24の表面及び、可動接点5の第2の部分15の耳部14、14’からはみ出している足状部21、21’と協働する。ここで図4は、接点ホルダー(単複)4の側壁25が除去されるように切取られた本発明の可動接点を伴うデバイスの側面図を示す。
【0047】
この図に見えるバネ23は、収容部24内に連接サブアセンブリが挿入された時点で、可動接点5のアーム16の通過を可能にする開口部内にある接点ホルダー(単複)4の部分の中に専用に具備され配向された面28に接して直線的端部26が支持されるように位置づけされる。相同な表面28’が、もう一方の側で側壁25’の近傍に見られる(図5参照)。
【0048】
収容部24は、事実上、長手方向中央平面との関係において対称性を有し、これはクランクハンドル状に形作られた2枚の薄板で構成された可動接点5と同様である。各薄板は、実際、細長いアーム16を形成する第1の部分と、中に支持体10の区分22が挿入される上記耳部14、14’を離隔する空間の幅の半分を提供するその配向に対し垂直な1つのセクションによって分離されかつ平行な外観を有する耳部14、14’のレベルにある第2の部分と、を含んでいる。可動接点5が2つの対称な部品で構成されているという事実のため、短絡の場合に、電流通過に電気力学的引力効果を活用させることが可能になる。短絡電流は、これらの部品の中を同じ向きに流れて、2つの対称な部品の中で平衡化し、このため、上記部分は、固定支持体10の接触区域上で締付けられることになる。
【0049】
バネ23、23’の湾曲した端部27、27’は、図5に例示されている通りの接点ホルダー(単複)4の収容部24内への連接サブアセンブリの導入の時点では自由な状態に残されて、図7に見られる通りの結果に到達するようになっている。この場合、連接サブアセンブリは、接点ホルダー(単複)4の内部に正しく挿入されているが、それでもこの段階では湾曲した端部27、27’はどこの上にも載っていない。組付けの最終作業は、これらを耳部14、14’からはみ出している足状部21、21’の背後に通し、こうしてバネに対しそのねじり機能において、端部26、26’で表面28、28’が提供する第1の支点に加え、上記足状部の21、21’の両側で第2及び第3の支点を提供することからなる。
【0050】
図7に見られる白抜き矢印は、足状部21、21’の背後に上記端部27、27’、を通過させることにより、バネ23、23’を巻上げるためにバネの湾曲端部27、27’に対して適用すべき応力の方向を例示している。結果は図4に見られ、この図には、足状部21の背後に収容された上記湾曲端部27が示されている。
【0051】
図3に戻ると、各々の側壁25、25’は、実際には、回転シャフト11の端部を案内する直線的外観の溝29を含んでおり、上記端部は機能的遊びを伴ってこの場所を移動することができる。したがって、接点ホルダー(単複)の内部への連接サブアセンブリの挿入の際に、バネ23、23’の外部巻回からはみ出すシャフト11の端部(図5を参照のこと)は、2つの側壁25、25’の中に設けられた2つの相同な溝29の中で底面の近傍まで案内される。一方では表面28、28’を介した収容部24内のバネ23、23’の支点、そして他方では足状部21、21’ひいては可動接点に適用される湾曲端部27、27’レベルに位置する2つの支点は、連接サブアセンブリをその収容部24の底面で不動化することができる。バネの湾曲端部27、27’及び足状部21、21’の形状の組合せが、事実上、このレベルでのピボットリンクの構成を結果としてもたらし、このリンクは、可動接点5と回転シャフト11が2本の溝29の底面で正しく所定の位置にとどまることになるように作用する。
【0052】
図8に見られる2つの拮抗する力(相対する2本の白抜き矢印を参照のこと)は、バネ23、23’が、端部26の側の単純支承及び端部27の側の2重支承を伴って接点ホルダー(単複)4の収容部24の内部でそのサブアセンブリ上に位置づけされた場合の、このバネのねじり予応力を示す。バネ23、23’の湾曲端部27、27’と協働するために具備された足状部21、21’の存在を伴う本発明に特定的な構成により、第1に収容部24の面28、28’に直交する外観を有する方向(バネ23、23’のもう一方の端部26、26’上でこの面28、28’の壁により加えられる反力と拮抗するもの)、そして第2に溝31の軸に対しほぼ平行な方向、での2重の作用を及ぼすことが可能になる。
【0053】
接点ホルダー(単複)4の収容部24内への組付けを容易にする連接サブアセンブリの組立ては、次の要領で行なわれる。すなわち、可動接点5は固定支持体10上に予め組立てられ、その後、それぞれ支持体10及び可動接点5の耳部14、14’の予め穿孔されたオリフィス12、13の中シャフト11が導入される。その後、耳部14、14’から各側ではみ出しているシャフト11の第2の部分の上に、バネ23、23’が予め位置づけされ、上記バネ23、23’は次に、このシャフト11の軸の方向に圧縮される。その後アセンブリは、開口部30の拡幅された部分を介して接点ホルダー(単複)4の収容部24内に係合される。この開口部は、例えば図4に表現された位置における接点の開放時に支持体10の部分22を通過させることのできる、より幅の小さい上部部分31を含んでいる。
【0054】
1つの可能性によると、この支持体10は、事実上対称である2つの薄板から製造され、ここで部分22を構成する薄板は厳密に対称であるが、一方オリフィス32が穿孔されて連結デバイス7、8の一方に由来する端子への固定を可能にしている基部を形成する薄板は、各半部品のオリフィス32が重なり合うような形で互いに折返されたほぼ対称の類似の2枚の薄板である。
【0055】
添付の図を参考にしながら示された実施例は、支持体10の他の形態を包含する、本発明の実施の1つの可能性を構成しているにすぎない。したがって、図9a及び9bに示された実施例においては、実際に検出手段が電子手段であり電流センサーに由来する信号を使用する場合、異なる支持体10’上では、トーラス形電流センサー33を横断するようになっているロッド22’で区分22及び支持体10の基部が置換される。
【0056】
その上、全ての図は単極デバイスを示しているが、説明された通りの連接サブアセンブリを各々収容することのできる並置された複数の収容部24を含む接点ホルダー(単複)4を備えた形の、多極装置の枠内での使用も全く同じ形で行なわれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b