(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の1以上の特定の実施形態について、以下に説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を行うために、本明細書では、実際の実施態様の全ての特徴については説明しないことにする。何れかの技術又は設計プロジェクトと同様に、このような何らかの実際の実施構成の開発において、システム及びビジネスに関連した制約への準拠など、実施構成毎に異なる可能性のある開発者の特定の目標を達成するために、多数の実施時固有の決定を行う必要がある点は理解されたい。更に、このような開発の取り組みは、複雑で時間を要する可能性があるが、本開示の利点を有する当業者にとっては、設計、製造、及び製造の日常的な業務である点を理解されたい。
【0011】
本発明の種々の実施形態の要素を導入する際に、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、要素の1以上が存在することを意味するものとする。用語「備える」、「含む」、及び「有する」は、包括的なものであり、記載した要素以外の付加的な要素が存在し得ることを意味する。
【0012】
本明細書に開示される実施形態は、一般に、排気ガス流を冷却するか又は調整するための技術に関する。例えば、ガスタービンシステムでは、1又は2以上のガスタービンエンジンは、燃料を燃焼させて1又は2以上のタービンブレードを駆動するための燃焼ガスを生成することができる。燃焼させる燃料の種類に応じて、燃焼プロセスから生じるエミッション(例えば、排気ガス)は、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、炭素酸化物(COx)、及び未燃炭化水素を含むことができる。多くの場合、ガスタービンシステムの効率的な運転を維持しながら、排気ガスがガスタービンシステム、例えばガスタービン発電プラントなどから放出される前にこれらの成分レベルを低減することが望ましい場合がある。
【0013】
排気ガス流中のNOxの量を除去又は低減するための1つの技術は、選択的触媒還元(SCR)による。SCRプロセスでは、還元剤、例えばアンモニア(NH
3)などは、排気ガス流に噴射され、排気ガス中のNOxと反応して、触媒の存在下で窒素(N
2)と水(H
2O)を生成する。SCRプロセスの有効性は、少なくとも部分的に処理される排気ガスの温度に依存する可能性があり、SCRシステムが用いる特定の触媒に依存する可能性がある。例えば、NOxを除去するためのSCRプロセスは、約700〜900°Fの温度で特に効果的とすることができる。従って、タービンエンジンからの排気ガス出力がSCRの有効温度範囲よりも高い場合、SCRプロセスの有効性(例えば、NOxの除去)を高めるために、SCRの前に排気ガスを冷却することが有益であろう。
【0014】
従って、本開示の実施形態によれば、ガスタービンシステム、例えば単純サイクル高出力ガスタービンシステムは、冷却用流体(例えば、空気)を排気ガス流に噴射するように構成された噴射システムが含むことができる。加えて、ガスタービンシステムは、冷却用流体と排気ガスとの混合を促進する複数のタービュレータを含む混合モジュールを有する混合システムを含むことができる。以下に詳細に説明するように、混合システムは、空気噴射システムの下流側(すなわち、排気ガス流に対して)であるがSCRシステムの上流側に設けることができる。混合システムのタービュレータは、冷却用流体、排気ガス、又はその両方の流れにスワールを与えて冷却用流体と排気ガスとの均一な混合を促進するためのスワール構造体を含むことができる。特定の実施形態では、ガスタービンシステムは、混合モジュールのアレイを含むことができる。アレイ形態の各混合モジュールは、同じ又は異なるスワールパターンを与えることができる。本開示の技術によれば、混合システムは、SCRシステムが受け取る冷却排気ガス(例えば、冷却用流体と排気ガスとの混合気)の温度及び/又は速度分布の均一性を改善するために設けることができる。さらに、本開示の技術は、以下に説明するように、特に単純サイクル高出力ガスタービンシステムで有用であるが、例えば、複合サイクルガスタービンシステムを含む、何らかの適切に構成されたシステムにより実施できることを理解されたい。
【0015】
前述のことを念頭に置いて、
図1は、ガスタービンエンジン12及び排気処理システム14を含む例示的なタービンシステム10の概略ブロック図である。特定の実施形態では、タービンシステム10は発電システム全体又はその一部とすることができる。ガスタービンシステム10は、運転のために天然ガス及び/又は水素リッチ合成ガスなどの液体又はガス燃料を使用することができる。
【0016】
図示のように、ガスタービンエンジン12は、吸気セクション16、圧縮機18、燃焼器セクション20、及びタービン22を含む。タービン22は、シャフト24を介して圧縮機18に駆動結合することができる。作動時、吸気セクション16を通ってタービンエンジン12に入る空気(矢印26で示す)は、圧縮機18で加圧される。空気26は、1又は2以上の空気供給源28(例えば、限定されるものではないが外気)から供給することができる。特定の実施形態では、空気26は、圧縮機18と空気供給源28との間に配置されたフィルター及び/又は消音器を通過することができる。圧縮機18は、シャフト24に結合した複数の圧縮機段を含むことができる。圧縮機18の各段は、複数の圧縮機ブレードを備えたホイールを含む。シャフト24が回転すると圧縮機ブレードが回転して空気を圧縮機18に引き込み、燃焼器セクション20に入る前に空気26を圧縮して圧縮空気30を生成する。
【0017】
燃焼器セクション20は、1又は2以上の燃焼器を含むことができる。一実施形態では、複数の燃焼器は、シャフト24の周りに略円形又は環状構成で複数の円周方向位置に配置することができる。圧縮空気30が圧縮機18を出て燃焼器セクション20に入る際に、圧縮空気30は、燃料32と混合して燃焼器内で燃焼する。例えば、燃焼器は、最適な燃焼、エッミッション、燃料消費量、出力などのために適切な比率でもって、燃料−空気混合気を燃焼器に噴射することができる1又は2以上の燃料ノズルを含むことができる。
【0018】
空気30及び燃料32の燃焼により高温加圧排気ガス36(例えば、燃焼ガス)が発生し、その後、タービン22内の1又は2以上のタービンブレードを駆動するために利用することができる。作動時、タービン22に流入して通過する燃焼ガスは、タービンブレードに接触してその間を流れ、それによってタービンブレードを駆動し、結果として、シャフト24が回転して発電プラントの発電機などの負荷を駆動する。また、前述のようにシャフト24が回転すると、圧縮機18内のブレードは吸気セクション16が受け取った空気を引き込んで加圧する。
【0019】
タービン22を通過する燃焼ガスは、排気ガス流42としてタービン22の下流端40から出る。排気ガス流42は、排気処理システム14に向かって下流方向46に流れ続ける。例えば、タービン22の下流端40は、排気処理システム14に、具体的には移行ダクト50に流体接続することができる。特定の実施形態では、排気処理システム14は、移行ダクト50の上流側に排気ディフューザを含むことができる。
【0020】
前述のように、燃焼プロセスの結果として、排気ガス流42は、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、炭素酸化物(COx)及び未燃炭化水素などの特定の副生成物を含むことができる。排気処理システム14は、排気ガス流がシステム10から出る前に当該副生成物の濃度を低減又は実質的に最小限にするために用いることができる。前述のように、排気ガス流内のNOx量を除去又は低減するための1つの技術は、選択的触媒還元(SCR)プロセスの使用による。例えば、排気ガス流42からNOxを除去するためのSCRプロセスにおいて、アンモニア(NH
3)は、排気ガス流に噴射され、触媒の存在下でNOxと反応して窒素(N
2)及び水(H
2O)を生成する。
【0021】
このSCRプロセスの有効性は、少なくとも一部は処理される排気ガスの温度に依存する。例えば、NOxを除去するためのSCRプロセスは、華氏約500から900度(oF)の温度で特に有効である。しかしながら、特定の実施形態では、タービン22から出て移行ダクト30に入る排気ガス流42は、約1000から1500oF、より具体的には1100から1200oFの温度とすることができる。従って、NOxを除去するためのSCRプロセスの有効性を高めるために、排気処理システム14は、排気ガス流42に冷却用空気を噴射してSCRの前で排気ガス流42を冷却するように構成された空気噴射システム54を含むことができる。有効温度は、ガス流れ26から除去される成分及び/又は用いる触媒に応じて様々であることを理解されたい。
【0022】
図1に示すように、空気噴射システム54は、移行ダクト50内に配置することができる。空気噴射システム54は、1又は2以上の空気供給源28から供給された冷却用空気58を移行ダクト50に噴射して排気ガス流42と混合するように構成された複数の空気噴射孔を有する複数の空気噴射管56を含むことができる。例えば、一実施形態では、空気供給源28は、1又は2以上の送風機、圧縮機(例えば、圧縮機18)、熱交換器、又はこれらの組合せを含むことができる。理解できるように、用語「冷却する」は、空気流58を説明するために用いられる場合、空気流58がタービン22を出る排気ガス流42に比較してより冷たいことを意味することを理解されたい。例えば、空気供給源28から供給された冷却用空気58は大気とすること、又は熱交換器又は他のタイプの適切な冷却機構を用いて冷却することができる。また、空気噴射システム54は、冷却用空気流れ58を調節するためのバルブを含むことができる。単に例示的に、一実施形態では、タービン22から出た排気ガス流42は、約1000ポンド/秒の割合で移行ダクト50に流入することができ、冷却用空気58は、約500ポンド/秒の割合で移行ダクト50に噴射することができる(空気噴射システム54によって)。しかしながら、排気ガス流42の流量及び冷却用空気58の流量は様々とすることができる。冷却用空気58は、排気ガス流42と混合して、冷却排気ガス流60をもたらすことができる。前述のように、冷却排気ガス60は、華氏約500から900度の温度、すなわち、SCRプロセスのNOx除去を高める又は実質的に最大にするのに適した温度とすることができる。以下で詳細に説明するように、排気処理システム14は、排気ガス流42、60の流路に沿って、排気ガス流42と冷却用空気58との混合を促進して、下流SCR処理の前に冷却排気ガス60の温度分布を均一にするように構成された混合システム64、68を含む。
【0023】
さらに
図1を参照すると、冷却排気ガス流60は、下流側に(例えば、方向46に)連続して流れて排気ダクト70に入ることができ、ここでは排気ガス流60は、還元剤74(例えば、アンモニア(NH
3))を冷却排気ガス流60に噴射するように構成された噴射システム72を通過することができる。一実施形態では、噴射グリッド72は、還元剤74を冷却排気ガス流60に噴射するための開口を備えた管網を含むことができる。還元剤74は、噴射グリッド72に流入する前に蒸発器76内で気化することができる。
【0024】
噴射グリッド72の下流側において、SCRシステム80は、ハニカム又はプレート構成などの何らかの適切な幾何形状を有する担持触媒システムを含むことができる。SCRシステム80内で、還元剤74は、冷却排気ガス60中のNOxと反応して窒素(N
2)及び水(H
2O)を生成し、結果的に、流れ矢印86で示すように、スタック84を通ってガスタービンシステム10から出る前に冷却排気ガス60からNOxを除去する。幾つかの実施形態では、スタック84は、消音器又はマフラーを含むことができる。非限定的な例において、排気処理システム14は、空気噴射システム54、混合システム64、68、及びSCRシステム80を利用して、処理される排気ガス流86中のNOx組成物を約3ppm以下に低減することができる。別の実施形態では、排気ガス温度を下げるために、霧状水を冷却用空気58と混ぜること及び水−空気混合気を移行ダクト50に噴射することができる。
【0025】
本開示は、NOxを排気ガス流42、60から除去する処理に関する複数の実施形態を説明するが、特定の実施形態は、一酸化炭素又は未燃炭化水素などの他の燃焼副生成物を除去するために提示される。このため、提供される触媒は、排気ガス流42、60から除去される組成物に応じて様々とすることができる。加えて、本明細書に開示された実施形態は、1つのSCRシステム80の使用に限定されず、多重SCRシステム80、多重触媒システムなどを含むことができることを理解されたい。
【0026】
システム10からのエミッションの制御を可能にするために、システム10は、スタック84から出る処理済み排気流れ86の組成を連続して監視する連続エミッション監視(CEM)システム90を含むこともできる。CEMシステム90が、処理済み排気流れ86の組成物が所定のパラメータセットの範囲にないことを検出すると(例えば、温度、圧力、特定の燃焼生成物)、CEMシステム90は、適切な規制団体(例えば、環境保護庁)に通知を行うことができ、その規制団体は、システム10に生成された処理済みの排気流れ88が規制要件に従っていると判定される、さらなる動き、例えばシステム10のオペレータに運転パラメータを調節するか、点検を実施するか、又は別の場合にはシステム10を運転することを止めるように通知することなどを教唆する任務を負う場合がある。幾つかの実施形態では、CEMシステム90は、ガスタービン燃焼温度、冷却用空気58の流量、ダクト50に噴射される還元剤74の量などを調節するといった、特に排気処理システム14に関連する修正措置を実施することができる。
【0027】
ここで
図2を参照すると、一実施形態による排気処理システム14の部分断面図が示されている。排気処理システム14の種々の特徴要素は、ガスタービンエンジン及び排気ダクト70に対する軸方向すなわち軸線94、半径方向すなわち軸線96、及び円周方向すなわち軸線98を参照して説明することができる。例えば、軸線94は、ガスタービンエンジンの長手方向軸線100又は縦方向に対応し、軸線96は、長手方向軸線100に対する横方向又は半径方向に対応し、軸線98は、軸方向軸線94(例えば、長手方向軸線10)の周りの円周方向に対応する。移行ダクト50の上流端104は、移行ダクト50をタービン22に流体接続して排気ガス流42を受け入れる開口106を含むことができる。さらに、
図2は、それぞれ移行ダクト50及び排気ダクト70の中に設けられた混合システム64、68の実施形態を示す。混合システム64、68は、排気処理システム14の第1の壁116と第2の壁118との間で、長手方向軸線100の周りで半径方向96及び円周方向98に複数のタービュレータ110、112を含むことができる(つまり、この移行ダクトを横切るように排気ガスの流路内に配置される)。壁116、118は、通路120を定め、排気ガス流42及び冷却用流体58は、ここを通って移行セクション50から排気ダクト72に流れる。
【0028】
混合システム64、68は、隣接するタービュレータ110、112に対して千鳥配置で及び/又は一直線に配列されたタービュレータ110、112を含む1又は2以上の混合モジュール124を備えることができる。排気ガス42及び冷却用空気58が混合モジュール124を通過する際に、排気ガス流42及び冷却用空気58は、矢印125で示す層流から矢印127で示す乱流へと遷移する。排気ガス42及び冷却用空気58の乱流127は、排気ガス42と冷却用空気58との均一な混合を促進する。
【0029】
特定の実施形態では、混合システム64は、多重混合モジュール124を含むことができる。例えば、
図2に戻ると、例示の混合システム64は、長手方向軸線100に沿って異なる位置で段階的に配置されたモジュール124のアレイを含む。例示の実施形態では、3つの混合モジュール124(例えば、3段階混合)が示されている。しかしながら、混合システム64は、任意の適切な数の混合モジュール124を含むことができる。例えば、混合システム64は、1、2、3、4、5、10、20、30、40、50、又は100の混合モジュール124を含むことができる。
【0030】
移行ダクト50は、全体的に下流方向46に拡大する。非限定的な例において、移行ダクト50の上流端104は、所定の寸法142を有することができ、移行ダクト50の反対側の下流端146は、上流端104の寸法412よりも約10%から約75%だけ大きな寸法148を有することができる。特定の実施形態では、排気ガス42及び冷却用空気58のための流路のサイズの増大に対処するために、各混合モジュール124は、異なる寸法150とすることができる。例えば、各モジュール124の寸法150は、下流方向46に増大することができ、移行ダクト50の拡大形状に適合する。換言すると、上流端104に最も近い混合モジュール124の寸法150は、下流端146に最も近い混合モジュール124の寸法150よりも小さいものとすることができる。特定の実施形態では、例えば、移行ダクト50の寸法142、148が同じ又は混合モジュール124が壁116まで延在していない実施形態では、混合モジュール124の寸法150は同じとすることができる。
【0031】
混合モジュール124のアレイは、各モジュール124が空気噴射システム54の空気噴射管56に隣接して配列されるように配置することができる。例えば、特定の実施形態では、空気噴射管56は、長手方向軸線100に沿って徐々に異なる垂直及び水平位置に配置することができる。各空気噴射管56は、特に、移行ダクト50のサイズ、移行ダクト50内の混合領域の所望の数、混合モジュール124のサイズに応じて寸法156だけ隣接する空気噴射管56から離間することができる。このため、混合モジュール124のうちの1つは、各空気噴射管56の間の空間内に位置付けることができる。各空気噴射管56の間にアレイの各混合モジュール124を位置決めすることで、混合モジュール124は、排気ガス流42と冷却用空気58との間の混合を改善することができ、冷却排気ガス60の均一な温度分布が得られる。換言すると、混合モジュール124及び空気噴射管56は互いに交互しており、移行ダクト50内に噴射ステージ及び混合ステージを形成することができる。
【0032】
例えば、排気ガスと冷却用空気の混合気の流れ特性は、混合気が下流方向46に流れる際に各混合モジュール124によって反復的に変更することができる。混合気の流れ特性の反復的変化変更は、混合気内で乱流を発達させることができるので、排気ガス流42及び冷却用空気60の均一な分布が促進されかつ移行ダクト50内の排気ガス42の冷却が促進される。このように、冷却排気ガス60をSCR処理に有効な所望温度まで十分に冷却することができ、さらに均一な温度分布をもたらすこともできる。冷却排気ガス60の均一な温度分布により、燃焼副生成物(例えば、NOx)の除去のためのSCRプロセスの有効性を高めることができる。
【0033】
前述のように、SCRプロセスは、少なくとも一部は排気ガスの温度に依存する場合がある。移行ダクト50内の排気ガスの冷却の間に、冷却用空気58は、排気ガス流内で均一に分布しない。排気ガス及び冷却用空気の不均一混合により、冷却排気ガス内に局所的な高温排気ガス領域(例えば、ホットスポット)が生じる。この高温排気ガスの局所領域は、SCRプロセスに関して適切な温度ではないので、SCRプロセスの有効性が低下する。しかしながら、排気ガス流42、冷却用空気58、又は両者の流れ特性を分散及び変更するために混合モジュール124を使用することで、混合システム64、68を備えていないシステムに比較して、移行ダクト50内の排気ガス流42及び冷却用空気58の混合効率を高めることができる。加えて、排気ガス流42及び冷却用空気58の改善された混合により、冷却排気ガス60は、排気ガスの有効なSCR処理に適した均一な温度分布を有することができる。
【0034】
例示の実施形態では混合システム64の混合モジュール124は空気噴射管56と交互しているが、他の実施形態では、混合モジュール124の全て又はセットは、空気噴射システム54の上流側に位置付けることができる。例えば、混合システム64は、開口106と空気噴射システム54との間に設けることができる(例えば、空気噴射システム54の第1の空気噴射管56の上流側)。混合モジュール124は、排気ガス流42がタービン22を出て移行ダクト50に入る際に、排気ガス流42を複数の方向でスワールさせることができる。排気流れ42をスワールさせることで乱流が促進され、通路120を通して排気ガス流42を分散させることができる。この排気ガス流42の分散により、排気ガス流42を排気処理システム14内に分散させることで冷却を促進することができ、冷却用空気58は、排気ガス流42が移行ダクト50内で均一に分散しないシステムに比較して、排気ガス流42をより一層冷却することができる。
【0035】
特定の実施形態では、排気処理システム14は、移行ダクト50の下流側に混合システムを含むことができる。例えば、
図2に示すように、混合システム68は、排気ダクト70内に設けることができる。混合システム68は、噴射システム72に隣接してその上流側に位置付けることができる。混合システム68を噴射システム72に隣接して配置すると、燃焼副生成物を除去するためのSCRプロセスの有効性を高めることができる。例えば、前述のように、冷却排気ガス60は、移行ダクト50から排気ダクト70に流入し、ここで還元剤74と反応する。冷却排気ガス70は混合モジュール124から離れて移行ダクト50を通って流れ続けるので、冷却排気ガス70の流れは、乱流からもとの層流に遷移することができる。従って、排気ダクト70内に噴射システム72に隣接して混合システム68を含むことが望ましい場合がある。このため、混合システム68は、排気ダクト70を流れる際に、層流を乱流に変えて冷却排気ガス60を分散させることができ、これにより冷却排気ガス60が還元剤74と均一に混合するのを促進する。従って、排気ダクト70内に混合システム68などの混合システムを含んでいないシステムと比較して、還元剤74と冷却排気ガス60中の燃焼副生成物(例えば、NOx)との間の反応が改善される。その結果として、SCRプロセスの有効性も高くなる。
【0036】
例えば、
図3は、混合モジュール124の中心軸線130に対して種々の水平及び垂直位置においてモジュール124の寸法126に沿って配置されたタービュレータ110、112を有する混合システム64、68の混合モジュール124を示す。混合システム64、68の中心線軸130は、排気処理システム14の長手方向軸線100に対して横方向(例えば、直交)とすることができ、タービュレータ110、112の垂直及び水平位置は、長手方向軸線100の周りで円周方向98及び半径方向96である。モジュール124は、中心線軸130に対して平行に(例えば、垂直に)、又は横方向に(例えば、直交して(水平に))配向された複数の支持梁128を含む。支持梁128は、寸法126に沿って種々の点132で交差することができ、グリッド状の支持構造体を形成する。モジュール124は、タービュレータ110、112を支持するための適切な数の支持梁128を含むことができる。支持梁128の各々は、隣接する支持梁128のうちの1つから中心線軸130に対して垂直及び水平方向の両方に離間することができ、その結果、排気ガス流42、冷却用空気58、又はその両方が通過できる通路134を形成する。
図3に示すように、タービュレータ110、112は、モジュール124の交差点132の各々に位置付けることができる。従って、各タービュレータ110、112は、隣接する支持梁128の他のタービュレータ110、112に整列することができる。
【0037】
他の実施形態では、
図4に示すように、タービュレータ110、112は、モジュール124上で千鳥配列とすることができる(例えば、ガスタービンエンジン12の半径方向に対して交互している)。例えば、図示の実施形態では、タービュレータ110、112の第1列138は、中心線軸130に沿った交差点に位置付けることができ、タービュレータ110、112の第2列140は、中心線軸130に沿った交差点132からオフセットすることができる。従って、第1列138のタービュレータ110、112は、第2列140のタービュレータ110に対して1列に並んでいなくてもよい。
【0038】
前述のように、移行ダクト50内に設けられた混合システム64は、排気処理システム14の長手方向軸線100に沿って任意の水平位置に配置された混合モジュール124のアレイを有することができる。排気ダクト70に設けられた混合システム68も同様の構成とすることができる。
図5は、混合モジュール124のアレイ170の実施形態を示し、アレイ170は、移行ダクト50又は排気ダクト70の中に位置付けることができる。アレイ170は、任意の適切な数の混合モジュール124を含むことができる。例えば、アレイ170は、2から100、2から50、2から20、2から10、4から6の間などの、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、80、又は100の混合モジュール124を含むことができる。アレイ170の混合モジュール124は、アレイ170の各混合モジュール124のタービュレータ110、112が、隣接する混合モジュール124のタービュレータ110、112と一列に並ぶように配置することができる。換言すると、アレイ170は、タービュレータ110、112がモジュール124上で同じ各位置を有する、混合モジュール124を有することができる。他の実施形態では、アレイ170の各混合モジュール124は、タービュレータ110、112の異なる配列を有することができる。例えば、
図5に示すように、混合モジュール124はタービュレータ110、112の異なる配列を有する。このようにタービュレータ110、112を千鳥配列にすると、ダクト50、70内の層流領域を低減するのを助けることができる。従って、1つの混合モジュール12のタービュレータ110、112は、隣接の混合モジュール124のタービュレータ110、112に対して千鳥配置とすることができる。
【0039】
タービュレータ110、112の動作は、混合モジュール124及びタービュレータ110、112の一部の斜視図である
図6を参照して十分に理解することができる。図示の実施形態では、タービュレータ110、112は、通路177(例えば、環状通路)を定める中心リング176(例えば、環状)を含み、ここを排気ガス流42、冷却用空気58、及び/又は冷却排気ガス60が通過することができる。中心リング176は、中心リング176から離れて半径方向98に延在するフィンを有する。各フィンは、中心リング176の外周に沿って円周方向98に離間する。図示の実施形態では、タービュレータ110、112は、3つのフィン178を有する。しかしながら、タービュレータ110、112は、任意の数のフィン178を有することができる。例えば。タービュレータは、2から20、2から10、2から6の間などの2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、又はそれ以上のフィン178を有することができる。
【0040】
タービュレータ110、112は、方向180(例えば、時計回り)で円周方向98に回転して、排気ガス流42、冷却用空気58、及び/又は冷却排気ガス60の乱流特性を促進する。フィン178の先端184は、方向180に湾曲することができ、タービュレータ110、112の回転を助けるように(例えば、回転時のタービュレータ110、112上の抗力を低減する)、及びフィン178の直下流の低流量領域を低減する。他の実施形態では、タービュレータ110、112は、実質的に方向180の逆方向(例えば、反時計回り)に回転することができる。これらの特定の実施形態では、フィン178の先端184は、方向180の実質的に逆方向に湾曲ことができる。加えて、フィン178は、約5度から約75度の間のねじり角度を有することができる。
【0041】
他の実施形態では、タービュレータ110、112は、波形の(例えば、隆起した、溝付き)パッキングプレートを含むことができる。例えば、
図7及び8は、それぞれ混合モジュール124に使用することができる波形パッキングプレート184、186の正面図を示す。波形パッキングプレート184、186は、波形表面を有する金属プレート190の層を含む。金属プレート190は、排気ガス流42、排気ガス流42、冷却用空気58、及び/又は冷却排気ガス60が金属プレート190の波形表面に衝突する際にもたらされる乱流に一部は起因して、冷却用空気58、及び/又は冷却排気ガス60の熱伝達及び均一な分散を高める。
【0042】
金属プレート190は、波形パッキングプレート184の寸法196の少なくとも一部で半径方向96に延在する列194の形態で配置することができる。例えば、
図7に示すように、各列194は、実質的に同じ半径方向96で寸法196に沿って半径方向に延在する。しかしながら、他の実施形態では、各列194は、異なる半径方向96で寸法196の一部を横切って半径方向に延在することができる。例えば、
図8に示す波形パッキングプレート186は、1つの半径方向96(第1の半径方向)に延在する列194の1つのセットと、異なる半径方向96(第1の半径方向とは異なる第2の半径方向)に延在する列198の別のセットとを有する。従って、各列194は、各列198に対して所定の角度(例えば、直角又は鋭角)で配向することができる。
図8に示す各プレートは、軸線94に対して異なる角度で配向されている隆起部(例えば溝)を含むが、プレート190は、総じて1つの方向に延在する。
【0043】
列194、198は、各金属プレート190の間に通路200を形成し、通路200は、排気ガス流42、冷却用空気58、及び/又は冷却排気ガス60が波形パッキングプレート184を通過するのを可能にする。流体(例えば、排気ガス流42、冷却用空気58、及び/又は冷却排気ガス60)が通路200を通過する場合、流体は、金属プレート190の波形表面に衝突し、タービュレータ110、112内で流れ方向が変わって乱流がもたらされる。
【0044】
波形パッキングプレート184、186は、無孔プレート、有孔プレート、又はその両方を含むことができる。例えば、
図9は、無孔金属プレート204の側面図を示し、このプレート204は、波形パッキングプレート184、186として使用して、排気ガス流42、冷却用空気58、及び/又は冷却排気ガス60の流れ特性を変えることができる。無孔金属プレート204は、波形パッキングプレート184、186を通過する流体が隣接する列194、198に流入するのを阻止するが、通路200内の乱流を促進することができる。換言すると、
図9に示す構成は、乱流の複数ゾーンをもたらすことができる。
【0045】
図10は、有孔金属プレート208の側面図を示し、このプレート208は、波形パッキングプレート184、186として使用して、排気ガス流42、冷却用空気58、冷却排気ガス60、又はこれらの組合せの流れ特性を変えることができる。有孔金属プレート208は、有孔金属プレート208の軸線212に対して種々の軸線94及び半径方向96の位置で1又は2以上の孔210を含むことができる。孔210は、有孔金属プレート194の寸法214、216の少なくとも一部に沿ってそれぞれ軸方向94及び半径方向96に延在する。例えば、図示の実施形態では、孔210は、プレート上流端218からプレート下流端220まで延在する。孔210により、波形パッキングプレート184、186の各通路200の間の流体連通が可能になり、流体(例えば、排気ガス流42、冷却用空気58、及び/又は冷却排気ガス60)は、金属プレート190に沿ってかつそこを通って流れることができる。これにより、流体の混合システム64、68を通過する際の均一な混合、及び冷却排気ガス60の均一な温度分布を促すことができる。
【0046】
また、有孔金属プレート208は、有孔部分224及び無孔部分226を含むことができる。各部分224、226は、何らかの適切なパターンで配列することができる。
図10に示すように、各部分224、226は、寸法216に沿って半径方向96に交互に配置される。従って、各有孔部分224は、無孔部分228に隣接する。しかしながら、他の実施形態では、複数の有孔部分224及び/又は無孔部分226が互いに隣接することができる。各部分224、226の特定の構成は、流体の流れ特性の所望の変更をもたらすことができ、波形パッキングプレート184、186の内部及び下流側での均一な混合が可能になる。
【0047】
特定の実施形態では、有孔プレート208の孔210は、軸線201に沿って一定の又は可変の寸法(例えば、孔が環状である場合)とすることができる。直径は、第1のプレート端218から第2のプレート端220に(又はその逆で)漸増又は漸減することができる。また、孔210の直径は、軸線212に沿ってプレート端218、220の両方に向かって漸増又は漸減することができる。加えて、孔は、軸線212に対して所定の角度で配向することができる。例えば、
図11は、線11に沿った有孔金属プレート208の一部の断面図を示す。図示の実施形態では、有孔金属プレート208の孔210は、異なる角度(軸線212に対して垂直又は鋭角)で配向される。角度を付けて孔210を配向することで、波形パッキングプレート184、186を通過する際の流体(排気ガス流42、冷却用空気58、及び/又は冷却排気ガス60)の混合及び熱伝達効率を向上させることができる。例えば、角度付き孔210は、有孔金属プレート208を通過して隣接する通路200に入り、金属プレート190の波形表面上に衝突する場合に流体の流れ方向を変えることができる。流体の流れ方向が変わることで、波形表面に衝突する際にもたらされる乱流を強化することができ、結果的に、流体の均一な混合(例えば、排気ガス流42、冷却用空気58、冷却排気ガス60、及び還元剤74の混合)が可能になる。従って、排気処理システム14内に混合システム64、68を備えていないシステムに比較して、燃焼副生成物(例えば、NOx)を除去するためのSCRプロセスの有効性を改善することができる。
【0048】
本明細書に記載の何らかの実施形態は、何らかの適切な組合せで使用して所望の熱伝達及び流体流れ特性を実現することができる。例えば、
図3及び4を参照して前述したように、混合モジュール124は、寸法126に沿って異なる垂直及び水平位置に配列された複数のタービュレータ110、112を有することができる。特定の実施形態では、混合モジュール124の各タービュレータ110、112は、排気ガス流42、冷却用空気58、及び/又は冷却排気ガス60の種々の流れ特性を高めることができる。例えば、再度
図6を参照すると、タービュレータ110、112は、排気処理システム14の長手方向軸線100の周りを回転することができる。特定の実施形態では、タービュレータ110、112は、同じ方向(例えば、方向180(時計回り))に、又は方向180の逆方向(反時計回り)に回転することができる。他の実施形態では、混合モジュール124のタービュレータ110、112の一部が方向180(例えば、時計回り)に回転し、タービュレータ110、112の他の部分が実質的に方向180の逆方向(例えば、反時計回り)に回転することができる。
【0049】
同様に、混合システム68、64のアレイ170(
図5参照)の各モジュール124のタービュレータ110、112は、アレイ170の隣接する混合モジュール124と同じ方向に又は異なる方向に回転することができる。例示的に、移行ダクト50の上流端104に最も近い混合モジュール124は、方向180(例えば、時計回り)に回転し、下流方向46の後続の混合モジュール124は、実質的に方向180の逆方向(例えば、反時計回り)に回転することができる。タービュレータ110、112の回転方向(例えば、方向180)を変えると、排気処理システム14内に乱流をもたらすことができ、排気ガス流42及び冷却空気58は、均一に混合して排気処理システム14全体にわたって分散する。このようにして、冷却排気ガス60中の均一な温度分布が実現される。さらに、冷却用空気58は、混合システム64を用いることで排気ガス流42と効率的に混合することができるので、混合システム64を用いないシステムに比較して、冷却排気ガス60をSCRシステム80での燃焼副生成物(例えば、NOx)の効率的な除去に適した温度まで冷却することができる。加えて、混合システム68の単一混合モジュール124内の又はアレイ170の各混合モジュール124の間の可変回転により、排気ダクト70内での冷却排気ガス60と還元剤74との均一な混合(例えば、混合システム68による)が可能になり、これにより、排気ダクト70内に混合モジュール124を備えていないシステムに比較して、SCRプロセスがさらに改善される。
【0050】
特定の実施形態では、混合モジュール124は、他のタイプのタービュレータ110、112を有することができる。例えば、アレイ170の1つの混合モジュール124は、
図6に示す回転式タービュレータを使用することができ、アレイ170の他の混合モジュール124は、波形パッキングプレート184、186を使用することができる。他の実施形態では、異なるタイプのタービュレータ110、112を単一の混合モジュール124内に設けることができる。例えば、混合モジュール124のタービュレータ110、112の一部を波形パッキングプレート184、186として、タービュレータ110、112の他の部分を回転式タービュレータ(例えば、
図6参照)とすることができる。アレイ170及び/又は各混合モジュール124の中に異なるタイプのタービュレータ110、112を設けることで、排気処理システム14内で排気ガス流42、冷却用空気58、及び/又は冷却排気ガス60を効率的に分散及び混合するための所望の乱流を生成することができ、SCRシステム80に入る前に冷却排気ガス60の均一な温度分布をもたらすことができる。
【0051】
前述のように、本明細書に記載の種々の技術は、排気ガス流の温度及び/又は速度分布の均一性を高めるための排気ガス流と冷却用空気の混合を可能にするが、選択的触媒還元プロセスの有効性を高めるために排気ガス流の冷却も可能にする。例えば、本明細書に記載の技術は、排気ガス流、冷却用空気、及び/又は冷却排気ガスの流れ特性を変える、混合モジュール及びタービュレータ構成の何らかの組合せをカバーすることができる。排気ガス、冷却用空気、及び/又は冷却排気ガスの流れ特性を変えると、乱流をもたらすことができ、乱流はガスタービンエンジンから出る排気ガス流の混合及び冷却を助長することができる。混合システム64、68の開示された技術及び構成は、特定の実施形態の単なる例であることが意図されており、限定的と解釈すべきではない。
【0052】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて本発明を開示し、また、あらゆる当業者が、あらゆるデバイス又はシステムを実施及び利用すること並びにあらゆる組み込み方法を実施することを含む本発明を実施することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を含む場合、或いは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。