(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
二つのタンクのフランジで絶縁スペーサが挟み込まれたガス絶縁機器の絶縁スペーサ部に第1のスロットアンテナを形成する第1の電極対及び第2のスロットアンテナを形成する第2の電極対と、
前記第1の電極対に入力された第1の信号及び前記第2の電極対に前記第1の信号と同じ時刻に入力された第2の信号に基づいて、前記ガス絶縁機器の内部で部分放電が発生したか否かを判定する判定器とを有し、
前記第1の信号のうち、設定された周波数成分のみ通過させる第1の通過周波数可変バンドパスフィルタ、及び前記第2の信号のうち、設定された周波数成分のみ通過させる第2の通過周波数可変バンドパスフィルタと、
前記第1の通過周波数可変バンドパスフィルタの出力のピーク値を保持する第1のピークホールド器、及び前記第2の通過周波数可変バンドパスフィルタの出力のピーク値を保持する第2のピークホールド器と、
前記第1のピークホールド器の出力をデジタル値に変換する第1のアナログデジタル変換器、及び前記第2のピークホールド器の出力をデジタル値に変換する第2のアナログデジタル変換器と、
前記第1のアナログデジタル変換器の出力及び前記第2のアナログデジタル変換器の出力の位相を検出する位相検出器と、
を有し、
前記判定器は、前記位相検出器の出力に基づいて、前記ガス絶縁機器の内部で部分放電が発生したか否かを判定し、
前記判定器は、前記第1のアナログデジタル変換器の出力及び前記第2のアナログデジタル変換器の出力の少なくとも一方において、位相角0°から360°までの信号検出強度の平均が閾値以下であり、かつ、位相角0°から360°を1周期とする信号検出強度の変化を検出した場合に前記ガス絶縁機器の内部で部分放電が発生したと判定することを特徴とする部分放電検出装置。
前記第1の電極対及び前記第2の電極対を、前記タンクの中心軸を含む鉛直面を対称面にして面対称に配置することを特徴とする請求項5に記載の部分放電検出装置の設置方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態に係る部分放電検出装置及び部分放電検出装置の設置方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態.
図1は、本発明の実施の形態に係る部分放電検出装置の構成を示す図である。
図2及び
図3は、実施の形態に係る部分放電検出装置が設置されるガス絶縁機器の側面図である。
図2は、ガス絶縁機器1のタンク71,72の中心軸Cに沿った側面を示し、
図3は、
図2とは逆側の側面を示している。
図4は、実施の形態に係る部分放電検出装置が設置されるガス絶縁機器の断面図である。
図4は、
図2及び
図3中のIV-IV線に沿った断面を示している。なお、
図4では、タンク72内部の導体の図示は省略している。実施の形態に係る部分放電検出装置50は、ガス絶縁機器1の絶縁スペーサ2が設置された部分に装着される第1の電極対5a及び第2の電極対5bと、第1の電極対5aから入力される電気信号である第1の信号を増幅する第1の増幅器6aと、第2の電極対5bから入力される電気信号である第2の信号を増幅する第2の増幅器6b、第1の増幅器6aから電気信号が入力され、通過帯域が可変である第1の通過周波数可変バンドパスフィルタ8aと、第2の増幅器6bから電気信号が入力され、通過帯域が可変である第2の通過周波数可変バンドパスフィルタ8bと、第1の通過周波数可変バンドパスフィルタ8aを通過した電気信号のピーク値を保持する第1のピークホールド器9aと、第2の通過周波数可変バンドパスフィルタ8bを通過した電気信号のピーク値を保持する第2のピークホールド器9bと、第1のピークホールド器9aが保持するピーク値をデジタル値に変換する第1のアナログデジタル変換器10aと、第2のピークホールド器9bが保持するピーク値をデジタル値に変換する第2のアナログデジタル変換器10bとを有する。ガス絶縁機器1は、遮断器、断路器、母線、計器用変流器、計器用変圧器及び接地開閉器を例示できる。
【0012】
また、部分放電検出装置50は、外部から入力されるガス絶縁機器1の課電電圧位相信号12に基づいて、どの位相角でどの強度の信号を検出したかをデータ化する位相検出器11と、位相検出器11から出力される第1の信号についての検出データ及び位相検出器11から出力される第2の信号についての検出データに基づいて、タンク71,72の内部で部分放電が発生したか否かを判定する判定器13と、第1の通過周波数可変バンドパスフィルタ8a及び第2の通過周波数可変バンドパスフィルタ8bに通過周波数設定信号7を出力する制御部14とを有する。
【0013】
第1の電極対5aは、電極51及び電極52を有する。第2の電極対5bは、電極53及び電極54を有する。
【0014】
第1の通過周波数可変バンドパスフィルタ8a及び第2の通過周波数可変バンドパスフィルタ8bが通過させる帯域の幅は、1MHz以下である。すなわち、第1の通過周波数可変バンドパスフィルタ8a及び第2の通過周波数可変バンドパスフィルタ8bは、設定周波数を中心にした1MHzよりも狭い帯域の信号を通過させる。
【0015】
タンク71,72は、導電性材料で円筒状に形成されている。タンク71,72の端部には、フランジ3a,3bが設けられている。絶縁スペーサ2は、フランジ3a,3bの間に挟み込まれている。タンク71,72は、フランジ3a,3bが設けられた端部において、ボルト4a及びナット4bを用いて連結されている。ボルト4aは、フランジ3a,3b及び絶縁スペーサ2を貫通しており、ボルト4aにナット4bを締結することによって、タンク71,72が連結されている。フランジ3a,3b及びボルト4aは、導電性材料で形成されている。したがって、フランジ3a,3b、ボルト4aで囲まれた領域は、細長い矩形状であり、電気的にはスリットと見なすことができる。
【0016】
第1の電極対5a及び第2の電極対5bは、フランジ3a,3bに絶縁スペーサ2が挟み込まれた絶縁スペーサ部に配置される。第1の電極対5aが有する電極51及び電極52は、フランジ3a,3b及びボルト4aで囲まれた領域を挟んで配置されており、フランジ3a,3bのうち電極51,52が配置された部分及びボルト4aで囲まれた領域に第1のスロットアンテナ101aを形成する。第2の電極対5bが有する電極53及び電極54は、フランジ3a,3b及びボルト4aで囲まれた領域を挟んで配置されており、フランジ3a,3bのうち電極53,54が配置された部分及びボルト4aで囲まれた領域に第2のスロットアンテナ101bを形成する。
【0017】
図4に示すように、ガス絶縁機器1は、8本のボルト4a及び8個のナット4bによってタンク71,72が連結されている。タンク71,72の中心軸Cに垂直な断面において、ボルト4aは、同じ円上に等間隔で配置されているため、隣り合う二本のボルト4aは、タンク71,72の中心軸Cに対して45°の中心角をなして配置されている。
【0018】
第1のスロットアンテナ101a及び第2のスロットアンテナ101bは、タンク71,72の中心軸Cを含む鉛直面Vを挟んで形成されている。また、第1のスロットアンテナ101a及び第2のスロットアンテナ101bは、タンク71,72の中心軸Cを含む水平面Hを基準にして上下とも45°の角度範囲内に形成されている。本実施の形態では、第1のスロットアンテナ101a及び第2のスロットアンテナ101bは、タンク71,72の中心軸Cを含む鉛直面Vを対称面にして、面対称に形成されている。また、第1のスロットアンテナ101a及び第2のスロットアンテナ101bは、タンク71,72の中心軸Cよりも下方に形成されている。なお、第1のスロットアンテナ101aがタンク71,72の中心軸Cよりも下方に形成されているとは、第1のスロットアンテナ101aの上端が、タンク71,72の中心軸Cよりも下方に位置していることを意味する。同様に、第2のスロットアンテナ101bがタンク71,72の中心軸Cよりも下方に形成されているとは、第2のスロットアンテナ101bの上端が、タンク71,72の中心軸Cよりも下方に位置していることを意味する。
【0019】
図5は、実施の形態に係る部分放電検出装置による電磁波の検出例を示す図である。
図6は、実施の形態に係る部分放電検出装置が放送波を検出した際の信号検出強度を示す図である。放送波AWは、一般的には、電波塔といった高所から送信されるため、水平方向よりも上方向からガス絶縁機器1に到来する。
図5では、第1のスロットアンテナ101a及び第2のスロットアンテナ101bのうち、第1のスロットアンテナ101aは、放送波AWが到来する方向とは逆側に位置する。このため、第2のスロットアンテナ101bにおいては放送波AWが受信されるのに対し、第1のスロットアンテナ101aでは、放送波AWは受信されない。
【0020】
図7は、実施の形態に係る部分放電検出装置による電磁波の検出例を示す図である。タンク71,72の内部で部分放電が発生して電磁波PWが発せられるとともに、ガス絶縁機器1には外部から放送波AWが到来している。
図8は、実施の形態に係る部分放電検出装置が部分放電によって発生した電磁波を検出した際の信号検出強度を示す図である。放送波AWが到来する方向とは逆側に位置する第1のスロットアンテナ101aにおいては、部分放電によって発生した電磁波PWのみが受信され、放送波AWは受信されない。一方、放送波AWが到来する方向に位置する第2のスロットアンテナ101bにおいては、部分放電によって発生した電磁波PWと放送波AWとの両方が受信される。
【0021】
部分放電によって発生する電磁波は、放送波に比べて弱いため、放送波を検出している第2のスロットアンテナ101bでの信号検出強度に基づいて、部分放電が発生したか否かを判定することは難しい。すなわち、
図6に示した第2のスロットアンテナ101bでの信号検出強度と、
図8に示した第2のスロットアンテナ101bでの信号検出強度とを比較しても、部分放電が発生したか否かを判定することは難しい。一方、第1のスロットアンテナ101aは放送波を検出しないため、部分放電によって発生する微弱な電磁波を検出したことを信号検出強度に基づいて判別しやすい。すなわち、
図6に示した第1のスロットアンテナ101aでの信号検出強度と、
図8に示した第1のスロットアンテナ101aでの信号検出強度とを比較すれば、部分放電が発生したか否かを容易に判定できる。
【0022】
図9は、実施の形態に係る部分放電検出装置の判定器の処理の流れを示すフローチャートである。ステップS10において、判定器13は、位相検出器11から第1の信号についての検出データ及び第2の信号についての検出データが入力されたかを判断する。位相検出器11から第1の信号についての検出データ及び第2の信号についての検出データが入力されていない場合には、ステップS10でNoとなり、ステップS10を繰り返す。位相検出器11から第1の信号についての検出データ及び第2の信号についての検出データが入力されたならば、ステップS10でYesとなり、ステップS11に進む。ステップS11において、判定器13は、位相検出器11から出力される第1の信号についての検出データ及び位相検出器11から出力される第2の信号についての検出データに基づいて、第1のスロットアンテナ101a及び第2のスロットアンテナ101bの少なくとも一方において、位相角0°から360°までの信号検出強度の平均が、閾値以下であるか否かを判断する。ここでの閾値は、予め判定器13に設定されている値である。第1のスロットアンテナ101a及び第2のスロットアンテナ101bの少なくとも一方において、位相角0°から360°までの信号検出強度の平均が、閾値以下であれば、ステップS11でYesとなり、ステップS12に進む。第1のスロットアンテナ101a及び第2のスロットアンテナ101bの両方において、位相角0°から360°までの信号検出強度の平均が、閾値を超えていれば、ステップS11でNoとなり、ステップS14に進む。
【0023】
ステップS12において、判定器13は、位相角0°から360°までの信号検出強度の平均が閾値以下であるスロットアンテナにおいて、位相角0°から360°を1周期とする信号強度の変化を検出したか否かを判断する。位相角0°から360°までの信号検出強度の平均が閾値以下であるスロットアンテナにおいて、位相角0°から360°を1周期とする信号強度の変化を検出したならば、ステップS12でYesとなり、ステップS13に進む。位相角0°から360°までの信号検出強度の平均が閾値以下であるスロットアンテナにおいて、位相角0°から360°を1周期とする信号強度の変化を検出しなければ、ステップS12でNoとなり、ステップS14に進む。
【0024】
ステップS13において、判定器13は、部分放電が発生したと判定する。
【0025】
ステップS14において、判定器13は、部分放電は発生していないと判定する。
【0026】
上記のステップS11からステップS14の処理を行うことにより、判定器13は、ガス絶縁機器1の外部から放送波が到来する環境下においても、ガス絶縁機器1の内部で発生した部分放電を検出することができる。
【0027】
なお、第1の通過周波数可変バンドパスフィルタ8aの通過帯域外の電磁波が
図7の紙面左側から到来した場合、第1のスロットアンテナ101aで受信はされるが、第1の通過周波数可変バンドパスフィルタ8aを通過しない。したがって、第1の通過周波数可変バンドパスフィルタ8aの通過帯域外の電磁波は、第1のスロットアンテナ101a又は第2のスロットアンテナ101bで受信されても、部分放電の検出結果に影響を与えることはない。
【0028】
図10は、実施の形態に係る部分放電検出装置による信号検出強度と放送波が到来する方向との関係を模式的に示す図である。
図10は、円柱導体60をガス絶縁機器1のタンク71,72に見立て、円柱導体60に垂直偏波の平面波が入射した際の円柱導体60周辺の電界強度を計算した結果を示している。なお、ガス絶縁機器1のタンク71,72の大きさに合わせて、円柱導体60の直径は500mm、入射平面波の周波数は50MHzで計算を行っている。
図10に矢印Mで示すように、紙面での右方向から放送波が到来する。放送波の偏波方向は、紙面に平行な方向である。放送波が到来する方向に位置するA点を基準にして、A点での信号検出強度を0dBとする。放送波が到来する方向とは逆側に位置するB点では、信号検出強度が−21dBである。すなわち、B点での信号検出強度は、A点での信号検出強度の10分の1弱である。したがって、放送波が到来する方向とは逆方向に形成されている第1のスロットアンテナ101a又は第2のスロットアンテナ101bは、放送波を受信しないとみなすことができる。
【0029】
図11は、実施の形態に係る部分放電検出装置による信号検出強度と放送波が到来方向との関係を模式的に示す図である。
図10と同様に、
図11は、円柱導体60をガス絶縁機器1のタンク71,72に見立て、円柱導体60に水平偏波の平面波が入射した際の円柱導体60周辺の電界強度を計算した結果を示している。なお、ガス絶縁機器1のタンク71,72の大きさに合わせて、円柱導体60の直径は500mm、入射平面波の周波数は50MHzで計算を行っている。
図11に矢印Nで示すように、紙面での右方向から放送波が到来する。放送波の偏波方向は、紙面に垂直な方向である。放送波が到来する方向に位置するD点を基準にして、D点での信号検出強度を0dBとする。放送波が到来する方向とは逆側に位置するE点では、信号検出強度が−27dBである。すなわち、E点での信号検出強度は、F点での信号検出強度の500分の1弱である。したがって、放送波が到来する方向とは逆側に形成されている第1のスロットアンテナ101a又は第2のスロットアンテナ101bは、放送波を受信しないと見なすことができる。
【0030】
上記のように、放送波は一般的には水平方向よりも上方から到来するため、第1のスロットアンテナ101a又は第2のスロットアンテナ101bが、タンク71,72の中心軸Cよりも上に形成されると、タンク71,72を回り込んだ放送波が第1のスロットアンテナ101a又は第2のスロットアンテナ101bに到達することがありうる。したがって、第1のスロットアンテナ101a又は第2のスロットアンテナ101bがタンク71,72の中心軸Cよりも上に形成されると、第1のスロットアンテナ101a及び第2のスロットアンテナ101bの両方で放送波を受信してしまう可能性がある。
【0031】
第1のスロットアンテナ101a及び第2のスロットアンテナ101bの両方を、タンク71,72の中心軸Cよりも下方に形成することにより、放送波がタンク71,72を回り込んで第1のスロットアンテナ101a又は第2のスロットアンテナ101bに到達しにくくなる。すなわち、第1のスロットアンテナ101a及び第2のスロットアンテナ101bの両方を、タンク71,72の中心軸Cよりも下方に形成することにより、第1のスロットアンテナ101a及び第2のスロットアンテナ101bの一方では、放送波が受信されないようになるため、放送波が到来する環境においても、部分放電の発生を検出することができる。
【0032】
無線通信波は、概ね水平方向からガス絶縁機器1に到来する。したがって、タンク71,72の中心軸Cを含む鉛直面を挟んで第1のスロットアンテナ101a及び第2のスロットアンテナ101bを形成することにより、第1のスロットアンテナ101a及び第2のスロットアンテナ101bの一方では、無線通信波が受信されにくくなり、無線通信波が到来する環境においても、部分放電の発生を検出できる。
【0033】
図12は、実施の形態に係る部分放電検出装置がガス絶縁機器のフランジに形成する第2のスロットアンテナにおける信号検出強度と周波数との関係を示す図である。
図12における信号検出強度は、第2のスロットアンテナ101bが、放送波が到来する方向と逆側に位置する場合の信号検出強度である。
図12においては、放送波が到来する方向に位置する第1のスロットアンテナ101aにおける信号検出強度を基準にして、放送波が到来する方向とは逆側に位置する第2のスロットアンテナ101bにおける信号強度をデシベル表示している。また、
図12には、比較例とするバイコニカルアンテナでの信号検出強度と周波数との関係を併せて示している。なお、
図12中の実線の波形は、第2のスロットアンテナ101bにおける信号検出強度であり、破線の波形は、比較例とするバイコニカルアンテナにおける信号検出強度である。放送波が到来する方向とは逆側に位置するバイコニカルアンテナでは、84.7MHz付近の放送波の信号検出強度は、−70dB程度である。これに対し、放送波が到来する方向とは逆側に位置する第2のスロットアンテナ101bにおいては、84.7MHz付近の放送波の信号検出強度は−90dB以下である。すなわち、ガス絶縁機器1の表面から離れて設置されるバイコニカルアンテナは、ガス絶縁機器1の表面に設置されるスロットアンテナと比較すると、放送波の信号検出強度が高い。したがって、部分放電の検出にスロットアンテナを用いた方が、部分放電によって発生する電磁波が放送波に埋もれにくくなることがわかる。
【0034】
なお、放送波又は無線通信波が、タンク71,72の中心軸Cの軸方向にも進行する場合は、電磁波の進行方向に沿ったタンク71,72の断面が円ではなく楕円となるが、電磁波が到来する方向の逆側のタンク71,72の表面で、放送波又は無線通信波の信号検出強度が数十デシベル小さくなることは同様である。すなわち、放送波又は無線通信波が、タンク71,72の中心軸Cの軸方向にも進行する場合も、タンク71,72の中心軸Cを含む鉛直面を挟んで第1のスロットアンテナ101a及び第2のスロットアンテナ101bをガス絶縁機器1の表面に形成することにより、第1のスロットアンテナ101a及び第2のスロットアンテナ101bの一方では、放送波又は無線通信波が受信されないようにすることができる。
【0035】
実施の形態に係る部分放電検出装置50は、タンク71,72の中心軸Cを含む鉛直面Vを挟んで二つのスロットアンテナをガス絶縁機器1に形成できるため、二つのスロットアンテナのうち一方では、放送波及び無線通信波を検出しないようにできる。したがって、放送波又は無線通信波が到来する方向によらず、部分放電を検出することができる。
【0036】
放送波の強度が時間とともに変化する場合、又は放送波が到来する方向が時間とともに変化する場合には、ガス絶縁機器1の2箇所において異なる時刻に部分放電の検出を行っても、検出結果に含まれる放送波の成分が一致しないため、放送波だけを信号検出結果から除去する補正を行うことができない。実施の形態に係る部分放電検出装置50は、ガス絶縁機器1の2箇所に形成した第1のスロットアンテナ101a及び第2のスロットアンテナ101bに同じ時刻に入力された信号に基づいて部分放電が発生したか否かを判定するため、外部から到来する放送波の強度又は方向が時間とともに変化する場合でも、部分放電を検出することができる。
【0037】
上記の実施の形態においては、タンク71,72は、フランジ3a,3bの部分で8本のボルト4a及び8個のナット
4bを用いて連結されていたが、タンク71,72を連結するボルト4a及びナット4bの組は、8組に限定されない。すなわち、タンク71,72を連結するボルト4a及びナット4bの組は、7組以下であってもよいし、9組以上であってもよい。
【0038】
また、上記の実施の形態においては、タンク71,72の中心軸Cを含む水平面Hの上にボルト4a及びナット4bが配置されているが、タンク71,72の中心を含む水平面H上にボルト4a及びナット4bが配置されていなくてもよい。
【0039】
上記の実施の形態の部分放電検出装置50の判定器13及び制御部14の機能は、処理回路により実現される。すなわち、判定器13は、第1の電極対5aに入力された信号及び第2の電極対5bに入力された信号に基づいて、ガス絶縁機器1の内部で発生した部分放電が発生したか否かを判定する処理を行う処理回路を備える。制御部14は、第1の通過周波数可変バンドパスフィルタ8a及び第2の通過周波数可変バンドパスフィルタ8bに、通過周波数設定信号7を出力する処理を行う処理回路を備える。また、処理回路は、専用のハードウェアであっても、記憶装置に格納されるプログラムを実行する演算装置であってもよい。
【0040】
処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路は、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、又はこれらを組み合わせたものが該当する。
図13は、実施の形態に係る部分放電検出装置の判定器及び制御部の機能をハードウェアで実現した構成を示す図である。処理回路19には、第1の電極対5aに入力された信号及び第2の電極対5bに入力された信号に基づいて、ガス絶縁機器1の内部で発生した部分放電が発生したか否かを判定する処理及び第1の通過周波数可変バンドパスフィルタ8a及び第2の通過周波数可変バンドパスフィルタ8bに、通過周波数設定信号7を出力する処理を実現する論理回路19aが組み込まれている。
【0041】
処理回路19が演算装置の場合、第1の電極対5aに入力された信号及び第2の電極対5bに入力された信号に基づいて、ガス絶縁機器1の内部で発生した部分放電が発生したか否かを判定する処理及び第1の通過周波数可変バンドパスフィルタ8a及び第2の通過周波数可変バンドパスフィルタ8bに、通過周波数設定信号7を出力する処理は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
【0042】
図14は、実施の形態に係る部分放電検出装置の判定器及び制御部の機能をソフトウェアで実現した構成を示す図である。処理回路19は、プログラム19bを実行する演算装置191と、演算装置191がワークエリアに用いるランダムアクセスメモリ192と、プログラム19bを記憶する記憶装置193を有する。記憶装置193に記憶されているプログラム19bを演算装置191がランダムアクセスメモリ192上に展開し、実行することにより、第1の電極対5aに入力された信号及び第2の電極対5bに入力された信号に基づいて、ガス絶縁機器1の内部で発生した部分放電が発生したか否かを判定する処理及び第1の通過周波数可変バンドパスフィルタ8a及び第2の通過周波数可変バンドパスフィルタ8bに、通過周波数設定信号7を出力する処理が実現される。ソフトウェア又はファームウェアはプログラム言語で記述され、記憶装置193に格納される。演算装置191は、中央演算処理装置を例示できるがこれに限定はされない。
【0043】
処理回路19は、記憶装置193に記憶されたプログラム19bを読み出して実行することにより、各処理を実現する。すなわち、部分放電検出装置50は、処理回路19により実行されるときに、第1の電極対5aに入力された信号及び第2の電極対5bに入力された信号に基づいて、ガス絶縁機器1の内部で発生した部分放電が発生したか否かを判定するステップ及び第1の通過周波数可変バンドパスフィルタ8a及び第2の通過周波数可変バンドパスフィルタ8bに、通過周波数設定信号7を出力するステップが結果的に実行されることになるプログラム19bを記憶するための記憶装置193を備える。また、プログラム19bは、上記の手順及び方法をコンピュータに実行させるものであるとも言える。
【0044】
なお、第1の電極対5aに入力された信号及び第2の電極対5bに入力された信号に基づいて、ガス絶縁機器1の内部で発生した部分放電が発生したか否かを判定する処理及び第1の通過周波数可変バンドパスフィルタ8a及び第2の通過周波数可変バンドパスフィルタ8bに、通過周波数設定信号7を出力する処理について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現するようにしてもよい。
【0045】
このように、処理回路19は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0046】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。