特許第6986872号(P6986872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6986872ウェハ支持台、化学気相成長装置、及び、SiCエピタキシャルウェハの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986872
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】ウェハ支持台、化学気相成長装置、及び、SiCエピタキシャルウェハの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/458 20060101AFI20211213BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20211213BHJP
   C30B 29/36 20060101ALI20211213BHJP
   C30B 25/12 20060101ALI20211213BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   C23C16/458
   H01L21/205
   C30B29/36 A
   C30B25/12
   H01L21/68 N
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-123204(P2017-123204)
(22)【出願日】2017年6月23日
(65)【公開番号】特開2019-7045(P2019-7045A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】増田 竜也
【審査官】 宮崎 園子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/105010(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/458
H01L 21/205
C30B 29/36
C30B 25/12
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハ上に層を形成する化学気相成長装置に用いられるウェハ支持台であって、
ウェハ載置面を有する支持台本体と、載置されるウェハの外周を囲み、ウェハの厚さ以上の板厚を有するリング状部と、を備え、
前記リング状部は、載置されるウェハの外周に対向するように前記ウェハ載置面から起立する内周面と、外周面とを有し、
前記リング状部は、前記板厚を有する等厚部と、前記内周面の高さがウェハの厚さよりも低い低内周面部と、からなり、
前記低内周面部の内周面の高さは、載置されるウェハの厚さの1/3〜2/3である、ウェハ支持台。
【請求項2】
前記低内周面部は、前記等厚部に対して等厚部の内周面の上端を含む部分が切り欠かれた形状を有してなる、請求項1に記載のウェハ支持台。
【請求項3】
前記低内周面部は、前記内周面の上端につながる傾斜面を有する、請求項1に記載のウェハ支持台。
【請求項4】
前記低内周面部の外周面の高さは、前記等厚部の外周面の高さと同じである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のウェハ支持台。
【請求項5】
前記低内周面部を複数有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のウェハ支持台。
【請求項6】
前記支持本体と前記リング状部とが別個の部材である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のウェハ支持台。
【請求項7】
前記傾斜面の前記内周面に対する角度は、10°以上45°以下である、請求項3に記載のウェハ支持台。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のウェハ支持台を備える化学気相成長装置。
【請求項9】
SiCウェハの主面上に、化学的気相成長法によってSiCエピタキシャル膜を成長させるSiCエピタキシャルウェハの製造方法であって、
凹状収容部を有する搭載プレートと、前記凹状収容部内に配置された請求項1〜7のいずれか一項に記載のウェハ支持台とを備える化学気相成長装置を用い、
前記SiCウェハを斜めに傾け、前記SiCウェハの一部を前記ウェハ支持台のリング状部に当てて前記ウェハ支持台にセットする際に、前記一部が当たるリング状部の部分が前記低内周面部になるようにする、SiCエピタキシャルウェハの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハ支持台、化学気相成長装置、及び、SiCエピタキシャルウェハの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素(SiC)は、シリコン(Si)に比べて絶縁破壊電界が1桁大きく、バンドギャップが3倍大きく、熱伝導率が3倍程度高い等の特性を有する。炭化珪素はこれらの特性を有することから、パワーデバイス、高周波デバイス、高温動作デバイス等への応用が期待されている。このため、近年、上記のような半導体デバイスにSiCエピタキシャルウェハが用いられるようになっている。
【0003】
SiCエピタキシャルウェハは、SiC基板(SiCウェハ)上にSiC半導体デバイスの活性領域となるSiCエピタキシャル膜を成長させることによって製造される。SiC基板は、昇華法等で作製したSiCのバルク単結晶から加工して得られ、SiCエピタキシャル膜は、化学的気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD)によって形成される。
【0004】
SiCエピタキシャルウェハを製造するための装置としては、複数のウェハを水平に配置し、各ウェハを公転させるとともにウェハ中心を軸にしてウェハ自体を自転させる水平自公転型のエピタキシャル成長装置が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
【0005】
このエピタキシャル成長装置では、複数の凹状収容部を有し、回転可能な搭載プレート(サセプタ)上に、この搭載プレートの回転軸を囲むように、その複数の凹状収容部内のそれぞれに、ウェハ支持台が収容される。ウェハ支持台が回転駆動機構によって自転可能とされることにより、このウェハ支持台のウェハ載置面上に載置されたSiC基板は、搭載プレートの回転軸を中心に公転するとともに自転することで、自公転可能に構成されている。この自公転によって、SiC基板の被処理面に対して原料ガスが均一に届くように工夫されている。
【0006】
上述のようなエピタキシャル成長装置においては、原料ガスがウェハ支持台上に載置されたSiC基板の外周端部の外側から通過することで、原料ガスがSiC基板上に供給される。この際、加熱手段によってSiC基板を高温に維持しながら、基板上にエピタキシャル材料をエピタキシャル成長させることでエピタキシャル膜を成膜する。
この自公転型のエピタキシャル成長装置は、SiC基板はウェハ支持台を介して搭載プレート上に載置される構成であるが、基板が搭載プレートに形成された凹部に直接、載置される構成のエピタキシャル成長装置もある。
【0007】
ここで、ウェハ支持台は通常、ウェハを載置可能とする開口部を有し、ウェハの外周を囲むリング状部と、ウェハが載置されるウェハ載置面を有する支持体本体とを有する。
また、ウェハ支持台の材料は、高温に耐える必要があるため、炭化珪素やTaCコートされた黒鉛などを用いることが多い。
【0008】
ウェハ支持台にウェハ(基板)を載せる方法としては、ウェハを斜めに傾けて、ウェハ支持台(リング状部)の内側側面(内周面)にウェハの外周を接触させてから、ウェハの接触している部分の逆側を下す方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第2771585号公報
【特許文献2】特許第2835338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図7(a)及び(b)を用いて、上記のウェハ支持台にウェハを載せる方法について説明する。図7(a)は、ウェハの外周をウェハ支持台の内側側面に接触させたときの、ウェハ支持台120、ウェハW、及び、ウェハを保持する真空ピンセットPを模式的に示した断面図である。ウェハ支持台120は、ウェハ載置面121sを有する支持台本体121と、ウェハの外周を囲むリング状部122とからなる。図中の「OF」は、いわゆるオリフラ(オリエンテーション・フラット(orientation flat)を示す。図7(b)は、ウェハWの上方から見た平面図である。
図7(a)に示す通り、ウェハWを斜めに傾けて、ウェハ支持台120のリング状部122の内側側面(内周面)122aにウェハの外周Wcを接触させるとき、ウェハが接触するのは通常、外周のうち、特にその上端(外周上端)Wctである。リング状部を構成する材料やリング状部に付着している炭化珪素などの異物が、ウェハWの表面Wsに散乱することがある。
【0011】
図8は、図7(b)に示すように、SiCウェハのオリフラ側を真空ピンセットで保持し、オリフラの反対側をリング状部の内側側面に接触させてから、SiCウェハのオリフラ側をおろして、SiCウェハのウェハ支持台のウェハ載置面に載せ、その後、SiCのエピタキシャル膜を10.5μm形成したSiCエピタキシャルウェハについて、KLAテンコール社製のCandela(カンデラ)によって得られたカンデラ像である。
像中の斑点は種々の欠陥を示す。オリフラの反対側からオリフラ側へ(上から下へ)斑点が筋状に並んでいることがわかる(長丸で囲んだ部分)。
【0012】
図9(b)は、図8を得た場合とは逆に、図9(a)のように、オリフラの反対側を真空ピンセットで保持し、オリフラ側をリング状部の内側側面に接触させてから、SiCウェハのオリフラの反対側をおろして、SiCウェハのウェハ支持台のウェハ載置面に載せ、その後、SiCのエピタキシャル膜を10.5μm形成したSiCエピタキシャルウェハについてのカンデラ像である。
この場合、リング状部の内側側面に接触しないオリフラの部分ではなく、セットの際に接触したと思われる、オリフラの部分とオリフラ以外の部分との境界から下へ斑点が筋状に並んでいることがわかる(長丸で囲んだ部分)。
なお、図7(b)に示したセットの方法の方が図9(a)に示したセットの方法に比べて、SiCエピタキシャルウェハ製造後に取り出して、上方から挿入するタイプの複数のSiCエピタキシャルウェハを収容できるキャリアに入れた際に、OFを上から確認しやすいというメリットがある。
【0013】
図8及び図9(b)の結果は、ウェハ支持台のリング状部の内側側面(内周面)にウェハの外周Wcの上端(外周上端)Wctが接触した結果、リング状部を構成する材料やリング状部に付着している炭化珪素などの異物が、ウェハWの表面Wsに散乱することを示すものである。この場合、その後にウェハ上にエピタキシャル膜を形成させると、ウェハ表面Ws上に付着した異物の箇所ではエピタキシャル膜に欠陥が発生してしまい、デバイス不良につながる。
【0014】
この問題は、リング状部122の厚さ(高さ)hがウェハWの厚さtよりも厚いことに起因するので、リング状部122として、その厚さhがウェハWの厚さtよりも薄いものを使うことが解消できるとも思える。
しかしながら、リング状部122全体の厚さhを単に、ウェハWの厚さtよりも薄くした場合、新たな課題として、ウェハの外周部にて、エピクラウンなどの異常成長が起こりやすくなる。また、ウェハが高温になり、その外周部が持ち上がるように反った際には、ウェハ支持台から離脱してしまうおそれがある。
従って、リング状部122全体の厚さhをウェハWの厚さに比べて単に薄くするだけでは、新たな大きな課題を生じることなく、ウェハ載置時にウェハがウェハ支持台に接触することに起因するエピタキシャル膜の欠陥の問題は解消することはできない。
【0015】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ウェハをウェハ支持台に載置する際にウェハがウェハ支持台に接触することに起因するエピタキシャル膜の欠陥が低減できるウェハ支持台、化学気相成長装置、及び、SiCエピタキシャルウェハの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
【0017】
(1)本発明の一態様に係るウェハ支持台は、ウェハ上に層を形成する化学気相成長装置に用いられるウェハ支持台であって、ウェハ載置面を有する支持台本体と、載置されるウェハの外周を囲み、ウェハの厚さ以上の板厚を有するリング状部と、を備え、前記リング状部は、載置されるウェハの外周に対向するように前記ウェハ載置面から起立する内周面と、外周面とを有し、前記リング状部は、前記板厚を有する等厚部と、前記内周面の高さがウェハの厚さよりも低い低内周面部と、からなる。
【0018】
(2)上記(1)に記載のウェハ支持台において、前記低内周面部は、前記等厚部に対して等厚部の内周面の上端を含む部分が切り欠かれた形状を有してなるものであってもよい。
【0019】
(3)上記(1)に記載のウェハ支持台において、前記低内周面部は、前記内周面の上端につながる傾斜面を有してもよい。
【0020】
(4)上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載のウェハ支持台において、前記低内周面部の外周面の高さは、前記等厚部の外周面の高さと同じであってもよい。
【0021】
(5)上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載のウェハ支持台において、前記低内周面部を複数有してもよい。
【0022】
(6)上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載のウェハ支持台において、前記支持体本体と前記リング状部とが別個の部材であってもよい。
【0023】
(7)本発明の一態様に係る化学気相成長装置は、上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載のウェハ支持台を備える。
【0024】
(8)本発明の一態様に係るSiCエピタキシャルウェハの製造方法は、SiCウェハの主面上に、化学的気相成長法によってSiCエピタキシャル膜を成長させるSiCエピタキシャルウェハの製造方法であって、凹状収容部を有する搭載プレートと、前記凹状収容部内に配置された上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載のウェハ支持台とを備える化学気相成長装置を用い、前記SiCウェハを斜めに傾け、前記SiCウェハの一部を前記ウェハ支持台のリング状部に当てて前記ウェハ支持台にセットする際に、前記一部が当たるリング状部の部分が前記低内周面部になるようにする。
【発明の効果】
【0025】
本発明のウェハ支持台によれば、ウェハがウェハ支持台に接触することに起因するエピタキシャル膜の欠陥が低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る化学気相成長装置の一例を模式的に示す断面図である。
図2図1のシーリング側から見た搭載プレートの平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るウェハ支持台の一例の模式図であり、(a)は平面図(ウェハWも示す)であり、(b)は(a)のウェハ支持台のX−X線で切った断面図(点線でウェハWを示す)であり、(c)も(a)のウェハ支持台のX−X線で切った断面図(ウェハWを示さず)であり、(d)は(a)のウェハ支持台のY−Y線で切った断面図(点線でウェハWを示す)である。
図4】低内周面部を備えることによる効果を説明するための断面模式図である。
図5】低内周面部の近傍を拡大した断面模式図であり、(a)は傾斜部と平板部とを説明するための図であり、(b)は傾斜部の形状を説明するための図であり、(c)は傾斜面の角度を示すための図である。
図6】(a)及び(b)はいずれも、本発明の他の実施形態に係るウェハ支持台の一例の断面模式図である。
図7】ウェハをウェハ支持台にセットする方法について説明する模式図であり、(a)は断面模式図であり、(b)は平面図である。
図8図7(b)で示した方法でウェハをウェハ支持台にセットした場合のSiCエピタキシャルウェハのカンデラ像である。
図9】(a)は、ウェハをウェハ支持台にセットする図7(b)と異なる方法を説明するための平面模式図であり、(b)は(a)で示した方法でウェハをウェハ支持台にセットした場合のSiCエピタキシャルウェハのカンデラ像である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を適用した実施形態であるウェハ支持台と、それを備えた化学気相成長装置について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0028】
[化学気相成長装置]
図1は、本発明の一実施形態に係る化学気相成長装置の一例を模式的に示す断面図である。本発明の化学気相成長装置は、図1の構成のものには限られないが、以下理解を容易にするために、図1の化学気相成長装置に基づき本発明を説明する。
【0029】
本発明の一実施形態に係る化学気相成長装置100は、例えば、減圧排気が可能なチャンバ(成膜室)内に、原料ガスGを供給しながら、加熱されたウェハ(SiCウェハ)Wの面上に層を堆積成長させる。例えば、SiCをエピタキシャル成長させる場合、原料ガスGには、Si源にシラン(SiH)、ジクロロシラン(SiCl)、トリクロロシラン(SiCl)、四塩化ケイ素(SiCl)等を用いることができ、炭素(C)源にプロパン(C)、エタン(C)、エチレン(C)等を用いることができる。また、キャリアガスとして水素(H)を含むもの等を用いることができる。
【0030】
化学気相成長装置100は、チャンバの内部において、複数のウェハWが載置される搭載プレート(サセプタ)10と、この搭載プレート10との間で反応空間Kを形成するように搭載プレート10の上面に対向して配置されたシーリング(天板)50と、搭載プレート10およびシーリング50の外側に位置して反応空間Kの周囲を囲むように配置された周壁60と、を備えている。
シーリング50は、チャンバ内に着脱自在に取り付けられている。具体的には、このシーリング50は、周壁60の内周面から突出して設けられた支持部61の上に、その外周部が載置されることによって、鉛直上向きに支持されている。
【0031】
図1に示す化学気相成長装置100では、搭載プレート(サセプタ)10はその上面10aに凹状収容部11が形成されており、ウェハWが直接載置されるウェハ支持台(サテライト)20は搭載プレート10とは別部材である構成となっている。ウェハ支持台20が搭載プレート10の一部分である構成でもよい。換言すれば、搭載プレート10に、ウェハWを載置するウェハ支持部とリング状部22とが形成された構成であってもよい。
ウェハ支持台20が搭載プレート10の一部分である構成の場合、ウェハ支持台20とは、搭載プレート10において、ウェハWが載置されるウェハ載置面21sを有する支持台本体21と、ウェハWの外周を囲むリング状部22とからなる部分を指す。
ウェハ支持部だけが搭載プレート10に形成されており(すなわち、ウェハ支持部が搭載プレート10に一体であり)、リング状部22が搭載プレート10とは別部材であってもよい。
【0032】
図示を省略する高周波電源から誘導コイル70に高周波電流が供給されると、搭載プレート10およびシーリング50が高周波誘導加熱により加熱される。そして、搭載プレート10およびシーリング50からの輻射や、搭載プレート10上に配されたウェハ支持台(サテライト)20からの熱伝導等により、ウェハ支持台20に載置されたウェハWを加熱することができる。なお、加熱手段は、搭載プレート10の下面側およびシーリング50の上面側に配置された構成に限らず、これらのいずれか一方側のみに配置された構成とすることも可能である。また、加熱手段としては、高周波誘導加熱に限らず、抵抗加熱によるもの等を用いてもよい。
【0033】
化学気相成長装置100では、ガス導入管30を通り、その開口部31から放出された原料ガスGを、反応空間Kの内側から外側に向かって放射状に流すことにより、ウェハWの面内に対して平行に原料ガスGを供給することが可能となっている。チャンバ内で不要になったガスは、周壁60の外側に設けられた排気口(不図示)からチャンバの外へと排出することが可能となっている。
【0034】
搭載プレート10は、いわゆるプラネタリ(自公転)方式を用いた構造となっている。搭載プレート10は、駆動モータ(不図示)を用いて回転軸12を回転駆動させた際に、それに連動し、回転軸12を軸として自転する回転台としての機能を有している。
【0035】
搭載プレートの上面10aには、平面視円形状をなし、搭載プレート10の周方向(回転方向)に等間隔に複数並んで凹状収容部11が設けられている。図2は、化学気相成長装置100の搭載プレート10を平面視した模式図である。凹状収容部11が等間隔に6個並んで設けられている場合を例示している。
【0036】
図2は、シーリング50側から見た搭載プレート10の平面図である。
ウェハ支持台20は、図2に示すように搭載プレート10の凹状収容部11に収容され、上面にウェハWを載置することができる。ウェハ支持台20は、シーリング50と対向する側に、ウェハ載置面21sと、載置されるウェハの周囲を囲むように起立するリング状部22とを有している。図2では、簡単のため搭載プレート10の2つの凹状収容部11にのみウェハ支持台20を収容した例を示している。図2に示したウェハWではオリフラは省略した。ウェハ載置面21sにはザグリが形成されていてもよい。
なお、本明細書において、「ウェハ載置面」とは、実際にウェハが接触している部分を含む面である。
【0037】
ウェハ支持台20は、その下面と凹状収容部11との間に、原料ガスGとは別の駆動用ガスが供給されることにより、中心軸周りに回転駆動される仕組みとなっている(不図示)。これにより、ウェハ支持台20に載置されたウェハWに対して均等に成膜を行うことができる。
【0038】
[ウェハ支持台]
図3に、本発明の一実施形態に係るウェハ支持台の一例の模式図を示す。図3(a)は平面図(ウェハWも示す)であり、図3(b)は図3(a)のウェハ支持台のX−X線で切った断面図(点線でウェハWを示す)であり、図3(c)も図3(a)のウェハ支持台のX−X線で切った断面図(ウェハWを示さず)であり、図3(d)は図3(a)のウェハ支持台のY−Y線で切った断面図(点線でウェハWを示す)である。
なお、通常のウェハ支持台は、どの断面も図3(d)に示したようなものである。
【0039】
図3に示すウェハ支持台20は、ウェハ上に層を形成する化学気相成長装置に用いられるウェハ支持台であって、ウェハ載置面21sを有する支持台本体21と、載置されるウェハWの外周Wcを囲み、ウェハの厚さ以上の板厚hを有するリング状部22と、を備え、リング状部22は、載置されるウェハWの外周Wcに対向するようにウェハ載置面21sから起立する内周面22aと、外周面22bとを有し、リング状部22は、前記板厚hを有する等厚部22Aと、内周面22Ba(22a)の高さhがウェハの厚さWtよりも低い低内周面部22Bと、からなる。
【0040】
ここで、本発明のウェハ支持台における「リング状部」は、そのリング状部のみを抜き出して考えた場合、その代表的な形状としては実質的に互いに平行な上面及び下面を有する平板状を考えることができるが、この形状に限定されず、例えば、上面が曲面であってもよい。上面が曲面の場合、その「板厚h」とは、最も厚い部分の厚さを指すものとする。
また、本発明のウェハ支持台における「リング状部」の「内周面」は、ウェハ載置面に対して実質的に垂直に起立する面であるが(すなわち、「内周面」とウェハ載置面とは実質的に90°をなす。)。これに対して、「外周面」は代表的な構成としては「内周面」に対して実質的に平行であるが、平行である場合に限定されない。すなわち、「外周面」は、ウェハ載置面に対して実質的に垂直に起立する面である構成に限定されない。なお、「内周面」がウェハ載置面に対して実質的に垂直に起立するとは、ウェハWを支持する機能を発揮する程度に起立する角度であればよい。
【0041】
本発明のウェハ支持台における「リング状部」において、「等厚部」は公知のリング状部と同様な構成であり、「低内周面部」だけが公知のリング状部と異なる。
すなわち、本発明のウェハ支持台における「リング状部」は、公知のリング状部と同様な構成である等厚部と、公知のリング状部と異なる低内周面部22Bとを備える。すなわち、本発明のウェハ支持台は、そのリング状部が低内周面部を備える点が従来のウェハ支持台と異なる。
【0042】
図3に示すウェハ支持台20では、従来のウェハ支持台と比較して低内周面部22Bを備える点が異なる。この低内周面部22Bを備えることによる効果を、図4を用いて説明する。
図4に示すように、ウェハWを斜めに傾け、ウェハWの一部をリング状部に当ててウェハ支持台20にセットする際に、前記一部が当たるリング状部の部分が低内周面部22Bになるようにすると、ウェハWの外周Wcの上端Wctがリング状部22に接触しない。その結果、リング状部22を構成する材料やリング状部22に付着している炭化珪素などの異物がウェハWの表面Wsに散乱するのを回避できる。
【0043】
図5(a)〜(c)は、低内周面部22Bについて詳細に説明するために、低内周面部22Bの近傍を拡大した図である。
図5(a)に示すように、低内周面部22Bは、内周面22aから連続する傾斜面22Baaを有すると共に厚さが等厚部22Aの厚さh以下である傾斜部22Bi(傾斜部22Biの厚さはh〜h)と、傾斜部22Biの外周側に配置する、厚さが等厚部22Aの厚さhと同じ平板部22Boと、からなる。すなわち、低内周面部22Bは、内周側に配置する傾斜部22Bi、外周側に配置する平板部22Boと、からなる。なお、図中の「t」は、ウェハWの厚さを示すものであり、h及びhとの大小関係を示す便宜のために示した。
【0044】
図5(b)を用いて、低内周面部22Bの形状を説明する。図5(b)は、図5(a)と同様に、低内周面部22Bの近傍を拡大した図であるが、特に等厚部22Aとの違いを説明するための図である。
図3図5で説明してきた実施形態に係る低内周面部22Bは、平板部22Boと傾斜部22Biとからなるが、平板部22Boについては、等厚部22Aの形状及び厚さとの違いはない。
これに対して、傾斜部22Biは、等厚部22A(等厚部22Aの対応する部分)に対して内周面22Baの上端22auを含む部分(図5(b)中の符号22cdで示した部分)が切り欠かれた形状を有してなる。ここで、「等厚部に対して内周面の上端を含む部分が切り欠かれた形状」とは、等厚部においては存在する「内周面の上端を含む部分」が存在しない点以外は等厚部と同様な形状であることを意味しており、傾斜部の形成方法を意味するものでない(すなわち、「切り欠いて(切り落として)形成した」ことを意味しているわけではない)。なお、図5(b)に符号22auで示した内周面22Baの上端は、ウェハのセットの際の接触の説明においては、等厚部22Aの内周面22Aaの上端と同等の箇所であるので、説明の意味を補助の観点で、図3(d)において同じ符号で示した。
【0045】
図3図5に示した実施形態のウェハ支持台について、等厚部22Aと低内周面部22Bの内周面及び外周面の高さを比べると、低内周面部22Bの内周面22Baの高さは等厚部22Aの内周面22Aaの高さよりも低いが、低内周面部22Bの外周面22Bbの高さは等厚部22Aの外周面22Abの高さと同じである。
図1に示した化学気相成長装置において図3図5に示した実施形態のウェハ支持台を用いた場合、外周面の高さが全周にわたって同じ高さであると、開口部31から放出された反応ガスGが反応空間Kにおいて中心側から外側に放射状に流れる際に、外周面の高さが違いがある構成に比べて、ガスの流れがウェハWの上を安定に平行に流れやすいという利点がある。
【0046】
傾斜面22Baaの角度(内周面に対する角度(図5(c)で示した「α」)。ウェハ載置面の垂直軸に対する角度とも言える。)は、ウェハWの一部をリング状部22に当ててウェハ支持台20にセットする際にウェハWを斜めに傾ける角度(図4で示した「β」)よりも大きいことを要する。
従って、傾斜面22Baaの角度αは、ウェハWをウェハ支持台20にセットする際に傾ける角度βに依存して決められるべき値であるが、通常の角度βに基づいて例示するならば、10°以上である。
傾斜面22Baaの角度αが内周面22Baの高さに依存して所定の角度以上の大きさになると、図5(a)に示した平板部22Boに相当する部分はなくなり、低内周面部22Bは傾斜部22Biだけで形成されたものとなる。平板部22Boに相当する部分がなくなると、低内周面部22Bの外周面の高さが等厚部22Aの外周面の高さより低くなる。このように、リング状部の外周面の高さの凸凹があると、中心側から外側に放射状に流れる反応ガスの流れに乱れが生じ得る。エピタキシャル膜の品質への影響の大きさは不明であるが、このような懸念をできるだけ抑制する観点では、リング状部の外周面の高さの凸凹ができるだけ生じないような、傾斜面22Baaの角度αについて好ましい範囲を例示すると、10〜45°である。
なお、角度αの好ましい範囲は、リング状部の幅wd(図5(a)参照)と内周面の高さとに依存するものであるから、この数値範囲は目安である。
【0047】
傾斜面22Baaの角度αは鋭角であることに限定されず、90°以上であってもよい。角度αの上限は、リング状部の幅wdと内周面の高さとによって決まる。
【0048】
角度αが90°の場合は、図6(a)に示すように、低内周面部の厚さが内周面の高さhと同じ場合である。この場合、傾斜面22Baaはウェハ載置面に対しては傾斜しておらず(すなわち、ウェハ載置面に平行であり)、等厚部22Aとの違いは厚さだけである。換言すると、角度αが90°の場合、ウェハ支持体のリング状部は、等厚部22Aと、等厚部22Aよりも厚さの薄い低内周面部22Bとからなるものである。なお、図中の「t」は図5と同様に、ウェハWの厚さを示すものである。
【0049】
角度αが90°を超える場合を、図6(b)に示す。
【0050】
図3図6で示した実施形態においては、低内周面部の形状として、傾斜角を定義できる傾斜面を有する形状を示したが、この形状に限定されない。傾斜面に対応する面が凹面や凸面であってもよい。
本発明は、ウェハ支持台のリング状部を、ウェハWをウェハ支持台にセットする際に、ウェハWの外周上端がリング状部に接触しない構成とすることにより、ウェハWの主面に異物が散乱することを防止するという技術思想である。従って、低内周面部の形状としては、低内周面部の内周面の高さがウェハWの厚さよりも低いことを前提として、ウェハWの外周上端がリング状部に接触しない構成であれば、特に形状に制限はない。
【0051】
また、図3図6で示した実施形態においては、複数の等厚部22A及び複数の低内周面部22Bはそれぞれ互いに同じ構成であるが、互いに同じ構成でなくても構わない。
【0052】
低内周面部の内周面の高さhはウェハの厚さtより低い。内周面の高さhの好ましい範囲はウェハの厚さtに依存するが、例えば、低内周面部の内周面の高さhはウェハの厚さtの1/3〜2/3であることが好ましい。
ウェハの厚さは現在用いられているものは通常、300〜540μmであるから、この場合、低内周面部の内周面の高さhの好ましい範囲は、100〜360μmとなる。
【0053】
図3図6で示したウェハ支持台20は、支持台本体21とリング状部22とは別個の部材であるが、一体の部材であってもよい。
図3図6で示したウェハ支持台20は、低内周面部22Bの数は6個あるが、1個でもあれば、本発明の効果を奏するものであり、数に制限はない。
図3図6で示したウェハ支持台20は、等厚部22A及び低内周面部22Bが円周状に等間隔で中心軸に対して対称に配置しているが、等間隔である構成に限定されず、また、中心軸に対して非対称に配置してもよい。
【0054】
「SiCエピタキシャルウェハの製造方法」
本発明の一実施形態に係るSiCエピタキシャルウェハの製造方法は、SiCウェハの主面上に、化学的気相成長法によってSiCエピタキシャル膜を成長させるSiCエピタキシャルウェハの製造方法であって、凹状収容部を有する搭載プレートと、前記凹状収容部内に配置された、本発明のウェハ支持台とを備える化学気相成長装置を用い、前記SiCウェハを斜めに傾け、前記SiCウェハの一部を前記ウェハ支持台のリング状部に当てて前記ウェハ支持台にセットする際に、前記一部が当たるリング状部の部分が前記低内周面部になるようにする。
【0055】
本実施形態にかかるSiCエピタキシャルウェハの製造方法では、本発明のウェハ支持台を用いて、上記のSiCウェハ(SiC基板)のセット工程以外については公知の工程を用いることができる。
【符号の説明】
【0056】
20 ウェハ支持台(サテライト)
21 支持台本体
22 リング状部
22A 等厚部
22B 低内周面部
22a 内周面(等厚部の内周面及び低内周面部の内周面を合わせて)
22Aa 等厚部の内周面
22Ba 低内周面部の内周面
22b 外周面(等厚部の外周面及び低内周面部の外周面を合わせて)
22Ab 等厚部の外周面
22Bb 低内周面部の外周面
21s ウェハ載置面
100 化学気相成長装置
W ウェハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9