特許第6986892号(P6986892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986892
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】片持ち張り出し作業車の撤去工法
(51)【国際特許分類】
   E01D 21/10 20060101AFI20211213BHJP
   E01D 11/04 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   E01D21/10
   E01D11/04
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-151752(P2017-151752)
(22)【出願日】2017年8月4日
(65)【公開番号】特開2019-31781(P2019-31781A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2020年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176202
【氏名又は名称】三信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082658
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 儀一郎
(72)【発明者】
【氏名】水谷 正樹
(72)【発明者】
【氏名】行川 友和
【審査官】 小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−201204(JP,A)
【文献】 特開2006−077521(JP,A)
【文献】 特開2009−121145(JP,A)
【文献】 特開昭63−125712(JP,A)
【文献】 特開平06−146221(JP,A)
【文献】 特開2001−020225(JP,A)
【文献】 特開2002−227132(JP,A)
【文献】 特開2007−327275(JP,A)
【文献】 特開2000−265417(JP,A)
【文献】 特開平09−221718(JP,A)
【文献】 特開平04−024305(JP,A)
【文献】 特開平06−026012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 21/10
E01D 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁幅方向略中央の上方から橋梁長手方向端部側に向かい橋梁幅方向中央の橋面との間に斜ケーブルが下る斜め勾配を有して敷設する橋梁の施工につき、片持ち張り出し作業車を用いて前記橋梁の施工を行い、前記施工の完了後に片持ち張り出し作業車を橋梁略中央部に設けられた支持塔近傍位置の橋面まで引き戻した後、撤去する片持ち張り出し作業車の撤去工法であって、
前記片持ち張り出し作業車は、橋梁幅方向に向かい並べて配置された一対の片持ち張り出し作業車ユニットを所定の間隔をあけて連結し、
前記片持ち張り出し作業車の幅方向略中央箇所には前記一対の片持ち張り出し作業車ユニットを連結する接続部材を上下方向に間隔をあけて水平方向に向けて複数箇所に取り付け、該接続部材を取り外すことにより前記斜ケーブルが通過する通過道を形成し
前記斜ケーブルが、形成された前記通過道を通過するとき、前記接続部材全てを一気に取り外すことなく、前記斜ケーブルが前記片持ち張り出し作業車に当たるときに前記接続部材を取り外し、少なくとも一箇所の接続部材は取り外さずに前記一対の片持ち張り出し作業車ユニットを連結しておく、
ことを特徴とする片持ち張り出し作業車の撤去工法。
【請求項2】
前記片持ち張り出し作業車ユニットは、略方形状に枠組みされた、
ことを特徴とする請求項1記載の片持ち張り出し作業車の撤去工法。
【請求項3】
前記片持ち張り出し作業車は複数本のレール上に載置され、前記一対の片持ち張り出し作業車ユニットを分離して引き戻し作業を行うとき、各々片持ち張り出し作業車ユニットが載置するレールのうち内側のレールには、前記片持ち張り出し作業車ユニットが各々橋梁幅方向側に横転防止すべく浮き上がり防止用のローラーが係止して取り付けられた、
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の片持ち張り出し作業車の撤去工法。
【請求項4】
前記ローラーは取り外すことができ、前記取り外したローラーを前記片持ち張り出し作業車の先端部、中央部あるいは後端部に組み替えることができる、
ことを特徴とする請求項3記載の片持ち張り出し作業車の撤去工法。
【請求項5】
前記複数本のレールは、断面コ字状である、
ことを特徴とする請求項3または請求項4記載の片持ち張り出し作業車の撤去工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、斜張橋など橋梁の架設の際に使用される片持ち張り出し作業車の撤去工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
いわゆる斜ケーブルを備えた橋梁建設、例えば斜張橋建設においては、一般的にいわゆる片持ち張り出し作業車を用いて橋梁の建設施工が行われる。
しかし、前記橋梁の前記張り出し作業が完了した後、すなわち斜張橋の施工終了後は、前記片持ち張り出し作業車を撤去しなければならない。
【0003】
前記撤去作業は、例えば橋梁長手方向中央に設置された橋脚付近の橋面まで片持ち張り出し作業車を引き戻して撤去する作業として行われる。
その撤去作業の際、前記片持ち張り出し作業車を解体しない状態、すなわちそのままの状態の場合には、前述の戻る際に、設置した斜ケーブルが片持ち張り出し作業車に当ってしまい、引き戻すことが出来ないとの課題があった。
【0004】
すなわち、前記斜ケーブルは、図1から理解されるように、例えば橋梁の幅方向略中央位置上方から、該橋梁の長手方向両端部の橋面に向かって吊設されている。
そして、片持ち張り出し作業車は、その幅員が橋梁の幅方向のほぼ全長に亘る長さを持って配置され、橋梁の長手方向に向かって橋梁の施工作業を行うものとして構成されている。
【0005】
しかしながら、橋梁完成後、この片持ち張り出し作業車を撤去すべく橋梁略中央まで戻ろうとすると、片持ち張り出し作業車の幅方向中央位置に設置された前記の斜ケーブルが戻ろうとする片持ち張り出し作業車に当たってしまうのである。
【0006】
従来は、前記片持ち張り出し作業車を引き戻すに当たり、該作業車を構成する上部構横梁の一部については取り外し、作業車の下段作業台については直下に降下させ、その後、降下した下段作業台を解体し、前記上部構についてのみ前記橋梁略中央の橋脚付近の橋面まで引き戻す作業を行っていた。
【0007】
しかしながら、実際の橋梁建設施工現場では、渓谷や河川近傍位置に斜張橋が施工される場合が多々あり、直下に下段作業台を降ろせない場合が多く存在している。
【0008】
その場合は、橋梁上部の幅方向側面に別途引き戻し装置を設置し、該引き戻し装置で下段作業台を仮支持し、もって前記別途設置した引き戻し装置によって下段作業台を橋脚8の近傍まで引き戻す作業を行っていた。
【0009】
しかしながら、渓谷や河川近傍位置に施工される場合などのように、橋梁上部の橋梁幅方向側面での前記引き戻し装置の取りつけが困難な場合が多く、下段作業台を吊った状態で中央に転倒しない分のカウンターウエイトを載荷し、前記上部構横梁の一部について取り外して、引き戻し作業を行わなければならないなど面倒な作業によって引き戻しを行っているのが現状であった。
【0010】
ここで、比較的小型の片持ち張り出し作業車については、別途設ける引き戻し装置でのカウンターウエイトで対応することが比較的可能であるが、例えば、幅員が20mを超える様な大型の片持ち張り出し作業車においては、前記下段作業台の重さに相当するほどのカウンターウエイトが必要となり、また作業の難易度もきわめて高くなってしまい、しかも前記引き戻し装置の取付場所のスペースも少ないなど多くの課題があったのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2014―105483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
かくして、本発明は前記従来の課題を解決するために創案されたものであって、いわゆる斜ケーブルを備えた橋梁建設において、一般的に片持ち張り出し作業車を用いて橋梁の建設施工を行う際、橋梁の前記張り出し作業が完了した後の前記片持ち張り出し作業車を橋梁略中央における橋脚付近の橋面まで引き戻す作業について、前記片持ち張り出し作業車を解体しない状態、すなわちそのままにした状態では、戻る際に既設の斜ケーブルが片持ち張り出し作業車に当ってしまうことを防止するために、上部構の横梁の一部について取り外したり、下段作業台は直下に降下させたりすることなく、片持ち張り出し作業車をほぼそのままの状態で引き戻し作業が行え、しかも新たに橋面に追加設備を設置することもなく、大きなカウンターウエイトを運搬して積載することも必要とせず、小型で軽量な部材を単に組み換えるだけで引き戻し作業を容易にした片持ち張り出し作業車の撤去工法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、
橋梁幅方向略中央の上方から橋梁長手方向端部側に向かい橋梁幅方向中央の橋面との間に斜ケーブルが下る斜め勾配を有して敷設する橋梁の施工につき、片持ち張り出し作業車を用いて前記橋梁の施工を行い、前記施工の完了後に片持ち張り出し作業車を橋梁略中央部に設けられた支持塔近傍位置の橋面まで引き戻した後、撤去する片持ち張り出し作業車の撤去工法であって、
前記片持ち張り出し作業車は、橋梁幅方向に向かい並べて配置された一対の片持ち張り出し作業車ユニットを所定の間隔をあけて連結し、
前記片持ち張り出し作業車の幅方向略中央箇所には前記一対の片持ち張り出し作業車ユニットを連結する接続部材を上下方向に間隔をあけて水平方向に向けて複数箇所に取り付け、該接続部材を取り外すことにより前記斜ケーブルが通過する通過道を形成し
前記斜ケーブルが、形成された前記通過道を通過するとき、前記接続部材全てを一気に取り外すことなく、前記斜ケーブルが前記片持ち張り出し作業車に当たるときに前記接続部材を取り外し、少なくとも一箇所の接続部材は取り外さずに前記一対の片持ち張り出し作業車ユニットを連結しておく、
ことを特徴とし、
または、
前記片持ち張り出し作業車ユニットは、略方形状に枠組みされた、
ことを特徴とし、
または、
前記片持ち張り出し作業車は複数本のレール上に載置され、前記一対の片持ち張り出し作業車ユニットを分離して引き戻し作業を行うとき、各々片持ち張り出し作業車ユニットが載置するレールのうち内側のレールには、前記片持ち張り出し作業車ユニットが各々橋梁幅方向側に横転防止すべく浮き上がり防止用のローラーが係止して取り付けられた、
ことを特徴とし、
または、
前記ローラーは取り外すことができ、前記取り外したローラーを前記片持ち張り出し作業車の先端部、中央部あるいは後端部に組み替えることができる、
ことを特徴とし、
または、
前記複数本のレールは、断面コ字状である、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明による片持ち張り出し作業車の撤去工法であれば、いわゆる斜ケーブルを備えた橋梁建設において、一般的に片持ち張り出し作業車を用いて橋梁の建設施工を行う際、橋梁の前記張り出し作業が完了した後は、前記片持ち張り出し作業車を橋脚の付近まで引き戻す作業を行うが、前記片持ち張り出し作業車を解体しない状態、すなわちそのままにした状態では、戻る際に既設の斜ケーブルが片持ち張り出し作業車に当ってしまうことを防止するために、上部構の横梁の一部について取り外ししたり、下段作業台は直下に降下させたりすることなく、引き戻し作業が行え、しかも新たに橋面に追加設備を設置することもなく、大きなカウンターウエイトを運搬して積載することも必要とせず、小型で軽量な部材を単に組み換えるだけで引き戻し作業を容易にできるとの優れた効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による橋梁の架設の際に使用される片持ち張り出し作業車の撤去工法について説明する。
図1は、本発明による片持ち張り出し作業車2を使用して斜張橋など橋梁7の架設工事を行う構成を示した説明図である。図1から理解されるように、複数本のケーブル1は、橋梁7の長手方向略中央に立設された支持塔13の上部から橋梁7の長手方向両端部側に向かい、かつ橋梁面の幅方向略中央位置の橋面に向かって下り斜め勾配をもって吊設されるものであり、該下り斜め勾配をもって吊設された複数本の斜ケーブル1により橋梁7が保持されて斜張橋が形成される。
【0016】
符号2は、本発明による片持ち張り出し作業車を示す。図2に示すように、該片持ち張り出し作業車2は、その前方部分に作業装置3が垂下して保持され、この作業装置3上での作業車の橋梁施工作業によって徐々に橋梁施工が行われ、斜張橋となる橋梁7が形成される。
【0017】
ここで、本発明による片持ち張り出し作業車2の構成につき説明すると、該片持ち張り出し作業車2は、まず、側面側に4つの主構4を有して構成されている。主構4は、略三角形状に枠組みされてなる第1構成梁5(図1乃至図4参照)を主な構成部材とし、橋梁の幅方向側面に位置するよう設けられている。そして、図5などに示すように、両側面に第1構成梁5を有する主構4が各々設けられ、これら主構4が略方形状に枠組みされ、連結されて、まず片持ち張り出し作業車ユニット6が形成されるのである。
【0018】
そして、この片持ち張り出し作業車ユニット6が橋梁7の幅方向に間隔をあけて一対配置され、これらが最終的に連結部材により連結されて片持ち張り出し作業車2が形成される。
【0019】
ところで、図1に示すように、片持ち張り出し作業車2による橋梁施工作業で斜張橋が施工されるが、この斜張橋が完成すると、前記片持ち張り出し作業車2を完成した斜張橋の上、すなわち完成した橋梁7の上から撤去する必要がある。
【0020】
この撤去作業は前述の様に、片持ち張り出し作業車2を橋梁7の略中央に設けられた支持塔13及びその下に設けられた橋脚8近傍位置の橋面まで引き戻す作業によって行わなければならない。その理由については前述したとおりである。
【0021】
そこで本発明では、片持ち張り出し作業車2につき、図5に示すような構成とした。
片持ち張り出し作業車2は、その幅方向の長さが橋梁7の幅方向ほぼ全長に亘る長さに構成されており、片持ち張り出し作業車2の長手方向の長さは橋梁7の長手方向に向かって延出するよう形成されている。
【0022】
そして、図1図2のように、橋梁7の施工先端側に片持ち張り出し作業車2が設置され、この状態から橋梁の施工箇所方向に向かい橋梁施工を徐々に進めて橋梁施工作業が行われるのである。
【0023】
ここで、片持ち張り出し作業車2は、前記したように一対の片持ち張り出し作業車ユニット6を複数の連結部材で連結して形成されており、例えば、第1連結部材9、第2連結部材10及び第3連結部材11などで両片持ち張り出し作業車ユニット6を連結し、もって一体化した片持ち張り出し作業車2を形成している。
【0024】
そして、前記の第1連結部材9、第2連結部材10及び第3連結部材11は幅方向略中央部分で分離できる構成とされており、例えば各々第1連結部材9、第2連結部材10及び第3連結部材11の略中央部分に取り外し可能な接続部材12を用いて接続し、これら接続部材12を取りはずせば、一対の片持ち張り出し作業車ユニット6間の中央部分につき間隔をあけて分離することが出来る構成としてある。そしてこの間隔が後述するケーブル1の通過路にすることが出来るのである。
【0025】
上記の構成からなる片持ち張り出し作業車2を使用して斜張橋を施工した後、該片持ち張り出し作業車2の引き戻し作業につき説明すると、まず、図5に示す片持ち張り出し作業車2の状態から、下側に位置する第3連結部材11の接続部材12を、あるいは第3連結部材11と第2連結部材10の接続部材12取り外す(図6参照)。これによりケーブル1の通過路を形成することが出来る。
【0026】
尚、ここでは、すべての連結部材、すなわち、第1連結部材9、第2連結部材10及び第3連結部材11の接続部材12を一気に取り外すのではなく、少なくとも1つの連結部材については、接続部材12を取り外すことなく接続しておくものとする。なぜなら1つの連結部材における接続部材によって一箇所でも一対の片持ち張り出し作業車ユニット6が連結されていれば、これにより、片持ち張り出し作業車ユニット6が各々分離して横側に転倒する恐れがなくなるからである。
【0027】
そして、図3図4に示す様に、レール14上に載置されている片持ち張り出し作業車2を引き戻す作業が行われる。
【0028】
図3は、内側のレール14の側面を表した図であり、片持ち張り出し作業車2は、押し上げ装置15により上方に押し上げられ、支持装置16は橋面から離間する。符号17は移動用ローラーであり、該移動用ローラー17は、断面コ字状をなすレール14の側面軌道部上端にローラー部が係合し、片持ち張り出し作業車2につき、一対の片持ち張り出し作業車ユニット6毎に幅方向中央位置から分離されたとき、各々の片持ち張り出し作業車ユニット6が橋梁幅方向側に向かって転倒しないように、浮き上がるのを防止しつつ引き戻し移動(後退移動)が出来る様に構成されている。
【0029】
尚、移動用ローラー17は、橋梁7の施工時には片持ち張り出し作業車2の例えば後方位置に取り付けられている。この移動用ローラー17は、前進移動時、すなわち橋梁施工時に、本発明の片持ち張り出し作業車2の後方が浮き上がって前に転倒しないよう使用されるものである(図2の符号17参照)。そして、この転倒しないように配置された移動用ローラー17は、片持ち張り出し作業車2の後方において、図5に示す4本のレール14の例えばすべてに取り付けられあり、片持ち張り出し作業車2の前のめり転倒を防止するものとしているのである。
【0030】
しかしながら、引き戻し作業時には、前記移動用ローラー17は、その位置から取り外され、図5に示す4本のレール14のうち、内側の2本について取り付けられることとなる(図3の符号17参照)。
【0031】
そして、移動用ローラー17は、断面コ字状をなすレール14の側面軌道部にローラー部が係合し、片持ち張り出し作業車2につき、前記したように一対の片持ち張り出し作業車ユニット6が幅方向中央位置から分離されたとき、各々の片持ち張り出し作業車ユニット6が橋梁幅方向側に向かって転倒しないように、浮き上がるのを防止しつつ引き戻し移動(後退移動)が出来る様に構成したのである。
【0032】
符号18は引き戻し装置であり、例えばこの引き戻し装置18の引き戻し用鋼棒19により引っ張られて片持ち張り出し作業車2は徐々に後退移動する。図3において移動用ローラー17は、片持ち張り出し作業車2の先端部と中央部の2箇所に配置されているが、片持ち張り出し作業車2の後端部側にも配置するのが好ましい。
【0033】
図4は、外側のレール14の側面を表した図であり、該レール14の側面外側には滑り面として形成された滑車状保持体20が添接しており、もって前記複数の移動用ローラー17とこの滑車状保持体20によりレール14を挟持し、もって、片持ち張り出し作業車2を橋梁幅方向側に転倒させることなくスムーズに後退移動可能にして保持するものとしている。
【0034】
尚、図5乃至図7に示すようにレール14は片持ち張り出し作業車2の幅方向に間隔をあけて複数本、本実施例では4本設けられ、その上に片持ち張り出し作業車2は載置されて引き戻し移動できるものとされる。
【0035】
ところで、ケーブル1は複数吊設されており。1本のケーブル1が前述の通過路を通過するたびに、前記第1連結部材9、第2連結部材10及び第3連結部材11の接続部材12の取り外しとその後の接続作業が行われる。
【0036】
そして、複数本吊設されたすべてのケーブル1を通過した後、片持ち張り出し作業車2は解体されて橋梁7から撤去される。
【0037】
ここで、片持ち張り出し作業車2の撤去の際に使用される前記片持ち張り出し作業車2が載置される4本のレール14のうち内側2本に取り付けられた移動用ローラー17は、前述したとおり、通常施工、すなわち片持ち張り出し作業車2を前進させて橋梁7を施工する際の後方に設置してある移動用ローラー17で代替したものであり、これを取り外して片持ち張り出し作業車2の前方に組み替えることで対応している。また、片持ち張り出し作業車2の中央部や後端部に配置された移動用ローラー17も片持ち張り出し作業車2を前進させて橋梁7を施工する際の後方に設置してある移動用ローラー17であり、これを取り外して片持ち張り出し作業車2の中央部や後端部に組み替えることで対応している。よって本発明では、少ない部品点数で引き戻し作業が行えるものとなっている。
【0038】
そして、引き戻しの際に使用するレール14も一部組み換え、外側のレール14はいわゆるスベリ機能を備えた滑車用保持体20が保持されるレール14とし、内側のレール14は、いわゆる移動用ローラー対応用のレール14とした。
【0039】
この様な構成にすれば、従来の方法に比べ、新たに橋面に大規模な追加設備を設置することもなく、また重量の重い大きなカウンターウエイトを運搬して積載することもせず、小型で軽量な部材の組み換え作業のみで片持ち張り出し作業車2のスムーズで安全な引き戻し作業ができるのである。
【0040】
尚、片持ち張り出し作業車2を各々片持ち張り出し作業車ユニット6毎に分離して引き戻し作業を行っても、前記片持ち張り出し作業車ユニット6が各々橋梁の幅方向側に横転しないよう安全対策をさらに施してある。
【0041】
すなわち、前述したように、一対の片持ち張り出し作業車ユニット6を連結する第1連結部材9、第2連結部材10及び第3連結部材11の箇所に接続部材12を用いて取り外し可能に接続してあり、引き戻しする際には斜ケーブル1が当たるときだけ前記接続部材12を取り外し、必ず少なくとも1か所の接続部材12は連結しておくのである。
これにより、分離した一対の片持ち張り出し作業車ユニット6の転倒防止に対するフェールセーフ機能がさらに高まっているのである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】斜張橋の架設工法を説明する説明図である。
図2】本発明による片持ち張り出し作業車の構成を説明する構成説明図(1)である。
図3】本発明による片持ち張り出し作業車の引き戻し工程を説明する説明図(1)である。
図4】本発明による片持ち張り出し作業車の引き戻し工程を説明する説明図(2)である。
図5】片持ち張り出し作業車の概略正面図である。
図6】片持ち張り出し作業車を中央でケーブル通過用の空間を形成する工程を説明する説明図(1)である。
図7】片持ち張り出し作業車を中央でケーブル通過用の空間を形成する工程を説明する説明図(2)である。
【符号の説明】
【0043】
ケーブル
2 片持ち張り出し作業車
3 作業装置
4 主構
5 第1構成梁
6 片持ち張り出し作業車ユニット
7 橋梁
8 橋脚
9 第1連結部材
10 第2連結部材
11 第3連結部材
12 接続部材
13 支持塔
14 レール
15 押し上げ装置
16 支持装置
17 移動用ローラー
18 引き戻し装置
19 引き戻し用鋼棒
20 滑車状保持体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7