(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各家庭の消費電力量を計測する電力計測部と、レシピに従って調理が可能な各家庭の第一調理家電と、サーバ装置と、が通信ネットワークを介して接続された調理支援システムであって、
各家庭には更に、
レシピに従って調理が可能な通信手段を持たない第二調理家電と、
前記通信ネットワークを介して前記サーバ装置と接続され、かつ前記第一調理家電及び前記第二調理家電を撮影する撮影部と、が設けられており、
前記電力計測部は、各家庭における前記第一調理家電及び前記第二調理家電の消費電力量を計測し、当該消費電力量のデータを前記サーバ装置に送信し、
前記第一調理家電は、調理に必要な操作を行うための操作盤を備えて、当該操作盤からの入力作業を行うことで前記レシピに従った調理が可能となり、前記操作盤からの入力履歴をレシピデータとして前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は、制御部と、記憶部と、比較部と、第一アドバイス生成部と、判別部と、第二アドバイス生成部と、を少なくとも備えて、前記制御部による制御に基づいて調理支援システムを構成する各部の動作を、前記記憶部に記憶された調理支援システム用の各種処理プログラムに従って実行するものであり、
前記記憶部は、各家庭の前記第一調理家電によって調理されたレシピの前記レシピデータと、そのレシピによる調理時の前記消費電力量のデータとを、互いに紐付けされた状態で記憶し、更に前記第二調理家電の前記消費電力量のデータを記憶し、
前記比較部は、前記記憶部に記憶された各家庭の前記調理時の前記消費電力量のデータを前記レシピデータごとに比較し、
前記第一アドバイス生成部は、前記比較部による比較の結果、各家庭において同一の前記第一調理家電によって同一のレシピで調理を行って前記消費電力量に差が生じたときに前記第一調理家電の使用に係るアドバイスのデータを生成可能となっており、
前記判別部は、前記撮影部によって撮影された画像に基づいて前記第一調理家電及び前記第二調理家電の種類及び稼動状態を判別し、
前記第二アドバイス生成部は、前記判別部による判別及び前記電力計測部による計測の結果、各家庭において同一の前記第二調理家電によって調理を行って前記消費電力量に差が生じたときに前記第二調理家電の使用に係るアドバイスのデータを生成可能となっていることを特徴とする調理支援システム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない。
【0019】
本実施形態の調理支援システムは、例えば住宅やオフィス等の建物におけるキッチンに導入され、ユーザの調理の支援を行うものであり、調理に係る手間を省略して利便性の向上を図ることができるとともに、調理家電の使用時における消費電力量の低減を図ることができる。
なお、本実施形態においては、調理支援システムを、戸建て住宅のキッチンに導入した場合について説明する。
【0020】
[住宅の概略構成について]
図1において符号1は、ユーザが居住する住宅を示す。この住宅1には、調理支援システムが導入されており、キッチン11には、第一調理家電21,22と第二調理家電23とが設置された状態となっている。
【0021】
住宅1は、二階建ての戸建て住宅であり、
図1に示すように、一階の南側中央には、屋外空間となっている玄関ポーチ2がある。玄関ポーチ2の北側には、玄関ドア4を挟んで第一玄関室5が配設されている。
【0022】
住宅1の一階東側には、インナーガレージ6(ビルトインガレージともいう。)が配設されている。インナーガレージ6と第一玄関室5は隣り合って配置されており、これらの間に設けられた外壁には、通用口6aが形成されている。
【0023】
インナーガレージ6の北側(奥側)には、玄関ドア8を挟んで第二玄関室9が配設されている。第二玄関室9は、インナーガレージ6に車を駐車した際に、車の近くに位置することとなるため、荷物の搬出入時に便利である。また、第二玄関室9と同様に、上述した通用口6aも荷物の搬出入時に使用することができる。
【0024】
第一玄関室5の北側であって、かつ第二玄関室9の西側には、ホール10が配設されている。ホール10は、住宅1の動線の中心となる場所であり、住宅1の二階に上がるための階段10cが設けられている。
【0025】
ホール10の西側には、キッチン11が配設されており、第一玄関室5の西側には、リビングダイニング12が配設されている。これらキッチン11とリビングダイニング12は、居住者のための共有スペースとなっている。
また、キッチン11とリビングダイニング12は隣接しており、これらキッチン11とリビングダイニング12との境界に設けられた引き戸12aによって互いに遮蔽可能となっている。
【0026】
住宅1は、以上のように構成されている。そして、キッチン11には、複数の調理家電(第一調理家電21,22、第二調理家電23)が設置されている。
なお、調理支援システムを導入できる住宅は、本実施形態において説明した住宅1に限られるものではない。すなわち、本実施形態の調理支援システムは、必ずしも以上の間取りの住宅1にのみ導入されるのではなく、調理家電(第一調理家電21,22、第二調理家電23)が設置される住宅等の建物全般に導入することができる。
【0027】
[調理支援システムについて]
本実施形態における調理支援システムは、
図2に示すように、各家庭(住宅1,1…)の消費電力量を計測する電力計測部20と、レシピに従って調理が可能な各家庭の第一調理家電21,22と、サーバ装置30と、が通信ネットワークNを介して接続されたものである。また、各家庭(住宅1,1…)には、通信手段を持たない第二調理家電23と、通信ネットワークNを介してサーバ装置30と接続された撮影部24と、が設けられている。このような調理支援システムは、各家庭(住宅1,1…)に導入され、本実施形態においては、特にキッチン11に導入されている。
さらに、この調理支援システムには、ユーザが所持し、かつサーバ装置30に対して通信ネットワークNを介して接続可能とされた情報通信端末25が更に備えられている。
【0028】
キッチン11には、コンロ付き調理台13と、補助調理台14と、キッチンカウンター15と、冷蔵庫17が設置されている。冷蔵庫17は、補助調理台14の東側に配置されている。また、キッチン11内の東側の箇所には収納スペース18が設けられている。
【0029】
コンロ付き調理台13は、キッチン11中央のリビングダイニング12側に配置されており、ユーザがリビングダイニング12側を向いて調理する所謂“対面式”の調理台となっている。
また、このコンロ付き調理台13は、天板に露出する埋め込み式のシンク13aとコンロ13bとを有する。さらに、図示はしないが、天板の下方に位置し、複数に区分けされた収納部を有する。
【0030】
補助調理台14は、コンロ付き調理台13との間に、東西に延在する調理スペース11aを挟むようにして、かつ外壁に沿って配置されている。
また、この補助調理台14は、
図3に示すように、天板に露出する埋め込み式のシンク14aと、天板の下方に位置し、複数に区分けされた収納部14b,14c,14d,14eと、を有する。
【0031】
収納部14bは、補助調理台14の一端部側に位置し、かつ正面(調理スペース11a)に向かって開放された開放型収納部14bであり、第一調理家電21が設置されている。
収納部14cは、上記の開放型収納部14bの下方に位置している。
収納部14dは、シンク14aの下方に位置し、複数段に分けられた引き出し型収納部となっている。
収納部14eは、補助調理台14の他端部側に位置している。なお、本実施形態における収納部14eはビルトイン冷凍庫とされており、冷蔵庫17の補助的な役割を果たしている。
なお、このような補助調理台14の形態はあくまでも一例であり、これに限られるものではない。例えば第一調理家電21は、天板上に設置されてもよいし、必ずしも補助調理台14に設置されていなくてもよい。
【0032】
キッチンカウンター15は、キッチン11内の西側に位置する目隠しスペース11bに配置されている。目隠しスペース11bはキッチン11側に開口しており、当該開口は、目隠し扉16によって開閉自在とされている。すなわち、キッチンカウンター15は、必要に応じて目隠し扉16によって目隠しすることができる。
また、このキッチンカウンター15は、
図4に示すように、天板15aと、この天板15aの下方に位置し、複数に区分けされた収納部15b,15cと、を有する。
【0033】
天板15aの上には、第一調理家電22と第二調理家電23とが設置されている。
収納部15bは、キッチンカウンター15の一端部側に位置し、複数段に分けられた引き出し型収納部となっている。
収納部15cは、キッチンカウンター15の他端部側に位置し、前面扉を観音開き状に開くことができる収納部となっている。
なお、このようなキッチンカウンター15の形態はあくまでも一例であり、これに限られるものではない。例えば第一調理家電22及び第二調理家電23は、キッチンカウンター15に開放型収納部を設けて、その中に収納してもよいし、必ずしもキッチンカウンター15に設置されていなくてもよい。
【0034】
電力計測部20は、住宅1に設けられた計測ユニット付き分電盤であり、この分電盤は電力メーターを介して系統電源(商用配電線網から供給される電源)に接続されている。計測ユニットは、分電盤を通過する電力を計測しており、住宅1内の各所で使用される消費電力量をそれぞれ別個に計測することができる。つまり、分電盤は、住宅1内のエリアごとに消費電力量の計測が可能であり、キッチン11における消費電力量の計測も、他のエリアとは別に行うことができる。そのため、キッチン11で消費電力量の変動があった際に判別しやすい。
この計測ユニット付き分電盤である電力計測部20は、図示しない通信手段を有し、通信ネットワークNを介してサーバ装置30(後述する)と通信可能に接続されている。したがって、計測ユニットによって計測された消費電力量のデータはサーバ装置30に送信される。また、本実施形態において、消費電力量のデータは、住宅1で使用される調理家電ごとに送信されるものとする。
また、本実施形態においては、電力計測部20として計測ユニット付き分電盤を採用したが、これに限られるものではなく、例えば、デジタルで測定した電力データを送受信できる通信機能をメーター内に備えた所謂スマートメーターを採用してもよい。また、その他の計測手段を採用してもよい。
【0035】
第一調理家電21,22は、通信手段を有し、かつレシピに従って調理が可能な調理家電を指している。また、第二調理家電23は、通信手段を持たない調理家電の全般を指している。
すなわち、これら第一調理家電21,22及び第二調理家電23としては、電子レンジ、オーブンレンジ、炊飯器、自動調理鍋、トースター等を始めとする様々な調理家具が挙げられ、そのうち家庭内LANに有線又は無線接続可能とされたものが第一調理家電21,22であり、家庭内LANに接続されないものが第二調理家電23である。
なお、第二調理家電23には、通信手段を持たないものの、レシピに従って調理が可能な調理家電も含まれているものとする。
【0036】
図示はしないが、レシピに従って調理が可能な第一調理家電21,22及び第二調理家電23には、調理に必要な操作を行うための各種ボタン(例えばメニューボタン、出力調整ボタン、調理開始ボタンなど。)等が備えられた操作盤が設けられている。調理を開始する場合は、材料を投入した後で、この操作盤の各種ボタン等から入力作業を行うようにする。これによって、レシピに従った調理が可能となる。
なお、通信手段を有する第一調理家電21,22においては、操作盤の各種ボタン等を操作した際の入力履歴が、レシピデータ32aとしてサーバ装置30に送信され、記憶部32に記憶されるものとする。また、調理が完了したら、調理時の消費電力量のデータ(消費電力量データ32b)がサーバ装置30に送信される。その際に、第一調理家電21,22のレシピデータ32aと消費電力量データ32bは互いに紐付けられた状態とされる。
【0037】
レシピは、料理の材料と作り方が示されたものである。ユーザが、レシピどおりに材料を用意し、その材料を調理家電に投入し、スタートボタンを押す等の必要な操作を行うだけで料理を完成させることが可能となっている。
レシピはデータ化されたものでもよく、その場合、ユーザは、後述する情報通信端末25から確認したり、あるいは第一調理家電21,22に対してダウンロードし、第一調理家電21,22の表示部(図示せず)に表示させたりして調理を進めることができる。
【0038】
撮影部24は、キッチン11に配置されたカメラであり、第一調理家電21,22及び第二調理家電23を撮影するものである。撮影された画像は、静止画及び動画を含むものであり、必要に応じて、そのいずれかを選択できるようにしてもよい。撮影部24によって撮影された画像のデータは、通信ネットワークを介してサーバ装置30に送信される。
撮影部24を構成するカメラは、その撮影方向を適宜変更可能であり、稼動している調理家電を向くように撮影を行うことができる。また、拡大・縮小の調節も自在であり、必要に応じて拡大して撮影したり、縮小して撮影したりすることができる。
【0039】
なお、撮影部24には、遠赤外線を撮影する機能(サーモグラフィー)が備えられていてもよいものとする。これにより、熱分布を表した画像を取得することができるので、第一調理家電21,22及び第二調理家電23が調理中に熱を発した場合に、これを捉えることができ、どの調理家電が稼動しているかを容易に判別できる。
また、撮影部24と赤外線センサー(図示せず)を併用してもよい。これにより、第一調理家電21,22及び第二調理家電23が調理中に熱を発した場合に、赤外線センサーがこれを捉え、そのタイミングで撮影部24による撮影を行うことができる。なお、撮影部24による撮影は、電力計測部20によって第一調理家電21,22及び第二調理家電23の消費電力を計測開始したタイミングで行われるものとしてもよいし、ユーザがレシピの入力操作を行ったタイミングで行われるものとしてもよいし、定期的な監視を行うようにしてもよい。
【0040】
情報通信端末25は、パソコンやスマートフォン、タブレット端末等のような通信ネットワークNに接続が可能なものであって、各種情報の入出力が可能となっており、その種類は特に限定されない。なお、本実施形態においては、携帯性に優れるスマートフォン又はタブレット端末が好適に使用される。
【0041】
サーバ装置30は、通信ネットワークNを介して各家庭(住宅1,1…)に接続されており、
図2に示すように、制御部31と、記憶部32と、比較部33と、第一アドバイス生成部34と、判別部35と、第二アドバイス生成部36と、通信部37と、を有する。
【0042】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を備え、調理支援システム用の各種処理プログラムに従って各種動作を行う。すなわち、当該制御部31による制御に基づいて、調理支援システムを構成する各部の動作を実行することができる。
【0043】
記憶部32は、例えばRAM、ROM、不揮発性メモリ、ハードディスクドライブにより構成され、各家庭の第一調理家電21,22によって調理されたレシピのデータ(レシピデータ32a)とその調理時の消費電力量のデータ(消費電力量データ32b)を収集して記憶している。これらレシピデータ32a及び消費電力量データ32bは記憶部32に蓄積される。なお、これらレシピデータ32aと消費電力量データ32bは互いに紐付けされた状態となっており、レシピごとに消費電力量を判明させることができるようになっている。
また、記憶部32には、各家庭の第二調理家電23によって調理された時の消費電力量も記憶することができる。
なお、この記憶部32には、上述した調理支援システム用の各種処理プログラムが記憶されている。
【0044】
比較部33は、記憶部32に記憶された各家庭の調理時の消費電力量(消費電力量データ32b)をレシピ(レシピデータ32a)ごとに比較するものである。すなわち、各家庭において、例えば同一の第一調理家電21,22によって同一のレシピで調理を行っても、消費電力量に差が生じる場合がある。そのため、サーバ装置30は、上述のように、レシピデータ32aが紐付けされた消費電力量データ32bを各家庭から収集して、これを比較している。
【0045】
第一アドバイス生成部34は、ユーザに対し、比較部33による比較結果に基づいて第一調理家電21,22の使用に係るアドバイス(アドバイスデータ34a)を生成することが可能となっている。そして、サーバ装置30は、生成したアドバイス(アドバイスデータ34a)を、通信ネットワークNを介して各家庭に送信することができる。
なお、各家庭では、アドバイスデータ34aを受信できる手段が用意されているものとする。本実施形態においては、このようなアドバイスデータ34aの受信手段として、情報通信端末25が用いられている。
【0046】
第一アドバイス生成部34によって生成されるアドバイスには、比較部33による比較結果に応じて様々な種類のものがあり、第一調理家電21,22の消費電力量に係る情報や、第一調理家電21,22を使用して調理可能なレシピに係る情報が含まれている。
消費電力量に係る情報が含まれたアドバイスとしては、他のユーザと比較して消費電力量が多い場合とその程度に応じて、また、消費電力量が少ない場合とその程度に応じて適宜生成される。さらに、レシピに係る情報が含まれたアドバイスとしては、例えば新しい料理のレシピそのものや、レシピをアレンジしたもの等が適宜生成される。
より具体的には、「材料をより細かく切ることで火が通りやすくなり、加熱時間を減らすことができます」という内容のアドバイスや、「冷凍された食材は、あらかじめ自然解凍しておくと加熱時間を減らすことができます」という内容のアドバイス、「調理した後の保温時間を減らしましょう」という内容のアドバイス、「消費電力量が減ってきています。その調子で続けていきましょう」という内容のアドバイス等、様々なものが挙げられる。
【0047】
判別部35は、撮影部24によって撮影された画像に基づいて第一調理家電21,22及び第二調理家電23の種類及び稼動状態を判別するものである。
すなわち、上述のように、第一調理家電21,22及び第二調理家電23としては、電子レンジ、オーブンレンジ、炊飯器、自動調理鍋、トースター等を始めとする様々な調理家具が挙げられるが、これらの種類や仕様を画像に基づいて推定・判別するものである。なお、記憶部32には、このように判別部35によって判別するための基準の画像が予め記憶されているものとする。
また、判別部35は、撮影部24によって撮影された画像に基づいて第一調理家電21,22及び第二調理家電23の稼動状態を判別することも可能となっている。ただし、外観から稼動状態と非稼動状態を見極められないものは除くものとする。すなわち、稼動状態を表すようなランプ点灯や庫内灯の点灯等、画像から見極められるものについては稼動か非稼動かを判別することができる。また、上述のように撮影部24が、サーモグラフィー撮影が可能であれば、これに基づいて判別を行ってもよい
なお、第一調理家電21,22は通信手段を有し、サーバ装置30との間でデータ授受を行うことで、その稼動状態が容易に判別できる。そのため、判別部35による判別は、第一調理家電21,22と第二調理家電23の双方が設置されている場合、若しくは第二調理家電23のみが設置されている場合に行われるものであって、第一調理家電21,22のみが設置されている場合には、判別部35による判別は行われない。
【0048】
第二アドバイス生成部36は、判別部35による判別結果及び電力計測部20による計測結果に基づいて第二調理家電23の使用に係るアドバイスを生成することが可能となっている。そして、サーバ装置30は、生成したアドバイス(アドバイスデータ36a)を、通信ネットワークNを介して各家庭に送信することができる。
なお、各家庭では、アドバイスデータ36aを受信できる手段が用意されているものとする。本実施形態においては、このようなアドバイスデータ36aの受信手段として、情報通信端末25が用いられている。
【0049】
第二アドバイス生成部36によって生成されるアドバイスには、判別部35による判別結果及び電力計測部20による計測結果に応じて様々な種類のものがあり、第二調理家電23の消費電力量に係る情報が含まれている。
消費電力量に係る情報が含まれたアドバイスとしては、他のユーザと比較して消費電力量が多い場合とその程度に応じて、また、消費電力量が少ない場合とその程度に応じて適宜生成される。
より具体的には、「保温時間が長いので保温時間を減らしましょう」という内容のアドバイスや、「消費電力量が減ってきています。その調子で続けていきましょう」という内容のアドバイス等、様々なものが挙げられる。
【0050】
通信部37は、インターネットやLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークN(コンピュータネットワーク)に対してサーバ装置30を通信可能に接続するものであり、当該通信部37を介してデータの送受信ができるようになっている。
【0051】
[調理支援の流れについて]
図5等を参照し、以上のように構成された調理支援システムによって、ユーザの調理支援を行う場合について説明する。
なお、本実施形態においては、
図1,
図3,
図4に示すように、キッチン11に対して第一調理家電21,22と第二調理家電23の双方が設置されているものとする。
【0052】
まず、ユーザが調理を開始する。具体的には、ユーザは、材料を用意したり、切ったりして第一調理家電21,22又は第二調理家電23に投入する(ステップS1)。
続いて、ユーザが、操作盤の各種ボタン等からレシピの入力作業を行う(ステップS2)。第一調理家電21,22の場合は、ユーザがレシピの入力を行うことでレシピデータ32aが自動作成されてサーバ装置30に送信され、記憶部32に記憶されることになる。
【0053】
続いて、電力計測部20によって調理時の消費電力量を計測する(ステップS3)。
上述のように、住宅1内の消費電力量の計測はエリアごとに行うことができ、キッチン11も他のエリアとは別個に消費電力量の計測が行われる。そのため、第一調理家電21,22又は第二調理家電23を使用すると、使用前よりも消費電力量が確実に上がるため、第一調理家電21,22又は第二調理家電23の使用開始タイミングは判別しやすい。同様に、使用後は、使用中よりも消費電力量が確実に下がるため、第一調理家電21,22又は第二調理家電23の使用完了タイミングも判別しやすい。これにより、電力計測部20によって調理時の消費電力量を確実に計測することができる。
【0054】
続いて、撮影部24による撮影を開始する(ステップS4)。
撮影部24を構成するカメラは、上述のような所定のタイミングで撮影が開始されるものとする。本実施形態においては、電力計測部20によって第一調理家電21,22及び第二調理家電23の消費電力を計測開始したタイミングで撮影が開始されるものとする。そして、キッチン11に設置された第一調理家電21,22及び第二調理家電23のうち、稼動している調理家電を狙って撮影が行われる。
【0055】
続いて、判別部35によって第一調理家電21,22及び第二調理家電23の種類及び稼動状態を判別する(ステップS5,S6)。
判別部35による判別は、撮影部24によって撮影された画像に基づいて行われる。すなわち、上述のように、稼動状態を表すようなランプ点灯や庫内灯の点灯、サーモグラフィー撮影により判別を行うことができる。
そして、稼動している調理家電が、第一調理家電21,22である場合は、ステップS7へと進み、第二調理家電23である場合は、ステップS10へと進み、双方が稼動している場合は、ステップS7,S10の双方に進むものとする。
【0056】
ステップS7に進んだ場合、サーバ装置30は、記憶部32に対して、第一調理家電21,22のレシピデータ32a及び消費電力量データ32bを記憶する処理を行う。
そして、比較部33によって、記憶部32に記憶されたユーザの家庭における調理時の消費電力量と、他所の家庭における調理時の消費電力量とをレシピごとに比較する(ステップS8)。これにより、ユーザの家庭における消費電力量が、他所の家庭における消費電力量と比較してどの程度であるかを、レシピごとに把握することができる。
【0057】
続いて、第一アドバイス生成部34によって第一調理家電21,22の使用に係るアドバイスを、比較部33による比較結果に基づいて生成する(ステップS9)。
そして、生成されたアドバイス(アドバイスデータ34a)を、通信ネットワークNを介して、ユーザが所持する情報通信端末25へと送信する(ステップS13)。
【0058】
ステップS10に進んだ場合、サーバ装置30は、記憶部32に対して、第二調理家電23の消費電力量データ32bを記憶する処理を行う。
そして、比較部33によって、記憶部32に記憶されたユーザの家庭における調理時の消費電力量と、他所の家庭における調理時の消費電力量とを比較する(ステップS11)。これにより、ユーザの家庭における消費電力量が、他所の家庭における消費電力量と比較してどの程度であるかを把握することができる。
【0059】
続いて、第二アドバイス生成部36によって第二調理家電23の使用に係るアドバイスを、比較部33による比較結果に基づいて生成する(ステップS12)。
そして、生成されたアドバイス(アドバイスデータ36a)を、通信ネットワークNを介して、ユーザが所持する情報通信端末25へと送信する(ステップS13)。
【0060】
ユーザが、情報通信端末25に送信されたアドバイスに従って消費電力の節約行動を取ることで、ユーザの家庭における消費電力量を軽減させることができるので、光熱費の高騰を防ぐことが可能となる。
以上のようにしてユーザに対して調理支援を行うことができる。
なお、各家庭においてどのような調理家電が設置されているかはそれぞれ異なるため、消費電力量の計測を行う調理家電はいくつかに絞ってもよい。
また、本実施形態においては、第二調理家電23が一つしか設置されていない状況について説明したが、これに限られるものではなく、第二調理家電23が複数設置されていてもよい。通信手段を持たない複数の第二調理家電23が同時に稼動している場合は、消費電力量を単純に稼動している数で割って計算してもよいし、各第二調理家電23の定格消費電力から、およその消費電力量を算出してもよい。
【0061】
本実施の形態によれば、第一調理家電21,22が、レシピに従って調理を行うので、各家庭において調理に係る手間が省略されて利便性が向上することになる。
さらに、比較部33によって、記憶部32に記憶された各家庭の調理時の消費電力量をレシピごとに比較するので、ユーザの家庭における消費電力量が、他所の家庭における消費電力量と比較してどの程度であるかを、レシピごとに把握することができる。そして、その比較結果に基づいて、第一アドバイス生成部34が、第一調理家電21,22の使用に係るアドバイス(アドバイスデータ34a)を生成することができるので、ユーザに対して第一調理家電21,22の使用に係る的確なアドバイスを提示することができる。そのため、ユーザは、アドバイスに従って第一調理家電21,22を使用し、消費電力量の低減を図ることが可能となる。
【0062】
また、第一アドバイス生成部34によって生成されたアドバイスには、第一調理家電21,22の消費電力量に係る情報が含まれているので、ユーザに対して第一調理家電21,22の消費電力量に係る的確なアドバイスを提示することができる。そのため、ユーザは、アドバイスに従って第一調理家電21,22の消費電力量をより直接的に低減させることが可能となる。
【0063】
また、第一アドバイス生成部34によって生成されたアドバイスには、第一調理家電21,22を使用して調理可能なレシピに係る情報が含まれているので、ユーザに対して様々なレシピを提供することが可能となる。
【0064】
また、サーバ装置30は、第一調理家電21,22及び第二調理家電23を撮影する撮影部24によって撮影された画像に基づいて第一調理家電21,22及び第二調理家電23の種類及び稼動状態を判別する判別部35を備えるので、第一調理家電21,22及び第二調理家電23の種類及び稼動状態を判別し、どの調理家電が稼動しているかを撮影画像から判別することができる。
また、第二アドバイス生成部36が判別部35による判別結果及び電力計測部20による計測結果に基づいて第二調理家電23の使用に係るアドバイス(アドバイスデータ36a)を生成することができるので、ユーザに対して第二調理家電23の消費電力量に係るアドバイスを提示することができる。そのため、ユーザは、アドバイスに従って第二調理家電23における消費電力量の低減を図ることが可能となる。
【0065】
また、ユーザが所持し、かつサーバ装置30に対して通信ネットワークNを介して接続可能とされた情報通信端末25を更に備えるので、ユーザは情報通信端末25を介して第一調理家電21,22及び第二調理家電23に係る情報を取得したり、情報通信端末25を介して第一調理家電21,22の操作を行ったりすることが可能となる。また、ユーザは、情報通信端末25を介して撮影部24によって撮影した画像を確認することも可能となるので、第一調理家電21,22及び第二調理家電23から離れた場所でも、例えば第一調理家電21,22及び第二調理家電23による調理の進行状況等の様子を把握することができる。
【0066】
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。
【0067】
本変形例におけるサーバ装置30は、ユーザが情報通信端末25からアクセスして使用するWEBスケジューラと連動しており、WEBスケジューラから、ユーザの調理を伴う食事のスケジュールを取得することができる。
なお、WEBスケジューラとは、インターネット上でスケジュール管理を行うためのツールであり、複数の利用者によって共有され、携帯電話やパソコン等の情報通信端末25からの操作が可能となっている。
【0068】
以上のようなWEBスケジューラには、調理を伴う食事のスケジュールを入力することができるようになっている。また、入力するスケジュールには、ユーザがつくる料理の料理名を入力することができるようになっている。
サーバ装置30は、レシピサイトに接続可能となっており、ユーザがWEBスケジューラで入力した料理名に基づいて、レシピサイトからレシピ情報を取得することが可能となっている。
換言すれば、ユーザが入力するスケジュールには、サーバ装置30を通じて、調理のレシピに係る情報を紐付けすることが可能となっている。
【0069】
サーバ装置30は、ユーザが入力した食事のスケジュールに合わせて調理の着手時間を算出する着手時間算出部を備える。レシピサイトから取得したレシピ情報に調理目安時間に係る情報が含まれている場合は、入力した食事のスケジュールの時間から、その調理目安時間を引いた時間が調理の着手時間となる。また、過去に調理したことのあるレシピであれば、過去に調理した際の調理時間を記憶部32に記憶させておくことで、その調理時間に基づいて、調理の着手時間を算出することも可能となっている。さらには、ウェブ上から取得できる調理目安時間の情報を利用してもよい。
サーバ装置30によって算出された調理の着手時間は、WEBスケジューラに表示することもできるし、情報通信端末25に表示できるようにしてもよい。
なお、着手時間算出部は、サーバ装置30が備える制御部31によって構成されており、記憶部32には着手時間算出プログラムが格納されているものとする。すなわち、調理の着手時間は、制御部31と着手時間算出プログラムとの協働により算出される。
【0070】
また、サーバ装置30は、通信ネットワークNを介して、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア、商店街等の、自宅周辺にある食料品販売店40の販売・在庫情報等を取得することが可能となっている。
これにより、サーバ装置30は、材料の購入先の情報を、情報通信端末25を通じてユーザに知らせることができる。食料品販売店が複数ある場合は、複数の食料品販売店40の情報をユーザに知らせることができる。
また、サーバ装置30は、上記した調理の着手時間と、自宅と食料品販売店40との距離から、食料品の購入を終えて食料品販売店40から自宅に向かうべき時間を算出し、ユーザに知らせることができる。
なお、食料品販売店40の販売・在庫情報等には、食料品の購入時の割引に使用できるクーポンに係る情報が含まれており、当該クーポンに係る情報についてもユーザに提供できるようになっている。ユーザが、複数の食料品販売店40から一つの販売店を選ぶ際は、当該クーポン情報に基づいて選ぶようにしてもよい。
【0071】
第一アドバイス生成部34及び第二アドバイス生成部36によって生成されるアドバイスには、上記した調理の着手時間、食料品販売店40から自宅に向かうべき時間、食料品の購入先等のような、サーバ装置30からユーザに対して知らせる情報が含まれているものとする。
また、第一アドバイス生成部34及び第二アドバイス生成部36によって生成されるアドバイスには、上記の実施形態において説明した、第一調理家電21,22の消費電力量に係る情報、第二調理家電23の消費電力量に係る情報等も含まれている。
【0072】
調理を伴う食事のスケジュールをWEBスケジューラに入力した際の具体的な流れは以下のとおりである。
すなわち、ユーザが、WEBスケジューラに対し、例えばカレーライスを18時30分に食べるスケジュールを入力すると、サーバ装置30は、カレーライスの調理に着手時間を算出し、その着手時間を、WEBスケジューラに表示するか、第一アドバイス生成部34及び第二アドバイス生成部36によってアドバイスとして生成し、情報通信端末25に表示する。
さらに、サーバ装置30は、カレーライスに必要な材料を購入する食料品販売店40の情報と、食料品販売店40から自宅に向かうべき時間を、第一アドバイス生成部34及び第二アドバイス生成部36によってアドバイスとして生成し、情報通信端末25に表示する。また、食料品販売店40の情報には、クーポン情報が含まれていてもよい。
ユーザは、WEBスケジューラ上に表示される情報又は情報通信端末25に表示される情報を確認して食料品販売店40を選び、食料品販売店40から自宅に向かうべき時間までに食料品の購入を済ませ、さらに、調理の着手時間を目安にして調理を開始する。このようなスケジュールを組んで実行することで、ユーザは、18時30分に食事を開始することができるようになっている。
【0073】
本変形例によれば、サーバ装置30が、ユーザが情報通信端末25からアクセスして使用するWEBスケジューラと連動し、ユーザが入力した調理を伴う食事のスケジュールを取得するので、ユーザに対してスケジュールに係る的確なアドバイスを提示することができる。これにより、調理に係る手間を省略して利便性の向上を図ることができる。