(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、
図1から
図12を用いて説明する。
【0014】
<施解錠システムの構成>
図1に示すように、本発明の実施形態に係る電子キーが用いられる施解錠システムは、電子キー100と、電気錠200と、から構成されており、当該システムは、電子キー100と電気錠200との間で、無線信号を送受信して施解錠の制御を行なう。
【0015】
<電子キーの構成>
電子キー100は、
図2に示すように、施錠スイッチ110と、解錠スイッチ120と、LF受信部130と、受信アンテナ140と、UHF発信部150と、送信アンテナ160と、通信制御部170とから構成されている。また、通信制御部170には、メモリ171、タイマー172、可変部173、解除部174が内蔵されている。電子キー100は、ユーザーが電子キー100の施錠スイッチ110あるいは解錠スイッチ120を押下する、または、電気錠200から送信される無線信号を用いて、電気錠200との間での認証処理を経たのち、電気錠200にドアの施錠、解錠を行なわせるものである。
【0016】
以下、認証方式について説明する。
まず、第1の認証方式として、ユーザーが施錠スイッチ110または解錠スイッチ120を押下すると、電子キー100が休止状態から起動し、UHF帯の解錠信号あるいは施錠信号を送信アンテナ160を介して、電気錠200に送信する。この種の認証方式をワイヤレス認証と呼ぶ。
【0017】
一方、別の認証方式として、ユーザーによる後述する電気錠200に設けられた起動スイッチ(操作部)270の操作によって、電気錠200から送信されたLF帯の磁界信号である、後述するチャレンジコード信号を受信アンテナ140を介して、LF受信部130が受信し、通信制御部170に受信したチャレンジコード信号を出力する。通信制御部170は、チャレンジコード信号が入力されると、電子キー100を休止状態から起動する。また、通信制御部170は、入力されたチャレンジコード信号と、メモリ171に格納された電子キー固有のIDコードと、から算出したレスポンスコードを作成する。通信制御部170は、チャレンジコード信号を入力すると、電子キー100のメモリ171に格納されたチャレンジコードと一致したときに、送信アンテナ160を介して、UHF発信部150からUHF帯のレスポンスコード信号を電気錠200に送信する。この種の認証方式をパッシブ認証と呼ぶ。
【0018】
チャレンジコード信号は、後述する制御部250に予め設定されたチャレンジコードを制御部250への電子キー100の登録順に従って設定したものであり、制御部250に登録された複数の電子キー100に付与され、各電子キー固有のIDコードに関連づけられてメモリ252に記憶されている。チャレンジコード信号は、登録された複数個ある電子キー100が、通信エリア(LF範囲)内にある場合に、混信を避けるため、それぞれの電子キー100に、順番に送られるものである。すなわち、1番目に登録された電子キー100に対応するチャレンジコード信号を送信すると、1番に関連付けされた電子キー100だけが、レスポンスコード信号を返信し、その他の電子キー100は、レスポンスコード信号を返信することはない。なお、チャレンジコード信号には、施錠用チャレンジコード信号と解錠用チャレンジコード信号とがあり、レスポンスコード信号には、施錠用レスポンスコード信号と解錠用レスポンスコード信号とがある。以下では、これらの信号を用途に応じて、区別して記載する。
【0019】
本実施形態に係る電子キー100は、上記のように、ワイヤレス認証およびパッシブ認証の双方に対応するものである。
【0020】
通信制御部170は、上述の周知の機能に加え、電気錠200との間で、施錠のための認証通信が完了した後、所定期間、電気錠200との間の解錠のための認証通信を無効化する。なお、所定期間のカウントは、電子キー100内のタイマー172によって行う。
【0021】
ここで、施錠のための認証通信が完了とは、ワイヤレス認証により、ユーザーが電子キー100の施錠スイッチ110を押圧し、電子キー100から電気錠200へ送信された信号が認証されることにより電気錠200が施錠される場合およびパッシブ認証により、電気錠200からの施錠用チャレンジコード信号に応じて、電子キー100が施錠用レスポンスコード信号を返信し、電子キー100から電気錠200へ送信された施錠用レスポンスコード信号が認証されることにより、電気錠200が施錠される場合の双方を含む。
【0022】
また、電子キー100が、電気錠200との間の解錠のための認証通信を無効化するとは、具体的に、電気錠200から送信される解錠用チャレンジコード信号に応答して、電子キー100から電気錠200に対して、解錠用レスポンスコード信号を返信することを禁止する処理を例示できる。
【0023】
また、電子キー100が、電気錠200との間の解錠のための認証通信を無効化する処理として、電子キー100において、所定期間、電気錠200から送信される解錠用チャレンジコード信号の受信を禁止するようにしてもよい。具体的には、電気錠200との間で、施錠のための認証通信が完了した時点で、タイマー172を起動させるとともに、例えば、受信アンテナ140とLF受信部130との間に直列に配置されたスイッチング部を通信制御部170が制御して、タイマーのカウントアップまでの間、受信アンテナ140とLF受信部130との間を開放するようにしてもよい。
【0024】
また、上記では、電子キー100を例示したが、電子キー100に代えて、メカニカルキーを用いて、電気錠200のキーシリンダを回すことによって、錠が施錠されたことを電子キー100が検知した場合に、上記の無効化の処理を実行する場合にも適用することができる。
【0025】
さらに、上記では、電気錠200からの施錠用チャレンジコード信号に応じて、電子キー100が施錠用レスポンスコード信号を返信した時点から、所定期間、電気錠200との間の解錠のための認証通信を無効化することを例示したが、電気錠200から施錠となった旨の信号を電子キー100に送信し、電子キー100が、その信号を受信した時点から、所定期間、電気錠200との間の解錠のための認証通信を無効化するようにしてもよい。
【0026】
また、通信制御部170は、上記所定期間内に、電気錠200からの解錠のための認証信号を受信したことを検知した場合には、上記所定期間を延長する。
【0027】
可変部180は、ユーザーの操作により、上記所定期間を可変する。解除部190は、ユーザーの操作により、解錠のための認証通信の無効化を解除する。
【0028】
<電気錠の構成>
電気錠200は、
図3に示すように、LF発信部210と、送信アンテナ220と、UHF受信部230と、受信アンテナ240と、制御部250と、ドア施錠/解錠ユニット260と、起動スイッチ(操作部)270と、ドア開閉検知部280と、バッテリー290とから構成されている。また、制御部250は、タイマー251と、メモリ252とから構成され、ドア施錠/解錠ユニット260は、施解錠検知部261と、錠機構263とから構成されている。
【0029】
LF発信部210は、送信アンテナ220を介して、電子キー100にチャレンジコード信号を送信する。UHF受信部230は、受信アンテナ240を介して、電子キー100からレスポンスコード信号あるいは施錠/解錠信号を受信する。
【0030】
制御部250は、電気錠200全体の動作を後述するメモリ252に格納された制御プログラムにより制御する。制御部250内のタイマー251は、予め定められた所定時間を計時する。メモリ252は、前述した制御プログラムや様々なデータ等を格納する。
【0031】
ドア施錠/解錠ユニット260の施解錠検知部261は、錠機構263の施解錠状態を検知する。
【0032】
起動スイッチ(操作部)270は、ユーザーの操作を受け付ける。そして、起動スイッチ(操作部)270がユーザーの操作を受け付けると、制御部250が、LF発信部210から通信エリアに向けてチャレンジコード信号を送信するよう制御する。なお、チャレンジコード信号の送信は、錠機構263の施解錠状態や制御内容に応じて、施錠用チャレンジコード信号か、解錠用チャレンジコード信号かを判断して送信が行われる。ドア開閉検知部280は、ドアの開閉状態を検知する。バッテリー290は、制御部250およびドア施錠/解錠ユニット260に電力を供給する電源である。
【0033】
<電子キーおよび電気錠の外観構成>
図4に示すように、電子キー100は、本体に施錠スイッチ110および解錠スイッチ120を備えた外観構成を有し、電気錠200は、例えば、ドア左側中央部で、かつ、ドアハンドル203の上部に設けられた外観構成を有する。電気錠200は、
図4に示すようにドア201に装備され、錠機構(図示せず)と接続するドアハンドル203と、扉の外側に取付けられる操作錠部202とを備え、この操作錠部202に起動スイッチ(操作部)270が設けられている。
【0034】
また、
図5に示すように、ドア201は、室外側で、略外壁と同一平面をなしており、電気錠200を中心として室内、室外に略同一の面積を有する通信エリア(LF範囲)が形成されている。また、同様に、電気錠200を中心として室内、室外に略同一の面積を有し、通信エリア(LF範囲)よりも通信エリア領域が広い通信エリア(UHF範囲)が形成されている。なお、UHF範囲の通信エリアがLF範囲の通信エリアよりも広い通信エリアを有するのは、使用周波数帯に起因するものである。
【0035】
図6から
図8は、本実施形態に係る電子キーが用いられる施解錠システムにおけるストーカー対策、リレーアタック対策、置き忘れ対策を示したものである。
ここで、ストーカー対策とは、
図6に示すように、帰宅後、タッチ解錠操作(起動スイッチ(操作部)270による解錠操作)(1)を行い、入室して施錠操作を行なった(2)後、電子キー100が室内のLF検知エリアに留まっていても、一定時間は室外側からのタッチボタン(起動スイッチ(操作部)270)の操作では解錠できない機能をいう。
【0036】
また、リレーアタック対策とは、
図7に示すように、室内からのタッチ解錠操作(起動スイッチ(操作部)270による解錠操作)(1)を行い、室外で施錠操作を行なった(2)後、電子キー100が室外のLF検知エリアの外に出るまでのおおよその時間が経過(3)するまでは、仮に、室外からタッチ解錠操作(4)−1があっても、電気錠200はチャレンジコード信号の送信を停止して、解錠できないようにする機能をいう。
【0037】
また、置き忘れ対策とは、
図8に示すように、帰宅後、タッチ解錠操作(起動スイッチ(操作部)270による解錠操作)(1)を行い、入室して施錠操作を行なった(2)後、ドアのそばのLF検知エリアに電子キー100が放置されている場合、当該電子キー100を無効化して(3)、仮に、室外からタッチ操作があっても、電気錠200はチャレンジコード信号の送信を停止して、解錠できない(4)ようにする機能をいう。なお、無効化された電子キー100は、電気錠200が解錠になった時点で復旧される。
【0038】
<電子キーの処理>
図9から
図12を用いて、本実施形態に係る電子キー100の処理について説明する。
【0039】
図9は、電子キー100の操作入力を判断する処理フローと、タイマー172が所定時間を計時すると電気錠200との間の解錠のための認証通信の無効化を解除する処理フローである。
まず、電子キー100の通信制御部170は、LF受信部130において、LF信号(解錠用チャレンジコード信号あるいは施錠用チャレンジコード信号)を受信したか否かを判断する(ステップS101)。このとき、通信制御部170が、LF受信部130において、LF信号を受信したと判断したとき(ステップS101の「Yes」)には、(2)に処理を進める。
【0040】
一方で、通信制御部170が、LF受信部130において、LF信号を受信していないと判断したとき(ステップS101の「No」)には、施錠スイッチ110あるいは解錠スイッチ120が押されたか否かを判断する(ステップS102)。このとき、通信制御部170が、施錠スイッチ110あるいは解錠スイッチ120が押されたと判断したとき(ステップS102の「Yes」)には、(3)に処理を進める。
【0041】
また、通信制御部170が、施錠スイッチ110あるいは解錠スイッチ120が押されていないと判断したとき(ステップS102の「No」)には、禁止タイマーが無限に設定済か否かを判断する(ステップS103)。このとき、通信制御部170は、禁止タイマーが無限に設定済であると判断したとき(ステップS103の「Yes」)には、ステップS101に処理を戻す。ここで、禁止タイマーとは、所定時間、電子キー100が電気錠200に対して、解錠用レスポンスコード信号の返信を禁止するためのタイマー172である。
【0042】
一方で、通信制御部170は、禁止タイマーが無限に設定済でないと判断したとき(ステップS103の「No」)には、電気錠200に対する解錠用レスポンスコード信号の返信を禁止して所定時間が経過しているか否かを判断する(ステップS104)。このとき、通信制御部170が、電気錠200に対する解錠用レスポンスコード信号の返信を禁止して所定時間が経過していないと判断した場合(ステップS104の「No」)には、処理をステップS101に処理を戻す。また、通信制御部170が、電気錠200に対する解錠用レスポンスコード信号の返信を禁止して所定時間が経過していると判断した場合(ステップS104の「Yes」)には、通信制御部170は、解錠用レスポンスコード信号の返信を許可し(ステップS105)、解除部190が電気錠200との間の解錠のための認証通信の無効化を解除する。また、禁止タイマーのタイムカウントをクリアにして(ステップS106)、処理をステップS101に処理を戻す。
【0043】
図10は、通信制御部170がLF受信部130においてLF信号を受信したときの処理フローである。
通信制御部170が、LF受信部130において、LF信号を受信したと判断したとき(ステップS101の「Yes」)には、受信したLF信号が解錠用チャレンジコード信号であるのか否かを判断する(ステップS107)。通信制御部170が、受信したLF信号が解錠用チャレンジコード信号でないと判断したとき(ステップS107の「No」)には、処理をステップS112に移す。
【0044】
一方で、通信制御部170が、受信したLF信号が解錠用チャレンジコード信号であると判断したとき(ステップS107の「Yes」)には、電気錠200に対する解錠用レスポンスコード信号の返信が禁止されているか否かを判断する(ステップS108)。通信制御部170が、電気錠200に対する解錠用レスポンスコード信号の返信が禁止されていないと判断したとき(ステップS108の「No」)には、電気錠200に対して、解錠用レスポンスコード信号を返信し(ステップS109)、ステップS101に処理を戻す。通信制御部170が、電気錠200に対する解錠用レスポンスコード信号の返信が禁止されていると判断したとき(ステップS108の「Yes」)には、禁止タイマーが無限に設定済か否かを判断し(ステップS110)、通信制御部170は、禁止タイマーが無限に設定済でないと判断した場合(ステップS110の「No」)には、所定時間の禁止タイマーを再スタートさせ(ステップS111)、これにより、通信制御部170が、所定期間内に、電気錠200からの解錠のための認証信号を受信したことを検知した場合に、所定期間を延長するように設定し、処理をステップS101に戻す。この処理は、後述するステップS116において禁止タイマーが設定されたにも関わらず、解錠用LFが送信されてきたため、不正に送信された可能性が高いと判定してタイマーを延長するものである。また、通信制御部170は、禁止タイマーが無限に設定済であると判断した場合(ステップS110の「Yes」)には、処理をステップS101に戻す。
【0045】
ステップS107において、通信制御部170が、受信したLF信号が解錠用チャレンジコード信号でないと判断したとき(ステップS107の「No」)には、受信したLF信号が施錠用チャレンジコード信号であるのか否かを判断する(ステップS112)。通信制御部170が、受信したLF信号が施錠用チャレンジコード信号でないと判断したとき(ステップS112の「No」)には、処理をステップS101に戻す。
【0046】
一方で、通信制御部170が、受信したLF信号が施錠用チャレンジコード信号であると判断したとき(ステップS112の「Yes」)には、電気錠200に対して、施錠用レスポンスコード信号の返信し(ステップS113)、解錠用レスポンスコードの返信を禁止する(ステップS114)。これにより、通信制御部170は、電気錠200との間で、施錠のための認証通信が完了した後、電気錠200との間の解錠のための認証通信を無効化する。すなわち、不正に解錠用LFが送られてきたとしても解錠レスポンス信号を送らないため解錠することはできないようにする。よって、中継器を利用した不正解錠行為を阻止することができる。そして、通信制御部170は、禁止タイマーが無限に設定済か否かを判断し(ステップS115)、禁止タイマーが無限に設定済でないと判断した場合(ステップS115の「No」)には、所定時間の禁止タイマーをスタートさせ(ステップS116)、処理をステップS101に戻す。これにより、上記した解錠のための認証通信の無効化が所定期間継続することになる。また、通信制御部170は、禁止タイマーが無限に設定済であると判断した場合(ステップS115の「Yes」)には、処理をステップS101に戻す。
【0047】
図11は、ステップS102において解錠スイッチ120と施錠スイッチ110のいずれか一方が押されたときの処理フローである。
通信制御部170が、LF受信部130において、LF信号を受信していないと判断し(ステップS101の「No」)、次いで、施錠スイッチ110あるいは解錠スイッチ120が押されたと判断したとき(ステップS102の「Yes」)には、次に、解錠スイッチ120と施錠スイッチ110とが同時に押されたか否かを判断する(ステップS117)。このとき、通信制御部170が、解錠スイッチ120と施錠スイッチ110とが同時に押されたと判断した場合(ステップS117の「Yes」)には、処理を(4)に移す。
【0048】
一方で、通信制御部170が、解錠スイッチ120と施錠スイッチ110とが同時に押されていないと判断した場合(ステップS117の「No」)には、通信制御部170は、ユーザーによって、解錠スイッチ120が操作されたか否かを判断する(ステップS118)。通信制御部170が、ユーザーによる解錠スイッチ120の操作があったと判断した場合(ステップS118の「Yes」)には、電気錠200に対して、解錠駆動要求を送信し(ステップS119)、さらに、電気錠200に対する解錠用レスポンスコード信号の返信を許可して(ステップS120)、禁止タイマーのカウントアップをクリアして(ステップS121)、処理をステップS101に戻す。すなわち、解除部190によって、解錠のための認証通信の無効化が解除される。
【0049】
通信制御部170が、ユーザーによる解錠スイッチ120の操作がなかったと判断した場合(ステップS118の「No」)には、ユーザーによって、施錠スイッチ110が操作されたか否かを判断する(ステップS122)。このとき、通信制御部170が、ユーザーによる施錠スイッチ110の操作があったと判断した場合(ステップS122の「Yes」)には、電気錠200に対して、施錠駆動要求を送信し(ステップS123)、さらに、電気錠200に対する解錠用レスポンスコード信号の返信を禁止する(ステップS124)。これにより、通信制御部170は、電気錠200との間で、施錠のための認証通信が完了した後、電気錠200との間の解錠のための認証通信を無効化する。次いで、禁止タイマーが無限に設定済か否かを判断し(ステップS125)、禁止タイマーが無限に設定済でないと判断した場合(ステップS125の「No」)には、所定時間の禁止タイマーを再スタートさせて(ステップS126)、処理をステップS101に戻す。これにより、上記した解錠のための認証通信の無効化が所定期間継続することになる。すなわち、不正に解錠用LFが送られてきたとしても解錠レスポンス信号を送らないため解錠することはできないようにする。一方で、通信制御部170が、ユーザーによる施錠スイッチ110の操作がなかったと判断した場合(ステップS122の「No」)にも、処理をステップS101に戻す。
【0050】
図12は、解錠スイッチ120と施錠スイッチ110とを同時に押し、ユーザーが意図して解錠を禁止するときの処理フローである。
通信制御部170が、解錠スイッチ120と施錠スイッチ110とが同時に押されたと判断した場合(ステップS117の「Yes」)には、同時押しタイマーを3秒に設定して起動し(ステップS127)、同時押しタイマーのカウントを「1」だけアップする(ステップS128)。
【0051】
次いで、通信制御部170が、解錠スイッチ120と施錠スイッチ110の同時押しが解除されたか否かを判断し(ステップS129)、通信制御部170が、解錠スイッチ120と施錠スイッチ110の同時押しが解除されたと判断した場合(ステップS129の「Yes」)には、再度、解錠スイッチ120と施錠スイッチ110とが同時に押されたか否かを判断し(ステップS130)、再度、解錠スイッチ120と施錠スイッチ110とが同時に押されたと判断した場合(ステップS130の「Yes」)には、処理をステップS127に戻す。また、通信制御部170が、解錠スイッチ120と施錠スイッチ110の同時押しが解除されていないと判断した場合(ステップS129の「No」)および、再度、解錠スイッチ120と施錠スイッチ110とが同時に押されてはいないと判断した場合(ステップS130の「No」)には、次いで、通信制御部170は、同時押しタイマーが3秒経過したか否かを判断する(ステップS131)。
【0052】
ステップS131において、同時押しタイマーが3秒経過していないと判断した場合(ステップS131の「No」)には、処理をステップS129に戻す。一方で、同時押しタイマーが3秒経過していると判断した場合(ステップS131の「Yes」)には、通信制御部170は、最初に同時押しされてから、継続して3秒間、同時押しされたか否かを判断する(ステップS132)。
【0053】
このとき、通信制御部170が、最初に同時押しされてから、継続して3秒間、同時押しされたと判断した場合(ステップS132の「Yes」)には、所定時間の禁止タイマーを無限に設定し(ステップS133)、処理をステップS101に戻す。つまり、解除部190によって解錠のための認証通信の無効化が解除されない限り、タイマー172により所定時間が経過したことを計時して無効化が解除されることはないように可変部180が所定期間を無限に設定する。一方で、通信制御部170が、最初に同時押しされてから、継続して3秒間、同時押しされていないと判断した場合(ステップS132の「No」)には、禁止タイマーが無限に設定済か否かを判断する(ステップS134)。そして、禁止タイマーが無限に設定済であると判断した場合(ステップS134の「Yes」)には、処理をステップS101に戻し、禁止タイマーが無限に設定済でないと判断した場合(ステップS134の「No」)には、所定時間に、スイッチ同時押しカウンタのカウンタ値と2分を乗じたものを加算した値を禁止タイマーの設定時間として、禁止タイマーを再スタートさせ(ステップS135)、処理をステップS101に戻す。つまり、可変部180が所定期間を延長する。なお、本実施形態では所定時間に加算する値をスイッチ同時押しカウンタのカウンタ値と2分を乗じたものとしたが、これに限定されるものではない。
【0054】
<本実施形態の効果>
以上、説明したように、本実施形態によれば、電子キー100が、電気錠200との間の無線通信を制御する通信制御部170を備え、通信制御部170が、電気錠200との間で、施錠のための認証通信が完了した後、所定期間、電気錠200との間の解錠のための認証通信を無効化する。つまり、電気錠200からの施錠用チャレンジコード信号に応じて、電子キー100が、施錠用レスポンスコード信号を返信し、または、ユーザーが電子キー100を操作して施錠信号を送信して、電気錠200において施錠認証通信がなされると、電子キー100が電気錠200を解錠するための解錠通信を一定時間無効化する構成とした。
したがって、例えば、帰宅時に扉を解錠し、施錠した直後に外から解錠できてしまう問題や、システムの脆弱性を突き中継器を利用して、不正解錠を行う、所謂、リレーアタックが行われて、窃盗等の犯罪が発生するということを未然に防ぐことができる。
また、所定時間後は、機能回復するため、ユーザーが次に電子キー100を使うときに不便さを感じることがない。
さらに、電子キー100のみの変更で対応することが可能であるため、電気錠200を変更する必要がなく、電子キー100だけ変更すればリレーアタック等の不正行為を阻止する電気錠200となり、コストを抑えて盗難防止性能を高めることができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、通信制御部170が、所定期間内に、電気錠200からの解錠のための認証信号を受信したことを検知した場合には、上記所定期間を延長することとした。
そのため、電子キー100に対して、解錠用チャレンジコード信号が不正に送られている状況下であっても、電子キー100が電気錠200を解錠するための解錠通信の無効化を継続するため、セキュリティ性を向上させることができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、ユーザーが、所定期間を可変するための可変部を備える構成とした。
これにより、解錠認証を無効にする時間をユーザーが設定可能であるため、ユーザーの都合に応じて、個別に設定が可能となり、利便性が高くなる。
【0057】
また、本実施形態によれば、ユーザーが、解錠のための認証通信の無効化を解除する解除部を備える構成とした。
これにより、必要な場合には、ユーザーの意思により、解錠操作が可能であるため、利便性が低下することがない。
なお、実施形態においては、電子キー100の解錠スイッチ120を押下することにより、認証通信の停止を解除できることを例示いたが、このように、既存のスイッチを流用することにより、コストアップを抑制して、機能強化を図ることができる。
【0058】
なお、本発明の各処理を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、電子キー100の各処理に係る上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器などのハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリなどの書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROMなどの可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクなどの記憶装置のことをいう。
【0059】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネットなどのネットワークや電話回線などの通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置などに格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネットなどのネットワーク(通信網)や電話回線などの通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0060】
以上、この発明の実施形態および実施例につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態あるいは実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、本実施形態においては、電気錠の設置場所として便宜的に、家屋のドアを例示して説明したが、本実施形態に係る電気錠が車両のドアに設けられるような施解錠システムにおいても、同等の効果を期待できる。