特許第6986907号(P6986907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986907
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】シャワーフック及び浴室
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/06 20060101AFI20211213BHJP
   A47K 3/28 20060101ALI20211213BHJP
   A47K 4/00 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   E03C1/06
   A47K3/28
   A47K4/00
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-167573(P2017-167573)
(22)【出願日】2017年8月31日
(65)【公開番号】特開2019-44438(P2019-44438A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】白石 明遠
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼澤 義己
(72)【発明者】
【氏名】吉原 新一朗
【審査官】 津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−188172(JP,A)
【文献】 特開2009−155842(JP,A)
【文献】 実開平02−078662(JP,U)
【文献】 特開2016−199999(JP,A)
【文献】 特開2000−110212(JP,A)
【文献】 特開平11−029964(JP,A)
【文献】 特開2004−293203(JP,A)
【文献】 特開2007−255176(JP,A)
【文献】 特開2003−325371(JP,A)
【文献】 実開平05−057064(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3084385(JP,U)
【文献】 中国実用新案第2846525(CN,Y)
【文献】 意匠登録第1578647(JP,S)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/06
A47K 3/28
A47K 4/00
日本意匠分類 M2−5900
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室の壁面に取り付けられるブラケット部と、
一端側が前記ブラケット部に横方向に回動可能に接続され他端側にシャワーヘッドを保持する保持部が設けられたアームと、を有し、
平面視で、前記アームを前記壁面に垂直な姿勢にしたときに、前記保持部の前記壁面からの距離が、前記ブラケット部の下方の前記壁面部分に設置されたカウンターの前記壁面からの突出寸法よりも大きく、
前記ブラケット部は、前記アームを自己の周りに横方向に回動可能に支持する鉛直な軸を有し、
前記軸は、前記壁面からの距離が、前記ブラケット部の下方の前記壁面部分に設置されたカウンターの前記壁面からの突出寸法よりも小さく、
前記アームは、前記ブラケット部と前記保持部とを接続するアーム組立体を有し、前記アーム組立体はアームカバー部材により上方から覆われ、前記アーム組立体における前記アームカバー部材よりも前記ブラケット部側に突出した部分に、前記ブラケットに設けられた前記軸に対し回動可能に嵌り合う軸孔が設けられ、前記軸孔の内周に、前記軸の外周に設けられたラチェット歯部に対応するラチェット歯止め部が設けられている
シャワーフック。
【請求項2】
前記アームは、前記ブラケット部側から前記保持部側に向かう程下がるように傾斜して延びている請求項1に記載のシャワーフック。
【請求項3】
前記保持部は、シャワーヘッドを上下方向に回動可能に保持する請求項1又は2に記載のシャワーフック。
【請求項4】
前記シャワーフックは、前記壁面に設けられ前記壁面からの突出寸法が前記カウンターの突出寸法よりも小さい補助シャワーフックの上方に位置している請求項1から3の何れか一項に記載のシャワーフック。
【請求項5】
シャワーフックの下方にカウンターが配置された浴室であって、
前記シャワーフックは、
前記浴室の壁面に取り付けられるブラケット部と、
一端側が前記ブラケット部に横方向に回動可能に接続され他端側にシャワーヘッドを保持する保持部が設けられたアームと、を有し、
平面視で、前記アームを前記壁面に垂直な姿勢にしたときに、前記保持部の前記壁面からの距離が、前記ブラケット部の下方の前記壁面部分に設置された前記カウンターの前記壁面からの突出寸法よりも大きく、
前記ブラケット部は、前記アームを自己の周りに横方向に回動可能に支持する鉛直な軸を有し、
前記軸は、前記壁面からの距離が、前記ブラケット部の下方の前記壁面部分に設置されたカウンターの前記壁面からの突出寸法よりも小さく、
前記アームは、前記ブラケット部と前記保持部とを接続するアーム組立体を有し、前記アーム組立体はアームカバー部材により上方から覆われ、前記アーム組立体における前記アームカバー部材よりも前記ブラケット部側に突出した部分に、前記ブラケットに設けられた前記軸に対し回動可能に嵌り合う軸孔が設けられ、前記軸孔の内周に、前記軸の外周に設けられたラチェット歯部に対応するラチェット歯止め部が設けられている
浴室。
【請求項6】
前記シャワーフックよりも突出寸法が小さい補助シャワーフックが前記シャワーフックの下方に設けられる請求項に記載の浴室。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワーヘッドを保持するシャワーフック、及び、浴室に関する。
【背景技術】
【0002】
シャワーヘッドを保持するための部分である保持部材を、シャワーフックの基部に対して横方向及び縦方向に回して角度を調節できるようにしたシャワーフックが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたシャワーフックは、浴室などの壁面に固定される基部に対し、ヘッド保持アダプターを縦方向の軸によって横方向に回動可能に支持し、このヘッド保持アダプターに対し、シャワーヘッドを保持する保持部材を横方向の軸により縦方向に回動可能に支持している。シャワーヘッドが回動可能に保持されていれば、ユーザは所用に応じてシャワーヘッドの向きを変えられるため便利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−199999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のシャワーフックでは、ユーザが洗髪等に際してシャワーフックに保持されたシャワーヘッドに接近する際に、壁面から突出している下方のカウンタその他の設置物に当たらないように注意しなくてはならず、窮屈である。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ユーザがシャワーフックに保持されたシャワーヘッドに接近する際に壁面からのスペースが十分に確保されるシャワーフック、及び、浴室を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のシャワーフック(例えば、後述するシャワーフック1)は、壁面(例えば、後述する壁面131a)に取り付けられるブラケット部(例えば、後述するブラケット部5)と、一端側が前記ブラケット部に横方向に回動可能に接続され他端側にシャワーヘッド(例えば、後述するシャワーヘッド3)を保持する保持部(例えば、後述する保持部7)が設けられたアーム(例えば、後述するアーム6)と、を有し、平面視で、前記アームを前記壁面に垂直な姿勢にしたときに、前記保持部の前記壁面からの距離(例えば、後述する距離L2)が、前記ブラケット部の下方の前記壁面部分に設置された設置物(例えば、後述するカウンタ136)の前記壁面からの突出寸法(例えば、後述する寸法L1)よりも大きい。
【0007】
前記アームは、前記ブラケット部側から前記保持部側に向かう程下がるように傾斜して延びていることが好ましい。
【0008】
また、前記保持部は、シャワーヘッドを上下方向に回動可能に保持することが好ましい。
【0009】
また、前記シャワーフックは、、下方に設けられる補助シャワーフック(例えば、後述する補助シャワーフック2)よりも突出寸法が大きいことが好ましい。
【0010】
また、前記ブラケット部は、前記アームを鉛直な軸(例えば、後述する中空軸体13)の周りに横方向に回動可能にラチェット機構(例えば、後述するラチェット機構26)を介して支持することが好ましい。
【0011】
また、本発明の浴室は、シャワーフック(例えば、後述するシャワーフック1)の下方に設置物(例えば、後述するカウンタ136)が配置された浴室であって、前記シャワーフックは、前記浴室の壁面(例えば、後述する壁面131a)に取り付けられるブラケット部(例えば、後述するブラケット部5)と、一端側が前記ブラケット部に横方向に回動可能に接続され他端側にシャワーヘッド(例えば、後述するシャワーヘッド3)を保持する保持部が設けられたアーム(例えば、後述するアーム6)と、を有し、平面視で、前記アームを前記壁面に垂直な姿勢にしたときに、前記保持部の前記壁面からの距離が、前記ブラケット部の下方の前記壁面部分に設置された前記設置物の前記壁面からの突出寸法よりも大きい。
【0012】
また、前記浴室は、シャワーフックよりも突出寸法が小さい補助シャワーフックが前記シャワーフックの下方に設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ユーザがシャワーフックに保持されたシャワーヘッドに接近する際に壁面からのスペースが十分に確保される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態としてのシャワーフックを設けた壁面が右側方に見える視野で本発明の一実施形態としての浴室である浴室ユニットを示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態としてのシャワーフックを壁面に取り付けた状態を示す側面図である。
図3】本発明の一実施形態としてのシャワーフックを示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態としてのシャワーフックの側断面図である。
図5図4よりも断面深さが浅い図4のシャワーフックの側断面図である。
図6】本発明の一実施形態としてのシャワーフックの向きを横方向に変えるための機構を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳述することにより本発明を明らかにする。
図1は、本発明の一実施形態としてシャワーフックを設けた壁面が右側方に見える視野で本発明の一実施形態としての浴室である浴室ユニットを示す斜視図である。
浴室ユニット100は、浴槽110に並んで洗い場床120が設けられている。この浴室ユニット100は、浴槽110の4周のうち洗い場床120側を除く3方を囲む壁パネルと、ドアが設けられドアパネルとによって4周が囲まれている。ここでは、説明の便宜上、シャワーフック1及び補助シャワーフック2が設けられた第1壁パネル131と、第1壁パネル131に一端側が垂直に接合されて浴槽110の長辺に沿う第2壁パネル132が示され他のパネルは未設置の状態で表されている。第1壁パネル131及び第2壁パネル132は、それぞれ複数の壁パネル部材によって構成される。
【0016】
第1壁パネル131には、上方のシャワーフック1と下方の補助シャワーフック2が縦方向に所定間隔で固定され、補助シャワーフック2に向かって右手下方に混合水栓133が設けられている。シャワーフック1及び補助シャワーフック2は、所用に応じユーザの任意でそれらの何れかでシャワーヘッド3を支持する。シャワーヘッド3から延びたシャワーホース4の端部が混合水栓133に接続されている。
【0017】
第1壁パネル131には、更に、補助シャワーフック2の右側に位置して鏡134が設けられ、鏡134の上方に照明器具135が設けられている。
また、第1壁パネル131の混合水栓133の下方に位置して、カウンタ136が第1壁パネル131から水平方向前方に突出するように設けられている。
カウンタ136は、洗面器が置ける程度の広さを有して第1壁パネルから突出し、また、水を満たした洗面器を支持する強度を有し相応の厚みがある。カウンタ136の上面は浴槽110のフランジ面と同等もしくは低い。このため、カウンタ136から浴槽110に水が流れ込むことがない。
【0018】
図2は、本発明の一実施形態としてシャワーフックを壁面に取り付けた状態を示す側面図である。図2において図1との対応部には同一の符号を附してある。
シャワーフック1は、第1壁パネル131の壁面131aに取り付けられるブラケット部5と、一端側がブラケット部5に横方向に回動可能に接続されたアーム6とを含んで構成されている。アーム6の先端側にはシャワーヘッド3(図1)を保持する保持部7が設けられている。
【0019】
保持部7は、後述するようにシャワーヘッド3を上下方向に回動可能に保持する。この回動にはラチェット機構を介して複数の安定位置が設定される。補助シャワーフック2にも保持部2aが設けられている。保持部2aも保持部7と同様にシャワーヘッド3を上下方向に回動可能に保持する。この回動にはラチェット機構を介して複数の安定位置が設定される点も保持部7と同様である。
【0020】
図2の側面視で、第1壁パネル131のブラケット部5下方であって補助シャワーフック2よりもさらに下方の壁面131a部分に設置された設置物としてのカウンタ136は、第1壁パネル131の壁面131aからの突出寸法がL1である。これに対し、シャワーフック1のアーム6先端に設けられた保持部7の壁面131aからの距離はL2である。ここに、保持部7の壁面131aからの距離L2とは、シャワーフック1のアーム6をブラケット部5に対して横方向に振らず平面視で壁面131aに対して垂直な方向に真っ直ぐに並ぶようにした姿勢で、アーム6の先端部位の保持部7が壁面131aから離隔している距離である。この距離L2は、保持部7の少なくとも一部分の壁面131aからの距離であればよい。
シャワーフック1における距離L2は、ブラケット部5下方の設置物の壁面131aからの突出寸法がL1よりも大きく設定される。
従って、ユーザがシャワーフック1の保持部7に保持されたシャワーヘッドに接近する際に壁面からのスペースが十分に確保され、窮屈さが払拭される。
図2より特に明らかな通り、シャワーフック1の突出寸法は、下方に設けられる補助シャワーフック2の突出寸法よりも大きい。換言すれば、補助シャワーフック2の突出寸法はシャワーフック1の突出寸法よりも小さい。
従って、シャワーフック1を用いるときにも、下方の補助シャワーフック2が邪魔にならない。
【0021】
次に、図3図4及び図5を参照して図1のシャワーフック1について詳細に説明する。
図3は、本発明の一実施形態としてのシャワーフックを示す斜視図である。
図4は、本発明の一実施形態としてのシャワーフックの側断面図である。
図5は、図4よりも断面深さが浅い図4のシャワーフックの側断面図である。
【0022】
ブラケット部5は、内部に縦横にリブ8が設けられたブラケット組立体9有し、ブラケット組立体9の略上半分の部分がブラケットカバー部材10によって覆われている。
ブラケット部5は、壁面131aに沿う面部を有する基部11の部位で、ねじ等により壁面131aに取付けられている。基部11は、ブラケット組立体9の部分を構成する部材である。
ブラケット組立体9は、ブラケット部5にアーム6を横方向に回動可能に接続する軸を有する。軸はブラケット組立体9の下部を占めるベース部12から上方に立ち上がった概略筒状の中空軸体13によって構成されている。軸である中空軸体13は、その中心軸Xの方向が鉛直方向(従って、壁面131aには平行)になるようにその位置が設定される。
【0023】
ベース部12と中空軸体13とは一体に構成されて軸構造体14を成している。ブラケット組立体9は、ブラケット組立体本体15に軸構造体14が嵌合して構成される。即ち、ブラケット組立体本体15の下部軸孔13a及び上部軸孔13bに軸構造体14の中空軸体13が嵌り合うようにしてブラケット組立体本体15と軸構造体14とが嵌合する。
【0024】
一方、アーム6は、内部にリブ16が縦横に設けられたアーム組立体17の略上半分の部分と先端側の部分がアームカバー部材18によって覆われている。
アーム組立体17におけるアームカバー部材18よりもブラケット部5側に突出した部分には、ブラケット組立体9の中空軸体13に対し回動可能に嵌り合う軸孔19が設けられている。アーム組立体17の軸孔19とその周囲の部分は、ブラケット部5の中空軸体13によってアーム6が横方向に回動可能に接続される接続部20である。接続部20の軸孔19の中心がブラケット組立体9の中空軸体13の中心軸X上に位置する。
アーム6の接続部20が形成された一端側に対し、他端側には保持部7が上下方向に回動可能に設けられる。
【0025】
本実施形態のシャワーフック1では、ブラケット部5の壁面131a側の端部である基部11からアーム6側の端部である接続部位(詳細にはアーム6の接続部20軸孔19の中心位置に該当)までの長さが、アーム6のブラケット部5側の端部である接続部20(詳細には軸孔19の中心位置)から保持部7側の端部である先端部までの長さよりも短い。
換言すれば、アーム6の一端側の接続部20(軸孔19の中心)から先端側(保持部7が設けられている先端側)までの長さは、ブラケット部5の壁面131aへの固定部分である基部11からアーム6の接続部20(軸孔19の中心)までの長さよりも長い。
従って、アーム6を横方向に回動操作させるときにアーム6の先端側に触れて操作すれば、回動操作におけるアーム長が相対的に長いものとなり、少ない操作力で横方向に回動変位さることができる。このため、アーム6の横方向(左右の回動方向)での位置調節に関する操作性に優れる。
【0026】
また、アーム6を回動可能に接続しているブラケット部5の中空軸体13は、その中心軸Xが鉛直である。このため、アーム6の先端側の横方向(左右の回動方向)での振れは水平面に沿ったものとなり、横方向に回動させて位置調節をする場合における違和感がなく操作性が良い。
また、アーム6は壁面131aに垂直な方向(本例では水平方向)よりも下方に傾斜した方向に延びるようにブラケット部5に取り付けられている。通常より長めに壁面131aから突出したアーム6が、このように先端が下降する方向に向けられているため、水平方向或いは先端側が上昇する方向に向けられた場合に比しユーザにとって違和感が無く使い勝手に優れる。
【0027】
次に、アーム6の先端側における保持部7と、その取付け部の構造について説明する。
保持部7は、シャワーヘッド3のシャワーホース4に連なるテーパー管部に対応して先端側(上側)が相対的に大径(曲率が緩い)の凹面部7aが内側に形成されている。保持部7は、側面視で概略円形であり、凹面部7aはこの円の直径方向に沿って形成されている。保持部7の外側には概略円形の中心に該当する左右の各位置(図4及び図5では、紙面の手前側と奥側との各位置)に軸体21(図5参照)がそれぞれ突設されている。また概略円形内の軸体21の中心から所定間隔離れた位置に回動範囲規制用のボス22が軸体21と平行に突設されている。
アーム6のアーム組立体17における先端側の一対の突出リブ16aに、軸体21が回動可能に嵌合する軸孔23と、ボス22が嵌合する回動範囲規制用の弧状の長孔である回動規制孔24が設けられている。保持部7は、ボス22が回動規制孔24内で移動可能な範囲で軸体21の軸を中心として上下に回動可能である(図3に二点鎖線にて図示)。
【0028】
保持部7の外周におけるアーム組立体17先端側へ対向する湾曲面には、ラチェット機構25の凹凸状のラチェット歯部25aが形成されている。また、アーム組立体17先端側にはラチェット歯部25aに対応する凹凸状部を有するラチェット歯止め部25bが設けられている。ラチェット歯止め部25bはその背後の弾性体などによる付勢部25cによって突出し、ラチェット歯部25aに弾発的に嵌合する。ユーザによるシャワーヘッド3を介しての保持部7への上下方向の回動操作力が一定以上になると、ラチェット歯止め部25bが弾発的に後退してラチェット歯部25aがラチェット歯止め部25bに対して相対変位し、保持部7はラチェット機構25の一つの安定位置から次の安定位置へと一段毎に回動する。ユーザの操作次第で回動段数が決まるが、回動範囲は、回動規制孔24内でボス22の移動が許容される範囲内に規制される。
【0029】
次に、図4及び図6を参照してシャワーフック1(そのアーム6)の向きを横方向に変えるための機構について説明する。
既述の図4に加えて参照する図6は、本発明の一実施形態としてのシャワーフックの向きを横方向に変えるための機構を説明する図である。図6は、シャワーフック1を、ブラケット部5及びアーム6の上部を破断して平面視で示す図である。
図6において図4との対応部は同一の符号を附して示し、それら対応部の説明は適宜省略する。図6では、アーム6が平面視で壁面131aに垂直な位置から横方向に回動したときの位置が二点鎖線にて図示されている。
【0030】
ブラケット部5にアーム6が横方向に回動可能に接続されている部分にもラチェット機構26が設けられている。
ラチェット機構26は、中空軸体13の外周におけるアーム組立体17の基端側へ対向する周面に形成された凹凸状のラチェット歯部26aと、アーム組立体17の基端側にラチェット歯部26aに対向するように設けられたラチェット歯止め部26bとを含んで構成される。ラチェット歯止め部26bはその背後の弾性体などによる付勢部26cによって突出し、ラチェット歯部26aに弾発的に嵌合する。ユーザによるアーム6への左右方向(横方向)の回動操作力が一定以上になると、ラチェット歯止め部26bが弾発的に後退してラチェット歯部26aがラチェット歯止め部26bに対して相対変位する。ラチェット機構26では、中空軸体13の外周に形成されたラチェット歯部26aの位置が固定され、アーム組立体17側のラチェット歯止め部26b側の位置が移動する。アーム6はラチェット機構26の一つの安定位置から次の安定位置へと一段毎に回動する。ユーザの操作次第で回動段数が決まるが、回動範囲は、図示しない機構部により所定の回動角度以内に規制される。
【0031】
以上述べた本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
(1)本実施形態のシャワーフック1では、壁面131aに取り付けられるブラケット部5と、一端側がブラケット部5に横方向に回動可能に接続され他端側にシャワーヘッド3を保持する保持部7が設けられたアーム6と、を有し、平面視で、アーム6を壁面131aに垂直な姿勢にしたときに、保持部7の壁面131aからの距離L2が、ブラケット部5の下方の壁面131a部分に設置された設置物であるカウンタ136の壁面131aからの突出寸法L1よりも大きい。
このため、ユーザがシャワーフック1の保持部7に保持されたシャワーヘッドに接近する際に壁面からのスペースが十分に確保され、窮屈さが払拭される。
【0032】
(2)シャワーフック1では、アーム6は、ブラケット部5側から保持部7側向かう程下がるように傾斜して延びている。
このため、通常より長めに壁面131aから突出したアーム6は、その先端が下降する方向に向いているため、水平方向或いは先端側が上昇する方向に向いている場合に比しユーザにとって違和感が無く使い勝手に優れる。
【0033】
(3)シャワーフック1では、保持部7は、シャワーヘッド3を上下方向に回動可能に保持する。
このため、それ自体が横方向に回動可能なアーム6に対して保持部7はシャワーヘッド3を上下方向に回動させることが可能であり、シャワーヘッド3の向きを広範囲に調節することができ、ユーザにとって使い勝手に優れる。
【0034】
(4)シャワーフック1では、下方に設けられる補助シャワーフック2よりも突出寸法が大きい。
このため、シャワーフック1を用いるときにも、下方の補助シャワーフック2が邪魔にならない。
【0035】
(5)シャワーフック1では、ブラケット部5は、アーム6を中心軸が鉛直な中空軸体13の周りに横方向に回動可能にラチェット機構26を介して支持する。
このため、アーム6を横方向に回動させる際の動きが実質的に水平方向に沿った軌跡を描くこととなり、動きに違和感が無く、且つ、ラチェット機構26により、複数段の回動位置で安定に位置保持され、ユーザの使い勝手がよい。
【0036】
(6)本発明の浴室である浴室ユニット100は、シャワーフック1の下方に設置物としてのカウンタ136が配置された浴室ユニット100であって、シャワーフック1は、浴室ユニット100の壁面131aに取り付けられるブラケット部5と、一端側がブラケット部5に横方向に回動可能に接続され他端側にシャワーヘッド3を保持する保持部7が設けられたアーム6と、を有し、平面視で、アーム6を壁面131aに垂直な姿勢にしたときに、保持部7の壁面131aからの距離L2が、ブラケット部5の下方の壁面131a部分に設置されたカウンタ136の壁面131aからの突出寸法L1よりも大きい。
このため、ユーザがシャワーフック1の保持部7に保持されたシャワーヘッドに接近する際に壁面からのスペースが十分に確保され、窮屈さが払拭される。
【0037】
(7)浴室ユニット100では、シャワーフック1よりも突出寸法が小さい補助シャワーフック2がシャワーフック1の下方に設けられる。
このため、シャワーフック1を用いるときにも、下方の補助シャワーフック2が邪魔にならない。
【0038】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形変更等は本発明に含まれる。
例えば、上記実施形態におけるシャワーフック1では、保持部7の壁面131aからの距離L2が、ブラケット部5の下方の壁面131a部分に設置された設置物であるカウンタ136の壁面131aからの突出寸法L1よりも大きくなるようにブラケット部5及びアーム6の寸法が選択構成されていた。しかし、設置物としてカウンタ136よりも混合水栓に設けられた吐水部が大きく突出している場合には、吐水部についてその突出寸法L1を考慮して、このL1よりも距離L2が大きくなるようにブラケット部5及びアーム6の寸法を選択すればよい。
【符号の説明】
【0039】
1…シャワーフック
2…補助シャワーフック
3…シャワーヘッド
5…ブラケット部
6…アーム
7…保持部
25…ラチェット機構(上下回動)
26…ラチェット機構(横回動)
131…第1壁パネル
131a…壁面
136…カウンタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6