(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図面において、X軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交する。X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、それぞれ、X軸に平行な方向、Y軸に平行な方向及びZ軸に平行な方向を表す。XY平面、YZ平面、ZX平面は、それぞれ、X軸とY軸を含む平面、Y軸とZ軸とを含む平面、Z軸とX軸とを含む平面を表す。
【0010】
図1は、本実施形態におけるバックルの一例をX軸方向の視点で示す図である。
図2は、本実施形態におけるバックルの一例をZ軸方向の視点で示す図である。
図3は、本実施形態におけるバックルの一例をY軸方向の視点で示す図である。X軸方向は、バックル7の幅方向を表す。Y軸方向は、バックル7の厚さ方向を表す。Z軸方向は、バックル7の高さ方向を表す。
【0011】
バックル7は、車両のシートベルトに取り付けられるタング6が着脱可能に連結される部品であり、例えば、車体の床又はシートに固定される。バックル7には、タング6の平面状のプレート6aが挿抜される。タング6は、シートベルトが挿通するベルト挿通具の一例であり、シートベルトにスライド可能に取り付けられた部品である。シートベルトは、車両のシートに座る乗員を拘束するウェビングであり、リトラクタに引き出し可能に巻き取られる帯状部材である。
【0012】
バックル7は、操作ボタン8と、バックルアッパーカバー2と、バックルロアカバー5とを備える。
【0013】
操作ボタン8は、タング6とバックル7との連結を解除するプッシュ操作を乗員の手指から受ける操作部材の一例である。バックルアッパーカバー2は、操作ボタン8が露出するようにバックル7の内蔵部品を覆う樹脂部品である。バックルアッパーカバー2は、バックルロアカバー5との間に内蔵部品を挟んで保持する。
【0014】
バックルアッパーカバー2及びバックルロアカバー5は、バックル7の樹脂製の外形カバーであり、内蔵部品を収める筐体である。本実施形態では、内蔵部品を収めるため、バックル7の外形を形成するカバーは、バックルアッパーカバー2とバックルロアカバー5の二つの部品によって構成されているが、三つ以上の部品によって構成されてもよい。
【0015】
バックル7が車両に取り付けられた状態で、バックルアッパーカバー2は、バックル7にタング6を介して連結されるシートベルトを着用する乗員とは反対側に面し、バックルロアカバー5は、当該乗員側に面する。
【0016】
図4は、第1の実施形態におけるバックルにおいて、
図5に示すA−Aにおける断面を模式的に示す図である。
図5は、第1の実施形態におけるバックルにおいて、
図4に示すB−Bにおける断面を模式的に示す図である。バックル7Aは、上述のバックル7の一例である。
【0017】
図4,5は、タング6のプレート6aがバックル7Aに形成された挿入口に挿入された状態を示している。タング6は、シートベルト4が挿通する基端部6eと、基端部6eから突出するプレート6aとを有する。
【0018】
バックル7A内には、作用点P2と、支点P1とがある。作用点P2は、タング6に入力される荷重F1に応じて支点P1を中心とする回転力(以下、「回転力Fr」とも称する)が作用する点を表す。支点P1は、回転力Frの回転中心を表す。荷重F1は、シートベルト4の張力によって力点P3に加わる力を表す。力点P3は、タング6のプレート6aが挿入された状態でバックル7Aの外部にあり、シートベルト4と接触する基端部6eに位置する。また、バックル7A内には、センサ20が備えられている。第1の実施形態では、センサ20は、作用点P2に働く力に応じた信号を出力する。
【0019】
シートベルト4の張力が増大すると、荷重F1は図示の矢印の向きに上昇するので、バックル7Aと連結した状態のタング6は、乗員側(Y軸方向においてバックルロアカバー5側)に僅かに引き寄せられる。荷重F1が上昇しタング6が乗員側に変位すると、作用点P2に作用する回転力Frは増大するので、作用点P2に設けられたセンサ20が受ける力も増大する。
【0020】
逆に、シートベルト4の張力が減少すると、荷重F1は低下するので、バックル7Aと連結した状態のタング6は、乗員とは反対側(Y軸方向においてバックルアッパーカバー2側)に引き戻される。荷重F1が低下しタング6が乗員とは反対側に変位すると、作用点P2に作用する回転力Frは減少するので、作用点P2に設けられたセンサ20が受ける力も減少する。
【0021】
したがって、作用点P2に働く力に応じてセンサ20から出力される信号に基づいて、プレート6aがバックル7Aに挿入された状態でのタング6の変位を計測することができる。特に、本実施形態では、作用点P2に作用する回転力Frの回転中心である支点P1は、バックル7Aの外部ではなく、バックル7Aの内部にある。支点P1がバックル7Aの内部にあるので、作用点P2に働く力の大きさは、バックル7Aに対するタング6の相対的な変位量を表すことになる。したがって、プレート6aがバックル7Aに挿入された状態において、作用点P2に働く力に応じてセンサ20から出力される信号を処理することによって、バックル7Aに対するタング6の相対的な動きを計測することが可能となる。プレート6aがバックル7Aに挿入された状態において、バックル7Aに対するタング6の相対的な動きが計測可能となることで、例えば、タング6に直接接触するシートベルト4の張力変化を測定することが可能となる。
【0022】
バックルの外部の部材に対するバックルの相対的な動きを計測する従来の技術では、バックルがシートクッションや乗員の腰と接触すると、力の伝達パスが変わるので、バックルに連結されたタングの動きを正確に計測することが難しくなる。タングの動きが正確に計測されないと、タングに取り付けられるシートベルトの張力変化を正確に測定することは難しい。
【0023】
これに対し、本実施形態では、支点P1がバックル7Aの内部にあるので、作用点P2に働く力をセンサ20によって検出することにより、バックル7Aに対するタング6の相対的な動きを計測することができる。また、バックル7Aと連結するタング6は、バックル7Aに比べて乗員やシートと接触干渉しにくい箇所に位置する。そのため、バックル7Aに対するタング6の相対的な動きを計測することで、バックル7Aが乗員等に接触しているか否かにかかわらず、タング6の動きを安定的に計測することが可能となる。
【0024】
なお、センサ20から出力される信号を処理することによって、シートベルト4の張力状態の計測が可能となるが、それ以外の状態を計測することも可能である。例えば、乗員の呼吸状態や、乗員の覚醒状態などが挙げられる。
【0025】
シートベルト4を着用する乗員が呼吸することによって、乗員の体表(例えば、腰部の表面、腹部の表面、胸部の表面など)は、呼吸に同期して微妙に変位する。例えば、乗員が息を吸うと、乗員の体表は車両前後方向及び車幅方向に膨らみ、乗員が息を吐くと、乗員の体表は車両前後方向及び車幅方向に萎む。シートベルト4は乗員の体表に接しているので、乗員の体表が呼吸に同期して変位すると、シートベルト4の張力も乗員の呼吸に同期して変化する。シートベルト4の張力が呼吸に同期して変化すると、シートベルト4に取り付けられるタング6に入力される荷重F1も呼吸に同期して変化する。したがって、作用点P2に働く力に応じてセンサ20から出力される信号を処理することによって、乗員の呼吸状態を計測することができる。
【0026】
センサ20は、例えば、バックル7Aに挿入されたプレート6aと接触する箇所に設置されている。センサ20がプレート6aと接触する箇所に設置されていることにより、センサ20は、作用点P2に働く力を精度良く検出できる。
【0027】
第1の実施形態では、センサ20は、フレーム10の底壁13に設置されており、より具体的には、センサ20が作用点P2に位置するように底壁13のタング側底壁部13aに固定されている。タング側底壁部13aは、底壁13のうちタング6が挿入される側の部分を表す。センサ20は、プレート6aの中間部6dと対向するようにタング側底壁部13aに設置されている。中間部6dは、プレート6aの長手方向における中間平坦部分を表す。
【0028】
バックル7Aは、バックル7Aの外形カバー(より具体的には、バックルアッパーカバー2及びバックルロアカバー5)と、バックル7Aの外形カバー(本実施形態では、バックルロアカバー5)の内側に固定されるフレーム10とを備える。
【0029】
フレーム10は、互いに対向する一対の側壁11,12と、一対の側壁11,12と接合する底壁13とを有する金属製のバックルベースである。センサ20は、底壁13に設置されている。2つの支点P1のうち、一方の支点は、一方の側壁11に位置し、他方の支点は、他方の側壁12に位置する。側壁11には、側壁12に向けて突き出るストッパー14が形成されており、側壁12には、側壁11に向けて突き出るストッパー15が形成されている。プレート6aの先端部6cの両脇が、一対のストッパー14,15に接触することで、プレート6aがY軸方向のバックルアッパーカバー2側に移動することが規制される。プレート6aの先端部6cが一対のストッパー14,15に接触することにより、2つの支点P1のうち、一方の支点がストッパー14に発生し、他方の支点がストッパー15に発生する。
【0030】
バックル7Aは、ラッチ部材30を備える。ラッチ部材30は、一対の側壁11,12に回動軸31を中心に回動可能に架設されている。ラッチ部材30は、バックル7Aの挿入口からバックル7Aの内部に進入したプレート6aをラッチする。ラッチ部材30がプレート6aをラッチすることで、タング6とバックル7Aとの連結が完了する。ラッチ部材30は、バックル7Aの長手方向(Z軸方向)において回動軸31が位置する側とは反対側に、ラッチ先端部を有する。ラッチ先端部は、プレート6aに形成されたラッチ孔6bと係止する。ラッチ先端部がラッチ孔6bに係止することによって、プレート6aはラッチされる。
【0031】
バックル7Aは、バックル7Aの外縁から突出する固定部材9を備える。固定部材9は、バックル7Aの外部(例えば、車体の床又はシート)にバックル7Aを固定するための部材であり、例えば、ブラケット又はステーである。固定部材9は、結合部材51によってフレーム10と結合されており、より具体的には、底壁13の車体側底壁部に固定されている。車体側底壁部は、底壁13のうちタング6が挿入される側とは反対側の部分を表す。
【0032】
図6は、第2の実施形態におけるバックルにおいて、
図7に示すC−Cにおける断面を模式的に示す図である。
図7は、第2の実施形態におけるバックルにおいて、
図6に示すD−Dにおける断面を模式的に示す図である。バックル7Bは、上述のバックル7の一例である。なお、第2の実施形態のうち上述の実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで簡略又は省略する。
【0033】
センサ20は、バックル7Bに挿入されたプレート6aと接触する箇所に設置されている。第2の実施形態では、センサ20は、バックル7Bの外形カバーに設置されており、より具体的には、外形カバーの一部であるバックルロアカバー5の内側に基板40を介して設置されている。基板40は、バックルロアカバー5の内側に固定されており、センサ20は、センサ20が作用点P2に位置するように基板40に固定されている。基板40は、底壁13とZ軸方向で並ぶように配置されており、タング側底壁部13aに対してプレート6aの挿入口側に位置する。
【0034】
ラッチ孔6bと基端部6eとの間において中間部6dに貫通孔(不図示)が形成されている形態では、当該貫通孔のX軸方向の両脇部分から受ける力を検出できるように、複数のセンサ20が設けられてもよい。複数のセンサ20は、基板40上で当該両脇部分に接触可能な箇所に配置される。基板40の個数は、一つでも複数でもよい。
【0035】
図8は、第3の実施形態におけるバックルにおいて、
図9に示すE−Eにおける断面を模式的に示す図である。
図9は、第3の実施形態におけるバックルにおいて、
図8に示すF−Fにおける断面を模式的に示す図である。バックル7Cは、上述のバックル7の一例である。なお、第3の実施形態のうち上述の実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで簡略又は省略する。
【0036】
センサ20は、バックル7Cに挿入されたプレート6aと接触する箇所に設置されている。第3の実施形態では、センサ20は、バックル7Cの外形カバーに設置されており、より具体的には、センサ20が作用点P2に位置するように外形カバーの内側に固定されている。センサ20の一部が、プレート6aとタング側底壁部13aとの間の隙間に存在していてもよい。
【0037】
図10は、第4の実施形態におけるバックルにおいて、
図11に示すG−Gにおける断面を模式的に示す図である。
図11は、第4の実施形態におけるバックルにおいて、
図10に示すH−Hにおける断面を模式的に示す図である。バックル7Dは、上述のバックル7の一例である。なお、第4の実施形態のうち上述の実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで簡略又は省略する。
【0038】
センサ20は、バックル7Dに挿入されたプレート6aと接触する箇所に設置されている。第4の実施形態では、センサ20は、一対の側壁11,12に設置されており、より具体的には、センサ20が支点P1に位置するように一対のストッパー14,15にそれぞれ固定されている。つまり、第4の実施形態では、センサ20は、支点P1に働く力に応じた信号を出力する。
【0039】
シートベルト4の張力が増大すると、荷重F1は図示の矢印の向きに上昇するので、バックル7Dと連結した状態のタング6は、乗員側(Y軸方向においてバックルロアカバー5側)に僅かに引き寄せられる。荷重F1が上昇しタング6が乗員側に変位すると、作用点P2に作用する回転力Frは増大するとともに、支点P1に働く力も増大する。つまり、支点P1に設けられたセンサ20が受ける力も増大する。
【0040】
逆に、シートベルト4の張力が減少すると、荷重F1は低下するので、バックル7Dと連結した状態のタング6は、乗員とは反対側(Y軸方向においてバックルアッパーカバー2側)に引き戻される。荷重F1が低下しタング6が乗員とは反対側に変位すると、作用点P2に作用する回転力Frは減少するとともに、支点P1に働く力も減少する。つまり、支点P1に設けられたセンサ20が受ける力も減少する。
【0041】
したがって、支点P1に働く力に応じてセンサ20から出力される信号に基づいて、プレート6aがバックル7Dに挿入された状態でのタング6の変位を計測することができる。また、支点P1がバックル7Dの内部にあるので、支点P1に働く力の大きさは、バックル7Dに対するタング6の相対的な変位量を表すことになる。したがって、プレート6aがバックル7Dに挿入された状態において、支点P1に働く力に応じてセンサ20から出力される信号を処理することによって、バックル7Dに対するタング6の相対的な動きを計測することが可能となる。プレート6aがバックル7Dに挿入された状態において、バックル7Dに対するタング6の相対的な動きが計測可能となることで、例えば、タング6に直接接触するシートベルト4の張力変化を測定することが可能となる。
【0042】
図12は、第5の実施形態におけるバックルにおいて、
図13に示すI−Iにおける断面を模式的に示す図である。
図13は、第5の実施形態におけるバックルにおいて、
図12に示すJ−Jにおける断面を模式的に示す図である。バックル7Eは、上述のバックル7の一例である。なお、第5の実施形態のうち上述の実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで簡略又は省略する。
【0043】
センサ20は、バックル7Eに挿入されたプレート6aと接触する箇所に設置されている。第5の実施形態では、センサ20は、被覆された状態でバックル7Eの外形カバーに設置されており、より具体的には、作用点P2に働く力が被覆層3を介して間接的にセンサ20に入力される。被覆層3は、外形カバーの一部分でもよいし、外形カバーとは別の部材でもよい。例えば、センサ20は、被覆層3でオーバーモールドされてもよい。センサ20が被覆層3で被覆されることにより、センサ20の防水やセンサ20への異物の混入を防止することができる。
【0044】
図14は、第6の実施形態におけるバックルにおいて、
図15に示すK−Kにおける断面を模式的に示す図である。
図15は、第6の実施形態におけるバックルにおいて、
図14に示すL−Lにおける断面を模式的に示す図である。バックル7Fは、上述のバックル7の一例である。なお、第6の実施形態のうち上述の実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで簡略又は省略する。
【0045】
バックル7Fは、フレーム10に固定される固定機構52を備える。固定機構52は、バックル7Fの外部(例えば、車体の床又はシート)にバックル7Fを固定するための可動部を有する。第6の実施形態における可動部は、固定部材9及び弾性部材50である。固定部材9は、バックル7Fの外部にバックル7Fを固定するための部材であり、例えば、ブラケット又はステーである。固定部材9は、弾性部材50を介してフレーム10と弾性的に結合されており、より具体的には、フレーム10の上壁16に対して弾性的に変位する。弾性部材50の具体例として、スプリング、ゴムなどが挙げられる。このような固定機構52を備えることによって、バックル7Fが固定部材9により車体又はシートに固定されている箇所に対して、シートベルト4の張力変化に追随するように、バックル7F全体を可動させることができる。このようにバックル7F全体が可動することで、シートベルト4の締め付け感を緩和することができる。
【0046】
センサ20は、例えば、固定機構52の可動部と接触する箇所に設置されている。センサ20が固定機構52の可動部と接触する箇所に設置されていることにより、センサ20は、作用点P2に働く力を精度良く検出できる。
【0047】
第6の実施形態では、センサ20は、フレーム10の底壁13に設置されており、より具体的には、センサ20が作用点P2に位置するように底壁13の車体側底壁部13bに固定されている。車体側底壁部13bは、底壁13のうちタング6が挿入される側とは反対側の部分を表す。センサ20は、固定部材9の中間部9bと対向するように車体側底壁部13bに設置されている。中間部9bは、固定部材9の長手方向における中間平坦部分を表す。
【0048】
フレーム10は、互いに対向する一対の側壁11,12と、一対の側壁11,12と接合する底壁13と、一対の側壁11,12と接合する上壁16とを有する金属製のバックルベースである。センサ20は、底壁13に設置されている。支点P1は、上壁16に位置する。上壁16は、底壁13に対向する。
【0049】
バックル7F内には、作用点P2と、支点P1とがある。作用点P2は、タング6に入力される荷重F1に応じて支点P1を中心とする回転力Frが作用する点を表す。センサ20は、作用点P2が位置する車体側底壁部13bに設置されている。
【0050】
シートベルト4の張力が増大すると、荷重F1は図示の矢印の向きに上昇するので、バックル7Fと連結した状態のタング6は、乗員側(Y軸方向においてバックルロアカバー5側)に僅かに引き寄せられる。荷重F1が上昇しタング6が乗員側に変位すると、プレート6aの先端部6cは、ストッパー14,15に接触する。先端部6cがストッパー14,15に接触すると、タング6はフレーム10と一体となる。タング6と一体になったフレーム10は、上壁16に位置する支点P1を中心に僅かに傾く。これにより、作用点P2に作用する回転力Frは増大するので、作用点P2に設けられたセンサ20が受ける力も増大する。
【0051】
逆に、シートベルト4の張力が減少すると、荷重F1は低下するので、バックル7Fと連結した状態のタング6は、乗員とは反対側(Y軸方向においてバックルアッパーカバー2側)に引き戻される。荷重F1が低下しタング6が乗員とは反対側に変位すると、作用点P2に作用する回転力Frは減少するので、作用点P2に設けられたセンサ20が受ける力も減少する。
【0052】
したがって、プレート6aがバックル7Fに挿入された状態において、作用点P2に働く力に応じてセンサ20から出力される信号を処理することによって、バックル7Fに対するタング6の相対的な動きを計測することが可能となる。
【0053】
図16は、第7の実施形態におけるバックルにおいて、
図17に示すM−Mにおける断面を模式的に示す図である。
図17は、第7の実施形態におけるバックルにおいて、
図16に示すN−Nにおける断面を模式的に示す図である。バックル7Gは、上述のバックル7の一例である。なお、第7の実施形態のうち上述の実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで簡略又は省略する。
【0054】
センサ20は、固定機構52の可動部と接触する箇所に設置されている。第7の実施形態では、センサ20は、バックル7Gの外形カバーに設置されており、より具体的には、外形カバーの一部であるバックルロアカバー5の内側に基板40を介して設置されている。基板40は、バックルロアカバー5の内側に固定されており、センサ20は、センサ20が作用点P2に位置するように基板40に固定されている。基板40は、底壁13とZ軸方向で並ぶように配置されており、車体側底壁部13bに対して車体側に位置する。
【0055】
図18は、第8の実施形態におけるバックルにおいて、
図19に示すO−Oにおける断面を模式的に示す図である。
図19は、第8の実施形態におけるバックルにおいて、
図18に示すP−Pにおける断面を模式的に示す図である。バックル7Hは、上述のバックル7の一例である。なお、第8の実施形態のうち上述の実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで簡略又は省略する。
【0056】
センサ20は、固定機構52の可動部と接触する箇所に設置されている。第8の実施形態では、センサ20は、フレーム10に設置されており、より具体的には、フレーム10の一部である上壁16に設置されている。センサ20は、支点P1が位置する上壁16に設置されている。
【0057】
図20は、センサの第1の構成例を示す図である。センサ20Aは、上述のセンサ20の一例である。センサ20Aは、ひずみゲージセンサの一具体例である。センサ20Aは、基板23と、ひずみ板21と、ひずみゲージ22とを有する。支点P1または作用点P2に働く力を受けて撓むひずみ板21の一部に、ひずみゲージ22が設置されている。ひずみゲージ22は、ひずみ板21が基板23で支持されている箇所に設置されてもよい。
【0058】
信号処理回路28は、支点P1または作用点P2に働く力に応じてひずみゲージ22から出力される信号に基づいて、ひずみゲージ22の抵抗値を検出し、検出した抵抗値を作用点P2でのモーメントに変換処理する。
【0059】
信号処理回路28は、変換処理したモーメントに基づいて、シートベルト4の張力を計測し、その計測結果を車体側のコンピュータに出力する。信号処理回路28は、変換処理したモーメントに基づいて、乗員の呼吸や覚醒状態を計測し、その計測結果を車体側のコンピュータに出力してもよい。
【0060】
信号処理回路28は、基板23に実装されるが、センサ20Aとは別の箇所(バックル内またはバックル外)に実装されてもよい。信号処理回路28は、例えば、センサから出力される信号を処理するプロセッサを備えた集積回路チップである。基板23は、プリント基板でもフィルム基板でもよい。
【0061】
図21は、センサの第2の構成例を示す図である。センサ20Bは、上述のセンサ20の一例である。センサ20Bは、静電容量センサの一具体例である。センサ20Bは、基板26と、グランド電極24と、センサ電極25と、基板グランド電極27とを有する。支点P1または作用点P2に働く力を受けて撓む部材をグランド電極24として使用し、センサ電極25は、グランド電極24との間に空間または絶縁物を介して基板26上に設けられている。グランド電極24は、基板26に形成された基板グランド電極27に接続されている。
【0062】
グランド電極24が受けた力に応じて、グランド電極24とセンサ電極25との間の距離が変化するので、当該電極間の静電容量が変化する。信号処理回路28は、当該電極間の静電容量を検出し、検出した静電容量を作用点P2でのモーメントに変換処理する。これ以降の信号処理回路28の動作は、上述の説明と同様である。
【0063】
信号処理回路28は、基板26に実装されるが、センサ20Bとは別の箇所(バックル内またはバックル外)に実装されてもよい。信号処理回路28は、例えば、上述の信号処理を実行するプロセッサを備えた集積回路チップである。基板26は、プリント基板でもフィルム基板でもよい。
【0064】
なお、グランド電極24がセンサ電極25は互いに置換されてもよい。この場合、センサ電極が受けた力に応じて、グランド電極とセンサ電極との間の距離が変化するので、当該電極間の静電容量が変化する。
【0065】
図22は、センサの第3の構成例を示す図である。
図24は、センサの第3の構成例を示す拡大図である。センサ20Cは、センサ20の一例である。センサ20Cは、圧力センサチップを用いたゲージセンサの一具体例である。センサ20Cは、基板62と、保護板61と、センサチップ60とを有する。支点P1または作用点P2に働く力を受けて撓む保護板61のストロークを例えば100マイクロメートル以下にする場合や、繰り返し変形する部分の安定性を向上させる場合、ひずみ板やひずみ電極に代えて、圧力検知のセンサチップ60を用いることが好ましい。センサチップ60は、基板62に実装される。
【0066】
センサチップ60は、シリコン基板63上にシリコンのダイヤフラム64が形成された構成を有する。支点P1または作用点P2に働く力が加圧部材65を介してダイヤフラム64に加わると、ダイヤフラム64が微小に撓む。
【0067】
信号処理回路28は、ダイヤフラム64上に形成されたひずみゲージ66の微小変形を高精度に検出する。信号処理回路28は、支点P1または作用点P2に働く力に応じてひずみゲージ66から出力される信号に基づいて、ひずみゲージ66の抵抗値を検出し、検出した抵抗値を作用点P2でのモーメントに変換処理する。これ以降の信号処理回路28の動作は、上述の説明と同様である。
【0068】
信号処理回路28は、基板62に実装されるが、センサ20Cとは別の箇所(バックル内またはバックル外)に実装されてもよい。信号処理回路28は、例えば、上述の信号処理を実行するプロセッサを備えた集積回路チップである。基板62は、プリント基板でもフィルム基板でもよい。
【0069】
以上、バックルを実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。