特許第6986924号(P6986924)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986924
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】電気化学セル
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/184 20210101AFI20211213BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20211213BHJP
   H01M 50/109 20210101ALI20211213BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20211213BHJP
   H01M 50/178 20210101ALI20211213BHJP
   H01M 50/193 20210101ALI20211213BHJP
   H01M 6/12 20060101ALI20211213BHJP
   H01G 11/58 20130101ALI20211213BHJP
   H01G 11/80 20130101ALI20211213BHJP
【FI】
   H01M50/184 E
   H01M50/105
   H01M50/109
   H01M50/119
   H01M50/178
   H01M50/193
   H01M6/12 A
   H01G11/58
   H01G11/80
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-200870(P2017-200870)
(22)【出願日】2017年10月17日
(65)【公開番号】特開2019-75292(P2019-75292A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2020年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 俊二
(72)【発明者】
【氏名】小林 知美
(72)【発明者】
【氏名】金田 健一
【審査官】 宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭55−028249(JP,A)
【文献】 特開平11−191402(JP,A)
【文献】 特開2011−181300(JP,A)
【文献】 特開2000−353505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10−50/198
H01M 6/00− 6/52
H01M 10/24−10/34
H01G 11/00−11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解液と、
活物質、および前記活物質に接触する集電体を有する電極体と、
前記電解液および前記電極体を収容する収容部、並びに前記収容部の内部を封止するシール部を備える容器と、
前記収容部の内部と前記容器の外部との間で電流路を形成する部材であって、前記集電体に導通するとともに前記電解液に接触し、一部が前記シール部に配置された電流路形成部材と、
高吸水性高分子により形成され、前記シール部における前記電流路形成部材の表面に接触するように配置された吸液部と、
を備え、
前記電解液は、アルカリ水溶液であり、
前記活物質は、負極活物質であり、
前記集電体は、前記負極活物質に接触する負極集電体であり、
前記電極体は、正極活物質、および前記正極活物質に接触する正極集電体をさらに備え、
前記容器は、
前記正極集電体に導通する正極缶と、
前記電流路形成部材を兼ねる負極缶と、
前記シール部に設けられ、前記正極缶および前記負極缶に密着して前記収容部の内部を密封するとともに前記正極缶と前記負極缶とを絶縁するガスケットと、
により形成され、
前記吸液部は、前記負極缶と前記ガスケットとの間に介在する、
ことを特徴とする電気化学セル。
【請求項2】
電解液と、
活物質、および前記活物質に接触する集電体を有する電極体と、
前記電解液および前記電極体を収容する収容部、並びに前記収容部の内部を封止するシール部を備える容器と、
前記収容部の内部と前記容器の外部との間で電流路を形成する部材であって、前記集電体に導通するとともに前記電解液に接触し、一部が前記シール部に配置された電流路形成部材と、
高吸水性高分子により形成され、前記シール部における前記電流路形成部材の表面に接触するように配置された吸液部と、
を備え、
前記電解液は、アルカリ水溶液であり、
前記活物質は、負極活物質であり、
前記集電体は、前記負極活物質に接触する負極集電体であり、
前記電極体は、正極活物質、および前記正極活物質に接触する正極集電体をさらに備え、
前記容器は、
前記正極集電体に導通する正極缶と、
前記電流路形成部材を兼ねる負極缶と、
前記シール部に設けられ、前記正極缶および前記負極缶に密着して前記収容部の内部を密封するとともに前記正極缶と前記負極缶とを絶縁するガスケットと、
により形成され、
前記吸液部は、前記高吸水性高分子を含む樹脂材料により形成された前記ガスケットである、
ことを特徴とする電気化学セル。
【請求項3】
電解液と、
活物質、および前記活物質に接触する集電体を有する電極体と、
前記電解液および前記電極体を収容する収容部、並びに前記収容部の内部を封止するシール部を備える容器と、
前記収容部の内部と前記容器の外部との間で電流路を形成する部材であって、前記集電体に導通するとともに前記電解液に接触し、一部が前記シール部に配置された電流路形成部材と、
高吸水性高分子により形成され、前記シール部における前記電流路形成部材の表面に接触するように配置された吸液部と、
を備え、
前記電解液は、アルカリ水溶液であり、
前記活物質は、負極活物質であり、
前記集電体は、前記負極活物質に接触する負極集電体であり、
前記容器は、第1フィルムおよび第2フィルムにより形成され、
前記収容部は、前記第1フィルムおよび前記第2フィルムが前記電極体を間に挟むことにより形成され、
前記シール部は、前記第1フィルムおよび前記第2フィルムが密着することにより形成され、
前記電流路形成部材は、前記シール部において前記第1フィルムと前記第2フィルムとの間を通って、前記容器の内部から外部に向かって延び、
前記吸液部は、前記第1フィルムおよび前記第2フィルムと前記電流路形成部材との間に介在する、
ことを特徴とする電気化学セル。
【請求項4】
前記吸液部は、前記容器の外面に露出しないように設けられている、
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の電気化学セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学セルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォンやウェアラブル機器等の小型電子機器の電源として、非水電解質二次電池やアルカリ一次電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学セルが利用されている。電気化学セルは、容器の内部に電極体および電解質(電解液)が収容された構成となっている。電気化学セルの容器として、例えば、一対の金属缶の開口部同士を互いに嵌合させることにより形成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。また、電気化学セルの容器として、例えば、樹脂層を含むフィルム部材により電極体を覆うように形成されたものがある。
【0003】
電気化学セルの容器には、容器の内部を封止するために、シール部が設けられる。一対の金属缶により形成された容器では、一対の金属缶の開口部の間にガスケットを挟んだ状態で金属缶の開口部をかしめることで、シール部が形成される。また、フィルム部材により形成された容器では、例えば、電極体が収容されるキャビティの周囲でフィルム部材同士を重ねて溶着することによりシール部が形成される。
【0004】
上述した容器を備える電気化学セルは、容器の内部と外部との間で電流路を形成する部材を備える。例えば、一対の金属缶により形成された容器を有する電気化学セルは、一方の金属缶(正極缶)を容器内部で電極体の正極に導通させ、他方の金属缶(負極缶)を容器内部で電極体の負極に導通させることで、一対の金属缶を容器の内部と外部との間で電流路を形成する部材として機能させる。また、例えば、フィルム部材により形成された容器を有する電気化学セルは、容器内部で電極体に導通させた帯状のリードを、シール部において重なり合うフィルム部材同士の間に通して延ばすことで、容器の内部と外部との間で電流路を形成する部材として機能させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−33962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電解質として電解液を有する電気化学セルでは、シール部において漏液が発生する場合がある。特に、アルカリ電池では、上述した金属缶の表面や、リードの表面がアルカリ性の電解液に接触して変質し、シール部において金属缶の表面やリードの表面を伝って電解液が進行する、いわゆる這い上がりという現象が生じる場合がある。這い上がりが生じると、シール部において電解液の漏液経路が形成されて漏液が発生するおそれがある。這い上がりは、主に電極体の負極に導通する部材において生じやすい。さらに、小型化された電気化学セルにおいては、容器の外形寸法を小さくするためにシール部の寸法も小さくする必要があるので、シール部における漏液経路の距離が短くなり、漏液が発生しやすくなる可能性がある。
【0007】
そこで本発明は、優れた耐漏液性を有する電気化学セルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の電気化学セルは、電解液と、活物質、および前記活物質に接触する集電体を有する電極体と、前記電解液および前記電極体を収容する収容部、並びに前記収容部の内部を封止するシール部を備える容器と、前記収容部の内部と前記容器の外部との間で電流路を形成する部材であって、前記集電体に導通するとともに前記電解液に接触し、一部が前記シール部に配置された電流路形成部材と、高吸水性高分子により形成され、前記シール部における前記電流路形成部材の表面に接触するように配置された吸液部と、を備え、前記電解液は、アルカリ水溶液であり、前記活物質は、負極活物質であり、前記集電体は、前記負極活物質に接触する負極集電体であり、前記電極体は、正極活物質、および前記正極活物質に接触する正極集電体をさらに備え、前記容器は、前記正極集電体に導通する正極缶と、前記電流路形成部材を兼ねる負極缶と、前記シール部に設けられ、前記正極缶および前記負極缶に密着して前記収容部の内部を密封するとともに前記正極缶と前記負極缶とを絶縁するガスケットと、により形成され、前記吸液部は、前記負極缶と前記ガスケットとの間に介在する、ことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、シール部において電解液が電流路形成部材の表面を伝って容器の内部から外部に向かって進行する這い上がりが生じた際に、吸水性ポリマーにより形成された吸液部に電解液が吸収されて保持される。これにより、シール部における電流路形成部材の表面上の電解液の這い上がりが抑制されるので、シール部における電解液の漏液が抑制される。したがって、優れた耐漏液性を有する電気化学セルを提供できる。
また、電解液がアルカリ水溶液であるので、負極集電体に導通するとともに電解液に接触する電流路形成部材の表面が電解液により変質し、シール部において電解液の這い上がりが生じるおそれがある。そこで、吸液部をシール部における電流路形成部材の表面に接触するように配置することで、上述したようにシール部における電流路形成部材の表面上の電解液の這い上がりを抑制して、シール部における電解液の漏液を抑制できる。したがって、電解液がアルカリ水溶液である電気化学セルの耐漏液性を向上させることができる。
さらに、正極缶、負極缶およびガスケットにより形成された容器を有する電気化学セルにおいて、吸液部がシール部において負極缶とガスケットとの間に介在するので、シール部における負極缶とガスケットとの間を進行する電解液を吸液部により吸収して保持できる。しかも、吸液部は、吸水性ポリマーにより形成されているので、吸液部が電解液を吸収することにより体積膨張する。このため、負極缶と吸液部との間に作用する応力が上昇するので、負極缶と吸液部との間に隙間が形成されることを抑制できる。これにより、シール部における電流路形成部材の表面上の電解液の這い上がりが抑制されるので、シール部における電解液の漏液が抑制される。したがって、正極缶、負極缶およびガスケットにより形成された容器を有し、かつ電解液がアルカリ水溶液である電気化学セルの耐漏液性を向上させることができる。
【0014】
本発明の電気化学セルは、電解液と、活物質、および前記活物質に接触する集電体を有する電極体と、前記電解液および前記電極体を収容する収容部、並びに前記収容部の内部を封止するシール部を備える容器と、前記収容部の内部と前記容器の外部との間で電流路を形成する部材であって、前記集電体に導通するとともに前記電解液に接触し、一部が前記シール部に配置された電流路形成部材と、高吸水性高分子により形成され、前記シール部における前記電流路形成部材の表面に接触するように配置された吸液部と、を備え、前記電解液は、アルカリ水溶液であり、前記活物質は、負極活物質であり、前記集電体は、前記負極活物質に接触する負極集電体であり、前記電極体は、正極活物質、および前記正極活物質に接触する正極集電体をさらに備え、前記容器は、前記正極集電体に導通する正極缶と、前記電流路形成部材を兼ねる負極缶と、前記シール部に設けられ、前記正極缶および前記負極缶に密着して前記収容部の内部を密封するとともに前記正極缶と前記負極缶とを絶縁するガスケットと、により形成され、前記吸液部は、前記高吸水性高分子を含む樹脂材料により形成された前記ガスケットである、ことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、シール部において電解液が電流路形成部材の表面を伝って容器の内部から外部に向かって進行する這い上がりが生じた際に、吸水性ポリマーにより形成された吸液部に電解液が吸収されて保持される。これにより、シール部における電流路形成部材の表面上の電解液の這い上がりが抑制されるので、シール部における電解液の漏液が抑制される。したがって、優れた耐漏液性を有する電気化学セルを提供できる。
また、電解液がアルカリ水溶液であるので、負極集電体に導通するとともに電解液に接触する電流路形成部材の表面が電解液により変質し、シール部において電解液の這い上がりが生じるおそれがある。そこで、吸液部をシール部における電流路形成部材の表面に接触するように配置することで、上述したようにシール部における電流路形成部材の表面上の電解液の這い上がりを抑制して、シール部における電解液の漏液を抑制できる。したがって、電解液がアルカリ水溶液である電気化学セルの耐漏液性を向上させることができる。
さらに、正極缶、負極缶およびガスケットにより形成された容器を有する電気化学セルにおいて、吸液部がシール部においてガスケットとして負極缶の表面に接触するので、シール部における負極缶とガスケットとの間を進行する電解液を吸液部により吸収して保持できる。しかも、吸液部は、吸水性ポリマーにより形成されているので、電解液を吸収することにより体積膨張する。このため、負極缶とガスケットとの間に作用する応力が上昇するので、負極缶とガスケットとの間に隙間が形成されることを抑制できる。これにより、シール部における負極缶の表面上の電解液の這い上がりが抑制されるので、シール部における電解液の漏液が抑制される。したがって、正極缶、負極缶およびガスケットにより形成された容器を有し、かつ電解液がアルカリ水溶液である電気化学セルの耐漏液性を向上させることができる。
【0016】
本発明の電気化学セルは、電解液と、活物質、および前記活物質に接触する集電体を有する電極体と、前記電解液および前記電極体を収容する収容部、並びに前記収容部の内部を封止するシール部を備える容器と、前記収容部の内部と前記容器の外部との間で電流路を形成する部材であって、前記集電体に導通するとともに前記電解液に接触し、一部が前記シール部に配置された電流路形成部材と、高吸水性高分子により形成され、前記シール部における前記電流路形成部材の表面に接触するように配置された吸液部と、を備え、前記電解液は、アルカリ水溶液であり、前記活物質は、負極活物質であり、前記集電体は、前記負極活物質に接触する負極集電体であり、前記容器は、第1フィルムおよび第2フィルムにより形成され、前記収容部は、前記第1フィルムおよび前記第2フィルムが前記電極体を間に挟むことにより形成され、前記シール部は、前記第1フィルムおよび前記第2フィルムが密着することにより形成され、前記電流路形成部材は、前記シール部において前記第1フィルムと前記第2フィルムとの間を通って、前記容器の内部から外部に向かって延び、前記吸液部は、前記第1フィルムおよび前記第2フィルムと前記電流路形成部材との間に介在する、ことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、シール部において電解液が電流路形成部材の表面を伝って容器の内部から外部に向かって進行する這い上がりが生じた際に、吸水性ポリマーにより形成された吸液部に電解液が吸収されて保持される。これにより、シール部における電流路形成部材の表面上の電解液の這い上がりが抑制されるので、シール部における電解液の漏液が抑制される。したがって、優れた耐漏液性を有する電気化学セルを提供できる。
また、電解液がアルカリ水溶液であるので、負極集電体に導通するとともに電解液に接触する電流路形成部材の表面が電解液により変質し、シール部において電解液の這い上がりが生じるおそれがある。そこで、吸液部をシール部における電流路形成部材の表面に接触するように配置することで、上述したようにシール部における電流路形成部材の表面上の電解液の這い上がりを抑制して、シール部における電解液の漏液を抑制できる。したがって、電解液がアルカリ水溶液である電気化学セルの耐漏液性を向上させることができる。
さらに、第1フィルムおよび第2フィルムにより形成された容器を有する電気化学セルにおいて、電流路形成部材がシール部において第1フィルムと第2フィルムとの間を通って容器の内部から外部に向かって延び、吸液部が第1フィルムおよび第2フィルムと電流路形成部材との間に介在するので、シール部における第1フィルムおよび第2フィルムと電流路形成部材との間を進行する電解液を吸液部により吸収して保持できる。これにより、シール部における電流路形成部材の表面上の電解液の這い上がりが抑制されるので、シール部における電解液の漏液が抑制される。したがって、第1フィルムおよび第2フィルムにより形成された容器を有する電気化学セルの耐漏液性を向上させることができる。
【0018】
上記の電気化学セルにおいて、前記吸液部は、前記容器の外面に露出しないように設けられている、ことが望ましい。
【0019】
この構成によれば、吸液部は容器外面に露出しない箇所において電解液を保持するので、容器外面よりも内側に電解液を留めることができる。よって、吸液部に吸収された電解液が容器外面に到達し、電解液の漏液が生じることを抑制できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、優れた耐漏液性を有する電気化学セルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態に係る電池1の断面図である。
図2】第1実施形態に係る電池1の断面を示す要部拡大図である。
図3】第1実施形態の第1変形例に係る電池101の断面を示す要部拡大図である。
図4】第1実施形態の第2変形例に係る電池201の断面を示す要部拡大図である。
図5】第2実施形態に係る電池301の平面図である。
図6図5のVI−VI線における断面図である。
図7】第2実施形態に係る正極集電体342および正極リード部381の平面図である。
図8】第2実施形態に係る負極集電体352および負極リード部382の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお以下の説明では、電気化学セルの一例として、アルカリ一次電池の一種である酸化銀電池(単に「電池」という。)を例に挙げて説明する。また、以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0023】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る電池1の断面図である。
図1に示すように、電池1は、いわゆるボタン形(コイン形も含む)の電池である。電池1は、容器10と、電解液(不図示)と、電極体30と、セパレータ60と、吸液部70と、を備える。
【0024】
容器10は、正極缶11と、負極缶15(電流路形成部材)と、ガスケット19と、により形成されている。正極缶11は、周壁部12および底壁部13を有する円筒状に形成されている。例えば、正極缶11は、ニッケル層がめっきされた鉄や、ニッケル層がめっきされたステンレススチール等により形成されている。正極缶11の外面は、電池1の正極端子を兼ねている。
【0025】
負極缶15は、周壁部16および底壁部17を有する円筒状に形成されている。例えば、負極缶15は、ニッケル層15a、ステンレススチール層15bおよび銅層15cからなるクラッド材により形成されている。ニッケル層15aは負極缶15の外面を形成し、銅層15cは負極缶15の内面を形成している。負極缶15の周壁部16の外径は、正極缶11の周壁部12の内径よりも小さい。負極缶15は、正極缶11と同軸、かつ開口方向が正極缶11の開口方向と逆方向となるように配置されている。負極缶15の開口部は、正極缶11の開口部の内側に配置されている。負極缶15の開口部は、外側に向かって折り返されている。これにより、負極缶15の銅層15cは、開口部の内面から開口部の先端縁を通って開口部の外面まで延びている。負極缶15の外面は、電池1の負極端子を兼ねている。
【0026】
ガスケット19は、絶縁性を有する。ガスケット19は、例えば樹脂材料等により形成されている。ガスケット19を形成する樹脂材料としては、例えばナイロンを用いることができる。ガスケット19は、円環状に形成されている。ガスケット19は、正極缶11の周壁部12が負極缶15の周壁部16に対してかしめられることで、正極缶11と負極缶15との間に密着して容器10の内部を密封するとともに正極缶11と負極缶15とを絶縁する。ガスケット19には、負極缶15の開口部が嵌め込まれる溝19aが負極缶15の周方向の全体に亘って環状に形成されている。
【0027】
容器10は、電解液(不図示)および電極体30を収容する収容部21と、収容部21の内部を封止するシール部22と、を備える。収容部21は、電解液および電極体30が配置されるキャビティ23を内部に形成している。キャビティ23は、正極缶11の底壁部13と負極缶15の底壁部17とにより挟まれた空間である。シール部22は、複数の部材が配置されて、キャビティ23を封止する部位である。本実施形態では、シール部22には、正極缶11の周壁部12と、負極缶15の周壁部16と、ガスケット19と、が配置されている。シール部22は、正極缶11の開口部を負極缶15の開口部に対してガスケット19を挟んだ状態でかしめることにより形成されている。シール部22は、収容部21の周囲を囲うように一周連続して形成されている。
【0028】
電解液は、キャビティ23に収容され、正極缶11の内面、および負極缶15の内面に接触している。電解液は、水酸化カリウム水溶液や水酸化ナトリウム水溶液、またはそれらの混合液のアルカリ水溶液である。
【0029】
電極体30は、キャビティ23に収容されている。電極体30は、正極40と、負極50と、を備える。
正極40は、正極合剤41と、正極集電体42と、を備える。正極合剤41は、正極缶11の底面上に配置されている。正極合剤41は、正極活物質を含む。例えば、正極合剤41は、正極活物質としての酸化銀と、導電剤としてのグラファイトと、結着剤としてのポリアクリル酸ソーダやカルボキシメチルセルロースと、を混合後、打錠機等でプレス成型した円柱状のペレット構造を有する。正極集電体42は、正極活物質(正極合剤41)に接触し、正極活物質との間で電流の受け渡しを行う。正極集電体42は、正極缶11における正極合剤41に接触する箇所が兼ねている。つまり、本実施形態では、正極缶11は、正極集電体42を兼ねるとともに、正極集電体42に導通して収容部21の内部と容器10の外部との間で電流路を形成する部材を兼ねている。
【0030】
負極50は、負極合剤51と、負極集電体52と、を備える。負極合剤51は、負極缶15の底面上に配置されている。例えば、負極合剤51は、負極活物質としての亜鉛粉末または亜鉛合金粉末と、伝導度安定剤としての酸化亜鉛と、活物質安定剤としての高架橋型ポリアクリル酸ソーダと、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースと、電解液と、を混合してジェル状に形成されている。負極集電体52は、負極活物質(負極合剤51)に接触し、負極活物質との間で電流の受け渡しを行う。負極集電体52は、負極缶15における負極合剤51に接触する箇所が兼ねている。つまり、本実施形態では、負極缶15は、負極集電体52を兼ねるとともに、負極集電体52に導通して収容部21の内部と容器10の外部との間で電流路を形成する部材を兼ねている。
【0031】
セパレータ60は、正極合剤41と負極合剤51との間に配置されている。セパレータ60は、例えばセロファン、およびポリエチレンをグラフト重合した膜の2層構造のシートからなる。セパレータ60は、正極40にポリエチレンをグラフト重合した膜を対向させ、負極50にセロファンを対向させるように配置されている。セパレータ60は、平面視円形状に形成されている。セパレータ60の外径は、例えば正極缶11の内径に略一致している。セパレータ60は、例えばガスケット19における正極缶11の底壁部13と対向する箇所に全周に亘って接触するように配置されている。セパレータ60は、負極缶15への正極合剤41の接触、および正極缶11への負極合剤51の接触を抑制している。セパレータ60には、電解液が含浸されている。
【0032】
図2は、第1実施形態に係る電池1の断面を示す要部拡大図である。
図2に示すように、吸液部70は、シール部22に配置されている。吸液部70は、負極缶15とガスケット19との間に介在している。吸液部70は、ガスケット19の表面に配置されている。吸液部70は、負極缶15の表面に接触するように設けられている。吸液部70は、負極缶15の表面のうち、電解液に接触する部分と同一の材質を有する部分に接触するように設けられている。すなわち、吸液部70は、負極缶15の銅層15cに接触するように設けられている。吸液部70は、シール部22の全周に連続して設けられている。吸液部70は、容器10の外面に露出しないように設けられている。吸液部70は、ガスケット19と負極缶15の銅層15cの表面との間のみに設けられている。
【0033】
吸液部70は、吸水性ポリマー(高吸水性高分子)により形成されている。吸液部70を形成する吸水性ポリマーとしては、例えばポリアクリル酸や、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース等を用いることができる。例えば、吸液部70は、吸水性ポリマーを溶媒に溶かし、吸水性ポリマーが溶けた溶液をガスケット19の溝19aに塗布して乾燥させることにより形成されている。
【0034】
このように、本実施形態の電池1は、吸水性ポリマーにより形成されシール部22における負極缶15の表面に接触するように配置された吸液部70を備える。
この構成によれば、シール部22において電解液が負極缶15の表面を伝って容器10の内部から外部に向かって進行する這い上がりが生じた際に、吸水性ポリマーにより形成された吸液部70に電解液が吸収されて保持される。これにより、シール部22における負極缶15の表面上の電解液の這い上がりが抑制されるので、シール部22における電解液の漏液が抑制される。したがって、優れた耐漏液性を有する電池1を提供できる。
【0035】
また、本実施形態の電池1では、電解液がアルカリ水溶液であり、負極集電体52に導通するとともに電解液に接触する負極缶15の表面が銅(銅層15c)により構成されているので、負極缶15の表面が電解液により変質し、シール部22において電解液の這い上がりが生じるおそれがある。そこで、吸液部70をシール部22における負極缶15の表面に接触するように配置することで、上述したようにシール部22における負極缶15の表面上の電解液の這い上がりを抑制して、シール部22における電解液の漏液を抑制できる。したがって、電解液がアルカリ水溶液である電池1の耐漏液性を向上させることができる。
【0036】
また、本実施形態の電池1では、容器10は、正極缶11と負極缶15とガスケット19とにより形成され、吸液部70は、負極缶15とガスケット19との間に介在する。このため、正極缶11、負極缶15およびガスケット19により形成された容器10を有する電池1において、シール部22における負極缶15とガスケット19との間を進行する電解液を吸液部70により吸収して保持できる。しかも、吸液部70は、吸水性ポリマーにより形成されているので、電解液を吸収することにより体積膨張する。このため、負極缶15と吸液部70との間に作用する応力が上昇するので、負極缶15と吸液部70との間に隙間が形成されることを抑制できる。これにより、シール部22における負極缶15の表面上の電解液の這い上がりが抑制されるので、シール部22における電解液の漏液が抑制される。したがって、正極缶11、負極缶15およびガスケット19により形成された容器10を有し、かつ電解液がアルカリ水溶液である電池1の耐漏液性を向上させることができる。
【0037】
また、本実施形態の電池1では、吸液部70は、容器10の外面に露出しないように設けられている。これにより、吸液部70は容器10の外面に露出しない箇所において電解液を保持するので、容器10の外面よりも内側に電解液を留めることができる。よって、吸液部70に吸収された電解液が容器10の外面に到達し、電解液の漏液が生じることを抑制できる。
【0038】
また、本実施形態の電池1において、吸液部70としてポリアクリル酸を用いることで、アルカリ水溶液である電解液を中和できる。これにより、電解液による負極缶15の表面の変質を抑制することができるので、負極缶15の表面上の電解液の這い上がりをより効果的に抑制できる。
【0039】
なお、上記第1実施形態では、吸液部70は、ガスケット19と負極缶15の銅層15cの表面との間のみに設けられることで、容器10の外面に露出しないように設けられているが、これに限定されない。例えば、図3に示すように、吸液部170は、ガスケット19の表面全体に設けられていてもよい。この場合、吸液部170は、吸水性ポリマーが溶けた溶液にガスケット19を浸漬させ、ガスケット19の表面全体に付着した溶液を乾燥させることにより形成される。これにより、第1実施形態のようにガスケット19の溝19aのみに吸水性ポリマーが溶けた溶液を塗布する方法と比較して、吸液部170を容易に形成できる。
【0040】
また、上記第1実施形態、および第1実施形態の第1変形例では、吸液部70,170は、ガスケット19の表面に配置されているが、これに限定されない。例えば、図4に示すように、吸液部270は、ガスケット19と共用されていてもよい。すなわち、吸液部270は、吸水性ポリマーを含有するガスケット19であってもよい。これにより、吸液部270は、負極缶15の銅層15cに接触するように設けられている。例えば、吸液部270は、ナイロンおよび吸水性ポリマーを混合した樹脂材料を、射出成形することにより形成されている。例えば、ガスケット19は、吸水性ポリマーを10%程度含んでいる。
【0041】
この構成によれば、吸液部270がシール部22においてガスケット19として負極缶15の表面に接触するので、シール部22における負極缶15とガスケット19との間を進行する電解液を吸液部270により吸収して保持できる。しかも、吸液部270は、吸水性ポリマーにより形成されているので、電解液を吸収することにより体積膨張する。このため、負極缶15とガスケット19との間に作用する応力が上昇するので、負極缶15とガスケット19との間に隙間が形成されることを抑制できる。これにより、シール部22における負極缶15の表面上の電解液の這い上がりが抑制されるので、シール部22における電解液の漏液が抑制される。したがって、正極缶11、負極缶15、およびガスケット19により形成された容器10を有し、かつ電解液がアルカリ水溶液である電池201の耐漏液性を向上させることができる。
【0042】
しかも吸液部270を兼ねるガスケット19はナイロンを含み、ナイロンは吸水性を有するので、ナイロンとともにガスケット19に溶け込んだ吸水性ポリマーの吸水作用が阻害されることを抑制できる。
【0043】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態に係る電池301の平面図である。図6は、図5のVI−VI線における断面図である。
図5および図6に示すように、電池301は、容器310と、電解液(不図示)と、電極体330と、セパレータ360と、一対のリード部381,382と、吸液部370と、を備える。
【0044】
容器310は、第1フィルム311および第2フィルム315を重ね合わせて形成されている。第1フィルム311および第2フィルム315は、それぞれラミネートフィルムにより形成されている。ラミネートフィルムは、少なくとも内側面(重ね合わせ面)に設けられた内側樹脂層と、外側面に設けられた外側樹脂層と、を有する。内側樹脂層は、例えば、ポリオレフィンのポリエチレンやポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性樹脂を用いて形成される。外側樹脂層は、例えば、ナイロンを用いて形成される。なお、以下の説明では、第1フィルム311および第2フィルム315の重ね合わせ方向を単に重ね合わせ方向という。
【0045】
なお、上述した内側樹脂層と外側樹脂層との間に、金属箔層やシリコン酸化物等からなるガスバリア層、各層を接着する接着層を設けてもよい。金属箔層は、外気や水蒸気に対する遮断性、および電解液に対する耐食性を有する、例えばステンレススチール等の金属材料を用いて形成されている。この場合、内側樹脂層および外側樹脂層は、それぞれ金属箔層との間に接合層を介して、熱融着または接着剤により接合されている。なお、それぞれの層の接着性を向上するために、各層間に接着剤により形成された接着層を設けることが望ましい。
【0046】
第1フィルム311および第2フィルム315は、重ね合わせ方向から見て互いに略同形同大の矩形状に形成されている。第1フィルム311の内側面の中央部には、重ね合わせ方向における第2フィルム315から離間する側に向かって窪む第1凹部312が形成されている。第1凹部312は、重ね合わせ方向から見て矩形状に形成されている。第2フィルム315の内側面の中央部には、重ね合わせ方向における第1フィルム311から離間する側に向かって窪む第2凹部316が形成されている。第2凹部316は、重ね合わせ方向から見て第1凹部312と略一致する矩形状に形成されている。
【0047】
容器310は、電解液および電極体330を収容する収容部321と、収容部321の内部を封止するシール部322と、を備える。収容部321は、電解液および電極体330が配置されるキャビティ323を内部に形成している。キャビティ323は、第1フィルム311の第1凹部312と第2フィルム315の第2凹部316とにより挟まれた空間である。シール部322は、複数の部材が配置されて、キャビティ323を封止する部位である。本実施形態では、シール部322には、キャビティ323の周囲において積層された第1フィルム311および第2フィルム315が配置されている。シール部322は、第1フィルム311および第2フィルム315が溶着されて密着することにより形成されている。シール部322は、収容部321の周囲を囲うように一周連続して形成されている。シール部322は、重ね合わせ方向から見て矩形枠状に形成されている。シール部322において、第2フィルム315には、一対のリード部381,382を容器310の外部に露出させる正極端子露出孔324および負極端子露出孔325が形成されている。
【0048】
電解液は、キャビティ323に収容され、各フィルム311,315の内面に接触している。電解液は、水酸化カリウム水溶液や水酸化ナトリウム水溶液、またはそれらの混合液のアルカリ水溶液である。
【0049】
図6に示すように、電極体330は、キャビティ323に収容されている。電極体330は、正極340と、負極350と、を備えている。
正極340は、正極合剤341と、正極集電体342と、を有する。正極合剤341は、第1凹部312内に配置されている。正極合剤341は、正極活物質としての酸化銀と、導電剤としてのグラファイトと、結着剤としてのポリアクリル酸ソーダやカルボキシメチルセルロースと、を混合後、打錠機等でプレス成型することにより平面視矩形状に形成されている。正極集電体342は、正極活物質(正極合剤341)に接触し、正極活物質との間で電流の受け渡しを行う。正極集電体342は、容器310の第1凹部312の底面と正極合剤341との間に配置されている。正極集電体342は、例えばニッケル等の金属箔により形成されている。正極集電体342は、容器310の第1凹部312の形状に対応する矩形状に形成されている(図7参照)。正極集電体342は、容器310の第1凹部312の底面に溶着されている。
【0050】
負極350は、負極合剤351と、負極集電体352と、を有する。負極合剤351は、第2凹部316内に配置されている。負極合剤351は、負極活物質としての亜鉛粉末または亜鉛合金粉末と、伝導度安定剤としての酸化亜鉛と、活物質安定剤としての高架橋型ポリアクリル酸ソーダと、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースと、電解液と、を混合してジェル状に形成されている。負極集電体352は、負極活物質(負極合剤351)に接触し、負極活物質との間で電流の受け渡しを行う。負極集電体352は、容器310の第2凹部316の底面と負極合剤351との間に配置されている。負極集電体352は、例えば、銅、または表面にスズがめっきされた銅等の金属箔により形成されている。負極集電体352は、容器310の第2凹部316の形状に対応する矩形状に形成されている(図8参照)。負極集電体352の表面全体には、ベンゾトリアゾールが被膜(配置)されている。ベンゾトリアゾールとしては、例えば1,2,3−ベンゾトリアゾールが好適である。負極集電体352は、容器310の第2凹部316の底面に溶着されている。
【0051】
セパレータ360は、正極合剤341と負極合剤351との間に配置されている。セパレータ360は、例えばセロファン、およびポリエチレンをグラフト重合した膜の2層構造のシートからなる。セパレータ360は、正極340にポリエチレンをグラフト重合した膜を対向させ、負極350にセロファンを対向させるように配置されている。図5に示すように、セパレータ360は、重ね合わせ方向から見てキャビティ323よりも大きい矩形状に形成されている。セパレータ360の外縁部は、容器310のシール部322において、積層された第1フィルム311および第2フィルム315に全周に亘って挟まれ、容器310に対して溶着されて固定されている。
【0052】
一対のリード部381,382は、収容部321の内部と容器310の外部との間で電流路を形成する部材である。一対のリード部381,382は、正極集電体342(図6参照)に導通する正極リード部381と、負極集電体352に導通する負極リード部382(電流路形成部材)と、である。
【0053】
図7は、第2実施形態に係る正極集電体342および正極リード部381の平面図である。
図7に示すように、正極リード部381は、例えばニッケル等の金属箔により略一定の幅で延びる帯状に形成されている。正極リード部381の基端部は、キャビティ323(図6参照)内において正極集電体342に接続して導通している。本実施形態では、正極リード部381は、正極集電体342と一体形成されている。
【0054】
図5に示すように、正極リード部381は、容器310のシール部322において、積層された第1フィルム311および第2フィルム315の間を通って延びている。正極リード部381は、容器310のシール部322において第1フィルム311および第2フィルム315に溶着されている。正極リード部381の先端部は、第1フィルム311および第2フィルム315に挟まれている。正極リード部381の先端部近傍は、第2フィルム315の正極端子露出孔324を通じて外部に露出する正極端子とされている。
【0055】
図8は、第2実施形態に係る負極集電体352および負極リード部382の平面図である。
図8に示すように、負極リード部382は、正極リード部381から離間した位置に配置されている。負極リード部382は、金属箔により略一定の幅で延びる帯状に形成されている。負極リード部382の基端部は、キャビティ323(図6参照)内において負極集電体352に接続して導通している。
【0056】
図6に示すように、負極リード部382は、容器310のシール部322において積層された第1フィルム311および第2フィルム315の間を通って延びている。負極リード部382は、容器310のシール部322において第1フィルム311および第2フィルム315に溶着されている。負極リード部382の先端部は、第1フィルム311および第2フィルム315に挟まれている。負極リード部382の先端部近傍は、第2フィルム315の負極端子露出孔325を通じて外部に露出する負極端子とされている。
【0057】
負極リード部382は、基端部側に形成された第1部分382aと、先端部側に形成されて第1部分382aに接続する第2部分382bと、により形成されている。第1部分382aは、例えば、銅、または表面にスズがめっきされた銅等により形成されている。本実施形態では、第1部分382aは、負極集電体352と一体形成されている。
【0058】
第2部分382bは、例えばニッケル等により形成されている。第1部分382aと第2部分382bとは、例えば超音波溶着等により接合されている。第1部分382aと第2部分382bとの接合部は、負極リード部382における負極端子よりもキャビティ323側に設けられている。
【0059】
吸液部370は、シール部322に配置されている。吸液部370は、第1フィルム311および第2フィルム315と負極リード部382との間に介在している。吸液部370は、負極リード部382の表面に接触するように設けられている。本実施形態では、吸液部370は、負極リード部382の第1部分382aの表面に接触するように設けられている。吸液部370は、容器310の外面に露出しないように設けられている。吸液部370は、負極リード部382の幅方向において負極リード部382よりも幅広に形成され、負極リード部382の幅方向において負極リード部382の全体と重なるように形成されている。これにより、吸液部370は、負極リード部382の延在方向から見て、負極リード部382を全周に亘って連続して覆うように設けられている。
【0060】
吸液部370は、吸水性ポリマーにより形成されている。吸液部370を形成する吸水性ポリマーとしては、例えばポリアクリル酸や、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース等を用いることができる。例えば、吸液部370は、一対の吸水性ポリマーのフィルムにより形成されている。一対の吸水性ポリマーのフィルムは、負極リード部382を挟むように設けられている。例えば、吸水性ポリマーのフィルムは、吸水性ポリマーを溶媒に溶かし、平坦面を有する任意の部材に吸水性ポリマーが溶けた溶液を塗布して乾燥させた後、平坦面から乾燥した吸水性ポリマーを剥離させることにより形成されている。一対の吸水性ポリマーのフィルムは、負極リード部382とともに、第1フィルム311および第2フィルム315に溶着されている。
【0061】
このように、本実施形態の電池301は、吸水性ポリマーにより形成されシール部322における負極リード部382の表面に接触するように配置された吸液部370を備える。この構成によれば、シール部322において電解液が負極リード部382の表面を伝って容器310の内部から外部に向かって進行する這い上がりが生じた際に、吸水性ポリマーにより形成された吸液部370に電解液が吸収されて保持される。これにより、シール部322における負極リード部382の表面上の電解液の這い上がりが抑制されるので、シール部322における電解液の漏液が抑制される。したがって、優れた耐漏液性を有する電池301を提供できる。
【0062】
また、本実施形態の電池301では、電解液がアルカリ水溶液であり、負極集電体352に導通するとともに電解液に接触する負極リード部382の表面が銅またはスズにより構成されているので、負極リード部382の表面が電解液により変質し、シール部322において電解液の這い上がりが生じるおそれがある。そこで、吸液部370をシール部322における負極リード部382の表面に接触するように配置することで、上述したようにシール部322における負極リード部382の表面上の電解液の這い上がりを抑制して、シール部322における電解液の漏液を抑制できる。したがって、電解液がアルカリ水溶液である電池301の耐漏液性を向上させることができる。
【0063】
また、本実施形態の電池301では、容器310は、第1フィルム311および第2フィルム315により形成され、負極リード部382は、シール部322において第1フィルム311と第2フィルム315との間を通って容器310の内部から外部に向かって延び、吸液部370は、第1フィルム311および第2フィルム315と負極リード部382との間に介在する。このため、第1フィルム311および第2フィルム315により形成された容器310を有する電池301において、シール部322における第1フィルム311および第2フィルム315と負極リード部382との間を進行する電解液を吸液部370により吸収して保持できる。これにより、シール部322における負極リード部382の表面上の電解液の這い上がりが抑制されるので、シール部322における電解液の漏液が抑制される。したがって、第1フィルム311および第2フィルム315により形成された容器310を有する電池301の耐漏液性を向上させることができる。
【0064】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記各実施形態では、電気化学セルとして、アルカリ電池の一種である酸化銀電池を例に挙げて説明しているが、これに限定されない。例えばアルカリマンガン電池や、正極活物質としてオキシ水酸化ニッケルを用いたアルカリ電池等に本発明を適用してもよい。また、吸水性ポリマーに吸収される液体は水に限定されないため、非水電解質二次電池や電気二重層キャパシタ等の電気化学セルに本発明を適用してもよい。
【0065】
また、上記各実施形態では、少なくとも負極集電体52,352に導通し収容部21,321の内部と容器10,310の外部との間で電流路を形成する部材(負極缶15、負極リード部382)に対して吸液部70,170,270,370を配置する構成について説明したが、これに限定されない。すなわち、正極集電体42,342に導通し収容部21,321の内部と容器10,310の外部との間で電流路を形成する部材(正極缶11、正極リード部381)に対して吸液部を配置してもよい。これにより、正極缶11や正極リード部381の表面上における電解液の這い上がりを抑制して、シール部22,322における電解液の漏液を抑制できる。
【0066】
また、上記各実施形態では、吸液部70,170,270,370を銅またはスズに接触させるように構成されているが、これに限定されない。アルカリ電池における這い上がりは、例えば銅およびスズ以外に、インジウムや亜鉛等においても生じ得る。このため、本発明は、収容部の内部と容器の外部との間で電流路を形成する部材の表面がインジウムまたは亜鉛で構成されている場合にも好適に適用できる。
【0067】
また、上記第1実施形態の第2変形例では、吸液部270は、ナイロンおよび吸水性ポリマーを混合した樹脂材料により形成されたガスケット19であるが、ナイロンおよび吸水性ポリマーを組み合わせて二色成形することにより形成されたガスケットであってもよい。
【0068】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各実施形態および各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1,101,201,301…電池(電気化学セル) 10,310…容器 11…正極缶 15…負極缶(電流路形成部材) 19…ガスケット 21,321…収容部 22,322…シール部 30,330…電極体 41…正極合剤(正極活物質) 42…正極集電体 51,351…負極合剤(負極活物質、活物質) 52,352…負極集電体(集電体) 70,170,270,370…吸液部 311…第1フィルム 315…第2フィルム 382…負極リード部(電流路形成部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8