(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の配線基板用テープ基材とその製造方法の好適な実施形態について説明する。
(1)実施形態の概要
本実施形態の配線基板用テープ基材1では、有機絶縁フィルム20の少なくとも一方の面に無機材料層30が形成され、有機絶縁フィルム20の何れかの面に直接又は無機材料層30を介して接着剤層201が形成されている。無機材料層30は、スパッタ法、真空蒸着法、又はCVD法により、有機絶縁フィルム20よりも薄く形成される。
この接着剤層201の表面(有機絶縁フィルム20と反対側の面)には、第4の層として、保護用の保護フィルム202が配設され(第1実施形態)、又は配線回路用の配線パターンが形成される金属箔層10が配設される(第2実施形態)。
このように本実施形態の配線基板用テープ基材1では、有機絶縁フィルム20に無機材料層30を形成することで、有機絶縁フィルム20の伸縮が抑制され、高精度が要求される高密度実装が可能なTAB基板等の基材として提供することができる。
また、無機材料層30が配設された配線基板用テープ基材1の幅方向の両端側にパーフォレーションを形成する場合には、パーフォレーションピッチのズレが抑制され、高精度が要求される高密度実装を可能にすることができる。
無機材料層30の形成による有機絶縁フィルム20の反りを防止するためには、有機絶縁フィルム20の両面に無機材料層30を形成することが好ましいが、無機材料層30を薄く形成することにより何れか一方の面に形成することも可能である。
【0011】
(2)実施形態の詳細
図1は本実施形態が適用される配線基板用テープ基材1の構成を表したものであり、(a)は一方の側断面を表し、(b)は平面の部分を表している。
なお、
図1(a)は、(b)の平面図に表した点線円内に対応した位置の断面を表したものである(以下、他の図も同じ)。
配線基板用テープ基材1は、例えば、約φ20〜40cmのリールに巻き取られることを前提とした長尺サイズに形成されている。
配線基板用テープ基材1の幅は、例えば写真撮影用35mmフィルムと同一規格で、全幅W=34.975mmの長尺形状に形成されている。また、対象となる製品に応じた幅として48mmや70mm等の各種サイズに形成される。
【0012】
配線基板用テープ基材1は、
図1(a)に示すように、第1の層を構成する有機絶縁フィルム20と、第2の層を構成する無機材料層30と、第3の層を構成する接着剤層201と、第4の層を構成する保護フィルム202を備えている。
本実施形態の配線基板用テープ基材1では、有機絶縁フィルム20の一方の面に無機材料層30が形成されている。
この無機材料層30に接着剤層201が塗布形成され、これにより、接着剤層201が無機材料層30を介して有機絶縁フィルム20の一方の面に形成されている。
また、この接着剤層201の表面には、保護用の保護フィルム202が配設されている。本実施形態の配線基板用テープ基材1は、金属箔層10を取り付ける前の状態を対象としている。これに対して、後述する第2実施形態では、保護フィルム202を・がした後、又は、保護フィルム202を配設せずに直接金属箔層10を接着剤層201に貼り付けた状態を対象としている。
【0013】
本実施形態の有機絶縁フィルム20は、有機絶縁フィルムとしてPI(ポリイミド)フィルムが使用されているが、他に、ポリエステル、ポリアミドイミド、液晶ポリマー、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等の耐熱性フィルムや、PET、PENなどの安価なフィルムや、エポキシ樹脂−ガラスクロス、エポキシ樹脂−ポリイミド−ガラスクロス等の複合耐熱フィルムからなる有機絶縁フィルムを使用するようにしてもよい。
有機絶縁フィルム20の厚さは、5μm〜100μmの範囲である。但し、本実施形態の有機絶縁フィルム20の厚さは、金属箔層10の厚さと同じであるが、好ましくは金属箔層10の厚さの1/2〜1/12の範囲とし、更に好ましくは、1/6〜1/10の範囲である。
このように、有機絶縁フィルム20の厚さを薄くすることで、配線基板用テープ基材1としての可撓性の低下を抑制することができる。また、半導体素子を樹脂封止する場合において、有機絶縁フィルム20が薄いため、層内の水分が半導体素子の信頼性を低下させることを抑制できる。
【0014】
有機絶縁フィルム20の一方の面には、
図1に示すように、無機材料層30がスパッタ法、真空蒸着法、CVD法等の薄膜製造技術により形成されている。無機材料層30は、厚さが0.1μm〜10μm、好ましくは1μm〜3μmの範囲で形成される。
本実施形態では、真空蒸着法によりシリカを材料とする無機材料層30が形成される。
他に無機材料層30としては、アルミナ、珪藻土、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどの安定な金属酸化物、その他の無機顔料等を使用するようにしてもよい。
【0015】
本実施形態の配線基板用テープ基材1では、
図1(b)に示すように、有機絶縁フィルム20には、その幅方向の両側面に、長さ方向に沿って等間隔にパーフォレーション11(パーフォレーションピッチ=4.75mm)が形成されている。このパーフォレーション11は、打ち抜き加工により形成されている。
そして、本実施形態の配線基板用テープ基材1は、パーフォレーション11の周辺領域を含め、有機絶縁フィルム20に全領域にわたって無機材料層30が形成されている。このように、無機材料層30が全領域に形成されることで、有機絶縁フィルム20全体の伸びや歪みを抑制することができ、パーフォレーションピッチがズレることを抑制することができる。これにより、配線基板用テープ基材1を用いて最終製品を製造する際に、精度よく移送させることができ、導体パターン(配線回路)の位置精度を向上できる。
また無機材料層30により、パーフォレーション11周辺の強度を向上させることも可能である。
【0016】
なお、
図1(b)に示したパーフォレーション11の形状については、方形形状以外に、円形や楕円形状等の各種形状を採用することが可能であるが、いずれの場合にも製造装置の搬送手段(例えば、スプロケット)に合わせた形状とする。
【0017】
接着剤層201は、ポリアミド樹脂を主成分とする熱硬化性接着剤で形成されている。この接着剤層201は、例えば、150°C〜180°Cで硬化するように調整されたものが使用される。なお、熱硬化性成分として、耐薬品性を付与するためにフェノール樹脂(重量比50〜60)やエポキシ樹脂(重量比9〜88)を、ポリアミド樹脂と併用する。
本実施形態の接着剤層201は、後の工程において金属箔層10を有機絶縁フィルム20に接着するために形成されている。このため本実施形態の接着剤層201は、有機絶縁フィルム20に貼付される金属箔層10の幅と同じに形成されている。但し、金属箔層10の幅よりも広く、両側のパーフォレーション11間の幅よりも狭く形成するようにしてもよい。
接着剤層201の厚さは、1μm〜50μmの範囲で形成される。
【0018】
保護フィルム202は、接着剤層201の表面をカバーすることで、防塵や取扱性を向上するために使用され、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサイファイドなどが使用される。
【0019】
図2は、第1実施形態における配線基板用テープ基材1の各種変形例を表したものである。
これらの変形例は、
図1(a)に示した配線基板用テープ基材1とは、無機材料層30の配設状態が異なる例である。
図2(a)に示した配線基板用テープ基材1の第1変形例では、無機材料層30を有機絶縁フィルム20の一方の面に形成し、この無機材料層30の形成面とは反対側の面に接着剤層201を形成した場合の例である。この第1変形例の配線基板用テープ基材1は、その製造が容易であるメリットがある。
すなわち、有機絶縁フィルム20に接着剤層201が形成され、接着剤層201に保護フィルム202が配設されたテープが市販されている。この市販のテープを利用して、接着剤層201が無い側の露出面に、スパッタ法等によって無機材料層30を形成し、パーフォレーション11を形成する。無機材料層30とパーフォレーション11の形成はどちらを先にしてもよい。
【0020】
図2(b)に示した配線基板用テープ基材1の第2変形例では、有機絶縁フィルム20の両面に無機材料層30を形成した場合の例である。
有機絶縁フィルム20の面に形成する無機材料層30は、上述したように、0.1〜10μmの範囲で薄く形成しているため、いずれか一方の面だけに形成する場合でも、形成下面側に反りを発生する可能性は低い。
しかし、第2変形例のように、有機絶縁フィルム20の両面に無機材料層30を形成することで反りの発生をなくすことができる。
【0021】
また、
図2(b)の第2変形例では、有機絶縁フィルム20における両面の全面にわたって無機材料層30を形成しているので、有機絶縁フィルム20の伸び縮みの抑制効果を高めることができ、パーフォレーション11部分の強度をより高めることもできる。
但し、両面に無機材料層30を形成することで、反りを防止することが可能になるが、配線基板用テープ基材1のフレキシブル性が低下することになる。
そこで、
図2(c)に示した配線基板用テープ基材1の第3変形例では、有機絶縁フィルム20を平面視した状態で規則的に配列された仮想小領域に対し、一方の面(表面という)と他方の面(裏面という)に交互に無機材料層30を形成する。すなわち、特定の仮想小領域に対しては、表面と裏面の何れかの面に無機材料層30が形成される。
例えば、規則的に配列された仮想小領域を市松模様(チェック柄)とし、表面と裏面とで無機材料層30の形成箇所を逆にする。
【0022】
第3変形例の配線基板用テープ基材1によれば、平面視した場合に、第1変形例と同様に、有機絶縁フィルム20の全領域にわたる1面相当分の無機材料層30が形成されるので、フレキシブル性の低下を防止することができる。
また第2変形例と同様に、表面と裏面のそれぞれに1/2面相当の無機材料層30が形成されるので、有機絶縁フィルム20に反りが発生することを防止できる。
【0023】
第3変形例における仮想小領域の大きさ(面積)としては、例えば、0.5mm平方〜5mm平方の範囲で選択される。
なお、無機材料層30は、仮想小領域の規則的配列として、正方格子状に限らず、他の幾何学模様の形状、例えば、三角格子形状、長方格子形状、六角格子形状(ハニカム形状)、網代格子形状、レンガ積み形状等であってもよい。また、麻の葉模様の形状や、捻じ麻の葉文様の形状でもよい。
【0024】
次に、配線基板用テープ基材1の第2実施形態について説明する。
第1実施形態の配線基板用テープ基材1は、有機絶縁フィルム20、無機材料層30、接着剤層201、及び、第4の層としての保護フィルム202を構成要素としている場合について説明した。
第1実施形態の配線基板用テープ基材1の場合、後の製品であるTAB基板、COF基板等のFPC基板(フレキシブルプリント配線板)を製造する過程において、保護フィルム202を・がして、配線回路用の配線パターンを形成するための金属箔層10を接着剤層201に貼り付けることになる。
そこで、第2実施形態では、第4の層として接着剤層201ではなく、金属箔層10を配設した配線基板用テープ基材1を提供するものである。
【0025】
図3は、第2実施形態における配線基板用テープ基材1の側断面と、平面を表したものである。
図3(a)は配線基板用テープ基材1の側断面図で、(b)は上からの平面図、(c)は下からの平面図である。
この
図3に示した第2実施形態の配線基板用テープ基材1は、TAB基板用の基板として使用される場合について表したものである。
従って、第2実施形態の配線基板用テープ基材1には、第4の層として、保護フィルム202に変えて接着剤層201に金属箔層10が接着されている。
また、
図3の配線基板用テープ基材1はTAB基板の基板として使用されることを前提としているため、TAB基板を製造する際に金属箔層10にエッチング等で形成されるICホールに対応して、有機絶縁フィルム20等に予めICホール203が形成されている。
また、
図3に示すように、位置決め用等に使用される貫通孔204が予め打ち抜き形成されている金属箔層10を貼り付ける場合も同様に、対応する有機絶縁フィルム20等の位置にも貫通孔204が形成される。
【0026】
なお、有機絶縁フィルム20等のICホール203も打ち抜き形成するため、貫通孔204と同時に形成し、その後貫通孔204が形成された金属箔層10を貼り付ける。但し、有機絶縁フィルム20等のICホール203を先に打ち抜き形成した後に、貫通孔204を形成していない金属箔層10を貼り付け、その後有機絶縁フィルム20と金属箔層10と同時に貫通孔204を打ち抜き形成するようにしてもよい。
【0027】
金属箔層10は銅箔で構成されるが、他の金属として基板材料に通常使用されているものであれば特にその種類を限定するものではない。例えば、金属箔層10として、銀、白金、金、アルミニウム、ニッケルなどの板又は箔等を使用することが可能である。
金属箔層10の厚さは、3μm〜75μmの範囲である。好ましくは、6μm〜25μmの範囲であり、特に好ましくは、12μm〜18μmの範囲である。
本実施形態の配線基板用テープ基材1では、多目的基板として適用できるフレキシブル基板の製造を目的としているため、例えば、配線基板の他に板バネスイッチ用基板としても使用可能にするため、上記範囲以内の厚みが必要とされる。また、製造時に必要とされる基板全体の可撓性を確保するため、上記設定範囲としている。
【0028】
図4は、第2実施形態における配線基板用テープ基材1の各種変形例を表したものである。
これらの変形例は、
図3(a)に示した配線基板用テープ基材1とは、無機材料層30の配設状態が異なる例である。
そして、無機材料層30の配設状態としては、
図4(a)の第4変形例は、第1実施形態に対する第1変形例(
図2(a)参照)と同じである。
同様に、
図4(b)の第5変形例は第2変形例(
図2(b))と、
図4(c)の第6変形例は第3変形例(
図2(c))と、それぞれ同じように無機材料層30が配設されている。
【0029】
次に、第1実施形態で説明した配線基板用テープ基材1の製造方法と、配線基板用テープ基材1を使用したTAB基板の製造方法について
図5〜
図9を使用して説明する。
図5は、TAB基板の製造までを表したフローチャートである。
図6、
図7は配線基板用テープ基材1の製造工程における各状態を表したものである。
図8、
図9は、TAB基板の製造工程における各状態を表したものである。
【0030】
最初の蒸着工程(ステップ10)では、
図6(a)((a1)(a2)を指す、以下同じ)に示すように、所定幅で長尺の有機絶縁フィルム20を用意する。
そして
図6(b)に示すように、この有機絶縁フィルム20の一方の面にシリカを材料とする無機材料層30を真空蒸着法により形成する。なお、上述したように、無機材料層30は、シリカをターゲット材とするスパッタ法により形成してもよく、また他のアルミナ等の材料で無機材料層30を形成するようにしてもよい。
【0031】
次の接着層形成工程(ステップ11)では、
図6(c)に示すように、無機材料層30を形成した面に、熱硬化型の接着剤を塗布し接着剤層201を形成する。接着剤層201は、
図6(c2)に示すように、有機絶縁フィルム20(無機材料層30)の全幅に対してではなく、金属箔層10を配設する幅に塗布する。
そして、形成した接着剤層201の表面に保護フィルム202を貼付する。
【0032】
以上により、第1実施形態における配線基板用テープ基材1の製造が完了し、引き続き、第2実施形態における配線基板用テープ基材1が形成される。
すなわち次の貫通孔形成工程(ステップ12)では、
図7(d)に示すように、有機絶縁フィルム20、無機材料層30、接着剤層201(有機絶縁フィルム20等という)、及び、保護フィルム202に、ICホール203と貫通孔204、及び、パーフォレーション11を打ち抜き形成する。
図5のフローチャートでは、TAB基板を対象としているため、貫通孔形成工程が必要になるが、貼り付けた金属箔層10に対してICホール203や貫通孔204が形成されない場合には、パーフォレーション11だけが形成される。
【0033】
次の銅箔貼付工程(ステップ13)では、接着剤層201に貼った保護フィルム202を・がし、金属箔層10を貼り付ける。この際、貫通孔204が形成されている場合には、位置合わせをしたうえで貼り付ける。
以上により、第2実施形態におけるTAB基板用の配線基板用テープ基材1が形成される。
【0034】
続いて、この配線基板用テープ基材1を用いてTAB基板の製造を行う。
すなわち、配線基板用テープ基材1を使用して、フォトレジスト工程(ステップ21)を行う。このフォトレジスト工程では、
図8(f1)(f2)に示すように、金属箔層10における有機絶縁フィルム20と反対側の面にフォトレジスト層111を形成する。形成するフォトレジスト層111の幅は、有機絶縁フィルム20の幅Qと同じ幅であるが、より広い幅に形成するようにしてもよい。
本実施形態におけるフォトレジスト層111の形成は、ロールコータ式塗布によるが、フォトレジスト層111となるドライフィルムを金属箔層10の表面にラミネートすることで形成してもよい。
【0035】
次の露光・現像工程(ステップ22)では、
図8(g1)に示すように、フォトレジスト層111に紫外線500を照射して、フォトマスクのリードパターンを転写し、その後、現像液に浸漬して未感光部分112を除去する(現像)。
また、現像後にフォトレジスト層111中の溶剤や水分の除去、残ったリードパターン部分を熱架橋させて金属箔層10との密着性を高めるためにベーキングを行う。
【0036】
次の裏止め工程(ステップ23)では、
図8(h1)に示すように、有機絶縁フィルム20の表面に裏止め材205を塗布することで、ICホール203、貫通孔204を封止する。塗布する裏止め材205は各種材料を使用可能であるが、本実施形態では、ポリイミドが使用される。
なお、本実施形態では、有機絶縁フィルム20の全面に裏止め材205を塗布するが、貫通孔203、204に対応する箇所に限定して塗布するようにしてもよい。
【0037】
次のエッチング工程(ステップ24)では、
図9(i1)に示すように、塩化第2鉄水溶液に浸漬し、リードパターン以外の金属部分113を除去する。これにより、露光・現像工程(ステップ22)で金属箔層10上に形成したリードパターンに対応した所定のパターンの導体パターン層(金属箔層10による配線回路)が形成される。
その後、剥離工程(ステップ25)において、フォトレジスト層111と裏止め材205を剥離する。
【0038】
次に、めっき工程(ステップ26)により、
図9(j1)に示すように、リードパターンに形成された金属箔層10の露出表面に金めっき114を施す。
なお、
図9(j2)は、
図7(d2)の点線円に対応した箇所の平面図である。この
図9(j2)において、黒の太線で示した箇所が、エッチング工程後のリードパターンであり、半導体素子用の貫通孔203の内側にまで伸びるインナーリード(フライングリード)115が形成されている。
【0039】
次に、ソルダーレジスト工程(ステップ27)では、
図9(k1)に示すように、スクリーン印刷により、リードパターンの必要箇所を絶縁膜116で覆い保護する。
最後の検査工程(ステップ28)では、エッチング不良、めっき不良、異物付着等の各種検査項目の検査を行う。
【0040】
以上、配線基板用テープ基材1と、TAB基板の製造方法について説明した。
これに対しCOF基板の場合、半導体素子用等の貫通孔は不要であるため、当該貫通孔の形成や当該貫通孔の裏止めの形成、剥離に関する処理が不要な点を除き、TAB基板と同様に形成することができる。
【0041】
以上説明したように本実施形態の配線基板用テープ基材1及び、その製造方法によれば、次の効果を得ることができる。
(1)有機絶縁フィルム20に無機材料層30を形成しているので、温度や吸湿による伸縮を抑制することができ、高密度実装が可能なTAB基板等の基材として提供することができる。
(2)有機絶縁フィルム20に形成するパーフォレーション11を含めた全領域にわたって無機材料層30を形成しているので、パーフォレーションピッチのズレを抑制することができ、移送精度を高くすることができる。
そして、パーフォレーション11とリードパターンの位置との相対位置精度を向上させることができるので、例えばTAB基板への超多ピンの半導体チップの実装、或はTAB基板上での電子部品も実装が容易に実現できるとともに、多品種の異なるパターンを同一TAB基板に形成することも可能となり、TAB基板上のスペース効率を大幅に向上させることが可能となる。
(3)無機材料層30を有機絶縁フィルム20の両面に形成することで、配線基板用テープ基材1の反りを抑制することができる。
(4)有機絶縁フィルム20の両面に配設する場合に、平面視した状態で規則的に配列された仮想小領域に対し、表面と裏面の何れかの面に無機材料層30が形成されるので、配線基板用テープ基材1の反りを抑制すると共に、フレキシブル性が低下することを防止できる。