特許第6986933号(P6986933)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986933
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20211213BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   H01L21/304 648K
   H01L21/304 643A
   H01L21/304 648G
   H01L21/30 564C
   H01L21/30 569C
【請求項の数】15
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-215295(P2017-215295)
(22)【出願日】2017年11月8日
(65)【公開番号】特開2019-87652(P2019-87652A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2020年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝佳
【審査官】 山口 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−034188(JP,A)
【文献】 特開2016−063035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を水平に保持する基板保持手段と、前記基板を処理する処理液を吐出する吐出口と、前記吐出口の方に処理液を通過させる開状態と、前記吐出口の方に流れる処理液をせき止める閉状態と、の間で開閉する吐出バルブと、前記吐出バルブに接続された上流端と前記吐出口に接続された下流端とを含み、前記吐出バルブから前記吐出口に延びる先端流路と、を備える基板処理装置によって実行される基板処理方法であって、
前記吐出バルブを開くことにより、前記処理液に前記吐出バルブを通過させ、前記吐出バルブを通過した前記処理液を前記先端流路に流入させる処理液流入工程と、
前記吐出バルブを閉じることにより、前記処理液流入工程において前記吐出バルブを通過した前記処理液のうち前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液以外の前記処理液を前記先端流路内に保持する処理液保持工程と、
前記吐出バルブを開くことにより、前記処理液に前記吐出バルブを通過させ、前記吐出バルブを通過した前記処理液で、前記処理液保持工程において前記先端流路内に保持された前記処理液を下流に押し流すことにより、前記処理液保持工程において前記先端流路内に保持された前記処理液だけを前記基板保持手段に水平に保持されている前記基板に向けて前記吐出口に吐出させる供給実行工程と、
前記吐出バルブを閉じることにより、前記供給実行工程において前記吐出バルブを通過した前記処理液の全てを前記先端流路内に保持する供給停止工程と、を含む、基板処理方法。
【請求項2】
前記供給実行工程において前記吐出口から吐出された前記処理液が付着している前記基板を乾燥させる乾燥工程をさらに含む、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記供給停止工程において前記先端流路内に保持された前記処理液のうち前記供給実行工程において前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液を前記先端流路から排出し、前記供給実行工程において前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液以外の前記処理液を前記先端流路内に保持する排出工程をさらに含む、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記排出工程の後に、同じ前記処理液が前記先端流路内に保持されている時間を表す滞在時間が所定時間を超えたか否かを判定する滞在時間判定工程と、
前記滞在時間判定工程で前記滞在時間が前記所定時間を超えたと判定された場合に、前記先端流路内に前記処理液が保持されている状態で前記吐出バルブを開くことにより、前記処理液に前記吐出バルブを通過させ、前記吐出バルブを通過した前記処理液のうち前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液以外の前記処理液で、前記先端流路内に保持されている前記処理液の全てを置換する処理液置換工程とをさらに含む、請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記排出工程は、
前記吐出バルブを開くことにより、前記処理液に前記吐出バルブを通過させ、前記吐出バルブを通過した前記処理液で、前記供給停止工程において前記先端流路内に保持された前記処理液を下流に押し流すことにより、前記供給停止工程において前記先端流路内に保持された前記処理液の全てを前記吐出口に吐出させる吐出実行工程と、
前記吐出バルブを閉じることにより、前記吐出実行工程において前記吐出バルブを通過した前記処理液のうち前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液以外の前記処理液を前記先端流路内に保持する吐出停止工程と、を含む、請求項3または4に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記吐出実行工程は、前記吐出バルブが開いた状態で前記吐出バルブの開度を変更することにより、前記吐出バルブを通過する前記処理液の流量を変化させる流量変更工程を含む、請求項5に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記基板処理装置は、前記吐出バルブの下流でかつ前記吐出口の上流の分岐位置で前記先端流路に接続された分岐流路と、前記先端流路内の処理液を前記分岐位置を介して前記分岐流路に吸引する吸引力が前記先端流路に加わる開状態と、前記先端流路への前記吸引力の伝達が遮断される閉状態と、の間で開閉する吸引バルブと、をさらに備えており、
前記排出工程は、
前記吐出バルブが閉じた状態で前記吸引バルブを開くことにより、前記先端流路における前記吐出バルブと前記分岐位置との間の部分に前記処理液を残しながら、前記先端流路における前記分岐位置から前記吐出口までの部分に保持されている前記処理液を前記分岐位置を介して前記分岐流路に吸引し、前記供給実行工程において前記吐出バルブを通過した前記処理液のうち前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液を前記先端流路から排出する吸引実行工程と、
前記吐出バルブが閉じた状態で前記吸引バルブを閉じることにより、前記先端流路における前記吐出バルブと前記分岐位置との間の部分に前記処理液を残しながら、前記先端流路から前記分岐流路への前記処理液の吸引を停止させる吸引停止工程と、を含む、請求項3または4に記載の基板処理方法。
【請求項8】
基板を水平に保持する基板保持手段と、
前記基板を処理する処理液を吐出する吐出口と、
前記吐出口の方に処理液を通過させる開状態と、前記吐出口の方に流れる処理液をせき止める閉状態と、の間で開閉する吐出バルブと、
前記吐出バルブに接続された上流端と前記吐出口に接続された下流端とを含み、前記吐出バルブから前記吐出口に延びており、前記吐出口から前記基板保持手段に保持されている前記基板に向けて吐出される前記処理液の量よりも大きい容積を有する先端流路と、
前記吐出バルブを制御する制御装置と、を備え
前記制御装置は、
前記吐出バルブを開くことにより、前記処理液に前記吐出バルブを通過させ、前記吐出バルブを通過した前記処理液を前記先端流路に流入させる処理液流入工程と、
前記吐出バルブを閉じることにより、前記処理液流入工程において前記吐出バルブを通過した前記処理液のうち前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液以外の前記処理液を前記先端流路内に保持する処理液保持工程と、
前記吐出バルブを開くことにより、前記処理液に前記吐出バルブを通過させ、前記吐出バルブを通過した前記処理液で、前記処理液保持工程において前記先端流路内に保持された前記処理液を下流に押し流すことにより、前記処理液保持工程において前記先端流路内に保持された前記処理液だけを前記基板保持手段に水平に保持されている前記基板に向けて前記吐出口に吐出させる供給実行工程と、
前記吐出バルブを閉じることにより、前記供給実行工程において前記吐出バルブを通過した前記処理液の全てを前記先端流路内に保持する供給停止工程と、を実行する、基板処理装置。
【請求項9】
前記基板処理装置は、前記基板保持手段に保持されている前記基板を乾燥させる乾燥手段をさらに備え、
前記制御装置は、前記乾燥手段を制御することにより、前記供給実行工程において前記吐出口から吐出された前記処理液が付着している前記基板を乾燥させる乾燥工程をさらに実行する、請求項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記制御装置は、前記供給停止工程において前記先端流路内に保持された前記処理液のうち前記供給実行工程において前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液を前記先端流路から排出し、前記供給実行工程において前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液以外の前記処理液を前記先端流路内に保持する排出工程をさらに実行する、請求項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記制御装置は、
前記排出工程の後に、同じ前記処理液が前記先端流路内に保持されている時間を表す滞在時間が所定時間を超えたか否かを判定する滞在時間判定工程と、
前記滞在時間判定工程で前記滞在時間が前記所定時間を超えたと判定された場合に、前記先端流路内に前記処理液が保持されている状態で前記吐出バルブを開くことにより、前記処理液に前記吐出バルブを通過させ、前記吐出バルブを通過した前記処理液のうち前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液以外の前記処理液で、前記先端流路内に保持されている前記処理液の全てを置換する処理液置換工程とをさらに実行する、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記排出工程は、
前記吐出バルブを開くことにより、前記処理液に前記吐出バルブを通過させ、前記吐出バルブを通過した前記処理液で、前記供給停止工程において前記先端流路内に保持された前記処理液を下流に押し流すことにより、前記供給停止工程において前記先端流路内に保持された前記処理液の全てを前記吐出口に吐出させる吐出実行工程と、
前記吐出バルブを閉じることにより、前記吐出実行工程において前記吐出バルブを通過した前記処理液のうち前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液以外の前記処理液を前記先端流路内に保持する吐出停止工程と、を含む、請求項10または11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記吐出バルブは、前記処理液が流れる内部流路と前記内部流路を取り囲む環状の弁座とが設けられたバルブボディと、前記弁座に対して移動可能な弁体と、前記弁体を任意の位置で静止させる電動アクチュエータとを含み、
前記吐出実行工程は、前記吐出バルブが開いた状態で前記吐出バルブの開度を変更することにより、前記吐出バルブを通過する前記処理液の流量を変化させる流量変更工程を含む、請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記基板処理装置は、前記吐出バルブの下流でかつ前記吐出口の上流の分岐位置で前記先端流路に接続された分岐流路と、前記先端流路内の処理液を前記分岐位置を介して前記分岐流路に吸引する吸引力が前記先端流路に加わる開状態と、前記先端流路への前記吸引力の伝達が遮断される閉状態と、の間で開閉する吸引バルブと、をさらに備えており、
前記制御装置は、前記吸引バルブをさらに制御し、
前記排出工程は、
前記吐出バルブが閉じた状態で前記吸引バルブを開くことにより、前記先端流路における前記吐出バルブと前記分岐位置との間の部分に前記処理液を残しながら、前記先端流路における前記分岐位置から前記吐出口までの部分に保持されている前記処理液を前記分岐位置を介して前記分岐流路に吸引し、前記供給実行工程において前記吐出バルブを通過した前記処理液のうち前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液を前記先端流路から排出する吸引実行工程と、
前記吐出バルブが閉じた状態で前記吸引バルブを閉じることにより、前記先端流路における前記吐出バルブと前記分岐位置との間の部分に前記処理液を残しながら、前記先端流路から前記分岐流路への前記処理液の吸引を停止させる吸引停止工程と、を含む、請求項10または11に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記先端流路における前記吐出バルブと前記分岐位置との間の部分の容積は、前記先端流路における前記分岐位置から前記吐出口まで部分の容積よりも大きい、請求項14に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理方法および基板処理装置に関する。処理対象の基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板、有機EL(electroluminescence)表示装置などのFPD(Flat Panel Display)用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置が開示されている。この基板処理装置は、基板を水平に保持して回転させるスピンチャックと、スピンチャックに保持されている基板の上面に向けて処理液を吐出する処理液ノズルと、処理液ノズルに処理液を供給する処理液配管と、処理液配管に介装された処理液バルブとを含む。処理液バルブが開かれると、処理液配管内の処理液が処理液ノズルに供給され、処理液ノズルが閉じられると、処理液ノズルへの処理液の供給が停止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−026476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
処理液バルブが開かれるとき、弁体が弁座から離れる。このとき、弁体が弁座に擦れるので、パーティクルが処理液バルブの内部に発生する。このパーティクルは、処理液と共に処理液ノズルに供給され、処理液ノズルから吐出される。そのため、処理液バルブ内に発生したパーティクルが基板に付着する場合がある。
処理液バルブが閉じられるときも同様に、パーティクルが処理液バルブの内部に発生する。処理液バルブが完全に閉じる前に発生したパーティクルは、処理液と共に処理液ノズルに供給される場合がある。また、パーティクルが、処理液バルブ内に残留し、処理液バルブが再び開かれたときに処理液と共に処理液ノズルに供給される場合がある。
【0005】
そこで、本発明の目的の一つは、処理液ノズルへの処理液の供給および供給停止を切り替えるバルブ内で発生したパーティクルが基板に供給されることを抑制または防止できる基板処理方法および基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、基板を水平に保持する基板保持手段と、前記基板を処理する処理液を吐出する吐出口と、前記吐出口の方に処理液を通過させる開状態と、前記吐出口の方に流れる処理液をせき止める閉状態と、の間で開閉する吐出バルブと、前記吐出バルブに接続された上流端と前記吐出口に接続された下流端とを含み、前記吐出バルブから前記吐出口に延びる先端流路と、を備える基板処理装置によって実行される基板処理方法であって、前記吐出バルブを開くことにより、前記処理液に前記吐出バルブを通過させ、前記吐出バルブを通過した前記処理液を前記先端流路に流入させる処理液流入工程と、前記吐出バルブを閉じることにより、前記処理液流入工程において前記吐出バルブを通過した前記処理液のうち前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液以外の前記処理液を前記先端流路内に保持する処理液保持工程と、前記吐出バルブを開くことにより、前記処理液に前記吐出バルブを通過させ、前記吐出バルブを通過した前記処理液で、前記処理液保持工程において前記先端流路内に保持された前記処理液を下流に押し流すことにより、前記処理液保持工程において前記先端流路内に保持された前記処理液だけを前記基板保持手段に水平に保持されている前記基板に向けて前記吐出口に吐出させる供給実行工程と、前記吐出バルブを閉じることにより、前記供給実行工程において前記吐出バルブを通過した前記処理液の全てを前記先端流路内に保持する供給停止工程と、を含む、基板処理方法である。
【0007】
吐出バルブに供給される処理液は、基板処理装置に備えられたタンクから供給されるものであってもよいし、基板処理装置が据え付けられる製造工場(たとえば、半導体製造工程)から供給されるものであってもよい。
この方法によれば、処理液を基板に供給する前に吐出バルブが開かれる。これにより、吐出バルブ内で発生したパーティクルで汚染された処理液が、吐出バルブから先端流路に流入する。これに続いて、含有パーティクルが少ない清浄な処理液が、吐出バルブから先端流路に流入する。つまり、汚染された処理液が吐出バルブを最初に通過し、これに続いて、清浄な処理液が吐出バルブを通過する。
【0008】
汚染された処理液は、清浄な処理液によって下流に押し流される。先端流路内を流れる処理液が先端流路の下流端に達すると、先端流路内の処理液が吐出口から吐出される。これにより、吐出バルブを開いたときに先端流路に流入した汚染された処理液が、先端流路から排出される。汚染された処理液が吐出口から吐出された後は、吐出バルブが閉じられる。これにより、清浄な処理液が先端流路内に保持され、先端流路内で静止する。
【0009】
その後、吐出バルブが再び開かれる。先端流路内に保持されている清浄な処理液は、新たに流入した処理液によって下流に押し流され、吐出口から基板に向けて吐出される。これにより、清浄な処理液が基板に供給される。その後、吐出バルブが閉じられ、吐出口からの処理液の吐出が停止される。それと同時に、新たに流入した処理液の全てが先端流路内に保持される。
【0010】
このように、綺麗な処理液が先端流路内に保持された状態で吐出バルブを開き、この処理液を基板に向けて吐出する。その後、吐出バルブを通過した全ての処理液を先端流路内に保持する。吐出バルブを通過した処理液には、汚染された処理液も含まれている。したがって、汚染された処理液が吐出口から吐出されることを回避しながら、清浄な処理液だけを吐出口から吐出させることができる。これにより、基板に供給される処理液に含まれるパーティクルが減少するので、乾燥後の基板の清浄度を高めることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記供給実行工程において前記吐出口から吐出された前記処理液が付着している前記基板を乾燥させる乾燥工程をさらに含む、請求項1に記載の基板処理方法である。
この方法によれば、吐出口から吐出された処理液が付着している基板を乾燥させる。吐出口から吐出された処理液は、含有パーティクルが少ない清浄な処理液である。したがって、基板に保持されているパーティクルが少ない状態で基板を乾燥させることができる。これにより、乾燥後の基板に残留するパーティクルを減らすことができ、乾燥後の基板の清浄度を高めることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記供給停止工程において前記先端流路内に保持された前記処理液のうち前記供給実行工程において前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液を前記先端流路から排出し、前記供給実行工程において前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液以外の前記処理液を前記先端流路内に保持する排出工程をさらに含む、請求項1または2に記載の基板処理方法である。
【0013】
前記供給実行工程において前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液以外の前記処理液は、前記吐出バルブを介して前記先端流路に新たに流入した前記処理液であってもよいし、前記供給停止工程において前記先端流路内に保持された前記処理液の一部であってもよい。
この方法によれば、基板に向けて処理液を吐出するときに吐出バルブを最初に通過し、処理液の吐出を停止したときに先端流路内に保持された処理液が、先端流路から排出される。つまり、汚染された処理液が先端流路から排出される。したがって、先端流路内に保持されている処理液を次の基板に供給するときに、汚染された処理液が基板に向けて吐出されることを防止できる。これにより、複数枚の基板を処理するときに、各基板の清浄度を高めることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記排出工程の後に、同じ前記処理液が前記先端流路内に保持されている時間を表す滞在時間が所定時間を超えたか否かを判定する滞在時間判定工程と、前記滞在時間判定工程で前記滞在時間が前記所定時間を超えたと判定された場合に、前記先端流路内に前記処理液が保持されている状態で前記吐出バルブを開くことにより、前記処理液に前記吐出バルブを通過させ、前記吐出バルブを通過した前記処理液のうち前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液以外の前記処理液で、前記先端流路内に保持されている前記処理液の全てを置換する処理液置換工程とをさらに含む、請求項3に記載の基板処理方法である。
【0015】
先端流路内に保持されている処理液(古い処理液)は、吐出口を通じて先端流路の外に排出されてもよいし、後述する分岐流路に排出されてもよい。もしくは、古い処理液の一部が吐出口を通じて先端流路の外に排出され、古い処理液の残りが分岐流路に排出されてもよい。
この方法によれば、同じ処理液が先端流路内に長時間保持された場合、吐出バルブが開かれ、新たな処理液が先端流路内に供給される。これにより、古い処理液が新しい処理液によって下流に押され、先端流路から排出される。その後、吐出バルブを最初に通過した処理液以外の処理液、つまり、綺麗な処理液が先端流路内に保持される。
【0016】
処理液の性質は、時間の経過に伴って変化する場合がある。先端流路内に滞在している時間が短ければ無視できる程度の変化しか発生しないが、先端流路内に滞在している時間が長いと、処理の結果に影響を及ぼし得る性質の変化が発生するかもしれない。したがって、古い処理液を新しい綺麗な処理液で置換することにより、複数枚の基板における品質のばらつきを抑えることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、前記排出工程は、前記吐出バルブを開くことにより、前記処理液に前記吐出バルブを通過させ、前記吐出バルブを通過した前記処理液で、前記供給停止工程において前記先端流路内に保持された前記処理液を下流に押し流すことにより、前記供給停止工程において前記先端流路内に保持された前記処理液の全てを前記吐出口に吐出させる吐出実行工程と、前記吐出バルブを閉じることにより、前記吐出実行工程において前記吐出バルブを通過した前記処理液のうち前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液以外の前記処理液を前記先端流路内に保持する吐出停止工程と、を含む、請求項3または4に記載の基板処理方法である。
【0018】
この方法によれば、先端流路内に保持されている処理液を排出するために、基板への処理液の供給が停止された後に、吐出バルブが開かれ、新たな処理液が先端流路に供給される。基板への処理液の供給を停止したときに先端流路内に保持された全ての処理液は、新たな処理液によって下流に押し流され、吐出口から吐出される。これにより、基板への処理液の供給を停止したときに先端流路内に保持された汚染された処理液を先端流路から排出することができる。
【0019】
さらに、吐出バルブを開いたときに先端流路に流入した汚染された処理液も、吐出口から吐出される。その後、吐出バルブが閉じられ、綺麗な処理液が先端流路内に保持される。したがって、次の基板に綺麗な処理液を供給することができる。さらに、先端流路の各部に処理液が保持されるので、先端流路の一部だけに処理液を保持する場合と比較して、次の基板に供給できる処理液の量を増やすことができる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、前記吐出実行工程は、前記吐出バルブが開いた状態で前記吐出バルブの開度を変更することにより、前記吐出バルブを通過する前記処理液の流量を変化させる流量変更工程を含む、請求項5に記載の基板処理方法である。
この方法によれば、先端流路内に保持されている処理液を排出するために、吐出バルブが開かれ、新たな処理液が先端流路に供給される。加えて、吐出バルブが開いた状態で吐出バルブの開度が変更される。それに伴って、吐出バルブを通過する処理液の流量が変化し、吐出バルブに付着しているパーティクルに加わる液圧が変化する。これにより、吐出バルブからパーティクルを効果的に剥がすことができ、吐出バルブを通過する処理液の清浄度を高めることができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、前記基板処理装置は、前記吐出バルブの下流でかつ前記吐出口の上流の分岐位置で前記先端流路に接続された分岐流路と、前記先端流路内の処理液を前記分岐位置を介して前記分岐流路に吸引する吸引力が前記先端流路に加わる開状態と、前記先端流路への前記吸引力の伝達が遮断される閉状態と、の間で開閉する吸引バルブと、をさらに備える、請求項3または4に記載の基板処理方法である。
【0022】
前記排出工程は、前記吐出バルブが閉じた状態で前記吸引バルブを開くことにより、前記先端流路における前記吐出バルブと前記分岐位置との間の部分に前記処理液を残しながら、前記先端流路における前記分岐位置から前記吐出口までの部分に保持されている前記処理液を前記分岐位置を介して前記分岐流路に吸引し、前記供給実行工程において前記吐出バルブを通過した前記処理液のうち前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液を前記先端流路から排出する吸引実行工程と、前記吐出バルブが閉じた状態で前記吸引バルブを閉じることにより、前記先端流路における前記吐出バルブと前記分岐位置との間の部分に前記処理液を残しながら、前記先端流路から前記分岐流路への前記処理液の吸引を停止させる吸引停止工程と、を含む。
【0023】
この方法によれば、先端流路内に保持されている処理液を排出するために、基板への処理液の供給が停止された後に、吐出バルブが閉じた状態で吸引バルブが開かれる。これにより、吸引力が分岐流路を介して先端流路に伝達され、先端流路の下流部分から分岐流路に処理液が吸引される。その一方で、吐出バルブが閉じられているので、先端流路の上流部分に保持されている処理液はその場(上流部分)に残る。
【0024】
基板に向けて処理液を吐出するときに先端流路に流入した汚染された処理液は、先端流路の下流部分に保持されている。したがって、先端流路の下流部分から分岐流路に処理液を吸引することにより、綺麗な処理液を先端流路を残しながら、汚染された処理液を先端流路から排出できる。これにより、次の基板に綺麗な処理液を供給できる。さらに、先端流路の下流部分から分岐流路に処理液を逆流させると、吐出口の上流の位置から吐出口までの範囲が空になるので、処理液が意図せず吐出口から落下する現象(いわゆる、ボタ落ち)を防止できる。
【0025】
請求項8に記載の発明は、基板を水平に保持する基板保持手段と、前記基板を処理する処理液を吐出する吐出口と、前記吐出口の方に処理液を通過させる開状態と、前記吐出口の方に流れる処理液をせき止める閉状態と、の間で開閉する吐出バルブと、前記吐出バルブに接続された上流端と前記吐出口に接続された下流端とを含み、前記吐出バルブから前記吐出口に延びており、前記吐出口から前記基板保持手段に保持されている前記基板に向けて吐出される前記処理液の量よりも大きい容積を有する先端流路と、前記吐出バルブを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記吐出バルブを開くことにより、前記処理液に前記吐出バルブを通過させ、前記吐出バルブを通過した前記処理液を前記先端流路に流入させる処理液流入工程と、前記吐出バルブを閉じることにより、前記処理液流入工程において前記吐出バルブを通過した前記処理液のうち前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液以外の前記処理液を前記先端流路内に保持する処理液保持工程と、前記吐出バルブを開くことにより、前記処理液に前記吐出バルブを通過させ、前記吐出バルブを通過した前記処理液で、前記処理液保持工程において前記先端流路内に保持された前記処理液を下流に押し流すことにより、前記処理液保持工程において前記先端流路内に保持された前記処理液だけを前記基板保持手段に水平に保持されている前記基板に向けて前記吐出口に吐出させる供給実行工程と、前記吐出バルブを閉じることにより、前記供給実行工程において前記吐出バルブを通過した前記処理液の全てを前記先端流路内に保持する供給停止工程と、を実行する、基板処理装置である。この構成によれば乾燥後の基板の清浄度を高めることができる。
【0027】
請求項に記載の発明は、前記基板処理装置は、前記基板保持手段に保持されている前記基板を乾燥させる乾燥手段をさらに備え、前記制御装置は、前記乾燥手段を制御することにより、前記供給実行工程において前記吐出口から吐出された前記処理液が付着している前記基板を乾燥させる乾燥工程をさらに実行する、請求項に記載の基板処理装置である。この構成によれば、前述の基板処理方法に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
【0028】
請求項10に記載の発明は、前記制御装置は、前記供給停止工程において前記先端流路内に保持された前記処理液のうち前記供給実行工程において前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液を前記先端流路から排出し、前記供給実行工程において前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液以外の前記処理液を前記先端流路内に保持する排出工程をさらに実行する、請求項に記載の基板処理装置である。この構成によれば、前述の基板処理方法に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
【0029】
請求項11に記載の発明は、前記制御装置は、前記排出工程の後に、同じ前記処理液が前記先端流路内に保持されている時間を表す滞在時間が所定時間を超えたか否かを判定する滞在時間判定工程と、前記滞在時間判定工程で前記滞在時間が前記所定時間を超えたと判定された場合に、前記先端流路内に前記処理液が保持されている状態で前記吐出バルブを開くことにより、前記処理液に前記吐出バルブを通過させ、前記吐出バルブを通過した前記処理液のうち前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液以外の前記処理液で、前記先端流路内に保持されている前記処理液の全てを置換する処理液置換工程とをさらに実行する、請求項10に記載の基板処理装置である。この構成によれば、前述の基板処理方法に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
【0030】
請求項12に記載の発明は、前記排出工程は、前記吐出バルブを開くことにより、前記処理液に前記吐出バルブを通過させ、前記吐出バルブを通過した前記処理液で、前記供給停止工程において前記先端流路内に保持された前記処理液を下流に押し流すことにより、前記供給停止工程において前記先端流路内に保持された前記処理液の全てを前記吐出口に吐出させる吐出実行工程と、前記吐出バルブを閉じることにより、前記吐出実行工程において前記吐出バルブを通過した前記処理液のうち前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液以外の前記処理液を前記先端流路内に保持する吐出停止工程と、を含む、請求項10または11に記載の基板処理装置である。この構成によれば、前述の基板処理方法に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
【0031】
請求項13に記載の発明は、前記吐出バルブは、前記処理液が流れる内部流路と前記内部流路を取り囲む環状の弁座とが設けられたバルブボディと、前記弁座に対して移動可能な弁体と、前記弁体を任意の位置で静止させる電動アクチュエータとを含み、前記吐出実行工程は、前記吐出バルブが開いた状態で前記吐出バルブの開度を変更することにより、前記吐出バルブを通過する前記処理液の流量を変化させる流量変更工程を含む、請求項12に記載の基板処理装置である。この構成によれば、前述の基板処理方法に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
【0032】
請求項14に記載の発明は、前記基板処理装置は、前記吐出バルブの下流でかつ前記吐出口の上流の分岐位置で前記先端流路に接続された分岐流路と、前記先端流路内の処理液を前記分岐位置を介して前記分岐流路に吸引する吸引力が前記先端流路に加わる開状態と、前記先端流路への前記吸引力の伝達が遮断される閉状態と、の間で開閉する吸引バルブと、をさらに備える、請求項10または11に記載の基板処理装置である。
【0033】
前記制御装置は、前記吸引バルブをさらに制御する。前記排出工程は、前記吐出バルブが閉じた状態で前記吸引バルブを開くことにより、前記先端流路における前記吐出バルブと前記分岐位置との間の部分に前記処理液を残しながら、前記先端流路における前記分岐位置から前記吐出口までの部分に保持されている前記処理液を前記分岐位置を介して前記分岐流路に吸引し、前記供給実行工程において前記吐出バルブを通過した前記処理液のうち前記吐出バルブを最初に通過した前記処理液を前記先端流路から排出する吸引実行工程と、前記吐出バルブが閉じた状態で前記吸引バルブを閉じることにより、前記先端流路における前記吐出バルブと前記分岐位置との間の部分に前記処理液を残しながら、前記先端流路から前記分岐流路への前記処理液の吸引を停止させる吸引停止工程と、を含む。この構成によれば、前述の基板処理方法に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
【0034】
請求項15に記載の発明は、前記先端流路における前記吐出バルブと前記分岐位置との間の部分の容積は、前記先端流路における前記分岐位置から前記吐出口まで部分の容積よりも大きい、請求項14に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、先端流路における吐出バルブと分岐位置との間の部分、つまり、先端流路の上流部分の容積が、先端流路における分岐位置から吐出口まで部分の容積、つまり、先端流路の下流部分の容積よりも大きい。したがって、より多くの処理液を先端流路の上流部分に保持できる。前述のように、基板に処理液が供給された後は、先端流路の下流部分から分岐流路に処理液が吸引される。そして、先端流路の上流部分に残った処理液が次の基板に供給される。先端流路の上流部分の容積が先端流路の下流部分の容積よりも大きいので、次の基板に供給できる処理液の量を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置に備えられた処理ユニットの内部を水平に見た模式図である。
図2】スピンチャックおよび処理カップを上から見た模式図である。
図3】溶剤バルブの鉛直断面を示す模式的な断面図である。
図4】溶剤ノズルに至るIPAの流路と吸引装置に至るIPAの流路とについて説明するための模式図である。
図5】基板処理装置によって行われる基板の処理の一例について説明するための工程図である。
図6図5に示す基板の処理の一例において、基板にIPAを供給する前から、基板にIPAを供給した後までの流れの一例(第1処理例)について説明するためのフロチャートである。
図7A図6に示す第1処理例が行われているときの流路内の状態を示す模式的な断面図である。
図7B図6に示す第1処理例が行われているときの流路内の状態を示す模式的な断面図である。
図7C図6に示す第1処理例が行われているときの流路内の状態を示す模式的な断面図である。
図7D図6に示す第1処理例が行われているときの流路内の状態を示す模式的な断面図である。
図7E図6に示す第1処理例が行われているときの流路内の状態を示す模式的な断面図である。
図7F図6に示す第1処理例が行われているときの流路内の状態を示す模式的な断面図である。
図7G図6に示す第1処理例が行われているときの流路内の状態を示す模式的な断面図である。
図7H図6に示す第1処理例が行われているときの流路内の状態を示す模式的な断面図である。
図7I図6に示す第1処理例が行われているときの流路内の状態を示す模式的な断面図である。
図8図5に示す基板の処理の一例において、基板にIPAを供給する前から、基板にIPAを供給した後までの流れの一例(第2処理例)について説明するためのフロチャートである。
図9A図8に示す第2処理例が行われているときの流路内の状態を示す模式的な断面図である。
図9B図8に示す第2処理例が行われているときの流路内の状態を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1に備えられた処理ユニット2の内部を水平に見た模式図である。図2は、スピンチャック8および処理カップ21を上から見た模式図である。
図1に示すように、基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、基板Wを収容する箱型のキャリアが置かれるロードポート(図示せず)と、ロードポート上のキャリアから搬送された基板Wを処理液や処理ガスなどの処理流体で処理する処理ユニット2と、ロードポートと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する搬送ロボット(図示せず)と、基板処理装置1を制御する制御装置3とを含む。
【0037】
処理ユニット2は、内部空間を有する箱型のチャンバー4と、チャンバー4内で基板Wを水平に保持しながら基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線A1まわりに回転させるスピンチャック8と、基板Wおよびスピンチャック8から外方に排出された処理液を受け止める筒状の処理カップ21とを含む。
チャンバー4は、基板Wが通過する搬入搬出口5bが設けられた箱型の隔壁5と、搬入搬出口5bを開閉するシャッター6とを含む。フィルターによってろ過された空気であるクリーンエアーは、隔壁5の上部に設けられた送風口5aからチャンバー4内に常時供給される。チャンバー4内の気体は、処理カップ21の底部に接続された排気ダクト7を通じてチャンバー4から排出される。これにより、クリーンエアーのダウンフローがチャンバー4内に常時形成される。
【0038】
スピンチャック8は、水平な姿勢で保持された円板状のスピンベース10と、スピンベース10の上方で基板Wを水平な姿勢で保持する複数のチャックピン9と、スピンベース10の中央部から下方に延びるスピン軸11と、スピン軸11を回転させることによりスピンベース10および複数のチャックピン9を回転させるスピンモータ12とを含む。スピンチャック8は、複数のチャックピン9を基板Wの外周面に接触させる挟持式のチャックに限らず、非デバイス形成面である基板Wの裏面(下面)をスピンベース10の上面に吸着させることにより基板Wを水平に保持するバキューム式のチャックであってもよい。
【0039】
処理カップ21は、基板Wから外方に排出された液体を受け止める複数のガード23と、複数のガード23によって下方に案内された液体を受け止める複数のカップ26と、複数のガード23と複数のカップ26とを取り囲む円筒状の外壁部材22とを含む。図1は、4つのガード23と3つのカップ26とが設けられている例を示している。
ガード23は、スピンチャック8を取り囲む円筒状の筒状部25と、筒状部25の上端部から回転軸線A1に向かって斜め上に延びる円環状の天井部24とを含む。複数の天井部24は、上下に重なっており、複数の筒状部25は、同心円状に配置されている。複数のカップ26は、それぞれ、複数の筒状部25の下方に配置されている。カップ26は、上向きに開いた環状の受液溝を形成している。
【0040】
処理ユニット2は、複数のガード23を個別に昇降させるガード昇降ユニット27を含む。ガード昇降ユニット27は、上位置と下位置との間でガード23を鉛直に昇降させる。上位置は、ガード23の上端23aがスピンチャック8に保持されている基板Wが配置される保持位置よりも上方に配置される位置である。下位置は、ガード23の上端23aが保持位置よりも下方に配置される位置である。天井部24の円環状の上端は、ガード23の上端23aに相当する。図2に示すように、ガード23の上端23aは、平面視で基板Wおよびスピンベース10を取り囲んでいる。
【0041】
スピンチャック8が基板Wを回転させている状態で、処理液が基板Wに供給されると、基板Wに供給された処理液が基板Wの周囲に振り切られる。処理液が基板Wに供給されるとき、少なくとも一つのガード23の上端23aが、基板Wよりも上方に配置される。したがって、基板Wの周囲に排出された薬液やリンス液などの処理液は、いずれかのガード23に受け止められ、このガード23に対応するカップ26に案内される。
【0042】
図1に示すように、処理ユニット2は、基板Wの上面に向けて薬液を下方に吐出する薬液ノズル31を含む。薬液ノズル31は、薬液ノズル31に薬液を案内する薬液配管32に接続されている。薬液配管32に介装された薬液バルブ33が開かれると、薬液が、薬液ノズル31の吐出口から下方に連続的に吐出される。薬液ノズル31から吐出される薬液は、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸、リン酸、酢酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(たとえばクエン酸、蓚酸など)、有機アルカリ(たとえば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなど)、界面活性剤、および腐食防止剤の少なくとも1つを含む液であってもよいし、これ以外の液体であってもよい。
【0043】
図示はしないが、薬液バルブ33は、薬液が流れる内部流路と内部流路を取り囲む環状の弁座とが設けられたバルブボディと、弁座に対して移動可能な弁体と、弁体が弁座に接触する閉位置と弁体が弁座から離れた開位置との間で弁体を移動させるアクチュエータとを含む。他のバルブについても同様である。アクチュエータは、空圧アクチュエータまたは電動アクチュエータであってもよいし、これら以外のアクチュエータであってもよい。制御装置3は、アクチュエータを制御することにより、薬液バルブ33を開閉させる。アクチュエータが電動アクチュエータである場合、制御装置3は、電動アクチュエータを制御することにより、閉位置から開位置(全開位置)までの任意の位置に弁体を位置させる。
【0044】
図2に示すように、処理ユニット2は、薬液ノズル31を保持するノズルアーム34と、ノズルアーム34を移動させることにより、鉛直方向および水平方向の少なくとも一方に薬液ノズル31を移動させるノズル移動ユニット35とを含む。ノズル移動ユニット35は、薬液ノズル31から吐出された処理液が基板Wの上面に着液する処理位置と、薬液ノズル31が平面視で処理カップ21のまわりに位置する待機位置(図2に示す位置)と、の間で薬液ノズル31を水平に移動させる。ノズル移動ユニット35は、たとえば、処理カップ21のまわりで鉛直に延びるノズル回動軸線A2まわりに薬液ノズル31を水平に移動させることにより、平面視で基板Wを通る円弧状の経路に沿って薬液ノズル31を移動させる旋回ユニットである。
【0045】
図1に示すように、処理ユニット2は、基板Wの上面に向けてリンス液を下方に吐出するリンス液ノズル36を含む。リンス液ノズル36は、チャンバー4の底部に対して固定されている。リンス液ノズル36から吐出されたリンス液は、基板Wの上面中央部に着液する。リンス液ノズル36は、リンス液ノズル36にリンス液を案内するリンス液配管37に接続されている。リンス液配管37に介装されたリンス液バルブ38が開かれると、リンス液が、リンス液ノズル36の吐出口から下方に連続的に吐出される。リンス液ノズル36から吐出されるリンス液は、たとえば、純水(脱イオン水:Deionized Water)である。リンス液は、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、および希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。
【0046】
処理ユニット2は、基板Wの上面に向けて溶剤を下方に吐出する溶剤ノズル41を含む。溶剤ノズル41は、溶剤ノズル41に溶剤を案内する溶剤配管42に接続されている。溶剤配管42に介装された溶剤バルブ43が開かれると、溶剤が、溶剤ノズル41の吐出口41pから下方に連続的に吐出される。溶剤ノズル41から吐出される溶剤は、たとえば、IPA(イソプロピルアルコール)である。特に断りがない限り、溶剤およびIPAは、液体を意味している。IPAは、水よりも沸点が低く、水よりも表面張力が低い。溶剤ノズル41から吐出される溶剤は、HFE(ハイドロフルオロエーテル)などのフッ素系有機溶剤であってもよい。
【0047】
基板処理装置1は、溶剤バルブ43よりも下流の位置で溶剤配管42に接続された吸引配管44と、吸引配管44に介装された吸引バルブ45と、溶剤バルブ43を通過した溶剤を吸引配管44を介して吸引する吸引力を発生する吸引装置46とを含む。吸引配管44の上流端は、溶剤配管42に接続されており、吸引配管44の下流端は、吸引装置46に接続されている。吸引バルブ45は、吸引装置46の上流に配置されている。
【0048】
吸引装置46は、たとえば、吸引力を発生するエジェクターと、エジェクターへの気体の供給および供給停止を切り替える気体バルブとを含む。吸引装置46は、吸引ポンプであってもよい。吸引装置46は、必要なときにだけ駆動されてもよいし、常時駆動されていてもよい。吸引バルブ45が開いており、吸引装置46が駆動されているときは、吸引装置46の吸引力が、吸引配管44を介して溶剤配管42の内部に伝達される。
【0049】
図2に示すように、処理ユニット2は、溶剤ノズル41を保持するノズルアーム47と、ノズルアーム47を移動させることにより、鉛直方向および水平方向の少なくとも一方に溶剤ノズル41を移動させるノズル移動ユニット48とを含む。ノズル移動ユニット48は、溶剤ノズル41から吐出された溶剤が基板Wの上面に着液する処理位置と、溶剤ノズル41が平面視で処理カップ21のまわりに位置する待機位置(図2に示す位置)と、の間で溶剤ノズル41を水平に移動させる。ノズル移動ユニット48は、たとえば、処理カップ21のまわりで鉛直に延びるノズル回動軸線A3まわりに溶剤ノズル41を水平に移動させることにより、平面視で基板Wを通る円弧状の経路に沿って溶剤ノズル41を移動させる旋回ユニットである。
【0050】
処理ユニット2は、待機位置に位置する溶剤ノズル41から吐出された溶剤を受け止める筒状の待機ポット49を含む。待機ポット49は、溶剤ノズル41の待機位置の下方に配置されている。待機ポット49は、平面視で処理カップ21のまわりに配置されている。待機ポット49は、上下方向に延びる筒状の周壁を含む。待機ポット49の周壁の上端は、上向きに開いた開口を形成している。待機位置に位置する溶剤ノズル41から吐出された溶剤は、待機ポット49に受け止められ、回収装置または排液装置に案内される。
【0051】
次に、溶剤バルブ43の構造について具体的に説明する。
図3は、溶剤バルブ43の鉛直断面を示す模式的な断面図である。
溶剤バルブ43は、たとえば、ダイヤフラムバルブである。溶剤バルブ43は、ニードルバルブなどのダイヤフラムバルブ以外のバルブであってもよい。溶剤バルブ43は、液体が流れる内部流路52と内部流路52を取り囲む環状の弁座53とが設けられたバルブボディ51と、弁座53に対して移動可能な弁体54とを含む。弁体54は、ゴムや樹脂などの弾性材料で形成されたダイヤフラムである。弁座53は、樹脂製である。溶剤配管42は、溶剤を内部流路52に案内する上流配管42uと、内部流路52から排出された溶剤を案内する下流配管42dとを含む。
【0052】
溶剤バルブ43は、弁体54が弁座53から離れた開位置と弁体54と弁座53との接触により内部流路52が塞がれる閉位置との間で弁体54を動作させるバルブアクチュエータ55を含む。バルブアクチュエータ55は、たとえば、電動アクチュエータである。したがって、溶剤バルブ43は、電動バルブである。バルブアクチュエータ55は、弁体54と一体的に移動するロッド58と、ロッド58を軸方向に移動させる動力を発生する電動モータ56と、電動モータ56の回転をロッド58の直線運動に変換する運動変換機構57とを含む。
【0053】
バルブアクチュエータ55のロッド58は、弁体54が弁座53から離れる開位置(図3に示す位置)と、弁体54が弁座53に押し付けられる閉位置と、の間でロッド58の軸方向に移動可能である。バルブアクチュエータ55の電動モータ56が回転すると、電動モータ56の回転角度に応じた移動量でロッド58がロッド58の軸方向に移動する。制御装置3は、電動モータ56の回転角度を制御することにより、開位置から閉位置までの任意の位置に弁体54を位置させる。
【0054】
弁体54が弁座53から離れている状態でロッド58が閉位置側に移動すると、弁体54の一部が弁座53に近づく。ロッド58が閉位置に達すると、弁体54が弁座53に接触し、内部流路52が閉じられる。これにより、溶剤が弁体54でせき止められる。その一方で、弁体54が弁座53に押し付けられている状態で、ロッド58が開位置側に移動すると、弁体54が弁座53から離れ、内部流路52が開かれる。これにより、溶剤が弁座53を通過し、内部流路52から排出される。
【0055】
次に、IPAの流路について説明する。
図4は、溶剤ノズル41に至るIPAの流路と吸引装置46に至るIPAの流路とについて説明するための模式図である。
基板処理装置1は、溶剤バルブ43から上流に延びる供給流路61と、溶剤バルブ43から溶剤ノズル41の吐出口41pに延びる先端流路62とを備えている。基板処理装置1は、さらに、先端流路62から吸引バルブ45に延びる分岐流路63と、吸引バルブ45から吸引装置46に延びる吸引流路64とを備えている。
【0056】
先端流路62は、溶剤バルブ43から溶剤ノズル41の吐出口41pに延びる流路である。つまり、溶剤ノズル41内の流路も先端流路62に含まれる。先端流路62は、溶剤配管42と溶剤ノズル41とによって形成されている。先端流路62の上流端62uは、溶剤バルブ43に接続されており、先端流路62の下流端62dは、溶剤ノズル41の吐出口41pに接続されている。
【0057】
分岐流路63は、吸引配管44の一部によって形成されている。分岐流路63は、溶剤バルブ43の下流でかつ溶剤ノズル41の吐出口41pの上流の分岐位置P1で先端流路62に接続されている。分岐流路63の上流端63uは、先端流路62に接続されており、分岐流路63の下流端63dは、吸引バルブ45に接続されている。分岐流路63の下流端63dは、溶剤ノズル41の吐出口41pと等しい高さに配置されていてもよいし、溶剤ノズル41の吐出口41pよりも高いまたは低い位置に配置されていてもよい。
【0058】
図4では、先端流路62の上流部62aにハッチングを施しており、先端流路62の下流部62bにクロスハッチングを施している。先端流路62の上流部62aは、先端流路62における溶剤バルブ43と分岐位置P1との間の部分であり、先端流路62の下流部62bは、先端流路62における分岐位置P1から溶剤ノズル41の吐出口41pまでの部分(分岐位置P1を含む)である。上流部62aの容積は、下流部62bの容積と等しくてもよいし、下流部62bの容積よりも大きいまたは小さくてもよい。
【0059】
次に、基板処理装置1によって行われる基板Wの処理の一例について説明する。
図5は、基板処理装置1によって行われる基板Wの処理の一例について説明するための工程図である。
以下では、図1および図2を参照する。図5については適宜参照する。以下の動作は、制御装置3が基板処理装置1を制御することにより実行される。言い換えると、制御装置3は、以下の動作を実行するようにプログラムされている。制御装置3は、プログラムを実行するコンピュータである。図1に示すように、制御装置3は、プログラム等の情報を記憶するメモリー3mと、メモリー3mに記憶された情報にしたがって基板処理装置1を制御するプロセッサー3pと、時間を測るタイマー3tとを含む。
【0060】
基板処理装置1によって基板Wが処理されるときは、チャンバー4内に基板Wを搬入する搬入工程が行われる(図5のステップS1)。
具体的には、薬液ノズル31および溶剤ノズル41を含む全てのスキャンノズルを待機位置に位置させ、全てのガード23を下位置に位置させる。この状態で、搬送ロボットが、基板Wをハンドで支持しながら、ハンドをチャンバー4内に進入させる。その後、搬送ロボットは、基板Wの表面が上に向けられた状態でハンド上の基板Wをスピンチャック8の上に置く。搬送ロボットは、基板Wをスピンチャック8の上に置いた後、ハンドをチャンバー4の内部から退避させる。
【0061】
次に、薬液を基板Wに供給する薬液供給工程(図5のステップS2)が行われる。
具体的には、ガード昇降ユニット27は、複数のガード23の少なくとも一つを上昇させて、いずれかのガード23の内面を基板Wの外周面に水平に対向させる。ノズル移動ユニット35は、ノズルアーム34を移動させることにより、薬液ノズル31の吐出口を基板Wの上方に位置させる。スピンモータ12は、基板Wがチャックピン9によって把持されている状態で基板Wの回転を開始する。この状態で、薬液バルブ33が開かれ、薬液ノズル31が薬液の吐出を開始する。
【0062】
薬液ノズル31から吐出された薬液は、基板Wの上面中央部に着液した後、回転している基板Wの上面に沿って外方に流れる。これにより、基板Wの上面全域を覆う薬液の液膜が基板W上に形成される。薬液バルブ33が開かれてから所定時間が経過すると、薬液バルブ33が閉じられ、薬液ノズル31からの薬液の吐出が停止される。その後、ノズル移動ユニット35が薬液ノズル31を基板Wの上方から退避させる。
【0063】
次に、リンス液の一例である純水を基板Wに供給するリンス液供給工程(図5のステップS3)が行われる。
具体的には、リンス液バルブ38が開かれ、リンス液ノズル36が純水の吐出を開始する。ガード昇降ユニット27は、純水の吐出が開始される前または後に、複数のガード23の少なくとも一つを上下に移動させることにより、基板Wの外周面に対向するガード23を切り替えてもよい。リンス液ノズル36から吐出された純水は、基板Wの上面中央部に着液した後、回転している基板Wの上面に沿って外方に流れる。これにより、基板W上の薬液が純水に置換され、基板Wの上面全域を覆う純水の液膜が形成される。その後、リンス液バルブ38が閉じられ、リンス液ノズル36からの純水の吐出が停止される。
【0064】
次に、水よりも表面張力が低い溶剤の一例であるIPAを基板Wに供給するIPA供給工程(図5のステップS4)が行われる。
具体的には、ノズル移動ユニット48は、ノズルアーム47を移動させることにより、溶剤ノズル41の吐出口41pを基板Wの上方に位置させる。その後、溶剤バルブ43が開かれ、溶剤ノズル41がIPAの吐出を開始する。ガード昇降ユニット27は、IPAの吐出が開始される前または後に、複数のガード23の少なくとも一つを上下に移動させることにより、基板Wの外周面に対向するガード23を切り替えてもよい。
【0065】
溶剤ノズル41から吐出されたIPAは、基板Wの上面中央部に着液した後、回転している基板Wの上面に沿って外方に流れる。これにより、基板W上の純水がIPAに置換され、基板Wの上面全域を覆うIPAの液膜が形成される。溶剤バルブ43が開かれてから所定時間が経過すると、溶剤バルブ43が閉じられ、溶剤ノズル41からのIPAの吐出が停止される。その後、ノズル移動ユニット48が溶剤ノズル41を基板Wの上方から退避させる。
【0066】
次に、基板Wの高速回転によって基板Wを乾燥させる乾燥工程が行われる(図5のステップS5)。
具体的には、溶剤ノズル41からのIPAの吐出が停止された後、スピンモータ12が基板Wを回転方向に加速させ、これまでの基板Wの回転速度よりも大きい高回転速度(たとえば数千rpm)で基板Wを回転させる。基板Wに付着しているIPAは、基板Wの高速回転により基板Wのまわりに飛散する。これにより、IPAが基板Wから除去され、基板Wが乾燥する。基板Wの高速回転が開始されてから所定時間が経過すると、スピンモータ12が回転を停止する。これにより、基板Wの回転が停止される。
【0067】
次に、基板Wをチャンバー4から搬出する搬出工程が行われる(図5のステップS6)。
具体的には、ガード昇降ユニット27が、全てのガード23を下位置まで下降させる。搬送ロボットは、複数のチャックピン9が基板Wの把持を解除した後、スピンチャック8上の基板Wをハンドで支持する。その後、搬送ロボットは、基板Wをハンドで支持しながら、ハンドをチャンバー4の内部から退避させる。これにより、処理済みの基板Wがチャンバー4から搬出される。
【0068】
第1処理例
次に、基板WにIPAを供給する前から、基板WにIPAを供給した後までの流れの一例(第1処理例)について説明する。
図6は、第1処理例について説明するためのフロチャートである。図7A図7Iは、図6に示す第1処理例が行われているときの流路内の状態を示す模式的な断面図である。
【0069】
図7A図7Iでは、開いているバルブを黒色で示しており、閉じているバルブを白色で示している。図7Aにおいて液体の模様が描かれた領域は、綺麗なIPAが存在する領域を示しており、図7Aにおいてクロスハッチングされた領域は、汚染されたIPAが存在する領域を示している。これは他の図でも同様である。
以下では、図1および図2を参照する。図6および図7A図7Iについては適宜参照する。以下の動作は、制御装置3が基板処理装置1を制御することにより実行される。
【0070】
溶剤バルブ43が開かれるときは、弁体54が弁座53に擦れ(図3参照)、溶剤バルブ43内にパーティクルが発生する。溶剤バルブ43が閉じられるときも、弁体54が弁座53に擦れ、溶剤バルブ43内にパーティクルが発生する。溶剤バルブ43が閉じられるときに発生したパーティクルは、溶剤バルブ43の内部に留まる。このパーティクルは、溶剤バルブ43が開かれたときに、溶剤バルブ43を通過するIPAと共に溶剤バルブ43から排出される。溶剤バルブ43が開かれるときに発生したパーティクルも、溶剤バルブ43を通過するIPAと共に溶剤バルブ43から排出される。
【0071】
図7Aに示すように、溶剤バルブ43が開かれた直後は、溶剤バルブ43内のパーティクルがIPAと共に溶剤バルブ43から排出される。そのため、汚染されたIPA、つまり、単位体積あたりの含有パーティクル数が多いIPAが溶剤バルブ43から先端流路62に流れる。それ以降は、清浄なIPA、つまり、単位体積あたりの含有パーティクル数が少ないIPAが溶剤バルブ43から先端流路62に流れる。したがって、溶剤バルブ43が開かれると、汚染されたIPAが、先端流路62内に流入し、これに続いて、清浄なIPAが、先端流路62内に流入する。汚染されたIPAは、後続のIPA(清浄なIPA)によって下流に押し流される。
【0072】
基板WにIPAを供給するときは、綺麗なIPAを先端流路62内に保持する初回準備工程(図6のステップS11)が行われる。
具体的には、図7Aに示すように、溶剤ノズル41が待機位置に位置しており、吸引バルブ45が閉じられた状態で、溶剤バルブ43が開かれる。これにより、供給流路61内のIPAが溶剤バルブ43を通過し、先端流路62に流入する。溶剤バルブ43が開いている間は、溶剤バルブ43を介して供給流路61から先端流路62にIPAが流れ続ける。
【0073】
図7Aに示すように、溶剤バルブ43が開かれると、単位体積あたりの含有パーティクル数が多い汚染されたIPAが、溶剤バルブ43から先端流路62に流入する。これに続いて、単位体積あたりの含有パーティクル数が少ない清浄なIPAが、溶剤バルブ43から先端流路62に流入する。汚染されたIPAは、清浄なIPAによって下流に押し流される。そのため、先端流路62においてIPAで満たされた領域が、溶剤ノズル41の吐出口41pの方に広がる。このとき、吸引バルブ45が閉じられているので、先端流路62内のIPAは、分岐流路63に流入しない、もしくは、極僅かな量のIPAしか分岐流路63に流入しない。
【0074】
図7Bに示すように、先端流路62内を流れるIPAが先端流路62の下流端62dに達すると、先端流路62内のIPAが溶剤ノズル41の吐出口41pから吐出され、待機ポット49に受け止められる。これにより、溶剤バルブ43を開いたときに先端流路62に流入した汚染されたIPAが、先端流路62から排出される。
図7Cに示すように、汚染されたIPAの全てが溶剤ノズル41の吐出口41pから吐出されると、溶剤バルブ43が閉じられる。これにより、清浄なIPAだけが先端流路62内に保持され、先端流路62内で静止する。汚染されたIPAの全てが溶剤ノズル41の吐出口41pから吐出されたか否かは、溶剤バルブ43を開いている時間に基づいて制御装置3が判断してもよいし、溶剤バルブ43を通過したIPAの流量を検出する流量計の検出値に基づいて制御装置3が判断してもよい。
【0075】
清浄なIPAが先端流路62内に保持された後は、このIPAを基板Wに供給するIPA供給工程(図6のステップS12)が行われる。図6に示すIPA供給工程(図6のステップS12)は、図5に示すIPA供給工程(図5のステップS4)に対応するものである。
具体的には、前の工程(ここでは、初回準備工程)で先端流路62に流入した清浄なIPAが先端流路62内に保持さている状態で、ノズル移動ユニット48が溶剤ノズル41を処理位置に移動させる。図7Dに示すように、その後、溶剤バルブ43が開かれる。これにより、汚染されたIPAが溶剤バルブ43から先端流路62に流入し、これに続いて、清浄なIPAが溶剤バルブ43から先端流路62に流入する。予め先端流路62内に保持されている清浄なIPAは、新たに流入したIPAによって下流に押し流される。これにより、予め先端流路62内に保持されている清浄なIPAの一部が、溶剤ノズル41の吐出口41pから基板Wに向けて吐出される。
【0076】
IPA供給工程において溶剤ノズル41の吐出口41pから吐出されるIPAの量、つまり、1枚の基板Wに供給されるIPAの量は、予め先端流路62内に保持されている清浄なIPAの量よりも少ない。したがって、図7Eに示すように、溶剤バルブ43は、先端流路62内に保持された清浄なIPAの一部が溶剤ノズル41の吐出口41pから吐出され、その残りが先端流路62に残留している状態で閉じられる。このような状態であるか否かは、溶剤バルブ43を開いている時間に基づいて制御装置3が判断してもよいし、溶剤バルブ43を通過したIPAの流量を検出する流量計の検出値に基づいて制御装置3が判断してもよい。
【0077】
図7Eに示すように、溶剤バルブ43が閉じられると、前の工程で先端流路62に流入してIPA供給工程で溶剤ノズル41の吐出口41pから吐出されなかったIPAが先端流路62内に保持される。加えて、IPA供給工程で先端流路62に流入した全てのIPAが先端流路62内に保持される。IPA供給工程で先端流路62に流入したIPAには、汚染されたIPAが含まれている。したがって、清浄なIPAだけが溶剤ノズル41の吐出口41pから吐出され、汚染されたIPAは、溶剤ノズル41の吐出口41pから吐出されずに先端流路62内に保持される。溶剤バルブ43が閉じられた後は、先端流路62の各部にIPAが保持されている状態で、ノズル移動ユニット48が溶剤ノズル41を待機位置に移動させる。
【0078】
IPA供給工程(図6のステップS12)で溶剤ノズル41の吐出口41pからのIPAの吐出が停止された後に、引き続き同じ処理ユニット2で次の基板WにIPAを供給する場合(図6のステップS13でYes)は、汚染されたIPAを先端流路62から排出し、綺麗なIPAを先端流路62内に保持する排出工程(図6のステップS14)が行われる。
【0079】
具体的には、溶剤バルブ43が閉じられた後、先端流路62の各部にIPAが保持されている状態で、溶剤バルブ43が開かれる。これにより、図7Fに示すように、汚染されたIPAが溶剤バルブ43から先端流路62に流入し、これに続いて、清浄なIPAが溶剤バルブ43から先端流路62に流入する。予め先端流路62内に保持されているIPA、すなわち、前の工程(ここでは、初回準備工程)で先端流路62に流入してIPA供給工程で溶剤ノズル41の吐出口41pから吐出されずに先端流路62に残ったIPAと、IPA供給工程で先端流路62に流入した全てのIPAとが、新たに流入したIPAによって溶剤ノズル41の吐出口41pの方に押し流される。
【0080】
予め先端流路62内に保持されている全てのIPAは、溶剤ノズル41の吐出口41pから待機ポット49に向けて吐出される。さらに、排出工程で先端流路62に流入した汚染されたIPAも、溶剤ノズル41の吐出口41pから待機ポット49に向けて吐出される。したがって、先端流路62は清浄なIPAだけで満たされる。その後、この状態で溶剤バルブ43が閉じられる。これにより、図7Gに示すように、清浄なIPAだけが先端流路62内に保持され、先端流路62内で静止する。
【0081】
汚染されたIPAを先端流路62から排出した後に、次の基板WにIPAを供給するとき、つまり、次の基板Wに対するIPA供給工程を行うときは、排出工程が終了してから次の基板Wに対するIPA供給工程が開始されるまでの時間(滞在時間)が所定時間を超えたか否かを判定する滞在時間判定工程が行われる(図6のステップS15)。
滞在時間が所定時間を超えていない場合(図6のステップS15でNo)は、次の基板Wに対するIPA供給工程が実行される(図6のステップS12に戻る)。その後、引き続き同じ処理ユニット2で次の基板WにIPAを供給する場合(図6のステップS13でYes)は、再び、排出工程(図6のステップS14)およびIPA供給工程(図6のステップS12)が実行される。つまり、初回準備工程を行った後は、IPA供給工程から排出工程までの1つのサイクルを基板Wの枚数分だけ繰り返す。これにより、清浄なIPAが複数枚の基板Wに供給され、これらの基板Wが処理される。
【0082】
その一方で、滞在時間が所定時間を超えている場合、つまり、排出工程が終了してから次の基板Wに対するIPA供給工程が開始されるまでの時間が長い場合(図6のステップS15でYes)は、初回準備工程と同様の処理液置換工程が行われる(図6のステップS16)。これにより、先端流路62内に保持されている全てのIPAが、清浄な新しいIPAで置換される。その後、次の基板Wに対するIPA供給工程が実行される(図6のステップS12に戻る)。これにより、安定した品質のIPAを次の基板Wに供給することができる。
【0083】
また、引き続き同じ処理ユニット2で次の基板WにIPAを供給しない場合、つまり、同じ処理ユニット2での基板Wの処理を終了する場合(図6のステップS13でNo)は、先端流路62内に保持されているIPAを分岐流路63に吸引することにより、溶剤ノズル41の吐出口41pおよびその近傍を空にするサックバック工程(図6のステップS17)が行われる。
【0084】
具体的には、図7Hに示すように、溶剤バルブ43が閉じられた状態で吸引バルブ45が開かれる。吸引バルブ45が開かれると、吸引装置46の吸引力が分岐流路63および分岐位置P1を通じて先端流路62に伝達される。これにより、空気が溶剤ノズル41の吐出口41pを通じて下流部62bに吸引されながら、IPAが分岐位置P1を通じて下流部62bから分岐流路63に吸引される。その一方で、溶剤バルブ43が閉じられているので、上流部62aに保持されている全てまたは殆ど全てのIPAは、分岐流路63に吸引されずその場(上流部62a)に残る。
【0085】
図7Iに示すように、下流部62b内のIPAが分岐流路63に吸引され、下流部62bが空になると、吸引バルブ45が閉じられる。下流部62bが空になったか否かは、吸引バルブ45を開いている時間に基づいて制御装置3が判断してもよいし、吸引バルブ45を通過したIPAの流量を検出する流量計の検出値に基づいて制御装置3が判断してもよい。吸引バルブ45が閉じられた後は、次の基板Wに対する初回準備工程を開始するまでこの状態が維持される。
【0086】
第2処理例
次に、基板WにIPAを供給する前から、基板WにIPAを供給した後までの流れの一例(第2処理例)について説明する。
図8は、第2処理例について説明するためのフロチャートである。図9A図9Bは、図8に示す第2処理例が行われているときの流路内の状態を示す模式的な断面図である。図9A図9Bでは、開いているバルブを黒色で示しており、閉じているバルブを白色で示している。
【0087】
以下では、図1および図2を参照する。図8および図9A図9Bについては適宜参照する。以下の動作は、制御装置3が基板処理装置1を制御することにより実行される。
第2処理例における初回準備工程(図8のステップS21)からIPA供給工程(図8のステップS22)までの流れは、第1処理例と同様であるので、以下では、初回準備工程およびIPA供給工程が行われた後の流れについて説明する。
【0088】
IPA供給工程(図8のステップS22)で溶剤ノズル41の吐出口41pからのIPAの吐出が停止された後に、引き続き同じ処理ユニット2で次の基板WにIPAを供給する場合(図8のステップS23でYes)は、汚染されたIPAを先端流路62から排出し、綺麗なIPAを先端流路62内に保持する排出工程(図8のステップS24)が行われる。
【0089】
具体的には、溶剤バルブ43が閉じられており、先端流路62の各部にIPAが保持されている状態で、吸引バルブ45が開かれる。吸引バルブ45は、溶剤ノズル41が待機位置または処理位置に位置しているときに開かれてもよいし、待機位置と処理位置との間に位置しているときに開かれてもよい。吸引バルブ45が開かれると、吸引装置46の吸引力が分岐流路63および分岐位置P1を通じて先端流路62に伝達される。これにより、図9Aに示すように、空気が溶剤ノズル41の吐出口41pを通じて下流部62bに吸引されながら、IPAが分岐位置P1を通じて下流部62bから分岐流路63に吸引される。その一方で、溶剤バルブ43が閉じられているので、上流部62aに保持されている全てまたは殆ど全てのIPAは、分岐流路63に吸引されずその場(上流部62a)に残る。
【0090】
IPA供給工程(図8のステップS22)で先端流路62に流入した汚染されたIPAは、先端流路62の上流部62aではなく、先端流路62の下流部62bに保持される(図7E参照)。言い換えると、IPA供給工程で溶剤ノズル41の吐出口41pから吐出されるIPAの量と、先端流路62および分岐流路63が接続された分岐位置P1とは、汚染されたIPAが先端流路62の下流部62bに保持されるように設定されている。したがって、図9Aに示すように、吸引バルブ45が開かれると、下流部62bに保持されている汚染されたIPAが分岐流路63に排出される。その一方で、清浄なIPAだけが、上流部62aに保持される。
【0091】
図9Bに示すように、吸引バルブ45は、下流部62bに保持されている汚染されたIPAの全てが分岐流路63に排出された後に閉じられる。汚染されたIPAの全てが分岐流路63に排出されるのであれば、吸引バルブ45は、下流部62bの全体が空になる前に閉じられてもよい。汚染されたIPAの全てが分岐流路63に排出されたか否かは、吸引バルブ45を開いている時間に基づいて制御装置3が判断してもよいし、吸引バルブ45を通過したIPAの流量を検出する流量計の検出値に基づいて制御装置3が判断してもよい。
【0092】
汚染されたIPAを先端流路62から排出した後に、次の基板WにIPAを供給するとき、つまり、次の基板Wに対するIPA供給工程を行うときは、排出工程(図8のステップS24)が終了してから次の基板Wに対するIPA供給工程(図8のステップS22)が開始されるまでの時間(滞在時間)が所定時間を超えたか否かを判定する滞在時間判定工程が行われる(図8のステップS25)。
【0093】
滞在時間が所定時間を超えていない場合(図8のステップS25でNo)は、次の基板Wに対するIPA供給工程が実行される(図8のステップS22に戻る)。滞在時間が所定時間を超えている場合(図8のステップS25でYes)は、第1処理例と同様の処理液置換工程が行われる(図8のステップS26)。その後、次の基板Wに対するIPA供給工程が実行される(図8のステップS22に戻る)。
【0094】
また、引き続き同じ処理ユニット2で次の基板WにIPAを供給しない場合、つまり、同じ処理ユニット2での基板Wの処理を終了する場合(図8のステップS23でNo)は、第1処理例と同様のサックバック工程が行われる(図8のステップS27)。その後、次の基板Wに対する初回準備工程(図8のステップS21)を開始するまでこの状態が維持される。
【0095】
以上のように本実施形態では、IPAを基板Wに供給する前に溶剤バルブ43が開かれる。これにより、溶剤バルブ43内で発生したパーティクルで汚染されたIPAが、溶剤バルブ43から先端流路62に流入する。これに続いて、含有パーティクルが少ない清浄なIPAが、溶剤バルブ43から先端流路62に流入する。つまり、汚染されたIPAが溶剤バルブ43を最初に通過し、これに続いて、清浄なIPAが溶剤バルブ43を通過する。
【0096】
汚染されたIPAは、清浄なIPAによって下流に押し流される。先端流路62内を流れるIPAが先端流路62の下流端62dに達すると、先端流路62内のIPAが溶剤ノズル41の吐出口41pから吐出される。これにより、溶剤バルブ43を開いたときに先端流路62に流入した汚染されたIPAが、先端流路62から排出される。汚染されたIPAが溶剤ノズル41の吐出口41pから吐出された後は、溶剤バルブ43が閉じられる。これにより、清浄なIPAが先端流路62内に保持され、先端流路62内で静止する。
【0097】
その後、溶剤バルブ43が再び開かれる。先端流路62内に保持されている清浄なIPAは、新たに流入したIPAによって下流に押し流され、溶剤ノズル41の吐出口41pから基板Wに向けて吐出される。これにより、清浄なIPAが基板Wに供給される。その後、溶剤バルブ43が閉じられ、溶剤ノズル41の吐出口41pからのIPAの吐出が停止される。それと同時に、新たに流入したIPAの全てが先端流路62内に保持される。
【0098】
このように、綺麗なIPAが先端流路62内に保持された状態で溶剤バルブ43を開き、このIPAを基板Wに向けて吐出する。その後、溶剤バルブ43を通過した全てのIPAを先端流路62内に保持する。溶剤バルブ43を通過したIPAには、汚染されたIPAも含まれている。したがって、汚染されたIPAが溶剤ノズル41の吐出口41pから吐出されることを回避しながら、清浄なIPAだけを溶剤ノズル41の吐出口41pから吐出させることができる。これにより、基板Wに供給されるIPAに含まれるパーティクルが減少するので、乾燥後の基板Wの清浄度を高めることができる。
【0099】
本実施形態では、溶剤ノズル41の吐出口41pから吐出されたIPAが付着している基板Wを乾燥させる。溶剤ノズル41の吐出口41pから吐出されたIPAは、含有パーティクルが少ない清浄なIPAである。したがって、基板Wに保持されているパーティクルが少ない状態で基板Wを乾燥させることができる。これにより、乾燥後の基板Wに残留するパーティクルを減らすことができ、乾燥後の基板Wの清浄度を高めることができる。
【0100】
本実施形態では、基板Wに向けてIPAを吐出するときに溶剤バルブ43を最初に通過し、IPAの吐出を停止したときに先端流路62内に保持されたIPAが、先端流路62から排出される。つまり、汚染されたIPAが先端流路62から排出される。したがって、先端流路62内に保持されているIPAを次の基板Wに供給するときに、汚染されたIPAが基板Wに向けて吐出されることを防止できる。これにより、複数枚の基板Wを処理するときに、各基板Wの清浄度を高めることができる。
【0101】
本実施形態では、同じIPAが先端流路62内に長時間保持された場合、溶剤バルブ43が開かれ、新たなIPAが先端流路62内に供給される。これにより、古いIPAが新しいIPAによって下流に押され、先端流路62から排出される。その後、溶剤バルブ43を最初に通過したIPA以外のIPA、つまり、綺麗なIPAが先端流路62内に保持される。
【0102】
IPAの性質は、時間の経過に伴って変化する場合がある。先端流路62内に滞在している時間が短ければ無視できる程度の変化しか発生しないが、先端流路62内に滞在している時間が長いと、処理の結果に影響を及ぼし得る性質の変化が発生するかもしれない。したがって、古いIPAを新しい綺麗なIPAで置換することにより、複数枚の基板Wにおける品質のばらつきを抑えることができる。
【0103】
本実施形態の第1処理例では、先端流路62内に保持されているIPAを排出するために、基板WへのIPAの供給が停止された後に、溶剤バルブ43が開かれ、新たなIPAが先端流路62に供給される。基板WへのIPAの供給を停止したときに先端流路62内に保持された全てのIPAは、新たなIPAによって下流に押し流され、溶剤ノズル41の吐出口41pから吐出される。これにより、基板WへのIPAの供給を停止したときに先端流路62内に保持された汚染されたIPAを先端流路62から排出することができる。
【0104】
さらに、溶剤バルブ43を開いたときに先端流路62に流入した汚染されたIPAも、溶剤ノズル41の吐出口41pから吐出される。その後、溶剤バルブ43が閉じられ、綺麗なIPAが先端流路62内に保持される。したがって、次の基板Wに綺麗なIPAを供給することができる。さらに、先端流路62の各部にIPAが保持されるので、先端流路62の一部だけにIPAを保持する場合と比較して、次の基板Wに供給できるIPAの量を増やすことができる。
【0105】
本実施形態の第2処理例では、先端流路62内に保持されているIPAを排出するために、基板WへのIPAの供給が停止された後に、溶剤バルブ43が閉じた状態で吸引バルブ45が開かれる。これにより、吸引力が分岐流路63を介して先端流路62に伝達され、先端流路62の下流部62bから分岐流路63にIPAが吸引される。その一方で、溶剤バルブ43が閉じられているので、先端流路62の上流部62aに保持されているIPAはその場(上流部62a)に残る。
【0106】
基板Wに向けてIPAを吐出するときに先端流路62に流入した汚染されたIPAは、先端流路62の下流部62bに保持されている。したがって、先端流路62の下流部62bから分岐流路63にIPAを吸引することにより、綺麗なIPAを先端流路62を残しながら、汚染されたIPAを先端流路62から排出できる。これにより、次の基板Wに綺麗なIPAを供給できる。さらに、先端流路62の下流部62bから分岐流路63にIPAを逆流させると、溶剤ノズル41の吐出口41pの上流の位置から溶剤ノズル41の吐出口41pまでの範囲が空になるので、IPAが意図せず溶剤ノズル41の吐出口41pから落下する現象(いわゆる、ボタ落ち)を防止できる。
【0107】
他の実施形態
本発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
たとえば、制御装置3は、薬液やリンス液などのIPA以外の処理液を基板Wに供給するときに、第1処理例または第2処理例を行ってもよい。つまり、第1処理例および第2処理例が行われる処理液は、基板Wを乾燥させるときに基板Wに付着している処理液以外の処理液であってもよい。
【0108】
IPAの経時変化が基板Wの品質に与える影響が無視できる程度であれば、制御装置3は、第1処理例および第2処理例において、処理液置換工程(図6のステップS16および図8のステップS26)を省略してもよい。
制御装置3は、第1処理例の排出工程(図6のステップS14)を行った後に、第1処理例のIPA供給工程(図6のステップS12)と第2処理例の排出工程(図8のステップS24)とを行ってもよい。これとは反対に、制御装置3は、第2処理例の排出工程(図8のステップS24)を行った後に、第2処理例のIPA供給工程(図8のステップS22)と第1処理例の排出工程(図6のステップS14)とを行ってもよい。
【0109】
第1処理例の初回準備工程(図6のステップS11)および第2処理例の初回準備工程(図8のステップS21)において、IPAは、先端流路62だけではなく、先端流路62および分岐流路63の両方に保持されてもよい。この場合、溶剤バルブ43および吸引バルブ45の両方を開けばよい。
溶剤ノズル41の吐出口41pから分岐流路63の下流端63dまでがIPAで満たされており、分岐流路63の下流端63dが溶剤ノズル41の吐出口41pよりも下方に配置されている場合、吸引バルブ45を開くと、先端流路62の下流部62b内のIPAが、サイフォンの原理により分岐流路63の方に吸引される。したがって、先端流路62および分岐流路63の両方にIPAを保持させる場合は、吸引装置46を用いずに下流部62b内のIPAを分岐流路63の方に吸引してもよい。
【0110】
制御装置3は、第1処理例の排出工程(図6のステップS14)において、溶剤バルブ43が開いた状態で溶剤バルブ43の開度の増加および減少を複数回行うことにより、溶剤バルブ43を通過するIPAの流量を変化させる流量変更工程を行ってもよい。この場合、溶剤バルブ43を通過するIPAの流量が変化し、溶剤バルブ43に付着しているパーティクルに加わる液圧が変化する。これにより、溶剤バルブ43からパーティクルを効果的に剥がすことができ、溶剤バルブ43を通過するIPAの清浄度を高めることができる。
【0111】
IPA供給工程(図6のステップS12および図8のステップS22)を行う前に、先端流路62内に保持される清浄なIPAの量は、1枚の基板Wに供給されるIPAの量を超え、2枚の基板Wに供給されるIPAの量以下の量であってもよいし、2枚の基板Wに供給されるIPAの量を超える量であってもよい。後者の場合、IPA供給工程を行う度に排出工程(図6のステップS14および図8のステップS24)を行わなくてもよい。
【0112】
1枚の基板Wに供給されるIPAの量は、1枚の基板Wに供給される薬液の量よりも少なくてもよい。基板Wの直径が300mmである場合、1枚の基板Wに供給されるIPAの量は、0を超える10ml未満の量(たとえば、8ml)であってもよい。もちろん、これ以上のIPAが基板Wに供給されてもよい。
溶剤ノズル41は、水平に移動可能なスキャンノズルに限らず、チャンバー4の隔壁5に対して固定された固定ノズルであってもよいし、基板Wの上方に配置されていてもよい。
【0113】
基板処理装置1は、円板状の基板Wを処理する装置に限らず、多角形の基板Wを処理する装置であってもよい。
前述の全ての構成の2つ以上が組み合わされてもよい。前述の全ての工程の2つ以上が組み合わされてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0114】
1 :基板処理装置
2 :処理ユニット
3 :制御装置
8 :スピンチャック(基板保持手段)
12 :スピンモータ(乾燥手段)
41 :溶剤ノズル
41p :吐出口
42 :溶剤配管
43 :溶剤バルブ(吐出バルブ)
44 :吸引配管
45 :吸引バルブ
46 :吸引装置
49 :待機ポット
51 :バルブボディ
52 :内部流路
53 :弁座
54 :弁体
55 :バルブアクチュエータ(電動アクチュエータ)
61 :供給流路
62 :先端流路
62a :上流部
62b :下流部
62u :上流端
62d :下流端
63 :分岐流路
64 :吸引流路
P1 :分岐位置
W :基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図7D
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図7F
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図7I
図8
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図9B