特許第6986951号(P6986951)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986951
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】無段差開放操作部
(51)【国際特許分類】
   E05B 85/16 20140101AFI20211213BHJP
   E05B 85/02 20140101ALI20211213BHJP
   E05B 79/06 20140101ALI20211213BHJP
   E05B 81/42 20140101ALI20211213BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   E05B85/16 D
   E05B85/02
   E05B79/06 C
   E05B81/42
   B60J5/04 H
【請求項の数】23
【外国語出願】
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2017-241794(P2017-241794)
(22)【出願日】2017年12月18日
(65)【公開番号】特開2018-168689(P2018-168689A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2020年10月28日
(31)【優先権主張番号】1670770
(32)【優先日】2016年12月20日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507063735
【氏名又は名称】アクウェル
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コウト マクイラ デルミーロ ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】ディエス エステベス アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ロドリゲス フリオ
【審査官】 野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】 仏国特許出願公開第03023865(FR,A1)
【文献】 仏国特許出願公開第03024173(FR,A1)
【文献】 特開2014−095251(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0000167(US,A1)
【文献】 国際公開第2006/010649(WO,A1)
【文献】 特開2015−090028(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102011001001(DE,A1)
【文献】 実開昭58−121958(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 85/16
E05B 85/02
E05B 79/06
E05B 81/42
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアなどの自動車のドアリーフ(70)のための、前記ドアリーフ(70)に固定されることが意図されるケーシング(50)と、使用者によって把持されるように構成されたハンドル(60)とを備えるタイプの開放操作部(10)であって、前記ハンドル(60)が、前記ケーシング(50)に対して、少なくとも
・前記ハンドル(60)が前記ケーシング(50)内に全体的にまたは部分的に収容される無段差位置、
・前記使用者が前記ハンドル(60)を把持し前記ドアリーフ(70)を開けることができるように、前記ハンドル(60)が前記ケーシング(50)から少なくとも部分的に突出している突出位置、
・前記ハンドル(60)によって前記ドアリーフ(70)が解錠されている開放位置、
の間で回動移動可能であり、
前記開放操作部(10)が、少なくとも1つの回動の軸(80)によって前記ハンドル(60)に連結された、前記ハンドル(60)を突出させるためのレバー(100)と、前記軸(80)周りに前記レバー(100)を回動させるための回動手段(450)と、前記レバー(100)を前記ハンドル(60)の少なくとも1つのブロック位置と突出位置との間で電気的に変位させるように前記回動手段(450)に連結された電気アクチュエータ(30)とをさらに備える、開放操作部(10)において、
前記開放操作部(10)が、前記レバー(100)に連結された付勢部材(40)であって、回動の突出方向に従って前記レバー(100)をブロック位置からその突出位置に向かって自動的に戻すように構成された付勢部材(40)と、前記レバー(100)をそのブロック位置にブロックするための手段(300)とを備えること、および、前記回動の突出方向とは反対の方向に前記レバー(100)を回動駆動するように前記ハンドル(60)をその無段差位置から押すことによる機械的作動と、前記電気アクチュエータ(30)による前記回動手段(450)の電気的作動との両方によって、前記ブロック手段(300)から前記レバー(100)を解放し、前記突出位置に前記レバー(100)を自動的に戻すように、前記レバー(100)と前記回動手段(450)とが機械的に協働することが可能であることと、を特徴とする開放操作部(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の開放操作部(10)であって、前記電気アクチュエータ(30)により前記回動手段を電気的に作動させることによって、前記レバー(100)の任意の位置から、前記レバー(100)を前記突出方向に、または前記突出とは逆の方向に変位させるように、前記レバー(100)と前記回動手段(450)とが機械的に協働することが可能であることを特徴とする開放操作部(10)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の開放操作部であって、前記レバー(100)が、解放可能な機械的連結によって前記回動手段(450)と協働するように配置された、前記ブロック手段(300)を駆動するための駆動部材(150)であって、前記ブロック手段(300)を前記レバー(100)の係合解除位置に駆動するように配置された、前記ブロック手段(300)を駆動するための駆動部材(150)を備えることを特徴とする開放操作部。
【請求項4】
請求項3に記載の開放操作部(10)であって、前記駆動部材(150)が、前記レバー(100)に連結されたヘッド(152)に回動可能に取り付けられたトグル(150)であって、前記回動手段(450)との機械的協働によって生じる可能性が高い傾斜によって、前記ブロック手段(300)を駆動するように配置されたトグル(150)を備えることを特徴とする開放操作部(10)。
【請求項5】
請求項3または4に記載の開放操作部であって、前記回動手段(450)が、カム軸(452)周りに前記ケーシング(50)に対して回転移動可能な突出カム(450a)を備え、前記突出カム(450a)が、前記駆動部材(150)を前記突出カム(450a)に当てて案内することによって前記レバー(100)と解放可能に協働するように構成された案内面を有することを特徴とする開放操作部。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の開放操作部(10)であって、前記突出レバー(100)と前記ハンドル(60)が、前記ハンドル(60)を前記突出レバー(100)に向かって戻すための力を加えることができるハンドル戻しばね(160)によって連結されていることを特徴とする開放操作部(10)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の開放操作部(10)であって、前記レバー(100)の前記ブロック手段(300)が、弾性戻りを受ける突出レバーつめ(320)を備え、前記弾性戻りによって、前記突出レバーつめ(320)が前記レバー(100)の係合位置に押しやられることを特徴とする開放操作部(10)。
【請求項8】
請求項7に記載の開放操作部(10)であって、前記レバーつめ(320)の戻り力に対抗して前記レバー(100)の解放位置に前記レバーつめ(320)を保持するように構成された、前記レバーつめ(320)を保持するためのレバー(340)を備えることを特徴とする開放操作部(10)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の開放操作部であって、弾性戻りを受ける、前記ハンドル(60)をブロックするためのつめ(330)を備え、前記弾性戻りによって、前記つめ(330)が前記ハンドル(60)の係合位置に押しやられることを特徴とする開放操作部。
【請求項10】
請求項7または8と組み合わされた請求項9に記載の開放操作部(10)であって、前記ブロックつめ(330)が前記ハンドル(60)と係合しない間に、前記レバーつめ(320)が前記レバー(100)をブロックすることができるように、前記つめ(320、330)が共通の軸上に配置されることを特徴とする開放操作部(10)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の開放操作部(10)であって、前記レバー(100)と前記回動手段(450)が、ブロックされた無段差ハンドルに対応する状態(M0)、ブロック解除無段差ハンドルに対応する状態(S)、および突出したハンドルに対応する突出状態(M1)を採用することができ、1つの状態から別の状態への切替えが、電気的作動および/または機械的作動によって実現可能であることを特徴とする開放操作部(10)。
【請求項12】
請求項11に記載の開放操作部(10)であって、前記レバー(100)の前記回動手段(450)の状態(M0、M1、S)に関する情報を検出するための手段と、前記情報を前記電気アクチュエータ(30)に送信するための手段とを備えることを特徴とする開放操作部(10)。
【請求項13】
請求項11または12に記載の開放操作部(10)であって、前記レバー(100)および前記回動手段(450)が、前記ブロックされた無段差ハンドル状態(M0)では機械的結合がクラッチ解除され、前記ブロック解除無段差ハンドル状態(S)では機械的結合がクラッチ結合されるように動作する、機械的結合をクラッチ解除する手段(450a、150)を備えることを特徴とする開放操作部(10)。
【請求項14】
請求項13に記載の開放操作部(10)であって、前記機械的結合をクラッチ解除する手段が、前記レバー(100)の駆動部材(150)および突出カム(450a)を備え、前記ブロックされた無段差ハンドル状態(M0)では、前記ハンドル(60)を押すことによる前記レバーの係合解除を防止するために、前記駆動部材(150)と前記カム(450a)とが互いに充分に離間しており、前記ブロック解除無段差状態(S)では、前記ハンドル(60)を押すことによる前記レバーの係合解除を可能にするために前記駆動部材(150)と前記カム(450a)とが互いに充分に近くにあることを特徴とする開放操作部(10)。
【請求項15】
請求項11から14のいずれか1項に記載の開放操作部(10)であって、前記自動車の速度を表すデータを受け取るための手段(430)を備え、それにより、前記データが所定値よりも高いとき、前記開放操作部(10)が、ブロックされた無段差ハンドル状態になることを特徴とする開放操作部(10)。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載の開放操作部(10)であって、前記回動手段(450)が、カム軸(452)周りに移動可能な引き込みカム(450b)を備え、前記引き込みカム(450b)が、電気的動作モードにおいて前記突出位置から前記ブロック位置に前記レバー(100)を回動させるように構成された案内面を有することを特徴とする開放操作部(10)。
【請求項17】
請求項16に記載の開放操作部(10)であって、前記引き込みカム(450b)の前記案内面が、引き込み方向とは逆の方向に前記引き込みカム(450b)を電気的に作動させることによって、前記突出位置への前記レバー(100)の自動的な戻りに対する障害物に対抗して前記ハンドル(60)の突出を強制的に案内するように構成されていることを特徴とする開放操作部(10)。
【請求項18】
請求項16または17に記載の開放操作部(10)であって、前記レバー(100)が、前記引き込みカム(450b)と協働するように構成された内部輪郭(180)およびカム(172)を備えることを特徴とする開放操作部(10)。
【請求項19】
請求項1から10、12から18のいずれか1項と組み合わされた請求項11に記載の開放操作部であって、前記回動手段(450)が、カム軸(452)周りに移動可能な、前記アクチュエータ(30)に連結されたクラッチカム(450c)を備え、前記クラッチカム(450c)が、ブロックされた無段差状態(M0)からブロック解除無段差状態(S)に前記レバー(100)を位置付けるために前記レバー(100)の内部輪郭(160)と協働するように形状設定された案内面を有することを特徴とする開放操作部。
【請求項20】
請求項19に記載の開放操作部(10)であって、前記ブロック位置から前記突出位置への前記レバー(100)の戻り移動を制御するために前記クラッチカム(450c)が前記内部輪郭(160)と協働するように、前記レバー(100)の前記内部輪郭(160)が形状設定されていることを特徴とする開放操作部(10)。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか1項に記載の開放操作部(10)であって、前記レバー(100)が、前記ハンドル(60)の内部部分(60b)の上面(62)および下面(64)にそれぞれ支承されることが意図される上側横枝(120)および下側横枝(130)によって互いに連結された2つの横方向チークを備え、前記チーク(110a、110b)が、前記回動手段(450)を通すための開口部(112a、112b)を備えることを特徴とする開放操作部(10)。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか1項に記載の開放操作部(10)であって、前記開放操作部(10)がラッチされていて電気エネルギーがないときに、前記回動手段(450)または前記ブロック手段(320、330)に対して外部から1つまたは複数の機械的な作動を加えることによって、前記開放操作部(10)の解錠を可能にする、ツールまたはキーなどの機械的手段(500)を備えることを特徴とする開放操作部(10)。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか1項に記載の開放操作部を含むことを特徴とする自動車のドアリーフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の開放操作機構に関する。加えて本発明は、そのような開放操作部を備える自動車のドアリーフ、例えばドアに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術では、車の車体の外表面と同じ高さの無段差位置と、突出位置との間で、ハンドルが突出するおよび引き込まれる開放制御デバイスは、ほとんど知られていない。これらの開放操作部は、「面一または無段差」開放操作部と呼ばれる。
【0003】
出願人により出願された文献、仏国特許第3023865号は、ハンドルの突出および引き込みを作動させる電気アクチュエータが設けられた、ドアの本体と同じ高さになるハンドル機構を記述している。アクチュエータは、使用者のキーまたは車両の演算器によって遠隔制御することができる。このシステムは非常に人間工学的であるが、電気的不具合の発生時には動作しない。
【0004】
同じく出願人によって出願された文献、仏国特許第3024173号では、ドアの本体と無段差となるハンドル機構が記述されている。ハンドルは、使用者がハンドルを押し込むときの動きによってドアから突出する。本体と無段差の位置への戻りも、この使用者がハンドルを引くときの動きによって機械的に行なわれる。このシステムは、電気的作動には依存しないが、前述のものほど人間工学的ではない。
【0005】
Jaguar Cars社によって出願された文献、英国特許第2492231号では、電気アクチュエータを有する開放制御デバイスが記述されている。電気的不具合の間、使用者はドアを開けるためにハンドルを傾けることができる。しかしこのデバイスは、ハンドルによってラッチが不意に解放されることを回避するために、停車位置、または事故発生時に車両のハンドルをブロックするためのいかなる部材も提供していない。加えてデバイスの機械的作動は人間工学的ではなく、好ましい動作は電気的モードである。
【0006】
アイシン精機株式会社によって出願された文献、欧州特許出願第2730730A2号では、無段差開放操作部が記述されており、そのハンドルは、ハンドルの回動変位によってモータ駆動されて動作し、突起位置においてハンドルをブロックするための手段を有する。しかし、前述のデバイスと同様に、このデバイスは、ハンドルによってラッチが不意に解除されることを回避するために、停車位置、または事故発生時に車両のハンドルをブロックするためのいかなる部材も提供していない。加えて、デバイスの機械的作動は人間工学的ではなく、好ましい動作は電気的モードである。
【0007】
文献、米国特許出願第2016/281397号では、無段差位置から突出位置までハンドルの変位を制御すること意図した引き込み可能なハンドルシステムおよび機構が記述されている。ハンドルの変位は、電気的駆動によって実現される。
【0008】
文献、米国特許出願公開第2016/0222705(A1)号は、閉鎖位置にあるときに無段差になり、開放位置にあるときに突起するように構成されたハンドル組立体を記述している。組立体は、2つの位置の間でハンドルを変位させるための電気的に制御されるアームを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】仏国特許第3023865号明細書
【特許文献2】仏国特許第3024173号明細書
【特許文献3】英国特許第2492231号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第2730730号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2016/281397号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2016/0222705号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した問題のすべてまたは一部を解決することを対象とする。
【0011】
このために、本発明の目的は、電気的にも、または手動によっても同じように突出または引き込むことができる無段差ドア開放操作部である。本発明による突出または引き込みは、手動でも電気的でも、常に使用者にとって人間工学的な態様で行なわれる。電気的作動の操作は、遠隔操作(車両のキー、携帯電話)によって実現することができる。
【0012】
本発明はさらに車の電気的不具合の発生時にドアの開放を可能にし、また、ハンドルを定位置にブロックするための手段を有し、それにより、衝撃の発生時またはドアが乱暴に閉じられたときのハンドルの突出を回避する。ブロックされたハンドル位置では、車両が駐車場に停止しているとき、悪意ある者がハンドルを引き出すことはできない。
【0013】
本発明の別の目標は、所定の値、例えば時速7キロメートルよりも速い速度で車が走行しているときに、ハンドルの突出をブロックする機能である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このために、本発明の目的は、ドアなどの自動車のドアリーフのための、ドアリーフに固定されることが意図されるケーシングと、使用者によって把持されるように構成されたハンドルとを備えるタイプの開放操作部であって、ハンドルが、ケーシングに対して、少なくとも
・ハンドルがケーシング内に全体的にまたは部分的に収容される無段差位置、
・使用者がハンドルを把持しドアリーフを開けることができるように、ハンドルがケーシングから少なくとも部分的に突起している突出位置、
・ハンドルによってドアリーフが解錠される開放位置
の間で回動移動可能であり、
開放操作部が、少なくとも1つの共通の回動の軸によってハンドルに連結された、ハンドルを突出させるためのレバーと、この軸周りにレバーを回動させるための手段と、電気的動作モードにおいて、少なくともハンドルのブロック位置と突出位置との間でレバーを電気的に変位させるように回動手段に連結された電気アクチュエータと、をさらに備える、開放操作部において、
開放操作部が、レバーに連結された付勢部材であって、突出回動方向によりレバーをそのブロック位置からその突出位置に向かって自動的に付勢するように構成された付勢部材と、レバーをそのブロック位置にブロックするための手段とを備えること、および、突出回動方向とは反対の方向にレバーを回動駆動するようにハンドルをその無段差位置から押すことによる手動動作モードと、電気アクチュエータより回動手段を電気的に回転させることによる電気的モードとの両方によって、ブロック手段からレバーを解放し、レバーをその突出位置に自動的に戻すように、レバーと回動手段とが機械的に協働することが可能であることと、を特徴とする開放操作部である。
【0015】
本発明によって、ハンドルの突出を、ハンドルに直接動きを加えることによって手動により実現することも、または例えば遠隔操作によって遠隔的な態様で電気的に実現することもできる。これは回動手段があることによって行なわれ、回動手段は、突出レバーをブロック解除しハンドルを突出させるように電気的に制御することができ、またはハンドルに機械的な動きを直接加えることによって制御することができ、それによりレバーが回動して変位し、ブロック手段から係合解除されることになる。次いでレバーは、ハンドルの突出位置に自動的に戻る。
【0016】
好ましい実施形態では、電気アクチュエータにより回動手段を電気的に作動させることによって、レバーの任意の位置から、レバーを突出方向に、または突出とは反対の方向に変位させるように、レバーと回動手段とが機械的に協働することが可能である。
【0017】
好ましい実施形態では、レバーは、解放可能な機械的連結によって回動手段と協働するように配置された、ブロック手段を駆動するための部材であって、ブロック手段をレバーの係合解除位置に駆動するように配置された、ブロック手段を駆動するための部材を備える。
【0018】
好ましい実施形態では、駆動部材は、突出レバーに連結されたヘッドに回動可能に取り付けられたトグルであって、回動手段との機械的協働によって生じる可能性が高い傾斜によって、ブロック手段を駆動するように配置されたトグルを備える。
【0019】
好ましい実施形態では、回動手段は、カム軸周りにケーシングに対して回転移動可能な突出カムを備え、突出カムは、駆動部材を突出カムに当てて案内することによってレバーと解放可能に協働するように構成された案内面を有する。
【0020】
好ましい実施形態では、突出レバーとハンドルは、ハンドルを突出レバーに向かって戻すための力を加えることができるハンドル戻しばねによって連結される。
【0021】
好ましい実施形態では、レバーのブロック手段は、弾性戻りを受ける突出レバーつめを備え、弾性戻りによって、突出レバーつめがレバーの係合位置に押しやられる。
【0022】
好ましい実施形態では、開放操作部は、レバーつめの戻り力に対抗してレバーの解放位置にレバーつめを保持するように構成された、レバーつめを保持するためのレバーを備える。
【0023】
好ましい実施形態では、開放操作部は、弾性戻りを受ける、ハンドルをブロックするためのつめを備え、弾性戻りによってそのつめがハンドルの係合位置に押しやられる。
【0024】
好ましい実施形態では、ブロックつめがハンドルと係合しない間に、レバーつめがレバーをブロックすることができるように、つめが共通軸上に配置される。
【0025】
好ましい実施形態では、レバーと回動手段は、ブロックされた無段差ハンドルに対応する状態、ブロック解除無段差ハンドルに対応する状態、および突出したハンドルに対応する突出状態を採用することができ、1つの状態から別の状態への切替えは、電気的作動および/または機械的作動によって実現可能である。
【0026】
好ましい実施形態では、開放操作部は、レバーの回動手段の構成に関する情報を検出するための手段と、情報を電気アクチュエータに送信するための手段とを備える。
【0027】
好ましい実施形態では、レバーおよび回動手段は、ブロックされた無段差ハンドル状態では機械的結合がクラッチ解除され、ブロック解除無段差ハンドル状態では機械的結合がクラッチ結合されるように動作する、機械的結合をクラッチ解除する手段を備える。
【0028】
好ましい実施形態では、機械的結合をクラッチ解除する手段は、レバーの駆動部材および突出カムを備え、ブロックされた無段差ハンドル状態では、ハンドルを押すことによるレバーの係合解除を防止するために部材とカムとが互いに充分に離間しており、ブロック解除無段差状態では、ハンドルを押すことによるレバーの係合解除を可能にするために部材とカムとが互いに充分に近くにある。
【0029】
好ましい実施形態では、開放操作部は、自動車の速度を表すデータを受け取るための手段を備え、それにより、データが所定値よりも高いとき、開放操作部は、ブロックされた無段差ハンドル状態になる。
【0030】
好ましい実施形態では、回動手段は、カム軸周りに移動可能な引き込みカムを備え、引き込みカムは、電気的動作モードにおいて突出位置からブロック位置にレバーを回動させるように構成された案内面を有する。
【0031】
好ましい実施形態では、引き込みカムの前記案内面は、引き込み方向とは逆の方向に引き込みカムを電気的に作動させることによって、突出位置へのレバーの自動的な戻りに対する障害物に対抗してハンドルの突出を強制的に案内するように構成されている。
【0032】
好ましい実施形態では、レバーは、引き込みカムと協働するように構成された内部輪郭およびカムを備える。
【0033】
好ましい実施形態では、回動手段は、カム軸周りに移動可能な、アクチュエータに連結されたクラッチカムを備え、クラッチカムは、ブロックされた無段差状態からブロック解除無段差状態にレバーを位置付けるためにレバーの内部輪郭と協働するように形状設定された案内面を有する。
【0034】
好ましい実施形態では、ブロック位置から突出位置へのレバーの戻り移動を制御するためにクラッチカムが内部輪郭と協働するように、レバーのこの内部輪郭が形状設定されている。
【0035】
好ましい実施形態では、レバーは、ハンドルの内部部分の上面および下面にそれぞれ支承されることが意図される上側横枝および下側横枝によって互いに連結された2つの横方向チークを備え、チークは、回動手段を通すための開口部を備える。
【0036】
好ましい実施形態では、開放操作部がラッチされていて電気エネルギーがないときに、回動手段またはブロック手段に対して外部から1回または複数回の機械的な作動を加えることによって、開放操作部の解錠を可能にする、ツールまたはキーなどの機械的手段を備える。
【0037】
本発明の別の目的は、本発明による開放操作部を含む自動車のドアリーフである。
【0038】
本発明に他の特徴および利点は、添付図面を参照しながら示される以下の記述に鑑み、明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】機械的部分および電気的部分を備える本発明による開放操作部の斜視図である。
図2】機械的部分と電気的部分が互いに分離した、図1の開放操作部の斜視図である。
図3A】本発明による開放操作部のハンドルの1つの位置を示す図である。
図3B】本発明による開放操作部のハンドルの1つの位置を示す図である。
図3C】本発明による開放操作部のハンドルの1つの位置を示す図である。
図3D】本発明による開放操作部のハンドルの1つの位置を示す図である。
図4】本発明の開放操作部の異なる動作状態の概略図である。
図5図1の開放操作部の機械的部分の分解斜視図である。
図6図1の開放操作部の内部、外部、および突出レバーの斜視図である。
図7図6の突出レバーの斜視図である。
図8図7の突出レバーの上面図である。
図9図8の断面線IX−IXによる突出レバーの断面図である。
図10図8の断面線X−Xによる突出レバーの断面図である。
図11図8の断面線XI−XIによる突出レバーの断面図である。
図12図1の開放操作部のケーシングの斜視図である。
図13A】本発明による開放操作部のつめ組立体の斜視図である。
図13B】本発明による開放操作部のつめ組立体の斜視図である。
図14】本発明による開放操作部のつめ組立体の斜視図である。
図15A】本発明による開放操作部のつめ組立体の斜視図である。
図15B】本発明による開放操作部のつめ組立体の斜視図である。
図16A】本発明による開放操作部のつめ組立体の斜視図である。
図16B】本発明による開放操作部のつめ組立体の斜視図である。
図17A】本発明による開放操作部の機構の斜視図である。
図17B】本発明による開放操作部の機構の斜視図である。
図18A】本発明による開放操作部の機構の斜視図である。
図18B】本発明による開放操作部の機構の斜視図である。
図19図1の開放操作部の電気的部分の分解斜視図である。
図20図19に表された電気的部分の電気機構の斜視図である。
図21図19に表された電気的部分の電気機構の斜視図である。
図22図19に表された電気的部分の電気機構の斜視図である。
図23A】本発明による開放操作部の1つの動作ステップを示す、図20図22の電気機構のカムのセットと協働する図7の突出レバーの断面図である。
図23B】本発明による開放操作部の1つの動作ステップを示す、図20図22の電気機構のカムのセットと協働する図7の突出レバーの断面図である。
図23C】本発明による開放操作部の1つの動作ステップを示す、図20図22の電気機構のカムのセットと協働する図7の突出レバーの断面図である。
図23D】本発明による開放操作部の1つの動作ステップを示す、図20図22の電気機構のカムのセットと協働する図7の突出レバーの断面図である。
図24A】本発明による開放操作部の1つの動作ステップを示す、図20図22の電気機構のカムのセットと協働する図7の突出レバーの断面図である。
図24B】本発明による開放操作部の1つの動作ステップを示す、図20図22の電気機構のカムのセットと協働する図7の突出レバーの断面図である。
図24C】本発明による開放操作部の1つの動作ステップを示す、図20図22の電気機構のカムのセットと協働する図7の突出レバーの断面図である。
図25A】本発明による開放操作部の1つの動作ステップを示す、図20図22の電気機構のカムのセットと協働する図7の突出レバーの断面図である。
図25B】本発明による開放操作部の1つの動作ステップを示す、図20図22の電気機構のカムのセットと協働する図7の突出レバーの断面図である。
図26】ブロック解除機構を示すハンドルの断面図である。
図27A】本発明による開放操作部の内部および外部レバー、ならびに電気的部分のマイクロスイッチの断面図である。
図27B】本発明による開放操作部の内部および外部レバー、ならびに電気的部分のマイクロスイッチの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1には、全体的に符号10によって参照される、本発明による開放操作部の斜視図が概略的に示される。
【0041】
開放操作部10は、機械的部分20と電気的部分30とを備える。図2では、機械的部分20と電気的部分30が互いに分離している開放操作部10が表される。開放操作部10は、電気的部分30および機械的部分20を、図1および図2に示されるように収容することを目的としたケーシング50をさらに備える。
【0042】
従来、開放操作部10は、使用者によって把持されるように構成されたハンドル60を備える。このハンドル60は、図3A図3Dに関して以下に記述されるいくつかの位置の間で、ケーシング50に対して回動するよう移動可能である。これらの図では、ハンドル60が取り得る主な位置が表される。図3A図3Dでは、自動車の本体のドア70に組み付けられた開放操作部10が表される。ケーシング50は、ドアリーフ70に固定されることが意図される。
【0043】
図3Aは、ハンドル60がケーシング50内に完全にまたは部分的に収容された、本体70と無段差位置にある、つまり開放操作部10の外表面がドアリーフ70の外表面と一致する、開放操作部10およびそのハンドル60を示す。この無段差配置は、自動車業界では知られており、車両のスタイルに価値を付加し、空気抵抗を低減させることができる。
【0044】
この無段差位置では、開放操作部10のハンドル60は、
− 「ブロックされている」、つまりハンドル60に対する機械的な動きによって、ハンドルの突出が引き起こされない、
− または、「ブロック解除されている」、かのいずれかであり、後者の場合、ハンドル60を押す動きによって、ハンドルの突出が引き起こされ、このことは以下で記述する。
【0045】
図3Bは、ドアリーフ70の内向きに押し込まれた位置にあるハンドル60を示す。ハンドル60をこのように押し込むことによって、開放操作部10がブロック解除されている場合、ハンドル60の突出を操作することができるようになる。それとは反対に、開放操作部10がブロックされているとき、ハンドル60を押してもハンドル60の突出は引き起こされない。このことは、以下で詳細に説明する。
【0046】
図3Cは、使用者に把持されて、引かれ、そしてラッチおよびドアの開放を引き起こす準備ができている「突出」位置にあるハンドル60を示す。突出位置では、ハンドル60は少なくとも部分的にケーシング50から突起しており、それにより使用者は、ハンドル60を把持し、ドアリーフ70を開放することができる。
【0047】
図3Dは、「引かれた」位置すなわち開放位置にあるハンドル60を示し、この位置は、ラッチの解除動作およびドアの開放に対応し、この位置では、ハンドル60によってドアリーフ70が解錠されている。
【0048】
さらに、開放操作部10の異なる動作状態が、図4に概略的に示される。すなわち、
− 状態M0は、ハンドル60が図3Aによる無段差位置にあり、ブロックされている状態に対応し、
− 状態Sは、ハンドル60が図3Aによる無段差位置にあり、ブロック解除さている状態に対応し、
− 状態M1は、ハンドル60が突出位置(図3C)にあるに対応し、
− 状態M2は、ドアの開放に対応する。
【0049】
矢印は、1つの状態から別の状態へ切り替えるために実行する種々の動き(引き込み−突出、ブロック−ブロック解除)を示し、これは以下で詳述する。
【0050】
ここで図5図14を参照しながら、機械的部分20をより詳細に記述する。図5は、機械的部分20の分解図である。
【0051】
図6では、ハンドル60が2つの部分、すなわち外部レバー60aおよび内部レバー60bを備えることがわかる。この図を参照すると、従来、外部レバー60aは、内部レバー60bの長さよりもはるかに長い長さを有し、これにより当業者には知られている「てこの効果」が与えられ、また把持を可能にするように構成されていることがわかる。図6に示されるように、ハンドル60は、ケーシング50に固定されたピボット軸80周りに回動可能に取り付けられる。
【0052】
本発明によれば、開放操作部10は、ハンドル60を突出させるレバー100をさらに備える。図6に示されるように、この突出レバー100は、ハンドル60のピボット軸80に取り付けられる。したがって、レバー100は、少なくとも1つの共通の回動の軸80によってハンドル60に連結される。
【0053】
突出レバー100は突出機構であり、本発明の本質的な部分を成す。突出レバー100は、ハンドル60を制御する機構からハンドル60を分離することを可能にし、それにより、電気的不具合の場合を除き、状況に応じてまたは使用者の好みに応じて、および使用者にとって常に人間工学的な態様で、機械的動作か電気的動作かを選択することが可能になり、このことは以下で記述する。開放操作部の操作および使用の容易さを確保しながら、機械的動作モードと電気的動作モードとを同じように使用することが可能であることは、本発明の主要な利点のうちの1つを成す。突出レバーの移動を制御する機構は、以下で記述する。
【0054】
ここで図7図11を参照しながら、突出レバー100について記述する。
【0055】
図7に示される例では、突出レバー100は第1チーク110aおよび第2チーク110bを有し、2つのチークは互いに平行であり、回動の軸80に垂直である。これらのチーク110は、一方の側が、内部レバー60bの上面62に当たって支承されることが意図された上側横枝120によって連結され、他方の側が、図6に示される内部レバー60bの下側支承壁64に当たって支承されることが意図された下側横枝130によって連結される。
【0056】
好ましくは、突出レバー100は、チーク110aおよび110bに配設された2つの開口部112aおよび112bも有する。これらの開口部112aおよび112bは、開放操作部10の電気的部分30のカムのセット450を通せるようにすることが意図されており、このことは、このカムのセット450と突出レバー100の協働と合わせて以下で記述する。
【0057】
突出レバー100のこの構成によって、以下で記述されるように、ブロック解除されたハンドル位置における手動または電気的な突出制御、およびブロックされたハンドル位置における突出制御のブロックを実現することが可能になる。突出レバー100のこの特定の構成は限定的なものではなく、当業者であれば、等しい機能を実現する種々の機構を想像することができるであろう。
【0058】
好ましくは、突出レバー100の下側横枝130には、弾性材料から作られた2つの防音止め部132が設けられ、防音止め部132の機能は、突出レバー100と、内部レバー60bの下側支承壁64との接触の音を抑制することである。音の抑制は、内部レバー60bを突出レバー100に向かって戻す間、特に開放位置から突出ハンドル位置に戻す間に行なわれる。
【0059】
図6は、突出レバー100とハンドル60の内部レバー60bとの間に置かれ、共通の回動の軸80を有するハンドル戻しばね160が設けられたハンドル60を示す。
【0060】
ハンドル戻しばね160は、2つの脚部および中央部分を有する。ハンドル戻しばね160の機能は、内部レバー60bと突出レバー100の接触、または戻し力、を維持することであり、つまりこれらの2つの要素60bと100の間のクリアランスを補償することである。
【0061】
ハンドル戻しばね160は、2つの事例において使用される。すなわち、
− 外部レバー60aが車の車体と無段差になるとき、および使用者が外部レバー60aをドアの内向きに押し込んで(図3B)車両の外向きへの外部レバー60aの突出を手動で操作するとき。ハンドル戻しばね160は、外部レバー60aが押されている間圧縮され、その後外部レバー60aが押された後に、突出レバー100と接触するようにハンドル60を戻す。押されたときに開放操作部がブロック解除されている場合、突出レバー100およびハンドル60の突出移動が、使用者によって加えられた押し込みの後に生じる。ハンドルが押し込まれたときに開放操作部がブロックされている場合、ハンドルは突出せずに無段差位置に戻る。
− 突出位置から外部レバー60aをドアの外向きに開放位置に向けて引いた後、使用者が外部レバー60aを手放したとき。ハンドル戻しばね160は、この場合戻しトルクを生成し、その戻しトルクは、内部レバー60bを突出レバー100に当たるように戻そうとする。
【0062】
さらに、開放操作部10は、レバー100に連結された付勢部材40をさらに備える。付勢部材40は、ハンドル60の突出位置と呼ばれる位置にレバー100を戻すように構成される。
【0063】
付勢部材40は、好ましくは、図5に示される突出レバーばね40を備え、突出レバーばね40には、2つの外部脚部および中央部分が設けられる。図12では、突出レバーばね40がケーシング50に設置されていることがわかる。2つの脚部のそれぞれは、ケーシング50の内壁にそれぞれ固定される。ばね40の中央部分は、ハンドル60を突出させるためにハンドル60の下側支承壁64に向かって突出レバー100を押すことが意図される。
【0064】
本発明によれば、開放操作部10は、共通の回動の軸80周りにレバー100を回動させるための手段450と、付勢部材40によって加えられる戻し力に対抗してレバー100をブロック位置にブロックするための手段300とをさらに備える。
【0065】
本発明によれば、レバー100がブロック手段300から解放されたとき、付勢部材40は、突出回動方向に応じてレバー100をそのブロック位置からその突出位置に向かって、自動的に戻すように構成される。
【0066】
突出レバー100は、好ましくは、ブロック手段300を駆動するための手段150をさらに備え、突出レバー100には、例えば、特に図7および図9において表されるトグル150が設けられる。駆動部材150は、解放可能な案内の機械的連結によって、回動手段450と協働するように、およびブロック手段300をレバー100の係合解除位置に駆動するように配置される。解放可能な機械的連結とは、永続的でなく、したがってブロック手段300とレバー100が、永続的な態様で機械的に協働するわけではないリンクを意味する。好ましくは、駆動部材150は、突出レバー100に連結されたヘッド152に回動可能に取り付けられたトグル150を備える。
【0067】
示される例では、トグル150は、第1アームおよび第2アームを含む回動レバーによって形成される。トグル150は、突出レバー100に連結されたヘッド152に、下側横枝130および第1チーク110aに近接して回動可能に取り付けられる。ヘッド152は、トグル150の回動の軸を成す。例えば、トグル150は、回動の軸周りに15°〜45°回ることができる。
【0068】
第2チーク110b側では、突出レバー100に、図7および図11で参照される上側輪郭160が設けられる。上側輪郭160は、上側横枝120に連結され、上側横枝を横断している。
【0069】
図10では、好ましくは突出レバー100には、上側輪郭160を横断している、共通軸80に平行なカム軸170が設けられていることがわかる。突出レバーのカム172は、カム軸170に回動可能に連結される。例えば突出レバーのカム172は、回動の軸170周りに5°〜15°回ることができる。
【0070】
この例では、突出レバー100には内部輪郭180が設けられ、内部輪郭180は、図7および図10に表されるように、下側横枝130に連結されそれを横断している。下側輪郭180および突出レバーのカム172は、図10に表される同じ平面内にある。
【0071】
図5に詳細に表されるように、ブロック手段300は、つめ機構を備える。このつめ機構には、全体的な符号300が付けられている。
【0072】
つめ機構300は、図13図15に詳細に示される。この機構300は、突出レバー100の回動の軸80に平行なつめ軸310を備える。この機構300は、弾性戻りを受ける突出レバー100の第1つめ320を備えており、その戻りによって、第1つめ320が、レバー100と係合する位置に押しやられる。
【0073】
突出レバーつめと呼ばれる第1つめ320には、第1ねじりばね322が設けられる。突出レバーつめ320の機能は、突出レバー100の回動をブロックし、したがってハンドル60の突出をブロックすることである。実際、図14に示されるように、第1つめ320は、第1つめ320が突出レバー100に係合し突出レバー100の突出をブロックする第1位置と、第1つめ320が突出レバー100ともはや係合していない第2位置との間で、変位するように配置される。
【0074】
機構300は、ハンドルブロックつめと呼ばれる第2つめ330をさらに備え、例えば第2つめ330には第2ねじりばね332が設けられる。このハンドルブロックつめ330は、弾性戻りを受け、その戻りによって、ハンドルブロックつめ330が、ハンドル60の係合位置に押しやられる。
【0075】
図15Aおよび図15Bに示されるように、第2つめ330は、つめ330が、ハンドル60の内部レバー60bと係合し、ハンドル60の突出をブロックする第1位置と、第2つめ330が、内部レバー60bともはや係合していない第2位置との間で、変位するように配置される。
【0076】
好ましくは、ブロックつめ330がハンドル60と係合していない間に、レバーつめ320がレバーをブロックすることができるように、つめ320および330は共通の軸上に配置される。
【0077】
この目的のために、ハンドルブロックつめ330には、横枝334がさらに設けられ(図13Aおよび図13B)、この横枝334が、突出レバーつめ320に当接する。第2ねじりばね332は、つめ軸310周りに巻かれ、横枝334と接触しており、図13Bにより規定される反時計回り方向に、突出レバーつめ320に向かってハンドルブロックつめ330を駆動する。
【0078】
開放操作部10は、好ましくは、つめ保持レバー340をさらに備え、つめ保持レバー340は、突出レバーつめ320に面して位置付けられ、保持レバーばね342と呼ばれる戻りばねが設けられる(図16Aまたは図16B)。このレバー340は、図16Aおよび図16Bによって詳細に示される。この保持レバー340は、レバーつめ320の戻り力に対抗してレバー100の開放位置にレバーつめ320を保持するように構成される。
【0079】
図16Bに示されるように、つめ保持レバー340は、突出レバーつめ320の反時計回り方向への回動移動をブロックし、これがひいてはハンドルブロックつめ330の移動をブロックし、したがって突出レバー100は、突出レバーつめ320と干渉することなく回動において自由に回ることができる。したがって、ハンドルブロックつめ330は、突出レバーつめ320によって、図13Bにより規定される反時計回り方向にブロックされる。
【0080】
図16Aは、つめ保持レバー340が突出レバーつめ320をブロックしていない位置を示し、この場合突出レバーつめ320は、図14の図でわかるように、突出レバー100をブロックする。突出レバーつめ320によって反時計回り方向にブロックされたハンドルブロックつめ330は、具体的には内部レバー60bをブロックすることになり(図15Bを参照)、結果的にハンドル60の回動をブロックすることになる。
【0081】
2つの別々の要素320および330を用いて回動を別々にブロックする理由が、以下に示される。
【0082】
ハンドル60のブロック位置では、ハンドルブロックつめ330は内部レバー60bに当接し、図15Bによる時計回り方向のハンドル60の回動をブロックする、つまり、ハンドルブロックつめ330は、ドアの外向きにハンドル60が突出することを防止する。
【0083】
ハンドルブロックつめ330の機能は、激しい衝撃もしくは事故の慣性作用、または例えばドアを強く閉めたときのハンドルの跳ね返りによるハンドル60の突出を防止することである。したがって、特に事故のときに、ハンドルが突出したことによってドアラッチが不意に解放されることはあり得ず、このことは、本発明によるデバイスによってもたらされる安全性に著しく寄与するものである。
【0084】
突出レバーつめ320とは別の部品であり、突出レバー320に対して回動する機能を有するハンドルブロックつめ330の具体的な機能および目的は、車両が施錠されるべきときに、使用者が手動でハンドル60を突出位置に保っている場合に、突出レバーつめ320のこの独立した回動移動によって、なおドアロックの施錠が可能になることである。したがって、突出レバーつめ320は、つめ330から独立して、突出レバー100の回動をブロックすることができ、ハンドル60が使用者の手によって保持され突出位置にあるときでも、ドアの開放がブロックされる。したがって、使用者は、もはやハンドルの回動を加えることによってドアを開けることができず、ドアの開放は、ハンドルの突起した位置とは無関係にブロックされる。
【0085】
図5A図17A図18では、伝達レバー210を備える伝達機構200がさらに表され、伝達レバー210は、伝達ばね214によって戻される伝達軸212と一体に回る。ラッチを作動させドアを開けるために、この機構のタイプにはボーデンケーブル(図示せず)が一般的に使用される。伝達軸212には、カム220が設けられる。
【0086】
ケーブルの先端は、概して伝達機構に取り付けられ、ケーブルのシースはケーシング50に固定される。共通の軸80を有するレバー60aおよび突出レバー100が突出位置にあるとき、内部レバー60bと、伝達レバー210と一体に回る伝達軸212にあるカム220との相互作用が可能である。
【0087】
レバー60aが使用者によってドア開放位置まで引かれている間、カム220の動きによって伝達レバー210が回る。伝達レバー210の回動によってボーデンケーブルが引かれ、したがってドアのラッチが開放される。本発明によれば、ボーデンケーブルを引くことは、突出レバー100が突出位置にある場合のみ可能であることに留意すべきである。
【0088】
ここで、本発明による開放操作部10の電気的部分30が、図19図22を参照しながら記述される。電気的部分30は、開放操作部10の電気アクチュエータ30を形成し、全体的な符号400によって参照される電気制御機構を備える。本発明によれば、電気アクチュエータ30はピボット手段450に連結されて、電気的動作モードにおいて、少なくともハンドルのブロック位置と突出位置との間でレバー100を電動により変位させる。
【0089】
電気的部分30はケーシング402を備え、制御機構400はケーシング402内に収容される。ケーシング402は、ねじ406によってキャップ404に連結されるが、他の機械的組立手段が使用されてもよい。好ましくは、ケーシング402およびキャップ404によって、密閉された内部空間が画定される。
【0090】
この例において、電動機構400は、コマンドホイール410、歯車412、制御ホイール414、ウォームねじ416、および伝達ホイール418を備える。コマンドホイール410は、伝達ホイールによって駆動され、ひいてはウォームねじ416によって駆動されることが意図されており、ウォームねじ416は、図19に示されるように作動モータ420によって回転可能に駆動される。
【0091】
作動モータ420は、オーバーモールドされた電気接続トラック432または他の電気的な接続手段によって電子ボード430に接続される。電子ボード430は開放操作部10の構成要素であり、車両の演算器(図示せず)に接続されている。作動モータ420は、電子ボード430によって制御される。
【0092】
コマンドホイール410は、示される図4の状態M0、S、およびM1に対応した3つの動作位置を有し、電気的に制御されたハンドルの異なる移動は、これらの3つの動作位置の間で行なわれてもよい。
【0093】
本発明の好ましい実施形態では、作動モータ420は、ウォームねじ416および伝達ホイール418によってコマンドホイール410に連結される。作動モータ420はコマンドホイール410を制御し、コマンドホイール410は、以下に記述されるカムのセット450(図20)を介して突出レバー100を位置付け、カムのセット450は、突出レバー100の内部輪郭180および外部輪郭180、ならびに突出レバーカム172とそれぞれ協働して、回動の軸80周りの突出レバー100の回動移動をもたらす。
【0094】
当業者であれば、モータと突出レバー100との間の伝達機構は、いくつかの態様(かさ歯車、遊星歯車、はすば歯車、ヒンジ連結されたレバーなど)で実現されてもよいことを理解する。さらに、本発明は、任意のタイプのリニアまたは回転電動駆動(ブラシモータ、ブラシレスモータ、ステッピングモータ、ソレノイド、圧電モータ、シリンダなど)を含んでもよい。
【0095】
車両の演算器の要求に応じて、作動モータ420は、3つの状態S、M1、M0に対応した3つの位置にコマンドホイール410を位置付けて、ハンドルの突出、引き込み、またはブロックを電気的に実現することができる。
【0096】
この動作タイプを得るために、作動モータ420は、好ましくは、適切な回転速度を得て制御された位置決めを得るために、また、使用者に心地よい音響および外観を与えるパルス幅変調(PWM)によって操作される。
【0097】
好ましくは、コマンドホイール410は、平坦部分416または任意の他の回転駆動システムによって回転可能に連結された制御ホイール414と一体に回ることができる。制御ホイール414の外面は、その円周面にわたってホイールの軸から径方向に大きく離れた部分と小さく離れた部分を有し、その円周面は、動作状態S、M0、およびM1に対応した3つの位置の指標付けを可能にする。
【0098】
本発明によれば、レバー100および回動手段450は、レバー100をブロック手段300から係合解除し、レバー100をその突出位置に自動的に戻すように、機械的に協働することができ、これらは、突出回動方向とは逆の方向の回動において突出レバー100を駆動させるようにハンドル60をその無段差位置から押すことによる手動動作モードと、電気アクチュエータ30によって回動手段450を電気的に回動させることによる電気的モードの両方で行なわれる。
【0099】
好ましくは、回動手段450は、少なくとも1つのカムを備えるカムのセット450を備える。このカムのセット450はカムピン452を備え、好ましくはそのカムピン452上に、固定された態様で、コマンドホイール410、歯車412、および制御ホイール414が取り付けられる。この例では、カムのセット450は3つのカムを含む。すなわち、
− カム軸452の端部に位置している突出カムと呼ばれる第1カム450a、
− この端部からそれぞれ徐々に離れた距離にある、引き込みカムと呼ばれる第2カム450b、および
− クラッチカムと呼ばれる第3カム450c(図20)である。
【0100】
これら3つのカム450a、450b、450cは、軸方向に分離しており、異なる形状および半径寸法を有する。カム軸452の回動によって同時に3つのカムが変位し、これが、以下で記述するように、突出レバー100に作用する。カムのセット450は、突出レバー100の開口部の全体にわたって、および内部レバー60bの全体にわたって、突出レバー100の内側に挿入されることが意図される。
【0101】
第1カム450aは、カム軸450の実質的に端部にあり、カム軸452の半径以下の半径を有する。特に図23A図23Dにおいて、第1カム450aは、トグル150および突出レバーつめ320と同じ平面にあるように意図されることがわかる。好ましくは、突出カム450aは、カム軸452周りにケーシング50に対して回動移動可能であり、駆動部材150を突出カム450aに当たるように案内することによって、レバー100と解放可能に協働するように構成された案内面を有する。
【0102】
好ましくは、レバー100および回動手段450は、機械的結合をクラッチ解除する手段を備える。記述される例では、これらの機械的結合をクラッチ解除する手段は、駆動部材150および突出カム450aを備える。これらのクラッチ解除手段により、開放操作部10は、機械的結合がクラッチ解除されたブロックされた無段差ハンドル状態M0、機械的結合がクラッチ結合されたブロック解除無段差ハンドル状態S、および突出ハンドル状態M1を採用することができる。好ましくは、1つの状態から別の状態への切替えは、電気的モードおよび/または手動モードにおいて実現される。クラッチ解除された状態では、ハンドル60を手で押す動きによってハンドルを突出させることはできない。したがって、ハンドルの突出はブロックされる。しかし、クラッチ結合された状態では、単に手で押すことによってハンドルを突出させることができる。
【0103】
したがって、好ましくは状態M0では、部材150およびカム450aは、ハンドル60が押されることによってレバー100の係合解除が生じないように、互いに充分に離間しており、ブロック解除無段差状態では、部材150およびカム450aは、ハンドル60が押されることによってレバーの係合解除を可能にするために、互いに充分に近くにある。
【0104】
この例では、引き込みカムと呼ばれる第2カム450bは、カム軸452周りに移動可能であり、電気的動作モードにおいて突出位置からブロック位置までレバー100を回動させるように構成された案内面を有する。
【0105】
さらに引き込みカム450bの案内面は、引き込み方向とは逆の方向にカム450bを電気的に作動させることによって、突出位置へのレバー100の自動的な戻りに対する障害物(例えば着氷を原因とする)に対抗してハンドル60の突出を強制的に案内するようにも構成される。
【0106】
さらに示される例では、クラッチカム450cも、カム軸452周りに移動可能である。カム450cは、アクチュエータ30に連結されており、レバー100を例えば状態M0から状態Sに位置付けるためにレバー100の内部輪郭160と協働するように形状設定された案内面を有する。
【0107】
さらに、内部輪郭160は、レバー100のその突出位置への自動的な戻り移動を制御するために、この輪郭160とクラッチカムが協働するように形状設定される。
【0108】
さらに、電気機構400は、制御ホイール414と機械的に接触している2つのマイクロスイッチ460aおよび460bを備え、これらのマイクロスイッチは、カム軸452の回動位置、したがってカム450a、450b、および450cの位置を検出するように適応される。2つのマイクロスイッチ460aおよび460bは互いに離れており、制御ホイール414に接触しており、本発明による開放操作部10の電子ボード430(図19)に接続される。当業者であれば、このタイプのマイクロスイッチの動作原理を知っている。
【0109】
マイクロスイッチ460aおよび460bは、それらの作動状態についての情報を電子ボード430に送信し、電子ボード430は、演算器によって命令が与えられる場合、モータにインストラクションを与え、モータは、受け取った命令に応じて、カム450a、450b、および450cが事前定義された位置にあるとき、コマンドホイール410の移動を停止させる。
【0110】
キャップ404に固定された別の開放命令検出マイクロスイッチ460c(図2)は、最初に無段差位置(図27A)から、使用者が押し下げFを外部レバー60a(部分的に示される)に対してドアの内向きに加え、ハンドルをその軸80周りに反時計回り方向に回動させるときに(図27B)、内部レバー60bの端部によって作動される。この開放命令検出マイクロスイッチ460cは、本発明による開放操作部10の電子ボード430に接続される。外部からアクセスできるようにマイクロスイッチを置くことも可能であり、この場合使用者がそれに触れることによってマイクロスイッチを作動させることができ、したがって、プッシュボタンと同じ態様でハンドルの突出を制御することができる。
【0111】
記述される例では、2つのマイクロスイッチ460aおよび460bは、以下の態様で動作する。すなわち、
− 状態M0、2つのマイクロスイッチは作動されず、電子ボード430には、ハンドルが無段差でブロックされていることが伝えられる。
− 状態M1、マイクロスイッチのうちの1つのみが作動され、電子ボード430には、レバー60aが突出していることが伝えられる。
− 状態S、2つのマイクロスイッチ460a、460bが作動され、電子ボード430には、ハンドル60の突出が可能であることが伝えられる。
【0112】
状態M0では、コマンドホイール410が第1位置にあり、2つのマイクロスイッチ460a、460bは作動されず、電子ボード430には、ハンドルが本体と無段差となっており、ブロックされていることが伝えられる。状態M0は、車が停車しているとき、もしくは走行中、またはドアが不意に開放されることを避けるために、本体と無段差となっており、権限のない人物に対してブロックされているハンドルに対応している。コマンドホイール410がこの第1位置にあり、使用者が外部レバー60aを押下した場合、外部レバー60aは動かないままである。
【0113】
突出位置(図3C)にあるハンドルに対応する状態M1では、コマンドホイール410は第2位置にあり、マイクロスイッチ460a、460bの一方が作動され、他方は作動されず、電子ボード430には、レバー60aが突出位置にあることが伝えられる。
【0114】
外部レバー60aが突出位置(図3C)にくると、使用者はそれを把持し、ラッチをブロック解除しドアを開けるための「ドア開放」位置まで、レバーをドアの外向きに回し続けることができる(図3D)。外部レバーのこの最後の位置から、使用者が外部レバー60aを解放すると、外部レバー60aは突出位置(図3C)に戻る。
【0115】
コマンドホイール410が、状態Sに対応する第3の位置にあるとき、2つのマイクロスイッチ460a、460bが作動され、電子ボード430には、ハンドルの突出が可能であることが伝えられる。位置Sは、本体と無段差のハンドルに対応しており、この位置では、使用者はハンドルの突出を、以下のいずれかによって作動させることができる。すなわち、
− ドアの内向きにレバー60aを手で押す動きFによって、開放命令検出マイクロスイッチ460cを作動させることによる。したがって、使用者が外部レバー60aを押し込むとき、外部レバー60aはわずかにケーシング内に戻り(図3Bおよび図27B)、つまり、「押されたレバー」または「押し」位置に至り、開放検出マイクロスイッチ460cが作動され、次いでレバー60aをそのケーシング50から出るように変位させる突出機構がトリガされる。
− または、遠隔制御によって車両の演算器に送られた命令による。
突出状態M1から、ブロック解除無段差状態Sへの戻り、つまり「引き込み」は、以下のいずれかによって行なわれる。すなわち、
− 使用者がハンドルを手動でブロック解除無段差位置Sまで押すことによって、突出レバー100のブロックを引き起こすことによる。
− または、車両の演算器によって送られた命令によって、カム軸を、送られた命令に応じて位置SまたはM0まで回動させることによる。この引き込みは、例えば遠隔制御によって送られた命令を介して、また事前定義された走行速度、例えば時速7キロメートルに達した後で、または事前定義された所与の期間、例えば突出の開始から20秒後など、異なる態様で実現されてもよい。
【0116】
本発明の可能性を考えると、例えば状態M0〜M1の動作、つまり電気的な突出および引き込みを奨励し、純粋に機械的な突出を可能にするモードSを、車両の演算器が低バッテリーレベルを検出したときに備えておくことが可能である。
【0117】
ここで、カムセット450の動作が、図23A図25Bを参照して記述される。図23Aは、状態Sを示し、図23Cは状態M1を示し、図23Dは状態M0を示す。図23Bは、途中の動作状態を示す。
【0118】
図23A図23Dを参照すると、第1カム450aの機能は、トグル150を回動駆動することであり、次いでトグル150は、突出レバーつめ320を解放し、次に突出レバーつめ320は、突出レバー100を解放し、こうしてハンドル60のブロック解除が可能になる。
【0119】
トグル150をこのように回動駆動させることは、図23Aに示される状態Sから2つのやり方で実現される。すなわち、
− 使用者がレバー60aをドアの内向きに押し、それによりハンドルを反時計回り方向に回動させ、それによりトグル150をカム450aの近くに持ってきて、トグル150を回動させることによる。
− または、コマンドホイール410およびカム軸452の回動を、図23Aによる時計回り方向に電気的に作動させ、その結果、トグル150の回動(図23B)、突出レバーつめ320のブロック解除、ならびに突出レバー100およびレバー60aを反時計回り方向にハンドルの突出位置まで回動させること、つまり図23Cの状態M1、をもたらすことによる。
【0120】
状態M0(図23D)では、カム450aとトグル150の間の距離は、手動によりハンドルを押してトグル150を回動させるには大きすぎ、それによりハンドルの突出を不可能にすることに留意すべきである。この例では、この状態M0は、結合をクラッチ解除する手段のクラッチ解除状態に対応する。
【0121】
トグル150を回動させようとする動きが止まると、第1ねじりばね322は、突出レバーつめ320をその静止位置に戻そうとするが、つめ保持レバー340が、突出レバーつめ320の戻りをブロックし、それにより突出ハンドル位置に向かう突出レバー100およびレバー60aの自由な回動が可能になる。同様に、ハンドルブロックつめ330の横枝334が、突出レバーつめ320によって反時計回り方向にブロックされることから、ハンドルブロックつめ330は保持される(図13A図13B図16A、および図16B)。
【0122】
図24A図24Cを参照すると、第2カム450bの動作が記述される。図24Aは、状態M0を示し、図24Bは状態Sを示し、図24Cは状態M1を示す。
【0123】
例では、第2カム450bは、カム軸452上でカム450aとカム450cの間の中間軸位置にあり、その半径寸法は、第1カム450aの半径寸法よりも大きい。
【0124】
図24Aでは、コマンドホイール410は状態M0にあり、第2カム450bは、突出レバーカム172、および突出レバー100の内部輪郭210と同じ平面にある。
【0125】
突出レバーカム172は、軸170周りに5°〜15°回動するカムであり、コマンドホイール410の第2カム450bと協働することが意図される。
【0126】
カム450bが図24Aによる時計周り方向に回動して、(ブロックされた無段差の)状態M0から、(ブロック解除された無段差の)状態Sへ切り替えられる間に、カム450bの形状、突出レバーカム172の形状、および突出レバーカム172の自由回動によって、状態M0から状態Sまでコマンドホイール410が自由に移動できるようになるが、突出レバー100の突出はトリガされない。同じことが、反時計回り方向への回動による状態Sから状態M0への切替えにも当てはまり、第2カム450bは、突出レバーカム172を駆動することなく自由に回動することになる。
【0127】
それとは反対に、突出状態M1から状態M0(引き込みおよびブロック)へ、状態Sを介して切り替えるために、第2カム450bは突出レバーカム172を駆動し、突出レバー100を反時計回り方向に回すことによって、突出レバー100を変位させ、こうしてつめ320によって突出レバー100のブロックを可能にし、ハンドル60も、ハンドルブロックつめ330によって保持されるまで反時計回り方向に回る(図24Cおよび図24A)。
【0128】
下側輪郭180の機能は、状態S(図24B)から位置M1(図24C)への切替えを操作することである。実際、トグル150を回動させることによって、ひいてはカム450aの回動により作動されて、突出レバーつめ320が解放された後、突出レバーばね160は、突出レバー100を外部レバー60aの下側支承壁64に向かって押し、突出レバー100およびハンドル60を突出状態M1まで時計回りに回動駆動する。
【0129】
第2カム450bは、2つの機能を有する。すなわち、
− コマンドホイール160が状態Sから状態M1に切り替わるときに、突出レバーのばねによって行なわれる突出に対する妨害物(例えば氷)があるケーシングにおいて強制的に突出を行なうこと、
図24Cによる反時計回り方向にカム450bを逆移動させることによって、状態M1から状態SまたはM0にコマンドホイール410が切り替わるときに、突出レバー100の戻しを実行すること、である。
【0130】
ここで図25A図25Bを参照しながら、第3カム450cの動作を記述する。図25Aは、状態M0を示す。
【0131】
第3カム450cは、カム軸452の先端から最も遠い位置にあり、歯車169に近く、その最大半径は、第1カム450aの半径および第2カム450bの半径よりも大きい。
【0132】
図25Aでは、コマンドホイール410の第3カム450cおよび突出レバー100の上側輪郭160が、同じ平面にあることがわかる。
【0133】
コマンドホイール410が状態M0からM1に切り替わり、したがって図25Aによる時計回り方向に回るとき、第3カム450cの機能は、最初に突出とは逆方向に突出レバー100をわずかに変位させて、トグル150(図25Bおよび図23B)を突出レバーつめ320に近づけ、突出レバーつめ320を解放し、それに伴って使用者にとって快適な、制御された突出速度で突出レバー100の突出を可能にすることである。
【0134】
コマンドホイール410が状態M0の第1位置にあるときに車両に電気的不具合が生じた場合、コマンドホイール410は変位することができず、使用者は自動車に乗りこむことができない。
【0135】
この問題を解決するために、本発明による開放操作部10には、図22および図26に示されるブロック解除機構500が設けられる。図5は、ロックおよび/またはタブを隠すロックカバー502、つまりキャップを示す。コマンドホイール410がブロック位置M0を示しているときの電気的不具合中には、使用者はタブまたはツール(図示せず)を使用して、例えば開放操作部と本体との間にこの目的のために形成された空間に、このツールを導入することによって、ブロック解除機構を作動させなくてはならない。タブはロックカバー502の下に隠されていてもよいが、他の選択肢を考えることもでき、例えば、使用者が車両のドアのラッチロック内でキーを回すときに作動される機構にこのタブを連結することが可能であり、この機構は図示されておらず、本明細書においてはロックカバー502の下に位置付けられ、その位置504は図5に見ることができる。
【0136】
このタブを、ハンドルと本体の間に形成された空間内でアクセス可能にすることも考えられる。
【0137】
図22図26を参照すると、ブロック解除機構500は、安全開放レバー510と、安全開放ピン520と、安全開放ピンばね522と、安全開放レバーばね512とを備える。安全開放レバー510は、その回動軸514を介してハンドル60に連結される。
【0138】
安全開放ピン520は、安全開放レバー510にその回動軸524によって連結される。使用者が、安全開放レバー510をその回動軸514周りに回動させることによって安全開放レバー510を作動させると、安全開放レバー510が安全開放ピン520を駆動し、安全開放ピン520が、コマンドホイール410と同じ軸452を有する歯車412と協働し、コマンドホイール410を回してそれをブロック位置M0から出す。おそらく、突出レバー100の突出をブロック解除できるようにするための充分な角度の回動を得るまで、使用者は何度かブロック解除動作を繰り返すことになる。
【0139】
電気的不具合の間にブロック解除機構が動作し、車両の使用者が車両の外側からブロック解除機構を操作することができるようにブロック解除機構が配置されている限り、ブロック解除機構は他のやり方で設計されてもよいことを、当業者であれば理解する。
【0140】
本発明による外部レバー60aには、ケーシングに連結された、図5に示される抑制機構90が設けられる。この機構90は、止め部本体92と、弾性止め部94と、止め部ばね96とを備える。このばね96は、ハンドルに対して突出方向に作用する。この場合ばね96は、弾性止め部94が設けられた止め部本体92を押し、止め部本体の機能は、レバー60aを押し込むことである。
【0141】
走行中、この機構の第1の機能は、振動発生時またはドアが乱暴に閉じられたときに、レバー60aが作動方向に変位すること、および突出レバー100がブロック解除されることを防止することである。第2の機能は、レバー60aの位置を本体と同じ高さに正確に角度設定する、つまり無段差に設定することであり、これは止め部94と止め部本体92との間のねじ込みによって実現される。第3の機能は、引き込みが終わったときにハンドルの戻りを抑制することである。
【0142】
以下の記述では、本発明による開放操作部10の、機械的な動作と電気的な動作の両方の主な態様が説明される。特に図4の全体的な動作図を参照することができる。
【0143】
レバー60aが状態S(ブロック解除無段差)にあるとき、使用者はハンドルの突出(状態M1)を、以下のいずれかによって行なうことができる。すなわち、
− レバー60aをドアの内向きにわずかに押すことによってレバー60aを押し込み、それによりマイクロスイッチ460cが作動され、演算器に突出命令が与えられることによる。
− または、遠隔制御を介して演算器に命令を送ることによる。
− または、電気的不具合の発生時には、ハンドルレバーを強く押し、それにより突出レバーつめ320の係合解除および突出レバー100の解放を可能にすることによる。
【0144】
3つの前述した事例では、カム450aがトグル150に接触され、トグルを回動させ、それにより突出レバー保持つめ320が回動し、したがって突出レバー100およびハンドル60aの回動の軸80周りの回動が解放され、突出レバー100およびハンドル60aは、突出ばね40(図23C)の動きの下、ドアの外向きに回動駆動される。
【0145】
実際突出レバー100が解放されるとき、突出レバー100のばね40が突出レバー100を回す。突出レバー100とレバー60aは、この場合共通軸80周りに一緒に回ると同時に、突出レバー100の下側枝130に置かれた防音止め部132を介して互いに接触している。
【0146】
外部レバー60aが突出するとき(図3C)、ラッチを解除しドアを開放するために、使用者は外部レバー60aを把持しレバー60aの回動を続けることができる(状態M2)。
【0147】
使用者がラッチを解錠しドアを開放するために外部レバー60aを引くとき、2つのチーク110aおよび110bをつないでいる上側枝120がケーシング50に当接してブロックされることから、突出レバー100は動かないままである。次いでレバー60aは、ハンドル戻しばね160の動きに対抗して共通軸80周りに、すなわち開放位置まで回り、使用者はドアを開放することができる(図3Dおよび図17B)。
【0148】
使用者がドアを開けたとき、使用者は外部レバー60aを解放する。このとき、ハンドル戻しばね160は、レバー60aの下側支承壁64が突出レバー100の下側枝130および防音止め部132に再び当たって静止するまで、レバー60aを回し、これらの2つの要素間の空間を閉じ、それにより突出ハンドル位置M1に戻る。
【0149】
次いで突出状態M1からブロック解除無段差状態Sへの切替え、すなわち引き込みは、以下のいずれかによって行なわれてもよい。すなわち、
− 演算器の命令でコマンドホイール410を回転させることによる。
− または、使用者が単に手で押してハンドルを無段差位置に戻すことによる。
【0150】
コマンドホイール410が状態M0にあるとき、外部レバー60aは本体と同じ高さにあり、ブロックされている。使用者がレバー60aを押すと、レバー60aによって、防音止め部132を介して突出レバー100が押される。突出レバー100は反時計回り方向に回る(図27B)。しかし、この位置では、図23Dに示されるように、カム450aとトグル150は接触することができない。
【0151】
実際この事例では、トグル150は、突出レバー100をブロック状態で保持する突出レバーつめ320を変位させることができない。したがって、突出レバー100は突出しない。状態M0のブロック機能は、車両が停車中であるとき、または所定値、例えば時速7キロメートルよりも速い速度で走行しているときに、使用されてもよい。ギアボックスおよび電子ボード430に接続された車の演算器は、電子ボード430にメッセージを送り、それにより、コマンドホイール410をブロックされた無段差位置M0に回すための命令がモータに与えられる。コマンドホイール410に連結された第1カム450aが、次いでトグル150から離され、したがって突出レバーつめ320およびハンドルブロックつめ330は、ブロック位置に残り、突出レバー100およびハンドル60をブロックし、突出レバー100およびハンドル60は突出することができない。
【0152】
ブロック状態M0からブロック解除状態Sへの切替え、およびその逆は、すでに記述した制御軸の回転によって行なわれる。M0からSへの切替えは、電気的不具合の発生時には手動でも行なうことができる。
【0153】
したがって、本発明によれば、使用者は、前述のように手で押すことだけでなく、遠隔制御(携帯電話、キーなど)によってもハンドル突出命令を出すことができる。この場合、突出(またはブロック)命令は、まず車の演算器に渡され、演算器は、この命令を本発明による開放操作部の電子ボード430に送信し、電子ボード430は、モータ420の作動命令を与え、それによりその後ハンドルの突出が、以下に記述するプロセスにより行なわれる。
【0154】
本発明の可能な変形形態は、ロックカバー911なしに外部レバー60aのすぐ下にロックを隠すこと、または無段差のハンドルドア上に、外部レバー60aに近接して配設された見える状態のロックをなお有することであり、最終的に最後の可能性は、ロックのない本発明による開放操作部である。
【0155】
本発明の別の変形形態は、電気的部分30を、図1および図2に表されるように片側のみではなく、複数側、例えばケーシング50の両側に設定および固定することである。電気的部分30の任意の他の設定、例えばカム軸420周りに電気的部分30を180°回動させることなども考えられる。
【0156】
変形形態は、開放操作部を左右対称にするように、共通の伝達シャフトを用いて突出レバーのそれぞれの側に置かれたカム450a、450b、450cの2つのセットにある。この左右対称の配置は、カム軸が受けるねじれおよび曲がりを低減させることを目的としている。したがって機構の耐用寿命が長くなる。カム軸の端部をケーシング50において回転可能に案内することによって、同様の効果を得ることができる。
【0157】
当業者であれば、マイクロスイッチを備える位置検出手段は、ホール効果センサを備える手段、容量センサを備える手段、または同じ機能を満たす任意の他の検出手段と置換されてもよいことを理解する。
【0158】
当業者であれば、電気的部分および機械的部分は、いくつかの態様で互いに対して位置付けられてもよいことを理解する。
【0159】
開放操作部は、車のラッチのキーを回すことによって、ロックに連結された機構を用いてハンドルを出すための手段を備えてもよい。
【0160】
当業者であれば、主要モジュールは、異なるタイプの減速モータ、例えば遊星歯車減速を有するモータ、ウォームねじ減速を有するモータ、平歯車減速を有するモータ、かさ歯車減速を有するモータを用いて作製されてもよいことを理解する。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図23C
図23D
図24A
図24B
図24C
図25A
図25B
図26
図27A
図27B