【実施例】
【0086】
実施例1−マウス免疫化及びヒトPD−1に対するマウス抗体の産生
ヒトPD−1に対する抗体を生成するために、hPD−1をヒスチジンタグ(hPD−1−Hisタグ、配列番号1)、マウスFc(hPD−L1−mFc、配列番号13)、及びヒトFcタグ(hPD−1−hFc、配列番号5)と融合して、その細胞外ドメインのオープンリーディングフレームをコードするcDNAをPCRにより得て、それぞれ発現ベクターのpcDNA3.1(Invitrogenカタログ番号V−790)にサブクローニングした。freestyle293細胞での一過性発現後、hPD−1−HisタグをNTAカラム(GE healthcare)で精製し、hPD−1−mFc及びhPD−1−hFcをプロテインGカラム(GE healthcare)で精製した。
【0087】
ハイブリドーマ細胞株の生成に必要なマウスを免疫化するために、100μgのヒトPD−1−マウスFc融合タンパク質または及び同量の完全フロイントアジュバントを混合し、その混合物を5匹の6〜7週齢BALB/cマウスの各々に皮下注射により投与した。2週後、上記と同じ方法を使用して、抗原(先に注射した量の半分)を不完全フロイントアジュバントと混合し、その混合物を各マウスに皮下注射により投与した。1週後、最後の追加免疫化を実施し、3日後に各マウスの尾部から血液を採取して血清を得た。次いで、血清をPBSで1/1000に希釈し、ELISAを実施してヒトPD−1−mFcを認識する抗体の力価が増加したかどうかを分析した。その後、十分な量の抗体を得たマウスを選択し、選択したマウスで細胞融合プロセスを実施した。
【0088】
細胞融合実験の3日前に、50μgのPBSとヒトPD−1−mFc融合タンパク質との混合物を、各マウスに腹腔内注射により投与した。各免疫化マウスを麻酔し、次いで体の左側に位置するその脾臓を摘出してメッシュで粉砕し、細胞を単離して、これを培地(RPMI1640)と混合して脾臓細胞懸濁液を調製した。懸濁液を遠心分離し、細胞層を収集した。得られた1×10
8個の脾臓細胞を、1.5×10
7個の骨髄腫細胞(Sp2/0)と混合し、その混合物を遠心分離して細胞を沈殿させた。沈殿物をゆっくりと分散させて、PEG Hybri−Max(Sigma Inc.、カタログ番号7181)で処置した。混合細胞を、96ウェルプレートに1ウェル当たり0.1mlずつ分注し、37℃の5%CO
2インキュベーターでインキュベートした。1日目に、各ウェルに血清及びHATに加えて2倍のメトトレキサートを含有する追加の0.1ml培地の添加により細胞に供給した。3日目及び7日目に、各ウェルの0.1mlの培地を0.1mlの新しいHT培地で置き換えた。スクリーニングは、典型的には9〜14日目に行った。
【0089】
実施例2−ELISA及びFACS分析に基づいた、ヒトPD−1タンパク質に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞の選択
ELISA結合分析を、ヒトPD−1−hFcタンパク質に基づいて実施した。96ウェルプレート(Costar、カタログ番号9018)を、コーティング緩衝液(PBS、Hyclone、カタログ番号SH30256.01B)中、2μg/mlのPD1−hFc(CrownBio)を100μL用いて4℃で一晩コーティングした。ウェルを吸引し、非特異的結合部位を、1%(w/v)のウシ血清アルブミン(BSA、Roche、カタログ番号738328)を用いた200μLのブロッキング緩衝液を添加して、37℃で1時間インキュベートすることによりブロックした。プレートを洗浄緩衝液(0.05%(v/v)のTween20(Sigma、カタログ番号P1379)を加えたPBSで3回洗浄した後、ブロッキング緩衝液中のハイブリドーマ上清の好適な希釈物を100μL/ウェルで添加し、室温で1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、100μL/ウェルの、ブロッキング緩衝液中のヤギ抗マウスIgG(H+L)(Thermo、カタログ番号31432)で60分間インキュベートした。プレートを洗浄した後、100μL/ウェルの基質溶液(TMB(eBioscience、カタログ番号00−4201−56)を添加し、プレートを室温で2分間インキュベートした。100μL/ウェルの停止溶液(2NのH2SO4)を添加して、反応を停止させた。比色シグナルが生じたら、Auto Plate SpectraMax Plus(供給業者:Molecular Devices;モデル:MNR0643;ソフトウェア:SoftMax Pro v5.4)を使用して450nmで読み取った。この方法により、ヒトPD−1タンパク質と高度に特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を、繰り返し選択した。
【0090】
ELISAに基づくリガンド妨害分析を、ヒトPD−1−hFcへの結合からビオチン化ヒトPD−L1−mFcをブロックすることにより実施した。PD−1−mFc抗原(CrownBio)を、PBS(Hyclone、カタログ番号SH30256.01B)緩衝液中に懸濁し(2ug/ml、100ul/ウェル)、96ウェルプレート(costar、カタログ番号9018)上に4℃で一晩コーティングした。プレートを、洗浄緩衝液:PBS+0.05%のTween20(Sigma、カタログ番号P1379)を使用して3回洗浄した。200ulのブロッキング緩衝液(PBS+1%BSA(Roche、カタログ番号738328))を各ウェルに添加し、37℃で1時間インキュベートして、3回洗浄した。種々の濃度(PBS中のハイブリドーマ上清の好適な希釈物)の抗PD−1抗体をウェルに添加し(100μl/ウェル)、37℃で1時間インキュベートした。リガンドを添加し(0.1ug/mlのPDL−1−mFc−ビオチン、100μl/ウェル)、37℃で2時間インキュベートして、3回洗浄した。二次抗体(アビジンHRP eBioscience カタログ番号E07418−1632、1:500、100ul/ウェル)を添加し、37℃で0.5時間インキュベートして、3回洗浄した。TMB(Sigma、カタログ番号T0440、100ul/ウェル)を添加し、室温で3分間インキュベートした。反応を停止させるために、2NのH2SO4(100ul/ウェル)を添加した。比色シグナルが生じたら、Auto Plate SpectraMax Plus(供給業者:Molecular Devices;モデル:MNR0643;ソフトウェア:SoftMax Pro v5.4)を使用して450nmで読み取った。
【0091】
抗体の細胞結合分析を、hPD−1−293T細胞株に基づいて実施した。2×10
5個の293T−PD−1細胞を、96ウェル培養プレートの各ウェルにそれらを置くことにより各反応に使用した。細胞を、示した抗体(1/5希釈で20ug/ml)と共に4℃で1時間インキュベートした。細胞をFACS緩衝液で3回洗浄した。二次抗体(PEヤギ抗マウス:1:200;PEマウス抗ヒト:1:10)を100ul/ウェルで細胞に添加し、4℃で40分間インキュベートした。細胞をFACS緩衝液で3回洗浄し、FACS Arrayによって分析した。
【0092】
FACSに基づくリガンド妨害分析を、フローサイトメトリーアッセイを使用して、hPD−1−293T細胞に対するビオチン化ヒトPD−L1及びPD−L2結合の妨害における抗PD−1ハイブリドーマ抗体を決定するために実施した。PD−1発現293T細胞を、FACS緩衝液(3%のウシ胎児血清を加えたPBS)中に懸濁した。種々の濃度の試験するハイブリドーマ抗体を細胞懸濁液に添加し、96ウェルプレートにおいて4℃で60分間インキュベートした。ビオチン標識PD−L1タンパク質またはビオチン標識PD−L2タンパク質をウェルに添加し、4℃で60分間インキュベートした。プレートを3回洗浄し、マウス抗ビオチンPE抗体(Biolgend、カタログ番号409004)を添加した。フローサイトメトリー分析を、FACS Arrayを使用して実施した。試験の結果を、
図1A(PD−L1)及び
図1B(PD−L2)に図示する。抗PD−1モノクローナル抗体は、染色の平均蛍光強度(MFI)によって測定されるように、PD−L1またはPD−L2と、ヒトPD−1をトランスフェクトした293T細胞との結合をブロックした。これらのデータは、抗PD−1抗体が、リガンドPD−L1及びPD−L2と細胞表面PD−1との結合をブロックすることを実証した。
【0093】
実施例3−モノクローナル抗体クローンを得るためのサブクローニング及び抗hPD−1抗体の精製
サブクローニングは限界希釈法の手順に基づき、モノクローナル抗体を産生する個々のハイブリドーマクローンを得るように設計する。ハイブリドーマの各々を複数回(4回)の限界希釈法に供した。サブクローニングの各回について、クローンをELISA及びFACSに基づく妨害分析により試験した。
【0094】
抗体精製を、合計で22種の抗hPD−1ハイブリドーマ抗体について実施した。ハイブリドーマ細胞を、10%のウシ胎児血清、1%のペニシリン/ストレプトマイシン、2%のL−グルタミン、及び1%の調整したNaHCO
3溶液を含有するダルベッコ改変イーグル培地(GIBCO;Invitrogen Corporation、カールスバッド、カリフォルニア州)で培養した。次いで、選択したハイブリドーマ細胞を無血清培地に適合させ、プロテインGカラム(GE healthcare)を使用して上清から抗体を精製した。PBSで洗浄した後、0.1MのグリシンをpH3.0で使用して結合した抗体を溶出し、続いて2.0MのTrisを使用してpHを中和した。ウルトラ−15遠心濃縮器(Amicon)を、緩衝液交換及び抗体濃縮に使用した。
【0095】
実施例4−ELISA及びFACS分析に基づいた、結合活性及びリガンド妨害活性における精製マウス抗hPD−1抗体の特徴付け
精製したハイブリドーマ抗体を、ELISA及びFACS分析に基づいてさらに特徴付けた。使用した方法は、実施例2で上に記載したものと同様であったが、ただし、この場合は精製抗体を量及び濃度で測定し、その結果を使用してEC50値及びIC50値を計算した。以下の表、すなわち表1〜5は、10種の抗体の結果を示す。
【0096】
(表1)10種のマウス抗PD−1抗体のELISAに基づく結合EC50
【0097】
(表2)10種のマウス抗PD−1抗体のELISAに基づく妨害IC50
【0098】
(表3)10種のマウス抗PD−1抗体のFACSに基づく結合EC50
【0099】
(表4)選択した10種のマウス抗PD−1抗体のFACSに基づくPD−L1妨害IC50
【0100】
(表5)選択した10種のマウス抗PD−1抗体のFACSに基づくPD−L2妨害IC50
【0101】
実施例5:マウス抗PD−1抗体のBiacore分析
抗体の結合特性をさらに特徴付けるために、10種のハイブリドーマ抗体をBiacore(Biacore 3000、GE)を使用して特性を明らかにし、結合速度を明らかにして平衡結合定数を計算した。このアッセイを、mouse antibody capture kit(BR−1008−38、GE)を使用して、捕捉方法により実施した。抗マウスFc mabをpH5.0の固定化緩衝液中で25μg/mlまで希釈した後、5μl/分の流速で表6に示すパラメータを用いて固定化を実施した。速度論的実行は、1)リガンドを典型的には0.5〜1分間、10μl/分の流速で注入し;2)好適な分析物を典型的には3分間注入し、続いて典型的には5〜10分間、30μl/分の流速でのランニング緩衝液(1倍のPBS−P20)中で解離させて;3)再生溶液の10mMのグリシンをpH1.7で典型的には1〜2分間、10μl/分の流速で注入することにより行った。
【0102】
(表6)Biacoreパラメータ
【0103】
試験の結果を表7に示す。抗ヒトPD1抗体の各々は、1.11E+05 1/Ms〜8.40E+05 1/Msの範囲の結合速度(ka);2.83E−05 1/s〜7.55E−05 1/sの範囲の解離速度(kd);1.60E+10 1/M〜5.44E+10 1/Mの範囲の平衡結合定数(KA);及び1.84E−11M〜6.23E−11M(0.0184nM〜0.0623nM)の範囲の親和性(KD)を示した。
【0104】
(表7)抗PD−1ハイブリドーマ抗体のKD値
【0105】
実施例6:種間の及び類似した分子間の交差反応
抗体の種交差反応を評価するために、マウス及びカニクイザルPD−1受容体をPCRによりクローニングし、安定にトランスフェクトした293T−PD−1細胞を生成した。抗体を、タンパク質に基づくELISAを使用して、カニクイザル受容体への結合について試験した。試験の結果は、抗体がヒト及びカニクイザルPD−1に等しい親和性で結合し、ヒトPD−1と比較した場合に類似した有効性でhPD−L1/Fc及びhPD−L2/Fcと、カニクイザルPD−1との結合をブロックすることを示した。選択した抗体で、使用したアッセイのいずれにおいても、検出可能な親和性でマウスPD−1と結合したものはなかった。ヒトCTLA4、ICOS及びCD28と交差反応するものはない(表8を参照のこと)。
【0106】
実施例7:混合リンパ球反応におけるサイトカイン産生に対する抗PD−1ハイブリドーマ抗体の効果
混合リンパ球反応を使用して、リンパ球エフェクター細胞に対する、PD−1経路をブロックすることの効果を実証した。アッセイでは、マウス抗ヒトPD−1モノクローナル抗体の存在下または非存在下における増殖、IFN−γ分泌及びIL−2分泌についてT細胞を試験した。アッセイでは、ヒトCD4+T細胞を、CD4+の陰性選択(Miltenyi Biotech、カタログ番号130−091−155)を使用してPBMCから精製した。成熟樹状細胞(DC)は、精製した単球(Miltenyi、Mo−DC Generation Toolbox、カタログ番号130−093−568)をMo−DC分化培地で7日間培養し;次いで、DC成熟をMo−Dc Maturationで2日間誘導して得た。各培養物は、200μlの総体積中、10
5個の精製T細胞及び10
4個の同種異系樹状細胞を含有した。抗PD−1モノクローナル抗体の4C10、5A8、6E1、7D3、7A4、10D1、13F1、14A6、15H5、または22A5を各培養物に異なる抗体濃度で添加した。抗体なし、またはアイソタイプ対照抗体のいずれかを陰性対照として使用した。細胞を37℃で5日間培養した。5日目に、50μlの培地をIL−2及びIFN−γの測定のために収集した。培養液中のIFN−γ及びIL−2のレベルを、EIA hIFN−γ ELISA kit(R&D、カタログ番号DY285)及びIL−2 ELISAキット(eBioscience)を使用して測定した。試験の結果を
図2(IL−2分泌)及び
図3(IFN−γ分泌)に提供し、これは抗ヒトPD−1モノクローナル抗体が、濃度依存的様式でT細胞増殖、IFN−γ分泌及びIL−2分泌を促進したことを示す。対照的に、アイソタイプ対照抗体を含有する培養物は、T細胞増殖、IFN−γまたはIL−2分泌の増加を示さなかった。
【0107】
実施例8:10種のマウス抗hPD−1抗体の特徴
精製して、特徴付けた10種の抗PD1モノクローナル抗体の特性を表8にまとめる。これらの抗体は、PD−1に(20uM〜3nMの範囲の解離定数で)強力に結合し、異なるIC50値でPD−L1及びPD−L2の両方との相互作用をブロックすることができた。抗体の各々は、IL2及びIFNγ産生を誘導した。10種の抗体には、CTLA4、ICOS、またはCD28と交差反応したものはなかった。抗体の各々は、カニクイザルPD−1と結合した。抗体の各々は、溶液に添加した場合に受容体アンタゴニストとして機能し、最終的にT細胞応答を増強した(実施例5を参照のこと)。
【0108】
(表8)10種のマウス抗hPD−1抗体の特徴付けした特徴の概要
【0109】
実施例9:抗PD−1抗体のcDNA配列クローニング及びヒト化
免疫グロブリンcDNAのクローニング
RNeasy Mini Kit(Qiagen、カタログ番号74104)により、hPD−1抗体を産生するハイブリドーマ細胞株から単離した全RNAを鋳型として使用し、SuperScript(登録商標)II Reverse Transcriptase(Life Technology、カタログ番号18064−14)をメーカーの指示に従って用いて第1鎖cDNAを合成した。次いで、cDNA産物を、50μl体積の反応混合物において縮重マウスIgGプライマー(Kettleborough CA,et al,European Journal of Immunology 23:206−211(1993)、Strebe N,et al,Antibody Engineering 1:3−14(2010))を使用してPCRに供した。反応は、S1000
(商標)サーマルサイクラー(Bio−Rad、カタログ番号184−2000)において、94℃で1.5分間の変性;50℃で1分間のアニーリング;及び72℃で1分間の合成を30サイクル行って実施した。30回目のサイクルの最後に、反応混合物を伸張するためにさらに7分間72℃でインキュベートした。
【0110】
PCR混合物を、0.5μg/mlの臭化エチジウムを含有する1%のアガロース/Tris−Borateゲルにおいて電気泳動に供した。予想したサイズ(重鎖及び軽鎖のおよそ400bp)を有するDNA断片をゲルから除去して精製した。3μlの精製したPCR産物をpMD−18Tベクター(タカラ、カタログ番号D101A)にクローニングし、One Shot(登録商標)TOP10 Chemically Competent E.coli(Invitrogen、カタログ番号C4040−03)を形質転換した。クローンを、ユニバーサルM13フォワード及びリバースプライマーを使用してコロニーPCRによりスクリーニングし、M13フォワードプライマー及びM13リバースプライマーを使用した両方向のDNA配列決定のために、各反応物から10個の陽性クローンを選択した。
【0111】
抗体4C10(配列番号28、33)、5A8(配列番号99、104)、6E1(配列番号89、94)、7D3(配列番号39、44)、7A4(配列番号109、114)、10D1(配列番号18、23)、13F1(配列番号49、54)、14A6(配列番号69、74)、15H5(配列番号59、64)及び22A5(配列番号79、84)の可変領域配列を、対応するハイブリドーマクローンから増幅した。これらの抗体は、所望の機能、例えばPD−L1に対するPD−1結合のブロックならびにT細胞活性化及びサイトカイン放出の増強などを示した。
【0112】
キメラ7A4及び13F1抗体の構築及び発現
7A4及び13F1キメラ軽鎖(それぞれ配列番号123及び129)は、PCRでクローニングしたマウスVL領域のcDNAを、それぞれヒトカッパ及びIgG1に連結することにより構築した。7A4及び13F1キメラIgG1重鎖(それぞれ配列番号119及び125)は、PCRでクローニングしたマウスVH領域のcDNAをヒトIgG1定常領域に連結することにより構築した。7A4及び13F1キメラIgG4重鎖(それぞれ配列番号121及び127)は、PCRでクローニングしたマウスVH領域のcDNAをヒトIgG4定常領域に連結することにより構築した。マウスcDNA配列の5’末端を、軽鎖及び重鎖の両方にリーダー配列を付加するように設計されたPCRプライマーを使用して修飾した。
【0113】
Freestyle293細胞(10
6個/mLで200mL)に、100μgのキメラ重鎖及び軽鎖発現プラスミドの各々をトランスフェクトし、6日間培養した。次いで、上清中のキメラ抗体をプロテインGカラム(GE healthcare)で精製した。キメラ抗体とPD−1との結合を、実施例2及び5で上に記載したようにELISA及びBiacoreにより測定し、マウス親抗体の親和性と同等の親和性でPD−1に結合することを示した。表9は、ELISAにより測定された、キメラ抗PD−1抗体の各々の結合EC50を示す。表10は、ELISAにより測定された、キメラ抗PD−1抗体の各々のPD−L1妨害IC50を示す。表11は、FACSにより測定された、キメラ抗PD−1抗体の各々の結合EC50を示す。表12は、FACSにより測定された、キメラ抗PD−1抗体の各々のPD−L1妨害IC50を示す。
【0114】
(表9)キメラ抗PD−1抗体のELISAに基づく結合EC50
【0115】
(表10)キメラ抗PD−1抗体のELISAに基づく妨害IC50
【0116】
(表11)キメラ抗PD−1抗体のFACSに基づく結合EC50
【0117】
(表12)キメラ抗PD−1抗体のFACSに基づくPD−L1妨害IC50
【0118】
実施例7で上に記載したような混合リンパ球反応を使用して、T細胞からのIL−2分泌(
図4)及びIFN−γ分泌(
図5)に対するキメラ抗PD−1抗体の効果を決定した。キメラ抗PD−1モノクローナル抗体の各々は、MLRアッセイにおいて濃度依存的様式でIL−2分泌及びIFNγ分泌を促進した。対照的に、アイソタイプ対照抗体(hIgG4)は、試験したいずれの濃度でもIL−2分泌またはIFNγ分泌を誘発しなかった。
【0119】
抗体ヒト化設計
7A4及び13F1抗体を、CDR移植手法(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第5,225,539号明細書)を使用してヒト化する。マウス抗体7A4及び13F1の軽鎖及び重鎖可変鎖配列を、NCBIデータベースhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/igblast.cgiを検索することにより、構造バイオインフォマティクス研究共同体(RCSB)のタンパク質構造データバンクで入手可能な配列と比較した。7A4及び13F1のモデルを、それぞれ最も高い配列相同性を有するVH及びVL構造に基づいて生成した。
【0120】
マウス7A4及び13F1抗体のVH及びVLの相補性決定領域(CDR)を移植するための鋳型ヒト抗体をIMGT/Domain Gap Align 3D構造データベースhttp://www.imgt.org/3Dstructure-DB/cgi/DomainGapAlign.cgiを検索することにより、マウス7A4及び13F1抗体と高い相同性を有するアミノ酸配列を有するヒト抗体生殖細胞系から選択した。7A4については、選択した鋳型ヒトVHは、IGHV2−5
*10とIGHJ4
*01との組み合わせであって、選択した鋳型ヒトVLは、IGKV1−33
*01とIGKJ2
*01との組み合わせであった。13F1については、選択した鋳型ヒトVHは、IGHV3−21
*04とIGHJ4
*01との組み合わせであって、選択した鋳型ヒトVLは、IGKV7−3
*01とIGKJ2
*01との組み合わせであった。
【0121】
上述した鋳型ヒト抗体のCDRアミノ酸配列を、マウス7A4及び13F1抗体のCDRのアミノ酸配列で置換した。加えて、上述した鋳型ヒト抗体VH及びVLのフレームワークに、マウス7A4及び13F1抗体のVH及びVLから必要なアミノ酸配列を移植して機能的なヒト化抗体を得た。7A4及び13F1のVH及びVLに関しては、上述した鋳型ヒト抗体におけるフレームワークアミノ酸のいくつかの部位を、マウス7A4及び13F1抗体の対応するアミノ酸配列に復帰突然変異させた。ヒト化7A4抗体の軽鎖可変領域については、40位のアミノ酸をTyr(Y)からPhe(F)に変異させ、72位のアミノ酸をGly(G)からArg(R)に変異させた;ヒト化7A4抗体の重鎖可変領域については、2位のアミノ酸をVal(V)からIle(I)に変異させ、46位のアミノ酸をGlu(E)からLys(K)に変異させ、70位のアミノ酸をPhe(F)からIle(I)に変異させた。ヒト化13F1抗体の軽鎖可変領域については、45位のアミノ酸をLeu(L)からPro(P)に変異させ、70位のアミノ酸をPhe(F)からTyr(Y)に変異させた;ヒト化13F1抗体の重鎖可変領域については、26位のアミノ酸をGly(G)からTyr(Y)に変異させ、48位のアミノ酸をIle(I)からMet(M)に変異させ、49位のアミノ酸をGly(G)からAla(A)に変異させ、67位のアミノ酸をVal(V)からIle(I)に変異させ、71位のアミノ酸をVal(V)からArg(R)に変異させた。
【0122】
ヒト化13F1抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号143及び141と称した。アミノ酸配列をコードするDNAの塩基配列を設計した(それぞれ配列番号140及び142)。ヒト化7A4抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号133及び131と称した。アミノ酸配列をコードするDNAの塩基配列を設計した(それぞれ配列番号130及び132)。
【0123】
ヒト化7A4及び13F1抗体のIgG1及びIgG4型を作製した(h13F1−IgG1、h13F1−IgG4、h7A4−IgG1及びh7A4−IgG4)。IgG1定常領域がD265A突然変異(Clynes R,et al,Nature Medicine 6:443−446(2000))を持つ一方で、IgG4定常領域は、F234A及びL235Aの二重突然変異(Xu D,et al,Cellular Immunology 200:16−26(2000))を有する。定常領域配列を配列番号150及び151に開示する。h13F1−IgG1(配列番号149及び145)、h13F1−IgG4(配列番号149及び147)、h7A4−IgG1(配列番号139及び135)、及びh7A4−IgG4(配列番号139及び137)の完全軽鎖及び重鎖アミノ酸配列を、表3で上に提供する。7A4の軽鎖において脱アミド化し得る部位を除去するために、Asn85をAspに変異させた(h7A4D)。軽鎖可変領域(配列番号152)及び完全軽鎖アミノ酸配列(配列番号153)もまた、表3で上に提供する。
【0124】
ヒト化7A4、7A4D及び13F1抗体の構築及び発現
ヒト化7A4、7A4D及び13F1抗体の軽鎖及び重鎖をコードするDNAを合成し、発現ベクターのpcDNA3.1(Invitrogen、カタログ番号V−790)にクローニングした。Freestyle293細胞(10
6個/mLで200mL)に、100μgのヒト化重鎖及び軽鎖発現プラスミドの各々をトランスフェクトし、6日間培養した。次いで、上清中のヒト化抗体をプロテインGカラム(GE healthcare)で精製した。
【0125】
実施例10:結合活性及び特異性、ならびにリガンド(PD−L1)妨害活性におけるヒト化抗PD−1抗体の特徴付け
ヒト化13F1−hIgG1、13F1−hIgG4、7A4−IgG1及び7A4−hIgG4抗体の生成及び精製後、抗体の結合及び特異性を、ELISAに基づく結合及びPD−1妨害分析、加えてFACSに基づく結合及びPD−L1妨害分析に基づいて決定した。使用した方法は、実施例2及び4で上に記載したものと同様であった。
【0126】
ELISAに基づく結合アッセイでは、ヒト化13F1抗体のhu−13F1−hIgG1及びhu−13F1−hIgG4は、キメラ抗体の13F1−キメラと比較して類似したPD−1への結合を示し(
図6A、上部パネル);ヒト化7A4抗体のhu−7A4−D265A−hIgG1及び7A4−huIgG4は、キメラ7A4抗体と比較して類似したPD−1への結合を示した(
図6B、上部パネル)。対照的に、アイソタイプ対照hIgG4抗体は、PD−1結合を示さなかった。
図6A及び
図6Bの下部パネルは、ELISA結合データから計算した、試験した抗体の各々のEC50を示し、ヒト化13F1及び7A4抗体がPD−1結合を示したことを実証している。
【0127】
同様に、FACSに基づく結合アッセイでは、ヒト化13F1抗体のhu−13F1−hIgG1及びhu−13F1−hIgG4(
図7A、上部パネル)ならびにヒト化7A4抗体のhu−7A4−D265A−hIgG1及び7A4−huIgG4(
図7B、上部パネル)が、PD−1への結合を示した。ヒト化13F1及び7A4抗体のFACS結合データから計算したEC50を、それぞれ
図7A及び
図7Bに示す。
【0128】
図8は、ヒト化13F1抗体及びヒト化7A4抗体のELISAに基づくリガンドブロッキングアッセイの結果を示す。
図8A及び
図8Bに示すように、それぞれヒト化13F1及び7A4抗体は、対応するキメラ抗体と比較して類似したリガンド妨害活性を示した。ヒト化及びキメラ抗体の各々について、IC50の定量化を
図8Cに示す。
【0129】
図9は、ヒト化13F1抗体及びヒト化7A4抗体の各々が、FACSに基づくリガンド妨害アッセイにより測定されるようにPD−L1結合をブロックしたことを示す。
図9の下部パネルは、ヒト化抗体の各々のIC50を提供する。
【0130】
実施例11:ヒト化13F1、7A4及び7A4D抗PD−1抗体のBiacore速度論的分析
ヒト化抗体の結合特性を特徴付けるために、PD−1とPD−1抗体との間の結合速度をBiacore3000により測定し、1Hzのデータ収集速度で記録した。ポリクローナルウサギ抗マウスIgG(GE、BR−1008−38)を10mMのpH5.0の酢酸ナトリウムで希釈し、およそ15000RUでCM5バイオセンサーチップの参照用及び実験用フローセルにamine coupling kit(GE、BR10050)を使用して固定化した。各サイクルの開始時に、希釈した試験抗体(1.5μg/ml)を、捕捉するために1分間実験フローセルに注入した。PD−1分析物系列は、ストックをランニング緩衝液で100nMまで希釈し、続いて同じ緩衝液中で0.78nMに至るまで連続2倍希釈を行って調製した。分析物を30μL/分の流速で3分間、参照用及び実験用フローセルに連続して注入した。次いで、ランニング緩衝液(0.05%のP20を加えたPBS)を30μL/分の流速で10分間にわたって流した。各サイクルの最後に、バイオセンサー表面を、10μL/分の流速で10mMのpH1.7のグリシン−HCl緩衝液を3分間注入して再生した。各分析物試料の注入(すなわち、各サイクル)について、同時に記録した参照表面での応答を差し引き、続いて単一参照用のランニング緩衝液試料での応答をさらに差し引いて、実験バイオセンサー表面から得られた結合応答を二重参照した。結合及び解離速度定数(ka及びkd)を、Biaevaluation 4.0ソフトウェアを使用して、力価測定系列全体の二重参照したセンサーグラムをラングミュアモデル(1:1)にフィッティングすることにより同時に決定した。解離定数、すなわちKDを、決定した速度定数から関係KD=kd/kaによって計算した。
図10及び
図17Aに示すように、ヒト化抗PD−1抗体の13F1、7A4、及び7A4Dは、高い親和性でヒトPD−1と結合した。Biocore結合曲線を
図10及び
図17Aの上部パネルに示し、定量化結合データを
図10及び
図17Aの下部パネルにまとめる。
図17Bは、7A4D−hIgG4抗体による、293T−PD1細胞に対するPD−L1の結合の妨害IC50を示す。
【0131】
実施例12:混合リンパ球反応(MLR)におけるサイトカイン産生に対するヒト化抗PD−1抗体の効果
混合リンパ球反応(MLR)を用いて、ヒト化抗体がリンパ球エフェクター細胞のPD−1経路をブロックする能力を実証した。アッセイでは、抗PD−1抗体の存在下または非存在下におけるIFNγ及びIL−2分泌についてT細胞を試験した。ヒトCD4
+T細胞を、CD4の陰性選択アイソレーションキット(Mitenyi Biotech、カタログ番号130−091−155)を使用してヒトPBMCから精製した。未熟樹状細胞(DC)を、Mo−DC Generation Toolbox(Miltenyi、カタログ番号130−093−568)を使用してヒトPBMCから単離した単球から得た。細胞をMo−DC分化培地で7日間培養し、次いで成熟DCとなるようにMo−Dc Maturation mediumで2日間誘導した。MLRを設定するために、10
5個の精製T細胞及び10
4個の同種異系成熟DC細胞を各ウェルに添加し、総体積を200μlとした。試験する抗体を、20μg/ml〜0.002μg/mlの濃度範囲でアッセイした。抗体なし、またはアイソタイプ対照抗体(hIgG4)のいずれかを陰性対照として使用した。細胞を37℃で5日間培養した。6日目に、培地中のIFN−γ及びIL−2のレベルを、IL−2 ELISAキット(eBioscience)及びhIFN−γ ELISA kit(R&D、カタログ番号DY285)を使用して測定した。ヒト化13F1抗体について、結果を
図11(IL−2産生)及び
図12(IFNγ産生)に示す。ヒト化13F1抗体の各々は、濃度依存的様式でIL−2及びIFNγ産生を促進した。同様に、ヒト化7A4及び7A4D抗体は、濃度依存的様式でIL−2(
図13及び18)及びIFNγ(
図14及び19)産生を促進した。アイソタイプ対照抗体を含有する培養物は、IFN−γ及びIL−2分泌の増加を示さなかった。したがって、試験の結果は、ヒト化PD−1抗体がPD−1経路をブロックし、T細胞免疫応答を刺激することを示した。
【0132】
実施例13:破傷風トキソイド負荷に対するヒトリコールT細胞応答をヒト化抗PD−1抗体により増強する
抗原特異的T細胞受容体の誘発が、PD−1/PD−L1経路を抗PD−1抗体でブロックすることにより調節されたか否かを調査するために、ヒトT細胞リコールアッセイを用いて、破傷風トキソイド(TT)抗原を使用し、健康なTT免疫化ドナーの血中における既存のメモリーT細胞を刺激した。この目的のために、TT免疫化ドナーから最近採取した新鮮なPBMC(1年未満に採取した試料)を、80U/mlのペニシリン、80g/mlのストレプトマイシン及び30%の自己血清を補充したRPMI1640(Invitrogen、カタログ番号A10491−01)を使用して、4×10
5個の細胞/ウェルで96ウェル丸底プレート(costar、カタログ番号3799)に播種した。ヒト化13F1または7A4抗体を種々の濃度で添加し、0.1ug/mlのSEB及び1ug/mlのTT(Astarte Biologies)で刺激した。37℃、5%CO
2で7日間の共培養後、上清を採取してIFN−γの濃度を測定した。試験の結果を
図15に示し、これはTT抗原単独と比較して、抗PD−1抗体でのPD−L1妨害が、メモリーT細胞によるIFN−γ分泌の増強をもたらしたことを実証する。
【0133】
実施例14:自己T細胞活性化に対するヒト化抗PD−1抗体の効果
本実施例では、T細胞活性化に対する、ヒト化抗PD−1抗体によりPD−/PD−L1経路をブロックすることの効果を検査した。精製したヒトCD4+T細胞(Mitenyi Biotech、カタログ番号130−091−155)を、自己単球由来樹状細胞(DC)の存在下で1μg/mlの可溶性抗CD3抗体(R&D、カタログ番号MAB100)で活性化した。力価測定用抗PD−1抗体の存在下または非存在下における活性化から3日後、培地を採取してIFNγの濃度をELISAで測定した。結果を
図16に示し、これは抗PD−1抗体によるPD−L1妨害が、T細胞によるIFN−γ分泌を増強したことを示している。