(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
炭素原子数が2以上10以下のα−オレフィンから導かれる構成単位(A)と
、下記一般式(1)で表されるフッ素含有環状オレフィンから導かれる構成単位(B)と
を少なくとも有し、さらに下記一般式(2)で表される環状オレフィンから導かれる構成単位(C)
を有していてもよいフッ素含有環状オレフィン系共重合体であって、
前記フッ素含有環状オレフィン系共重合体中の前記構成単位(A)、前記構成単位(B)および前記構成単位(C)の合計含有量を100モル%としたとき、
前記フッ素含有環状オレフィン系共重合体中の前記構成単位(A)の含有量が40モル%以上80モル%以下であり、
前記フッ素含有環状オレフィン系共重合体中の前記構成単位(B)の含有量が20モル%以上40モル%以下であり、
前記フッ素含有環状オレフィン系共重合体中の前記構成単位(C)の含有量が0モル%以上20モル%以下であり、
示差走査熱量計(DSC)で測定される、前記フッ素含有環状オレフィン系共重合体のガラス転移温度(Tg)が100℃以上180℃以下であるフッ素含有環状オレフィン系共重合体。
【化1】
(前記一般式(1)中、R
1〜R
4はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、置換または無置換のアルキル基、フッ素原子を含有するアルキル基、フッ素原子を含有するアルコキシ基、フッ素原子を含有するエーテル結合含有アルキル基、あるいは、−COOR
5または−OCOR
5で表される置換基を表し、R
1〜R
4のうちの少なくとも2つが互いに結合して環構造を形成していてもよい。R
5は置換または無置換のアルキル基、あるいは、フッ素原子を含有するアルキル基である。R
1〜R
4中に少なくとも1つのフッ素原子を含む。mは0または1を表す。)
【化2】
(前記一般式(2)中、R
6〜R
9はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、あるいは、−COOR
10または−OCOR
10で表される置換基を表し、R
6〜R
9のうちの少なくとも2つが互いに結合して環構造を形成していてもよい。R
10は置換または無置換のアルキル基である。nは0または1を表す。)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らの検討によれば、特許文献1に具体的に開示されている環状オレフィン系重合体は成形性について改善の余地があることが明らかになった。また、本発明者らの検討によれば、特許文献2に具体的に開示されている環状オレフィン系重合体はガラス転移温度が低く、耐熱性について改善の余地があることが明らかになった。
すなわち、従来の環状オレフィン系重合体は、高屈折率、高アッベ数および高耐熱性を有しながら、成形性を向上させるという点において改善の余地があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、成形性に優れるとともに、高屈折率、高アッベ数および高耐熱性を有する成形体を得ることが可能なフッ素含有環状オレフィン系共重合体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、α−オレフィンから導かれる構成単位と、フッ素含有環状オレフィンから導かれる構成単位と、環状オレフィンから導かれる構成単位と、を特定の割合で含むフッ素含有環状オレフィン系共重合体が、成形性に優れるとともに、高屈折率、高アッベ数および高耐熱性を有する成形体を実現できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明によれば、以下に示すフッ素含有環状オレフィン系共重合体および成形体が提供される。
【0011】
[1]
炭素原子数が2以上10以下のα−オレフィンから導かれる構成単位(A)と
、下記一般式(1)で表されるフッ素含有環状オレフィンから導かれる構成単位(B)と
を少なくとも有し、さらに下記一般式(2)で表される環状オレフィンから導かれる構成単位(C)
を有していてもよいフッ素含有環状オレフィン系共重合体であって、
上記フッ素含有環状オレフィン系共重合体中の上記構成単位(A)、上記構成単位(B)および上記構成単位(C)の合計含有量を100モル%としたとき、
上記フッ素含有環状オレフィン系共重合体中の上記構成単位(A)の含有量が40モル%以上80モル%以下であり、
上記フッ素含有環状オレフィン系共重合体中の上記構成単位(B)の含有量が20モル%以上40モル%以下であり、
上記フッ素含有環状オレフィン系共重合体中の上記構成単位(C)の含有量が0モル%以上20モル%以下であり、
示差走査熱量計(DSC)で測定される、上記フッ素含有環状オレフィン系共重合体のガラス転移温度(Tg)が100℃以上180℃以下であるフッ素含有環状オレフィン系共重合体。
【化1】
(上記一般式(1)中、R
1〜R
4はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、置換または無置換のアルキル基、フッ素原子を含有するアルキル基、フッ素原子を含有するアルコキシ基、フッ素原子を含有するエーテル結合含有アルキル基、あるいは、−COOR
5または−OCOR
5で表される置換基を表し、R
1〜R
4のうちの少なくとも2つが互いに結合して環構造を形成していてもよい。R
5は置換または無置換のアルキル基、あるいは、フッ素原子を含有するアルキル基である。R
1〜R
4中に少なくとも1つのフッ素原子を含む。mは0または1を表す。)
【化2】
(上記一般式(2)中、R
6〜R
9はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、あるいは、−COOR
10または−OCOR
10で表される置換基を表し、R
6〜R
9のうちの少なくとも2つが互いに結合して環構造を形成していてもよい。R
10は置換または無置換のアルキル基である。nは0または1を表す。)
[2]
上記[1]に記載のフッ素含有環状オレフィン系共重合体において、
上記一般式(1)においてmが1であるフッ素含有環状オレフィン系共重合体。
[3]
上記[1]または[2]に記載のフッ素含有環状オレフィン系共重合体において、
上記α−オレフィンがエチレンを含むフッ素含有環状オレフィン系共重合体。
[4]
上記[1]乃至[3]のいずれか一つに記載のフッ素含有環状オレフィン系共重合体において、
上記一般式(1)においてmが1であり、R
1〜R
4のうちの少なくとも3つがフッ素原子であるフッ素含有環状オレフィン系共重合体。
[5]
上記[1]乃至[4]のいずれか一つに記載のフッ素含有環状オレフィン系共重合体において、
上記フッ素含有環状オレフィン系共重合体からなる厚さ1.0mmの射出成形シートを作製したとき、当該射出成形シートのアッベ数(ν)が50以上であるフッ素含有環状オレフィン系共重合体。
[6]
上記[1]乃至[5]のいずれか一つに記載のフッ素含有環状オレフィン系共重合体において、
上記フッ素含有環状オレフィン系共重合体からなる厚さ1.0mmの射出成形シートを作製したとき、ASTM D542に準じて測定される上記射出成形シートの波長589nmにおける屈折率(nd)が1.37以上であるフッ素含有環状オレフィン系共重合体。
[7]
上記[1]乃至[6]のいずれか一つに記載のフッ素含有環状オレフィン系共重合体を含む成形体。
[8]
光学レンズである上記[7]に記載の成形体。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、成形性に優れるとともに、高屈折率、高アッベ数および高耐熱性を有する成形体を得ることが可能なフッ素含有環状オレフィン系共重合体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。なお、本実施形態では、数値範囲を示す「A〜B」は特に断りがなければ、A以上B以下を表す。
【0014】
[フッ素含有環状オレフィン系共重合体]
まず、本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)について説明する。
本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)は、炭素原子数が2以上10以下のα−オレフィンから導かれる構成単位(A)と、下記一般式(1)で表されるフッ素含有環状オレフィンから導かれる構成単位(B)と
を少なくとも有し、さらに、下記一般式(2)で表される環状オレフィンから導かれる構成単位(C)
を有していてもよい。
そして、上記フッ素含有環状オレフィン系共重合体中の上記構成単位(A)、上記構成単位(B)および上記構成単位(C)の合計含有量を100モル%としたとき、上記フッ素含有環状オレフィン系共重合体中の上記構成単位(A)の含有量が40モル%以上80モル%以下であり、上記フッ素含有環状オレフィン系共重合体中の上記構成単位(B)の含有量が20モル%以上40モル%以下であり、上記フッ素含有環状オレフィン系共重合体中の上記構成単位(C)の含有量が0モル%以上20モル%以下であり、示差走査熱量計(DSC)で測定される、上記フッ素含有環状オレフィン系共重合体のガラス転移温度(Tg)が100℃以上180℃以下である。
【0015】
【化3】
(上記一般式(1)中、R
1〜R
4はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、置換または無置換のアルキル基、フッ素原子を含有するアルキル基、フッ素原子を含有するアルコキシ基、フッ素原子を含有するエーテル結合含有アルキル基、あるいは、−COOR
5または−OCOR
5で表される置換基を表し、R
1〜R
4のうちの少なくとも2つが互いに結合して環構造を形成していてもよい。R
5は置換または無置換のアルキル基、あるいは、フッ素原子を含有するアルキル基である。R
1〜R
4中に少なくとも1つのフッ素原子を含む。mは0または1を表す。)
【0016】
【化4】
(上記一般式(2)中、R
6〜R
9はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、あるいは、−COOR
10または−OCOR
10で表される置換基を表し、R
6〜R
9のうちの少なくとも2つが互いに結合して環構造を形成していてもよい。R
10は置換または無置換のアルキル基である。nは0または1を表す。)
【0017】
本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)は、炭素原子数が2以上10以下のα−オレフィンから導かれる構成単位(A)、上記一般式(1)で表されるフッ素含有環状オレフィンから導かれる構成単位(B)および上記一般式(2)で表される環状オレフィンから導かれる構成単位(C)を上記割合でそれぞれ含み
(ただし構造単位(C)の割合は0モル%である場合もある)、かつ、ガラス転移温度が上記範囲内であることにより、光学レンズ等に求められる高屈折率、高アッベ数および高耐熱性を満足しながら、成形性を向上させることができる。
以上から、本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)によれば、成形性に優れるとともに、高屈折率、高アッベ数および高耐熱性を有する成形体を得ることが可能となる。
【0018】
(炭素原子数が2以上10以下のα−オレフィンから導かれる構成単位(A))
本実施形態に係る構成単位(A)は炭素原子数が2以上10以下のα−オレフィン由来の構成単位である。炭素原子数が2以上10以下のα−オレフィンは直鎖状でも分岐状でもよい。このようなα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等の炭素原子数が2以上10以下の直鎖状α−オレフィン;4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン等の炭素原子数が4以上10以下の分岐状α−オレフィン等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数が2以上4以下の直鎖状α−オレフィンが好ましく、エチレンが特に好ましい。このようなα−オレフィンは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)中の上記構成単位(A)、上記構成単位(B)および上記構成単位(C)の合計含有量を100モル%としたとき、本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)中の上記構成単位(A)の含有量は、好ましくは40モル%以上80モル%以下、より好ましくは50モル%以上78モル%以下、さらに好ましくは60モル%以上75モル%以下である。
上記構成単位(A)の含有量が上記下限値以上であることにより、得られる成形体の耐熱性、屈折率およびアッベ数を良好に保ちつつ、フッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)の成形性をより良好にすることができる。また、上記構成単位(A)の含有量が上記上限値以下であることにより、フッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)の成形性や、得られる成形体の屈折率、アッベ数および透明性等の光学特性を良好に保ちつつ、得られる成形体の耐熱性をより向上させることができる。
本実施形態において、構成単位(A)の含有量は、例えば、
1H−NMRまたは
13C−NMRによって測定することができる。
【0020】
(フッ素含有環状オレフィンから導かれる構成単位(B))
本実施形態に係る構成単位(B)は上記一般式(1)で表されるフッ素含有環状オレフィン由来の構成単位である。
上記一般式(1)中のR
1〜R
4における置換または無置換のアルキル基としては、炭素原子数1〜30が好ましく、より好ましくは炭素原子数1〜20であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基等が挙げられる。
置換アルキル基としては、例えば、アラルキル基、ヒドロキシアルキル基(例えばヒドロキシエチル基)、アルコキシアルキル基(例えば、メトキシエチル基)等が挙げられる。
アラルキル基は、炭素原子数7〜30が好ましく、より好ましくは炭素原子数7〜20であり、例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基等が挙げられる。
置換アルキル基のその他の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)等を挙げることができる。
上記R
1〜R
4におけるフッ素原子を含有するアルキル基としては、例えば、炭素原子数1〜30の含フッ素アルキル基を挙げることができ、炭素原子数1〜10のパーフルオロアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜4のパーフルオロアルキル基がより好ましい。
上記R
1〜R
4におけるフッ素原子を含有するアルコキシ基としては、例えば、炭素原子数1〜30のフッ素原子を含有するアルコキシ基を挙げることができ、炭素原子数1〜10のパーフルオロアルコキシ基が好ましい。
上記R
1〜R
4におけるフッ素原子を含有するエーテル結合含有アルキル基としては、例えば、炭素原子数1〜30のフッ素原子を含有するアルコキシ基を挙げることができ、炭素原子数1〜10のパーフルオロアルコキシ基が好ましい。
上記R
1〜R
4において、−COOR
5または−OCOR
5も好ましく、R
5は、置換または無置換のアルキル基、あるいは、フッ素原子を含有するアルキル基であり、フッ素原子を含有するアルキル基であることがより好ましい。また、−COOR
5および−OCOR
5のうち、−COOR
5の方が好ましい。ここで、R
5における置換または無置換のアルキル基、およびフッ素原子を含有するアルキル基の例としては、上記R
1〜R
4において挙げた例と同様のものを挙げることができる。
【0021】
上記R
1〜R
4は、フッ素原子、フッ素原子を含有するアルキル基、フッ素原子を含有するアルコキシ基であることが好ましく、フッ素原子、フッ素原子を含有するアルキル基であることがより好ましい。
上記R
1〜R
4の少なくとも2つは、互いに結合して環構造を形成していてもよい。環構造は単環であっても多環であってもよい。例えば、R
1〜R
4の2つが互いに結合してアルキレン基を形成する場合などを例示することができ、さらに具体的には、R
1かR
2のいずれかと、R
3とR
4のいずれかと、が互いに結合してアルキレン基を形成する場合を挙げることができる。なお、R
1〜R
4は互いに結合して環構造を形成していないことが好ましい。
上記R
1〜R
4中に少なくとも1つのフッ素原子を含み、上記R
1〜R
4中に3つ以上のフッ素原子を含むことが好ましく、上記R
1〜R
4中に少なくとも1つのトリフロロメチル基(−CF
3基)を含むことがさらに好ましい。
【0022】
上記一般式(1)中のmは0または1を表し、1であることが好ましい。また、上記一般式(1)において、mが1であり、かつ、上記R
1〜R
4のうちの少なくとも3つがフッ素原子であることがより好ましい。また、上記一般式(1)において、mが1であり、上記R
1〜R
4のうちの3つがフッ素原子であり、上記R
1〜R
4のうちの1つがトリフロロメチル基(−CF
3基)であることが特に好ましい。
【0023】
本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)中の上記構成単位(A)、上記構成単位(B)および上記構成単位(C)の合計含有量を100モル%としたとき、本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)中の上記構成単位(B)の含有量は、20モル%以上40モル%以下、好ましくは20モル%以上35モル%以下、より好ましくは20モル%以上33モル%以下である。
上記構成単位(B)の含有量が上記下限値以上であることにより、フッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)の成形性や、得られる成形体の屈折率、アッベ数および透明性等の光学特性を良好に保ちつつ、得られる成形体の耐熱性をより向上させることができる。また、上記構成単位(B)の含有量が上記上限値以下であることにより、得られる成形体の耐熱性、屈折率およびアッベ数を良好に保ちつつ、フッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)の成形性をより良好にすることができる。
本実施形態において、構成単位(B)の含有量は、例えば、
1H−NMRまたは
13C−NMRによって測定することができる。
【0024】
(環状オレフィンから導かれる構成単位(C))
本実施形態に係る構成単位(C)は上記一般式(2)で表される環状オレフィン由来の構成単位である。
上記一般式(2)中のR
6〜R
9における置換または無置換のアルキル基としては、炭素原子数1〜30が好ましく、より好ましくは炭素原子数1〜20であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基等が挙げられる。
置換アルキル基としては、例えば、アラルキル基、ヒドロキシアルキル基(例えばヒドロキシエチル基)、アルコキシアルキル基(例えば、メトキシエチル基)等が挙げられる。
アラルキル基は、炭素原子数7〜30が好ましく、より好ましくは炭素原子数7〜20であり、例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基等が挙げられる。
置換アルキル基のその他の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)等を挙げることができる。
上記R
6〜R
9において、−COOR
10または−OCOR
10も好ましく、R
10は、置換または無置換のアルキル基である。また、−COOR
10および−OCOR
10のうち、−COOR
10の方が好ましい。ここで、R
10における置換または無置換のアルキル基の例としては、上記R
6〜R
9において挙げた例と同様のものを挙げることができる。
【0025】
上記R
6〜R
9は水素原子であることが好ましい。
上記R
6〜R
9の少なくとも2つは、互いに結合して環構造を形成していてもよい。環構造は単環であっても多環であってもよい。例えば、R
6〜R
9の2つが互いに結合してアルキレン基を形成する場合などを例示することができ、さらに具体的には、R
6かR
7のいずれかと、R
8とR
9のいずれかとが互いに結合してアルキレン基を形成する場合を挙げることができる。なお、R
6〜R
9は互いに結合して環構造を形成していないことが好ましい。
また、上記R
6〜R
9のうちの少なくとも1つが水素原子であることが好ましく、少なくとも2つが水素原子であることがより好ましく、少なくとも3つが水素原子であることがさらに好ましく、4つが水素原子であることが特に好ましい。
【0026】
上記一般式(2)中のnは0または1を表し、1であることが好ましい。また、上記一般式(2)において、nが1であり、かつ、上記R
6〜R
9のうちの少なくとも3つが水素原子であることがより好ましい。また、上記一般式(1)において、nが1であり、上記R
6〜R
9のすべてが水素原子であることが特に好ましい。
【0027】
本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)中の上記構成単位(A)、上記構成単位(B)および上記構成単位(C)の合計含有量を100モル%としたとき、本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)中の上記構成単位(C)の含有量は、0モル%以上20モル%以下、好ましくは1モル%以上15モル%以下、より好ましくは3モル%以上12モル%以下である。
上記構成単位(C)の含有量が上記範囲内であることにより、成形性、屈折率、およびアッベ数のバランスをより一層良好にすることができる。
本実施形態において、構成単位(B)の含有量は、例えば、
1H−NMRまたは
13C−NMRによって測定することができる。
【0028】
本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)の共重合タイプは特に限定されないが、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体等を挙げることができる。本実施形態においては、透明性、アッベ数、屈折率および複屈折率等の光学物性に優れる成形体を得ることができる観点から、本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)としてはランダム共重合体であることが好ましい。
【0029】
本実施形態においてフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)は1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)は、例えば、特開昭60−168708号公報、特開昭61−120816号公報、特開昭61−115912号公報、特開昭61−115916号公報、特開昭61−271308号公報、特開昭61−272216号公報、特開昭62−252406号公報、特開昭62−252407号公報等の方法に従い適宜条件を選択することにより製造することができる。
【0031】
本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)において、フッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)からなる厚さ1.0mmの射出成形シートを作製したとき、ASTM D542に準じて測定される上記射出成形シートの波長589nmにおける屈折率(nd)は好ましくは1.37以上、より好ましくは1.39以上、さらに好ましくは1.42以上、特に好ましくは1.45以上である。上記屈折率(nd)の上限は特に限定されないが、例えば、1.60以下である。
屈折率が上記範囲内であると、本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)を用いて得られる成形体の光学特性を良好に保ちつつ、厚みをより薄くすることができる。
【0032】
また、本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)において、得られる成形体の透明性をより向上させる観点から、フッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)からなる厚さ1.0mmの射出成形シートを作製したとき、JIS K7136に準拠して測定される上記射出成形シートのヘイズが好ましくは5%未満である。
【0033】
また、本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)において、得られる成形体の色収差低減の観点からフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)からなる厚さ1.0mmの射出成形シートを作製したとき、上記射出成形シートのアッベ数(ν)は、好ましくは50以上、より好ましくは55以上、さらに好ましくは58以上である。上記アッベ数(ν)の上限は特に限定されないが、例えば、80以下であり、好ましくは70以下である。
上記射出成形シートのアッベ数(ν)は、当該射出成形シートの23℃下での波長486nm、589nmおよび656nmの屈折率から、下記式を用いて算出することができる。
ν=(nD−1)/(nF−nC)
nD:波長589nmでの屈折率
nC:波長656nmでの屈折率
nF:波長486nmでの屈折率
【0034】
また、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(P)において、得られる成形体の複屈折をより適した範囲に調整する観点から、環状オレフィン系共重合体(P)からなる厚さ1.0mmの射出成形シートを作製したとき、上記射出成形シートの複屈折は、好ましくは1nm以上200nm以下である。
本実施形態において、上記射出成形シートの複屈折は、王子計測機器社製のKOBRA CCDを用いて、測定波長650nmで測定される、ゲート方向から20〜35mmの位相差の平均値である。
【0035】
示差走査熱量計(DSC)で測定される、本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)のガラス転移温度(Tg)は100℃以上180℃以下であるが、得られる成形体の透明性、ヘイズ、アッベ数、複屈折および屈折率等の光学特性を良好に保ちつつ、得られる成形体の耐熱性およびフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)の成形性のバランスをより向上させる観点から、好ましくは120℃以上190℃以下であり、より好ましくは130℃以上180℃以下、さらに好ましくは140℃以上175℃以下である。
【0036】
本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)の極限粘度[η](135℃デカリン中)は、例えば0.05〜5.0dl/gであり、好ましくは0.2〜4.0dl/gであり、さらに好ましくは0.3〜2.0dl/g、特に好ましくは0.4〜1.0dl/gである。
【0037】
[成形体]
本実施形態に係る成形体は、本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)を含む成形体である。
本実施形態に係る成形体は、本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)を含むため、透明性、ヘイズ、複屈折、耐薬品性および低吸湿性等のバランスに優れるとともに、さらに高屈折率、高アッベ数および高耐熱性を有する。そのため、光学レンズの用途に好適である。
【0038】
本実施形態に係る成形体は光学特性に優れるため、例えば、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ、OHP用レンズ、マイクロレンズアレイ等の光学レンズとして好適に用いることができる。
【0039】
また、本実施形態に係る成形体中のフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)の含有量は、透明性、ヘイズ、複屈折、耐熱性、アッベ数および屈折率の性能バランスをより向上させる観点から、当該成形体の全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは70質量%以上100質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以上100質量%以下であり、特に好ましくは90質量%以上100質量%以下である。
【0040】
本実施形態に係る成形体は、フッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)を含む樹脂組成物を所定の形状に成形することにより得ることができる。フッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)を含む樹脂組成物を成形して成形体を得る方法としては特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。その用途および形状にもよるが、例えば、押出成形、射出成形、圧縮成形、インフレーション成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、プレス成形、真空成形、パウダースラッシュ成形、カレンダー成形、発泡成形等が適用可能である。これらの中でも、成形性、生産性の観点から射出成形法が好ましい。また、成形条件は使用目的、または成形方法により適宜選択されるが、例えば射出成形における樹脂温度は、通常150℃〜400℃、好ましくは200℃〜350℃、より好ましくは230℃〜330℃の範囲で適宜選択される。
【0041】
本実施形態に係る成形体は、レンズ形状、球状、棒状、板状、円柱状、筒状、チューブ状、繊維状、フィルムまたはシート形状等の種々の形態で使用することができる。
【0042】
本実施形態に係る成形体には、必要に応じて、本実施形態に係る成形体の良好な物性を損なわない範囲内で任意成分として公知の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、フェノール系安定剤、高級脂肪酸金属塩、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、塩酸吸収剤、金属不活性化剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、スリップ剤、核剤、可塑剤、難燃剤、リン系安定剤等を本発明の目的を損なわない程度に配合することができ、その配合割合は適宜量である。
【0043】
本実施形態に係る光学レンズは、上記光学レンズとは異なる光学レンズと組み合わせて光学レンズ系としてもよい。
すなわち、本実施形態に係る光学レンズ系は、本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)を含む成形体により構成された第1の光学レンズと、上記第1の光学レンズとは異なる第2の光学レンズと、備える。
【0044】
上記第2の光学レンズとしては特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂により構成された光学レンズを用いることができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何等制限されるものではない。
【0047】
<フッ素含有環状オレフィン系共重合体の製造>
[製造例1]
攪拌装置を備えた容積500mlのガラス製反応容器に不活性ガスとして窒素を50Nl/hrの流量で60分間流通させた後、トルエン(72ml)および下記式で表されるフッ素含有テトラシクロドデセン誘導体(141mmol、以下、F6−TDとも呼ぶ。)を加えた。次いで回転数600rpmで重合溶媒を攪拌しながら溶媒温度を25℃に昇温した。溶媒温度が所定の温度に達した後、窒素ガスを25Nl/hr、エチレンを25Nl/hr、水素を5Nl/hrの供給速度で反応容器に流通させ、10分経過した後に、PMAO(5mmol)、FI触媒のトルエン溶液(0.02mmol)をガラス製反応容器に添加し、重合を開始させた。
10分間経過した後、イソブチルアルコールを5ml添加して重合を停止させ、エチレンおよびF6−TDの共重合体を含む重合溶液を得た。その後、重合溶液をトルエン200mlで希釈し、希釈重合溶液の4倍のアセトン/メタノール(3/1、体積比)および塩酸5mlを入れた容積2Lのビーカーに攪拌下加えて共重合体を析出させ、さらに析出した共重合体を濾過により濾液と分離した。得られた溶媒を含む重合体を130℃で10時間減圧乾燥を行ったところ、白色パウダー状のエチレン・F6−TD共重合体2.1gが得られた。
以上により、フッ素含有環状オレフィン系共重合体(P−1)を得た。
【0048】
【化5】
【0049】
[製造例2]
攪拌装置を備えた容積500mlのガラス製反応容器に不活性ガスとして窒素を50Nl/hrの流量で60分間流通させた後、シクロヘキサン、テトラシクロ[4.4.0.1
2,5.1
7,10]−3−ドデセン(0.5mmol、以下、テトラシクロドデセンとも呼ぶ。)および上記式で表されるF6−TD(140mmol)を加えた。次いで回転数600rpmで重合溶媒を攪拌しながら溶媒温度を25℃に昇温した。溶媒温度が所定の温度に達した後、窒素25Nl/hr、エチレンを25Nl/hr、水素を5Nl/hrの供給速度で反応容器に流通させ、10分経過した後に、PMAO(5mmol)、FI触媒のトルエン溶液(0.02mmol)をガラス製反応容器に添加し、重合を開始させた。
10分間経過した後、イソブチルアルコールを5ml添加して重合を停止させ、エチレン、テトラシクロドデセンおよびF6−TDの共重合体を含む重合溶液を得た。その後、重合溶液をトルエン200mlで希釈し、希釈重合溶液の4倍のアセトン/メタノール(3/1、体積比)および塩酸5mlを入れた容積2Lのビーカーに攪拌下加えて共重合体を析出させ、さらに析出した共重合体を濾過により濾液と分離した。得られた溶媒を含む重合体を130℃で10時間減圧乾燥を行ったところ、白色パウダー状のエチレン・テトラシクロドデセン・F6−TD共重合体2.6gが得られた。
以上により、フッ素含有環状オレフィン系共重合体(P−2)を得た。
【0050】
[製造例3]
攪拌装置を備えた容積500mlのガラス製反応容器に不活性ガスとして窒素を50Nl/hrの流量で60分間流通させた後、シクロヘキサンおよび下記式で表されるF6−TD(70.8mmol)を加えた。次いで回転数600rpmで重合溶媒を攪拌しながら溶媒温度を25℃に昇温した。溶媒温度が所定の温度に達した後、窒素25Nl/hr、エチレンを25Nl/hr、水素を5Nl/hrの供給速度で反応容器に流通させ、10分経過した後に、PMAO(5mmol)、FI触媒のトルエン溶液(0.004mmol)をガラス製反応容器に添加し、重合を開始させた。
10分間経過した後、イソブチルアルコールを5ml添加して重合を停止させ、エチレンおよびF6−TDの共重合体を含む重合溶液を得た。その後、重合溶液をトルエン200mlで希釈し、希釈重合溶液の4倍のアセトン/メタノール(3/1、体積比)および塩酸5mlを入れた容積2Lのビーカーに攪拌下加えて共重合体を析出させ、さらに析出した共重合体を濾過により濾液と分離した。得られた溶媒を含む重合体を130℃で10時間減圧乾燥を行ったところ、白色パウダー状のエチレン・F6−TD共重合体2.8gが得られた。
以上により、フッ素含有環状オレフィン系共重合体(P−3)を得た。
【0051】
[製造例4]
窒素雰囲気下、パラジウムビスアセチルアセトナート0.1mmolとトリシクロヘキシルホスフィン0.11mmolをトルエン5mLに溶解させ、室温で10分撹拌して触媒溶液を調製した。窒素雰囲気下、撹拌子を備えた100mlのガラス製ナスフラスコに、トルエン20ml、F6−TD 10mmolを添加した。マグネチックスターラーで撹拌しながら、触媒溶液を添加し、80℃で3時間反応させた。反応後の溶液を300mlのトルエンで希釈し、アセトン1200mlを入れた容積2Lのビーカーに撹拌下ゆっくり加えて重合体を析出させ、析出した重合体を濾過により濾液と分離した。得られた溶媒を含む重合体を130℃で10時間減圧乾燥させて、微灰色パウダー状のF6−TD付加重合体2.5gが得られた。
【0052】
<実施例1〜2および比較例1〜2>
各実施例および比較例において、各種物性は下記の方法によって測定または評価した。得られた結果を表1にそれぞれ示す。
【0053】
[フッ素含有環状オレフィン系共重合体を構成する各構成単位の含有量の測定方法]
エチレン、F6−TDおよびテトラシクロドデセンの含有量は、日本電子社製「ECA500型」核磁気共鳴装置を用い、下記条件で測定することにより行った。
溶媒:重テトラクロロエタン
サンプル濃度:50〜100g/l−solvent
パルス繰り返し時間:5.5秒
積算回数:6000〜16000回
測定温度:120℃
上記のような条件で測定した
13C−NMRスペクトルにより、エチレン、F6−TDおよびテトラシクロドデセンの組成をそれぞれ定量した。
【0054】
[ガラス転移温度Tg(℃)]
島津サイエンス社製、DSC−6220を用いてN
2(窒素)雰囲気下でフッ素含有環状オレフィン系共重合体のガラス転移温度Tgを測定した。フッ素含有環状オレフィン系共重合体を常温から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温した後に5分間保持し、次いで10℃/分の降温速度で−20℃まで降温した後に5分間保持した。そして10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温する際の吸熱曲線からフッ素含有環状オレフィン系共重合体のガラス転移点(Tg)を求めた。比較例2は400℃までの昇温を行ったが、ガラス転移点(Tg)は検出されなかった。
【0055】
[極限粘度[η]]
移動粘度計(離合社製、タイプVNR053U型)を用い、フッ素含有環状オレフィン系共重合体の0.25〜0.30gを25mlのデカリンに溶解させたものを試料とした。ASTM J1601に準じ135℃にてフッ素含有環状オレフィン系共重合体の比粘度を測定し、これと濃度との比を濃度0に外挿してフッ素含有環状オレフィン系共重合体の極限粘度[η]を求めた。比較例2はデカリンに不溶解のため測定不可であった。
【0056】
[成形性評価]
製造例1〜4で合成したフッ素含有環状オレフィン系(共)重合体の成形性を以下の基準により評価した。
○:マイクロコンパウンダーで成形できた
×:溶融しないため成形できなかった
【0057】
[マイクロコンパウンダー成形]
(実施例1)
製造例1で合成したフッ素含有環状オレフィン系共重合体を、Xplore Instruments社製の小型混練機を用いて、混練温度=300℃、50rpmで5分間混練後、Xplore Instruments社製の射出成形機を用いて、シリンダ温度=300℃、射出圧力=12〜15bar、金型温度135℃の条件にて射出成形し、厚み1.0mmの射出成形シートを作製した。
【0058】
(実施例2)
製造例1で合成したフッ素含有環状オレフィン系共重合体の代わりに製造例2で合成したフッ素含有環状オレフィン系共重合体を使用し、混練温度=280℃、シリンダ温度280℃に変えた以外は実施例1と同様にして、厚み1.0mmの射出成形シートを作製した。
【0059】
(比較例1)
製造例2で合成したフッ素含有環状オレフィン系共重合体の代わりに製造例3で合成したフッ素含有環状オレフィン系共重合体を使用し、金型温度を80℃に変えた以外は実施例2と同様にして、厚み1.0mmの射出成形シートを作製した。
【0060】
(比較例2)
製造例4で合成したフッ素含有環状オレフィン付加重合体をマイクロコンパウンダー成形しようとしたが、350℃以上でも溶融しなかったため成形できなかった。
【0061】
[屈折率]
屈折率計(島津サイエンス社製 KPR200)を用いて、ASTM D542に準じて、マイクロコンパウンダーで成形した30mm×30mm×厚み1.0mmの射出成形シートの波長589nmにおける屈折率(nd)をそれぞれ測定した。
【0062】
[アッベ数(ν)]
マイクロコンパウンダーで成形した30mm×30mm×厚み1.0mmの射出成形シートについて、アッベ屈折計を用い、23℃下での波長486nm、589nmおよび656nmの屈折率を測定し、さらに下記式を用いてアッベ数(ν)を算出した。
ν=(nD−1)/(nF−nC)
nD:波長589nmでの屈折率
nC:波長656nmでの屈折率
nF:波長486nmでの屈折率
【0063】
【表1】
【0064】
以上のように、実施例のフッ素含有環状オレフィン系共重合体は、成形性に優れるとともに、高屈折率、高アッベ数および高耐熱性を有する成形体を得ることが可能であった。一方、比較例のフッ素含有環状オレフィン系共重合体は、成形性、屈折率、アッベ数および耐熱性のバランスに劣っていた。