特許第6986989号(P6986989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6986989医用レポート作成支援装置、医用レポート作成支援方法及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6986989
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】医用レポート作成支援装置、医用レポート作成支援方法及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20211213BHJP
   G16H 15/00 20180101ALI20211213BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20211213BHJP
   G06T 11/80 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   G16H10/00
   G16H15/00
   A61B5/00 D
   G06T11/80 A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-21061(P2018-21061)
(22)【出願日】2018年2月8日
(65)【公開番号】特開2019-139434(P2019-139434A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2020年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正樹
(72)【発明者】
【氏名】堀内 陽一
【審査官】 田中 寛人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−039956(JP,A)
【文献】 特開2013−069076(JP,A)
【文献】 特開2014−113311(JP,A)
【文献】 特開2012−003465(JP,A)
【文献】 特開2009−259149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00−99/00
G16H10/00−80/00
G06T11/80
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザー操作を受け付ける操作入力部と、
表示部と、
シェーマ画像と、前記操作入力部から入力された書き込み線の情報と、に基づいて、前記シェーマ画像と書き込み線とで囲まれた塗りつぶしオブジェクトを生成するオブジェクト生成部と、
前記書き込み線と前記塗りつぶしオブジェクトを同一レイヤーに設定するとともに、前記シェーマ画像を前記同一レイヤーとは異なるレイヤーに設定するレイヤー設定部と、
前記シェーマ画像、前記書き込み線及び前記塗りつぶしオブジェクトを前記レイヤー設定部によって設定されたレイヤーで前記表示部に表示させる表示制御部と、
を具備する医用レポート作成支援装置。
【請求項2】
既に表示されている特定の塗りつぶしオブジェクトに対して、前記操作入力部を介して塗りつぶし非表示操作がなされた場合、
前記表示制御部は、前記特定の塗りつぶしオブジェクトと同一レイヤーであり、前記特定の塗りつぶしオブジェクトを囲んでいる前記書き込み線を、前記特定の塗りつぶしオブジェクトとともに非表示とする、
請求項1に記載の医用レポート作成支援装置。
【請求項3】
前記書き込み線及び前記塗りつぶしオブジェクトの色の変更は、前記書き込み線と前記塗りつぶしオブジェクトとで同時に行われる、
請求項1又は請求項2に記載の医用レポート作成支援装置。
【請求項4】
ユーザー操作を受け付ける操作入力ステップと、
シェーマ画像と、前記操作入力ステップで入力された書き込み線の情報と、に基づいて、前記シェーマ画像と書き込み線とで囲まれた塗りつぶしオブジェクトを生成するオブジェクト生成ステップと、
前記書き込み線と前記塗りつぶしオブジェクトを同一レイヤーに設定するとともに、前記シェーマ画像を前記同一レイヤーとは異なるレイヤーに設定するレイヤー設定ステップと、
前記シェーマ画像、前記書き込み線及び前記塗りつぶしオブジェクトを前記レイヤー設定ステップによって設定したレイヤーで表示部に表示させる表示ステップと、
を含む医用レポート作成支援方法。
【請求項5】
医用レポート作成支援装置に用いられる医用レポート作成支援プログラムを格納し、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体であって、
前記医用レポート作成支援プログラムは、
ユーザー操作を受け付ける操作入力ステップと、
シェーマ画像と、前記操作入力ステップで入力された書き込み線の情報と、に基づいて、前記シェーマ画像と書き込み線とで囲まれた塗りつぶしオブジェクトを生成するオブジェクト生成ステップと、
前記書き込み線と前記塗りつぶしオブジェクトを同一レイヤーに設定するとともに、前記シェーマ画像を前記同一レイヤーとは異なるレイヤーに設定するレイヤー設定ステップと、
前記シェーマ画像、前記書き込み線及び前記塗りつぶしオブジェクトを前記レイヤー設定ステップによって設定したレイヤーで表示部に表示させる表示ステップと、
を含む、記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば医用端末に用いられる、医用レポート作成支援装置、医用レポート作成支援方法及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
医師は、検査や診断を行うとその記録を医用レポートとしてまとめる。この医用レポートには、検査結果である数値や画像、所見内容、診断内容、処置内容などが含まれる。
【0003】
近年、医療分野では、業務の効率化を図るため、医用画像やカルテなどの電子化が進められている。例えば特許文献1などでは、医用ネットワークシステムに接続された医用端末によって医用レポートを作成する技術が開示されている。
【0004】
一般に、医用ネットワークシステムは、電子カルテシステムと、生理検査部門や検体検査部門、細胞検査部門などの各部門システムとが、ネットワーク接続されて構成されている。この医用ネットワークシステムに接続された医用端末では、各部門システムで取得されたデータと、医師により入力された所見内容、診断内容、処置内容などとが結合された医用レポートが作成され、作成された医用レポートは電子カルテシステムなどに保存される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−69977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、医用ネットワークシステムにおいては、医師は医用端末を用いて医用レポートを作成する。このとき、人体の模式図であるシェーマ画像が用いられることがある。医師は、シェーマ画像上で特定の箇所を塗りつぶすことにより、検査により見つかった問題部位を表現する。
【0007】
この塗りつぶしの操作を行う際に医師は、マウスやタッチペンなどでシェーマ画像の線に沿って塗りつぶし領域を指定することで、シェーマ画像の線に沿った塗りつぶしを行う。しかしながら、このような塗りつぶし領域の指定は甚だ面倒である。
【0008】
また、シェーマ画像と同じレイヤーを直接編集することで、シェーマ画像の線に沿った塗りつぶしを行うといった操作も可能だが、この場合、塗りつぶしのやり直しが困難になる。つまり、塗りつぶした領域を消す場合に、元々のシェーマ画像の線を消さないような細かな操作が必要となり面倒である。
【0009】
所見内容、診断内容、処置内容などの重要な項目を考えなくてはならない医師にとって、このような画像の塗りつぶし作業に手間や時間をかけることは非常に煩わしい。
【0010】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、シェーマ画像上での塗りつぶし編集作業を容易に行うことができる医用レポート作成支援装置、医用レポート作成支援方法及び記録媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の医用レポート作成支援装置の一つの態様は、
ユーザー操作を受け付ける操作入力部と、
表示部と、
シェーマ画像と、前記操作入力部から入力された書き込み線の情報と、に基づいて、前記シェーマ画像と書き込み線とで囲まれた塗りつぶしオブジェクトを生成するオブジェクト生成部と、
前記書き込み線と前記塗りつぶしオブジェクトを同一レイヤーに設定するとともに、前記シェーマ画像を前記同一レイヤーとは異なるレイヤーに設定するレイヤー設定部と、
前記シェーマ画像、前記書き込み線及び前記塗りつぶしオブジェクトを前記レイヤー設定部によって設定されたレイヤーで前記表示部に表示させる表示制御部と、
を具備する。
【0012】
本発明の医用レポート作成支援方法の一つの態様は、
ユーザー操作を受け付ける操作入力ステップと、
シェーマ画像と、前記操作入力ステップで入力された書き込み線の情報と、に基づいて、前記シェーマ画像と書き込み線とで囲まれた塗りつぶしオブジェクトを生成するオブジェクト生成ステップと、
前記書き込み線と前記塗りつぶしオブジェクトを同一レイヤーに設定するとともに、前記シェーマ画像を前記同一レイヤーとは異なるレイヤーに設定するレイヤー設定ステップと、
前記シェーマ画像、前記書き込み線及び前記塗りつぶしオブジェクトを前記レイヤー設定ステップによって設定したレイヤーで表示部に表示させる表示ステップと、
を含む。
【0013】
本発明の記録媒体の一つの態様は、
医用レポート作成支援装置に用いられる医用レポート作成支援プログラムを格納し、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体であって、
前記医用レポート作成支援プログラムは、
ユーザー操作を受け付ける操作入力ステップと、
シェーマ画像と、前記操作入力ステップで入力された書き込み線の情報と、に基づいて、前記シェーマ画像と書き込み線とで囲まれた塗りつぶしオブジェクトを生成するオブジェクト生成ステップと、
前記書き込み線と前記塗りつぶしオブジェクトを同一レイヤーに設定するとともに、前記シェーマ画像を前記同一レイヤーとは異なるレイヤーに設定するレイヤー設定ステップと、
前記シェーマ画像、前記書き込み線及び前記塗りつぶしオブジェクトを前記レイヤー設定ステップによって設定したレイヤーで表示部に表示させる表示ステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、シェーマ画像上での塗りつぶし編集作業を容易に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態の医用ネットワークシステムの概要を示す接続図
図2】クライアント端末の要部構成を示すブロック図
図3】オブジェクト生成部による塗りつぶしオブジェクトの生成の説明に供する図
図4】オブジェクト生成部による塗りつぶしオブジェクトの生成の説明に供する図
図5】実施の形態による医用レポート作成動作の説明に供する図
図6】実施の形態による医用レポート作成動作の説明に供する図
図7】実施の形態による医用レポート作成動作の説明に供する図
図8】実施の形態による医用レポート作成動作の説明に供する図
図9】実施の形態による医用レポート作成動作の説明に供する図
図10】他の実施の形態による書き込み線の形成処理の説明に供する図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
<システム構成>
図1は、本実施の形態の医用レポート作成支援装置及び医用レポート作成支援方法が適用される医用ネットワークシステム100の概要を示す接続図である。
【0018】
医用ネットワークシステム100は、電子カルテシステム110と、生理検査部門システム120とがサーバー130を介してネットワーク接続されている。
【0019】
電子カルテシステム110は、電子カルテサーバー111に、複数の院内電子カルテ端末112−1、112−2、……、112−nが接続されている。電子カルテサーバー111に格納された情報は、院内電子カルテ端末112−1、112−2、……、112−nから閲覧できるようになっている。また、電子カルテサーバー111の情報は、権限のある院内電子カルテ端末112−1、112−2、……、112−nによって書き換えることもできるようになっている。
【0020】
生理検査部門システム120は、心電計121、ホルタ心電図解析装置122、超音波診断装置123、肺機能検査装置124、血圧脈波検査装置125、プリンタ126、スキャナ127及びクライアント端末128がネット接続されて構成されている。これらの装置は、生理検査室に設置されている。なお、生理検査部門システム120は、運動負荷装置、脳波検査装置などの他の生理検査を行う検査装置が接続されてもよい。
【0021】
生理検査部門システム120の各検査装置121〜125により得られた検査結果データは、サーバー130に格納される。つまり、サーバー130は、生理検査部門の生理検査結果データを収集し格納する部門データ格納部としての機能を有する。また、サーバー130は、各検査装置121〜125により形成された検査結果レポートを格納する。各検査装置121〜125は、所定の計算式に基づいて、検査結果の代表値や、最も悪い値などを求め、これらの値を所定のフォーマットとすることで検査結果レポートを形成し、このレポートを他の詳細な検査結果データと共にサーバー130に出力する。
【0022】
サーバー130に格納された検査結果データ及び検査結果レポートは、医師などのユーザーがクライアント端末128を用いて閲覧することができる。
【0023】
また、医師は、クライアント端末128によって、検査結果データ及び検査結果レポートを見ながら、また検査結果データ及び検査結果レポートを用いて、医用レポートを作成することができる。この医用レポートは、サーバー130及び電子カルテサーバー111に送られる。
【0024】
本実施の形態の医用レポート作成支援装置及び医用レポート作成支援方法は、このクライアント端末128に適用される。なお、図1では、クライアント端末128を据置型の端末として示しているが、クライアント端末128が例えばタブレット型の端末でもよい。
【0025】
<クライアント端末の構成及び医用レポート作成処理>
次に、クライアント端末128の構成及び医用レポート作成支援処理について、図2図9を用いて説明する。
【0026】
図2は、クライアント端末128の要部構成を示すブロック図である。なお、実際にはクライアント端末128は、図2の構成以外にも、サーバー130との通信を行う機能なども有するが、図2では図を簡単化するために医用レポート作成支援処理にかかわる構成のみを示してある。
【0027】
クライアント端末128は、操作入力部201と、表示部202と、表示制御部203と、を有する。具体的には、操作入力部201はキーボードやマウスであり、表示部202はディスプレイである。なお、クライアント端末128がタブレット型の端末の場合には、操作入力部201及び表示部202は、タッチパネル付の液晶ディスプレイなどで具現化される。
【0028】
かかる構成に加えて、クライアント端末128は、シェーマ画像格納部204、オブジェクト生成部205及びレイヤー設定部206を有する。
【0029】
シェーマ画像格納部204は、例えばメモリによって具現化され、複数のシェーマ画像を格納している。シェーマ画像格納部204には、操作入力部201から使用するシェーマ画像を指定する選択信号が入力され、シェーマ画像格納部204は複数のシェーマ画像の中から選択信号に応じたシェーマ画像をオブジェクト生成部205及びレイヤー設定部206に出力する。
【0030】
オブジェクト生成部205は、操作入力部201からの書き込み線の情報と、シェーマ画像格納部204からのシェーマ画像とを入力し、書き込み線とシェーマ画像とで囲まれた領域を塗りつぶしオブジェクトとして生成する。具体的には、ユーザーが操作入力部201を用いて線種及び座標を指定することにより書き込み線の情報が生成され、この書き込み線の情報がオブジェクト生成部205及びレイヤー設定部206に入力される。
【0031】
オブジェクト生成部205は、例えば図3に示すように、書き込み線とシェーマ画像(肺のシェーマ画像)との交点を検出し、その交点を通り、書き込み線とオブジェクト画像の輪郭線とで囲まれた領域を塗りつぶしオブジェクトとして生成する。
【0032】
また、オブジェクト生成部205は、例えば図4に示すように、シェーマ画像内で書き込み線で包囲された領域を塗りつぶしオブジェクトとして生成する。
【0033】
図3及び図4のいずれにしても、オブジェクト生成部205は、操作入力部201からの書き込み線の情報と、シェーマ画像格納部204からのシェーマ画像とを入力し、書き込み線とシェーマ画像とで囲まれた領域を塗りつぶしオブジェクトとして生成する処理を行っている。
【0034】
因みに、実際のユーザー操作では、書き込み線が、図3に示すような交点を形成せずに交点の手前で切れてしまっていたり、図4に示すような一回りした曲線を形成せずに途中で切れてしまっていたりする可能性がある。このような場合、オブジェクト生成部205は、オプションとして、書き込み線を延長するように補正することで、書き込み線とシェーマ画像とで囲まれた領域を強制的に作り、その領域を塗りつぶしオブジェクトとして生成してもよい。本実施の形態における、書き込み線とシェーマ画像とで囲まれた領域とは、このようなオプションによって作られた領域も含まれるものとする。
【0035】
レイヤー設定部206は、書き込み線の情報、塗りつぶしオブジェクトの情報、及びシェーマ画像の情報を入力し、書き込み線と塗りつぶしオブジェクトを同一のレイヤーに設定するとともに、シェーマ画像をそのレイヤーとは異なるレイヤーに設定する。レイヤー設定部206は、入力した書き込み線の情報、塗りつぶしオブジェクトの情報、及びシェーマ画像の情報に加えて、設定したレイヤーの情報を表示制御部203に出力する。
【0036】
表示制御部203は、シェーマ画像、書き込み線及び塗りつぶしオブジェクトをレイヤー設定部206によって設定されたレイヤーで表示部202に表示させる。
【0037】
次に、クライアント端末128を用いた医用レポート作成の例について説明する。以下では、医用レポートとして頸動脈超音波検査報告書を作成する例を説明する。
【0038】
ユーザーである医師がクライアント端末128のモードをレポート新規作成モードに設定すると、表示部202には、図5に示したレポート作成画面(頸動脈超音波検査報告書のテンプレート)が表示される。具体的には、上段に被検者の氏名などの項目が表示され、次段に超音波診断装置123によって取得された測定値が表示され、次段に複数のシェーマ画像が表示される。なお、図には示されていないが、シェーマ画像のさらに下段には、医師の所見、診断内容、処置内容などの項目が表示される。
【0039】
医師が操作入力部201のマウスなどを使って複数のシェーマ画像の中から所望のシェーマ画像を選択すると、図6に示すように、選択されたシェーマ画像が拡大されてポップアップ表示される。なお、図6の例では、右頸動脈のシェーマ画像が選択されてポップアップ表示されている。
【0040】
次に、医師は、検知された頸動脈内のプラークを示すために、図7に示すように、操作入力部201を用いてシェーマ画像上に書き込み線L1を書き込む。
【0041】
すると、クライアント端末128のオブジェクト生成部205が書き込み線L1とシェーマ画像とで囲まれた領域を塗りつぶしオブジェクトX1として生成する。また、レイヤー設定部206が書き込み線L1と塗りつぶしオブジェクトX1を同一のレイヤーに設定するとともに、シェーマ画像をそのレイヤーとは異なるレイヤーに設定する。
【0042】
次に、図8に示すように、医師が、操作入力部201を用いて、塗りつぶしボタンB1をアクティブにした状態で、塗りつぶしたい塗りつぶしオブジェクトX1を指定すると(例えばマウスをクリック操作すると)、塗りつぶしオブジェクトが指定された色で塗りつぶされる。例えば、操作入力部201を用いて赤色を指定すれば、プラークを示す塗りつぶしオブジェクトX1が赤色で強調されて塗りつぶされる。なお、塗りつぶしオブジェクトX1が指定されたときに(例えばマウスをクリック操作されたときに)、レイヤー設定部206によって、塗りつぶしオブジェクトX1のレイヤーが書き込み線L1と同じレイヤーに設定されてもよい。
【0043】
次に、医師が操作入力部201を用いて保存ボタンB2を押下すると、編集されたシェーマ画像、書き込み線L1、塗りつぶしオブジェクトX1、及びそれらのレイヤーが保存されるとともに、図9に示したようにレポートに反映される。
【0044】
ここで、医師は、図8のような塗りつぶしオブジェクトX1の編集画面において、一度作成した塗りつぶしオブジェクトX1を削除したい場合がある。この場合、医師は、削除ボタンB3をアクティブにした状態で、操作入力部201を用いて削除したい塗りつぶしオブジェクトX1を指定する(例えばマウスをクリック操作する)。
【0045】
このような操作がされると、クライアント端末128の表示制御部203は、指定された塗りつぶしオブジェクトX1と、その塗りつぶしオブジェクトX1と同一レイヤーである書き込み線L1を一括して削除する(非表示とする)。ただし、それらのレイヤーとは異なるレイヤーであるシェーマ画像は削除しない。
【0046】
つまり、既に表示されている特定の塗りつぶしオブジェクトX1に対して、操作入力部201を介して塗りつぶし解除操作がなされた場合、表示制御部203は、特定の塗りつぶしオブジェクトX1と同一レイヤーであり、特定の塗りつぶしオブジェクトX1を囲んでいる書き込み線L1を、特定の塗りつぶしオブジェクトX1とともに非表示とする。
【0047】
これにより、削除したい塗りつぶしオブジェクトX1と、その元になった書き込み線L1を簡単な操作で削除できるようになる。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態によれば、シェーマ画像と書き込み線L1とに基づいて、シェーマ画像と書き込み線L1とで囲まれた塗りつぶしオブジェクトX1を生成するオブジェクト生成部205と、書き込み線L1と塗りつぶしオブジェクトX1を同一レイヤーに設定するとともに、シェーマ画像を前記同一レイヤーとは異なるレイヤーに設定するレイヤー設定部206と、シェーマ画像、書き込み線L1及び塗りつぶしオブジェクトX1をレイヤー設定部206によって設定されたレイヤーで表示部202に表示させる表示制御部203と、を設けたことにより、シェーマ画像上での塗りつぶし編集作業を容易に行うことができるようになる。
【0049】
また、本実施の形態によれば、書き込み線L1と塗りつぶしオブジェクトX1とが同一レイヤーに設定されているとともに、シェーマ画像が前記同一レイヤーとは異なるレイヤーに設定されているので、書き込み線L1及び塗りつぶしオブジェクトX1の表示から非表示への変更、及び色の変更を、書き込み線L1と塗りつぶしオブジェクトX1とで同時に行うといった処理を容易に行うことができる。例えば、実施の形態では、特定の塗りつぶしオブジェクトX1を指定して、それを非表示とする操作を行えば、その塗りつぶしオブジェクトX1に対応する書き込み線L1も非表示とされる。また、特定の塗りつぶしオブジェクトX1を指定して、その色を赤色にする操作を行えば、その塗りつぶしオブジェクトX1に対応する書き込み線L1も赤色とされる。これにより、塗りつぶしオブジェクトX1と書き込み線L1との表示を一括して変更できるので、編集作業がより容易となる。勿論、書き込み線L1と塗りつぶしオブジェクトX1の表示から非表示への変更、及び色の変更を、同時ではなく別々に行うようにしてもよい。
【0050】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することの無い範囲で、様々な形で実施することができる。
【0051】
例えば、上述の実施の形態の処理に加えて、図10に示したように、書き込み線を強制的にシェーマ画像から突き抜けるように形成する処理を行ってもよい。つまり、医師などのユーザーによって操作入力部201を用いて図3に示したような書き込み線が引かれると、表示制御部203はこの書き込み線を延長させて図10に示したような書き込み線を形成して表示させる。このようにすることで、医用レポートを見た人は、シェーマ画像の線と書き込み線とを明確に区別して認識できるようになり、どの箇所(どの線)が医師によって引かれたものであるかを明確に識別できるようになる。
【0052】
また、例えば上述の実施の形態では、本発明による医用レポート作成支援装置及び医用レポート作成支援方法を、クライアント端末128により具現化及び実行した場合について述べたが、本発明による医用レポート作成支援装置及び医用レポート作成支援方法は図2の機能を有する他のデバイスにより具現化及び実行することもできる。
【0053】
また、本発明による医用レポート作成支援装置及び医用レポート作成支援方法の各処理は、演算部、操作入力部及び表示部を有するデバイスがプログラムを実行することによっても実現することが可能である。例えば、本発明による医用レポート作成支援装置及び医用レポート作成支援方法の各処理を実現するためのプログラムを、メモリ、ディスク、テープ、CD、DVD等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録しておき、演算部、操作入力部及び表示部を有するデバイスのコンピュータがこのプログラムを読み出すことにより、上述の実施の形態の各処理を実行するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、例えば医用ネットワークシステムに接続されて医用レポートを作成するために用いられるクライアント端末に適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
100 医用ネットワークシステム
128 クライアント端末
201 操作入力部
202 表示部
203 表示制御部
204 シェーマ画像格納部
205 オブジェクト生成部
206 レイヤー設定部
L1 書き込み線
X1 塗りつぶしオブジェクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10