(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記サーバは、各々の需要家の調整力ポテンシャルに基づく電力需要の削減で、前記デマンドレスポンス要請が示す電力需要調整を達成できない場合には、各々の需要家の発電機器を稼働させて、不足分の電力を補填することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の調整電力量推定システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載される従来技術では、需要家の家族構成等により時間帯別の調整量が異なることを考慮しておらず、調整量の推定の精度が思わしくないという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、このような課題を解決することであり、具体的には、需要家の時間帯別の電力需要調整の潜在能力である調整力ポテンシャルを精度よく推定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る調整電力量推定システムは、次の点を特徴とする。すなわち、電力を供給する電力会社からの電力需要調整の施策としてのデマンドレスポンス要請を受信する入力部と、複数の需要家の各々が回答したアンケートの各々の需要家の家族構成とライフスタイルとに関する家族属性情報及び各々の需要家が所有する負荷機器と発電機器との情報である機器情報を含むアンケート情報を格納したデータベースと、前記アンケート情報に基づいて、各々の需要家の電力需要調整の潜在能力である調整力ポテンシャルを時間帯別に推定する調整力ポテンシャル推定部と、前記デマンドレスポンス要請が示す電力需要調整を、前記調整力ポテンシャルに応じて各々の需要家へ時間帯別に分配する調整電力量分配部と、各々の需要家に、分配した電力需要調整量の情報を通知する通信部と、を備えたサーバを含
み、さらに、家族構成、ライフスタイル、負荷機器及び発電機器の各々の態様に応じて時間帯別に予めスコアが設定され、前記調整力ポテンシャル推定部は、前記アンケートの家族属性情報及び機器情報が示す家族構成、ライフスタイル、負荷機器及び発電機器の各々の情報に対応する時間帯別のスコアを加算して、各々の需要家の調整力ポテンシャルを時間帯別に推定することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、各々の需要家の家族構成、ライフスタイル及び機器情報に基づいて、各々の需要家の時間帯別の調整力ポテンシャルを精度よく推定することができる。また、本発明によれば、時間帯別の各々の需要家の調整力ポテンシャルを把握することが可能なので、いかなる時間帯にDRを受けても、各々の需要家に電力需要調整を迅速に割り振り、省エネルギーを的確に達成することができる。
また、需要家の家族構成、ライフスタイル、負荷機器及び発電機器の各々の態様に応じて時間帯別に予め設定されたスコアを加算することにより、各々の需要家の時間帯別の調整力ポテンシャルを精度よく推定することができる。
【0011】
さらに、各々の需要家は、負荷機器の消費電力及び発電機器の運転状態を管理する管理装置を備え、前記サーバは、前記管理装置を介して、負荷機器の消費電力及び発電機器の運転状態が、各々の需要家に分配した時間帯別の電力需要調整量に応じた消費電力及び運転状態になるように、前記負荷機器及び前記発電機器を制御することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、サーバから管理装置を介した遠隔操作で、各々の需要家の負荷機器及び発電機器を制御することにより、DRに基づく省エネルギーを達成するものである。従って、各々の需要家は、DRに係る応答を行う必要がなく、各々の需要家は、DRに対応した省エネルギーを意識することなしに、持続的に省エネルギーを実行でき、省エネルギーによるインセンティブを受け取ることができる。
【0015】
さらに、前記サーバは、各々の需要家を、前記家族属性情報及び前記機器情報の組み合わせに応じて分類し、前記需要家の分類毎に、前記需要家の分類に対応した家族属性情報及び機器情報に対応する時間帯別のスコアを加算して、需要家の分類毎に調整力ポテンシャルを時間帯別に予め推定しておき、前記調整力ポテンシャル推定部は、前記アンケートの家族属性情報及び機器情報が示す家族構成、ライフスタイル、負荷機器及び発電機器の各々の情報に対応する前記需要家の分類を求め、前記需要家の分類について予め推定された時間帯別の前記調整力ポテンシャルを、前記需要家の時間帯別の調整力ポテンシャルとすることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、需要家を、家族属性情報と機器情報とに基づいて分類して、同一の調整力ポテンシャルを示す需要家の集合毎に調整力ポテンシャルを推定することにより、各々の需要家について調整力ポテンシャルを推定する場合よりも、サーバの演算負荷を低減でき、DRに迅速に対応することが可能になる。
【0017】
さらに、前記サーバは、各々の需要家の調整力ポテンシャルに基づく電力需要の削減で、前記デマンドレスポンス要請が示す電力需要調整を達成できない場合には、各々の需要家の発電機器を稼働させて、不足分の電力を補填することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、家族属性情報及び発電機器の設置状況に応じて、発電量を各々の需要家に割り振ることにより、省エネルギーのみでは達成が困難なDRを達成できる。
【0019】
さらに、前記アンケートは定期的に実施され、前記サーバは、前記アンケートによる最新アンケート情報でデータベースを更新し、該更新したデータベースを用いて、調整力ポテンシャル推定部に各々の需要家の家族属性情報及び機器情報の各々の変化に対応した調整力ポテンシャルを時間帯別に推定させる。
【0020】
本発明によれば、定期的に実施されるアンケートの情報により、各々の需要家の家族属性情報及び機器情報の各々の変化に起因する調整力ポテンシャルの変化にキャッチアップできる。
【0021】
本発明に係る調整電力量推定システムの制御方法は、次の点を特徴とする。すなわち、前記電力会社からの前記デマンドレスポンス要請がされると、前記アンケート情報に基づいて、各々の需要家の電力需要調整の潜在能力である調整力ポテンシャルを時間帯別に推定すると共に、前記デマンドレスポンス要請が示す電力需要調整を、前記調整力ポテンシャルに応じて各々の需要家へ時間帯別に分配し、各々の需要家に、分配した電力需要調整量の情報を通知
し、家族構成、ライフスタイル、負荷機器及び発電機器の各々の態様に応じて時間帯別に予めスコアが設定され、前記調整力ポテンシャルを推定する場合に、前記アンケートの家族属性情報及び機器情報が示す家族構成、ライフスタイル、負荷機器及び発電機器の各々の情報に対応する時間帯別のスコアを加算して、各々の需要家の調整力ポテンシャルを時間帯別に推定することを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、各々の需要家の家族構成、ライフスタイル及び機器情報に基づいて、各々の需要家の時間帯別の調整力ポテンシャルを精度よく推定することができる。また、本発明によれば、時間帯別の各々の需要家の調整力ポテンシャルを把握することが可能なので、いかなる時間帯にDRを受けても、各々の需要家に電力需要調整を迅速に割り振り、省エネルギーを的確に達成することができる。
また、需要家の家族構成、ライフスタイル、負荷機器及び発電機器の各々の態様に応じて時間帯別に予め設定されたスコアを加算することにより、各々の需要家の時間帯別の調整力ポテンシャルを精度よく推定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の調整電力量推定システムを実施するための形態例を詳細に説明する。
【0025】
[第1の実施の形態]
先ず、
図1を用いて、本実施の形態に係る調整電力量推定システム10の全体構成を説明する。調整電力量推定システム10は、複数の需要家20の各々に設置された管理装置22と、各々の管理装置22とネットワーク70を介して接続された調整電力量推定装置としてのサーバ40とを備えている。
【0026】
管理装置22は、いわゆるHEMS(Home Energy Management System)であり、各々の需要家20が有する空調機器及び給湯機器等の負荷24が使用する電力や運転状態等を管理することができる。
【0027】
管理装置22としてのHEMSは、分散型電源である発電機器26の発電量や、負荷24の電力使用量やガス使用量等のエネルギー使用量等をリアルタイムで把握し、モニター等で可視化して「見える化」し、一元的に管理して積極的に制御することが可能なものである。
【0028】
分散型電源である発電機器26は、例えば、蓄電池、太陽光発電装置、及びコージェネレーションシステムである。発電機器26は、これに限定されるものではなく、比較的小規模な発電装置を消費地近くに分散配置しているようなものであれば、その地域の特性によっては、風力発電や、地熱発電や、バイオマス発電等を含めてもよい。
【0029】
また、需要家毎に、有している発電機器26の種類は異なっており、一つの発電機器26でも、複数の発電機器26でもよい。また、蓄電池は、充電及び放電の双方を行うことが可能な二次電池を利用した設備である。
【0030】
太陽光発電装置は、太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換する太陽光パネルを備えた発電設備である。
【0031】
コージェネレーションシステムは、内燃機関や外燃機関による発電と共に、その排熱を利用可能なシステムが含まれる。例えば、ガスをエネルギー源として発電するとともに、排熱を給湯等に利用可能な熱電供給システムが含まれる。また、発電及び熱源として燃料電池を用いるもの等も含まれる。
【0032】
これらの発電機器26としての蓄電池、太陽光発電装置及びコージェネレーションシステムは、上述した管理装置22としてのHEMSにより管理される。また、管理装置22は、サーバ40からの電力調整指示であるDR要請に基づいて、発電機器26及び負荷24を制御する。
【0033】
サーバ40は、管理装置22を介して需要家20の発電機器26の運転状態等を管理する。また、サーバ40は、各々の需要家20の時間帯別の調整力ポテンシャルを推定すると共に、電力を供給する電力会社からの電力需要削減の施策であるDR要請を受信した場合に、各々の需要家20の時間帯別の調整力ポテンシャルの推定結果に基づいて、調整電力量を各々の需要家20に配分し、各々の需要家20の管理装置22に対して電力調整指示を送信する。
【0034】
図2は、サーバ40の構成の一例を示したブロック図である。
図2に示したように、サーバ40は、入力部50と、演算部52と、通信部64とを備えている。
【0035】
演算部52は、アンケート情報データベース54と、調整力ポテンシャル推定部56と、調整力ポテンシャルデータベース58と、調整電力量分配部60と、機器制御部62とを備えている。
【0036】
入力部50は、DR要請時に、DR要請に関する情報を受け付けると共に、各々の需要家20の家族属性情報及び負荷24である機器の情報に関するアンケートの回答データを受け付ける。
【0037】
当該アンケートでは、家族構成(居住人数、世帯数)、ライフスタイル(生活構造、生活意識、生活活動)、機器情報(導入機器の種類、台数)に関する項目が含まれている。当該アンケートは、月次、週次等のように、定期的に実施されるものであり、回答データが、入力部50により入力される。
【0038】
アンケート情報データベース54には、入力部50を介して取得したアンケートの回答データが記憶される。
【0039】
調整力ポテンシャル推定部56は、需要家20毎に、アンケートの回答データから得られる家族属性情報及び機器情報に基づいて、需要家20の時間帯別の調整力ポテンシャルを推定する。例えば、家族属性情報及び機器情報の各項目に対し、時間帯別に調整力ポテンシャルの大きさに応じたスコアを予め設定しておき、ある時間帯について、需要家20にあてはまる家族属性情報及び機器情報を各項目のスコアを加算し、得られたスコアに基づいて、当該時間帯の調整力ポテンシャルを推定する。
【0040】
図3は、需要家20の家族構成の一例を示した表である。
図3に示したように、居住人数別、さらには家族構成の態様に基づいて、スコアを設定する。例えば、居住人数が多ければ、複数人が一室に集合して、その部屋でのみ空調を稼働させる等により、他の部屋でも空調を稼働させた場合よりも大幅な省エネルギーが期待できるのであれば、居住人数が多い需要家20に対して、居住人数が少ない需要家20よりも、大きなスコアを設定することが考えられる。
【0041】
世帯数が複数の需要家20では、上述のように居住者が一室に集合する機会が、世帯数が1の需要家20よりも少ないと思われるので、居住人数が同一であっても、世帯数が多くなるに従ってスコアを低下させることが考えられる。
【0042】
図4は、需要家20のライフスタイルの一例を示した表である。
図4の生活構造の項目には家計費、生活時間、生活習慣、役割関係の小項目が列挙されている。一例として、家計費が低額な傾向を示す需要家20は、省エネルギーに肯定的と思われるので、スコアを高めに設定する。1日の生活時間が長い需要家20は、一日の電力消費が顕著と思われるので、スコアは低めにする。需要家20の生活習慣が、昼間に家にいない場合であれば、昼間に家に居る場合よりもスコアを高くし、役割関係が地域において指導的立場である需要家20も、スコアを高く設定する。
【0043】
生活意識の項目には、価値観、生活目標、購買意識、生活態度の小項目が列挙されている。一例として、価値観及び生活目標が例えば物質的充足を重視しない需要家20又は快適性を少々軽視しても省エネルギーによるインセンティブを優先する意識が高い需要家20はスコアを高めにする。購買意識が倹約を旨とする需要家20はスコアを高めにする。また、生活態度が真面目な需要家20はスコアを高めにする。
【0044】
生活行動の項目には、購買行動、職業活動、余暇活動、社会的活動の小項目が列挙されている。一例として、購買行動が浪費傾向を示す需要家20はスコアを低めにする。例えば、職業活動が在宅勤務の需要家20は、昼間時間帯に在宅によるエネルギー消費が多くなる傾向があるので、前記昼間時間帯のスコアは低めにするが、自宅外に出勤する需要家20は前記昼間時間帯のスコアを高めにする。さらに、共働きの需要家20はスコアをより高めに設定する。余暇活動では、屋外での活動が目立つ需要家20は屋内で余暇活動をする需要家20よりもスコアを高めにする。社会的活動では、ボランティア等の奉仕活動に熱心な需要家20のスコアは高めにする。
【0045】
図5は、需要家20の機器情報を示す表である。
図5には、PV(太陽光発電)、BESS(電力貯蔵装置)、EF(エネファーム)、AC(エアコン)、冷蔵庫等の項目が列挙されている。PV、BESS、EFは、省エネルギーに寄与する発電機器26なので、これらの出力/容量が大である需要家20は、スコアを高めに設定する。
【0046】
より具体的には、PVは昼間に発電するので、PVを備える需要家20は、昼間の時間帯でスコアを高くする。給湯機能を備えたEFは、夕方の時間帯に使用頻度が高くなるので、EFを備える需要家20は夕方の時間帯でのスコアを高くする。BESSは時間帯によらず余剰電力を充電できるが、一例として、昼間に発電したPVの電力を余剰電力として充電し、夕方から夜間にかけて充電した電力を活用する傾向がある需要家20は、夕方から夜間の時間帯でのスコアを高くする。
【0047】
稼働年数が長くなると、PV、EFは発電効率が低下し、BESSでは充電効率が低下するので、各々スコアを徐々に低下させる。また、PVでは、太陽光線を効率的に受光できるか否かでも発電効率が変化する。PVが南向きに設置されている需要家20はスコアを高めにし、そうでない需要家20はスコアを低めにする。
【0048】
AC、冷蔵庫は、電力を消費する負荷24なので、各々の出力が大きい需要家20はスコアを低めにする。また、各々の台数が多い需要家20はスコアを低めにする。
【0049】
調整力ポテンシャル推定部56は、各々の需要家20について、
図3〜5に例示された項目に係るスコアを加算し、得られたスコアに基づいて、各々の需要家20の時間帯別の調整力ポテンシャルを推定する。各々の需要家20について推定した時間帯別の調整力ポテンシャルのデータは、調整力ポテンシャルデータベース58に記憶する。
【0050】
入力部50に、電力会社からDR要請に関する情報(DR要請情報)が入力されると、調整電力量分配部60は、調整力ポテンシャルデータベース58に記憶された各々の需要家20の調整力ポテンシャルを参照する。調整電力量分配部60は、当該DR要請情報に含まれる調整電力量を、各々の需要家20の調整力ポテンシャルに応じて時間帯別に分配する。
【0051】
機器制御部62は、各々の需要家20に分配した調整電力量に基づく電力調整指示を、通信部64を介して各々の需要家20の管理装置22に送信する。
【0052】
需要家20の管理装置22は、電力調整指示を受信すると、負荷24及び発電機器26を制御して、分配された調整電力量で消費するエネルギーを賄えるようにする。
【0053】
上述の一連の動作は、サーバ40からネットワーク70と管理装置22とを介した遠隔操作で、各々の需要家20の負荷24及び発電機器26を制御することにより、DR要請に基づく省エネルギーを達成するものである。従って、各々の需要家20は、DR要請に係る応答を行う必要がなく、各々の需要家20は、DR要請に対応した省エネルギーを意識することなしに、持続的に省エネルギーを実行でき、省エネルギーによるインセンティブを受け取ることができる。
【0054】
また、DR要請への対応の可否を各々の需要家20の判断に委ねないことにより、DR要請への迅速な対応が可能になると共に、DR要請に係る省エネルギーの成功率を、DR要請への対応の可否を各々の需要家20の判断に委ねた場合よりも向上させることができる。
【0055】
図6は、サーバ40における需要家20の調整力ポテンシャル算出の一例を示したフローチャートである。ステップ600では、アンケート情報データベース54に記憶された各々の需要家20のアンケート情報を読み出す。
【0056】
ステップ604では、調整力ポテンシャル推定部56において、アンケート情報に基づいて各々の需要家20の時間帯別の調整力ポテンシャルを算出する。
【0057】
ステップ606では、算出した各々の需要家20の時間帯別の調整力ポテンシャルを調整力ポテンシャルデータベース58に記憶して処理を終了する。
【0058】
図7は、サーバ40における調整電力量の各々の需要家20への分配の処理の一例を示したフローチャートである。
図7に示した処理は、入力部50でDR要請の情報を受信すると開始される。ステップ700では、調整力ポテンシャルデータベース58から、対象エリアの各々の需要家20の時間帯別の調整力ポテンシャルの情報を抽出する。
【0059】
ステップ702では、DR要請の情報に含まれる調整電力量を、抽出した各々の需要家20の時間帯別の調整力ポテンシャルに応じて、各々の需要家20に分配する。ステップ704では、分配した調整電力量を、各々の需要家20に通知して処理を終了する。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態によれば、各々の需要家20の家族構成、ライフスタイル及び機器情報に基づいて、各々の需要家20の時間帯別の調整力ポテンシャルを精度よく推定することができる。
【0061】
また、本実施の形態によれば、時間帯別の各々の需要家20の調整力ポテンシャルを把握することが可能なので、いかなる時間帯にDR要請を受けても、各々の需要家20に調整電力量を迅速に割り振り、省エネルギーを的確に達成することができる。
【0062】
さらに、本実施の形態によれば、各々の需要家20からのアンケートの回答からBESSの使用パターンが推測でき、当該使用パターンと直近のPVの発電量とから、BESSのSOC(充電状態)を推定することが可能なる。蓄電池のSOCを検出するには、一般に専用のセンサを要するが、本実施の形態では、かかるセンサを要しないので、システムのコストを抑制することが可能になる。
【0063】
また、本実施の形態では、各々の需要家20の調整力ポテンシャルを高精度で推定することにより、EFのような発電に際して燃料を消費する発電機器26の運転の抑制が可能になる。
【0064】
また、本実施の形態では、各々の需要家20の調整電力量を把握することにより、一配電系統において、当該系統の電圧の上限及び送電線容量等の制約を逸脱しないように、当該系統に無理なく、各々の需要家20における調整電力量を設定することが可能になる。
【0065】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態では、サーバ40において、家族構成及びライフスタイルによる家族属性情報と機器情報との組み合わせに応じて、各々の需要家20を分類し、需要家の分類毎に、家族属性情報及び機器情報に基づいて時間帯別の調整力ポテンシャルを推定し、推定した調整力ポテンシャルを、需要家20の分類に対応付けて調整力ポテンシャルデータベース58に記憶する点で、第1の実施の形態と相違する。
【0066】
しかしながら、上記相違点以外の、本実施の形態に係る調整電力量推定システム10の構成は、第1の実施の形態に係る調整電力量推定システム10と同様なので、本実施の形態に係る各々の構成には、第1の実施の形態と同一の符号を付し、それらの構成についての詳細な説明は省略する。
【0067】
家族属性情報と機器情報とが同一の需要家20であれば、調整力ポテンシャル推定部56で推定される調整力ポテンシャルは同一となり、調整力ポテンシャルデータベース58は、結果的に、同一の調整力ポテンシャルを示す需要家20集合毎に調整力ポテンシャルを記憶する。
【0068】
需要家20を、家族属性情報と機器情報とに基づいて分類することにより、各々の需要家20について調整力ポテンシャルを推定する場合よりも、同一の調整力ポテンシャルを示す需要家20の集合毎に調整力ポテンシャルを推定する場合の方が、サーバ40の演算負荷を低減でき、電力会社からのDR要請に迅速に対応することが可能になる。
【0069】
[その他の実施の形態]
第1の実施の形態及び第2の実施の形態は、電力会社からDR要請を受けた場合に、対象エリアに存在する各々の需要家20に省エネルギーを実行させるものであり、遠隔操作により、需要家20の管理装置22を介して、需要家20の負荷24及び発電機器26を制御して、DR要請に係る省エネルギーを達成した。
【0070】
本実施の形態では、需要家20の負荷24及び発電機器26を遠隔操作せず、各々の需要家20の管理装置22に調整電力量を通知して、需要家20が主体的に省エネルギーを実行する。
【0071】
また、各々の需要家20の調整力ポテンシャルに基づく省エネルギーの実行のみでは、DR要請を達成するのが困難な場合は、燃料を消費するような発電機器26の運転コストを許容した発電を行うと共に、各々の需要家20の快適性を多少損なうおそれがあるような、より厳格な省エネルギーを実行するようにしてもよい。
【0072】
図8は、本実施の形態に係る調整電力量推定システムにおいて、発電機器26の運転コストを度外視して、各々の需要家20に発電量を割り振った場合の一例を示した概略図である。
図8では、サーバ40が、DR要請にかかる情報から、対象エリアにおいて14:00−14:30に17kWhの電力量を別途賄う必要があると判断し、各々の需要家20に発電量を割り振った場合の一例である。
【0073】
家族属性情報が共働きで、発電機器26としてPV及びBESSを有する需要家aは、対象エリアの中で最も高い5kWhの発電量が割り振られている。次いで、家族属性情報が専業主婦で発電機器26としてPV及びBESSを有する需要家b及び需要家fは4kWhの発電量が割り振られている。
【0074】
また、家族属性情報が祖父母在住で発電機器26としてPV及びBESSを有する需要家c及び需要家eは2kWhの発電量が割り振られているが、家族属性情報が一人暮らしで発電機器26を有しない需要家dは0kWhの発電量が割り振られる。
【0075】
図8に示したように、本実施の形態では、家族属性情報及び発電機器26の設置状況に応じて、発電量を各々の需要家20に割り振ることにより、不足分の電力を補填して、省エネルギーのみでは達成が困難なDR要請を達成できる。