特許第6987031号(P6987031)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6987031電力用半導体装置及びその製造方法、並びに、電力変換装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987031
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】電力用半導体装置及びその製造方法、並びに、電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20211213BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   H01L25/04 C
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-148968(P2018-148968)
(22)【出願日】2018年8月8日
(65)【公開番号】特開2020-25027(P2020-25027A)
(43)【公開日】2020年2月13日
【審査請求日】2020年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】竹脇 善朗
(72)【発明者】
【氏名】内田 祥久
(72)【発明者】
【氏名】田中 陽
【審査官】 豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02571053(EP,A1)
【文献】 特表2018−500172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/12−23/15
23/48
25/00−25/07
25/10−25/11
25/16−25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層及び回路パターンが順に配設された基板と、
前記回路パターンと電気的に接続された電力用半導体素子と、
ファイバーレーザーによって前記回路パターンに溶接された溶接部分を含む薄肉部分を有する電極端子と
を備え、
前記回路パターンの厚さは、0.2mm以上0.5mm以下であり、
前記電極端子の前記薄肉部分は、前記回路パターンの厚さの1倍以上2倍以下であり、
前記電極端子は、前記薄肉部分が底部である凹部を有し、
前記凹部に埋設された導電性部材をさらに備える、電力用半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力用半導体装置であって、
前記電極端子の前記薄肉部分以外の部分の厚みは、0.6mm以上2.0mm以下であり、
前記電力用半導体素子はワイドバンドギャップ半導体を含む、電力用半導体装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電力用半導体装置であって、
平面視において、前記薄肉部分の形状は前記溶接部分の形状と同じである、電力用半導体装置。
【請求項4】
請求項に記載の電力用半導体装置であって、
前記導電性部材は、Cuペースト、及び、Agペーストの少なくともいずれか1つを含む、電力用半導体装置。
【請求項5】
請求項1から請求項のうちのいずれか1項に記載の電力用半導体装置を有し、入力される電力を変換して出力する主変換回路と、
前記主変換回路を制御する制御信号を前記主変換回路に出力する制御回路と
を備える、電力変換装置。
【請求項6】
(a)絶縁層及び回路パターンが順に配設された基板を準備する工程と、
(b)電力用半導体素子を前記回路パターンと電気的に接続する工程と、
(c)電極端子が有する凹部の底部である薄肉部分を、ファイバーレーザーによって前記回路パターンに溶接する工程と、
(d)前記凹部に導電性部材を埋設する工程と
を備え、
前記回路パターンの厚さは、0.2mm以上0.5mm以下であり、
前記電極端子の前記薄肉部分は、前記回路パターンの厚さの1倍以上2倍以下である、電力用半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力用半導体装置及びその製造方法、並びに、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力用半導体素子を用いたパワーモジュールなどの電力用半導体装置では、絶縁層の表面に配設された回路パターンと電極端子との接合を強固にするためにレーザー溶接が用いられることがある。例えば特許文献1では、リードなどの電極端子の先端部分の少なくとも一部分を他の部分よりも薄くし、その薄くした部分を溶接する技術が提案されている。このような技術によれば、溶接時の熱伝導性が良好となるので、溶接による接合の強さが向上し、その結果、信頼性の向上及び溶接時間の短縮による生産性の向上が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−94845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電極端子を薄くしすぎると、電極端子自体の機械強度が弱くなるという問題がある。また、電極端子を厚くしすぎると、電極端子自体の機械強度は強くなるが、厚い電極端子と回路パターンとを接合するための高エネルギーのレーザーによって、回路パターン下の絶縁層が破壊されることがあるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、電力用半導体装置の信頼性を高めることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電力用半導体装置は、絶縁層及び回路パターンが順に配設された基板と、前記回路パターンと電気的に接続された電力用半導体素子と、ファイバーレーザーによって前記回路パターンに溶接された溶接部分を含む薄肉部分を有する電極端子とを備え、前記回路パターンの厚さは、0.2mm以上0.5mm以下であり、前記電極端子の前記薄肉部分は、前記回路パターンの厚さの1倍以上2倍以下であり、前記電極端子は、前記薄肉部分が底部である凹部を有し、前記凹部に埋設された導電性部材をさらに備える。

【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電極端子の薄肉部分は、回路パターンの厚さの1倍以上2倍以下であるため、電力用半導体装置の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】関連半導体装置の一部の構成を模式的に示す断面図である。
図2】実施の形態1に係る電力用半導体装置の一部の構成を模式的に示す断面図である。
図3】ピール強度と、溶接部分の深さのばらつきとを調べた結果を示す図である。
図4】実施の形態2に係る電力用半導体装置の一部の構成を模式的に示す断面図である。
図5】実施の形態3に係る電力用半導体装置の一部の構成を模式的に示す斜視図である。
図6】実施の形態4に係る電力用半導体装置の一部の構成を模式的に示す斜視図である。
図7】実施の形態5に係る電力変換装置を適用した電力変換システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施の形態1>
まず、本発明の実施の形態1に係る電力用半導体装置及について説明する前に、これと関連する半導体装置(以下、「関連半導体装置」と記す)について説明する。
【0010】
図1は、関連半導体装置の一部の構成を模式的に示す断面図である。関連半導体装置は、絶縁基板などの基板1と、電力用半導体素子2と、電極端子3とを備える。
【0011】
基板1には、絶縁層1a及び回路パターン1bが順に配設されてなる。絶縁層1aは、例えばセラミック、樹脂などを含む。回路パターン1bは、例えば金属などの導電性を有する部材を含む。なお、図示しないが、回路パターン1b同士は、例えばアルミワイヤなどで電気的に接続される。
【0012】
電力用半導体素子2は、図示しないはんだを介して回路パターン1b上に配設されることによって、回路パターン1bと電気的に接続されている。電力用半導体素子2は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。
【0013】
電極端子3は、例えば、板状部材を屈曲させて形成されたリードである。電極端子3の一端部分が回路パターン1bと接触された状態で、レーザーが回路パターン1bと逆側から照射されたことによって、電極端子3は、回路パターン1bに溶接されている。
【0014】
以上のような構成が、当該構成を保護する図示しないゲルなどの封止材とともに、図示しないケースなどのパッケージによって覆われている。
【0015】
ここで、関連半導体装置の電極端子3の厚さは比較的厚くなっている。このような電極端子3と回路パターン1bとの溶接を行うためには、高エネルギーのレーザーが必要となる。このような高エネルギーのレーザーによれば、電極端子3と回路パターン1bとの溶接を行うことができるが、図1に示すように、溶接部分3aが下側に広がって、絶縁層1aを破壊することがある。一方、電極端子3の厚さが薄いと、電極端子3自体の機械強度が低下する。そこで、本実施の形態1に係る電力用半導体装置では、以下で説明するように、このような問題を解決することが可能となっている。
【0016】
図2は、本実施の形態1に係る電力用半導体装置の一部の構成を模式的に示す断面図である。以下、本実施の形態1に係る構成要素のうち、上述の構成要素と同じまたは類似する構成要素については同じ参照符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。
【0017】
電極端子3は薄肉部分3bを有しており、この薄肉部分3bは、レーザーによって回路パターン1bに溶接された溶接部分3aを含んでいる。本実施の形態1では、このような溶接を行うためのレーザーとして、ビーム品質が良いファイバーレーザーを用いる。これにより、微小領域に対して安定した溶接を行うことができ、かつ、回路パターン1bが、例えばCu(銅)及びAl(アルミニウム)などの難溶融材であっても溶接を行うことができる。
【0018】
ここで、以上のような構成において、ピール強度と、溶接部分3aの深さのばらつきとを調べた。図3は、その結果を示す図である。実線はピール強度を示し、一点鎖線は溶接部分3aの深さのばらつきを示す。図3の横軸は、回路パターン1bの厚さに対する電極端子3の厚さの比率としている。なお、回路パターン1bの厚さが0.2mm以上0.5以下である場合に、以上のような図3の結果と同様の結果が得られた。
【0019】
図3の下側のハッチング領域では、ピール強度が不十分であり、電流容量の不足、及び、寿命の低減が生じやすくなることが分かった。図3の上側のハッチング領域では、溶接部分3aのばらつきが大きくなり、絶縁層1aが破壊される確率が高くなることが分かった。そこで、本実施の形態1では、電極端子3の薄肉部分3bが、回路パターン1bの厚さの1倍以上2倍以下であるように構成される。
【0020】
<実施の形態1のまとめ>
本実施の形態1に係る電力用半導体装置によれば、ビーム品質が良いファイバーレーザーを用いるので、微小領域に対して安定した溶接を行うことができ、かつ、回路パターン1bが難溶融材であっても溶接を行うことができる。また本実施の形態1に係る電極端子3の薄肉部分3bは、回路パターン1bの厚さの1倍以上2倍以下であるように構成される。これにより、ピール強度の向上、電流容量の不足の抑制、寿命の低減の抑制、及び、絶縁層1aが破壊される確率の低減が期待できる。したがって、電力用半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0021】
<変形例>
実施の形態1では、電力用半導体素子2と回路パターン1bとの間のダイボンド材は、はんだであったが、これに限ったものではなく、例えば、焼結性のAg(銀)粒子またはCu(銅)粒子を含む接合材であってもよい。焼結性の接合材をダイボンド材に用いた構成によれば、はんだをダイボンド材に用いた構成よりも、電力用半導体素子2と回路パターン1bとの接合部の寿命を向上させることができる。
【0022】
また、実施の形態1では、電力用半導体素子2は、IGBTであったが、これに限ったものではない。電力用半導体素子2は、例えば、IGBT、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、FWD(Free Wheeling Diode)、及び、SBD(Schottky Barrier Diode)の少なくともいずれか1つを含んでもよい。
【0023】
また、実施の形態1では、電力用半導体素子2は、回路パターン1b上に配設されたが、これに限ったものではない。電力用半導体素子2は回路パターン1bと電気的に接続されればよく、例えば、回路パターン1bとの間に他の導電部材が設けられてもよい。
【0024】
<実施の形態2>
図4は、本発明の実施の形態2に係る電力用半導体装置の一部の構成を模式的に示す断面図である。以下、本実施の形態2に係る構成要素のうち、上述の構成要素と同じまたは類似する構成要素については同じ参照符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。
【0025】
本実施の形態2では、電極端子3の薄肉部分3b以外の部分の厚みは、0.6mm以上2.0mm以下であり、電力用半導体素子2はワイドバンドギャップ半導体であるSiC(炭化珪素)を含む。このような構成によれば、電極端子3の断面積が比較的大きいので、電力用半導体装置に大電流を流すことができる。また、SiCは、耐熱性に優れるため、この観点からも、電力用半導体装置に大電流を流すことができる。この結果、パッケージ、ひいては、電力方半導体装置の小型化が期待できる。
【0026】
なお、以上の説明では、ワイドバンドギャップ半導体はSiCであったが、これに限ったものではない。例えば、ワイドバンドギャップ半導体は、窒化ガリウム(GaN)、または、ダイヤモンドなどであってもよい。
【0027】
<実施の形態3>
図5は、本発明の実施の形態3に係る電力用半導体装置の一部(電極端子)の構成を模式的に示す斜視図である。以下、本実施の形態3に係る構成要素のうち、上述の構成要素と同じまたは類似する構成要素については同じ参照符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。
【0028】
本実施の形態3では、平面視において、薄肉部分3bの形状は溶接部分3aの形状と同一となっている。つまり、平面視において、薄肉部分3bは溶接部分3aのみから構成されている。図4の例では、薄肉部分3bは、電極端子3の外縁部分に設けられておらず、電極端子3は、薄肉部分3bが底部である凹部3cを有している。
【0029】
このような本実施の形態3に係る電力用半導体装置によれば、電極端子3のうちレーザー接合部分である溶接部分3aのみが薄くなっているので、実施の形態1よりも応力耐性の向上、ひいては接合信頼性の向上が期待できる。また、電力用半導体装置の電流容量を高めることができるので、パッケージ、ひいては、電力用半導体装置の小型化が期待できる。
【0030】
<実施の形態4>
図6は、本発明の実施の形態4に係る電力用半導体装置の一部(電極端子)の構成を模式的に示す斜視図である。以下、本実施の形態4に係る構成要素のうち、上述の構成要素と同じまたは類似する構成要素については同じ参照符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。
【0031】
本実施の形態4に係る電力用半導体装置は、実施の形態3の構成に加えて、凹部3cに埋設された導電性部材3dを備える。導電性部材3dは、例えば、Cuペースト、及び、Agペーストの少なくともいずれか1つを含む。図6の構成は、例えば、薄肉部分3bをレーザーによって回路パターン1bに溶接した後に、導電性部材3dが凹部3cに埋設されることによって形成される。
【0032】
このような本実施の形態4に係る電力用半導体装置によれば、電流が流れる電極端子3の断面積を実質的に大きくすることができる。このため、電力用半導体装置に大電流を流すことができ、この結果、パッケージ、ひいては、電力用半導体装置の小型化が期待できる。
【0033】
<実施の形態5>
本発明の実施の形態5に係る電力変換装置は、実施の形態1〜4のいずれかに係る電力用半導体装置を有する主変換回路を備えた電力変換装置である。以上で説明した電力用半導体装置は特定の電力変換装置に限定されるものではないが、以下、本実施の形態5として、三相のインバータに、実施の形態1〜4のいずれかに係る電力用半導体装置を適用した場合について説明する。
【0034】
図7は、本実施の形態5に係る電力変換装置を適用した電力変換システムの構成を示すブロック図である。
【0035】
図7に示す電力変換システムは、電源100、電力変換装置200、負荷300から構成される。電源100は、直流電源であり、電力変換装置200に直流電力を供給する。電源100は種々の電源で構成することが可能であり、例えば、直流系統、太陽電池、蓄電池で構成されてもよいし、交流系統に接続された整流回路やAC/DCコンバータで構成されてもよい。また、電源100は、直流系統から出力される直流電力を所定の電力に変換するDC/DCコンバータによって構成されてもよい。
【0036】
電力変換装置200は、電源100と負荷300との間に接続された三相のインバータであり、電源100から供給された直流電力を交流電力に変換し、負荷300に交流電力を供給する。電力変換装置200は、図7に示すように、直流電力を交流電力に変換して出力する主変換回路201と、主変換回路201を制御する制御信号を主変換回路201に出力する制御回路203とを備えている。
【0037】
負荷300は、電力変換装置200から供給された交流電力によって駆動される三相の電動機である。なお、負荷300は特定の用途に限られるものではなく、各種電気機器に搭載された電動機であり、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車、鉄道車両、エレベーター、もしくは、空調機器向けの電動機として用いられる。
【0038】
以下、電力変換装置200の詳細を説明する。主変換回路201は、スイッチング素子と還流ダイオードとを備えており(図示せず)、スイッチング素子がスイッチングすることによって、電源100から供給される直流電力を交流電力に変換し、負荷300に供給する。主変換回路201の具体的な回路構成には種々の構成があるが、本実施の形態5に係る主変換回路201は2レベルの三相フルブリッジ回路であり、6つのスイッチング素子とそれぞれのスイッチング素子に逆並列された6つの還流ダイオードとから構成することができる。主変換回路201の各スイッチング素子及び各還流ダイオードの少なくともいずれか1つは、上述した実施の形態1〜4のいずれかに係る電力用半導体装置が適用された半導体モジュール202によって構成される。6つのスイッチング素子は2つのスイッチング素子ごとに直列接続され上下アームを構成し、各上下アームはフルブリッジ回路の各相(U相、V相、W相)を構成する。そして、各上下アームの出力端子、すなわち主変換回路201の3つの出力端子は、負荷300に接続される。
【0039】
駆動回路202は、主変換回路201のスイッチング素子を駆動する駆動信号を生成し、主変換回路201のスイッチング素子の制御電極に供給する。具体的には、駆動回路202は、後述する制御回路203からの制御信号に従い、スイッチング素子をオン状態にする駆動信号とスイッチング素子をオフ状態にする駆動信号とを各スイッチング素子の制御電極に出力する。スイッチング素子をオン状態に維持する場合、駆動信号はスイッチング素子の閾値電圧以上の電圧信号(オン信号)であり、スイッチング素子をオフ状態に維持する場合、駆動信号はスイッチング素子の閾値電圧以下の電圧信号(オフ信号)となる。
【0040】
制御回路203は、負荷300に所望の電力が供給されるよう主変換回路201のスイッチング素子を制御する。具体的には、制御回路203は、負荷300に供給すべき電力に基づいて主変換回路201の各スイッチング素子がオン状態となるべき時間(オン時間)を算出する。例えば、制御回路203は、出力すべき電圧に応じてスイッチング素子のオン時間を変調するPWM(Pulse Width Modulation)制御によって主変換回路201を制御することができる。そして、制御回路203は、各時点においてオン状態となるべきスイッチング素子にはオン信号を、オフ状態となるべきスイッチング素子にはオフ信号が出力されるよう、主変換回路201が備える駆動回路に制御指令(制御信号)を出力する。駆動回路は、この制御信号に従い、各スイッチング素子の制御電極にオン信号又はオフ信号を駆動信号として出力する。
【0041】
以上のような本実施の形態5に係る電力変換装置では、主変換回路201のスイッチング素子及び還流ダイオードの少なくともいずれか1つとして、実施の形態1〜4に係る電力用半導体装置を適用するため、信頼性を高めることができる。
【0042】
以上で説明した本実施の形態5では、2レベルの三相インバータに、実施の形態1〜4のいずれかに係る電力用半導体装置を適用する例を説明したが、本実施の形態5は、これに限られるものではなく、種々の電力変換装置に適用することができる。本実施の形態5では、実施の形態1〜4のいずれかに係る電力用半導体装置は、2レベルの電力変換装置であるとしたが、3レベルやマルチレベルの電力変換装置であっても構わないし、単相負荷に電力を供給する場合には単相のインバータに上記電力用半導体装置を適用しても構わない。また、直流負荷等に電力を供給する場合にはDC/DCコンバータやAC/DCコンバータに上記電力用半導体装置を適用することも可能である。
【0043】
また、本実施の形態5に係る電力変換装置は、上述した負荷が電動機の場合に限定されるものではなく、例えば、放電加工機やレーザー加工機、又は誘導加熱調理器や非接触給電システムの電源装置として用いることもでき、さらには太陽光発電システムや蓄電システム等のパワーコンディショナーとして用いることも可能である。
【0044】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態及び各変形例を自由に組み合わせたり、各実施の形態及び各変形例を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 基板、1a 絶縁層、1b 回路パターン、2 電力用半導体素子、3 電極端子、3a 溶接部分、3b 薄肉部分、3d 導電性部材、200 電力変換装置、201 主変換回路、203 制御回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7