(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態の説明に先立って、環境光の強度の変動によって画像間に明暗のばらつきが生じる理由を説明する。
【0019】
図12および
図13は環境光の強度の変動(以下、単に「環境光の変動」という)を示したものであり、縦軸が環境光の強度I
A、横軸が時間tの経過を示している。なお、実際の環境光の変動の原因は様々である。例えば、インバーター式でない蛍光灯では、強度が電圧の二乗に比例して、商用電源に由来する100Hzや120Hzの周波数で変動する。また、LEDのパルス点灯方式では、製造者によって異なる数百Hz〜数十kHzの周波数でLEDが点滅し、点灯する時間の長さ(パルスの幅)によって光量が増減される。また、工場などの光源因子が複雑・多彩な場所では環境光は複雑に変動するし、車載カメラから車外を撮影するときには対向車のライト、トンネルの通過などで、環境光は非周期的に変動する。
【0020】
図12において、環境光の強度I
Aは時間tの経過とともに変動する。このとき露光時間τ
Eで撮影したときに画像に記録される環境光の光量L
Aは図中に斜線を施した部分の面積に相当する。露光時間τ
Eが同じでも、露光を開始するタイミングによって得られる画像の明るさに差が生じる。例えば
図12では、時刻t
aからt
bまで露光した場合と時刻t
cからt
dまで露光した場合とでは得られる画像の明るさに差が生じる。画像間の明るさのばらつきを抑えるには、露光時間τ
E内の環境光の積算光量L
Aを一定にする必要がある。
【0021】
図13を参照して、同じ現象は露光時間τ
Eがより長い場合にも起こり得る。環境光の変動の影響の程度は環境光の波形に大きく依存するが、例えば環境光が周期的に変動する場合には、露光時間τ
Eが環境光の周期の10倍以下である場合は複数の画像間で明暗のばらつきが無視できないことがある。例えば露光時間τ
Eが1msなら、環境光の変動周期が100μs以上(周波数10kHz以下)である場合は複数の画像間で明暗のばらつきが無視できないことがある。
【0022】
本発明の撮像システムの第1実施形態を
図1〜
図4に基づいて説明する。
【0023】
図1を参照して、本実施形態の撮像システム10は対象物Oを撮像する。撮像システム10は撮像装置11と撮影タイミング制御装置16を備える。撮像装置11は単一の撮像部12と、制御部14と画像処理部15を有する。撮影タイミング制御装置16は光量センサ17と解析部18を有する。
【0024】
撮像装置11の撮像部12はレンズで光を撮像素子に集光して撮像する。撮像素子としてはCCDやCMOSセンサなどを用いることができる。撮像素子はグローバルシャッター方式のものが好ましい。
【0025】
制御部14は撮像部12と画像処理部15を含む撮像装置11全体を制御する。具体的には、制御部14は撮像部12に露光の開始、露光の終了、撮像素子からの画像の転送などを指示する。なお、本明細書中で「露光開始」、「撮影開始」、「撮像開始」および「シャッター開」は同じ意味で用いられ、「露光終了」、「撮影終了」および「シャッター閉」は同じ意味で用いられる。制御部14は撮影終了後、撮像部12から画像処理部15に画像を転送する。
【0026】
画像処理部15は、撮像された画像を処理する。画像処理の内容としては、複数の画像の比較、差分、合成などが挙げられる。撮像装置11が三次元計測装置である場合、画像処理部15は、後撮像対象物Oの三次元座標を算出するための画像処理を行う。三次元座標を算出するための画像処理方法は、後述する。なお、
図1に示した本実施形態の撮像システム10では撮像装置11が画像処理部15を内蔵しているが、撮像システムの構成はこれには限られない。撮像装置11が画像処理部15を有さず、撮像システム10の外部に設けたパソコン等を画像処理装置として画像を処理してもよい。その場合、制御部14は撮像部12から外部の画像処理装置に画像を転送する。
【0027】
撮影タイミング制御装置16の光量センサ17は環境光の光量を測定する。光量センサは、必ずしも対象物Oに向かって測定しなくてもよく、環境光の変動が観測しやすい向きに配置すればよい。また、光量センサの前面に拡散板を設けてもよく、これにより対象物Oの形状や位置の変化の影響を抑えながら環境光の光量を測定できる。
【0028】
解析部18は、露光開始からの環境光の積算光量を光量センサの測定値に基づいて求め、その積算光量の推移を監視する。解析部はさらに、撮像装置11の制御部14と接続されて各種の通信を行う。
【0029】
なお、撮影タイミング制御装置16の解析部18と撮像装置11の制御部14は物理的に1台の計算機等で構成されていてもよい。一方、環境光の積算光量を求めるための光量センサ17は撮像装置11の撮像部12とは別に設けられる。撮像部12の撮像素子を用いて環境光の光量を測定することも可能であるが、光量センサを別に設けることにより、積算光量の監視から撮像終了への切り替えの手順が単純になるからである。また、光量センサを別に設けることにより、環境光の変動を観測しやすい向きに光量センサを配置でき、対象物Oからの反射光の影響を除いた環境光の変動のみを観測することができるからである。
【0030】
好ましくは、撮影タイミング制御装置16と撮像装置11は物理的に別個の装置として構成される。これにより、工場等における生産工程の自動化を図るための市販のFAカメラ等を撮像装置として、これに撮影タイミング制御装置16を接続することにより本実施形態の撮像システムを実現できるので、撮影タイミング制御装置の汎用性が高まる。
【0031】
次に、本実施形態の撮像システム10の動作を説明する。
【0032】
図2を参照して、撮像システム10による撮像において、撮影タイミング制御装置16は、露光開始の指示(S1)、積算光量の監視(S2)および露光終了の指示(S4)を行う。撮像装置11は撮像を行う(S3)。
図2において、撮影タイミング制御装置16と撮像装置11の間の通信は解析部18と制御部14の間で行われる。以下に各ステップの詳細を説明する。
【0033】
撮像装置11から撮像準備完了通知を受信した後、撮影タイミング制御装置16は、撮像装置11に露光開始指示を送信する(S1)。
【0034】
撮影タイミング制御装置16は、露光開始指示の送信と同時に環境光の積算光量の監視を開始する(S2)。
図3に示すように、光量センサ17が微小時間Δτ毎に環境光の光量ΔL
Aを繰り返し測定する。ここで環境光の強度I
AはI
A=ΔL
A/Δτで求められる。
図4を参照して、解析部18は光量センサの測定値に基づいて、露光開始(時刻t
1)からの環境光の積算光量L
Aを求め、その推移を監視する。そして、撮影タイミング制御装置16は、環境光の積算光量L
Aが所定値L
*に達すると(時刻t
2)、撮像装置11に露光終了指示を送信する。
【0035】
図2に戻り、撮像装置11は、撮影タイミング制御装置16から露光開始指示を受信すると撮像を行う(S3)。撮像装置11の制御部14が撮像部12を制御して、シャッターを開いて露光を開始する(S31)。そして、撮像装置11は、撮影タイミング制御装置16から露光終了指示を受信すると、制御部14が撮像部12を制御して、シャッターを閉じて露光を終了し(S32)、画像を撮像部12から画像処理部15に転送する。以上で1回の撮像が完了する。
【0036】
引き続き撮像を行う場合は、撮像装置11から撮影タイミング制御装置16への撮像準備完了通知が送信され、以降の動作が繰り返される。
【0037】
所要の回数の撮像が完了した後、画像処理部15が撮像の目的に応じた画像処理を行う(S5)。
【0038】
上記動作の変形例として、撮像装置11が露光を開始するとともに撮影タイミング制御装置16に露光開始通知を送信し、露光開始通知を受信した撮影タイミング制御装置が環境光の積算光量の測定を開始してもよい。
【0039】
なお、光量センサ17が受光する環境光の光量と撮像部12が受光する環境光の光量に差があっても通常は無視できる。撮像の目的にかなう画像の輝度レベルには幅があり、環境光の露光量の許容範囲にも幅があるからである。光量センサと撮像部による受光量の差が無視できない場合は、光量センサの配置に合わせて、予め適当な補正係数を求めておくことができる。
【0040】
図4を参照して、本実施形態の撮像システム10では、任意の時刻に露光を開始して(時刻t
1、t
3)、環境光の積算光量L
Aが露光を終了すべき積算光量である所定の値L
*に達するのを確認して露光を終了する(時刻t
2、t
4)。露光開始のタイミングによって露光時間τ
Eは変化するが、画像に記録される環境光の光量L
A(=L
*)は一定となる。これにより、異なる時刻に撮像された画像間の明暗のばらつきが抑えられる。この効果により、撮像システム10は、同一の視野で撮像した画像同士や、同一の対象物を撮像した画像同士を比較する用途に好適に用いることができる。撮像システム10は例えば、各種製品の検査において同一の視野で撮像した良品の画像との比較によって部品の欠損や色を判定したり、ロボットで取り上げるためにコンベア上を流れてくるワークの位置を判定したりするための視覚センサとして、好適に用いることができる。
【0041】
撮像システム10は環境光の変動が周期的であるか否かに依らず機能する。環境光の変動が周期的である場合、撮像システム10の特長を生かすには、環境光の周期T
Aに対して露光時間τ
Eが短いほど好ましい。両者の比τ
E/T
Aが小さいほど、異なる時刻に撮像された画像間の明暗のばらつきが大きくなるからである。この観点から、露光時間τ
Eは好ましくは環境光の周期T
Aの10倍以下であり、より好ましくは5倍以下、さらに好ましくは1倍以下である。例えば、蛍光灯が設置された室内であれば環境光の周期T
Aは約8.3msまたは10msであり、これに対して露光時間τ
Eがそれぞれ約83ms以下または100ms以下であれば本実施形態の撮像システム10を用いるメリットがある。
【0042】
本発明の撮像システムの第2実施形態を
図5に基づいて説明する。
【0043】
図5を参照して、本実施形態の撮像システム20は撮像装置21と撮影タイミング制御装置16を備える。撮像装置21はステレオ方式の三次元計測装置である。撮影タイミング制御装置16は第1実施形態と同じである。
【0044】
撮像装置21は2台の撮像部22A、22Bと制御部24と画像処理部25を有する。撮像部22A、22Bは異なる視点から同時に対象物Oを撮像する。制御部24は撮像部22A、22Bと画像処理部25を含む撮像装置21全体を制御する。画像処理部25は、撮像された画像を処理して、対象物Oの三次元位置および形状を算出する。なお、撮像装置21が画像処理部25を有さず、撮像システム20の外部に画像処理装置を設けて画像処理を行ってもよいことは第1実施形態と同様である。
【0045】
本実施形態の撮像システム20の動作は、
図2に示した第1実施形態のそれと、撮像工程(S3)が2台の撮像部22A、22Bによって行われる点で異なる。なお、画像処理部25による画像処理(S5)は対象物Oの三次元位置および形状を算出する三次元計算である。本実施形態は撮像部が2つである2眼のステレオカメラを用いているが、本発明は3眼のステレオカメラなど、ステレオ方式で三次元計測を行う多眼のステレオカメラに適用することができる。撮像部の数が増えるほど、より多くの画像データから三次元計測をすることができるため、より精度の高い三次元計測が可能になる。
【0046】
ステレオ法による三次元計測は2台のカメラの視差を利用する方法であって、視点の異なる2枚の画像上で計測したい点の対応点を求め、各画像上の対応点および2台のカメラの位置関係から3角測量の原理によって、計測点の三次元位置を算出する方法である。
【0047】
対応点の探索は、対象物のエッジなどの特徴点を画像処理によって抽出して行われる。2枚の画像は同時に撮像されるので、対応する2枚の画像の明るさ(輝度レベル)は揃っている。本実施形態ではさらに、異なる時刻に撮像された画像の明るさが揃うことにより、エッジ等の強度がどの画像においても同程度となり、特徴点の抽出の精度が向上する。
【0048】
また、ワイヤーハーネスや各種ケーブルをロボットで操作する場合のイメージセンサとして、カラーカメラを用いたステレオ法の開発が進められている。この方法は、多数のケーブルが画像内に存在すると対応点の決定が難しいことに対して、画像処理によってまず対象となるケーブルを色で選別してから対応点を探索する方法である。これにより高速な三次元計測が可能となり、ロボットの動作に追従して撮像を繰り返しながら、対象となるケーブルを追跡することが可能となる。しかし、画像の明るさ(輝度レベル)が異なるとケーブルの色調が変わるため、画像間の明暗のばらつきによって、ケーブルの追跡中に色による選別処理が失敗することがあった。本実施形態の撮像システム20によれば、異なる時刻に撮像された画像間の明るさが揃うため、ケーブルの色による選別を安定して行うことができる。本実施形態の撮像システム20は、カラーカメラを用いたステレオ法に特に適している。
【0049】
本発明の撮像システムの第3実施形態を
図6〜
図11に基づいて説明する。
【0050】
図6を参照して、本実施形態の撮像システム30は撮像装置31と撮影タイミング制御装置16を備える。撮像装置31は撮像部32、パターン投影部33と制御部34および画像処理部35を有する。撮像装置31はパターン投影方式の三次元計測装置である。撮影タイミング制御装置16は第1実施形態と同じである。
【0051】
ステレオ法による三次元計測において一方のカメラを明暗パターンを投影するプロジェクターに置き換え、他方のカメラで対象物に投影されたパターンを観測することにより、対象物の三次元形状を測定することができる。このいわゆるパターン投影法と呼ばれる方法には、単純な線状パターンを線の幅方向に順次ずらしながら投影する光切断法、明るさや色が滑らかに変化し、変化の方向を逆にした2つのパターンを投影する傾斜光投影法、グレイコードなどの2進符号で明暗をつけたパターンを順番に投影する時系列符号化法など、複数のパターンを逐次投影して撮像を行う方法、投影強度を正弦波に変調した縞パターンを位相をずらしながら投影する位相シフト法など、複数のパターンを逐次投影して撮像を行う方法がある。また、より複雑なパターンを1種類のみ投影して撮像を行うことで、三次元計測をする方法もある。
【0052】
パターンを投影して撮像を行う三次元計測法には、パターン投影を行わない受動的なステレオ法と比べて、対応点の探索が容易であるという利点がある。しかし、取得した複数の画像間で明暗がばらつくと、例えばグレイコード画像の二値化処理において明点と暗点を誤認するなどして、精度よく三次元計測ができないことがあった。
【0053】
以下、本実施形態では複数のパターンを逐次投影する方法について説明する。
図6において、撮像装置31の撮像部32は第2実施形態の撮像部22Aと同じである。撮像装置31は複数の撮像部32を備えていてもよい。撮像部の数が増えるほど、より多くの画像データから三次元計測をすることができるため、より精度の高い三次元計測が可能になる。パターン投影部33は液晶素子などによって複数のパターンを生成し、光源により照射して、対象物Oに異なるパターンを逐次投影する。パターン投影部の光源はフリッカーのない光源であることが好ましい。
【0054】
制御部34は撮像部32、パターン投影部33および画像処理部35を含む撮像装置31の全体を制御する。具体的には、制御部34は、撮像部32に露光の開始、露光の終了、撮像素子からの画像の転送などを指示し、パターン投影部にパターンの選択、投影開始、投影終了などを指示する。制御部34は撮影終了後、撮像部32から画像処理部35に画像を転送する。
【0055】
画像処理部35は、複数のパターンを撮影した複数の画像を処理して対象物Oの三次元位置および形状を算出する。なお、撮像装置31が画像処理部35を有さず、撮像システム30の外部に画像処理装置を設けて画像処理を行ってもよいことは第1および第2実施形態と同様である。
【0056】
本実施形態では、複数のパターンを撮像した複数の画像から対象物Oの三次元位置および形状を計算するが、1種類のパターンを撮像した画像から対象物Oの三次元位置および形状を計算することもできる。動きのある対象物の経時的な計測をする際、異なる時間に撮像した複数の画像の明るさが揃うので、対象物の変異を計測する三次元計測の精度が向上する。
【0057】
次に、本実施形態の撮像システム30の動作を説明する。
【0058】
本実施形態では露光時間内の環境光の積算光量を一定にするとともに、露光時間内に測定の対象物Oから反射されるパターン光の積算光量(以下、単に「パターン光の積算光量」という)も一定にすることが望ましい。そこで、撮像を行う前に、撮影タイミング制御装置16がパターン投影時間を設定する。
【0059】
環境光の変動が周期的でない場合は、所定の投影時間でパターン光を投影する。環境光の変動が周期的である場合、例えば以下の手法でパターン投影時間を設定することができる。
【0060】
図7を参照して、まず、撮影タイミング制御装置16は環境光の周期的変動を解析する(S01)。撮影タイミング制御装置は撮像装置31にパターン消灯を指示する。撮像装置31では、制御部34がパターン投影部33を制御して、パターンが投影中である場合はパターンを消灯する。撮影タイミング制御装置では、光量センサ17が微小時間Δτ毎に環境光の光量ΔL
Aを繰り返し測定する(
図8A)。ここで環境光の強度I
AはI
A=ΔL
A/Δτで求められる。Δτを十分に短くすれば、環境光の強度I
Aを実質的にリアルタイムで観測できる。例えば、環境光の変動周期の10分の1〜100分の1の間隔でサンプリングすれば実質的にリアルタイムで観測できる。解析部18は、光量センサによる測定値の経時変化に基づいて、環境光の周期的変動の周期T
Aと波形を算出する(
図8B)。ここで求める波形は、環境光の強度の絶対値の波形である必要はなく、光量センサが受光する環境光の強度の波形でよい。
【0061】
撮影タイミング制御装置16はパターン光の強度を算出する(S02)。撮影タイミング制御装置は撮像装置31にパターン投影を指示する。撮像装置31では、制御部34がパターン投影部33を制御して、一つのパターンを投影する。撮影タイミング制御装置の光量センサ17は、ステップS01で求めた環境光の1周期の間、環境光とパターン光を合わせた全体の光量を測定し、解析部18が1周期分の環境光の光量を差し引いて、パターン光の強度を算出する。撮影タイミング制御装置は撮像装置31にパターン消灯を指示し、撮像装置31はパターンを消灯する。
【0062】
撮影タイミング制御装置16は、ステップS01で解析した環境光の周期的変動とステップS02で算出したパターン光の強度に基づいて、パターン投影時間を設定する(S03)。
図9を参照して、環境光の積算光量L
Aとパターン光の積算光量L
Pの和L
A+L
Pが露光終了設定値L
*に最短の露光時間で達する露光開始位相を算出し、この露光開始位相から積算光量和(L
A+L
P)が露光終了設定値L
*に達する時間がパターン投影時間τ
Pとして設定される。撮影タイミング制御装置は撮像装置31に設定されたパターン投影時間τ
Pを通知する。
【0063】
次に撮像が実施される。
図10を参照して、撮影タイミング制御装置16による露光開始の指示(S1)、積算光量の監視(S2)、露光終了の指示(S4)の各ステップは、
図2に示した第1実施形態のそれと同じである。撮像装置31による撮像工程(S6)では、パターンを投影しながら撮像が行われる。また、複数のパターンを撮像後、対象物Oの三次元位置および形状が計算される(S7)。
【0064】
撮像装置31は、撮影タイミング制御装置16から露光開始指示を受信すると撮像を行う(S6)。撮像装置31の制御部34がパターン投影部33を制御してパターンを投影し、同時に制御部34が撮像部32を制御してシャッターを開いて露光を開始する(S61)。撮像装置31は所定のパターン投影時間τ
Pが経過するとパターンを消灯する(S62)。その後、撮像装置31は、撮影タイミング制御装置16から露光終了指示を受信すると、シャッターを閉じて露光を終了する(S63)。撮像された画像は撮像部32から画像処理部35に転送される。以上で1回の撮像が完了する。
【0065】
次の撮像が可能となると、撮像装置31から撮影タイミング制御装置16に撮像準備完了通知が送信され、次のパターンについて撮像が繰り返される。
【0066】
複数のパターンの撮像が完了した後、撮像された複数の画像と、パターン投影部33と撮像部32の位置関係に基づいて、撮像装置31の画像処理部35によって、対象物Oの三次元位置および形状が計算される(S7)。
【0067】
上記動作に伴う露光およびパターン投影のタイミングを改めて
図11に示す。
図11の上段が環境光の強度I
A、下段がパターン光の強度I
Pを示している。撮像装置31が露光およびパターン投影を開始し(時刻t
5)、パターン投影時間τ
P経過後にパターンが消灯される(時刻t
6)。露光中にパターン投影を終了した後、全体の積算光量L
A+L
Pが所定の露光終了設定値L
*に達した時点で露光が終了する(時刻t
7)。露光時間τ
Eは露光開始のタイミングによって撮影の度に変化するが、画像に記録される環境光の光量L
Aは一定となる。また、露光中にパターンが投影される時間τ
Pは各撮影で一定なので、画像に記録されるパターン光の光量L
Pも一定となる。なお、パターン投影時間τ
Pは露光終了設定値L
*が最短で得られる時間としてステップS03で設定されたので、露光時間τ
Eは必ずパターン投影時間τ
Pと同じかそれ以上となる(τ
E≧τ
P)。
【0068】
本実施形態では露光時間内の環境光の積算光量L
Aおよび露光時間内のパターン光の積算光量L
Pがともに一定となるので、複数のパターンを撮像した画像間で明るさのばらつきが抑えられ、三次元計測の精度が向上する。さらに、ステップS01〜S03によって、常にτ
P≦τ
Eとなる最大のτ
Pを設定するので、撮像された画像のS/N比を大きくすることができる。
【0069】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。