(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態の連結構造を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明の連結構造は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
図1〜
図3に示されるように、本実施形態の連結構造1は、外側部材2と、外側部材2の内側に配置される内側部材3とを連結する。連結構造1は、
図2及び
図3に示されるように、外側部材2と内側部材3とにそれぞれ係合する係合部材4によって外側部材2と内側部材3との相対移動を抑制して、外側部材2と内側部材3とを連結する。
【0012】
連結構造1の適用対象は、係合部材4によって外側部材2と内側部材3とが連結されるものであれば、特に限定されない。連結構造1は、例えば、
図1に示されるように、シフトレバーなどの操作部P1と、操作部P1によって操作されるケーブルCと、トランスミッションなどの被操作部P2とを備えた操作力伝達機構Mにおいて、ケーブルCと被操作部P2との間の接続箇所に設けることができる。
【0013】
本実施形態では、連結構造1を含む操作力伝達機構Mは、
図1に示されるように、操作部P1と、操作部P1に接続されたケーブルCと、ケーブルCの端部に設けられた外側部材2と、係合部材4によって外側部材2に連結される内側部材3と、内側部材3に接続された被操作部P2とを有している。操作部P1は、シフトレバー等、ケーブルCに操作を加える部材である。ケーブルCは一端側が操作部P1に接続され、他端側が外側部材2に接続されている。ケーブルCは、公知のコントロールケーブルのインナーケーブルとすることができる。ケーブルCは、操作部P1と外側部材2との間に所定の配索経路で配索される。なお、ケーブルCは配索経路の少なくとも一部において、図示しないアウターケーシングに挿通されていてもよい。本実施形態では、ケーブルCの端部(他端)はロッドRを有し、ロッドRと外側部材2とが接続されている。内側部材3は、本実施形態では、被操作部P2となるトランスミッションに揺動可能に設けられたレバーLに設けられている。
【0014】
本実施形態では、操作部P1が操作されるとケーブルCが操作され、ケーブルCの操作によって、ケーブルCの他端が接続された外側部材2が操作される。外側部材2が操作されると、係合部材4により外側部材2に連結された内側部材3に外側部材2から力が加わる。これにより、内側部材3に接続されたレバーLがレバーLの回転軸(図示せず)周りに揺動してトランスミッションである被操作部P2に操作部P1の操作力が伝達される。
【0015】
内側部材3は、
図1に示されるように、外側部材2と嵌合する嵌合部31と、外側に設けられた係合部材4と係合する一対の内側部材係合部32a、32bとを有している。また、外側部材2は、内側部材3が嵌合する被嵌合部21と、内側部材係合部32a、32bと外部とを連通する開口部22a、22bと、係合部材4と係合する外側部材係合部23a、23bとを有している。
【0016】
内側部材3は、外側部材2に対して内側に位置するように外側部材2に嵌合し、係合部材4によって外側部材2と連結される。内側部材3は、係合部材4が係合していない状態では、所定の方向に相対移動可能に外側部材2に嵌合し、係合部材4が係合することによって、所定の方向の相対移動が抑制されるように、外側部材2と連結される。
【0017】
内側部材3の嵌合部31は、外側部材2の被嵌合部21に嵌合する。本実施形態では、嵌合部31は被嵌合部21に嵌め込まれる軸状の部位であり、貫通孔を有する被嵌合部21に挿入されて被嵌合部21に嵌合する。本実施形態では、嵌合部31は略円柱状に形成され、係合部材4によって外側部材2と内側部材3とが連結された状態において、外側部材2に対して内側部材3の軸X周りに相対回転可能に構成されている。しかし、嵌合部31は被嵌合部21に嵌合することができれば、嵌合部31の形状は特に限定されず、角柱状など他の形状であってもよい。
【0018】
一対の内側部材係合部32a、32bは、内側部材3の外側に設けられた係合部材4と係合する。本実施形態では、係合部材4は、
図3及び
図4に示されるように、外側部材2の開口部22a、22bを介して外側部材2の外部から内側部材係合部32a、32bに係合する。本実施形態では、
図2に示されるように、内側部材係合部32a、32bは、係合部材4に対して内側部材3の軸X方向の両側で係合して、内側部材3の軸X方向で両側の係合部材4の相対移動を抑制している。具体的には、本実施形態では、内側部材3は、嵌合部31の外面に対して凹んだ溝32を有し、その溝32において、軸X方向に対して垂直方向に延びる一対の対向する壁部W1、W2が内側部材係合部32a、32bを構成している。壁部W1、W2が係合部材4と係合することにより、外側部材2及び内側部材3の軸X方向で両方向の相対移動が規制されている。なお、本実施形態では、溝32は、内側部材3の軸X周り方向に形成された環状溝(以下、環状溝32と呼ぶ)である。
【0019】
本実施形態では、内側部材係合部32a、32bは、
図1〜
図4に示されるように、内側部材3の軸X周り方向で軸Xを挟んで対向する位置に一対設けられている。一対の内側部材係合部32a、32bは、後述する係合部材4の挟持部41の第一挟持要素411及び第二挟持要素412のそれぞれに係合する。なお、一対の内側部材係合部32a、32bは、第一挟持要素411及び第二挟持要素412にそれぞれ係合できるように、少なくとも2カ所に設けられていればよい。したがって、一対の内側部材係合部32a、32bは、本実施形態のように、内側部材3の軸X周り方向に連続して形成された環状溝32によって連続するように設けられていてもよいし、連続せずに独立して設けられていてもよい。
【0020】
内側部材3は、嵌合部31及び内側部材係合部32a、32bを有し、係合部材4と係合することにより、外側部材2と連結されるように構成されていれば、内側部材3の形状は特に限定されない。本実施形態では、内側部材3は、
図1〜
図3に示されるように、軸状部材であり、トランスミッションのレバーLの回転軸から遠い遠位端において、レバーLから突出している。内側部材3は、テーパー面を有する先端部33と、内側部材3の軸X方向で先端部33に隣接する円柱状の第1嵌合部31aと、内側部材3の基端側(レバーL側)に設けられた円柱状の第2嵌合部31bと、軸X方向で第1嵌合部31aと第2嵌合部31bとの間に設けられた、内側部材係合部32a、32bを有する環状溝32とを有している。
【0021】
内側部材3の先端部33が、外側部材2の被嵌合部21に嵌合するように外側部材2を内側部材3に対して軸X方向に移動させると、外側部材2の開口部22a、22bに取り付けられた係合部材4の挟持部41の間に入り込む。さらに外側部材2を軸X方向に移動させると、内側部材3の先端部33のテーパー面によって挟持部41が弾性変形して間隔が押し広げられる。外側部材2に取付けられた係合部材4の挟持部41が、内側部材3の環状溝32の位置まで移動すると、弾性変形して押し広げられた挟持部41は環状溝32の底部に向かって互いの間隔を狭める方向に移動する。これによって、係合部材4の挟持部41は、内側部材係合部32a、32bに係合する。
【0022】
外側部材2は、内側部材3に対して外側となるように内側部材3に嵌合する部材である。外側部材2は、
図1〜
図3に示されるように、被嵌合部21、開口部22a、22b及び外側部材係合部23a、23bを有し、係合部材4と係合することにより、内側部材3と外側部材2とが連結されるように構成されていればよく、外側部材2の形状は特に限定されない。本実施形態では、外側部材2は、軸状の内側部材3が挿入されるように構成され、
図1〜
図3に示されるように、板状の本体部2aと、本体部2aの一方の面から円筒状に突出する筒状部2bとを有している。本体部2a及び筒状部2bには、内側部材3を挿入可能な被嵌合部21が設けられている。本実施形態では、外側部材2は、ケーブルCの端部に設けられ、トランスミッションに接続されるアイエンドである。外側部材2には、ケーブルCが固定されたロッドRが接続され、外側部材2はケーブルCの操作に応じて操作される。
【0023】
外側部材2の被嵌合部21は、内側部材3の嵌合部31が嵌合する部位である。本実施形態では、被嵌合部21は軸状の内側部材3が挿入される貫通孔を有し、内側部材3の嵌合部31が貫通孔に挿入されることで被嵌合部21に嵌合する。本実施形態では、被嵌合部21は略円柱状の空間が形成されるように設けられているが、嵌合部31が嵌合可能であれば、被嵌合部21の形状は特に限定されない。また、本実施形態では、被嵌合部21には、貫通孔が形成されているが、被嵌合部21は貫通していない凹部を有するものであってもよい。
【0024】
開口部22a、22bは、外側部材2と内側部材3とが嵌合したときに、内側部材3の内側部材係合部32a、32bと外側部材2の外部とを連通するように、外側部材2において開口した部位である。開口部22a、22bは、係合部材4の挟持部41が内側部材3の内側部材係合部32a、32bに係合することができるような大きさ及び形状で開口している。本実施形態では、内側部材3に外側部材2が取付けられる前の状態において、外側部材2の開口部22a、22bに係合部材4が取付けられ、その際には、係合部材4の挟持部41が、被嵌合部21の内周面に対して内側の位置を延びる(
図4参照)。
【0025】
本実施形態では、開口部22a、22bは外側部材2の筒状部2bの側面において開口し、筒状部2bの径方向で内側と外側とを連通させている。開口部22a、22bは、本実施形態では、
図1〜
図4に示されるように、挟持部41の第一挟持要素411及び第二挟持要素412に対応するように、筒状部2bの軸心(軸X)を挟んで対向するように二か所設けられている。開口部22a、22bは、第一挟持要素411及び第二挟持要素412の線材の太さよりもわずかに広い、軸X方向の幅を有し、筒状部2bの周方向に沿って延びるスリット状に形成されている。
【0026】
外側部材係合部23a、23bは、係合部材4と係合して、係合部材4が外側部材2に対して所定の方向に移動することを抑制する。本実施形態では、
図2に示されるように、外側部材係合部23a、23bは、内側部材3の軸X方向において係合部材4と係合し、係合部材4が外側部材2に対して軸X方向に移動することを抑制している。外側部材係合部23a、23bに係合部材4が係合し、さらに、内側部材3の内側部材係合部32a、32bに係合部材4が係合することによって、外側部材2と内側部材3との間の相対移動が抑制される。外側部材2と内側部材3との間の相対移動が抑制されることにより、外側部材2が内側部材3から、または内側部材3が外側部材2から外れることが抑制される。本実施形態では、係合部材4によって抑制される、外側部材2と内側部材3との間の相対移動は、内側部材3の軸X方向での移動である。しかし、係合部材4によって抑制される外側部材2と内側部材3との間の相対移動の方向は、係合部材4の外側部材2及び内側部材3との係合方向に応じて変わり、内側部材3の軸X方向に限定されるものではない。
【0027】
外側部材係合部23a、23bの形状や構造は、係合部材4と係合して、係合部材4が外側部材2に対して所定の方向に移動することを抑制することができれば、特に限定されない。本実施形態では、外側部材係合部23a、23bは、
図2及び
図3に示されるように、内側部材3の軸X方向において係合部材4と係合する開口部22a、22bの開口縁である。開口部22a、22bの開口縁のうち、軸X方向で両側に位置し、軸X方向に対して垂直に延びる開口縁が、係合部材4の挟持部41と当接することにより、係合部材4が外側部材2に対して軸X方向に移動することが抑制される。なお、外側部材係合部23a、23bは、係合部材4が外側部材2に対して移動することを規制することができれば、開口部22a、22b以外の部位、例えば、筒状部2bの外側において、本体部2aに設けられて係合部材4と係合してもよい。
【0028】
係合部材4は、外側部材2及び内側部材3に係合して、外側部材2及び内側部材3の間の相対移動を抑制し、外側部材2及び内側部材3を互いに連結する。係合部材4は、少なくとも一部が可撓性を有する材料により構成されている。本実施形態では、係合部材4は、金属製の線材など、可撓性(バネ弾性)を有する1本の線材を一平面内で折り曲げて形成されている。係合部材4は、外側部材2の外側部材係合部23a、23bへ係合部材4を取付ける際や、内側部材3に外側部材2を取付ける際に、弾性変形するように構成されている。本実施形態では、係合部材4は、折り曲げられた線材が通る一平面が、内側部材3の軸X方向に対して略垂直になるように、外側部材2に取付けられている。
【0029】
係合部材4は、
図3及び
図4に示されるように、外側部材2を挟むように外側部材2に取付けられ、内側部材係合部32a、32b及び外側部材係合部23a、23bと係合する挟持部41を有している。挟持部41は、
図5に示されるように、一方側端部411aと他方側端部411bとを有する第一挟持要素411と、一方側端部412aと他方側端部412bとを有する第二挟持要素412を有している。第一挟持要素411及び第二挟持要素412は、それぞれ直線状に延びている。
図5に示されるように、第一挟持要素411と第二挟持要素412とは、それぞれの一方側端部411a、412aが(第一挟持要素411または第二挟持要素412の)軸方向において同じ方向側(
図5においては、共に左側)となるように略平行に配置されている。なお、第一挟持要素411の一方側端部411aは、第一挟持要素411の長手方向における一方側の端部である。本実施形態では、第一挟持要素411は、一方側端部411aにおいて後述する第二延出部431に接続されている。第一挟持要素411の他方側端部411bは、第一挟持要素411の長手方向における一方側端部411aとは反対側に位置する端部である。本実施形態では、第一挟持要素411は、他方側端部411bにおいて後述する第一延出部42に接続されている。第二挟持要素412の一方側端部412aは、第二挟持要素412の長手方向における一方側の端部である。本実施形態では、第二挟持要素412の一方側端部412aは、第二延出部431の内側部分からわずかに離間した自由端となっている。第二挟持要素412の他方側端部412bは、第二挟持要素412の長手方向における一方側端部412aとは反対側に位置する端部である。本実施形態では、第二挟持要素412は、他方側端部412bにおいて後述する第三延出部432に接続されている。
【0030】
挟持部41の第一挟持要素411及び第二挟持要素412は、
図3及び
図4に示されるように、外側部材2を挟むように外側部材2に取付けられている。本実施形態では、係合部材4が外側部材2の筒状部2bに取付けられる際に、第一挟持要素411及び第二挟持要素412は、互いの間隔が広がるように弾性変形され、外側部材2の開口部22a、22bに第一挟持要素411及び第二挟持要素412が位置したときに広がった間隔が狭くなって、開口部22a、22bに係合する。外側部材2の開口部22a、22bに入った第一挟持要素411及び第二挟持要素412は、被嵌合部21の内周面の内径よりも互いの間隔が狭くなるように配置されている(
図4参照)。
【0031】
上述したように、外側部材2が内側部材3に嵌合する前の状態において、係合部材4の第一挟持要素411及び第二挟持要素412は、外側部材2の外側部材係合部23a、23bに係合している。この状態で外側部材2が内側部材3に嵌合する際には、内側部材3によって第一挟持要素411及び第二挟持要素412が弾性変形して間隔が押し広げられる。第一挟持要素411及び第二挟持要素412が、軸X方向で内側部材係合部32a、32bの位置まで移動すると、弾性変形して押し広げられた第一挟持要素411及び第二挟持要素412は互いの間隔を狭める方向に移動して、内側部材係合部32a、32bに係合する。これにより、係合部材4は、外側部材2及び内側部材3の両方に係合して、外側部材2と内側部材3が連結される。
【0032】
図5に示されるように、第一挟持要素411の他方側端部411bには、第一挟持要素411の軸方向に対して交わる方向に第一挟持要素411の他方側端部411bから延びる第一延出部42が設けられている。第一延出部42は、第一挟持要素411と第二挟持要素412との間の離間方向において、第一挟持要素411から第二挟持要素412へと向かう方向へと直線的に延びている。第一延出部42は、係合部材4が第一挟持要素411または第二挟持要素412の軸線方向の一方(例えば、
図4において左側)に移動しようとしたときに、外側部材2と当接して、係合部材4が外側部材2から離脱することを抑制する。
【0033】
また、
図5に示されるように、第一挟持要素411の一方側端部411aには、第二挟持要素412の他方側端部412bと接続する接続部43が設けられている。接続部43は、第一挟持要素411の軸方向と交わる方向に延びる第二延出部431と、第二挟持要素412の軸方向と交わる方向に第二挟持要素412の他方側端部412bから延びる第三延出部432と、第二延出部431と第三延出部432とのそれぞれの端部に接続し、第二挟持要素412と略平行に延びる連結要素433とを有している。接続部43は、本実施形態では、
図5に示されるように、第二延出部431、連結要素433、第三延出部432が折れ曲って延びることによって、第一挟持要素411の一方側端部411aと、第二挟持要素412の他方側端部412bとを接続している。
【0034】
第二延出部431は、
図5に示されるように、第一挟持要素411と第二挟持要素412との間の離間方向において、第一挟持要素411から第二挟持要素412へと向かう方向へと直線的に延びている。第二延出部431は、第一挟持要素411の一方側端部411aから延び、第二挟持要素412の一方側端部412aの先端近傍を通り過ぎて、連結要素433の一方側端部433aに接続されている。本実施形態では、第二延出部431は、第一端部431aと第二端部431bとを有している。第二延出部431の第一端部431aは第一挟持要素411の一方側端部411aに接続され、第二端部431bは連結要素433の一方側端部433aに接続されている。
【0035】
第二延出部431は、係合部材4が第一挟持要素411または第二挟持要素412の軸線方向の他方(例えば、
図4において右側)へ移動しようとしたときに、外側部材2と当接して、係合部材4が外側部材2から離脱することを抑制する。本実施形態では、第一延出部42及び第二延出部431によって、係合部材4が外側部材2から第一挟持要素411または第二挟持要素412の軸線方向で離脱することが抑制される。また、第一挟持要素411及び第二挟持要素412が外側部材2と当接することによって、係合部材4が第一挟持要素411または第二挟持要素412の軸線方向に垂直な方向(第一挟持要素411及び第二挟持要素412の間の離間方向)での移動が規制される。このように、本実施形態では、係合部材4に対して加わる所定の範囲内の外力に対して、第一挟持要素411、第二挟持要素412、第一延出部42及び第二延出部431によって、係合部材4が外側部材2から離脱することを抑制する。
【0036】
連結要素433は、
図5に示されるように、第二延出部431と第三延出部432とを連結する。連結要素433は、第一挟持要素411及び第二挟持要素412に対して略平行に延び、一方側端部433a及び他方側端部433bを有している。なお、連結要素433の一方側端部433aは、連結要素433の軸方向で、第一挟持要素411及び第二挟持要素412の一方側端部411a、412aと同じ方向側に位置する端部である。連結要素433の他方側端部433bは、一方側端部433aとは逆の端部である。
【0037】
第三延出部432は、
図5に示されるように、連結要素433と第二挟持要素412とを連結する。本実施形態では、第三延出部432は、第一延出部42と略平行または同軸に延びている。第三延出部432は、第一端部432aと第二端部432bとを有している。第三延出部432の第一端部432aは第二挟持要素412の他方側端部412bに接続され、第二端部432bは連結要素433の他方側端部433bに接続されている。
【0038】
また、本実施形態では、
図5に示されるように、第一挟持要素411と第一延出部42と第二延出部431とは、第一挟持要素411と第二延出部431との成す角θ1、及び第一挟持要素411と第一延出部42との成す角θ2が90°未満となるように設けられている。なお、第一挟持要素411と第二延出部431との間の接続部位は湾曲していてもよく、この場合、第一挟持要素411と第二延出部431との成す角θ1は、第一挟持要素411の軸線と第二延出部431の軸線とが成す角をいう。同様に、第一挟持要素411と第一延出部42との間の接続部位は湾曲していてもよく、この場合、第一挟持要素411と第一延出部42との成す角θ2は、第一挟持要素411の軸線と第一延出部42の軸線とが成す角をいう。
【0039】
第一挟持要素411と第二延出部431との成す角θ1、及び第一挟持要素411と第一延出部42との成す角θ2が90°未満であることにより、
図4及び
図5に示されるように、第一挟持要素411の軸線に平行な方向での第一延出部42と第二延出部431との間の間隔は、第一挟持要素411から第二挟持要素412に向かうにつれて、小さくなる。したがって、第一延出部42と外側部材2(本実施形態では筒状部2bの外面)との間の間隔、及び、第二延出部431と外側部材2(本実施形態では筒状部2bの外面)との間の間隔は、第一挟持要素411側で相対的に大きく、第二挟持要素412側で相対的に小さくなっている。そのため、第一挟持要素411と第二延出部431との成す角θ1、及び第一挟持要素411と第一延出部42との成す角θ2が90°である場合と比較して、外側部材2に係合部材4を取付ける場合に、第一挟持要素411側から取付けることにより、隙間が広いので、取付けが容易となる。さらに、第二挟持要素412側において、外側部材2と、第一延出部42及び第二延出部431との間の間隔が小さいので、係合部材4が軸X周りに回転しようとしたときに、第一延出部42及び第二延出部431が外側部材2の外面(筒状部2bの外面)に当接しやすい。したがって、内側部材3の軸X周りに係合部材4を回転させる方向の外力が係合部材4に加わったとしても、外側部材2の外面(筒状部2bの外面)に第一延出部42または第二延出部431が接触して、係合部材4の回転が抑制される。これにより、係合部材4が回転しようとして、第一延出部42と、第二挟持要素412及び第三延出部432の交点(第二挟持要素412の他方側端部412b)との間の隙間が広がって、係合部材4が外側部材2から外れてしまうことが抑制される。
【0040】
第一挟持要素411と第二延出部431との成す角θ1は、90°未満であれば、特に限定されないが、たとえば、45°以上90°未満であることが好ましく、60°以上85°以下であることが好ましい。また、第一挟持要素411と第一延出部42との成す角θ2は、90°未満であれば、特に限定されないが、たとえば、45°以上90°未満であることが好ましく、60°以上85°以下であることが好ましい。また、第一挟持要素411と第二延出部431との成す角θ1と第一挟持要素411と第一延出部42との成す角θ2とは、同じ角度であってもよいし、異なる角度であってもよい。
【0041】
連結要素433は、上述したように第二挟持要素412と略平行であり、第二延出部431と連結要素433とは、成す角θ3が90°以上となるように設けられている。なお、第二延出部431と連結要素433との間の接続部位は湾曲していてもよく、この場合、第二延出部431と連結要素433との成す角θ3は、第二延出部431の軸線と連結要素433の軸線とが成す角をいう。第二延出部431と連結要素433との成す角θ3は、90°以上であれば、特に限定されないが、たとえば、90°より大きく135°以下であることが好ましく、95°以上120°以下であることが好ましい。
【0042】
また、本実施形態では、第三延出部432と連結要素433とは、成す角θ4が90°以上となるように設けられている。なお、第三延出部432と連結要素433との間の接続部位は湾曲していてもよく、この場合、第三延出部432と連結要素433との成す角θ4は、第三延出部432の軸線と連結要素433の軸線とが成す角をいう。第三延出部432と連結要素433との成す角θ4の角度は特に限定されず、90°未満であってもよいが、たとえば、90°より大きく135°以下であることが好ましく、95°以上120°以下であることが好ましい。
【0043】
また、第二挟持要素412は、第一挟持要素411と第二延出部431との成す角θ1が拡径するように移動したときに外側部材2または内側部材3に端部が接触する長さを有している。
図6に示されるように、第二挟持要素412が移動して(変形して)、第一挟持要素411と第二延出部431との成す角θ1(
図5参照)が大きくなるように動くと、第二挟持要素412に開口部22bから外れようとする力が加わる。第二挟持要素412が、その端部が外側部材2または内側部材3に接触する長さを有していることにより、第二挟持要素412に開口部22bから外れるような力が加わった際に、第二挟持要素412の一方側端部412aまたは他方側端部412bが、外側部材2または内側部材3に当たる。これにより、第二挟持要素412が開口部22bから外れる方向への移動が抑制され、係合部材4の外側部材2からの離脱が抑制される。本実施形態では、
図6に示されるように、第二挟持要素412の一方側端部412aが、外側部材2の筒状部2bの周方向で開口部22bの開口縁の一方の端部E1(
図6参照)に接触することにより、第二挟持要素412が開口部22bから外れることが抑制されている。
【0044】
また、
図7に示されるように、第一挟持要素411が移動して(変形して)、第一挟持要素411と第二延出部431との成す角θ1(
図5参照)が大きくなるように動くと、第二挟持要素412に開口部22bから外れようとする力が加わる。第二挟持要素412が、その端部が外側部材2または内側部材3に接触する長さを有していることにより、第二挟持要素412に開口部22bから外れるような力が加わった際に、第二挟持要素412の一方側端部412aまたは他方側端部412bが、外側部材2または内側部材3に当たる。これにより、第二挟持要素412が開口部22bから外れる方向への移動が抑制され、係合部材4の外側部材2からの離脱が抑制される。本実施形態では、第二挟持要素412の一方側端部412aまたは他方側端部412bが、外側部材2の筒状部2bの周方向で開口部22bの開口縁の両端部E1、E2に接触することにより、第二挟持要素412が開口部22bから外れることが抑制されている。なお、
図7に示されるように、第一挟持要素411と第二延出部431との成す角θ1(
図5参照)が広がると、第一延出部42と第三延出部432との間の間隔が広くなり、その隙間が大きくなればなるほど、係合部材4が外れやすくなる。本実施形態では、第一挟持要素411と第一延出部42との成す角θ2(
図5参照)が90°未満であるため、第一延出部42と第三延出部432との間の間隔が、θ2が90°である場合よりも狭くなっている(
図7にθ2が90°である場合の第一延出部を二点鎖線で示している)。したがって、係合部材4が外側部材2から離脱しにくくなっている。
【0045】
また、第一延出部42は、
図5に示されるように、少なくとも第三延出部432と第二挟持要素412との交点に略到達する長さを有している。これにより、第一延出部42と、第三延出部432と第二挟持要素412との交点との間の隙間がほぼ無い状態となっているため、その隙間を介して外側部材2から係合部材4が外れにくい。また、第一延出部42と、第三延出部432と第二挟持要素412との交点との間の隙間がほぼ無い状態となることにより、第一延出部42の先端に、他の部材などが引っ掛かりにくく、隙間が広がることが抑制される。
【0046】
以上のように、本実施形態では、第一挟持要素411と第二挟持要素412とによって外側部材2を挟み込み、第一挟持要素411及び第二挟持要素412を外側部材2及び内側部材3のそれぞれに係合させて、外側部材2と内側部材3とを連結している。2つの第一挟持要素411及び第二挟持要素412によって外側部材2を挟み込む構成とする場合、第一挟持要素411及び第二挟持要素412の線径を細くして弾性変形しやすくすると、外側部材2及び内側部材3を連結する際の作業性が向上する。その一方で、弾性変形しやすくすると、係合部材4が変形して外側部材2または内側部材3から離脱しやすくなる。本実施形態では、上述した係合部材4の構成により、外側部材2と内側部材3との連結の作業性を向上させることにより生じる、係合部材4の離脱のしやすさを解消して、係合部材4の離脱を抑制することができる。したがって、内側部材3に取付けられる前の、外側部材2と係合部材4とが係合した状態で搬送される際や、外側部材2と内側部材3とが係合部材4により係合された組み付け後の連結構造1において、係合部材4が外側部材2から離脱することが抑制される。