(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記デバイスは、第2のモニタから前記ユーザのさらなる生理学的パラメータと関連付けられたさらなる生成された生理学的信号を前記分析のために受信するようにさらに構成され、前記第2のモニタは据置モニタである、請求項1又は2に記載のシステム。
前記第1のモニタおよび前記第2のモニタのうち少なくとも1つは、心弾動図センサー、心拍数モニタ、フォトプレチスモグラフィセンサー、呼吸モニタ、音響モニタ(例えば、音センサー)、非接触モーションセンサー、無線周波数の送信および受信によって動きを検出するように構成されたモニタ、電気皮膚反応センサー、活動センサー、肺活量計、ガスセンサーおよび温度センサーのうち1つを含む、請求項3に記載のシステム。
前記複数の生理学的パラメータのうち少なくとも1つのパラメータと関連付けられた前記第1の信号は、非接触動き感知装置によって生成される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシステム。
前記1つ以上のプロセッサは、前記複数の生理学的パラメータのうち1つから前記ユーザの動きを決定するように構成され、前記動きは、呼吸に起因する前記ユーザの胸部の動き、揺れる動き、揺れる動きの取り消し、寝返り、およびベッドからの落下のうち1つである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシステム。
前記1つ以上のプロセッサは、トレンド監視を適用して、前記ユーザの前記慢性疾患の悪化の可能性のある事象を示す前記トリガパターンを決定するように、さらに構成される、請求項1〜7のいずれか一項に記載のシステム。
前記1つ以上のプロセッサは、前記複数の生理学的パラメータおよび前記1つ以上の環境パラメータを、教師付き分類システムにより、又はランダムフォレストを用いた平均デシジョンツリーの適用により、分析するように構成される、請求項1〜10のいずれか一項に記載のシステム。
前記デバイスは、前記複数の前記生理学的パラメータのうち少なくとも1つの基準閾値を追跡するようにさらに構成される、請求項1〜11のいずれか一項に記載のシステム。
前記複数の生理学的パラメータおよび前記1つ以上の環境パラメータを分析するための前記1つ以上のプロセッサのプロセッサ命令は、ユーザ特有のデータおよび母集団ベースの人口統計学データの一方または両方からの適応型の確率的重み付けに基づいて変更される規則閾値を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載のシステム。
導出された生理学的パラメータは、呼吸速度、心拍数、血圧、咳シグネチャ、喘鳴、いびき、睡眠障害呼吸、チェーンストークス呼吸、睡眠状態、および皮膚電位応答のうち1つである、請求項1〜13のいずれか一項に記載のシステム。
前記1つ以上のプロセッサは、吸気時間、呼気時間、吸気対呼気の時間比、および呼吸波形形状のうち任意の1つ以上を処理して前記トリガパターンを検出するように構成される、請求項1〜14のいずれか一項に記載のシステム。
前記1つ以上のプロセッサは、トレンド除去変動解析法(DFA)を適用して日、週、月または年のオーダーの一定期間にわたる前記パラメータの変化を検出することにより、導出された生理学的パラメータを評価するように構成される、請求項14又は15に記載のシステム。
前記1つ以上のプロセッサは、心拍数変動(HRV)データおよび電気皮膚反応(GSR)データ双方を処理して、交感神経および副交感神経間の活性化のバランスの推定を生成するように構成され、前記バランスは、前記慢性疾患の安定または進行を示す、請求項16に記載のシステム。
導出された生理学的パラメータは咳シグネチャであり、前記1つ以上のプロセッサは、以下のうち少なくとも1つに基づいて前記咳シグネチャを分類するように構成される:前記咳が痙攣と共に発生しているか、前記咳が乾性または湿性であるか、および前記咳が長引いているか、請求項14〜16のいずれか一項に記載のシステム。
前記1つ以上のプロセッサは、喘息、胃食道逆流性疾患、上気道咳症候群のうち1つを前記咳シグネチャの分類に基づいて特定するように構成される、請求項18に記載のシステム。
前記1つ以上のプロセッサは、前記咳シグネチャと関連付けられたデータと、呼吸信号、心拍数データ、血圧データおよびモーションセンサーデータのうち少なくとも1つとの組み合わせに基づいて前記ユーザの呼吸パターンを追跡するように構成される、請求項18又は19に記載のシステム。
前記1つ以上のプロセッサは、検出された咳嗽に基づいて睡眠スコアを決定すること、および前記ユーザの前記慢性疾患を悪化させる運動に起因する事象の危険性の変化を推定することを行うように構成される、請求項18〜20のいずれか一項に記載のシステム。
追跡された生理学的パラメータは、検出された睡眠段階時における発生に関連して決定され、前記検出された睡眠段階は、浅い睡眠、深い睡眠およびREM睡眠のうちいずれか1つを含む、請求項1〜21のいずれか一項に記載のシステム。
前記複数の生理学的パラメータおよび環境パラメータは、気候データおよび地理データのうち少なくとも1つに基づいた環境パラメータを含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載のシステム。
前記デバイスは、前記ユーザおよび他のユーザの一方または両方の医療記録を保存する医療情報システムとインターフェースをとるように構成され、前記複数の生理学的パラメータおよび環境パラメータの分析は、前記ユーザおよび前記他のユーザの一方または両方の前記医療記録からアクセスされたデータに基づいたパラメータ分析を含む、請求項1〜23のいずれか一項に記載のシステム。
前記1つ以上のプロセッサは、受信されたかまたはアクセスされた地理データを分析して、前記慢性疾患の悪化について危険性または危険性の変化があるかを決定するように構成される、請求項1〜24のいずれか一項に記載のシステム。
前記トリガパターンの検出に基づいた前記自動応答は、前記ユーザの前記慢性疾患を治療するように適合された治療デバイスの利用による治療の適用のための通信を含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載のシステム。
スマートケースまたはカバーをさらに含み、前記デバイスは、前記デバイスまたは前記モニタの1つを収容するかまたは少なくとも部分的に被覆するかあるいは前記デバイスまたは前記モニタの1つへ結合するスマートケースまたはカバーを検出するように構成される、請求項1〜27のいずれか一項に記載のシステム。
前記デバイスの1つ以上のプロセッサは、治療、薬物服用量、治療の変更または薬物服用量の変更を前記トリガパターンに基づいて決定するように構成される、請求項1〜29のいずれか一項に記載のシステム。
前記管理される慢性疾患は喘息であり、決定された治療または薬物服用量は、吸入器からの吸入回数と、計量された吸入器上の量とのうち1つである、請求項31に記載のシステム。
前記慢性疾患は慢性閉塞性肺疾患(COPD)であり、決定された治療または薬物服用量は、吸入器、ネブライザーおよび酸素補充タンクのうち1つからの治療である、請求項31に記載のシステム。
前記慢性疾患の悪化の可能性のある事象を示す前記トリガパターンは、喘息疾患を示し、呼吸特徴および心拍数特徴のうちいずれか1つまたは組み合わせに基づき、前記呼吸特徴は、呼吸速度、吸気時間および呼気時間ならびにその比、局所的振幅検出によって評価された呼吸振幅、呼吸速度に関連する個人化された測定基準との比較のうち1つ以上を含み、前記心拍数特徴は、心拍数変動および心拍数に関連する個人化された測定基準との比較のうち1つ以上を含む、請求項31又は32に記載のシステム。
前記デバイスは、前記複数の生理学的パラメータおよび環境パラメータのパラメータを受信するための入力インターフェースを含み、前記受信されたパラメータは、運動データ、呼吸データ、心臓データ、皮膚温度データ、皮膚色データ、睡眠質データおよび血圧データ、局地的天候データ、および室内環境データのうち任意の1つ以上を含む、請求項1〜36のいずれか一項に記載のシステム。
呼吸圧治療デバイスおよび患者インターフェースをさらに含み、前記呼吸圧治療デバイスは、前記慢性疾患の呼吸治療を前記患者インターフェースを介して提供するように構成される、請求項1〜37のいずれか一項に記載のシステム。
前記トリガパターンの検出に基づいた前記自動応答は、ユーザに対し所定の活動を行う前に前記慢性疾患の治療を行うよう指示するための通信を含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載のシステム。
【背景技術】
【0003】
2.2 関連技術の説明
2.2.1 喘息およびCOPD
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進させる。鼻および口腔は、患者の気道への入口を形成する。
【0004】
これらの気道は、一連の分岐する管を含み、これらの管は、肺の奥深くに進むほど狭く、短くかつ多数になる。肺の主要な機能はガス交換であり、空気から酸素を静脈血中へ取り入れさせ、二酸化炭素を退出させる。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これらの主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、伝導のための気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気管支となり、最終的には肺胞となる。肺の肺胞領域においてガス交換が行われ、この領域を呼吸ゾーンと呼ぶ。以下を参照されたい:「RESPIRATORY PHYSIOLOGY」, BY JOHN B. WEST, LIPPINCOTT WILLIAMS & WILKINS, 9TH EDITION PUBLISHED 2011。
【0005】
一定範囲の呼吸疾患が存在している。特定の疾患は、特定の発症(例えば、無呼吸、呼吸低下および過呼吸)によって特徴付けられ得る。
【0006】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の共通する特性を有する下気道疾患のグループのうちのいずれも包含する。これには空気の動きに対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長および肺における正常な弾性の減少が含まれる。COPDの例として、気腫および慢性気管支炎がある。COPDの原因としては、慢性喫煙、職業被ばく、空気汚染および遺伝因子がある。症状を挙げると、労作時の呼吸困難、呼吸速度の増加(頻呼吸)慢性咳および痰生成がある。
【0007】
心不全は、慢性疾患である。この疾患の重症度は、ニューヨーク心臓協会(NYHA)の主観的カテゴリおよび客観的カテゴリ(以下の表に記載)を用いて分類することができる。心不全は、心臓収縮および拡張期心不全などのクラスにおいてもみなされ得る。心不全は、長期間にわたって比較的安定し得、心血管機能の低下を伴い、急性発症を伴う。このような急性期においては、患者は症状悪化(例えば、呼吸困難(呼吸の困難)、奔馬調、頸静脈圧上昇、起座呼吸)を経験し得、明白な充血(肺空洞中の流体蓄積)を含み得る。このように余分な流体が存在すると、数キログラムの体重増加に繋がり得る。しかし、明白な充血が発生するときまでに、患者を再度安定させるために医師が取れる支援選択肢は限られており、多くの場合は患者の入院が必要になる。そのため、事象を早期に検出し、このような慢性疾患の全体的管理を可能にする手段が高く望まれている。
【0008】
【表1】
【0009】
心不全と同様に、COPDの急性悪化も発生し得、多くは細菌感染またはウィルス感染に起因する。風邪または感冒(特に喘鳴および咳嗽を伴うもの)を治療せずに放置した場合、生命の危険のある肺炎に繋がり得る。喘息の症状の多くは、COPDに共通しており、特に例えば空気汚染、強い匂い/煙霧、煙、冷たく乾燥した空気、および熱気(すなわち、極端な温度)をきっかけにして発生する。
【0010】
喘息は肺障害であり、肺へ空気を搬送する管に慢性炎症がある状態を指す。喘息は間欠的であり得、明確な症状が無い状態で数週間またはさらには数ヶ月過ごせる場合もある。従来、人は、自身の固有の症状およびトリガになるものを(成功するとは限らないが)認識する。さらに、喘息のある人は、COPDの危険性が高まっていること(例えば、喫煙者)に気づかない場合もある。喘息およびCOPDの場合、ユーザ゛は条件悪化に適応するため、疾患の進行も漸進的である場合がある。そのため、診断があいにく遅れてしまうことがある。
【0011】
一般的に、喘息が最も一般的なのは子供であり、COPDの場合は成人においてもよくみられる(特に、喫煙する成人)。
【0012】
さらに、これらの状態は、人が高BMI(ボディー・マス・インデックス)を持つ(すなわち、肥満である)場合に悪化し得る。このように対象が喘息またはCOPDを持つ場合、高二酸化炭素血症(血液中の二酸化炭素(CO2)レベルの異常な上昇)に関連する
【0013】
日中の呼吸変化によって例示される肥満低換気症候群(OHS)も発生し得る。
COPDおよびOSA(閉塞性睡眠時無呼吸)が同時に存在する場合(オーバーラップ症候群)、罹患率および死亡率の危険性が実質的に増加し得る。
【0014】
2.2.2 環境トリガおよび他の症状
喘息およびCOPDがある場合、天候条件、活動レベル、事前の悪化トレンド、および多様な生理学的パラメータ(例えば、心拍数、電気皮膚反応および呼吸)に関連する危険因子から免れない。さらに、喘息および特にCOPDがある場合、環境汚染およびオゾンレベル上昇に対する感度も高まってしまう点に留意されたい。
【0015】
花粉症(アレルギー性鼻炎)などのアレルギーが有ると、元々あった喘息が悪化し得る(例えば、アレルゲン(例えば、花粉、かび、埃または動物のフケ)への反応)。患者には、湿疹などの皮膚の問題も発生し得る。
【0016】
患者は運動関連トリガ(例えば、運動時または運動後の喘息発作)を経験し得、COPDの症状が悪化するにつれ、息切れおよび呼吸促迫の増加を示し得る。
【0017】
患者は粘液の色や量の変化も経験し得る。喘息咳は、湿性(痰生成)または非湿性(乾性咳)であり得、喘鳴(気道が狭まることに起因する高ピッチのヒューヒュー音)を伴うかまたは伴わない場合がある。喘鳴および湿性ラ音については、医師が例えば聴診を用いて検査することができる。
【0018】
他の症状(例えば、心臓疾患(例えば、鬱血性心不全))の場合、COPDの患者の文脈において(すなわち、(A)双方の疾患が存在する点および/または(B)双方の疾患も労作時に(理由は違えど)息切れの症状を示すため、監視および管理システムの多数の態様を共有できない点について)検討する必要がある。
【0019】
2.2.3 生活の質および症状に基づいた分類
2.2.3.1 喘息
喘息は、重症度に関連して3つのカテゴリに分類され得る:
【0020】
基準状態:主観的な生活の質は良好かまたは満足のいくものであり、咳嗽または喘鳴も無く、睡眠も良好または快調であり、肺活量計を介したピーク流量は、健常者基準の任意の閾値(例えば、20%)内に収まっている。喘息管理のために薬物治療を受けている場合がある。
【0021】
悪化しつつある状態:生活の質が部分的に損なわれており、呼吸も一定の割合で損なわれている(一定の息切れまたは胸部絞扼感)、睡眠の質が低下し、ピーク流量は、期待される基準の50%にまで低下し得る。薬物治療の実施および服用量増加が必要であり、症状悪化に伴い特定の吸入器の使用可能性が有る。
【0022】
悪化前/悪化の状態:極めて体調不良であり、重篤な呼吸変化(長期の息切れ、呼吸数増加)があり、日々の活動に影響も発生する。症状悪化時において、救急吸入剤を含む薬物治療が必要である。喘息発作の危険性、医療的支援の必要性が高い。
【0023】
2.2.3.2 COPD
慢性閉塞性肺疾患についての国際的指針(GOLD)のCOPDの分類によれば、患者は、気流制限に基づいて4段階に分類される。主要なパラメータとして、努力肺活量(FEV1)/秒および努力肺活量(FVC)(合計呼気)があり、どちらともリットル単位で測定され得る。通常の肺機能を持つ人の場合、FEV1は、FVCの少なくとも70%である。
【0024】
【表2】
【0025】
2.2.4 治療システム
喘息およびCOPDに起因する疾患の治療または改善のために、多様な治療が用いられている。さらに、その他の点では健常人も、これら疾患の発病や悪化を予防するための治療を有利に利用することができる。
【0026】
患者は、経口全身ステロイド剤または吸入ステロイド剤を用い得る。このような全身治療は、喘息発作の治療と、喘息の管理向上の達成とのために用いられ得る。疾患進行における早期に抗炎症吸入器を導入すると、有用であり得るため、早期のスクリーニングおよび診断が望まれていることが提案されている。日々の薬物治療においては、肺中の炎症を低減することおよびよって空中浮遊刺激物に対する感度を低下させることのために、副腎皮質ステロイドが用いられ得る。
【0027】
抗炎症喘息用吸入剤は、薬物を直接肺へ送達させる。悪化が重篤である場合、筋肉の張りの弛緩の支援および肺への気流送達の支援のために、迅速な軽減が短時間作用型の薬物(例えば、Βアドレナリン受容体遮断薬)によって送達され得る。
【0028】
COPDの場合、副腎皮質ステロイド、抗生物質および酸素補充に加えて、気管支拡張薬(作用発現が早いものまたは遅いものを含む)を用いてもよい。慢性気管支炎は、気道に鼻水が詰まって膨張することに関連し、気腫の場合は肺胞に妥協が生じる。
【0029】
2.2.5 モニタリングシステム
喘息またはCOPD(または実際には鬱血性心不全−CHF)の患者の場合、その目的は、悪化に起因する患者の再入院を防止することである。例えば、COPD対象の場合、典型的には比較的安定した期間の合間に日和見感染をトリガとして急性悪化が発生し、多くの場合に予期せぬ高度の医療介入が必要になり、その結果、健康管理システムにおいて大きなコスト負担が生じ、患者および患者の家族の生活の質にも影響が出る。悪化は過小報告されることが多く、報告をする患者は恐らくは50%未満であると推測されている。
【0030】
しかし、悪化はいつ発生するか分からないため、患者が自宅またはベッドにいるときだけでなく、患者の健康を常にまたは少なくともほとんどのとき(例えば、患者が自宅から離れているときまたは他の場合に動いているとき)に監視および評価できるようにすることが望ましい。そのため、携帯可能でありかつFEVおよび患者の健康の他のパラメータを定期的に測定できれば、極めて有用であり得る。
【0031】
市場において、生理学的パラメータを遠隔監視する「MHEALTH」監視解決法がある。これらは、単一または複数のパラメータに基づいたトリガを含み得る。
【0032】
米国公開第2007/0118054号において、生理学的病気の予測および治療のための監視バイタルサインの監視システムが開示されている。
【0033】
米国公開第2010/0275921号において、患者の呼吸不全(RI)またはCOPDの重症度の変化を検出するシステムが開示されている。
【0034】
米国公開第2015/0164375号において開示されている心肺健康監視装置は、患者の監視セッション時における身体の動きに基づいて1つ以上の睡眠障害呼吸特徴を抽出し、抽出された特徴に基づいて、臨床事象が発生する可能性があるかを予測する。
【0035】
国際特許出願公開第2010/091168において記載されている、慢性的な医学的状態に罹患している人を監視するための装置、システムおよび方法は、対象の管理に影響を与え得る生理学的変化を予測および評価する。
【0036】
2.2.6 療法
呼吸状態を治療または改善するために、一定範囲の療法が用いられている。さらに、その他の点では健常人も、呼吸器疾患の予防治療を有利に利用することができる。
【0037】
経鼻持続陽圧呼吸(CPAP)療法が、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療において用いられている。その作用メカニズムとしては、軟口蓋および舌を押して後口咽頭壁へ前進または後退させることにより、持続陽圧呼吸療法が空気スプリントとして機能し、これにより上気道の閉鎖を予防する。
【0038】
非侵襲的換気(NIV)療法は、換気補助を上気道を通じて患者へ提供して、呼吸機能の一部または全体を行うことにより、完全呼吸中の患者および/または身体中の適切な酸素レベルの維持することを補助する。NIVが、非侵襲的患者インターフェースを介して提供される。NIVはCSR、OHS、COPD、NMDおよび胸壁疾患の治療に使用されてきた。
【0039】
2.2.7 診断システムおよび治療システム
これらの療法は、治療システムまたはデバイスによって提供され得る。このようなシステムおよびデバイスは、疾患を治療することなく診断するためにも、用いられ得る。
【0040】
治療システムは、呼吸圧力療法デバイス(RPTデバイス)、空気回路、加湿器、患者インターフェース、およびデータ管理を含み得る。
【0041】
2.2.7.1 患者インターフェース
患者インターフェースは、例えば呼吸可能な気体の流れを提供することにより呼吸装具へのインターフェースをユーザへ提供するために、用いられ得る。呼吸可能な気体の流れは、鼻および/または口腔へのマスク、口腔への管、またはユーザの気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される療法に応じて、患者インターフェースは、例えば患者の顔領域との密閉部を形成し得、これにより、療法実行のための雰囲気圧力と共に充分な分散の圧力において(例えば、例えば約10CMH
2Oの陽圧)ガス送達を促進する。酸素送達などの他の治療形態において、患者インターフェースは、約10CMH
2Oの陽圧において気道への空気供給の送達を促進するのに充分な密閉を含まない場合がある。
【0042】
2.2.7.2 呼吸圧力治療(RPT)デバイス
空気圧生成器は、広範な用途(例えば、工業規模通気システム)において公知である。しかし、医療用途のための空気圧生成器は、より一般的な空気圧生成器(例えば、医療機器の信頼性要件、サイズ要件および重量要件)では満足できない特定の要件を有する。加えて、医療治療向けに設計されたデバイスであっても、以下のうち1つ以上を含む欠陥を免れない場合がある:快適性、ノイズ、使いやすさ、有効性、サイズ、重量、製造可能性、コストおよび信頼性。
【0043】
睡眠呼吸障害の治療に用いられる1つの公知のRPTデバイスとして、CPAP治療を証する、S9睡眠治療システム(製造元:RESMED)がある。RPTデバイスの別の実施例として、人工呼吸器がある。人工呼吸器(例えば、成人および小児用人工呼吸器のRESMED STELLAR(登録商標)シリーズ)の場合、複数の状態(例を非限定的に挙げると、NMD、OHSおよびCOPD)の治療のための一定範囲のための患者のための侵襲的治療および非侵襲的な非依存的呼吸治療を提供し得る。
【0044】
RPTデバイスは典型的には、圧力生成器(例えば、電動送風機または圧縮ガスリザーバ)を含み、患者の気道へ加圧空気を供給するように構成される。RPTデバイスの出口は、空気回路を介して上記したような患者インターフェースへ接続される。
【0045】
ユーザの健康を監視できるだけでなく、これらのユーザが(例えばユーザが自信の症状およびトリガを理解することおよび薬物への対応方法を理解することにより)自身の生活の質を高める方法を理解することを支援することができるシステムが、未だに必要とされている。
【0046】
さらに、ユーザの状態に関連するデータへのアクセスおよびそのデータの処理をできるだけ可能にするシステムが望まれている。この点について、患者がベッドにいるときだけでなく、患者を日中および夜間においてできるだけ監視できるシステムも望まれている。
【発明を実施するための形態】
【0087】
5 技術の実施例の詳細な説明
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される異なり得る特定の実施例に限定されるのではないことが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に記載される特定の実施例を説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0088】
以下の記載は、1つ以上の共通の特性および/または特徴を共有し得る多様な実施例に関連して提供される。任意の1つの実施例の1つ以上の特徴は、別の実施例または他の実施例の1つ以上の特徴と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。加えて、これらの実施例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる実施例を構成し得る。
【0089】
5.1 システムアーキテクチャ
本明細書中に概要を述べるシステムの例は、慢性呼吸器疾患の作用発現および重症度と、監視される慢性疾患の治療および予防(例えば、薬物治療アラート、滴定、または悪化予防システム)とに関連するユーザ特有のパターンの監視および/または検出を行うように構成され得る。本システムは、生理学的パラメータおよび環境パラメータ双方ならびに他の要素の組み合わせの分析に依存し得る。よって、本システムは、1つ以上の演算装置(例えば、1つ以上のサーバ)を含み得、1つ以上のプロセッサ(複数)は、サブシステム(複数)それぞれの記載の機能を行うようにプログラムされ得る。一般的に、生理学的パラメータは、生理学的センサーの使用により、少なくとも部分的に検出され得る。この点において、これらのパラメータは典型的には、感知された生理学的パラメータであり得る。生理学的パラメータは、例えば1つ以上のプロセッサにおけるような処理により、センサー信号から導出され得る。全般的に、本システムは、監視される慢性疾患(または監視される前慢性疾患)をホリスティック的に評価するように構成され得、触知できる健康向上を送達するために、複数のセンサーパラメータ、ライフスタイルパラメータおよび環境パラメータを総計し得る。
【0090】
高レベルにおいて、システムは、多数のセンサーおよびサービスからのデータ読出し、データの処理、データおよび先行して収集されたデータセットに基づいたシステムパラメータの適合のための方法(例えば、ソフトウェアアルゴリズムを用いたもの)を具現し得る。センサーのうちいくつかまたは全ては、システムのユーザから生理学的データ読み取り値を収集し得る。本システムは、介入して、薬物治療レベルの調節、医師との対話、ユーザとの対話を、監視されている状態の重症度の悪化または悪変を予測、予防または低減するように例えば携帯可能なモニタおよび/または据置モニタを用いて行う。いくつかの場合において、本システムは、以下に記載の慢性疾患監視のための装置、システムおよび方法のコンポーネント、デバイスおよび/または方法のうちいずれかを含み得る:国際特許出願公開第WO2007/143535、WO2008/057883、WO2010/036700、WO2010/091168、WO2013/177621、WO2014/015238およびWO2015/179911、PCT特許出願第PCT/EP2016/069413号(出願日:2016年8月16日)、米国完全出願シリアル番号US15/079339号(出願日:2016年3月24日)、米国仮出願シリアル番号62/375649号(出願日:2016年8月16日)および特許出願第PCT/EP2016/069496号(出願日:2016年8月17日)。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0091】
ユーザは、例えばSDB(睡眠障害呼吸)で診断を受けていることがあり、治療デバイス(例えば、PAPまたはRPTデバイス)を使用していることがある。システムは、ユーザの挙動、トリガおよび症状を学習(例えば、ユーザおよび環境要因の現在のパラメータおよび以前のパラメータ(事前知識)を使用)して、行為(例えば、アラートのフラグ立てまたは治療送達)を促すように、プログラムされ得る。例えば、システムは、(人から報告され得るような息切れを示す)より深いまたはより浅い呼吸パターンからの呼吸速度上昇または進行あるいは経時的呼吸波形における周期的(例えば、チェーンストークス呼吸)パターンを検出するように、構成され得る。さらに、システムは、日中または夜間時における咳嗽(特に呼気時における喘鳴パターン)を検出するように構成され得る(例えば、夜間後半におけるREM睡眠対深い睡眠、睡眠アーキテクチャへの影響。余談として、REM睡眠においてくしゃみは、REM無緊張に起因して期待されない)。非REM睡眠時において、基礎代謝率および換気装置駆動が低下する。例えば、システムは、睡眠の質および長さなどの要素に基づいて睡眠スコアを決定し、睡眠スコアに基づいてユーザの咳嗽を評価するように、構成され得る。なぜならば、睡眠スコアは、咳嗽に起因して低下する傾向があるからである(特に、咳嗽発作が頻繁である場合)。音響分析は、咳周波数、重症度の推定と、咳の種類の分析とにも適用され得る。睡眠状態(例えば、睡眠スコアまたは睡眠段階の決定)は、任意の適切な方法によって具現され得る(例えば、国際特許出願第PCT/US2014/045814号(出願日:2014年7月8日)に開示の方法)。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0092】
COPDなどの慢性疾患の悪化と共に、不眠の増加がみられ得る。睡眠質を高めるための介入(例えば、認知行動治療CBTまたは処方または非処方の睡眠薬を用いた睡眠衛生改善の向上)が有用であり得る。次に、睡眠質における客観的向上を経時的に測定することができる(例えば、非接触バイオモーションセンサー信号処理からの睡眠パラメータ推定を用いたもの)。
【0093】
同様の決定は、日中に行われ得る。日中において、咳嗽の結果、(季節的な花粉アレルギーと共に)疲労および昏睡の主観的測定および/または客観的測定に繋がり得る。
【0094】
本システムの1つの例示的な実現は、特に悪化前に人々の危険レベルについて相応にアドバイスすることと、将来の検出および将来のアドバイスを精緻化するためにユーザ入力を利用することとにより、喘息またはCOPDであることが判明している人々を支援することを目的とする。同様に、本システムは、可能な喘息または可能なCOPDをスクリーニングすること(例えば、特定の症状の原因が未だ判明していない人々を支援することおよび医師を訪ねるよう促すこと)を行うように、設計され得る。CHFの場合、人は安定してい得るが、肺炎または他の呼吸感染として知られる肺感染を発症する。同様に、COPDが進行している人の場合、このような生命の危険のある悪化の危険が増した状態にあり、COPDサイクルおよび肺炎サイクルの結果、呼吸不全に繋がり得る。疲労(特に、進行中の疲労または慢性疲労)は、肺炎のサインである。肺炎の他のインジケータとして、息切れ(例えば、「息継ぎ」の困難)、体温増加(熱)、「悪寒」、充血、および湿性咳(例えば、緑色の鼻水)がある。慢性および急性疲労の推定/検出は、現在の睡眠パラメータおよび睡眠履歴パラメータの処理によっておよび/またはアプリケーション(例えば、携帯可能デバイス(例えば、スマートフォン)上のソーシャルメディア、メッセージングおよびゲーム)の使用から導出された反応時間を介して達成され得る。例えば、本システムは、検出方法(例えば、主観的および/または客観的な疲労測定(例えば、充血、悪化および/または肺炎の予測因子(国際特許出願公開2015/054134に記載)))のうちいずれかを具現し得る。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0095】
さらに、システムは、ユーザが自身の吸入器/薬物治療を常に近接させておくことを覚えておくように構成され得、医療専門家と通信するようにも構成され得、(例えば、医療専門家からの直接的支援無く)ユーザに対して薬物治療を自動的に指示、調節および/または送達するようにさらに構成され得る。例えば、感染(例えば、連鎖球菌肺炎または細菌インフルエンザ(例えば、肺炎に関連するもの))の治療または(例えば、CHFに関連して)身体からの余分な流体およびナトリウムの除去の支援のための利尿剤。
【0096】
図1は、本技術のいくつかのバージョンにおけるシステム100の高レベルの機能ブロック図である。システム100は、例えばユーザについてのデータおよび/またはユーザの測定についてのデータを収集することにより、ユーザの監視のためのモニタサブシステム110を含み得る。収集されたデータは、生理学的データ、地理データ、環境データ、医療記録、ユーザフィードバック、およびユーザの治療デバイス140からの他のデータ、ならびにユーザの状態の監視に有用なデータ形態のうちいずれか1つまたは組み合わせを含み得る。このデータは、適切なセンサー(複数)から受信されたこのような情報または例えばユーザへのプロンプトまたはクエリに応答する入力を監視するように設計された他のシステム/デバイスにアクセスすることにより、取り出され得る。
【0097】
生理学的データの例を挙げると、呼吸関連パラメータ(速度、深さ、および強制呼気、喘鳴、咳嗽)、心臓パラメータ(例えば、心拍数、および呼吸に関連する心拍数変化(心拍数変動))のうち1つ以上がある。
【0098】
ユーザの医療記録は、投薬情報(例えば、ユーザへ処方された薬物(単数または複数)、その薬物の服用量情報(例えば、当時の服薬指導、危険レベル、症状または重症度などに応じた服用量範囲)、ユーザに処方される可能性のある薬物および/またはユーザへ(例えばアレルギーのために)処方すべきではない薬物)を意味し得る。医療記録は、臨床記録(例えば、臨床医によって測定および記録された生理学的パラメータ)も含み得る。このような情報は、紙の記録または電子健康記録(EHR)または電子医療記録(EMR)中に記録され得、このような記録は、長期的システム化傾向分析により適している。個人健康記録(PHR)は患者によって管理され、個人医療データの記録のための電子用途である。
【0099】
ユーザフィードバックは、ユーザが回答した質問表および/またはユーザが以前入力したアカウント情報から収集され得、このような情報を個人健康情報として含み得る(例えば、喫煙者であるか、息切れおよび/または胸部絞扼感を感じるか、軽度の運動、中程度の運動および激しい運動後の感じ方)、医療履歴(個人履歴および/または家族履歴)、身長、体重)。ユーザのフィードバックの大部分は、追加的にまたは代替的に、ユーザの医療記録に含まれ得かつユーザの医療記録から収集され得ることが認識される。
【0100】
治療デバイス140からのデータは、例えば、デバイスの種類、デバイスから提供される薬物治療、処方された服用量情報、治療が投与される回数(単数または複数)、任意の通知、検出された故障またはエラーおよび/またはデバイス140中に残留している服用回数を示し得る。
【0101】
システム100は、管理サブシステム120をさらに含む。管理サブシステム120は、監視サブシステム110へ接続されるかまたは監視サブシステム110と通信し、監視サブシステム110によって収集されたデータを受信することができる。管理サブシステム120は、受信されたデータを処理し、このような処理に基づいて監視される状態の作用発現および重症度レベルと、監視される状態の治療および予防のための命令(例えば、薬物の処方服用量)とを決定するように、さらに構成される。いくつかの場合において、監視される状態の治療および予防のための命令(例えば、薬物の処方服用量)は、(システムによって決定された命令ではなくまたはシステムによって決定された命令に加えて)サードパーティからの命令として受信され得る。
【0102】
システム100は、アラームサブシステム130をさらに含む。アラームサブシステム130は、監視サブシステム110へ接続されるかまたは監視サブシステム110と通信し、管理サブシステム120によって下された決定を受信し、管理サブシステム120から受信された情報に基づいて、ユーザ、臨床医または他のデバイスまたは人に警告し得る。例えば、監視される状態の重症度または周波数の増加をユーザが経験している旨または治療を必要としている旨または治療服用量の増加を必要としている旨の通知をアラームサブシステム130が受信した場合、アラームサブシステム130は、応答して活性化され得、ユーザへ相応に指示を出す。
【0103】
アラームサブシステム130の活性化は、(例えば、ディスプレイまたは照明を介した)視覚アラートまたは音声アラート(例えば、事前に記録されたメッセージ)のうちいずれか1つまたは組み合わせを含み得る。このようなアラートは、ユーザ、臨床医または双方ならびに他の人々(例えば、緊急連絡先)へ送信され得る。
【0104】
システム100は、任意選択的に治療デバイス140も含み得る。治療デバイス140は、監視される状態の治療のためにユーザによって用いられる。喘息および/またはCOPDの監視を含むいくつかの場合において、治療デバイス140は、吸入器、ネブライザー、酸素供給、RPTなどのうちいずれか1つであり得る。電子ピルボックス(例えば、システムへ通信するための特定の時間においてそのボックスからの特定の薬物の除去を記録/検出するもの)も接続され得る。いくつかの実施例において、本システムは複数のデバイスを含み得、各デバイスは、
図1に示すようにその他のサブシステムコンポーネントへ接続され得る。本システムにおいて1つ以上の治療デバイスを用い得る単一ユーザについて述べているが、本システムは、1人以上が複数の治療デバイスを用いている複数のユーザのために構成され得る点に留意されたい。
【0105】
5.2 携帯可能な疾患管理システム
図2は、本技術のいくつかのバージョンにおける携帯可能システム200の1つの例示的具現例を示す。
図2の実施例において、監視サブシステム110、管理サブシステム120およびアラームサブシステム130は、携帯可能デバイス201上において実行する1つ以上のソフトウェアプログラムまたはアプリケーションとして実現され得る(例えば、ユーザ202のもの(例えば、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、または他の装着可能か携帯可能のスマートデバイスならびにプロセッサおよびサーバへの任意選択のデータリンク))。ユーザが操作することが可能なスマートデバイスまたは他の装着可能なセンサー(例えば、マイクロフォン、心拍数光学センサー、バイオインピーダンス信号、電気皮膚反応または加速度計)について、このようなハードウェアは、ソフトウェアとのインターフェースをとり得、(例えばスタンドアロン健康監視デバイスと比較して)比較的低コストでユーザへ提供され得る。そのため、ユーザのスマートデバイスは、監視ユーザ固有の生理学的データの監視装置として用いられ得、1つ以上のこのようなセンサー(複数)を含み得るかまたは1つ以上のこのようなセンサー(複数)と通信し得る。
【0106】
システム200は、情報(例えば、生理学的データ、アラーム音生成)を受信および送信するように、デバイス201の周辺機器を用い得る。例えば、デバイス201は、音響モニタとして機能するようにユーザの呼吸音を記録および処理するために、マイクロフォンまたは他の音響/音センサーを備え得る(これは、デバイス内にあるかまたはイヤホン/マイクロフォンケーブル上にあり、これにより、マイクロフォンがユーザの口に近接するかまたはマイクロフォンの感知能力に近接する)。マイクロフォンは、慢性咳またはいびきと一貫する音パターンを監視および分類することと、これらのノイズを他の背景ノイズ(例えば、ファン、道路ノイズ)から分離することとを行うために、さらに用いられ得る。
【0107】
組み込み型センサーまたは接続可能なセンサーの他の例を挙げると、歩行計のための加速度計(複数)、コンパス、位置決めシステム(例えば、GPS)、および心拍数スポット測定がある。スマートウォッチの場合、デバイスは、(例えば、光学的方法または他の方法を介した)心拍数、電気皮膚反応、温度感知、血圧(例えば、フォトプレチスモグラフィ信号から導出されたもの)および/または呼吸速度を監視するためのセンサーを含み得る。例えば、いくつかのデバイス(例えば、UP3(登録商標)(製造元:JAWBONE))は、身体中に低電流を送ることおよび電気信号に対する組織抵抗を測定することにより、バイオインピーダンス測定を用いて、心拍数、呼吸速度および電気皮膚反応を導出し得る。他のデバイスは、圧電センサーまたは他の圧力センサーを用いて腹部または胸部の動きからの呼吸を測定するように、ベルト上/ベルト領域内またはブラ(例えば、SPIRE)上に装着され得る。
【0108】
スマートデバイスの場合、スマートデバイスは、スマートケースを備え得る。スマートデバイスはユーザの手の届く範囲内にあることが多いため、スマートケースは、ユーザに対して薬物を身近に保持するための容易かつ携帯可能な方法を提供し得る。ガス吸入剤または粉末吸入剤などの薬物は、例えばスマートケース内に設けられたフラットパックまたはカートリッジ内に含まれ得る。このパックは、マウスピース(および任意選択的に別個のアダプタピースへの接続のためのもの)を含み得るパックは、交換可能であり得、数回の使用のための容量を持ち得、かつ/または、残りの服用回数に基づいて制御信号をトリガすることができる。よって、スマートケースは、スマートデバイスを含み得るかまたはスマートデバイスへ接続し得、例えばスマートデバイス、治療デバイス、センサー(複数)のうち任意の1つ以上のためのハウジングまたは携帯用ケースとして機能し得る。スマートケースは、スマートケースのコンポーネントとスマートデバイスとの間の(例えば有線通信または無線通信(例えば、USB、NFC、BLUETOOTH、WI−FI)による)データ通信のために構成され得る。
【0109】
スマートケースは、センサーをユーザのスマートデバイスと統合するための容易かつ携帯可能な方法も提供し得る。例えば、スマートケースは、保存されている薬物治療の送達と、ユーザの大きな吸気とを協働させるために、(例えばユーザの吸気/呼気呼吸フェーズを感知するための)呼吸トラッカーを含み得る。同様の感知は、努力肺活量(空気量および呼気の迅速さ)を測定するための肺活量計(肺機能の測定)としても用いられ得る。ガス感知により、呼気中の二酸化炭素(CO
2)および鼻一酸化窒素(NO)を検出することができる。呼気終末CO
2(例えば、非分散的赤外線CO2検出器)を測定するための加熱サーミスタを設けてもよい。これは、心拍数モニタ(例えば、ソース(例えば、LED)を用い、電子光学センサーを備えたもの)を含み得る。
【0110】
スマートケースは、スマートデバイスのバッテリからまたは自身のバッテリ(例えば、可撓性であり得る肉薄のリチウムイオンまたはリチウムポリマー)から電力を引き出し得る。スマートケースは自身の固有のバッテリを含み得、このバッテリは、スマートデバイスの長寿命バッテリとしてさらに機能し得る。ケースは、スマートデバイスによって給電されてもよく、あるいは、スピーカチャンネル(例えば、「ハイジャッキ」型具現)のうち1つの上の音声信号から得られるエネルギーを用いた低電力BLUETOOTHLEまたは3.5MMジャッキを備えたコインセルを持ち得る。
【0111】
デバイス201は、有線または無線接続を用いて外部センサー222と通信するように、さらに適合され得る。例えば、デバイス201および外部センサー222は、無線周波数(RF)ベースのリンク(例えば、パルス連続波直角非接触センサー)と通信し得るかまたは無線周波数(RF)ベースのリンク(例えば、パルス連続波直角非接触センサー)を用い得る。あるいは、このリンクは、受信された信号強度(RSS)または他の任意の公知の手段を用いた雰囲気環境RF(例えば、WI−FIまたはデジタルTV信号)からの連続波(CW)、周波数変調CW(FMCW)、UWB、受動検出を介してもよい。これらのRFレーダーセンサーを設けた場合、これらのセンサーは、ユーザのバイオモーションからの動き、心臓および呼吸パラメータを測定するために用いられ得る。例えば、スマートケース中(または実際にはスマートフォンまたはタブレットと一体化されたもの)中のこのような感知またはセンサーを用いたスマートフォンは、ユーザの手中、ポケット中、ハンドバッグ中、またはテーブルまたはユーザの近隣の表面上にあるとき(例えば、ユーザが働いているときにデスク上に配置されたとき、テーブルまたは椅子の肘掛け上に配置されたとき、ベッドサイドのナイトスタンド上にあるとき、運動マシン上のホルダ内にあるとき、車両のカップホルダまたは他のホルダ内にあるとき)に、これらのバイタルサインおよび動きを連続的に測定することができる。通信は、USB、ピン接続、NFCなどを介してもよい。(スマートデバイスおよびスマートケース間の通信も、同様に配置され得る。)このリンクは、単一のアンテナまたは複数のアンテナを用い得る。
【0112】
デバイス201は、無線ネットワーク232へ接続するようにも適合され得る。無線ネットワーク232を介して、デバイス201は、さらなる情報212(例えば、気候データ、天候データ、医療記録)の受信および送信を行うことができる。システムは、健康レベル7(HL7)基準または類似の基準を介して医療情報システムへ任意選択的に接続し得る。デバイス201は、ユーザ202以外の人々214または位置ともネットワーク232を介して通信し得る。例えば、デバイス201は、ユーザ202の監視状態に関連する情報と共に、医師、臨床医または他の人へ/医師、臨床医または他の人からアラートを通信するかまたは情報を受信することができる。
【0113】
デバイス201は、デバイスの一体形ケースの治療デバイス(例えば、上記したスマートケース)を含めてまたはデバイスの一体形ケースの治療デバイス(例えば、上記したスマートケース)に加えて、治療デバイス242と通信するようにも適合され得る。例えば、デバイスの1つ以上のプロセッサは、治療薬物服用量または治療プログラムまたは呼吸デバイスを用いた治療セッションと関連付けられた少なくとも1つのパラメータをトリガパターンに基づいて決定および/または通信し得る。上記した無線通信接続または有線通信接続のうちいずれかは、デバイス201および治療デバイス242の接続に用いられ得る。例えば、デバイス201は、有線リンクまたは無線リンク(例えば、吸入器、ネブライザー、カプノグラフ、ASV、NIV、肺活量計または類似のデバイスへのもの)を介して通信し得る。サポートされている場合、デバイス201は、治療デバイス242のパラメータを(例えば、健康管理専門家によって規定された)安全ウィンドウ内において調節(例えば、服用量滴定を実行)し得る。治療デバイス242のバッテリレベルおよび他の動作パラメータおよび構成パラメータも、監視され得る。
【0114】
一実施例において、デバイス201は、治療デバイス242(例えば、吸入器または酸素送達システム)によって送達される服用量を受信および記録し得る。デバイス201は、治療デバイス242から受信された服用量情報との比較のために、手動で構成された(例えば、ユーザ202によって手動設定された)服用量レベルも受信し得、これにより、手動で入力された情報により治療デバイス242からの情報を無効化するかまたは逆を行うことができる。デバイス201は、治療デバイス242からのデータと、対象特有のデータおよび人口統計学データ双方のデータベースとを比較することもできる。デバイスは、上記比較のうちいずれか1つに基づいて、治療デバイス242から送達される服用量をさらに更新し得る(かまたは更新することを推奨し得る)(恐らくは更新された服用量が医療専門家によって規定または構成されたユーザの安全制限内にあることが場合)。デバイス201は、ユーザ202に自身の全身薬物治療を適切な場合に増加するように同様に促し得る(この場合も、デバイス201は、報告医師サービスと連絡をとって承認を受ける必要がある)。
【0115】
治療デバイスが吸入器または他の携帯可能な治療デバイスである場合、デバイス201と治療デバイス242との間に無線インターフェースを設けることにより、デバイス201が治療デバイス242の範囲内に確実に入ることが可能になる。治療デバイス242またはスマートカバー、スマートケースまたはハウジングが範囲(例えば、デバイス201からの事前規定された範囲)から外れた場合、デバイスは、ユーザ202へアラート(音声、視覚または振動)を提供またはトリガし得る。デバイス201は、他のシナリオ(例えば、ユーザが一定時間にわたって静止した後に動き始めた場合、危険増加が検出された場合)において、ユーザ202へ(治療デバイス242を持ってくるかまたは忘れないないようにしてもらうための)アラートを提供するための無線インターフェースも用い得る。デバイス201は、検出されたパターンに基づいて無線インターフェースを介して吸入器を事前設定すること、吸入数をカウント(吸入剤の使用)すること、およびこのようなデータを(例えばネットワーク232を介して)遠隔システムへ通信することを任意選択的に行い得る。無線インターフェースは、バッテリ給電モード(例えば、低電力BLUETOOTH LE/スマートイン(例えば、ビーコンモード))において動作し得る。インターフェースはまた、このようなサービスをIBEACON(BLUETOOTH LEの一部)として用いて、基本的室内ナビゲーションおよび近接感知双方を提供し得る。
【0116】
治療デバイス242がマスクを介したスマート吸入器またはスマート薬剤送達機構である場合、治療デバイス242は、ユーザコンプライアンスも追跡し得(例えば、吸気時に服用量を正確に取り入れている人の吸入に対して予測される抵抗を検出し得)、薬物治療が正しくまたは不正にとられたかを通知するように、デバイス201とインターフェースをとり得る。
【0117】
治療デバイス242が電子ピルボックスである場合、治療デバイス242は、内部に保存されている薬物の投与(例えば、全身喘息治療(例えば、気管支拡張薬)の投与、CHFのための利尿剤治療、COPDのための抗生物質、または抗ヒスタミン剤などの他の予防薬の自動放出)も追跡し得る。
【0118】
5.3 ライフスタイル管理システム
ユーザの状態の監視を実行するための携帯可能デバイスを用いた場合、携帯可能デバイスをずっとまたは少なくともほとんどの時間においてユーザと共に保持できるため、特に有用である。このようにユーザを監視できる状態にしておくことができることにより、携帯可能デバイスが常時(恒常)またはほぼ常時にユーザおよびユーザの状態に関連する情報を収集することができ、ユーザの現在の健康および将来の健康危険性について同様に定期的な分析を行うことができる。この点について、ユーザは自身の健康危険性についてスクリーニングするだけですむため、デバイスは、ライフスタイル管理に等しいことができるものとしてみなすことができる。
【0119】
図3は、本技術のいくつかのバージョンによるライフスタイル管理システム300の1つの例示的具現例を示す。
図3の実施例において、システム300は、以下のものを含むかまたは以下のものと関連付けられる:ユーザが装着または携行することが可能な携帯可能デバイス310、生理学的パラメータと関連付けられた生理学的信号および/またはユーザの監視される状態に関連する他のパラメータを生成するように動作可能な複数のセンサーおよびモニタ(341〜347および361〜362)、1つ以上の治療デバイス380、および携帯可能デバイス310へ通信可能に接続された1つ以上の外部システム(352、354)。センサー、モニタ、治療デバイスおよび他の外部システムは、デバイス310との通信を多様なインターフェース370(例えば、RFLINK、NFC、無線または有線ネットワーク接続)を介して行い得る。よって、デバイス(例えば、1つ以上のプロセッサ)は、任意の生理学的信号および他の信号を受信しかつ/または他の場合にこのような信号から導出されたパラメータ(例えば、1つ以上のプロセッサによって1つ以上の信号(例えば、生理学的信号)から導出されたパラメータまたは生理学的パラメータ)へアクセスし得る。
図3に示す要素のいずれかまたは全ては、システム300の一体的一部であり得る点に留意されたい。さらに、記載の要素のいずれかまたは全ては、別個のハードウェアコンポーネントであり得、ソフトウェアベースのアプリケーションによって共に利用され得る。このアプリケーションは、システムの記載の機能のいずれかまたは全てを促進するように残りのコンポーネントのうちいずれかまたは全てと通信するために、例えば携帯可能デバイス310を構成するように具現され得る。
【0120】
ライフスタイル管理システム300の携帯可能デバイス310は、メモリ312およびプロセッサ314を含む。プロセッサ314そのものは、本明細書全体に記載される分析のうちいずれかと、本明細書全体に記載される機能のうちいずれかを実行するための命令324とを行うためのアルゴリズム322を含み得る。プロセッサはまた、人口統計学(以下により詳細に説明する)トレンドおよび/またはユーザの分析のためのトレンディングエンジン326のためのハードウェアを含み得るかまたはメモリからのソフトウェアへアクセスし得る。携帯可能デバイスは、ユーザへ情報および命令を提供することが可能な出力インターフェース316(例えば、ディスプレイ、バイブレータ、スピーカ、LEDまたは他の照明)ならびにユーザからのデータおよびコマンドを受信することが可能な入力インターフェース318(例えば、キーボード、ボタン、マイクロフォン、赤外線スキャナ、加速度計)も含み得る。
図2の例示的システムにおいて、
図3の携帯可能デバイス310は、例えばスマートデバイス(例えば、スマートフォンまたはスマートウォッチ)であり得る。
【0121】
システム300の生理学的センサーおよびモニタは、以下の2つのグループに分類され得る:日中生理学的モニタ332、および夜間時間生理学的モニタ334。
【0122】
日中モニタ332は、ユーザが自宅またはベッドから離れているときにもユーザの生理学的パラメータを監視するように、適合され得る。ユーザがベッドにいない場合、ユーザの生理学的パラメータは、身体に装着されたセンサーによって任意選択的に監視され得る。このようなユーザが装着可能なモニタは、ユーザの可動性を本質的に共有する。センサーは、クリップベースのデバイス、スティックオンパッチ(皮膚チップまたはラブオンチップ)または腕時計型デバイスであり得る。例えば、ユーザの活動(例えば、活動レベル、エネルギー消費、ステップカウンタ)は、このような活動センサー341(例えば、加速度計)を用いて監視され得る。同様に、ユーザの心拍数(および心拍数変動)ならびに電気皮膚反応は、ユーザの位置と関わりなく、(例えば、光学手段、電気手段または動き手段)によって適切に設けられた各デバイス342および343によって監視され得る(ただし、ユーザがデバイスを携行している場合)。全般的に、上記の「日中/覚醒監視」は、ユーザの覚醒活動を監視することを目的とする。
【0123】
心拍数(HR)データは、連続的にまたは半連続的にユーザから収集され得る。このようなデータ収集は、胸部バンド(例えば、例えば、POLAR(登録商標)などによって提供されるスポーツ監視バンド)または腕時計のように、心拍数監視(例えば、BASIS ウォッチ、FITBIT(登録商標)、携行型ECG、フォトプレチスモグラムなどを具現するもの)を介して行われ得る。いくつかの場合において、長期間(例えば、数日、数ヶ月、数年)の日々の監視に適した、ユーザへの影響が少ないデバイスが用いられ得る。
【0124】
電気皮膚反応(GSR)(皮膚電位応答としても知られる)も、装着可能デバイス(例えば、BASISウォッチまたは他の市販のGSR測定デバイス)によって記録され得る。GSR信号は、交感神経の「闘争・逃走」活性化の代用測定として用いられる。
【0125】
皮膚温度が分析される実施例において、皮膚温度は、例えば温度センサーを備えた装着可能デバイスによって記録され得る。
【0126】
夜間時間モニタ334は、ユーザが自宅またはベッドにいるときにユーザの生理学的パラメータを監視するように、適合され得る。例えば、ユーザがベッドにいるとき、ベッドサイド(またはベッドの下側の)非接触または最小接触のモニタを用いて、生理学的パラメータ(例えば、心拍数344、呼吸速度345、呼吸深さ346(例えば、浅い/あえぎ呼吸、深い呼吸、または呼吸中断または減少)、動きレベル347および他の関連パラメータ)を収集することができる。いくつかの例において、夜間時間モニタは、無線周波数(RF)モニタ、加速度計、圧電またはUWB(超広帯域)マットレスのうちいずれかであり得る。受動赤外線モニタまたは他の光学手段(例えば、皮膚色および動きの検出が可能なカメラ)も用いられ得る。よって、日中モニタおよび夜間モニタの組み合わせを用いることにより、システム300は、ユーザの全般的ライフスタイルの監視および評価を改善するために、ユーザの常時監視を行うことができる。
【0127】
寝室設定において、心拍数は、上記の例示的日中センサー以外のセンサーに基づいて推定され得る。例えば、ユーザは、接触型の(例えば、装着可能なデバイス(例えば、BASISウォッチまたはECG電極およびデバイス))または1つ以上の非接触センサー(例えば、1つ以上のRESMEDRFセンサー)を装着または使用し得る。このようなセンサーは、処理技術(例えば、ウェーブレットベースの時間/周波数変換)の使用により、具現され得る。ウェーブレットは、異なる時間スケールにおけるパラメータまたは信号の分析のための時間/周波数アプローチである。例えば、離散連続ウェーブレット変換(CWT)を(例えばダゥベシスウェーブレットを用いて)行って、バイオモーション信号の心臓コンポーネントおよび呼吸コンポーネントそれぞれを分離すことにより、強力なノイズ除去挙動を示し得る。例えば、本技術のいくつかのバージョンにおける信号分析は、国際特許出願公開2014/047310に記載の方法のいずれかを含み得る。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する(例えば、呼吸信号ウェーブレットノイズ除去方法)。このようなセンサーの例を挙げると、無線周波数の送信および受信を通じて動きを検出するRFモーションセンサー(例えば、米国特許出願公開第2014/0024917号に記載のセンサー)がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0128】
1つ以上のRFセンサーが具現される場合、センサー(複数)は、米国特許出願第14/415,677号(出願日:2015年1月19日)、米国仮特許出願第62/205,129号(出願日:2015年8月14日)および米国仮特許出願第62/207,670号(出願日:2015年8月20日)に記載のセンサーまたは複数の協調/同延型センサーのいずれかであり得る。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。さらに、このようなセンサーは、例えば複数のセンサーが用いられる場合に特定のユーザまたは単一のユーザに関連して睡眠情報を収集するために、米国特許出願第62/207,687号(出願日:2015年8月20日)に記載の方法のいずれかに従って特定の個人を区別するためのバイオメトリック特性の検出または特定のために構成され得る。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0129】
血圧パラメータは、装着可能なフォトプレチスモグラフィベースのセンサーからも導出され得る。
【0130】
上記のセンサーは、「日中」時間および「夜間時間」として分類されるが、これらのセンサーのいずれかをユーザが任意の所与の時間において用いることができ、ユーザは、「日中」センサーのうち多くを装着したまま睡眠することができ、「夜間時間」センサーを日中携行することもできる点に留意されたい。
【0131】
例えば、人の慢性疾患が重くなるにつれて現れる傾向として、(I)(自宅、老人ホーム、病院などおよび外部に関わらず)その人の動きが減少する、(II)睡眠が分断される、(III)ベッド上の予備の枕で睡眠をとったり、ベッド近くの椅子の上で睡眠をとったり、あるいは家の別の部分(例えば、リビングルーム)においてわざわざ睡眠をとる点が認識される。第3の点は、座ると呼吸がし易くなるため、悪変充血の場合に特にあてはまる。これは、人の睡眠および他の信号の監視の点において問題になるが、これは、複数のセンサーの共存を可能にするシステム(例えば、米国特許出願第62/207,687号に記載のもの)および異なる位置におけるバイオメトリック特性を検出するシステム(例えば、米国仮特許出願第62/207,687号に記載のもの)であって、監視対象の人に関連するシステムにより、対処することができる。その機能様態について、以下に説明する。
【0132】
本システムは、室内の2人以上の対象間を区別し、非接触センサーを用いて特定の人を特定するように、構成され得る。例えば、本システムは、動き特徴、活動特徴、心臓心弾動図特徴および/または呼吸特徴を処理し得る。このような方法は、活性RF感知システム(例えば、連続波(CW)、パルスCW、周波数変調周波数変調連続波(FMCW)、周波数シフトキーイング連続波(FSKCW)、周波数ホッピング、および超広帯域(UWB)システムへ適用され得る。(ほとんどの人間にとって)非可聴である18〜22KHZの範囲の信号を用いたCW、パルスCW、FMCW、FSKCW、周波数ホッピングおよびUWBスキームを用いたソナー方法も、用いられ得る。どちらの種類のセンサーのFMCWアプローチも、多様な変調スキーム(例えば、ランプ(チャープ)信号、三角、正弦波)を用い得る。これらの処理アプローチは、単一の人を検出し、第2の人または後続の人を除外するかまたは感知フィールド内の複数の人を検出し得る。
【0133】
慢性疾患(例えば、CHF)を持つ人が同床者と共に睡眠する場合、両人とも、寝室内において2つのスマートRFセンサーによって監視される。これら2つのスマートRFセンサーは、共存することおよびこれら2人の監視対象のバイオメトリック(識別情報)を検出および認識することを行うように、設計される。そのため、個人は、日中はセンサーを含むスマート腕時計モニタを装着する一方、夜間は充電のためにスマート腕時計をドックに配置する。監視対象の人の状態が悪化すると、当該人物は、夜間の大半を隣接するリビングルームの快適なリクライニングチェア上において過ごすようになる。自宅には、いくつかのRFセンサーが含まれ得る。これらのRFセンサーは、ACコンセント(これらは、コンセント/ソケットが他の装置によっても利用できるように、AC電源コンセントを通じて機能し得る)へ差し込まれるか、またはパススルーまたはハブと悪化の可能性のある事象してUSBソケットへ差し込まれる。これらの他のセンサーは、メッシュネットワークを介して、ケーブル配線を通じてまたはWI−FI、BLUETOOTHなどを介して通信し得る。センサーは、ユーザが寝ている椅子の近隣に配置され得、システムは、ユーザのバイオメトリックデータを検出し得る。次に、センサーは、当該ユーザと関連付けられた寝室からの睡眠セクションおよびその後の椅子近隣からの睡眠セクションを組み合わせ得、心臓信号および呼吸信号も抽出し得る。よって、異なるセンサーは、生理学的パラメータを異なる位置(例えば、人が時間を過ごし得る異なる部屋(例えば、寝室またはベッド近隣のセンサーおよび寝室以外の別の部屋内のセンサー))から検出するために、用いられ得る。
【0134】
システムは、ユーザの位置を(例えば、ユーザのデバイスからの信号に基づいて)かつ決定された位置に基づいて決定し得、生理学的パラメータまたは信号を決定された位置におけるモニタまたはセンサーから受信し得る。システムは、ユーザが存在しない位置にあるセンサーによって収集されたデータをさらに捨象し得る。よって、第1の監視されるユーザが退いた「ベッドの暖かい側」へ第2のユーザが移動した場合であっても、システムは、第1のユーザの生理学的状態を分析する際(および/または第2のユーザのバイオメトリックデータを第1のユーザのデータと別個に処理する際)において、第2のユーザのバイオメトリックデータを除外し得る。さらに、システムは、ユーザ間だけでなく、人間および動物間(例えば、ユーザおよびユーザの犬)も区別することができる。その結果、システムが建物内のペットからデータが不意に検出およびデータ収集される事態を回避することが支援される。システムは、(周期的信号を含む)感知範囲(例えば、ファン、空調システム、ゆっくりと移動する窓ブラインドまたはカーテンおよびアナログ時計(例えば、内部においてぜんまい仕掛け/歯車を用いたもの))における他の非生理学的動きを除外するようにも、構成され得る。RF感知は、ファンおよび移動するカーテンを検出し得るが、ソナー感知の方が、気流の移動(例えば、ドアまたは窓が開いたとき、または加熱/冷却システムが動作するとき)を検出する可能性がより高い。そのため、処理においてこのような動きが除外され、当該人物(複数)の実際の動きが検出される。
【0135】
浴室領域において転倒/踏み外しを監視することも可能である。第1のユーザについて、装着可能デバイスによって日中収集された(またはユーザが装着を選択した場合に実際に睡眠期間から収集された)パラメータを組み合わせることもでき、このようなデバイスは、1日分以上の夜における酸素飽和についての有用な情報を提供することができるオキシメータを含み得る)。装着可能オキシメータ(例えば、従来の指プローブ、耳たぶ、絆創膏、腕装着、CPAP内への配置または他のマスク形態の要素)から脱飽和を検出することができることが分かる。さらなるモニタは、非生理学的データを収集し得る。非生理学的データは、ネットワークまたは他の接続を介して収集され得る。例えば、ユーザの位置354は、GPSまたは他の位置決めデータによって決定され得る。医療データ352および環境データ356は、(例えば日中においては)無線ネットワークを介してまたは(例えば、夜間においては)有線ネットワークを通じてまたはこれらの組み合わせを用いてアクセスされ得る。いくつかの場合において、環境データは、(例えば、デバイス201が温度計に内蔵される場合に)ネットワーク無しでもアクセスされ得る。
【0136】
自宅ベースのセンサーは、自宅内の煙または他の粒子または汚染物質を検出し、アラートを発生するように構成され得る点に留意されたい。これらのセンサーは、(市販の煙/火災検出器の閾値よりも低い)微量の葉巻たばこ/紙巻きたばこの煙を検出して、喫煙中断プログラムへのコンプライアンス(例えば、COPDに罹患しているユーザが実際に禁煙しているか)をチェックするようにも、構成され得る。他の種類のセンサーは、事象をトリガし得る埃の多い環境または空気中の揮発性物質を検出する(すなわち、既知の個人的トリガを検出し、ユーザに対するトリガを低減または除去するための治療的行為または外部介入のための監視サービスを提案する)ために用いられ得る。
【0137】
環境データ356は、例えば多様なオンラインソースから得られた天候データ361(例えば、多様なアレルゲン、花粉レベル、湿度データ、温度、風悪寒に対するアレルギーレベル)と、局所的空気質センサーからの空気質情報362とを含み得る。このようなデータは、有線または無線センサーから得てもよいし、あるいは、「オンライン」サービス(例えば、天候、空気汚染およびアレルギー(例えば、花粉)状態データについての局地的ソース、地域的ソースおよびトレンディングソース)を介して得てもよい。
【0138】
より詳細には、短期および長期の天候データを、多様なオンラインソースから得ることができる。アレルギーアラート(例えば、花粉カウントに関するもの)は、予測値または季節的値に基づいて決定され得る。アレルギーは、主観的質問表(例えば、ソフトウェア・アプリケーションによってユーザへ提示される質問)の一部として決定または特定され得る。他の環境データ(例えば、空気粒子カウントおよび花粉カウントに関連する情報)も、ユーザの主観的入力に基づいて同様に推定または測定され得る。
【0139】
環境データの外部ソースに加えて、温度、湿度、および空気質のデータへも家庭の環境監視システム(例えば、自宅内のセンサー外部ソースからアクセスすることができる。
【0140】
携帯可能デバイス310のトレンド監視エンジン326(ソフトウェアおよび/またはハードウェア)へ戻って、システム300のこのコンポーネントは、受信されたかまたはアクセスされたデータを分析して、監視されている状態(例えば、喘息またはCOPD)の危険性の上昇または危険性の悪化があるかを決定し得る。この点について、トレンド監視において、喘息危険因子およびCOPD危険因子のマップ(例えば、デシジョンツリー、地図)が生成され得、これにより、システムは、ユーザが自身の状態を自己管理ができるようなフィードバックを提供するように構成される。このようなフィードバックを提供するために、システムは、ユーザが常時またはほとんどのときに携行しているデバイス(例えば、ユーザのスマートデバイス電話機および/またはタブレットおよび/または装着可能なインターフェース(例えば、リストバンド、クリップオンデバイスまたはスマートガーメント))を利用して、不確実性および懸念を低減しつつユーザの自由を増加させることができる一方、監視されている状態についての大量のデータを収集することができる。以下に述べるように、次に、本システムは、例えば音声、映像、写真および/またはテキストメッセージの提供/生成により、ユーザが発作/悪化の危険性を低減させる挙動を行うようにユーザを誘導するようにも構成され得、また、既存の治療との統合もさらに可能である(例えば、PAPデバイスまたは活性スマートマスクの一部としての利用)。
【0141】
トレンド監視においては、危険因子についてより広範な母集団から導出されたより広範囲のデータからの学習が必要になり得る。このような危険因子は、以下のものの局所的領域であり得る:空中浮遊刺激物、季節因子、局地的天候要素(例えば、予測データ)、室内環境データ、運動レベル、呼吸パターン、心臓パターン(例えば、呼吸波形および音響特性(例えば、咳、くしゃみおよび喘鳴))、皮膚温度の変化、皮膚色、睡眠質の変化および血圧。さらに、システムは、ユーザ(例えば、質問表)からのフィードバックを用いることにより、より広範な母集団においては見つけることのできない対象特有のトリガ(例えば、ユーザの悪化事象(複数)に繋がる収集データによって表される状態)を学習し得る、
【0142】
状態の悪変(例えば、喘息発作またはCOPD悪化の危険因子)を示すトレンドが認識された場合、システムは、ユーザおよび/または医療システムに対してプロアクティブにアラートし得、装置および/または治療パラメータの調節を含み得る一連の行為を提案し得る。多様な測定を用いて状態悪化を検出することが可能ないくつかの監視デバイスおよび処理方法について、国際特許出願公開2013177621号に記載がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。調節またはパラメータが決定され得、その関連情報(例えば、調節またはパラメータ)が、視覚インジケータを介しておよび/または音声キューを介してユーザへ画面上に提示され得る。
【0143】
図3のデバイス310は、1つ以上の治療デバイス(例えば、吸入器382、酸素供給384、ネブライザー386または他の薬物治療388(例えば、ピルボックスまたは他の電子チップ付きの薬剤分配器(例えば、RF識別情報チップ)))とさらに通信し得る。治療デバイス380との通信手段は、
図2に関連して既述した接続またはリンクのうちいずれかであり得る。
【0144】
さらに、
図3において、デバイスは、服用量監視392および服用量滴定394のための1つ以上のデバイスとインターフェースをとるように構成され得る。デバイスは、(
図2に述べたように)治療デバイス382〜388と一体化してもよいし、あるいは、ユーザのデバイス310と治療デバイス382〜388との間のスタンドアロンインターフェースとしてもよい。
【0145】
5.4 慢性疾患の監視
図4は、上記システムまたは同様の設計のシステムのいずれかのユーザの慢性疾患症状の監視および管理のための方法の高レベルの図示である。
図4において、システムは、ユーザの状態に関する多様な種類のデータを収集する。このようなデータ収集は、(412において)生理学的データを記録すること、(414において)環境データを受信すること、(416において)医療データまたは記録を取り出すこと、および/または(418において)他のデータ(例えば、ユーザの位置)を収集することを含み得る。
【0146】
420において、システムは、収集されたデータに少なくとも部分的に基づいて、ユーザの慢性疾患または関連治療について決定を下す。このような決定は、状態の現在の重症度を検出すること、状態の悪化の危険性を検出または予測すること、当該状態に対する現在の一連の治療を決定することなどを含み得る。例えば、システムは、1つ以上のプロセッサを介して、パラメータ(例えば、決定されたおよび/または導出された生理学的および/または環境パラメータ(複数)のうち任意の1つ以上)を評価して、パラメータ(複数)のトリガパターンを(例えば1つ以上の閾値を用いたパラメータの評価によって)検出し得る。ここで、検出されたパターンはユーザの慢性疾患に関連するため、パターンは、慢性疾患の悪変または悪化に対応する1つの反応または一連の反応を開始させ得るかまたは早め得るトリガ状況を示す。このようなパターン検出は、本明細書中により詳細に説明するパラメータ分析のいずれかと共に、具現され得る。このような分析のためのパラメータは、1つ以上の生理学的パラメータに関する情報を含む受信されたセンサー信号から1つ以上のプロセッサによって導出され得る。例えば、心拍数パラメータ(例えば、心拍数変動測定)は、パルスオキシメータによってセンサー信号の処理によって生成された信号から導出され得る。同様に、心拍数パラメータおよび呼吸速度パラメータは、例えば、非接触RFモーションセンサーによって動き信号の処理によって生成されたモーション信号から導出され得る。このようなパラメータは、分析のためにリアルタイムまたはリアルタイムに近い様態で決定され得、かつ/または、データ保存部からの決定されたパラメータ値(例えば、メモリまたはデータベース中のもの)として取り出され得る。このようなセンサーは、信号(複数)および任意選択的にパラメータを周期的にまたは連続的に経時的に生成する1つ以上のモニタにおいて具現され得る。
【0147】
さらなる例として、トリガパターンは、以下に基づいて検出される、客観的な疲労状態の検出された悪変であり得る:最近の睡眠ステージングパラメータの悪変、相対的な深い睡眠段階およびREM睡眠段階の変化、周期的な肢動きに起因する中断の増加、咳および/またはいびき周波数および重症度の増加、活動トレンドの低下、吸気および呼気時間および呼吸の曲線形状の変化、呼吸速度安定の変化(例えば、呼吸速度トレンドの変化および/またはSDB増加)、心拍数変動の変化、環境中のアレルゲン増加の検出。このような変化に起因して、以前の状態のいずれかが対象または母集団特定の閾値を超える。例えば本明細書全体に記載のパラメータのいずれかの評価または分析により、類似のトリガパターンが本明細書中に記載の他の慢性疾患に関連して適用され得る。
【0148】
いくつかのバージョンにおいて、システムが人口統計学エンジン、トレンディングエンジンなどを含む場合、420において、システムのアルゴリズムは、ユーザの状態に関連する任意の複数のパラメータを412〜418において収集されたデータに基づいて抽出し得る。パラメータの抽出は、時間および/または周波数分析技術を用いて行われ得る。次に、これらのパラメータのいくつかまたは全ては、健康な対象および疾患状態の対象双方からのデータを含むデータベースからのさらなる情報に基づいて分析され得る。データベースは、人口統計学データも相互参照のためのさらなる情報ソースとして含み得る。
【0149】
システムは、420において下された決定に作用し得る。このような行為は、ユーザの携帯可能デバイスのアラームサブシステムまたは出力インターフェースに関連して上記した活動のうち1つ以上を含み得る。例えば、システムは、(432において)ユーザに対し、治療、治療服用量、激しい活動を控えることについての命令を提供し得る。さらなる例において、システムは、最新レベルの治療をユーザへ提供するよう、(434において)治療デバイスを直接調節し得る(例えば、服用量レベルの迅速な調節または服用量レベルの滴定設定)。
【0150】
システムは、非医療行為も推奨し得る。例えば、悪化前フェーズの状態にいる人に対し、不安を低減するためのリラックスする呼吸運動(例えば、瞑想)をするように指示され得る。代替的にまたは追加的に、システムは、睡眠質を高めるためのユーザの睡眠衛生を改善するためのガイダンスをユーザへ提供し得る。さらなる実施例において、ユーザが喫煙者でありかつ局所的空気質センサーが空気質の低下を検出した場合、ユーザに対し、喫煙しないようにとのアラートが提供され得る。換言すれば、空気質センサーは、煙および他のソースかだの粒子を検出することができ得る。よって、これらのセンサーを用いて、(例えば)紙巻きたばこの煙を回避するよう、あるいは日中はマスクまたは夜間はフィルタリング機能付きフロー生成器を用いるようリマインダを患者へ生成することができる。室内空気濾過システムを取り付けてもよい。このようなアラートは、喘息前の患者または喘息の患者に対して行動を改めてもらう強力な機会であり得、COPD発生の危険性を低減するために禁煙するよう促すことができる。
【0151】
冷気が特定のトリガである場合、緩やかな加熱要素を備えたマスクシステムを(例えば、外部の道路上の空気濾過機能を含むCPAPまたはマスク上に)用いてもよいし、あるいは、悪化の危険性を最小限にするために、制御信号を空気取扱システム(例えば、空調システムまたは加熱システム)のコントローラへ送って温度調節をしてもよい。実際、空気取扱システム(空調、空気清浄機、活性マスクまたは受動マスク)を備えた室内に居るときに中程度の温度および相対湿度を約40%に保っておくことは、危険性を低減するための2〜3の方法の1つであり得る(ただし、室内環境の埃が少ない場合)。
【0152】
以下は、上記したシステムによって実行され得る分析の例である。本明細書中に記載の方法は、ユーザの生活の質を最適化するために、自動化システムによって全体的または部分的に行われ得る。
【0153】
5.4.1 生理学的信号分析および処理
5.4.1.1 心臓呼吸/自律分析
生理学的パラメータ(例えば、呼吸速度、呼吸安定および呼吸深さ)を決定するために、複数のアプローチがシステムによって具現され得る。
【0154】
心弾動図は、心臓収縮に起因して皮膚表面に現れる圧力波に関連する。例えば、RFセンサーからまたは心弾動図および呼吸コンポーネントを含む他のソースからのベースバンド信号に対して、パルス形状フィルタ(例えば、整合フィルタ)が用いられ得、これにより、テンプレートとの高相関が検出された場合、ピーク発見操作を行って、心拍または呼吸を特定および抽出することができる。
【0155】
他の方法において、直接ピーク/トラフまたは適応型の閾値とのゼロ交差検出を時間ドメインにおいて行って、心弾動図(またはECG)信号の振幅変化を追跡することができる。意思決定プロセスは、比較的ノイズの多い入力信号(例えば、ハイブリッド時間/周波数アプローチ)の場合でも呼吸痕跡を局所化できるように、スライディング窓内のスペクトル分析(例えば、DFT(離散フーリエ変換))を用いて増強され得る。DFTは、高速フーリエ変換(FFT)を用いて具現され得る。これにより、呼吸速度および/または心拍数の変化を追跡することが可能になる(例えば、心拍数の上昇エリアの探索、呼吸速度上昇または浅い呼吸速度のエリアの探索、または所定の平均的な人の通常よりも呼吸がより速いかまたはより遅いエリア(浅い呼吸は、呼吸困難を示し得る))。
【0156】
呼吸(呼吸)速度のパターンを検出するためのプロセスが具現され得、さらに、ユーザの呼吸力学の変化を検出することができる。このような変化は、監視される状態の悪変発生前に、数日間続く場合もある。このようなプロセスは、例えば吸気、呼気、および/または呼気/吸気休止と、このような呼吸曲線形態の経時的変化(形状変化)とを検出するためのアルゴリズム322のうちの1つを含み得る。例えば、アルゴリズムは、人の基準呼吸速度、動き特性および呼吸波形形状を日、週、月または年単位で適応的に追跡して、その呼吸力学のプロファイル(例えば、速度および深さの経時的変化)を蓄積し得る。ベンチマーク測定(例えば、肺活量計パラメータ)が利用可能である場合、装着可能センサーまたは非接触センサーからの呼吸深さ推定を推定された一回換気量に対して較正することができる。このような較正が利用不可能である場合、浅い呼吸の増加(または低減)を検出するために、深さの相対的測定を経時的に(数日間またはより長期間にわたって)計算することができる。次に、アルゴリズムは、追跡されたプロファイルに基づいて、状態が悪変する確率を推定し得る。このようにして、アルゴリズムは、悪変に対して臨床的介入が必要になる前にも、状態悪変を予測することが可能になり得る。比較を挙げると、特定の人について特定の疾患の進行(例えば、悪変)が発生する可能性を推定するために、類似のユーザ(例えば、一般的人口統計学のユーザまたは追跡されたデータポイントの共通パターンを持つユーザ)からのデータおよびこれらのユーザの特に観察される疾患進行からのデータがある。
【0157】
アルゴリズムモジュールは、ユーザについて適応型の基準を生成し得、呼吸速度パラメータ(例えば、所定期間(例えば、12時間、24時間、48時間)にわたる中央値、平均値、四分位数範囲、ゆがみ、尖度、最小および/または最大呼吸速度)を確認し得る。いくつかの実施例において、アルゴリズムは、人が睡眠をとっている時間を標的とし得る。加えて、アルゴリズムは、吸気/呼気波形形状と、短期、中期および長期の呼吸変動とを追跡し得る。例えば、平均呼吸速度が24回以上の呼吸/分である場合、重篤な医学的状態を示し得ると考えられる。よって、20回の呼吸/分を閾値として用いて、監視される患者が恐らく体調不良である旨を示す第1のアラート(例えば、「オレンジ色の」アラート)をトリガし、24回の呼吸/分を閾値として用いて、患者の病状が重篤である可能性が高い旨を示す第2のアラート(例えば、「赤色の」アラート)をトリガし得る。これらの閾値は人によって異なり得るため、例えば安定しているCOPD対象の場合、疾患進行が疑われる限り、平均呼吸速度が比較的高く、安定した状態を持ち得る。ユーザの健康基準は、これらの読み取り値の分析にも影響を与え得る。
【0158】
心拍数については、COPD対象の場合、COPDに罹患していない人々と比較して、運動時における心拍数変動(HRV)が(短期変動を示す)高周波数と共に比較的高いことが判明している。これは、心臓自律調節が損なわれていることに起因し得る。同様に、COPD対象は、運動後の全体的HRV比較的より高い場合がある。HRVまたはRSA(呼吸洞性不整脈)とは、吸気時に心臓速度が上がり、呼気時に心臓速度が下がることを指す。全体的RSAが上昇した場合、健康が増したことを示すインジケータとしてみなされ得る。
【0159】
HRデータは、心拍数変動(HRV)推定を生成するために分析され得る。健常者および慢性疾患罹患者双方について、記録されたHRVパラメータ(例えば、心拍数の短期変動および長期変動)が、過去データのトレンドまたはパターンならびに人口統計学(期待)パラメータと比較され得る。特定された特徴は、分類器へ提供され得る。
【0160】
いくつかの場合において、より平滑なバージョンのHRVが分析のために用いられ得る。平滑なHRVは、HRデータのローパスフィルタリングに基づいて導出され得る。平滑にされたHRVデータは、比較的長期の変動(例えば、トレンド除去変動解析法のためのもの)の分析に主に用いられる。
【0161】
このようなトレンド除去変動解析法(DFA)は、数日間(またはより長期間(例えば、数週間、数ヶ月、または数年))にわたって監視されるパラメータの変化または変化点を検出するのにも適している点に留意されたい。このようなアプローチは、非定常信号に特に適し得、信号の統計的自己親和性の推定量として機能する。例えば、有意な変化点を検出するために、呼吸速度および/または心拍数(例えば、中央値または75/90/95パーセンタイル)の複数の測定をDFAを用いて処理することができる。
【0162】
上記入力のうち多くは、さらなるデータが得られかつおよびさらなる分析が可能になる様態で組み合わされ得る。例えば、抽出されたGSRおよびHRV信号を組み合わせた場合、交感神経と、副交感神経活性化との間の比の推定が可能になり得る。推定された交感神経/副交感神経活動のバランスは、潜在的悪化症状(例えば、COPD)の安定または進行の推定のために用いられ得る。
【0163】
5.4.1.2 皮膚温度
皮膚温度データは、呼吸速度および/または心拍数データと組み合わせて分析され得る。例えば、皮膚温度上昇が検出された後に呼吸速度が増加するかまたは同時に呼吸速度が増加し、最初は安定していた心拍数がその後に上昇したことが検出された場合、このような検出は、ウィルスまたは細菌感染の発現およびよって疾病の発現を示し得る。このような変化は、皮膚温度が利用できない場合であっても、心臓呼吸データのパターンからも検出することができる点に留意されたい。
【0164】
5.4.1.3 動き、運動および落下
運動強度および長さについて、このようなデータは、上記した日中モニタから取得され得る。取得されたデータはさらにデータベースへ記録され得、ここで、このデータは、特定のトレンドおよび/または変化について分析され得る。例えば、システムは、当該ユーザのトレンドまたは他のユーザと比較して当該ユーザが比較的活動的であるかを決定し得る。このような決定は、(ユーザの肉体的状態のさらなる低下に交互に繋がり得る)肉体的状態の喪失、機能的能力の機能低下および/または労作に関連する呼吸困難(息切れ)と関連付けられ得る。
【0165】
エネルギー消費は、心拍数データ、GSRデータ、およびステップカウンタデータ(例えば、歩数計からのもの)の組み合わせに基づいて推定され得る。あるいは、スタンドアロンステップカウンタが、運動強度の代替として用いられ得る(例えば、NIKE FUELBAND、FITBIT、JAWBONE、MISFITまたは類似の装着可能デバイスの使用)。
【0166】
生理学的動きは、例えば浴室/トイレまたは寝室環境において分析され得、上記したモニタを用いて決定してもよい。これらのモニタは、異常なパターン(例えば、スリップおよび落下)を検出し得る。特に、RFセンサーは、空間内(例えば、センサーのフィールド内の室内)の動きの検出に適している。例えば、RFセンサーは、特性落下パターンの検出に用いられ得る。特性落下パターンが検出された場合、この検出は、落下(例えば、ベッドからの落下、浴室からの落下/トイレからの落下)を含む示すアラートをトリガし得る。モーションセンサーおよび関連付けられた感知フィールドは、ユーザが感知フィールド内において落下する(例えば、センサーのそばのベッドから落下する)可能性がより高くなるように、配置され得る。より詳細には、モーションセンサーは、大きな振幅/高速モーション信号が全般的動きを示しかつおよび対象から呼吸信号も検出されるように、配置され得る。
【0167】
落下の検出は、モーションセンサーおよび別のモニタからのデータの組み合わせに基づき得る。例えば、モーションセンサーによって検出された大きな動き(全般的動き)および呼吸信号からの振幅変化が揃った場合、落下を示し得る。閾値レベルは、双方の信号について、例えば当該ユーザまたは他のユーザの以前のデータに基づいて決定され得る。次に、測定された動きおよび/または呼吸振幅は、それぞれの閾値と比較され得る。第2の容量センサーが、特定の領域における検出を増強するために用いられ得る(例えば、短距離非接触容量センサーが、落下の可能性が最も高いベッドサイドへ配置され得、これにより、対象が落下し、このセンサーの範囲内に居る場合、落下アラートがシステムによってトリガされ得る)。
【0168】
別の例示的システムにおいて、ユーザは、通常ベッドから出る場合に感知フィールドの特定の領域を横断することが期待され得る。そのため、期待される横断が検出されていないのに、モーションセンサーが大きな動き、位置変化または呼吸/バイタルサイン(複数)の消失、このような事象(複数)を示す場合、これは、ユーザが動こうとしたが落下したことを示すものとしてみなされ得る。次に、落下検出および/またはアラートがトリガされ得る。
【0169】
モーションセンサー(複数)は、ベッド内におけるユーザの寝返りの検出にも用いられ得る。寝返りについては、動きおよび/または呼吸信号の振幅(例えば、非接触バイオモーション信号の振幅)の特性変化がある。例えば、信号のエンベロープ(例えば、ピークホールドまたはヒルバート変換アプローチを用いて推定されたもの)により、呼吸の相対振幅の推定が得られ得る。このような推定を用いて、呼吸における大きな振幅は、ユーザ胴体が監視センサーに対向している(例えば、ユーザが横向きに寝てセンサーに対向している)場合と関連付けられ得、より小さな振幅は、ユーザが仰向けに寝ている(例えば、胸部がセンサーに対して垂直である)場合と関連付けられ得、さらに小さな振幅は、ユーザがうつぶせに横向きにセンサーから顔が離れて寝ていると関連付けられ得る。このような振幅(およびその変化)は、呼吸時のユーザの胸部の動いている表面領域に関連し得、センサー(または複数のセンサーモジュールまたは複数の対象を同時に検出するセンサー)に相対するユーザの位置に基づいて変化し得る。ここでも、1つ以上の閾値レベルが、呼吸信号の振幅について、例えばユーザまたは他のユーザの以前のデータに基づいて決定され得る。次に、ユーザがベッド内の特定の位置にいる可能性を推定するために、測定された呼吸振幅と、決定された1つ以上の閾値とが比較され得る。同様に、第2のユーザまたは後続ユーザがベッド内において検出された場合、ユーザの相対的位置を推定することができる。
【0170】
さらに他の例示的システムにおいて、反復的かつ変動する動き(例えば、呼吸に起因する胸部の動きに起因する動き)、揺れる動き検出、揺れる動きの取り消し検出、寝返り、および全般的および複数の行為(例えば、(例えば、痒さまたは不快感に起因する)かきむしり)に起因する微細動き検出を決定するためのさらなるアルゴリズム処理ステップ(および関連付けられたデジタル信号処理ステップ)が設けられ、処理が行われ得る。
【0171】
ベッド内監視を含む例示的システムにおいて、システムは、適切なADCモジュールを用いてデジタル化された無線周波数レーダーによって記録された2つのチャンネル(同相および直角)信号を分析し得る。これらのRF信号は、連続波またはパルス(例えば、RESMEDのSLEEP MINDER(登録商標)5.8GHZまたは10.525GHZセンサー、周波数変調連続波(FMCW)方法、UWB、RSSなどを用いたデバイスへ適用されるもの)であり得る。これらの信号はフィルタバンクへ送られ得、これにより、バンドパスフィルタリングを含む一連のデジタルフィルタが、低周波数スウェイ情報の検出および除去のために適用され得る。これら2つのチャンネル中のフェーズ情報は、時計回り/反時計回りパターン生成のために、さらに比較され得る。
【0172】
(例えば、非人間の動きの拒否または周期的肢動きの検出)のためのヒステリシスおよびグリッチ検出も、信号フォールドオーバーの抑制のため、センサーへの近接の動きまたはセンサーからの離隔の動きの検出のため、および動き方向が変化しているかの検出のために適用され得る。この処理を支援するために、ピーク/トラフ検出および信号追随がさらに用いられ得る。
【0173】
信号のスペクトル詳細の計算が、離散ウェーブレット変換、適切な基準選択またはピーク発見を用いた処理に匹敵するピーク発見(周波数ドメイン)または時間/周波数処理を用いた高速フーリエ変換を用いて行われ得る。より長時間スケールのトレンドを決定するために、このプロセスにおいて特定された残留低周波数成分を(例えば別個に)処理してもよい。
【0174】
5.4.1.4 咳嗽、喘鳴およびいびき
咳嗽および喘鳴は、音響センサー(例えば、マイクロフォン)を用いて検出され得る。例えば、高ピッチの吹鳴は、例えば喘息患者中の乱流気流の存在の特性であり得るかまたは乱流気流に関連し得、マイクロフォンによってピックアップされ得る。さらに、(乾性または湿性)の咳嗽は、マイクロフォンを用いて感知され得る。マイクロフォンを用いて取得された咳嗽および喘鳴の音声データの例と、そのそれぞれの別個の特徴とを
図5に示す。代替的にまたは追加的に、咳嗽検出のためにRFセンサーが用いられ得る。
【0175】
システムは、いびき、鼻すすり、咳嗽または呼吸困難の特性パターンを検出するように構成され得る。検出は、デジタルフィルタバンク、周波数分解、「バースト」ノイズ(例えば、スペクトル分析を用いた「咳シグネチャ」)のサーチおよび/または形態的処理を用いて具現され得る。これらの事象は、感知された動きおよび/または呼吸データ中に特定されたパターンと任意選択的に相互相関付けされ得る。
【0176】
システムは、複数の夜にわたるパターンおよび/またはトレンドについて、咳嗽/喘鳴/いびきデータを分析し得る。例えば、COPDの場合、COPDの罹患者は、睡眠時間の低減および一定時間の覚醒の増加を経験し得る。そのため、このような方向のトレンドは、COPDの危険性の増加または既存のCOPD状態の悪化を示し得る。
【0177】
抽出された呼吸パラメータ、心拍数パラメータ、動きパラメータ、および咳嗽パラメータおよびいびきパラメータのいくつかまたは全ては、睡眠期間における無呼吸数および呼吸低下数の推定のために用いられ得る。共存するCOPDおよびOSAS(オーバーラップ症候群)の検出は、より重篤な低酸素血と関連付けられ得る。これは、例えばCPAP、自動補助換気(ASV)デバイスまたは他の治療または薬物治療を用いた治療がユーザに必要であることを示し得る。
【0178】
咳は、声門の開口(破裂音)、その後の呼気、その後の声門の閉鎖を含むものとしてみなされ得る。咳は、痙攣において発生するか(例えば、咳嗽が約5分間よりも長く続くか)という点においても分類され得る。咳は、その生産性の点についてまたは咳が乾性であるかまたは湿性であるか(例えば、湿性咳を示す鼻水の存在)などの他の点について、さらに分類され得る。湿性咳の呼気時間(例えば、本システムにおいて音声信号に基づいて測定されたパラメータ、非接触呼吸信号に基づいて測定されたパラメータ、胸部の動きに基づいて測定されたパラメータのうち1つ以上によって検出されもの)は、乾性咳の呼気時間よりも長い場合が多い。
【0179】
咳は、慢性であるかの点においても分類され得る。慢性咳は、2ヶ月よりも長く続く咳として一般的にみなされ得、頑固な咳とも呼ばれる。喘息においては、典型的には乾性咳嗽が喘鳴と共にみられる。咳の変形である喘息は、典型的な喘息の前兆とみなされている。胃食道逆流性疾患(GERD)の咳嗽は、通常は乾性であり、痙攣を伴う。COPDの場合、咳嗽は通常は湿性であり、大量の鼻水発生を伴う。上気道咳症候群(UACS)は、上気道疾患に関連する。
【0180】
慢性咳の場合、監視される呼吸信号は、睡眠障害呼吸(SDB)の推定(例えば、未診断のSDBのチェックまたはCPAP治療が用いられている場合に以前にSDBと診断された治療の監視)のために用いられ得る。GERDおよび関連するGERD咳は、女性により多くみられ、SDBとの高い一致を示す。検出されたGERD咳に対する特定のシステム生成推奨事項は、胃中の酸生成を低減するための選択された薬物(複数)を含み得る。
【0181】
対象が寝ようとしている夜間に咳が発生した場合、その咳の検出は、以下のうちいずれか1つの組み合わせによって行われ得る:呼吸信号の妨害、心拍数の変化(典型的には咳後の主に呼気時の期間増加としてシステムによって検出される)、血圧増加、および全般的動き事象(例えば、胸部の機械的動きに起因するもの)。夜間において、特に咳痙攣が発生した場合、睡眠スコアの低下がみられ得る。発生した咳の種類に応じて、大きな吸気の後に大きな呼気が続き、その後大きな吸気が続くというパターンがみられ得る。これとは対照的に、他の種類の咳の場合、大きな破裂呼気の後に吸気呼吸(大きな呼気上昇時間)、プラトーと続いた後、回復呼吸(または大きな呼気のみ)が続く点が大きく異なり得る。呼吸波形において「スパイク」が発生した場合、推定呼吸速度が増加し得るかまたはいくつかの場合において呼吸速度が短時間で低下し得る。よって、呼吸速度を推定することに加えて、波形は、呼吸信号のエンベロープの推定を介して呼吸振幅変化における局所的変化を処理すること、および吸気/呼気波形形態の個別部分を追跡することによって分析され得る。
【0182】
システムは、進行が限界に達した場合、咳嗽痙攣に関連して覚醒が長引いているかをチェックするように構成され得る。このパターンは、非接触感知信号(例えば、(RF、ソナー、光学)、音声咳シグネチャ、および咳繰返し率のいずれかまたはいずれかの組み合わせから明らかになり得る。ほとんどの咳嗽は覚醒時に発生するため、REM/深い睡眠時には咳は滅多に発生しない(また、深い睡眠よりもREM睡眠においてはさらに発生する可能性は低い)。システムが音声処理側上に可能な咳シグネチャを検出した場合において、対象が深い睡眠またはREM睡眠にあると決定された場合、当該咳シグネチャは、実際に咳状態にある確率は低いものとして割り当てられる。このような要素により、別の対象からの咳の検出も増強することができる。例えば、監視される対象が非接触睡眠ステージングに基づいて深い睡眠またはREM睡眠にあると決定されている場合、マイクロフォンまたは他の音響センサーによって検出された音が、同床者から発生しているものとして決定され得る。しかし、同床者が咳嗽痙攣を発した場合、監視対象が覚醒する可能性に繋がる。そのような場合、非接触感知を介して検出された呼吸波形を用いて、例えば咳後の覚醒が睡眠時の咳後の覚醒よりも有意に多いかについての知識を用いて、咳発生源(例えば、監視される対象、一緒に寝る人)を確認することができる。
【0183】
夜間においては咳発生が増加するため、監視対象の睡眠スコアが低下し得、システムは、運動に起因する事象の危険が高まっているか推定するために、睡眠スコアを日中活動レベルと相関付け得る。(覚醒を伴う)咳またはいびきに起因する睡眠スコア低下を分析すると、悪変呼吸感染を知ることができ、その結果、対象の状態悪変(例えば、運動に起因する事象から発生するもの)の危険性を知ることができる。
【0184】
5.4.2 環境信号分析および処理
生理学的データの総計に加えて、システムは、他のソース(例えば、環境データ(例えば、アレルギーアラート、湿度、空気質および関連パラメータ))からのデータも任意選択的に総計し得る。
【0185】
空気質が低い場合または温度および湿度が組み合わさった場合、酸素脱飽和の境界線にあるCOPD患者(すなわち、夜間の酸化ヘモグロビン脱飽和が著しい者)にとって危険因子となり得る。
【0186】
カメラ(例えば、スマートデバイスの内蔵カメラ)は、じんま疹または湿疹の検出に用いられ得る。このような情報は、未診断の喘息または診断された喘息の可能性を検討する際において有用な情報にもなり得る。
【0187】
天候が低温である場合、(例えば、顔の冷却を介して)気管支収縮に繋がり得る。そのため、システムは、現在の温度および周囲圧力、予測された温度および周囲圧力、および履歴データの分析により、気管支収縮を先取し得る。次に、システムは、分析に基づいて、ユーザに適切な衣服を着用するよう推奨し得る。システムは、ユーザに対してユーザの危険レベルの通知も行い得る。
【0188】
局所的汚染レベル(空中浮遊アレルゲン)も、喘息危険の測定および重症度予測のために用いられ得る。決定プロセスにおいて、アレルギーアラートも用いられ得る。例えば、システムは、薬物送達(例えば、アレルギー薬物、アレルゲンに起因して悪化する状態に対する他の薬物)についての決定をアレルゲンレベルに基づいて行い得る。アレルギーは、喘息の前兆でもある。
【0189】
例えば自宅内のセンサーからの温度、湿度、および空気質のデータについて家庭の環境監視システムをポーリングするシステムの場合、ポーリングされた環境データは、喘息またはCOPDの悪化のトリガとなり得る極値について監視され得る。システムは、例えばサーモスタット、HVAC制御システムまたは他の環境制御ユニットとインターフェースをとることにより、(例えば、加熱システム、空調システム、換気システム)も任意選択的に制御し得る。寝具内のイエダニ、鱗屑などを空気質センサーを用いて検出することができ、空気質が望ましくないレベル(所定のレベルまたはトレンドデータに基づいたレベル)まで低下した場合、システムは、アラート(例えば、ベッドリネンを変更してくださいとの通知)を提供し得る。システムは、アラートを提供する好適な時間(例えば、ベッドサイドモーションセンサーが動きを検出した場合)をさらに決定し得る。
【0190】
1人のユーザまたは複数のユーザからの位置データを用いて、環境データをマップ上にプロットすることができる。よって、時間および位置に基づいた覚醒喘息エリアの位置データベースが構築され得る。このような情報が有ると、患者が制御不能な状態から制御された状態になることを支援することができる。例えば、システムは、ユーザの状態および/またはユーザが今いるエリアまたは今から行くであろうエリアの呼吸関連環境状態に基づいて、特定のユーザに対してマップ上において通知またはさらには再ルート決めするように構成され得る。
【0191】
換言すれば、全ての環境および他の危険状態の自動検出が行われ得る。さらに、喘息またはCOPD発症、または悪化について患者から報告された情報をデータベースにおいて今後の参照のために利用することと、当該患者および恐らくは他の患者について予測を向上させることとが可能になる。
【0192】
センサーを用いた空気質マスク活性デバイスの場合、呼吸変化の検出のために呼吸速度、深さおよび変動を監視することと、任意選択的に薬物を送達することとが可能である。パラメータは、スマートデバイスまたは監視センターへ送信してもよい。空気質センサーは、携帯可能にしてもよいし、あるいは、薬物送達能力を持つPAPデバイスの一部にしてもよい。
【0193】
5.4.3 危険分析
上記したように、システムは、直近の発生(例えば、状態(疾患)検出)が発生しているときまたは発生しそうなときを予測するためにアルゴリズム的アプローチを用いることができる。しかし、システムは、より長期的予測分析も行うことができる。換言すれば、システムは、症状の発現または悪変を完全に回避するために介入をするための前向きなアプローチをとり得る。そのため、システムが(例えば、問題発生前に改善策を提案するなどの)抑止的な様態で機能できるよう、異常な挙動を事前にシステムによってフラグ付けすることが望ましい。例えば、システムを利用している「通常の」人に対し、慢性疾患発生の危険性がある旨を通知し、このような危険に対処するための指示を出すことができる。
【0194】
予測アルゴリズムそのものは、データベース記憶デバイス(複数)へのアクセスが可能な演算装置(例えば、PC、サーバ、クラウドサービス、スマートデバイスアプリケーションまたはその変形)上において具現され得る。アルゴリズムは、多数のデータソースの分析の規則システムに基づき得、データベース中に保存された履歴データを導出し得る。アルゴリズムは、例えば適応型の確率的重み付けに基づいて変動し得る規則および/または閾値に依存し得る。このような規則および閾値は、ユーザ特有のデータおよび母集団に基づいた人口統計学データに基づき得る。
【0195】
システムは、健康レベル7(HL7)基準などを介して医療情報システムへ任意選択的に接続し得る。システムは、他のインターフェースを用いたテレヘルスシステムまたはサードパーティから公開されたAPI(アプリケーション・プログラム・インターフェース)を用いた消費者システム(例えば、FITBITからの市販のシステム、APPLE HEALTH KIT、SAMSUNG S−HEALTH、JAWBONE、BASIS、MISFIT)にも接続し得る。
【0196】
ユーザの個人基準を学習することにより、システムは、ユーザのトリガパラメータ(例えば、悪化に繋がる状態を示すパラメータ)を学習するように具現され得る。検出されたトリガについてのフィードバック(例えば、アラート)は、ユーザの情報のためにモバイルデバイスまたは固定デバイスへ提供され得る。いくつかの例において、ユーザは、アラートを確認または拒否することにより、システムの学習プロセスにさらに貢献し得る。アラートが拒否された場合、このようなエンドユーザフィードバックにより、偽陽性検出の記録に繋がり、将来の分類および検出がさらに支援され得る。
【0197】
個人の健康についてのマルチパラメータ型のホリスティック分析を行うために、システムは、関連データを正しいユーザへ関連付けることができるよう、他の文脈をさらに認識し得る。例えば、システムのユーザが特定の健康向上目標を満たした場合、保険会社は、そのユーザへ割引を提供し得る。このような目標は、平均心拍数の低下、呼吸速度の低下、歩数増加および運動強度増加および低下の達成であり得る。
【0198】
ホリスティック分析は、例えば装着可能センサーによって記録される電気皮膚反応および/または皮膚温度の変化を示すデータを用い得る。特定の心拍数およびGSRの変化を運動強度データと相互参照することにより、特定の変化がストレス事象または活動を伝達しているかを示すことができる。各人において、これらの変化は、運動またはストレス事象に応答して特定の一連の心拍数変化、呼吸速度変化およびGSR変化を示し得る。
【0199】
(例えば、喘息発作について運動がトリガになるか、徐々にトレーニングを行うことにより全般的危険性が低下して、心臓呼吸パターンの向上に繋がるかを決定するために)、運動強度および歩行におけるより長期のパターンをユーザ特有の挙動と相関付けることができる。
【0200】
パターン認識プロセスを管理するためのシステムは、複数の入力パラメータを受信することができ得、低品質データを全て捨象またはフラグ付けするために、品質推定が既にデータに対して行われているものと任意選択的に前提とし得る入力データの一部は、寸法において冗長である場合があり、ランダムPCA(主要コンポーネント分析)などのプロセスを適用して、このような冗長性を全て低減した後に、さらなる処理に着手することができることが認識される。
【0201】
大量のトレーニングデータセット(ラベル付きデータ)が利用可能である場合、
教師付き分類システムが用いられ得、これにより、このトレーニングデータセットがモデルパラメータ生成のためにシステムへ提供される。トレーニングデータが存在するがデータセットがそれほど大きくない場合、半
教師付きまたは
教師なしの学習特徴階層(例えば、ニューラルネットワークを用いた「ディープラーニング」)アプローチを技術(例えば、スパースコーディング(例えば、画像処理フィールドから導出されたLCC局所的座標コーディング))が用いられ得る。このようなアプローチを用いると、データ中に特定のパターンが現れる場合において、有用であり得る。他のシステム(例えば、ランダムフォレストを用いた平均デシジョンツリー(トレーニング時の「アウトオブバッグ」(OOB)性能推定のためのデータサブセットを用いたもの))が、分類のために用いられ得る。ランダムフォレストは、最近隣の予測因子の一形態であり、バランスが悪いデータおよび不明データに対処することができるものの、トレーニングデータの範囲を超えて予測を行うことはできず、また極めてノイズの多いデータの場合はオーバーフィットの可能性もあるため、後退の際には一定の注意が必要である(すなわち、多様な代表的なトレーニングセットの選択およびデータ破損の管理)。
【0202】
システムは、監視されるパラメータに基づいて、ユーザの危険分析を連続的に更新することがさらにできる。
【0203】
5.4.4 喘息およびCOPD治療
5.4.4.1 例えば喘息の場合の吸入器使用法および制御
図6Aは、吸入器を使用する喘息罹患者について、吸入器を使用するか、使用するのはいつか、計量された吸入器上における服用量の調節、「吸入」回数の変更などを決定するための方法600のフロー図である。602において、喘息疾患に関連する1つ以上のパラメータが監視される。例えば、少なくとも1つの生理学的パラメータおよび少なくとも1つの環境パラメータ(例えば、ユーザの屋外または室内の環境に関連するもの)が収集され得る。監視対象となり得るパラメータを挙げると、知覚される息切れ/主観的呼吸状態およびパターン、心臓状態およびパターン、皮膚温度の変化、血圧読み取り値、空中浮遊刺激物、季節因子、天候条件および室内気候状態がある。睡眠パラメータ、活動レベルおよび他のライフスタイルパラメータも監視され得、ピーク流量計などのデバイスも監視され得る。
【0204】
604において、602において収集されたデータの組み合わせに基づいて、ユーザの治療服用量または治療デバイスが決定される。上記の例示的な方法またはプロセスのうちいずれかは、治療服用量の決定において用いられ得る。吸入器の場合、治療服用量は、吸入器からの吸入回数または計量された吸入器上の服用量を含み得る。
【0205】
606において、監視されるパラメータに応答して、吸入剤薬物の直接的調節または間接的調節が提供される。代替的にまたは追加的に、608において、ユーザに対し(ユーザに調節された服用量を通知するかまたはユーザへ薬物を使用するよう警告する旨の)警告を発するアラートまたはリマインダが活性化され得、かつ/または、他のライフスタイルパラメータも調節され得る。
【0206】
5.4.4.2 COPD監視
COPDは、肺機能試験において低気流がある点において特徴付けられることが多い。COPDに罹患している人は、吸入器、ネブライザー、酸素補充または他の測定を用い得る。この点について、上記の喘息治療方法600は、COPD治療にも適用され得る。ユーザが吸入器ではなくネブライザーが用いる場合、604において決定された服用量は、ネブライザーによって提供される薬物の量または濃度であり得る。同様に、酸素供給治療を受けているユーザの場合、呼吸可能な空気へ提供される酸素濃度は、このプロセスの目的のための服用量を構成し得る。
【0207】
図6Bは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの慢性疾患を監視するためのさらなる方法610のフロー図である。612において、COPD状態に関連する1つ以上のパラメータが追跡される。パラメータは、602において上記に羅列したパラメータならびに薬物または酸素送達システムから読み取られた情報またはユーザがベッド内にいるときに監視された慢性咳の追跡からのもののうちいずれかを含み得る。これらのパラメータは、特定のエンドユーザおよびユーザのマイクロ環境およびマクロ環境から収集され得る。
【0208】
614において、システムは、危険な状態(例えば、監視されるパラメータに基づいた異常な状態を示す状態(例えば、COPD状態の重症度または重症度上昇))をフラグ付けし得る。システムは、通常の(健康)信号からの逸脱をユーザ特有の基準に基づいて検出または特定することもでき、これにより、悪い状態または異常な症状を発生前に予測することができる。
【0209】
616において、システムは、ユーザおよびユーザの医師の片方または双方に対してCOPD症状の管理および行動を抑制的に行う権限を付与するために、ユーザに警告生成しかつ/または医療情報システムへ接続し得る。
【0210】
類似のプロセスは、鬱血性心不全(CHF)または他の慢性疾患の管理のために用いられ得る。
【0211】
5.4.4.3 ライフスタイル管理および予測
上記したように、ライフスタイル管理は、既存の症状を監視するだけでなく、将来の状態も予測し、(ユーザが健康であっても)健康問題の発生を回避するための有用な情報のユーザへの提供も行う。
図6Cは、ユーザの健康を管理する方法620のフロー図である。622において、システムは、生理学的データおよび非生理学的データ双方を受信し得る。このようなデータの例について、
図6Aおよび
図6Bの方法に関連して上記に列挙している。
【0212】
624において、システムは、622において受信された少なくとも1つの生理学的パラメータおよび少なくとも1つの非生理学的パラメータの組み合わせに基づいて危険分析を行い得る。いくつかの場合において、上記においてより詳細に述べたように、システムの学習能力およびユーザの健康危険性を検出する能力を向上させるためのトレーニングデータがシステムへ入力され得る。また、いくつかの場合において、システムは、データ中の異例(例えば、ベッドにてユーザの落下または位置変更)を特定するように訓練され得る。システムは、このような異例中のトレンド(睡眠時の寝返りの増加)をさらに追跡するか、または、異例挙動から収集されたデータを割り引いて学習し得る。
【0213】
626において、システムは、ユーザが例えば、運動、外出または喫煙を行うための所定の活動を評価し得る。これらの活動は、特定の生理学的パラメータおよび非生理学的パラメータの組み合わせが満たされているか(例えば、ユーザが息切れしているかおよび温度が低いかまたはユーザが夜間においてより高頻度に咳嗽を発生し、および紙巻きたばこを吸いたいか)に応じてユーザの健康危険性を提示し得る。収集されたパラメータに基づいたこのような活動のアセスメントは、統計モデルを用いて行われ得る。
【0214】
628において、システムは、所定の活動を控えるべきか否かについて626からのアセスメントに基づいてユーザへ通知する。いくつかの場合において、システムは、条件付きで活動を控える(例えば、監視される状態について治療を受けるまでは或る活動を控える)よう、ユーザに通知し得る。例えば、ユーザが喘息に罹患している場合、システムは、運動前に吸入器を使用するようユーザへ通知し得る。この点について、このような通知の結果、状態付き命令(例えば、運動は必ず薬物治療を受けた後にする)に繋がる。
【0215】
喘息または他の慢性疾患の検出は、呼吸特徴(例えば、呼吸速度、吸気対呼気の時間/吸気と呼気との比、呼吸速度変化の比、検出期間における呼吸速度パターンのエンベロープ(例えば、相対的安定、局所的振幅検出によって評価された呼吸振幅、上記の計量のうちいずれかの個人化された測定基準との比較))および心拍数特徴(例えば、心拍数の変動、個人化された心拍数関連の測定基準との比較)のいずれか1つまたは組み合わせに基づき得る。健康な人々の場合、吸気/呼気時間は、ほぼ対称であり得る。しかし、COPDなどの呼吸器疾患に罹患している対象の場合、吸気/呼気時間が非対称になり得、呼気波形が最大に変化する。通常の基準形状からCOPDのような非対称性への遷移は重要な特徴であり、悪化の危険性、活動の量(長さおよび強度)、環境による影響(例えば、湿度、温度、空気質、天気予報、位置)の評価に用いられ得る。強い匂いおよび粒子レベルについての情報が、内部領域(通常は好適空間)および外部領域双方についてクラウドソースされ得る。例えば、工業エリアは、空気質の点において特に問題の多い箇所であり得、卓越風方向がこのような箇所からの下流にあるエリアであり得る。ユーザは、「危険な」エリアを局所性における疾患疾患トリガについて直感的に知ることができるが、ユーザがあまり慣れていない別のエリアまたは国へ旅行する場合、システムからはるかに大きな恩恵を得ることができる。このような場合、ユーザの目的地またはユーザの計画ルートにおける問題のよく起こる場所についての高度警告が、ユーザへの提示または別の場合に通知するためにシステムのフロントエンドアプリケーションへ提供され得る。
【0216】
喘息の対象が呼吸洞性不整脈の増加(RSA-迷走神経活性化の増加)を示す場合、RSAを経時的に推定することと、(例えば、以前に検出された事象に基づいてシステムのトレーニング時に決定された基準と比較したときの)パラメータの変化をチェックすることとを行うために、呼吸パラメータおよび心臓パラメータが追跡され得る。呼吸速度(例えば、呼吸速度の大幅上昇)が追跡され得る(例えば、特定の人の呼吸発作時の呼吸速度が27回の呼吸回数/分である場合、発作の治療後の1時間以内に呼吸速度を20呼吸/分まで低下し、その後基準である17呼吸/分までさらに低下する)。体温の変化(例えば、増加)は、差し迫った感染および危険増加を示し得る。これが呼吸速度上昇と組み合わさると、炎症反応(例えば、気道炎症)を示し得る。ユーザは、システムに対して(例えば、ソフトウェア・アプリケーションを介して)鼻水が出ているかも示し得る。
【0217】
システム決定は、服用量推奨または調節推奨を現在の服用量へ取り込み得る。治療推奨は、薬物の投与または提供のためのシステムと通信しているデバイスのパラメータの調節および/または状態悪化の可能性に備えてくださいとのアラートのユーザへの提供により、ユーザへ提供され得る。システムによるこのような任意の活動は、医師へのアラート、任意の治療変更の推奨についてのEMRの更新および/または当該対象が実際にその変更を行ったかの確認(例えば、危険状態が検出された場合に軽減用吸入器から2回余分に吸入することが推奨された場合、これらの吸入が実際にスマート吸入器またはスマートケースを用いて行われたかの確認)と組み合わされ得る。代替的にまたは追加的に、経口用の全身副腎皮質ステロイドが推奨され得る。医師は、服用量変更がシステムから推奨される前に、患者についての提案された薬物変更を受容することが任意選択的に必要になり得る(人間の介入/防衛)。他の場合において、対象は、ネブライザーを(例えば家庭においてまたは携帯可能な形態要素内において、多くは吸入器の使用が困難な子供または幼児において)用い得る。COPD悪化の可能性増加が検出された場合、酸素補充の使用推奨(または量増加)が行われ得る。実際、酸素補充が使用中である場合、残留ガスレベルをイネーブルされたガスタンク/装置を介して関連管理エンティティへと通信することにより、供給切れの前により大量のをタンク/装置へ確実に送達することができる。酸素濃縮装置の場合において、内部媒体に整備または交換用カートリッジが必要になった場合も、適切な監視センター/整備会社へ自動通信することにより、治療中断が無くなる。
【0218】
寝室環境においては、適切な睡眠状態についての推奨が、睡眠質の最適化および咳および最終的な悪化の危険性の低下双方について行われ得る。これは、空気温度、湿度および空気質のいずれか1つまたは組み合わせの監視により、行われ得る。利用可能なパラメータは、建物、空気取扱加湿器または局所的加湿器および/または空調/加熱ユニットを介して自動的に制御され得る。日中において寝室が空であるとき、これらのシステムは、意図的に気流を増加させ、通気孔/ブラインドを自動的に開いて、湿度低下および室内空気入れ換えを図り得る。システムは、寝具(例えば、シーツ、ブランケット)がベッド上に設置されてからの時間の長さも管理し得(例えば、ユーザに寝具を週に1回洗うようリマインドするかまたは看護スタッフまたは他のケアスタッフにアラートを自動送信する)、また、(例えば、イエダニ、細菌などの低減のために)寝具を洗浄すべき温度についての推奨を提供するかまたは他の推奨事項(例えば、より低温においては洗濯清浄液を追加するかまたは寝具に使用可能な場合は60度で洗濯すること)も提供し得る。就寝時間が近づいたとき、適切な睡眠温度になるまで、室内を自動的に暖房をしてもよい。システムは、行われた測定および/または局地的天候パターン分析に基づいて、(例えば、室内湿度を調節してくださいなどの)特定のフィードバックアドバイスもユーザへ提供し得る。寝室環境については、目標は一般的には約30〜50%の湿度(例えば、それほど乾いておらずかつそれほど湿ってもいない)であり、(これにより、かび形成などのアレルゲンが低減する)。この変更は、ネットワーク付き加湿器の直接制御を介してまたは手動制御デバイスを調節してくださいとのユーザへの指示により、達成され得る。別の選択肢として、(関連付けられた除湿機能付きの)加湿器の電子商取引プラットフォームを介した販売を可能にすることがある。睡眠環境におけるカビおよび検出された粒子の定量化について、空中浮遊粒子/微粒子の分析および揮発性有機化合物(VOC)(例えば、ベンゼン、ホルムアルデヒド、ガソリン、フェノール、スチレン、トルエン、キシレン、パークロロエチレン)の分析が、特殊な微粒子およびVOC感知によって行われ得る。
【0219】
監視状態が制御下になった場合(例えば3ヶ月のトレンドが呼吸状態の向上を示した後に)、システムにより、喘息用薬物を徐々に低減することも可能になる。長期の制御による薬物治療の調節においては、対象についての特定のパラメータがシステムによって調節され得る(例えば、薬物の服用量、薬物治療を行う時期)。例えば、制御用吸入器を12時間間隔で1日2回使用すべきであると決定された場合、システムは、安定した基準喘息/慢性疾患管理を維持するために、薬物を決定された間隔で使用してくださいと対象にリマインドし得る。
【0220】
アプリケーション対応システムが用いられる場合、システムは、任意選択的に対象のこれからの日程を調査し、(特に、運動時または運動後の大きな気道閉塞に繋がる疑いのある激しい運動の場合に)これからのスポーツ/運動活動を認識し得る。これらのパターンはまた、事前の活動トレンドに基づいて(例えば、平日にジムに行くことまたは夜間に犬の散歩をすることを自動的に検出するために)学習され得る。運動イベントの開始予定の少し前に、システムは、治療(例えば、短時間作用型のベータ2−受容体刺激剤を2回または4回吸入すること)を患者へ推奨し得る。監視される個人化された喘息疾患の特性に応じて、このような吸入器は、1時間が経過するまで20分毎に推奨され得る。
【0221】
事象(例えば、喘息事象)が運動時に発生した場合において、症状が重篤な場合、さらなる薬物治療(例えば、軽減用吸入剤を4回〜6回吸入すること)がシステムから推奨され得る。検出された状態が迅速に改善しない場合、システムは、対象の代わりに緊急サービスへ電話し始めかつ/または可聴音声確認をまたはアラート音を生成し得る。
【0222】
発生事象がそれほど重篤ではなく、薬物治療によって管理される場合、ユーザのスマートデバイス上のシステムにより、呼吸運動が推奨およびガイドされ得る。組み込み型肺活量計、接続された肺活量計またはアプリケーションに手動入力が可能な読み取り値を含む肺活量計のうちいずれか1つと共にスマートケースが存在する場合、ユーザ特有の基準値からの逸脱についてチェックできるよう、肺活量計のピーク流量読み取り値が当該事象の後(および好適には前に)システムによって分析され得る。
【0223】
システムは、喘息発作(感知された生理学的状態、位置、および環境/天候条件)の原因となる初期の喘息トリガパラメータも検出および記録し得、また、これらのパラメータへの初期暴露後のその後の気道閉塞(例えば、3〜8時間以内の)危険性も推定し得、吸入ステロイド剤などの軽減策を推奨し得る。
【0224】
事象/悪化/代償不全に起因して入院が必要になった場合、システムは、対象を引き続き監視し、最適化された放出プランを推奨し得る。最新の薬物設定は、システムによりEMRおよび自宅、病院から読み取られ得、推定された自宅放出基準パラメータが計算され得る。例えば、短期ベータ受容体刺激剤は、比較的低頻度で(例えば、週に1または2日に)、より定期的に(例えば、週2〜4日)または定期的に(例えば、毎日または1日において複数の時間毎に)用いられ得る。異なる種類の吸入剤(例えば、計量された服用量吸入剤またはドライパウダー吸入剤)が、システムによってサポートされ得る。述べたように、通信対応吸入器は、その位置および残りの容量双方を通信することができ得る。
【0225】
5.5 任意選択的な例示的治療システム
上記したように、一形態において、本技術は、呼吸障害を治療および/または監視するための装置またはデバイスを含み得る。装置またはデバイスは、加圧空気を患者インターフェース3000に到達する空気回路4170を介して患者1000へ供給するRPTデバイス4000であり得る。以下の記載において、RPTデバイスは、
図7〜
図10を参照して検討され得る。
【0226】
5.6 患者インターフェース
本技術の一態様による非侵襲的患者インターフェース3000は、以下の機能様態を含む:密閉形成構造3100、プレナムチャンバ3200、位置決めおよび安定化構造3300、通気孔3400、空気回路4170への接続のための接続ポート3600、および前額支持部3700。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的コンポーネントによって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的コンポーネントは、1つ以上の機能様態を提供し得る。使用時において、密閉形成構造3100は、気道への加圧空気供給を促進するように、患者の気道の入口を包囲するように配置される。
【0227】
5.7 RPTデバイス
本技術の一態様によるRPTデバイス4000は、機械コンポーネントおよび空気圧式コンポーネント4100、電気コンポーネント4200を含み、1つ以上のアルゴリズム4300を実行するようにプログラムされる。RPTデバイス4000は、外部ハウジング4010を持ち得る。外部ハウジング4010は、2つの部分(すなわち、上部4012および下部4014)によって形成される。一形態において、外部ハウジング4010は、1つ以上のパネル(複数)4015を含み得る。RPTデバイス4000は、RPTデバイス4000の1つ以上の内部コンポーネントを支持するシャーシ4016を含み得る。RPTデバイス4000は、ハンドル4018を含み得る。
【0228】
RPTデバイス4000の空気圧経路は、1つ以上の空気経路アイテムを含み得る(例えば、入口空気フィルタ4112、入口マフラー4122、加圧空気の供給が可能な圧力生成器4140(例えば、送風機4142)、コンセントマフラー4124、および1つ以上の変換器4270(例えば、圧力センサー4272および流量センサー4274))。
【0229】
空気経路アイテムのうち1つ以上は、以下において空気圧ブロック4020と呼ばれる取り外し可能な単一構造内に配置され得る。空気圧ブロック4020は、外部ハウジング4010内に配置され得る。一形態において、空気圧ブロック4020は、シャーシ4016によって支持されるかまたはシャーシ4016の一部として形成される。
【0230】
RPTデバイス4000は、電力供給4210、1つ以上の入力デバイス4220、中央コントローラ4230、治療デバイスコントローラ4240、圧力生成器4140、1つ以上の保護回路4250、メモリ4260、変換器4270、データ通信インターフェース4280、および1つ以上の出力デバイス4290を有することができる。電気コンポーネント4200は、シングルプリント回路基板アセンブリ(PCBA)4202上に取り付けられ得る。一代替形態において、RPTデバイス4000は、1つよりも多くのPCBA4202を含み得る。
【0231】
5.7.1 RPTデバイス機械および空気圧式コンポーネント
RPTデバイス4000は、以下のコンポーネントのうち1つ以上を一体ユニット中に含み得る。一代替形態において、以下のコンポーネントのうち1つ以上が、それぞれの別個のユニットとして配置され得る。
【0232】
5.7.1.1 空気フィルタ(複数)
本技術の一形態によるRPTデバイス4000は、空気フィルタ4110または複数の空気フィルタ4110を含み得る。
【0233】
一形態において、空気入口フィルタ4112は、圧力生成器4140の空気圧経路上流の始まり部に配置される。
【0234】
一形態において、空気出口フィルタ4114(例えば抗菌ファクタ)は、空気圧ブロック4020の出口と、患者インターフェース3000との間に配置される。
【0235】
5.7.1.2 マフラー(複数)
本技術の一形態によるRPTデバイス4000は、マフラー4120または複数のマフラー4120を含み得る。
【0236】
本技術の一形態において、入口マフラー4122は、空気圧経路内において圧力生成器4140の上方に配置される。
【0237】
本技術の一形態において、出口マフラー4124は、空気圧経路内において圧力生成器4140と患者インターフェース3000との間に配置される。
【0238】
5.7.1.3 圧力生成器
本技術の一形態において、加圧空気を供給するための圧力生成器4140は、制御可能送風機4142である。例えば、送風機4142は、ボリュート内に収容された1つ以上のインペラを備えたブラシレスDCモータ4144を含み得る。圧力生成器4140は、空気供給または空気流れの生成を例えば約120リットル/分までの速度で、約4CMH
2O〜約20CMH
2Oの範囲の陽圧で、または他の形態において約30CMH
2Oまで行うことができる。
【0239】
圧力生成器4140は、治療デバイスコントローラ4240の制御下にある。
【0240】
他の形態において、圧力生成器4140は、ピストン駆動ポンプ、高圧源(例えば、圧縮空気リザーバ)へ接続された圧力調節器、またはベローズであり得る。
【0241】
5.7.1.4 変換器(複数)
変換器は、RPTデバイスの内部に設けてもよいし、あるいはRPTデバイスの外部に設けてもよい。外部変換器は、例えば空気回路上に配置してもよいし、あるいは空気回路の一部を形成してもよい(例えば、患者インターフェース)。外部変換器は、非接触センサーの形態をとり得る(例えば、データをRPTデバイスに送信または転送させるドップラーレーダー運動センサー)。
【0242】
本技術の一形態において、1つ以上の変換器4270が、圧力生成器4140の上流および/または下流に配置され得る。1つ以上の変換器4270は、空気流れの各特性を表すデータ(例えば、空気圧経路中の当該ポイントにおける流量、圧力または温度)を生成するように、構築および配置される。
【0243】
本技術の一形態において、1つ以上の変換器4270は、患者インターフェース3000の近隣に配置される。
【0244】
一形態において、変換器4270からの信号が、(例えば、ローパス、ハイパスまたはバンドパスフィルタリングによって)フィルタリングされ得る。
【0245】
5.7.1.5 アンチスピルバック弁
本技術の一形態において、アンチスピルバック弁4160が、加湿器5000と、空気圧ブロック4020との間に配置され得る。アンチスピルバック弁は、水が加湿器5000から上流に(例えば、送風機のモータ4144へ)流れる危険性を低減させるように、構築および配置される。
【0246】
5.7.1.6 空気回路
本技術の一態様による空気回路4170は、使用時において空気流れが2つのコンポーネント(例えば、空気圧ブロック4020および患者インターフェース3000)間に移動するように、構築および配置された導管またはチューブである。
【0247】
5.7.1.7 酸素送達
本技術の一形態において、補充用酸素4180が、空気圧経路における1つ以上のポイント(例えば、空気圧ブロック4020の上流)、空気回路4170および/または患者インターフェース3000へ送達され得る。
【0248】
5.7.2 RPTデバイス電気コンポーネント
5.7.2.1 電源
本技術の一形態において、電源4210は、RPTデバイス4000の外部ハウジング4010の内部にある。本技術の別の形態において、電源4210は、RPTデバイス4000の外部ハウジング4010の外部にある。
【0249】
本技術の一形態において、電源4210は、RPTデバイス4000にのみ電力を供給する。本技術の別の形態において、電源4210から、電力がRPTデバイス4000および加湿器5000双方へ提供される。
【0250】
5.7.2.2 入力デバイス
本技術の一形態において、RPTデバイス4000は、人間がデバイスと相互作用を可能にするためのボタン、スイッチまたはダイヤルの形態をとる1つ以上の入力デバイス4220を含む。ボタン、スイッチまたはダイヤルは、タッチスクリーンを介してアクセスすることが可能な物理的デバイスまたはソフトウェアデバイスであり得る。ボタン、スイッチまたはダイヤルは、一形態において外部ハウジング4010に物理的に接続させてもよいし、あるいは、別の形態において中央コントローラ4230と電気接続された受信器と無線通信してもよい。
【0251】
一形態において、入力デバイス4220は、人間が値および/またはメニュー選択肢を選択することを可能にするように、構築および配置され得る。
【0252】
5.7.2.3 中央コントローラ
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、X86 INTELプロセッサのようなRPTデバイス4000の制御に適したプロセッサである。
【0253】
本技術の別の形態によるRPTデバイス4000の制御に適した中央コントローラ4230は、ARM HOLDINGSからのARMCORTEX−Mプロセッサに基づいたプロセッサを含む。例えば、ST MICROELECTRONICSからのSTM32シリーズのマイクロコントローラが用いられ得る。
【0254】
本技術のさらなる代替形態によるRPTデバイス4000の制御に適した別の中央コントローラ4230は、ARM9ベースの32ビットRISC CPUのファミリから選択された部材を含む。例えば、ST MICROELECTRONICSからのSTR9シリーズのマイクロコントローラが用いられ得る。
【0255】
本技術の特定の代替形態において、16ビットのRISCCPUが、RPTデバイス4000のための中央コントローラ4230として用いられ得る。例えば、マイクロコントローラのMSP430ファミリ(製造元:TEXAS INSTRUMENTS)からのプロセッサが用いられ得る。
【0256】
本技術の別の形態において、中央コントローラ4230は、専用電子回路である。別の形態において、中央コントローラ4230は、特定用途向け集積回路(ASIC)である。別の形態において、中央コントローラ4230は、個別電子コンポーネントを含む。
【0257】
中央コントローラ4230は、1つ以上の変換器4270、1つ以上の入力デバイス4220および加湿器5000から入力信号(複数)を受信するように、構成される。
【0258】
中央コントローラ4230は、出力信号(複数)を出力デバイス4290、治療装置コントローラ4240、データ通信インターフェース4280および加湿器5000のうち1つ以上へ提供するように、構成される。
【0259】
本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、本明細書中に記載の1つ以上の方法を具現するように、構成される(例えば、非一時的なコンピュータで読出可能な記録媒体のような(例えば、メモリ4260)中に記録されたコンピュータプログラムとして表現された1つ以上のアルゴリズム4300)。本技術のいくつかの形態において、前述のように、中央コントローラ4230は、RPTデバイス4000と一体化され得る。しかし、本技術のいくつかの形態において、いくつかの方法が、遠隔配置されたデバイスによって行われ得る。例えば、遠隔配置されたデバイスは、記録されたデータ(例えば、本明細書中に記載のセンサーのうちいずれかからのもの)の分析により、人工呼吸器の制御設定を決定し得るか、または、呼吸関連イベントを検出し得る。
【0260】
中央コントローラ4230は、多様なセンサー4270、データ通信インターフェース4280、メモリ4260および他のデバイスと対話する単一コントローラを含み得るが、コントローラ4230の機能を1つよりも多くのコントローラ間に分散させてもよい。そのため、本明細書中用いられる「中央」という用語は、アーキテクチャをその他のデバイスを制御する単一コントローラまたはプロセッサに限定することを意図しない。例えば、別のアーキテクチャは、1つよりも多くのコントローラまたはプロセッサを含む分散型コントローラアーキテクチャを含み得る。これは、例えば、アルゴリズム4300またはアルゴリズムのうちいくつかを保存するさらには1つよりも多くの局地的メモリまたは遠隔メモリの一部を行う、別個の局地的に(すなわち、RPTデバイス4000内に)配置されたかまたは遠隔配置されたコントローラを含み得る。加えて、アルゴリズムは、コンピュータプログラムとして表現された場合、高レベルの人間が読み取り可能なコード(例えば、C++、VISUALBASIC、他のオブジェクト志向言語)または低/マシンレベル命令(ASSEMBLER、VERILOG)を含み得る。アルゴリズム(複数)の機能に応じて、このようなコードまたは命令は、コントローラ(例えば、ASICまたはDSP)内において焼かれ得るか、または、実行時間実行可能にDSPまたは汎用プロセッサへ移植され得る。その後、DSPまたは汎用プロセッサは、アルゴリズム(複数)に必要なタスクを行うように特定プログラムされる。
【0261】
5.7.2.4 時計
RPTデバイス4000は、中央コントローラ4230へ接続された時計4232を含み得る。
【0262】
5.7.2.5 治療装置コントローラ
本技術の一形態において、治療デバイスコントローラ4240は治療制御モジュール4330であり、中央コントローラ4230によって実行されるアルゴリズム4300の一部を形成する。
【0263】
本技術の一形態において、治療装置コントローラ4240は、専用モータ制御集積回路である。例えば、一形態において、ONSEMIによって製造されたMC33035ブラシレスDCモータコントローラが用いられる。
【0264】
5.7.2.6 保護回路
本技術によるRPTデバイス4000は、1つ以上の保護回路4250を含み得る。
【0265】
本技術による保護回路4250の一形態は、電気保護回路である。
【0266】
本技術による1つの形態の保護回路4250は、温度または圧力安全回路である。
【0267】
5.7.2.7 メモリ
本技術の一形態によれば、RPTデバイス4000は、メモリ4260(例えば、不揮発性メモリ)を含む。いくつかの形態において、メモリ4260は、電池式スタティックRAMを含み得る。いくつかの形態において、メモリ4260は、揮発性RAMを含み得る。
【0268】
メモリ4260は、PCBA4202上に配置され得る。メモリ4260は、EEPROMまたはNANDフラッシュの形態をとり得る。
【0269】
追加的にまたは代替的に、RPTデバイス4000は、取り外し可能なメモリ4260(例えば、セキュアデジタル(SD)規格に従って作製されたメモリカード)を含む。
【0270】
本技術の一形態において、メモリ4260は、非一時的コンピュータで読出可能な記録媒体として機能する。この記録媒体上に、本明細書中に記載の1つ以上の方法を表現するコンピュータプログラム命令(例えば、1つ以上のアルゴリズム4300)が記録される。
【0271】
5.7.2.8 変換器(複数)
変換器は、デバイス4000の内部に設けてもよいし、あるいはRPTデバイス4000の外部に設けてもよい。外部変換器は、例えば空気送達回路4170上に配置してもよいし、あるいは空気回路の一部を形成してもよい(例えば、患者インターフェース3000において)。外部変換器は、非接触センサーの形態をとり得る(例えば、データをRPTデバイス4000に送信または転送させるドップラーレーダー運動センサー)。
【0272】
5.6.2.8.1 流量
本技術による流量変換器4274は、差圧変換器(例えば、SENSIRIONからのSDP600シリーズ差圧変換器)に基づき得る。差圧変換器は空気圧回路と流体通信し、圧力変換器それぞれの1つは、流れ制限要素内のそれぞれの第1の点および第2の点へ接続される。
【0273】
一実施例において、流れ変換器4274からの合計流量QTを示す信号は、中央コントローラ4230によって受信される。
【0274】
5.7.2.8.2 圧力
本技術による圧力変換器4272は、空気圧経路と流体連通して配置され得る。適切な圧力変換器4272の一実施例として、HONEYWELL ASDXシリーズからのセンサーがある。別の適切な圧力変換器として、GENERAL ELECTRICからのNPAシリーズからのセンサーがある。
【0275】
使用中において、圧力変換器4272からの信号は、中央コントローラ4230によって受信され得る。一形態において、圧力変換器4272からの信号は、フィルタリングされた後、中央コントローラ4230によって受信される。
【0276】
5.7.2.8.3 モータ速度
本技術の一形態において、モータ4144および/または送風機4142の回転速度を決定するために、モータ速度変換器4276が用いられ得る。モータ速度変換器4276からのモータ速度信号は、治療装置コントローラ4240へ提供され得る。モータ速度変換器4276は、例えば速度センサーであり得る(例えば、ホール効果センサー)。
【0277】
5.7.2.9 データ通信システム
本技術の一形態において、データ通信インターフェース4280が設けられ、中央コントローラ4230へ接続される。データ通信インターフェース4280は、リモート外部通信ネットワーク4282および/またはローカル外部通信ネットワーク4284へ接続可能であり得る。リモート外部通信ネットワーク4282は、遠隔外部デバイス4286へ接続可能であり得る。ローカル外部通信ネットワーク4284は、ローカル外部デバイス4288へ接続可能であり得る。
【0278】
一形態において、データ通信インターフェース4280は、中央コントローラ4230の一部である。別の形態において、データ通信インターフェース4280は、中央コントローラ4230と別個であり、集積回路またはプロセッサを含み得る。
【0279】
一形態において、リモート外部通信ネットワーク4282はインターネットである。データ通信インターフェース4280は、インターネットへ接続するために、(例えば、イーサネットまたは光ファイバーを介して)有線通信を用得るかまたは無線プロトコル(例えば、CDMA、GSM、LTE)を用い得る。
【0280】
一形態において、ローカル外部通信ネットワーク4284は、1つ以上の通信規格(例えば、ブルートゥースまたはコンシューマー赤外線プロトコル)を用いる。
【0281】
一形態において、遠隔の外部デバイス4286は、1つ以上のコンピュータ(例えば、ネットワーク化コンピュータのクラスタ)である。一形態において、遠隔の外部デバイス4286は、物理的コンピュータではなく仮想コンピュータであり得る。いずれの場合も、このような遠隔の外部デバイス4286は、適切に権限を付与された人間(例えば、臨床医)からのアクセスが可能であり得る。
【0282】
ローカル外部デバイス4288は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、タブレットまたはリモートコントロールであり得る。
【0283】
5.7.2.10 任意選択のディスプレイ、警報を含む出力デバイス
本技術による出力デバイス4290は、視覚、音声および触覚ユニットのうち1つ以上の形態をとり得る。視覚ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)または発光ダイオード(LED)ディスプレイであり得る。
【0284】
5.7.2.10.1 ディスプレイドライバ
ディスプレイドライバ4292は、ディスプレイ4294上へ表示されるべき文字、記号または画像を入力として受信し、ディスプレイ4294にこれらの文字、記号または画像を表示させるコマンドへ変換する。
【0285】
5.7.2.10.2 ディスプレイ
ディスプレイ4294は、ディスプレイドライバ4292から受信されたコマンドに応答して、文字、記号または画像を視覚的に表示するように構成される。例えば、ディスプレイ4294は8セグメントディスプレイであり得、その場合、ディスプレイドライバ4292は、各文字または記号(例えば、数字「0」)を、特定の文字または記号を表示するために各8個のセグメントを活性化させるべきかを示す8個の論理信号へ変換する。
【0286】
5.7.3 RPTデバイスアルゴリズム
5.7.3.1 事前処理モジュール
本技術による事前処理モジュール4310は、変換器4270(例えば流量センサー4274または圧力センサー4272)からの生データを入力として受信し、1つ以上の出力値を計算するための1つ以上のプロセスステップを行う。これらの出力値は、別のモジュール(例えば、治療エンジンモジュール4320)への入力として用いられる。
【0287】
本技術の一形態において、出力値は、インターフェースまたはマスク圧力PM、呼吸流量QRおよび漏洩流量QLを含む。
【0288】
本技術の多様な形態において、事前処理モジュール4310は、以下のアルゴリズムのうち1つ以上を含む:圧力補償4312、通気流量推定4314、漏洩流量推定4316、呼吸流量推定4317、換気決定4311、目標換気決定4313、呼吸速度推定4318、およびバックアップレート決定4319。
【0289】
5.7.3.1.1 圧力補償
本技術の一形態において、圧力補償アルゴリズム4312は、空気圧ブロック4020の出口の近位の空気圧経路中の圧力を示す信号を入力として受信する。圧力補償アルゴリズム4312は、圧力低下を空気回路4170において推定し、患者インターフェース3000中の推定圧力PMを出力として提供する。
【0290】
5.7.3.1.2 通気流量の推定
本技術の一形態において、通気流量推定アルゴリズム4314は、患者インターフェース3000中の推定圧力PMを入力として受信し、患者インターフェース3000中の通気孔3400からの空気の通気流量QVを推定する。
【0291】
5.7.3.1.3 漏洩流量の推定
本技術の一形態において、漏洩流量推定アルゴリズム4316は、全体流量QTおよび通気流量QVを入力として受信し、漏洩流量QLを推定する。一形態において、漏洩流量推定アルゴリズム4316は、いくつかの呼吸サイクル(例えば、約10秒)を含むくらいに充分に長い期間にわたって全体流量と通気流量QVとの間の差平均を計算することにより、漏洩流量QLを推定する。
【0292】
一形態において、漏洩流量推定アルゴリズム4316は、患者インターフェース3000中の全体流量QT、通気流量QV、および推定圧力PMを入力として受信し、漏洩コンダクタンスを計算することおよび漏洩流量QLを漏洩コンダクタンスおよび圧力PMの関数となるように決定することにより、漏洩流量QLを推定する。漏洩コンダクタンスは、全体流量QTと通気流量QVとの間の差に等しいローパスフィルタされた非通気流量の商、および圧力PMのローパスフィルタされた平方根として計算され得、ローパスフィルタ時定数は、いくつかの呼吸サイクル(例えば、約10秒)を含むだけの充分な値を有する。漏洩流量QLは、漏洩コンダクタンスの積および圧力PMの関数として推定され得る。
【0293】
5.7.3.1.4 呼吸流量推定
本技術の一形態において、呼吸流量推定アルゴリズム4317は、全体流量QT、通気流量QVおよび漏洩流量QLを入力として受信し、通気流量QVおよび漏洩流量QLを全体流量QTから減算することにより、患者への空気呼吸流量Qを推定する。
【0294】
本技術の他の形態において、呼吸流れ推定アルゴリズム4317は、呼吸流量QRのプロキシとして機能する値を提供する。呼吸流量についての可能なプロキシを以下に挙げる:
患者1000の胸部の呼吸運動
圧力生成器4140によって引き出された流れ
圧力生成器4140のモータ速度
患者1000の経胸壁インピーダンス
【0295】
呼吸流量プロキシ値は、RPTデバイス4000内の変換器4270(例えば、モータ速度センサー4276)またはRPTデバイス4000の外部のセンサー(例えば、呼吸運動センサーまたは経胸壁インピーダンスセンサー)によって提供され得る。
【0296】
5.7.3.1.5 換気決定
本技術の一形態において、換気決定アルゴリズム4311は、呼吸流量QRを入力として受信し、現在の患者換気を示すVENT測定を決定する。
【0297】
いくつかの具現例において、換気決定アルゴリズム4311は、実際の患者換気の推定値である換気VENTの測定を決定する。
【0298】
このような一具現例において、換気の測定VENTは呼吸流れQRの絶対値の半値であり、これは、任意選択的にローパスフィルタ(例えば、コーナ周波数が0.11HZである2次ベッセルローパスフィルタ)によってフィルタリングされる。
【0299】
このような一具現例において、換気VENTの測定は、全般的気胞換気(すなわち、非解剖学的死腔換気)の推定である。そのためには、解剖学的死腔の推定が必要になる。患者の身長(または重篤な骨格変形の場合は指端距離)を解剖学的死腔の良好な予測因子として用いることができる。その後、全般的気胞換気は、例えば上記において決定された実際の患者換気の測定に等しく、推定された解剖学的死腔および推定された自発呼吸速度RSの積よりも小さい。
【0300】
他の具現例において、換気決定アルゴリズム4311は、実際の患者換気に大きく比例する換気VENTの測定を決定する。このような一具現例において、ピーク呼吸流量QPEAKが、サイクルの吸気部分において推定される。呼吸流量QRのサンプリングを含む上記および他の多数の手順により、換気に大きく比例する測定が得られるが、これらの測定の場合、流量波形形状の変動がそれほど大きくない(ここで、2つの呼吸の形状は、時間および振幅において正規化された呼吸の流量波形が類似するときと同様のものとしてとられる)。いくつかの簡単な例を挙げると、正の呼吸流量の中央値、呼吸流量の絶対値の中央値、および流量の標準偏差がある。正の係数を用いた呼吸流量の絶対値の任意次数の統計の任意の線形的組み合わせ(およびさらには正の係数および負の係数双方を用いたいくつかのもの)は、換気におおむね比例する。別の例として、吸気部分の(時間について)中央K割合における呼吸流量の平均であり、ここで、0<K<1である。流量波形形状が一定である場合、換気に高精度に比例する任意の多数の測定がある。
【0301】
他の形態において、換気決定アルゴリズム4311は、呼吸流量QRに基づいていない換気の測定VENTを決定する。この換気の測定VENTは、現在の患者換気(例えば、患者1000へ取り付けられた適切なセンサーから得られた酸素飽和(SAO
2)または二酸化炭素(PCO
2)の部分的圧力)のプロキシである。
【0302】
5.7.3.1.6 目標換気の決定
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、現在の換気VENTの測定を入力としてとり、換気測定のための目標値VTGTの決定のために、1つ以上の目標換気決定アルゴリズム4313を実行する。
【0303】
本技術のいくつかの形態において、目標換気決定アルゴリズム4313は存在せず、目標換気VTGTは所定のものであり、例えばRPTデバイス4000の構成時におけるハードコーディングによりまたは入力デバイス4220を通じた手入力により得られる。
【0304】
適応型サーボ換気(ASV)療法(後述する)などの本技術の他の形態において、目標換気決定アルゴリズム4313は、患者1000の典型的な最近の換気を示す換気VTYPから目標値VTGTを計算する。
【0305】
適応型サーボ換気療法のいくつかの形態において、目標換気VTGTは、高割合でありかつ典型的な最近の換気VTYP未満の値として計算される。このような形態の高割合は、範囲(80%、100%)、または(85%、95%)、または(87%、92%)内にあり得る。
【0306】
適応型サーボ換気療法の他の形態において、目標換気VTGTは、典型的な最近の換気VTYPの1の倍数を若干上回る値として計算される。
【0307】
典型的な最近の換気VTYPは、いくつかの所定の時間スケールにわたる複数の時間的瞬間にわたる現在の換気VENTの測定が付近に分布する値であり、密集する傾向がある(すなわち、最近の履歴における現在の換気の測定の中央傾向の測定)。目標換気決定アルゴリズム4313の一具現例において、最近の履歴は、数分のオーダーであるが、どんなも場合もチェーンストークス漸増サイクルおよび漸減サイクルの時間スケールよりも長くなければならない。目標換気決定アルゴリズム4313は、中央傾向の多様な周知の測定のいずれかを用いて、典型的な最近の換気VTYPを現在の換気VENTの測定から決定し得る。1つのこのような測定として、現在の換気VENTの測定についてのローパスフィルタ出力であり、時定数が100秒に等しい。
【0308】
5.7.3.1.7 呼吸速度推定
本技術の一形態において、呼吸速度推定アルゴリズム4318は、患者1000への呼吸流量QRを入力として受信し、患者の自発呼吸速度RSの推定を生成する。
【0309】
患者1000が自発呼吸しているとき(すなわち、RPTデバイス4000が(以下に述べる)「バックアップ呼吸」を送達しないとき)、呼吸速度推定アルゴリズム4318は、自発呼吸速度RSを経時的に推定し得る。本技術のいくつかの形態において、サーボ支援(圧力補助から最小圧力補助を減算したものとして規定される)が低い場合(一具現例において4CMH
2O未満)、呼吸速度推定アルゴリズム4318は、呼吸速度を経時的に推定する。なぜならば、このような期間は、自発呼吸努力を反映する可能性がより高いからである。
【0310】
本技術のいくつかの形態において、呼吸速度推定アルゴリズム4318は、睡眠呼吸期間における呼吸速度を推定する。なぜならば、これらの期間の呼吸速度は、覚醒時の呼吸速度と実質的に異なり得るからである。不安がある場合、呼吸速度が睡眠時の一般的な呼吸速度よりも早くなることが多い。患者が患者固有の呼吸プロセスに集中している場合、患者の呼吸速度は典型的には、通常の覚醒時または睡眠時の呼吸速度よりも低くなる。例えば特許出願第PCT/AU2010/000894号(WO2011/006199として公開(本明細書中、同文献全体を参考のため援用する))に記載の技術が、呼吸流量QRから覚醒呼吸を特定するために用いられ得る。
【0311】
本技術のいくつかの形態において、呼吸速度推定アルゴリズム4318は、自発呼吸速度RSを対象期間における呼吸長さTTOTの中央傾向の多様な周知の統計測定のうちの1つの逆数として推定する。このような測定においては、はずれ値を拒絶するかまたははずれ値に対して少なくともロバストであることが望ましい。このような測定としてのトリム平均において、ソートされた呼吸持続期間の下側および上側のK比率は捨象され、残りの呼吸長さについて計算された平均は、はずれ値に対してロバストである。例えば、Kが0.25である場合、呼吸持続期間TTOTの上側および下側の四分位値は捨象される。中央値は、中央傾向の別のロバスト測定であるが、分布二峰性が強い場合、満足のいく結果が得られない場合が往々にしてある。単純な平均も中央傾向の測定として用いられ得るが、その場合、はずれ値に対する感度が高くなる。信じ難い呼吸速度(例えば、45呼吸/分を超えるかまたは6呼吸/分未満のもの)に対応する隣接する時間間隔ははずれ値として平均計算から除外される初期間隔フィルタリング段階が用いられ得る。単独でまたは間隔フィルタリングと併用され得る他のフィルタリング機構において、一連のN連続自発呼吸の一部ではない任意の呼吸を除外する。ここで、Nは、いくつかの小さな整数(例えば、3)である。この機構において、一連の連続自発呼吸の初期の呼吸および最終部分の呼吸を除外する(例えば、一連の4つの呼吸のうち最初の呼吸および最後の呼吸を除外する)。後者の機構の理論的根拠として、一連の自発呼吸の特に最初の呼吸および最後の呼吸ならびに一般的には早期の呼吸および後期の呼吸が不定型であり得る点がある。すなわち、例えば、第1の自発呼吸は覚醒の結果発生し得、呼吸駆動の低下に起因して最後の自発呼吸は長くなり得、その結果、バックアップ呼吸によってこの一連の自発呼吸が終了する。
【0312】
本技術のいくつかの形態において、呼吸速度推定アルゴリズム4318は、自発呼吸速度RSの初期推定を初期推定期間を用いて行って、治療エンジンモジュール4320内においてその後の処理をイネーブルして開始させ、その後、初期推定期間よりも長い推定期間を用いて自発呼吸速度RSの推定を連続的に更新して、統計ロバスト性を向上させる。例えば、初期推定期間は、20分の適切な自発呼吸であり得るが、この推定期間は一定の最大持続期間(例えば8時間)まで徐々に増加し得る。この推定に用いられているこの持続期間のウィンドウを回転させる代わりに、呼吸持続期間に対してローパスフィルタが用いられ得、セッション進行と共に反応時間が徐々に長くなる(より正確には、コーナ周波数が徐々に低くなる)。
【0313】
いくつかの形態において、中央傾向(例えば、トリム平均)の適切に処理された短期(例えば、10分)の測定を適切なローパスフィルタへ入力すると、時間単位以上で変化する推定RSが得られ得る。この場合、数時間または数日間継続し得る呼吸持続期間データの移動ウィンドウ上においてトリム平均を計算する必要がある場合に発生し得るような恐らくは大量の呼吸持続期間データを保存および処理必要が無くなるという利点が得られる。
【0314】
本技術のいくつかの形態において、短期間にわたって測定された(詳細には、1呼吸にわたって測定された)呼吸速度を、上記した中央傾向測定において呼吸持続期間の代わりに用いてもよく、これにより、概して類似であるが同一ではない結果が得られる。
【0315】
5.7.3.1.8 バックアップレートの決定
本技術の一形態において、バックアップレート決定アルゴリズム4319は、呼吸速度推定アルゴリズム4318によって提供される自発呼吸速度推定RSを入力として受信し、「バックアップレート」RBを返送する。バックアップレートRBとは、著しい自発呼吸努力が無い場合にRPTデバイス4000が患者1000へバックアップ呼吸を送達する(すなわち、継続的に換気補助を提供する)速度である。
【0316】
前処理モジュール4310の一形態において、バックアップレート決定アルゴリズム4319は無く、その代わりにバックアップレートRBが(例えば、入力デバイス4220を介して)手動でRPTデバイス4000へ提供されるかまたはRPTデバイス4000の構成時にハードコードされる。
【0317】
適応型のバックアップレートとして知られる一形態において、バックアップレート決定アルゴリズム4319は、バックアップレートRBを自発呼吸速度RSの関数として決定する。一具現例において、この関数は、バックアップレートRBを自発呼吸速度RSから定数(例えば、2呼吸/分)を減算した値として決定する。別の具現例において、この関数は、バックアップレートRBを自発呼吸速度RSを1より若干小さい定数によって乗算した値として決定する。
【0318】
可変バックアップレートとして知られる一形態において、バックアップレート決定アルゴリズム4319は、バックアップレートRBを時間の関数として決定する。バックアップレートRBは、自発バックアップレート(SBR)として知られる値へ初期化される。自発バックアップレート(SBR)は、持続時間バックアップレート(STBR)として知られる最終目標バックアップレートの分数である。この分数は、2/3または3/4、または1未満の他の正の値であり得る。SBRは、直近の吸気が自発(すなわち、特許トリガされた)呼吸である場合のバックアップ呼吸に対するタイムアウト期間の逆数である。STBRは、(例えば、上記したような手動入力またはハードコードにより)事前決定してもよいし、あるいはいくつかの典型的な呼吸速度(例えば、15BPM)へ設定してもよい。以前の自発呼吸以降の時間経過と共に、バックアップレートRBは、SBRからSTBRへ増加する。この増加は、所定のプロファイル(例えば、一連のステップまたは連続する線形プロフィール)に従い得る。このプロファイルは、バックアップレートRBが所定の間隔後にSTBRに到達するように、選択される。間隔は、時間単位(例えば、30秒)で測定してもよいし、あるいは患者の呼吸(例えば、5呼吸)に相対して測定してもよい。
【0319】
バックアップレートのいくつかの形態において、バックアップレートRBがSBRからSTBRへ増加していく所定の間隔は、現在の換気の適切性の関数であり得る。目標値VTGTが換気測定において存在するサーボ換気に適した一具現例において、バックアップレートは、換気VENTの現在の測定が目標換気VTGTを下回る範囲まで、STBRへ近づく。
【0320】
適応型の可変バックアップレートとして知られる可変バックアップレートの一形態において、バックアップレート決定アルゴリズム4319は、バックアップレートRBを呼吸速度推定アルゴリズム4318によって提供される現在の推定された自発呼吸速度RSの関数および時間の関数として決定する。可変バックアップレートの決定と同様に、適応型の可変バックアップレート決定は、現在の換気の適切性の関数であり得る所定の間隔にわたってバックアップレートRBをSBRからSTBRへ増加させる。STBRは、標準的呼吸速度(例えば、15BPM)へ初期化され得る。自発呼吸速度RSの信頼性の高い推定が呼吸速度推定アルゴリズム4318から得られた後、STBRは、現在の推定された自発呼吸速度RSを定数によって乗算した値へ設定され得る。SBRは、可変バックアップレートと同様に、STBRの分数へ設定され得る。一形態において、自発呼吸速度RSの初期推定期間において、患者の比較的低い呼吸速度(例えば、12呼吸/分)が時折長い呼吸持続期間と共に継続する場合に対応できるよう、分数(例えば、2/3)をより小さな値(例えば、0.55)に設定することができる。
【0321】
いくつかの形態において、STBRを得るために現在の推定された自発呼吸速度RSを乗算する定数は、1より若干大きい数(例えば、1.1)であり得、これにより、短期の無呼吸において望ましい場合があるより積極的な換気が提供される。この定数は、特に患者努力の回復時において患者との再同期が困難であることが特定の患者において問題となることが判明した場合に、1より少し小さい数(例えば、0.8)であり得る。バックアップレートを低くすると、再同期が一般的に発生する呼気休止を長くすることにより、再同期がより容易になる。
【0322】
5.7.3.2 治療エンジンモジュール
本技術の一形態において、治療エンジンモジュール4320は、患者インターフェース3000中の圧力PM、患者への空気呼吸流量QR、および瞬間呼吸速度の推定RSのうち1つ以上を入力として受信し、1つ以上の治療パラメータを出力として提供する。多様な形態において、治療エンジンモジュール4320は、以下のアルゴリズムのうち1つ以上を含む:フェーズ決定4321、波形決定4322、吸気流量制限決定4324、無呼吸/呼吸低下決定4325、いびき検出4326、気道開通性決定4327、および治療パラメータ決定4329。
【0323】
5.7.3.2.1 フェーズ決定
本技術の一形態において、フェーズ決定アルゴリズム4321は、呼吸流量QRを示す信号を入力として受信し、患者1000の現在の呼吸サイクルのフェーズを出力として提供する。
【0324】
いくつかの形態において、離散フェーズ決定として知られるフェーズ出力Φは、離散変数である。離散フェーズ決定の一具現例により、吸息または呼息の値を持つ二値フェーズ出力Φが得られる。この値は、自発吸息および呼息それぞれの開始が検出された際に例えば0回転および0.5回転の値としてそれぞれ表される。「トリガ」および「サイクル」するRPTデバイス4000は、離散フェーズ決定を有効に行う。なぜならば、トリガ点およびサイクル点は、フェーズが呼息から吸息へおよび吸息から呼息へそれぞれ変化する瞬間であるからである。二値フェーズ決定の一具現例において、呼吸流量QRの値が負の閾値よりもより大きな負の値であるときに呼吸流量QRが正の閾値を超える値および0.5回転の離散値を有し(これにより、RPTデバイス4000を「サイクルさせる」)とき、フェーズ出力Φは、離散値0を持ち(これによりRPTデバイス4000を「トリガ」する)ように、決定される。
【0325】
離散フェーズ決定の別の具現例により、吸息、吸気中の一時停止および呼息のうち1つの値を備えた3値フェーズ出力Φが得られる。
【0326】
他の形態において、連続フェーズ決定として知られるフェーズ出力Φは連続値であり、例えば0回転〜1回転または0〜2Πラジアンの間で変動する。連続フェーズ決定を行うRPTデバイス4000は、連続フェーズが0回転および0.5回転それぞれに到達したときに、トリガおよびサイクルし得る。連続フェーズ決定の一具現例において、フェーズの連続値Φは、呼吸流量QRのファジー論理分析を用いて決定される。本具現例において決定されたフェーズの連続値は、「ファジーフェーズ」と呼ばれることが多い。ファジーフェーズ決定アルゴリズム4321の一具現例において、以下の規則が呼吸流量QRへ適用される:
1.呼吸流量がゼロになった後に急激に増加した場合、フェーズは0回転である。
2.呼吸流量が大きな正の値でありかつ安定している場合、フェーズは0.25回転である。
3.呼吸流量がゼロであり急激に低下する場合、フェーズは0.5回転である。
4.呼吸流量が大きな負の値でありかつ安定している場合、フェーズは0.75回転である。
5.呼吸流量がゼロでありかつ安定しており、呼吸流量の5秒のローパスフィルタされた絶対値が大きい場合、フェーズは0.9回転である。
6.呼吸流量が正であり、フェーズが呼気である場合、フェーズは0回転である。
7.呼吸流量が負であり、フェーズが吸気であり、フェーズは0.5回転である。
8.呼吸流量の5秒のローパスフィルタされた絶対値が大きい場合、フェーズは、時定数20秒によってローパスフィルタされた患者の呼吸速度に等しい一定速度で増加する。
【0327】
各規則の出力は、フェーズが規則の結果でありかつ大きさが規則が真となるファジー範囲となるベクトルとして表され得る。呼吸流量が「大きい」、「安定している」などのファジー範囲は、適切なメンバシップ関数によって決定される。規則の結果は、ベクトルとして表され、その後、セントロイドをとるなどのいくつかの関数により、組み合わされる。このような組み合わせにおいて、規則は、等しく重み付けしてもよいし、あるいは異なる様態で重み付けしてもよい。
【0328】
連続フェーズ決定の別の具現例において、吸息時間TIおよび呼息時間TEは、先ず呼吸流量QRから推定される。その後、フェーズΦは、先行トリガ瞬間から経過した吸息時間TIの割合の半分または0.5回転に先行サイクル瞬間から経過した呼息時間TEの割合を加算した値(これらのうち、より直近のもの)として決定される。
【0329】
(以下に述べる)圧力補助換気治療に適した本技術のいくつかの形態において、フェーズ決定アルゴリズム4321は、例えば無呼吸時において呼吸流量QRが有意ではない場合であってもトリガされるように構成される。その結果、RPTデバイス4000は、患者1000から自発呼吸努力が無い場合、「バックアップ呼吸」を送達させる。このような自発/タイミング付き(S/T)モードとして知られる形態において、フェーズ決定アルゴリズム4321は、バックアップレート決定アルゴリズム4319によって提供されたバックアップレートRBを利用し得る。
【0330】
「ファジーフェーズ」を用いるフェーズ決定アルゴリズム4321は、ファジーフェーズ規則中の「モーメンタム」規則を設けることによりバックアップレートRBを用いてS/Tモードを具現し得る。モーメンタム規則の効果として、他の場合にその他の規則を通じて連続フェーズを前方に搬送する呼吸流量QRの特徴が無い場合、バックアップレートRBにおいて呼息から吸息へ前方に連続フェーズを搬送する点がある。一具現例において、(以下に述べる)換気VENTの測定が(同様に以下に述べる)換気についての目標値VTGTを大きく下回った場合、モーメンタム規則が組み合わせにおいてより大きく重み付けされることが適用される。しかし、(目標換気について)軽度〜中程度の低換気に応答して圧力補助が急上昇した結果、換気が目標換気に極めて近づき得る。モーメンタム規則には、換気が目標に近いときは小さな重み付けが付与され、これにより、(患者が中枢性無呼吸状態ではないときの)他の時間における呼吸速度よりも有意に低い速度で患者が(換気装置によってより高速度で強制的に呼吸することを不必要に押しつけられずに)呼吸することが可能になることが望ましい。しかし、換気が目標換気を下回るが目標換気に近い値を超えているときにモーメンタム規則に対する重み付けが小さい場合、適切な換気を比較的高い圧力補助においてバックアップレートを大きく下回る速度において容易に達成することができる。バックアップ呼吸送達をより高速度で行うと、目標換気送達をより低い圧力補助と共に行うことが可能になるため、そのような送達がことが望ましい。これが望ましいのには多数の理由があるが、そのうち主要な理由として、マスク漏洩の低減がある。
【0331】
上記を要約すると、S/Tモードを具現するファジーフェーズ決定アルゴリズム4321において、バックアップレートRBを用いたモーメンタム規則に対する重み付けを選択する際、ジレンマ(すなわち、重み付けが高過ぎると、患者がバックアップレートを「押しつけられている」と感じること)が生じる。重み付けが低過ぎると、圧力補助が過度になり得る。そのため、上記したモーメンタム規則に依存しないS/Tモードを具現する方法の提供が望まれている。
【0332】
フェーズ決定アルゴリズム4321(離散的または連続的なものであり、モーメンタム規則は用いない)は、タイミング付きバックアップとして知られる様態でバックアップレートRBを用いて、S/Tモードを具現し得る。タイミング付きバックアップは、以下のように具現され得る:すなわち、フェーズ決定アルゴリズム4321は、例えば上記したような監視呼吸流量QRにより、自発呼吸努力に起因する吸息開始を検出しようとする。持続期間が(バックアップタイミング閾値として知られる間隔)であるバックアップレートRBの逆数に等しい最終トリガ瞬間後の一定期間以内に自発呼吸努力に起因する吸息開始が検出されなかった場合、フェーズ決定アルゴリズム4321は、フェーズ出力Φを吸気値へ設定し(これにより、RPTデバイス4000がトリガされる)。RPTデバイス4000がトリガされ、バックアップ呼吸の送達が開始されると、フェーズ決定アルゴリズム4321は、例えば呼吸流量QRを監視することにより、自発呼息の開始の検出を試行する。この監視の結果、フェーズ出力Φは呼気値に設定され(これにより、RPTデバイス4000がサイクルされる)。
【0333】
バックアップレートRBがSBRからSTBRへ経時的に増加すると、上記したような可変バックアップレートシステムと同様に、バックアップタイミング閾値はより長く開始し、徐々に短くなる。すなわち、バックアップ呼吸の送達が増強されると共にRPTデバイス4000がやや勢いよく開始し、自発呼吸努力の喪失に対して徐々により慎重になる。このようなRPTデバイス4000の場合、患者に必要なときにバックアップ呼吸を送達しつつ患者自身が標準速度よりも低い速度で呼吸することを好む場合において、患者が「押しつけられている」と感じる可能性が低くなる。
【0334】
STBRが可変バックアップレートシステムにおいて患者の推定された自発呼吸速度RSに適合する場合、上記した適応型の可変バックアップレートシステムと同様に、バックアップ呼吸は、患者固有の最近の自発呼吸努力に適合する速度で送達される。
【0335】
5.7.3.2.2 波形決定
本技術の一形態において、治療制御モジュール4330は、圧力生成器4140を制御して、波形テンプレートΠ(Φ)に従って患者呼吸サイクルのフェーズΦの関数として変動する治療圧力PTを提供させる。
【0336】
本技術の一形態において、波形決定アルゴリズム4322は、波形テンプレートΠ(Φ)を提供する。波形テンプレートは、治療パラメータ決定アルゴリズム4329によって用いられる予定のフェーズ決定アルゴリズム4321によって提供されるフェーズ値Φの変域について[0、1]の範囲内の値を有する。
【0337】
一形態において、離散的または連続的に値をとるフェーズに適したものとして、波形テンプレートΠ(Φ)は矩形波テンプレートであり、0.5回転までのフェーズ値に対して1の値を有し、0.5回転を超えるフェーズ値に対して0の値を有する。一形態において、連続的に値をとるフェーズに適したものとして、波形テンプレートΠ(Φ)は、2つの平滑に曲線状の部分を含む(すなわち、0.5回転までのフェーズ値に対して平滑に曲線状の(例えば、上昇コサインの)0から1への上昇、および0.5回転を超えるフェーズ値に対して1から0への平滑に曲線状の(例えば、指数関数的)低下)。このような「平滑かつ快適な」波形テンプレートの一例として、「鮫ヒレ」型の波形テンプレートがあり、このような波形テンプレートにおいては、上昇は二乗余弦であり、平滑な衰退は準指数関数的であり(これにより、Φが1回転に近づく際のΠの制限はちょうどゼロになる)。
【0338】
本技術のいくつかの形態において、波形決定アルゴリズム4322は、RPTデバイス4000の設定に応じて、波形テンプレートΠ(Φ)を波形テンプレートのライブラリから選択する。ライブラリ中の各波形テンプレートΠ(Φ)は、フェーズ値Φに対する値Πのルックアップテーブルとして提供され得る。他の形態において、波形決定アルゴリズム4322は、恐らくは1つ以上のパラメータ(例えば、指数曲線部分の時間定数)によってパラメータ化された所定の関数形態を用いて、波形テンプレートΠ(Φ)を「オンザフライ」で計算する。関数形式のパラメータは、所定のものであってもよりし、あるいは患者1000の現在の状態に依存してもよい。
【0339】
吸息(Φ=0回転)または呼息(Φ=0.5回転)の離散二値フェーズに適した本技術のいくつかの形態において、波形決定アルゴリズム4322は、最も直近のトリガ瞬間(呼息から吸息への移行)から測定された離散フェーズΦおよび時間Tの関数として、波形テンプレートΠを「オンザフライ」で計算する。1つのこのような形態において、波形決定アルゴリズム4322は、波形テンプレートΠ(Φ、T)を2つの部分(吸気および呼気)において以下のように計算する。
【数1】
ここで、Π
I(T)およびΠ
E(T)は、波形テンプレートΠ(Φ、T)の吸気部分および呼気部分である。1つのこのような形態において、波形テンプレートの吸気部分Π
I(T)は、立上がり時間によってパラメータ化された0から1への平滑な上昇であり、波形テンプレートの呼気部分Π
E(T)は、下降時間によってパラメータ化された1から0への平滑な下降である。
【0340】
5.7.3.2.3 吸気流制限の決定
本技術の一形態において、プロセッサは、吸気流れ制限(部分的閉塞)の検出のための1つ以上のアルゴリズム4324を実行する。
【0341】
一形態において、アルゴリズム4324は、呼吸流量信号QRを入力として受信し、呼吸の吸気部分が吸気流制限を示す範囲の計量を出力として提供する。
【0342】
本技術の一形態において、各呼吸の吸気部分は、各瞬間において推定されたフェーズΦに基づいて特定される。例えば、呼吸の吸気部分は、フェーズΦが0.5未満である呼吸流れ値である。複数の均等間隔で配置された点(例えば、65個)は、時点を示し、各呼吸について吸気流れ/時間曲線に沿って補間器によって補間される。次に、これらの点によって記述された曲線は、呼吸速度および深さの変化による影響を除去するために単一長さ(持続期間/期間)および単一面積を持つように、スケーラによってスケーリングされる。次に、スケーリングされた呼吸を比較器内において事前保存されたテンプレートと比較する。このテンプレートは、通常の妨害の無い呼吸を表す。このテンプレートからの吸気時において任意のときに(試験要素によって決定されたような例えば咳、ため息、飲み込みおよびしゃっくりに起因して)呼吸が指定閾値(典型的には1スケール単位)を超えて逸脱した場合、このような呼吸は拒否される。データが拒否されない場合、先行のいくつかの吸気事象について、第1のこのようなスケーリングされた点の移動平均を中央コントローラ4230によって計算する。第2のこのような点について同一吸気事象に対してこれを同様に繰り返す。よって、例えば、65個のスケーリングされたデータ点が中央コントローラ4230によって生成され、先行するいくつかの吸気事象(例えば、3つの事象)の移動平均が提示される。本明細書中以下、(例えば、65個の)点の連続的に更新される値の移動平均を「スケーリングされたフロー」と呼び、QS(T)として示す。あるいは、移動平均の代わりに単一の吸気事象を用いてもよい。
【0343】
スケーリングされたフローから、部分的閉塞の決定に関連する2つの形状因子が計算され得る。
【0344】
形状因子1は、合計平均(例えば、65個の)スケーリングされたフロー点に対する中間(例えば、32個の)スケーリングされたフロー点の平均の比である。この比が1を超えている場合、呼吸は通常であるとみなされる。この比が1以下である場合、呼吸は妨害されているとみなされる。比が約1.17である場合、部分的に妨害された呼吸および閉塞されていない呼吸との間の閾値とみなされ、不定型ユーザ中の適切な酸素投与の維持を許可する一定程度の妨害と同等とみなされる。
【0345】
形状係数2は、単位スケーリングされたフローからの平均二乗偏差として計算され、中間の(例えば、32個の)点についてとられる。平均二乗偏差が約0.2単位である場合、通常であるとみなされる。平均二乗偏差がゼロである場合、完全に流れが制限されている呼吸とみなされる。平均二乗偏差がゼロに近いほど、呼吸の流れがより大きく制限されているとみなされる。
【0346】
形状係数1および2は、交互に用いてもよいし、あるいは組み合わせて用いてもよい。本技術の他の形態において、サンプリングされた点の数、呼吸および中間点は、上記したものと異なり得る。さらに、閾値も、上記したもの以外のものであり得る。
【0347】
5.7.3.2.4 無呼吸および呼吸低下の決定
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、無呼吸および/または呼吸低下の検出のための1つ以上のアルゴリズム4325を実行する。
【0348】
一形態において、一つ以上の無呼吸/呼吸低下検出アルゴリズム4325は、呼吸流量QRを入力として受信し、無呼吸または呼吸低下が検出されたかを示すフラッグを出力として提供する。
【0349】
一形態において、無呼吸とは、呼吸流量QRの関数が所定の期間にわたって流量閾値を下回ったときに検出されるものとされる。この関数は、ピーク流量、比較的短期間の平均流量、または比較的短期間の平均およびピーク流量の流量中間値を決定し得る(例えば、RMS流量)。流量閾値は、流量の比較的長期間の測定値であり得る。
【0350】
一形態において、呼吸低下とは、呼吸流量QRの関数が所定の期間にわたって第2の流量閾値を下回ったときに検出されるものとする。この関数は、ピーク流量、比較的短期間の平均流量、または比較的短期間の平均およびピーク流量の流量中間値を決定し得る(例えば、RMS流量)。第2の流量閾値は、流量の比較的長期の測定値であり得る。第2の流量閾値は、無呼吸の検出に用いられる流量閾値よりも高い。
【0351】
5.7.3.2.5 いびきの検出
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、いびきの検出のための1つ以上のいびき検出アルゴリズム4326を実行する。
【0352】
一形態において、いびき検出アルゴリズム4326は、呼吸流量信号QRを入力として受信し、いびきが存在している範囲の測定値を出力として提供する。
【0353】
いびき検出アルゴリズム4326は、流量信号の強度を30〜300HZの範囲内において決定するステップを含み得る。さらに、いびき検出アルゴリズム4326は、背景ノイズ(例えば、送風機4142からのシステム中の気流音)を低減するために呼吸流量信号QRをフィルタリングするステップをさらに含み得る。
【0354】
5.7.3.2.6 気道開通性の決定
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、気道開通性の決定のための1つ以上のアルゴリズム4327を実行する。
【0355】
一形態において、気道開通性アルゴリズム4327は、呼吸流量信号QRを入力として受信し、信号の出力を約0.75HZ〜約3HZの周波数範囲内において決定する。この周波数範囲内におけるピークの存在は、気道開放を示すものとしてみなされる。ピークの不在は、気道閉鎖の兆候とみなされる。
【0356】
一形態において、ピークが求められる周波数範囲は、治療圧力PTにおける小さな強制オシレーションの周波数となる周波数範囲である。一具現例において、強制オシレーションは、振幅が約1CMH
2Oである周波数2HZである。
【0357】
一形態において、気道開通性アルゴリズム4327は、呼吸流量信号QRを入力として受信し、心臓発生信号の存在または不在を決定する。心臓発生信号の不在は、気道閉鎖の兆候としてみなされる。
【0358】
5.7.3.2.7 治療パラメータの決定
本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、治療エンジンモジュール4320中のその他のアルゴリズムのうち1つ以上から返送された値を用いて、1つ以上の治療パラメータの決定のための1つ以上の治療パラメータ決定アルゴリズム4329を実行する。
【0359】
本技術の一形態において、治療パラメータは、瞬間治療圧力PTである。この形態の一具現例において、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、以下の方程式を用いて治療圧力PTを決定する。
【数2】
ここで:
Aは振幅であり、
Φはフェーズの現在値であり;
Π(Φ)は、フェーズの現在の値Φおよび時間のTにおける(0から1の範囲の)波形テンプレート値であり、
P
0はベース圧力である。
【0360】
波形決定アルゴリズム4322がフェーズによってインデックスされた値Φのルックアップテーブルとして波形テンプレートΠ(Φ)を提供する場合、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、フェーズ決定アルゴリズム4321から返送されたフェーズの現在の値Φに対して最近接ルックアップテーブル入力をロケートすることまたはフェーズの現在の値Φにまたがる2つの入力間の他により、方程式(1)を適用する。
【0361】
振幅Aおよびベース圧力P
0の値は、下記のようにして選択された圧力治療モードに応じて、治療パラメータ決定アルゴリズム4329によって設定され得る。
【0362】
5.7.3.3 治療制御モジュール
本技術の一態様による治療制御モジュール4330は、治療エンジンモジュール4320の治療パラメータ決定アルゴリズム4329からの治療パラメータを入力として受信し、これらの治療パラメータに従って圧力生成器4140から空気流れを送達させるように、圧力生成器を制御する。
【0363】
本技術の一形態において、治療パラメータは治療圧力PTであり、治療制御モジュール4330は、患者インターフェース3000におけるマスク圧力PMが治療圧力PTに等しい気体流れを圧力生成器4140から送させるように、圧力生成器を制御する。
【0364】
5.7.3.4 故障状態の検出
本技術の一形態において、プロセッサは、故障状態の検出のための1つ以上の方法4340を実行する。1つ以上の方法によって検出された故障状態は、以下のうち少なくとも1つを含み得る:
停電(電力無しまたは電力不足)
変換器故障の検出
コンポーネントの存在を検出できない
動作パラメータが推奨範囲から外れている(例えば、圧力、流量、温度、PAO
2)
検出可能な警告信号を生成するための試験警告の不履行。
【0365】
故障状態が検出されると、対応するアルゴリズム信号は、以下のうち1つ以上により、故障の存在を信号伝達する:
可聴、視覚および/または動力学的(例えば、振動的)警告の開始
外部デバイスへのメッセージ送信
インシデントのロギング
【0366】
5.8 加湿器
本技術の一形態において、患者へ送達されるべき空気またはガスの絶対湿度を周囲空気に相対して変化させるための加湿器5000が提供される(例えば、
図10に示すようなもの)。典型的には、加湿器5000は、患者気道へ送達される前に空気流れの(周囲空気に相対する)絶対湿度を増加させかつ温度を増加させるために、用いられる。
【0367】
5.9 用語集
本開示の目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態において、別の定義も適用され得る。
【0368】
5.9.1 一般
空気:本技術の特定の形態において、空気は大気を意味し得、本技術の他の形態において、空気は、他の呼吸可能なガスの組み合わせ(例えば、酸素を豊富に含む大気)を意味し得る。
【0369】
呼吸圧力治療(RPT):雰囲気に対して典型的には陽圧である治療圧力における空気供給の気道入口への付加。
【0370】
持続陽圧呼吸療法(CPAP)療法:治療圧力が患者の呼吸サイクルじゅうほぼ一定である呼吸圧療法。いくつかの形態において、気道への入口における圧力は、呼息時において若干上昇し、吸息時において若干低下する。いくつかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間において変動する(例えば、部分的な上気道閉塞の兆候の検出に応答して増加され、部分的な上気道閉塞の兆候の不在時において低減される)。
【0371】
患者:呼吸器疾患に罹患しているかまたはしていない人。
【0372】
自動的な気道陽圧(APAP)療法:SDB発症の兆候の存在または不在に応じて、例えば、呼吸間に最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調節することが可能なCPAP療法。
【0373】
5.9.2 呼吸サイクルの態様
無呼吸:いくつかの定義によれば、無呼吸とは、所定の閾値を下回った呼吸流量が例えば10秒間の継続期間にわたって継続した場合に発生したと言われる。閉塞性無呼吸とは、患者の労作にもかかわらず、何らかの気道閉塞により空気の流れが許されないときに発生すると言われる。中枢性無呼吸とは、呼吸努力の低下または呼吸努力の不在に起因して無呼吸が検出された状態を指すと言われる。
【0374】
呼吸速度(RS):通常は1分当たりの呼吸回数で測定される、患者の自発呼吸数。
【0375】
負荷サイクル:吸息時間TIの合計呼吸時間TTOTに対する比。
【0376】
労作(呼吸):呼吸努力は、呼吸しようとしている人の自発呼吸によって行われる動きを指すと言われる。
【0377】
呼吸サイクルの呼気部分:呼気流れの開始から吸気流れの開始までの期間。
【0378】
流量制限:患者による労作の増大が流量の対応する増大を引き起こさない患者の呼吸における状況。呼吸サイクルの吸気部分において流量制限が発生した場合、当該流量制限は吸気流量制限と称することができる。呼吸サイクルの呼気部分において流量制限が発生した場合、当該流量制限は呼気流量制限と称することができる。
【0379】
呼吸低下:流れの中断ではなく、流れの低下を意味する。一形態において、閾値を下回った流れ低下が継続期間にわたって続いた場合、呼吸低下が発生したと言われる。成人の一形態において以下のうちいずれかが発生した場合、呼吸低下と見なされ得る:
(I)患者呼吸の30%の低下が少なくとも10秒+関連する4%の脱飽和、または、
(II)患者呼吸の(50%未満の)低下が少なくとも10秒間継続し、関連して脱飽和が少なくとも3%であるかまたは覚醒が発生する。
【0380】
呼吸サイクルの呼気部分:吸気流れの開始から吸気流れの開始までの期間が、呼吸サイクルの吸気部分としてとられる。
【0381】
開通性(気道):気道が開いている度合いまたは気道が開いている範囲。気道開通性とは、開口である。気道開通性の定量化は、例えば開通性を示す値(1)と、閉鎖を示す値(0)と共に行われ得る。
【0382】
呼吸終末陽圧(PEEP):肺中の大気を越える圧力であり、呼気終了時に存在する。
【0383】
ピーク流量(QPEAK):呼吸流量波形の吸気部分における流量最大値。
【0384】
呼吸気流量/空気流量、患者流量、空気流量(QR):これらの同義語は、RPTデバイスの呼吸空気流量の推定を指すものとして理解され得、通常リットル/分で表される患者の実際の呼吸流量である「真の呼吸流量」または「真の呼吸気流量」と対照的に用いられる。
【0385】
1回換気量(VT):余分な努力をせずに通常の呼吸時に吸い込まれたかまたは吐き出された空気の量である。
【0386】
吸息時間(TI):呼吸流量波形の吸気部分の継続期間。
【0387】
呼息時間(TE):呼吸流量波形の呼気部分の継続期間。
【0388】
(合計)時間、または呼吸時間(TTOT):1つの呼吸流量波形の吸気部分の開始と次の呼吸流量波形の吸気部分の開始との間の合計継続期間。
【0389】
上気道閉塞(UAO):部分的な上気道閉塞および合計上気道閉塞両方を含む。これは、上気道中の圧力差が増加(スターリングレジスタ挙動)するにつれて流量がわずかに増加するかまたは低下し得る流量制限の状態と関連し得る。
【0390】
換気(VENT):患者の呼吸器系によって行われるガス交換の総量の測定。換気の測定は、単位時間あたりの吸気および呼気流のうち片方または双方を含み得る。1分あたりの体積として表される場合、この量は、「分換気」と呼ばれることが多い。分換気は、単に体積として付与されることもあり、1分あたりの体積として理解される。
【0391】
5.9.3 RPTデバイスパラメータ
流量:単位時間あたりに送出される空気の瞬間の量(または質量)。流量および換気量は、単位時間あたりに同じ規模の量または質量を持つが、流量は、かなり短時間にわたって測定される。流量は、患者の呼吸サイクルの吸気部分に対してノミナルに陽圧であり得るため、患者の呼吸サイクルの呼気部分に対して負であり得る。場合によっては、流量について言及した場合、スカラー量(すなわち、大きさのみを有する量)を指す。他の場合において、流量について言及した場合、ベクトル量(すなわち、大きさおよび方向両方を持つ量)を指す。流量には、符号Qが付与される。「流量」を簡略的に「流れ」と呼ぶ場合もある。合計流量QTは、RPTデバイスから退出する空気の流量である。通気流量QVは、吐き出されたガスの流出を可能にするために通気孔から退出する空気の流量である。漏洩流量QLは、患者インターフェースシステムからの非意図的な漏洩の流量である。呼吸流量QRは、患者の呼吸器系中に受容される空気の流量である。
【0392】
漏洩:「漏洩」という用語は、意図しない空気流れとしてとられる。一実施例において、漏洩は、マスクと患者の顔との間のシールが不完全であることに起因して発生し得る。別の実施例において、漏洩は、周囲に対する回りエルボーにおいて発生し得る。
【0393】
圧力:単位面積あたりの力。圧力は、多様な単位で測定され得る(例えば、CMH
2O、G−F/CM
2、ヘクトパスカル)。1CMH
2Oは、1G−F/CM
2に等しく、およそ0.98ヘクトパスカルである。本明細書において、他に明記無き限り、圧力はCMH
2Oの単位で付与される。患者インターフェース中の圧力(マスク圧力)には記号PMが付与され、現時点においてマスク圧力PMが達成すべき目標値を表す治療圧力には記号PTが付与される。
【0394】
5.9.4 人工呼吸器の用語
適応サーボ人工呼吸器(ASV):一定の目標換気を持つのではなく変更が可能なサーボ人工呼吸器。変更可能な目標換気は、患者の何らかの特性(例えば、患者の呼吸特性)から学習され得る。
【0395】
バックアップレート:人工呼吸器のパラメータであり、(自発呼吸努力によってトリガされない場合に)人工呼吸器から患者へ送達される呼吸数(典型的には、1分あたりの呼吸数)を確立させる。
【0396】
サイクル:人工呼吸器の吸気フェーズの終了。自発呼吸をしている患者へ人工呼吸器から呼吸を送達する場合、呼吸サイクルの吸気部分の終了時において、当該人工呼吸器は、呼吸送達を停止するようサイクルされると言われる。
【0397】
呼気の気道陽圧(EPAP):、人工呼吸器が所与の時期に達成しようとする所望のマスク圧力の生成のために、呼吸内において変化する圧力が付加される基本圧力。
【0398】
終了時呼気圧力(EEP):呼吸の呼気部分の終了時において人工呼吸器が達成しようとする所望のマスク圧力。圧力波形テンプレートΠ(Φ)が呼気終了時にゼロの値である(すなわち、Φ=1のときにΠ(Φ)=0である場合)、EEPはEPAPに等しい。
【0399】
IPAP:呼吸の吸気部分時に人工呼吸器が達成しようとする所望のマスク圧力。
【0400】
圧力補助:人工呼吸器吸気時における当該人工呼吸器呼気時における圧力増加を示す数であり、吸気時の最大値と、基本圧力との間の圧力差を主に意味する(例えば、PS=IPAP−EPAP)。いくつかの文脈において、圧力補助とは、(人工呼吸器が実際に達成する差ではなく)人工呼吸器が達成しようとする差を意味する。
【0401】
サーボ人工呼吸器:患者換気を有しかつ目標換気を有する人工呼吸器であり、患者換気を目標換気に近づけるために圧力補助レベルを調節する。
【0402】
サーボ支援:圧力補助から最小圧力補助を減算したもの。
【0403】
自発/タイミング(S/T):自発呼吸している患者の呼吸の開始を検出しようとする、人工呼吸器または他のデバイスのモード。しかし、デバイスが所定期間の間に呼吸を検出できない場合、デバイスは、呼吸送達を自動的に開始する。
【0405】
トリガ:人工呼吸器が自発呼吸する患者へ空気の呼吸を送達する場合、患者自身が呼吸サイクルの呼吸部分を開始したとき、当該人工呼吸器が呼吸送達を行うようトリガされたと言う。
【0406】
典型的な最近の換気:典型的な最近の換気VTYPは、一定の所定の時間スケールにわたって最近の換気測定が密集する傾向となる一定範囲の値である。すなわち、最近履歴にわたる換気の測定の中心傾向の測定。
【0407】
人工呼吸器:患者が呼吸動作の一部または全てを行い際に圧力補助を提供する機械的デバイス。
【0408】
5.9.5 呼吸器系の解剖学的構造
横隔膜:シート状の筋肉であり、胸郭下部上に延びる。横隔膜は、心臓、肺および肋骨を含む胸腔を腹腔から分離させる。横隔膜が収縮すると、胸腔の容量が増加し、肺中に空気が引き込まれる。
【0409】
喉頭:声帯ひだを収容する喉頭または発声器であり、咽頭の下部(下咽頭)を気管へ接続させる。
【0410】
肺:[ヒトにおける呼吸臓器。肺の伝導性ゾーンは、気管、気管支、気管支、および終末細気管支を含む。呼吸ゾーンは、呼吸気管支、肺胞管および肺胞を含む。
【0411】
鼻腔:鼻腔(または鼻窩)は、顔の中央の鼻の上方および後方の空気が充填された大きな空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直フィンによって2つに分割される。鼻腔の側部には、鼻甲介または鼻介骨と呼ばれる3つの水平伸長物がある。鼻腔の前方には鼻があり、後方は後鼻孔を介して鼻咽頭内に繋がる。
【0412】
咽頭:鼻腔の直接下側(下方)に配置されかつ食道および喉頭の上方に配置された咽喉の部分。咽頭は、従来から以下の3つの部分へ区分される:鼻咽頭(上咽頭)(咽頭の鼻部分)、中咽頭(中咽頭)(咽頭の口部分)、および咽喉(下咽頭)。
【0413】
5.10 他の注意事項
本特許文書の開示の一部は、著作権保護が与えられる内容を含む。著作権所有者は、何者かが本特許文書または本特許開示をファックスにより再生しても、特許局および特許庁の特許ファイルまたは記録に記載されるものであれば目的のものであれば異論は無いが、その他の目的については全ての著作権を保持する。
【0414】
他に文脈から明確に分かる場合および一定の範囲の値が提供されていない限り、下限の単位の1/10、当該範囲の上限と下限の間、および記載の範囲の他の任意の記載の値または介入値に対する各介入値は本技術に包含されることが理解される。介入範囲中に独立的に含まれるこれらの介入範囲の上限および下限が記載の範囲における制限を特に超えた場合も、本技術に包含される。記載の範囲がこれらの制限のうち1つまたは双方を含む場合、これらの記載の制限のいずれかまたは双方を超える範囲も、本技術に包含される。
【0415】
さらに、本明細書中に値(単数または複数)が本技術の一部として具現される場合、他に明記無き限り、このような値が近似され得、実際的な技術的具現例が許容または要求する範囲まで任意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
【0416】
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験において用いることが可能であるが、限られた数の例示的方法および材料が本明細書中に記載される。
【0417】
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、それとは反対に記載無き限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。
【0418】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「A」、「AN」および「THE」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0419】
本明細書中に記載される公開文献は全て、これらの公開文献の対象である方法および/または資料の開示および記載のために参照により援用される。本明細書中に記載の公開文献は、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいずれの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していない、認めるものと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
【0420】
さらに、本開示の解釈において、全ての用語は、文脈に沿って広範かつ合理的に解釈されるべきである。詳細には、「COMPRISES」および「COMPRISING」という用語は、要素、構成要素またはステップを非排他的な意味合いで指すものとして解釈されるべきであり、記載の要素、構成要素またはステップが明記されていない他の要素、構成要素またはステップと共に存在、利用または結合され得ることを示す。
【0421】
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示または特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではない。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈において用いられるべきではない。
【0422】
本明細書中の技術について、特定の実施形態を参照して述べてきたが、これらの実施形態は本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「FIRST(第1の)」および「SECOND(第2の)」(など)という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその様態を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
【0423】
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態において、において多数の変更例が可能であり、また、他の配置が考案され得ることが理解されるべきである。
なお、特願2018−510768について平成30年4月26日提出の手続補正書に記載の特許請求の範囲は以下の通りである。
[請求項1]
ユーザの慢性疾患を管理するための管理システムであって、
少なくとも、前記慢性疾患を管理するように構成されたデバイスを有し、前記デバイスはプロセッサを有し、前記デバイスは第1のモニタと通信するように構成され、前記第1のモニタは、前記ユーザにより装着可能であり、かつ前記ユーザの第1の生理学的パラメータと関連付けられた第1の信号を生成するように構成され、
前記デバイスの1つ以上のプロセッサは、
(1)複数の生理学的パラメータと関連付けられた複数の生成された信号であって、前記第1の信号を含む複数の生成された信号と、(2)1つ以上の環境パラメータとにアクセスし、
前記アクセスされた複数の生成された信号に基づいて、前記第1の生理学的パラメータを含む前記複数の生理学的パラメータを導出し、
前記導出された複数の生理学的パラメータと前記1つ以上の環境パラメータとを分析し、前記分析されたパラメータのうちの1つ以上のパラメータと関連付けられたトリガパターンを検出し、前記トリガパターンは、前記慢性疾患の悪化の可能性のある事象を示すものであり、
前記トリガパターンの検出に基づいて自動応答の活性化を制御する、
管理システム。
[請求項2]
前記システムは、前記複数の生成された信号のうち少なくとも1つを生成するモニタをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
[請求項3]
前記デバイスは、第2のモニタから前記ユーザのさらなる生理学的パラメータと関連付けられたさらなる生成された生理学的信号を前記分析のために受信するようにさらに構成され、前記第2のモニタは据置モニタである、請求項1又は2に記載のシステム。
[請求項4]
前記第1のモニタおよび前記第2のモニタのうち少なくとも1つは、心弾動図センサー、心拍数モニタ、フォトプレチスモグラフィセンサー、呼吸モニタ、音響モニタ(例えば、音センサー)、非接触モーションセンサー、無線周波数の送信および受信によって動きを検出するように構成されたモニタ、電気皮膚反応センサー、活動センサー、肺活量計、ガスセンサーおよび温度センサーのうち1つを含む、請求項3に記載のシステム。
[請求項5]
前記複数の生理学的パラメータのうち少なくとも1つのパラメータと関連付けられた前記第1の信号は、非接触動き感知装置によって生成される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項6]
前記1つ以上のプロセッサは、前記複数の生理学的パラメータのうち1つから前記ユーザの動きを決定するように構成され、前記動きは、呼吸に起因する前記ユーザの胸部の動き、揺れる動き、揺れる動きの取り消し、寝返り、およびベッドからの落下のうち1つである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項7]
前記複数の生理学的パラメータは、異なる位置に配置されたセンサーからの検出された生理学的パラメータを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項8]
前記前記デバイスの1つ以上のプロセッサは、異なる位置にある前記センサーのうち少なくとも1つを前記ユーザの位置に基づいて選択するように構成され、前記異なる位置から、生成された生理学的パラメータが受信される、請求項7に記載のシステム。
[請求項9]
前記異なる位置にあるセンサーは、寝室にある第1のセンサーと寝室ではない場所にある第2のセンサーとを含む、請求項7又は8に記載のシステム。
[請求項10]
前記デバイスは、携帯可能であり、前記自動応答によってトリガされる携帯可能アラームと一体化される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項11]
前記1つ以上のプロセッサは、トレンド監視を適用して、前記ユーザの前記慢性疾患の悪化の可能性のある事象を示す前記トリガパターンを決定するように、さらに構成される、請求項1〜10のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項12]
前記トレンド監視は、前記ユーザ以外の人々から導出されたデータを評価することを含む、請求項11に記載のシステム。
[請求項13]
前記トレンド監視は、前記ユーザからの手動入力されたフィードバックに基づいてユーザ特有のトリガを決定することを含む、請求項11又は12に記載のシステム。
[請求項14]
前記1つ以上のプロセッサは、前記複数の生理学的パラメータおよび前記1つ以上の環境パラメータを
教師付き分類システムにより分析するように構成される、請求項1〜13のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項15]
前記1つ以上のプロセッサは、ランダムフォレストを用いた平均デシジョンツリーを適用することにより、前記複数の生理学的パラメータおよび前記1つ以上の環境パラメータを分析するように構成される、請求項1〜13のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項16]
前記デバイスは、前記複数の前記生理学的パラメータのうち少なくとも1つの基準閾値を追跡するようにさらに構成される、請求項1〜15のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項17]
前記複数の生理学的パラメータおよび前記1つ以上の環境パラメータを分析するための前記1つ以上のプロセッサのプロセッサ命令は、ユーザ特有のデータおよび母集団ベースの人口統計学データの一方または両方からの適応型の確率的重み付けに基づいて変更される規則閾値を含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項18]
導出された生理学的パラメータは、呼吸速度、心拍数、血圧、咳シグネチャ、喘鳴、いびき、睡眠障害呼吸、チェーンストークス呼吸、睡眠状態、および皮膚電位応答のうち1つである、請求項1〜17のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項19]
前記1つ以上のプロセッサは、吸気時間、呼気時間、吸気対呼気の時間比、および呼吸波形形状のうち任意の1つ以上を処理して前記トリガパターンを検出するように構成される、請求項1〜18のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項20]
前記1つ以上のプロセッサは、トレンド除去変動解析法(DFA)を適用して日、週、月または年のオーダーの一定期間にわたる前記パラメータの変化を検出することにより、導出された生理学的パラメータを評価するように構成される、請求項18又は19に記載のシステム。
[請求項21]
前記導出された生理学的パラメータは呼吸速度であり、前記適用することは、呼吸速度変動(RRV)の処理を含む、請求項20に記載のシステム。
[請求項22]
前記導出された生理学的パラメータは心拍数であり、前記適用することは、心拍数変動(HRV)の処理を含む、請求項20に記載のシステム。
[請求項23]
前記1つ以上のプロセッサは、HRVデータおよびGSRデータ双方を処理して、交感神経および副交感神経間の活性化のバランスの推定を生成するように構成され、前記バランスは、前記慢性疾患の安定または進行を示す、請求項22に記載のシステム。
[請求項24]
導出された生理学的パラメータは咳シグネチャであり、前記1つ以上のプロセッサは、以下のうち少なくとも1つに基づいて前記咳シグネチャを分類するように構成される:前記咳が痙攣と共に発生しているか、前記咳が乾性または湿性であるか、および前記咳が長引いているか、請求項18〜20のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項25]
前記1つ以上のプロセッサは、喘息、胃食道逆流性疾患、上気道咳症候群のうち1つを前記咳シグネチャの分類に基づいて特定するように構成される、請求項24に記載のシステム。
[請求項26]
前記1つ以上のプロセッサは、前記咳シグネチャと関連付けられたデータと、呼吸信号、心拍数データ、血圧データおよびモーションセンサーデータのうち少なくとも1つとの組み合わせに基づいて前記ユーザの呼吸パターンを追跡するように構成される、請求項24又は25に記載のシステム。
[請求項27]
前記1つ以上のプロセッサは、検出された咳嗽に基づいて睡眠スコアを決定すること、および前記ユーザの前記慢性疾患を悪化させる運動に起因する事象の危険性の変化を推定することを行うように構成される、請求項24〜26のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項28]
前記デバイスは、前記生理学的パラメータのうち少なくともいくつかを日中および夜間に追跡するように構成される、請求項1〜27のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項29]
睡眠時に前記ユーザによって生成された音響音を感知することにより、追跡された生理学的パラメータが追跡される、請求項28に記載のシステム。
[請求項30]
追跡された生理学的パラメータは、検出された睡眠段階時における発生に関連して決定され、前記検出された睡眠段階は、浅い睡眠、深い睡眠およびREM睡眠のうちいずれか1つを含む、請求項29に記載のシステム。
[請求項31]
前記複数の生理学的パラメータおよび環境パラメータは、気候データおよび地理データのうち少なくとも1つに基づいた環境パラメータを含む、請求項1〜30のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項32]
前記デバイスは、前記ユーザおよび他のユーザの一方または両方の医療記録を保存する医療情報システムとインターフェースをとるように構成され、前記複数の生理学的パラメータおよび環境パラメータの分析は、前記ユーザおよび前記他のユーザの一方または両方の前記医療記録からアクセスされたデータに基づいたパラメータ分析を含む、請求項1〜31のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項33]
前記1つ以上のプロセッサは、受信されたかまたはアクセスされた地理データを分析して、前記慢性疾患の悪化について危険性または危険性の変化があるかを決定するように構成される、請求項1〜32のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項34]
前記トリガパターンの検出に基づいた前記自動応答は、前記ユーザの前記慢性疾患を治療するように適合された治療デバイスの利用による治療の適用のための通信を含む、請求項1〜33のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項35]
前記トリガパターンの検出に基づいた前記自動応答は、ユーザに所定の活動を控えるよう伝えるための警告の通信を含む、請求項1〜34のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項36]
前記トリガパターンの検出に基づいた前記自動応答は、ユーザに所定の活動を行う前に前記慢性疾患の治療を行うよう指示するための通信を含む、請求項1〜35のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項37]
前記デバイスは、スマートフォンまたはスマートウォッチを含む、請求項1〜36のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項38]
スマートケースまたはカバーをさらに含み、前記デバイスは、前記デバイスまたは前記モニタの1つを収容するかまたは少なくとも部分的に被覆するかあるいは前記デバイスまたは前記モニタの1つへ結合するスマートケースまたはカバーを検出するように構成される、請求項1〜37のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項39]
前記デバイスは、前記スマートケースが前記デバイスの事前規定された範囲内に無いときにアラートを生成するように構成される、請求項38に記載のシステム。
[請求項40]
前記前記デバイスの1つ以上のプロセッサは、治療、薬物服用量、治療の変更または薬物服用量の変更を前記トリガパターンに基づいて決定するように構成される、請求項1〜39のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項41]
前記自動応答は、前記決定された治療または薬物服用量を管理するための通信を含む、請求項40に記載のシステム。
[請求項42]
前記慢性疾患は慢性呼吸器疾患である、請求項1〜41のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項43]
前記管理される慢性疾患は喘息であり、決定された治療または薬物服用量は、吸入器からの吸入回数と、計量された吸入器上の量とのうち1つである、請求項42に記載のシステム。
[請求項44]
前記慢性疾患はCOPDであり、決定された治療または薬物服用量は、吸入器、ネブライザーおよび酸素補充タンクのうち1つからの治療である、請求項42に記載のシステム。
[請求項45]
前記慢性疾患の悪化の可能性のある事象を示す前記トリガパターンは、喘息疾患を示し、呼吸特徴および心拍数特徴のうちいずれか1つまたは組み合わせに基づき、前記呼吸特徴は、呼吸速度、吸気時間および呼気時間ならびにその比、局所的振幅検出によって評価された呼吸振幅、呼吸速度に関連する個人化された測定基準との比較のうち1つ以上を含み、前記心拍数特徴は、心拍数変動および心拍数に関連する個人化された測定基準との比較のうち1つ以上を含む、請求項41〜43のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項46]
前記慢性疾患は慢性心臓疾患である、請求項1〜40のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項47]
前記慢性疾患の悪化の可能性のある事象を示す前記トリガパターンは、鬱血性心不全疾患を示す、請求項46に記載のシステム。
[請求項48]
前記デバイスは、前記複数の生理学的パラメータおよび環境パラメータのパラメータを受信するための入力インターフェースを含み、前記受信されたパラメータは、運動データ、呼吸データ、心臓データ、皮膚温度データ、皮膚色データ、睡眠質データおよび血圧データ、局所的空中浮遊刺激物データ、局所的季節因子データ、局地的天候データ、および室内環境データのうち任意の1つ以上を含む、請求項1〜47のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項49]
呼吸圧治療デバイスおよび患者インターフェースをさらに含み、前記呼吸圧治療デバイスは、前記慢性疾患の呼吸治療を前記患者インターフェースを介して提供するように構成される、請求項1〜48のいずれか一項に記載のシステム。