(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987043
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】クーラント供給部を有する金属切削工具
(51)【国際特許分類】
B23B 29/12 20060101AFI20211213BHJP
B23B 27/10 20060101ALI20211213BHJP
B23B 29/034 20060101ALI20211213BHJP
B23C 5/28 20060101ALI20211213BHJP
B23C 5/24 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
B23B29/12 Z
B23B27/10
B23B29/034 B
B23C5/28
B23C5/24
【請求項の数】23
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-510805(P2018-510805)
(86)(22)【出願日】2016年6月29日
(65)【公表番号】特表2018-525238(P2018-525238A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】EP2016065138
(87)【国際公開番号】WO2017036630
(87)【国際公開日】20170309
【審査請求日】2019年5月7日
(31)【優先権主張番号】15183143.5
(32)【優先日】2015年8月31日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507226695
【氏名又は名称】サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】フランク, ペーター
【審査官】
中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】
実開平05−016015(JP,U)
【文献】
特開2013−068239(JP,A)
【文献】
米国特許第05330237(US,A)
【文献】
特開2005−034954(JP,A)
【文献】
国際公開第98/055254(WO,A1)
【文献】
実開昭63−103903(JP,U)
【文献】
実開平04−067907(JP,U)
【文献】
特表平03−504472(JP,A)
【文献】
特開2007−111779(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/123359(WO,A1)
【文献】
特表2014−507298(JP,A)
【文献】
特表2014−521528(JP,A)
【文献】
韓国登録特許第10−1500152(KR,B1)
【文献】
米国特許第06302004(US,B1)
【文献】
米国特許第06796207(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0004354(US,A1)
【文献】
韓国公開特許第10−2009−0083696(KR,A)
【文献】
実開昭62−195405(JP,U)
【文献】
特表2012−513314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 27/00−29/34
B23B 35/00−49/06
B23C 1/00−9/00
B23Q 11/00−13/00
B24B 53/00−57/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具本体と、
前記工具本体の開口部内に少なくとも部分的に収容され、調節方向に第1の位置と第2の位置との間で前記工具本体に対して移動可能に配置され、切削刃を有するか、または切削刃を有する切削インサートを支持している
スライダ要素と、
前記工具本体から前記切削刃へクーラントを供給することができるように配置され、前記工具本体内ならびに前記スライダ要素内を通るクーラントチャネルを有する
内部クーラント供給部と
を備える金属切削工具において、
前記工具本体が、前記工具本体の前記クーラントチャネルの出口がそこに配置される第1の封止面を備え、前記内部クーラント供給部の一部であるクーラントチャネルを有し、前記スライダ要素に連結されている移送要素が、前記移送要素の前記クーラントチャネルの入口がそこに配置される第2の封止面を備える、または、
前記内部クーラント供給部の一部であるクーラントチャネルを有し、前記工具本体に連結されている移送要素が、前記移送要素の前記クーラントチャネルの出口がそこに配置される第1の封止面を備え、前記スライダ要素が、前記スライダ要素の前記クーラントチャネルの入口がそこに配置される第2の封止面を備え、
前記第1の封止面と前記第2の封止面とを相互に押し付けることができるクランプ要素が設けられ、それによって、前記工具本体の前記クーラントチャネルの前記出口と前記移送要素の前記クーラントチャネルの前記入口との間、または、前記移送要素の前記クーラントチャネルの前記出口と前記スライダ要素の前記クーラントチャネルの前記入口との間の封密接続が形成され、
解放位置と固定位置との間で移動可能な固定要素が設けられ、前記固定位置では、前記固定要素が、前記スライダ要素と接触し、前記固定要素と前記スライダ要素との間に非直接連結を形成し、前記解放位置では、前記固定要素と前記スライダ要素との間に非直接連結が形成されず、その結果、前記固定位置では、前記スライダ要素と前記工具本体との間のいかなる動きも防止され、
前記移送要素が、前記クランプ要素と共に前記固定要素を形成することを特徴とする、金属切削工具。
【請求項2】
前記工具本体が前記移送要素を備え、前記移送要素の前記クーラントチャネルが入口および出口を備え、前記第1の封止面および前記工具本体の前記出口が、前記移送要素上に配置され、前記移送要素の前記クーラントチャネルの前記出口が、前記工具本体の前記出口となり、前記移送要素の前記クーラントチャネルの前記入口が、前記工具本体の前記クーラントチャネルと接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の金属切削工具。
【請求項3】
前記移送要素の前記クーラントチャネルの前記入口が、前記第1の封止面に配置され、前記クランプ要素が、前記クランプ要素によって前記第1の封止面を前記工具本体にも押し付け可能なように適合されていることを特徴とする、請求項2に記載の金属切削工具。
【請求項4】
封止要素が、前記移送要素と前記工具本体との間、および/または前記移送要素と前記スライダ要素との間に配置され、前記封止要素が、前記移送要素の前記入口と前記工具本体の前記クーラントチャネルとの間、および/または前記移送要素の前記出口と前記スライダ要素の前記クーラントチャネルの前記入口との間それぞれに、封密接続を形成することを特徴とする、請求項2または3に記載の金属切削工具。
【請求項5】
前記封止要素が、少なくとも1つのOリングであることを特徴とする、請求項4に記載の金属切削工具。
【請求項6】
前記Oリングが、前記移送要素に設けられ前記出口を取り巻く対応する溝内に配置される、請求項5に記載の金属切削工具。
【請求項7】
前記移送要素が、前記工具本体の開口部内に配置される円筒体または実質的な円筒体であることを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の金属切削工具。
【請求項8】
前記移送要素が、前記第1の封止面を形成する平坦化面を有する外側セクションを有し、前記第2の封止面が、前記スライダ要素に配置された平坦化面であり、前記工具本体の前記開口部が、対応する平坦化面を備え、前記移送要素の前記平坦化面と前記スライダ要素の前記平坦化面、および前記移送要素の前記平坦化面と前記工具本体の前記開口部の前記平坦化面とが、相互に対面している、請求項7に記載の金属切削工具。
【請求項9】
前記移送要素の前記円筒体または前記実質的な円筒体の軸と前記調節方向とが、0°より大きい角度を形成していることを特徴とする、請求項7または8に記載の金属切削工具。
【請求項10】
前記移送要素の前記円筒体の軸と前記調節方向とが、50°より大きい角度を形成していることを特徴とする、請求項9に記載の金属切削工具。
【請求項11】
前記移送要素の前記円筒体の軸と前記調節方向とが、75°より大きい角度を形成していることを特徴とする、請求項10に記載の金属切削工具。
【請求項12】
前記工具本体が2つの部品を備え、前記工具本体の第1の前記部品が、機械に連結するためのシャフトを有し、前記工具本体の第2の前記部品が、少なくとも2つの異なる位置で前記工具本体の前記第1の部品に装着可能であり、前記クーラント供給部の前記クーラントチャネルが、前記工具本体の少なくとも前記第2の部品内を通ることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の金属切削工具。
【請求項13】
前記工具が、2つのねじ部を有する駆動シャフトを備え、前記スライダ要素および前記工具本体それぞれが、個々のねじ部を有し、前記駆動シャフトの第1の前記ねじ部が、前記スライダ要素の前記ねじ部と協働し、前記駆動シャフトの第2の前記ねじ部が、前記本体の前記ねじ部と協働し、それによって、前記駆動シャフトがその軸周りに回転させられると、前記スライダ要素が、前記調節方向に前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記本体に対して移動させられることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の金属切削工具。
【請求項14】
前記工具が、前記移送要素と接触するように移動可能に配置された位置決め装置を備え、前記工具本体が、弾性要素を備え、前記弾性要素が、前記位置決め装置が前記移送要素と接触するように移動させられると、前記移送要素が前記弾性要素に押し付けられるように、配置されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の金属切削工具。
【請求項15】
前記弾性要素が、ゴムボールである、請求項14に記載の金属切削工具。
【請求項16】
前記位置決め要素、前記弾性要素、および前記移送要素が、前記調節方向に垂直な位置決め方向に前記移送要素が前記弾性要素に押し付け可能になるように、寸法設定されている、請求項14または15に記載の金属切削工具。
【請求項17】
前記工具が、前記工具本体の前記開口部内での前記スライダ要素の回転を防止するために前記スライダ要素と接触するように移動可能な回転防止要素を備えることを特徴とする、請求項13に従属する場合の請求項14に記載の金属切削工具。
【請求項18】
前記回転防止要素が、同時に前記位置決め装置としても働く、請求項17に記載の金属切削工具。
【請求項19】
前記回転防止要素が、楔形セクションを備え、前記回転防止要素が移動させられると、前記楔形セクションが前記移送要素に押し付けられ、その結果、前記移送要素が、前記弾性要素に押し付けられる、請求項17または18に記載の金属切削工具。
【請求項20】
前記クランプ要素が、前記工具本体のねじ孔内を導かれて前記移送要素上に衝止するクランプスクリュである、請求項1に記載の金属切削工具。
【請求項21】
前記スライダ要素が、雌ねじを有する前記スライダ要素の前記クーラントチャネルに挿入される、雄ねじを有するノズル要素を備え、前記ノズル要素が、断面積が減少する内側チャネルを有することを特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載の金属切削工具。
【請求項22】
前記ノズル要素の外側が、ねじセクションと、非円形断面、たとえば6角形の断面を有するハンドリングセクションとを備えることを特徴とする、請求項21に記載の金属切削工具。
【請求項23】
前記金属切削工具が、ボーリング工具またはフライス工具であることを特徴とする、請求項1から22のいずれか一項に記載の金属切削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具本体と、工具本体の開口部内に少なくとも部分的に収容され、調節方向に第1の位置と第2の位置との間で工具本体に対して移動可能であり、切削刃を有するか、または切削刃を有する切削インサートを支持しているスライダ要素と、工具本体から切削刃へクーラントを供給することができるように配置されている内部クーラント供給部とを備える金属切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような機械加工工具はずっと以前から知られている。たとえば、工具本体を有し、その工具本体の端部に、工具本体に対して調節可能なスライダ要素が設けられ、そのスライダ要素が半径方向に移動可能であるボーリング工具が知られている。スライダ要素は、機械加工される被削物に直接接触するようになされた切削部、または切削ビットを受け持つための取付座のどちらかを有する。
【0003】
工具本体内に内部クーラント供給部を設けることは頻繁に行われ、その内部クーラント供給部は、一方の端部でクーラントポンプに接続され、他方の端部で工具本体の開口に接続され、その開口にはノズルが挿入されている。ノズルは、クーラントの噴霧が切削刃に当たるように向けられ、または偏向されている。切削刃がスライダ要素に配置されているので、切削刃は、スライダ要素と共に、工具本体および工具本体上のノズルに対して移動可能になる。これは、切削刃の全ての位置で切削刃にクーラントを供給するために、噴霧が広い領域をカバーする必要があることを意味する。言い替えれば、切削刃がスライダ要素上の固定位置に配置されているにも拘らず、噴霧は、切削刃の全ての位置をカバーするように方向づけられ、または偏向される。
【0004】
噴霧流の方向が、切削インサートのいかなる位置でも切削刃に向かって最適に集中するわけではないので、必要以上のクーラントを、ノズルを通してポンプ供給する必要がある。
【0005】
したがって、クーラントチャネルをスライダ要素内にも設け、それによって、対応するノズルを挿入することができるチャネルの出口開口を、切削刃のより近くに、切削刃に対して固定された関係で設けることができることが望ましい。すなわち、切削刃はスライダ要素上に配置されているので、切削刃は、スライダ要素が移動するとき、開口と共に移動する。それによって、開口と切削刃との関係位置が、常に一定になる。したがって、噴霧を、切削刃を包囲する狭い範囲に向けることができる。
【0006】
WO2012/123359A1は、切削流体を切削具に噴出するノズルを有する孔内切屑切断式機械加工用の装置を開示する。ノズルは、切削具ヘッドと連結され、切削流体は、チューブを介して切削具ヘッドに供給される。チューブは、切削具ヘッドに対して摺動する。この構成は、チューブと切削具ヘッドとの間の摺動機構が、漏洩せずに長期にわたって高圧流体に耐えることができないので、切削刃を冷却し、切屑を洗い流すために高圧下のクーラントを切削刃に供給する必要がある用途には使用することができない。
【0007】
説明された現状技術に基づき、したがって、本発明の目的は、高圧のクーラントをクーラントチャネルを通して導く必要のある用途にも使用することができる改良されたクーラント供給部を有する、本明細書の冒頭に述べた種類の金属切削工具を提供することである。
【発明の概要】
【0008】
本発明によれば、この目的は、工具本体、または、内部クーラント供給部の一部であるクーラントチャネルを有し、工具本体に連結されている移送要素が、工具本体のクーラントチャネルの出口がそこに配置される第1の封止面を備え、スライダ要素、または、内部クーラント供給部の一部であるクーラントチャネルを有し、スライダ要素に連結されている移送要素が、スライダ要素のクーラントチャネルの入口がそこに配置される第2の封止面を備え、第1の封止面と第2の封止面とを相互に押し付けることができるクランプ要素が設けられ、それによって、工具本体のクーラントチャネルの出口とスライダ要素のクーラントチャネルの入口との間の封密接続が形成されることによって達成される。
【0009】
たとえば、クランプ要素は、工具本体のねじ孔内を導かれてスライダ要素上に衝止するクランプスクリュであり得る。クランプスクリュを回すことによって、スライダ要素の第2の封止面が工具本体の第1の封止面に押し付けられる。
【0010】
2つの封止面を相互に押し付けることができるクランプ要素を設けるという本発明の対策によって、工具本体とスライダ要素との間に封密接続を形成することができる。
【0011】
好ましい実施形態によれば、工具本体が移送要素を備え、移送要素のクーラントチャネルが入口および出口を備え、第1の封止面および工具本体の出口が、移送要素上に配置され、移送要素のクーラントチャネルの出口が、工具本体の出口となり、移送要素のクーラントチャネルの入口が、工具本体のクーラントチャネルと接続されている。
【0012】
移送要素は、あらゆる考え得る手段によって工具本体に連結することができる。工具本体と移送要素とを一体に形成することもさらに可能である。その場合、移送要素は、撓み易くまたは柔軟であり、それによって、移送要素をスライダ要素に容易に押し付けることができる。
【0013】
この実施形態では、クランプ要素は、移送要素上の第1の封止面をスライダ要素の第2の封止面に押し付けている。それによって、移送要素の出口とスライダ要素のクーラントチャネルの入口との間に封密接続を形成することができる。
【0014】
たとえば、スライダ要素のクーラントチャネルの入口と移送要素のクーラントチャネルの出口を互いに向かい合わせて配置することができ、それによって、それらスライダ要素と移送要素とが互いに強固に押し付けられると、封密接続が確立される。
【0015】
上記のように、クランプ要素は、工具本体のねじ孔内を導かれて移送要素上に衝止するクランプスクリュであり得る。別の実施形態では、クランプ要素は、工具本体と移送要素との間に配置され移動可能な楔であり、その結果、楔を移動させることによって、楔が移送要素に加える力を変化させることができる。
【0016】
好ましい実施形態によれば、移送要素および工具本体は、協働する封止面を備え、それら封止面は、それぞれ、移送要素の入口および工具本体のクーラントチャネルの開口を擁する。入口および開口を有するそれら封止面同士は、第1の封止面および第2の封止面が互いに押し付けられると、移送要素および工具本体の対向する封止面同士も互いに押し付けられるように、配置されている。それによって、移送要素と工具本体との間の封密流体接続が形成される。
【0017】
移送要素の入口および出口は、同じ封止面に配置され得る。
【0018】
有利には、封止要素が、移送要素と工具本体との間、および/または移送要素とスライダ要素との間に配置され、封止要素が、移送要素の入口と工具本体のクーラントチャネルとの間、および/または移送要素の出口とスライダ要素のクーラントチャネルとの間それぞれに、封密接続を形成する。
【0019】
たとえば、封止要素はOリングでもよく、そのOリングは、好ましくは、移送要素に設けられた対応する溝内に配置される。たとえば、その溝は出口を取り巻くことができる。さらに別の好ましい実施形態では、入口を取り巻くさらに別の封止要素が設けられる。溝は、スライダ要素および/または工具本体に設けてもよい。
【0020】
封止要素を用いることによって、封密接続を得るために移送要素をスライダ要素に押し付ける必要のある押付力を軽減することができる。
【0021】
好ましい実施形態では、封止要素は、移送要素の出口およびスライダ要素のクーラントチャネルの入口を取り囲むように配置される。具体的には、封止要素は、スライダ要素のクーラントチャネルの入口が、スライダ要素の実際の位置に関係なく、封止要素の内周によって確定される境界線内に留まるように、封止接触面に沿って十分な間隔を空けて出口および入口それぞれを取り巻くことができる。
【0022】
移送要素は、工具本体の開口部内に配置される円筒体または実質的な円筒体であり得る。たとえば、移送要素は、工具本体内に設けられた穴内に配置されている円筒体であり得る。そのような実施形態では、クーラントチャネルが、円筒体内に軸方向に配置され得、出口および好ましくは入口も外周に配置される。
【0023】
移送要素は、第1の封止面を形成する、円筒面を平坦化したセクションをもつ外側セクションを有する実質的な円筒体であり得る。スライダ要素が、第2の封止面を形成する対応する平坦化面を備え、その第2の封止面にスライダ要素のクーラントチャネルの入口が配置される。好ましくは、移送要素を収容する工具本体の開口部の断面は、開口部が対応する平坦化面を備えるので、移送要素の断面に適合する。工具本体開口部のこの平坦化面は、工具本体のクーラントチャネルの開口が配置されている、協働する封止面の1つを構成する。
【0024】
移送要素の平坦化面とスライダ要素の対応する平坦化面および工具本体の開口部の対応する平坦化面とが相互に対面し、その結果、関連する要素のクーラントチャネルの封密接続を形成するために、クランプ要素を用いて、平坦化面同士を互いに押し付けることができる。
【0025】
移送要素の円筒体または実質的な円筒体の軸とスライダ要素の調節方向とが、0°より大きく、好ましくは50°より大きく、最も好ましくは75°より大きい角度を形成する。好ましい実施形態では、その角度は90°である。
【0026】
工具本体が、2つの部品を備え得、工具本体の第1の部品は、機械に連結するためのシャフトを有し、工具本体の第2の部品は、少なくとも2つの異なる位置で工具本体の第1の部品に装着可能であり、クーラント供給部のクーラントチャネルが、工具本体の少なくとも第2の部品内を通る。
【0027】
さらに別の好ましい実施形態では、工具が、2つのねじ部を有する駆動シャフトを備え、スライダ要素および工具本体それぞれが、個々のねじ部を有し、駆動シャフトの第1のねじ部が、スライダ要素のねじ部と協働し、駆動シャフトの第2のねじ部が、本体のねじ部と協働し、それによって、駆動シャフトがその軸周りに回転させられると、スライダ要素が、調節方向に第1の位置と第2の位置との間で本体に対して移動させられる。
【0028】
そのような機構によって、駆動シャフトの回転が、工具本体に対する駆動シャフトの直進運動を生じる。したがって、工具本体に対するスライダ要素の相対移動は、一方のスライダ要素と駆動シャフトとの相対移動と、他方の駆動シャフトと工具本体との相対移動とを足し合わせることによって決定される。
【0029】
そのような好ましい実施形態では、工具は、さらに、スライダ要素と接触するように移動可能な回転防止装置を備え、それによって、スライダ要素がその回転軸周りに工具本体の開口部内で回転するのを防止し、その回転軸はスライダ要素のねじ部の軸でもある。具体的には、スライダ要素が、工具本体内の中ぐり孔内に配置されている円筒形をもつセクションを有する場合、そのような回転防止要素は、この円筒セクションの軸周りにスライダ要素が回転することを防止するのに有効である。たとえば、回転防止要素は、スライダ要素の陥凹に挿入することができる係止部材を有し得る。この陥凹は、スライダ要素の外面の溝であり得る。
【0030】
好ましい実施形態では、移送要素と接触するように移動可能である位置決め装置が設けられ、工具本体が、位置決め方向で移送要素が弾性当接を形成する弾性要素、好ましくはゴムボールを備える。移送要素を位置決めするために、移送要素が、移送要素と接触するように移動させられたときの位置決め装置を用いて、弾性要素に押し当てられる。たとえば、位置決め要素および弾性要素は、移送要素のクーラントチャネルの入口と工具本体のクーラントチャネルの開口、ならびに移送要素のクーラントチャネルの出口とスライダ要素のクーラントチャネルの入口とが、クーラント移送接触面を形成するそれらそれぞれの封止面上で互いに向かい合って配置される位置に、移送要素を軸方向に沿って移動させることができるように配置することができる。
【0031】
次いで、クランプ装置が封止面同士を押し合わせることによって、クーラントチャネルの封密接続を達成することができる。
【0032】
移送要素を所望の位置(位置決め方向で)に設定した後であっても、移送要素を、クランプ要素によってさらに移動させて工具本体およびスライダ要素に押し付けることができるので、弾性要素を使用して一種の浮動支持を設ける。
【0033】
好ましくは、位置決め要素、弾性要素、および移送要素が、調節方向に垂直な封止方向に沿い工具本体およびスライダ要素に向かって移送要素を弾性要素に押し付け可能になるように、寸法設定されている。
【0034】
さらに好ましい実施形態では、回転防止要素が、さらに位置決め装置として使用され、好ましくは、回転防止要素が、楔形セクションを備え、回転防止要素が移動させられると、楔形セクションが移送要素に押し付け可能になり、その結果、移送要素が、弾性要素に押し付けられる。
【0035】
位置決め装置および、したがって、楔形セクションは、移送要素の軸に垂直に移動させることができ、その結果、位置決め装置を移動させることによって、楔形セクションが、移送要素の端面に押し付けられ、それによって、移送要素が軸方向に位置決めされる。たとえば、位置決め装置は、工具本体内の穴の中に配置することができ、工具本体の対応する雌ねじに係合するねじセクションを有し得、それによって、位置決め装置のねじセクションを回すと、楔形セクションが移動する。
【0036】
言い替えれば、移送要素が、弾性要素と回転防止要素の楔形セクションとの間に固締され、その結果、楔形セクションを移動させることによって、工具本体およびスライダ要素に対する移送要素の軸方向位置を調節することができる。
【0037】
さらに別の好ましい実施形態では、解放位置と固定位置との間で移動可能な固定要素が設けられる。固定位置では、固定要素が、スライダ要素と接触し、固定要素とスライダ要素との間に非直接連結を形成する。解放位置では、固定位置とスライダ要素との間に非直接連結が形成されない。したがって、固定位置では、スライダ要素と工具本体との間のいかなる動きも防止される。
【0038】
具体的には、スライダ要素が、ねじ部を有する駆動シャフトによって駆動される場合、駆動シャフトとスライダ要素との間に僅かな軸方向バックラッシュが存在する。スライダ要素を固定位置に止めるために、固定要素が使用される。
【0039】
スライダ要素が所望の位置に動かされた後、固定要素がスライダ要素に押し付けられ、その結果、固定位置では、駆動シャフトを回転させることによってスライダ要素を工具本体に対して移動させることはできない。スライダ要素を別の位置に動かしたい場合は、先ず、固定要素を解除する必要があり、その結果、次いで、スライダ要素を所望の位置に動かすことができる。
【0040】
たとえば、この固定要素は、スライダ要素を工具本体のねじセクションに押し付けることができる。その後、スライダ要素は、調節方向に移動させることができない。
【0041】
この方策によって、切削刃(したがってさらにスライダ要素)に作用する機械加工力は、全く、駆動シャフトには作用せず、固定要素を介して工具本体に伝達される。
【0042】
さらに好ましい実施形態では、固定要素が、移送要素およびクランプ要素を備え、好ましくは、クランプ要素がクランプスクリュであり、そのクランプスクリュが、工具本体のねじ孔内を導かれて移送要素上に衝止する。スクリュが回されると、移送要素がスライダ要素に押し付けられ、そのスライダ要素がさらに工具本体に押し付けられ、それによって、一方のスライダ要素と他方の工具本体との間に非直接連結が形成される。
【0043】
言い替えれば、移送要素はクランプ要素と共に、2つの機能を有する。第1の機能は、工具本体のクーラントチャネルとスライダ要素のクーラントチャネルとの間に封密接続を形成することであり、第2の機能はスライダ要素の固締を行うことである。クランプスクリュを回転させると、スライダ要素が確実に固締され、工具本体のクーラントチャネルとスライダ要素のクーラントチャネルとの間の接続が確実に封密になる。
【0044】
さらに別の好ましい実施形態では、スライダ要素が、スライダ要素のクーラントチャネルの雌ねじを有する開口に挿入される、雄ねじを有するノズル要素を備える。ノズル要素は、クーラント流の方向に断面積が減少する内側チャネルを有する。
【0045】
さらに、ノズル要素の外側が、雄ねじを有するねじセクションと、非円形断面、たとえば6角形の断面が設けられたハンドリングセクションとを備え、そのハンドリングセクションは、ノズル要素を開口にねじ込む工具のための対象面を提供することを目的とする。従来技術のノズル要素とは対照的に、内部チャネルが、ねじセクションを越えて突出し、したがって、スライダ要素を越えて突出する。
【0046】
この方策によって、ノズル要素の出口は、切削刃にさらに極めて接近させて配置することができる。
【0047】
本発明のさらなる利点、特徴、および可能な用法が、好ましい実施形態に関する以降の説明および添付の図から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】本発明による金属切削工具の第1の実施形態の側面図である。
【
図6】移送要素を伴うスライダ要素の透視図である。
【
図8a】
図8に示された移送要素を別の方向から示した図である。
【
図8b】
図8に示された移送要素の別の方向から示した図である。
【
図8c】
図8に示された移送要素の別の方向から示した図である。
【
図9a】
図9による移送要素を別の方向から示した図である。
【
図9b】
図9による移送要素を別の方向から示した図である。
【
図9c】
図9による移送要素を別の方向から示した図である。
【
図10】機械加工工具の第2の発明実施形態の側面図である。
【
図11】
図10の実施形態の工具本体の一部品の上面図である。
【
図12a】従来技術のノズル要素および本発明によるノズル要素の図である。
【
図12b】従来技術のノズル要素および本発明によるノズル要素の図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1は、金属切削工具1の第1の実施形態の側面図である。金属切削工具1は、金属切削工具を工作機械に取り付けることができるシャフト3を有する工具本体2を備える。工具本体2内に、切削刃を有する切削インサート5を支持するスライダ要素4、6が設けられている。
【0050】
図2は、
図1に示された実施形態の底面図である。
図3〜5は、
図2に定義された線A−A、B−B、およびC−Cそれぞれに沿った様々な断面図である。線A−A、B−B、およびC−Cは、スライダ要素の第1および第2の部品内(
図4および5)、および移送要素内(
図3)のクーラントチャネルを見ることができるように、配置されている。
【0051】
図4で見ることができるように、スライダ要素4、6は2つの部品を備え、一方の部品6は、工具本体2の開口部内に収容され、第2の部品4は、第1の部品に連結され、切削刃を有する切削インサート5を支持している。さらに、調節スクリュ26を用いて回転させることができる駆動シャフト16がある。駆動シャフト16が2つのねじ部を有し、スライダ要素の第1の部品6および工具本体2それぞれが個々のねじ部を有し、駆動シャフト16をその軸周りに回転させると、スライダ要素4、6を、本体2に対して第1の位置と第2の位置との間で移動させることができるように、駆動シャフト16の第1のねじ部が、スライダ要素4、6のねじ部と協働し、駆動シャフト16の第2のねじ部が、工具本体2のねじ部と協働する。スライダ要素4、6の第1の部品6が工具本体2の開口部内で回転するのを防止するために、
図3に見ることができるように、回転防止要素11が設けられている。この回転防止要素11は、スライダ要素4、6の第1の部品6の平坦化された面と接する楔形セクションを有する。工具本体2内に、クーラントチャネル8が設けられている。工具本体2からスライダ要素内の対応するクーラントチャネル10にクーラントを流し込むために、移送要素7が設けられている。移送要素7は、可撓性ゴムボール12と回転防止要素11の楔形セクションとの間に配置される。
【0052】
図5は、
図2の線C−Cに沿った断面図である。スライダ要素の第2の部品4は、スライダ要素の第1の部品6の内部クーラントチャネル10と接続された内部クーラントチャネル17を備える。
【0053】
図6および7は、それぞれ、スライダ要素4、6の透視図および側面図であり、移送要素7および回転防止要素11を伴う。見られるように、スライダ要素4、6の第1の部品6は、回転防止要素11の楔形セクションと接する平坦化セクションと、移送要素7と接するさらに別の平坦化セクションとを有する。この実施形態で使用される移送要素が、
図9および
図9a〜9cに示されている。この移送要素は、内部チャネル9、入口23、および出口22を有する。さらに、円形溝19、20が、開口22、23を取り巻いている。移送要素7の製作を補助するために、穴21が設けられ、その穴を通してチャネル9を製作することができる。製造後使用される前に、穴21は、対応するプラグによって塞がれる。
【0054】
図3に見られるように、移送要素は、工具本体2のクーラントチャネル8をスライダ要素4、6のクーラントチャネル10に接続している。封密接続を形成するために、Oリングが、円形溝19、20内に用いられる。さらに、移送要素7上に衝止するクランプスクリュ14が設けられている。クランプスクリュ14を回転させることによって、移送要素7を工具本体2およびスライダ要素4、6に押し付け、それによって、Oリングを圧縮することができる。見られるように、クランプスクリュ14は、工具本体2のクーラントチャネル8の方よりもスライダ要素4、6のクーラントチャネル10の方の近く配置され、その結果、クランプ力の大半が、移送要素とスライダ要素との間で発生する。この好ましい実施形態では、移送要素の役割は、工具本体とスライダ要素との封密接続を形成するだけではなく、工具本体2に対するスライダ要素4、6の軸方向移動を全く防止するために固定機能を果たすことでもあるので、クランプ力の大半が移送要素を介してスライダ要素へ伝われば、利点になる。
【0055】
スライダ要素4、6は、2つの位置間で半径方向に移動させることができ、各位置で移送要素7に封密接続を行わせるので、この好ましい実施形態では、出口22は細長い孔である。代替形態として、出口の直径を、スライダ要素のクーラントチャネルの入口の直径より大きくすることができる。
【0056】
移送要素の出口の直径、または調節方向での出口の拡張幅は、好ましくは、スライダ要素の第1の位置と第2の位置との距離より大きい。
【0057】
この実施形態の製造を補助するために、工具本体2は、1対の穴を備え、それら穴は、移送要素が工具本体2内に配置された後、キャップ13、15によって閉じることができる。
【0058】
移送要素7を設けることによって、クーラントを工具本体2からスライダ要素4、6へ流し込むことができる。スライダ要素内で、クーラントチャネル10は、スライダ要素4、6の第2の部品に設けられたクーラントチャネル17と接続され、クーラントチャネル17は、対応するノズルを挿入することができる開口18を終端とする。開口18は切削インサート5に近く、開口18と切削インサート5との間の相対的移動は不可能であり、その結果、開口18に挿入された対応するノズルを用いて、極めて効果的なクーラントの噴霧を行うことができる。ノズルをスライダ要素上に配置することによって、スライダ要素の位置が変化したとき、切削刃とノズルとの距離が変化することがない。
【0059】
図9、9a〜9cに示される移送要素の第1の実施形態では、移送要素は、段付きの盲穴21、9を有する円筒棒材から製作される。段付き盲穴の外側セクション21は、プラグ(図示せず)によって閉じられる。段付き盲穴の内側セクション9は、入口23および出口22に接続される内部クーラントチャネルを形成する。さらに、移送要素7の一方の側面27は、工具本体2およびスライダ要素4、6のクーラントチャネル8、10に接続するための封止面を形成するために、平坦化されている。さらに、反対側の側面に平坦化セクション28が設けられ、それによって、クランプスクリュ14に対応する支持面が使用できるようになる。ただし、穴21、9ならびに平坦化された部分およびセクションに起因して、移送要素は、十分な安定性を得るために比較的大きく構成する必要がある。
【0060】
図8、8a〜8cには、移送要素7’の第2の代替実施形態が示される。この実施形態は、3Dプリンティングによって製造することができる。
【0061】
この実施形態を製造するコストは、移送要素の第1の実施形態を製造するコストより僅かに高いが、多くの場合この実施形態は、盲穴が必要なく、移送要素7’内のクーラントチャネル9の断面が
図8bに見られるように円形でなくてよいために、移送要素をより小さく構成することができるので、より好適である。
【0062】
図10では、金属切削工具1’の第2の実施形態の側面図が示される。この実施形態では、工具本体が、2つの部品24、25を備える。第1の部品25は、機械に連結するためのシャフト3を有する。第2の部品24は、少なくとも2つの異なる位置で第1の部品に装着することができる。前の実施形態と同様に、工具本体の第2の部品24内に、切削インサート5を支持するスライダ要素4、6が設けられている。
【0063】
工具本体の第2の部品24の上面図および断面図を示す
図11および11aに見られるように、対応する移送要素7が、工具本体の第2の部品24内に配置されている。移送要素7の機能は、前の実施形態での移送要素7の機能と同一である。
【0064】
クーラントを効率的に切削刃に導くために、クーラントチャネルの出口にノズルをねじ込むことは珍しくない。従来技術のノズルが
図12aに示される。この既知のノズルは、断面積が減少する内部チャネル29(図示せず)を有し、その断面積は、6角ソケット31(図示せず)を形成するために、排出開口で拡大される。このノズルの外面には、ねじセクション30が設けられている。対応する6角キーを用いて、ノズルをクーラントチャネルの出口にねじ込むことができる。
【0065】
本発明による別の実施形態が
図12bに示される。このノズル要素は、クーラント流の方向に断面積が減少する内部チャネル29(図示せず)を有する。
【0066】
さらに、ノズル要素の外側は、ねじセクション30および6角外形32を有するハンドリングセクションを備える。従来技術のノズル要素とは対照的に、ノズルがスライダ要素のクーラントチャネルの出口に挿入されたとき、内部チャネルが、ねじセクションを越えて突出し、したがって、スライダ要素を越えて突出している。
【0067】
言い替えれば、12aに示された実施形態では、6角ソケットがノズル要素の内側に設けられているので、ノズル出口が、ノズル要素内部になるが、
図12bに示された実施形態では、6角ソケットはなく6角外形があるので、ノズル出口は、スライダ要素を越えて突出することができる。
【0068】
本発明によれば、工具本体からスライダ要素内への改良されたクーラント供給が可能になる。工具の組立に関しては、スライダ要素4、6を、駆動シャフト16と共に、工具本体2の穴内に装着する(
図3参照)。次のステップで、移送要素7を、ゴムボール12に接触するように該当する穴に挿入する。次いで、回転防止要素11を挿入する。回転防止要素11は、楔形セクションと、工具本体のねじセクションに係合する調節スクリュとを備える。調節スクリュを回転させることによって、楔形セクションを、工具軸に垂直に移動させることができる。回転防止要素11を移動させることによって、楔形セクションが、スライダ要素の第1の部品6ならびに移送要素7と接触する。スライダ要素と接触させることによって、工具本体内での円筒形スライダ要素のいかなる回転も防止される。
【0069】
移送要素7と接触させることによって、移送要素が軸方向に移動させられ、その結果、移送要素がゴムボール12に押し付けられる。ゴムボール12、移送要素7、および楔形セクションの寸法は、回転防止要素11が、スライダ要素のいかなる回転も防止する楔止位置にある場合に、移送要素のクーラントチャネルの入口と工具本体のクーラントチャネルの出口、ならびに移送要素のクーラントチャネルの出口とスライダ要素のクーラントチャネルの入口とが、それぞれ、相互に対向して配置される位置を、移送要素が、占めるように、選択されている。
【0070】
前記状況において、移送要素は、スライダ要素および工具本体上に遊動的に載り、その結果、調節方向でのスライダ要素の移動が可能なままである。スライダ要素が、調節方向の所望位置に移動させられた後、クランプ装置、すなわちクランプスクリュ14が回される。それにより、移送要素が、スライダ要素に押し付けられ、それによって、クーラントチャネルの封密接続が確立されるのみでなく、スライダ要素も固定されることによって、引き続く機械加工工程におけるバックラッシュが全く無くなり、駆動シャフトの負荷が軽減する。
【0071】
スライダ要素を調節方向に移動させたい場合、先ず、スライダ要素が固定状態ではなくなるように、クランプ装置を緩める必要がある。
【符号の説明】
【0072】
1 機械加工工具
2 工具本体
3 シャフト
4、6 スライダ要素
5 切削インサート
7、7’ 移送要素
8、10、17 クーラントチャネル
9 内部チャネル
11 回転防止要素
12 ゴムボール
13、15 キャップ
14 クランプスクリュ
16 駆動シャフト
18;22、23 開口
19、20 溝
21、9 穴
24 工具本体の第2の部品
25 工具本体の第1の部品
26 調節スクリュ
27 移送要素の一方の側面
28 平坦化セクション
29 内部チャネル
30 ねじセクション
31 6角ソケット
32 6角外形