【文献】
社団法人日本電子機械工業会,改訂医用超音波機器ハンドブック,改訂版第1刷,1997年01月20日,p.124-125
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ドップラーデータ(612、614)および前記超音波撮像データは、前記超音波プローブ(126)によって取得される場合にインターリーブされる、請求項1に記載の方法。
前記選択ドップラーゲートの前記対応するスペクトル波形の枠から速度時間積分(VTI)を計算するステップであって、VTI及び断面積(CSA)が心拍出量を計算するために使用される、ステップと、をさらに備える、請求項1に記載の方法。
前記患者の身長、体重、または性別の少なくとも1つに基づいて前記LVOTの断面積を受信するステップであって、前記LVOTの前記断面積(CSA)が前記心拍出量を計算するために使用される、受信するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
前記選択ドップラーゲートの前記スペクトル・データ・セットに基づいて、選択スペクトル波形内に第1のピークおよび第2のピークがいつ生じたかを判定するステップと、前記第1のピークおよび前記第2のピークがいつ発生したかに基づいて心拍数を計算するステップであって、前記心拍数が前記心拍出量を計算するために使用される、計算するステップと、をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特定の実施形態についての以下の詳細な説明は、添付の図面と共に読むと、より良く理解されよう。図面が様々な実施形態の機能モジュールの図を示す程度まで、機能ブロックは必ずしもハードウェア回路間の分割を示しているわけではない。したがって例えば、機能ブロック(例えば、プロセッサまたはメモリ)のうちの1つまたは複数は、単一の器具(例えば、汎用信号プロセッサまたはランダムアクセスメモリ、ハードディスクなどのブロック)で実現することができる。同様に、プログラムは、スタンドアロン型プログラムとしてもよく、オペレーティングシステムにサブルーチンとして組み込んでもよく、およびインストールしたソフトウェアパッケージ内の機能としてもよい。様々な実施形態は、図面に示す配置および手段に限定されないことを理解すべきである。
【0011】
本明細書で使用する場合、単数形で書かれた要素またはステップおよび単語「1つの(a)」もしくは「1つの(an)」が前に付く要素またはステップは、例外であることが明示されない限り、前記要素またはステップが複数である可能性を除外しないことを理解すべきである。さらに、本発明の「一実施形態」という言及は、記載した特徴を含む追加の実施形態の存在を除外すると解釈されるべきではない。さらに、明示的に反対のことが言及されない限り、特定の特性を有する一要素または複数の要素を「備える(comprising)」または「有する(having)」実施形態は、その特性を有さない、追加の要素を含む可能性がある。
【0012】
様々な実施形態は、マルチゲート・パルス・ドップラー・モードの間に患者の複数のパルス波(PW)ドップラーゲートを取得することによって、患者の心拍出量を測定するためのシステムおよび方法を提供する。このモードでは、超音波プローブは、10cmなどの標準的な深さの左心室流出路(LVOT)で数センチメートル(cm)をカバーする広いビームプロファイルおよび複数の並列受信ビームフォーミングで送信するよう構成される。マルチゲート・パルス・ドップラー・モードは、関心領域(例えば、LVOT)内の領域または位置に対するスペクトルデータ(例えば、スペクトル波形)に対応する複数のドップラーゲート(例えば、100以上)の形態のPWドップラーデータを提供する。PWドップラーデータは、ドップラーゲートによって画定された領域内で動く組織または体液、例えば、血液の速度を示すために使用することができる。マルチゲートドップラーに対応する超音波プローブからの送信は、組織撮像(例えば、Bモード)のための送信とインターリーブされ、生きた組織撮像がPWドップラーゲート取得と同時に、および/または並行して、継続することを可能にすることができる。
【0013】
様々な実施形態では、選択ゲートは、各ドップラーゲートのスペクトル波形の1つまたは複数の特性に基づいて、複数のドップラーゲートから自動的に選択される。例えば、1つまたは複数の特性は、スペクトル波形の持続時間、速度方向、ピーク速度、スペクトル波形のパワー、および/またはスペクトル波形中の速度の変化などに対応することができる。速度時間積分(VTI)および/または心拍数は、選択されたドップラーゲートからの様々な実施形態によって計算することができる。任意選択的に、LVOTの断面積(CSA)は、患者の心拍出量を計算するために収縮期VTIおよび心拍数と共に使用することができる、患者の身長、体重、および性別から推定することができる。さらに、またはあるいは、CSAは、組織画像(例えば、傍胸骨長軸、すなわち、PLAXビューにおける組織画像)からLVOTをセグメント化および/または識別することによって自動的にまたは手動で測定され得、および/または関心領域内の複数のドップラーゲートに対するスペクトル波形(例えば、速度、パワー)の変化によって推定され得る。
【0014】
少なくとも1つの実施形態の技術的効果は、複数のユーザの技術専門知識を用いて患者の心拍出量を判定する際の速度および精度を向上させること含む。少なくとも1つの実施形態の技術的効果は、患者の計算された心拍出量における超音波測定のユーザの技術的専門知識の影響を低減することを含む。
【0015】
図1は、診断医用撮像システム、具体的には、超音波撮像システム100の概略図である。超音波撮像システム100は、送信器122とプローブ/SAP電子装置110とを有する超音波プローブ126を含む。超音波プローブ126は、患者の関心領域(例えば、器官、血管)から超音波データまたは情報を取得するよう構成することができる。超音波プローブ126は、送信器122を介して制御器回路136に通信可能に結合される。送信器122は、ユーザによって受信された取得設定に基づいて送信ビーム形成器121に信号を送信する。送信器122によって送信された信号は、変換器アレイ112内の変換器素子124を駆動する。変換器素子124は、パルス超音波信号を患者(例えば、身体)内に放出する。様々な幾何形状および構成をアレイ112に使用することができる。さらに、変換器素子124のアレイ112は、例えば、異なるタイプの超音波プローブの一部として提供することができる。
【0016】
取得設定は、変換器素子124によって放射される超音波パルスの振幅、パルス幅、および/または周波数などを規定することができる。取得設定は、ユーザインターフェース142から利得設定、パワー、時間利得補償(TGC)、および/または解像度などを選択することによって、ユーザが調整することができる。
【0017】
変換器素子124、例えば、圧電結晶は、取得設定に対応する身体(例えば、患者)または体内にパルス超音波信号を放射する。超音波信号は、例えば、1つまたは複数の基準パルス、1つまたは複数のプッシュパルス、ならびに/もしくは1つまたは複数のパルス波ドップラーパルスを含むことができる。パルス超音波信号の少なくとも一部は、エコーを生成するために関心領域(ROI)(例えば、心臓、左心室流出路、胸部組織、肝臓組織、心臓組織、および前立腺組織など)から後方散乱する。エコーは、深さまたは動きに応じて時間および/または周波数において遅延され、変換器アレイ112内の変換器素子124によって受信される。超音波信号は、撮像、ROI内の位置または速度の変化(例えば、血球の動き)、組織の圧縮変位の差異(例えば、変形)、および/または治療などのために使用することができる。
【0018】
変換器アレイ112は、例えば、異なるタイプの超音波プローブ126の一部として提供することができる変換器素子124のための様々なアレイ形状および構成を有することができる。プローブ/SAP電子装置110を使用して、変換器素子124のスイッチングを制御することができる。プローブ/SAP電子装置110はまた、変換器素子124を1つまたは複数のサブ開口部にグループ化するために使用することもできる。
【0019】
変換器素子124は、受信されたエコー信号を、受信器128が受信することができる電気信号に変換する。受信器128は、1つまたは複数の増幅器および/またはアナログ−デジタル変換器(ADC)などを含むことができる。受信器128は、適切な利得補償後に受信したエコー信号を増幅し、各変換器素子124からのこれらの受信アナログ信号を時間的に均一にサンプリングされたデジタル化信号に変換するよう構成することができる。受信されたエコーを表すデジタル化信号は一時的にメモリ140に格納される。デジタル化信号は、様々な時間に各変換器素子124によって受信される後方散乱波に対応する。デジタル化後、信号は、後方散乱波の振幅、周波数、位相情報を依然として保存することができる。
【0020】
任意選択的に、制御器回路136は、メモリ140に格納されたデジタル化信号を取り出して、ビーム形成器プロセッサ130に備えることができる。例えば、制御器回路136は、デジタル化信号をベースバンド信号に変換するか、またはデジタル化信号を圧縮することができる。
【0021】
ビーム形成器プロセッサ130は、1つまたは複数のプロセッサを含むことができる。任意選択的に、ビーム形成器プロセッサ130は、中央制御器回路(CPU)、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、または特定の論理命令に従って入力データを処理することができる他の任意の電子部品を含むことができる。さらに、またはあるいは、ビーム形成器プロセッサ130は、例えば、参照により本明細書に明示的に組み込まれる、米国特許公開第2012/0010508号「METHOD AND SYSTEM FOR CONTROLLING COMMUNICATION OF DATA IN AN ULTRASOUND SYSTEM」に記載される、任意の適切なビーム形性方法を使用してビーム形性計算、ならびに適切なビーム形性、合成送信焦点、収差補正、合成開口、クラッタ低減、および/または適応ノイズ制御などを行うための、有形の非一時的なコンピュータ可読媒体(例えば、メモリ140)に格納される命令を実行することができる。
【0022】
ビーム形成器プロセッサ130は、デジタル化されたデータのビーム形成の前に、関連する信号帯域幅に対応するデジタル化信号のみが使用されるように、フィルタリングおよびデシメーションをさらに実行することができる。例えば、ビーム形成器プロセッサ130は、焦点ゾーン、拡大開口、および/または撮像モード(B、カラーフロー、PWドップラー)などに対応する走査パラメータに基づいて、デジタル化データのパケットを形成することができる。走査パラメータは、処理するために通信されない(例えば廃棄される)可能性があるデジタル化データの残りのチャネルまたはタイムスロットと共に、ビーム形成される可能性があるデジタル化データのチャネルおよびタイムスロットを規定することができる。例えば、ユーザは、約10センチメートルの深さのLVOTのROI(例えば、
図4のROI402)に対応する走査パラメータを選択することができ、走査がより深い深さ(例えば、10センチメートル以上)で実行される場合に比べて、ビーム形成器プロセッサ130によってビーム形成されるチャネルの数を減らすことができる。
【0023】
ビーム形成器プロセッサ130は、デジタル化信号に対してビーム形成を実行し、無線周波数(RF)信号を出力する。次いで、RF信号は、RF信号を処理するRFプロセッサ132に供給される。RFプロセッサ132は、異なる超音波画像データタイプ、例えば、Bモード、カラードップラー(速度/パワー/分散)、組織ドップラー(速度)、およびドップラーエネルギーを、複数の走査面または異なる走査パターンに対して、生成することができる。例えば、RFプロセッサ132は、複数走査面の組織ドップラーデータを生成することができる。RFプロセッサ132は、複数のデータスライスに関連する情報(例えば、I/Q、Bモード、カラードップラー、組織ドップラー、およびドップラーエネルギー情報)を収集し、タイムスタンプおよび方向/回転情報を含むことができるデータ情報をメモリ140に格納する。
【0024】
あるいは、RFプロセッサ132は、RF信号を復調してエコー信号を表すIQデータ対を形成する複合復調器(図示せず)を含むことができる。次いで、RFまたはIQ信号データは、格納する(例えば、一時記憶)のためにメモリ140に直接提供することができる。任意選択的に、ビーム形成器プロセッサ130の出力は、制御器回路136に直接渡してもよい。
【0025】
制御器回路136は、取得された超音波データ(例えば、RF信号データまたはIQデータ対)を処理し、ディスプレイ138に表示するための超音波画像データのフレームを準備するよう構成することができる。制御器回路136は、1つまたは複数のプロセッサを含むことができる。任意選択的に、制御器回路136は、中央制御器回路(CPU)、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、グラフィック制御器回路(GPU)、または特定の論理命令に従って入力データを処理することができる他の任意の電子部品を含むことができる。GPUを含む制御器回路136を有することは、ボリュームレンダリングなどの計算集約的動作に有利である可能性がある。さらに、またはあるいは、制御器回路136は、有形の非一時的なコンピュータ可読媒体(例えば、メモリ140)に格納された命令を実行することができる。
【0026】
制御器回路136は、取得された超音波データ上の複数の選択可能な超音波モダリティに従って1つまたは複数の処理動作を実行し、変換器素子124から放射される超音波パルスを調整または定義し、ディスプレイ138に表示される構成要素(例えば、超音波画像、インターフェース構成要素、位置決め関心領域)の1つまたは複数の表示設定、および本明細書に記載される他の動作を調整するよう構成される。取得された超音波データは、エコー信号が受信されると、走査または治療セッション中に制御器回路136によってリアルタイムで処理することができる。さらに、またはあるいは、超音波データは、走査セッション中に一時的にメモリ140に格納され、ライブまたはオフライン操作でリアルタイム未満で処理することができる。
【0027】
メモリ140は、直ちに表示されるようにスケジュールされていない取得された超音波データの処理されたフレームを格納するため、または後処理された画像、例えば、グラフィカルユーザインターフェースに対応するファームウェアもしくはソフトウェア、1つまたは複数のデフォルト画像表示設定、ならびに/もしくは(例えば、制御器回路136、ビーム形成器プロセッサ130、RFプロセッサ132のための)プログラムされた命令などを格納するために使用することができる。メモリ140は、フラッシュメモリ、RAM、ROM、および/またはEEPROMなどの有形の非一時的なコンピュータ可読媒体とすることができる。
【0028】
メモリ140は、超音波データの3D超音波画像データセットを格納することができ、このような3D超音波画像データセットは、2Dおよび3D画像を提示するためにアクセスされる。例えば、3D超音波画像データセットは、1つまたは複数の基準平面と同様に、対応するメモリ140にマッピングすることができる。超音波画像データセットを含む超音波データの処理は、ユーザ入力、例えば、ユーザインターフェース142で受信されたユーザ選択に部分的に基づくことができる。
【0029】
制御器回路136は、ディスプレイ138およびユーザインターフェース142に動作可能に結合される。ディスプレイ138は、1つまたは複数の液晶ディスプレイ(例えば、発光ダイオード(LED)バックライト)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、および/またはCRTディスプレイなどを含むことができる。ディスプレイ138は、患者情報、超音波画像および/または映像、ディスプレイインターフェースの構成要素、メモリ140に格納されているか、または現在取得されている超音波データからの1つまたは複数の2D、3D、もしくは4D超音波画像データセット、測定値、および/または制御器回路136からディスプレイ138によって受信される診断、処置情報などを表示することができる。
【0030】
ユーザインターフェース142は、制御器回路136の動作を制御し、ユーザからの入力を受け取るよう構成される。ユーザインターフェース142は、キーボード、マウス、タッチパッド、および/または1つまたは複数の物理的なボタンなどを含むことができる。任意選択的に、ディスプレイ138は、ユーザインターフェース142の少なくとも一部を含むタッチスクリーンディスプレイとすることができる。
【0031】
例えば、ユーザインターフェース142の一部は、ディスプレイ上に示された制御器回路136によって生成されたグラフィカルユーザインターフェース(GUI)に対応することができる。GUIは、ユーザインターフェース142(例えば、タッチスクリーン、キーボード、マウス)を操作するユーザが選択、操作、および/または作動することができる1つまたは複数のインターフェース構成要素を含むことができる。インターフェース構成要素は、グラフィックまたは選択可能なアイコン、スライドバー、ならびに/もしくはカーソルなどの様々な形状および色で提示することができる。任意選択的に、1つまたは複数のインターフェース構成要素は、ドロップダウンメニュー、ツールバー、メニューバー、タイトルバー、および/またはウィンドウ(例えば、ポップアップウィンドウ)などのテキストまたは記号を含むことができる。さらに、またはあるいは、1つまたは複数のインターフェース構成要素は、テキストボックスおよび/またはテキストフィールドなどの、情報(例えば、患者情報、ユーザ情報、診断情報)を入力または編集するためのGUI内の領域を示すことができる。
【0032】
様々な実施形態では、インターフェース構成要素は、選択されると、制御器回路136によって実行される超音波撮像システム100の測定機能、編集機能、データベースアクセス/検索機能、診断機能、取得設定の制御、および/またはシステム設定などの、様々な機能を実行することができる。
【0033】
図2は、制御器回路136の例示的なブロック図である。制御器回路136は、概念的には、回路および/またはソフトウェアモジュールの集合体として
図2に示されているが、専用ハードウェアボード、DSP、1つまたは複数のプロセッサ、FPGA、ASIC、ならびに/もしくは1つまたは複数のプロセッサに指示するよう構成される有形の非一時的コンピュータ可読媒体の任意の組み合わせを使用して実施することができる。
【0034】
回路252から266は、超音波撮像システム100の1つまたは複数のソフトウェア機能を表す中間プロセッサ動作を実行する。制御器回路136は、いくつかの形態の1つで超音波データ270を受信することができる。
図1の実施形態では、受信された超音波データ270は、デジタル化信号の各データサンプルに関連付けられた実数成分および虚数成分を表すIQデータ対を構成する。IQデータ対は、例えば、カラーフロー回路252、音響放射力撮像(ARFI)回路254、Bモード回路256、スペクトルドップラー回路258、音響ストリーミング回路260、組織ドップラー回路262、マルチゲートドップラー回路264、およびエレクトログラフ回路266などの1つまたは複数の回路に提供される。他の回路、例えば、Mモード回路、パワードップラー回路などを含むことができる。しかしながら、本明細書で説明する実施形態は、IQデータ対の処理に限定されない。例えば、RFデータを用いて、および/または他の方法を用いて、処理を行うことができる。さらに、データは、複数の回路を介して処理することができる。
【0035】
回路252から266のそれぞれは、対応する方法でIQデータ対を処理して、それぞれ、カラーフローデータ273、ARFIデータ274、Bモードデータ276、スペクトルドップラーデータ278、音響ストリーミングデータ280、組織ドップラーデータ282、複数のPWドップラーゲートデータ284(例えば、ROIデータ取得位置)、エレクトログラフデータ286(例えば、歪みデータ、せん断波データ)などを生成するよう構成され、これらの全ては、次の処理の前に一時的にメモリ290(または、
図1に示すメモリ140)に格納することができる。データ273から286は、例えば、ベクトルデータ値のセットとして格納することができ、各セットは、個々の超音波画像フレームを定義する。ベクトルデータ値は、一般に、極座標系に基づいて編成される。
【0036】
走査変換器回路292は、画像フレームに関連するベクトルデータ値にアクセスしてそれをメモリ290から取得し、ベクトルデータ値のセットをデカルト座標に変換して表示用にフォーマットされた超音波画像フレーム293を生成する。走査変換器回路292によって生成された超音波画像フレーム293は、後続の処理のためにメモリ290に戻してもよいし、メモリ140に提供してもよい。走査変換器回路292がデータに関連する超音波画像フレーム293を生成すると、画像フレームは、メモリ290に格納されるか、またはバス299を介してデータベース(図示せず)、メモリ140、および/または他のプロセッサ(図示せず)に通信することができる。
【0037】
ディスプレイ回路298は、ディスプレイ138に画像を表示するために、バス299を介してメモリ290および/またはメモリ140からの1つまたは複数の画像フレームにアクセスして取得する。ディスプレイ回路298は、メモリ(例えば、メモリ290)に格納された表示対象の1つまたは複数の画像フレームを選択する、および/または画像フレームの表示レイアウトもしくは構成を選択する、ユーザインターフェース142からのユーザ入力を受け取る。
【0038】
ディスプレイ回路298は、2Dビデオプロセッサ回路294を含むことができる。2Dビデオプロセッサ回路294を使用して、異なるタイプの超音波情報から生成された1つまたは複数のフレームを結合することができる。画像の連続するフレームは、シネループ(4D画像)としてメモリ290またはメモリ140に格納することができる。シネループは、リアルタイムでユーザに表示される画像データを取り込むための先入れ先出し型円形画像バッファを表す。ユーザは、ユーザインターフェース142にフリーズコマンドを入力することによってシネループをフリーズすることができる。
【0039】
ディスプレイ回路298は、3Dビデオプロセッサ回路296を含むことができる。3Dビデオプロセッサ回路296は、メモリ290にアクセスして、超音波画像フレームの空間的に連続するグループを取得し、既知のボリュームレンダリングアルゴリズムまたは表面レンダリングアルゴリズムなどにより、それらの3次元画像表現を生成することができる。3次元画像は、レイキャスティングおよび最大強度ピクセル投影などの様々な撮像技術を利用して生成することができる。
【0040】
ディスプレイ回路298は、グラフィック回路297を含むことができる。グラフィック回路297は、メモリ290にアクセスして、格納された、または現在取得されている超音波画像フレームおよびROIデータ取得位置のグループを取得することができる。グラフィック回路297は、ROIの画像と、ROIの画像上に配置された(例えば、重ね合わされた)グラフィック表現とを含む画像を生成することができる。このグラフィック表示は、治療空間の輪郭、治療ビームの焦点または領域、治療空間内の焦点領域によって得られた経路、セッション中に使用されるプローブ、およびROIデータ取得位置などを表すことができる。また、治療セッションの進行を示すために、グラフィック表現を使用することもできる。グラフィック表現は、保存されたグラフィック画像または図面(例えば、コンピュータグラフィック生成図)を使用して生成することができ、またはグラフィック表現は、ユーザインターフェース142のGUIを使用して画像上にユーザが直接描画することができる。
【0041】
図3に関連して、ユーザは、ユーザインターフェース142を介して心拍出量測定に対応するインターフェース構成要素を選択することができる。インターフェース構成要素が選択されると、制御器回路136は、患者の心拍出量を測定するために、マルチゲート・ドップラー・ゲート・モードに入ることができる。
【0042】
図3Aから
図3Bは、本明細書で説明する様々な実施形態による、心拍出量を測定するための方法300のフローチャートを示す。方法300は、例えば、本明細書で説明した様々な実施形態の構造または態様(例えば、システムおよび/または方法)を用いることができる。様々な実施形態では、特定のステップ(または動作)を省略または追加することができ、特定のステップを組み合わせることができ、特定のステップを同時に実行することができ、特定のステップを並行して実行することができ、特定のステップを複数のステップに分割することができ、特定のステップを異なる順序で実行することができ、あるいは特定のステップまたは一連のステップを反復的な形式で再実行することができる。様々な実施形態において、方法300の部分、態様、および/または変形は、本明細書に記載の1つまたは複数の動作を実行するようハードウェア(例えば、1つまたは複数のプロセッサ)に指示するための、有形の非一時的なコンピュータ可読媒体に格納された1つまたは複数のアルゴリズム(例えば、1つまたは複数のコンピュータソフトウェアモジュール)として使用することができる。本明細書の実施形態によれば、他の方法を使用してもよいことに留意されたい。
【0043】
1つまたは複数の方法は、(i)超音波プローブによって取得された患者の超音波撮像データに基づいて超音波画像を生成し、(ii)超音波画像内の関心領域(ROI)を自動的に指定し、(iii)超音波プローブによって取得されたドップラーデータに基づいてROI内の対応する候補ドップラーゲートのスペクトル・データ・セットを取得し、(iv)スペクトル・データ・セットの特性に基づいて候補ドップラーゲートから選択ドップラーゲートを自動的に識別し、(v)選択スペクトル波形に基づいて患者の心拍出量を計算することができる。
【0044】
302から、制御器回路136は、超音波画像400を生成する。
図4に関連して、超音波画像400は、超音波プローブ126によって取得された患者の超音波撮像データに基づいて生成することができる。
【0045】
図4は、患者の心臓の5つの室ビューの超音波画像400を示す。例えば、ユーザは、心臓の心尖部長軸に沿って変換器アレイ112を整列させるように超音波プローブ126を配置することができる。超音波プローブ126の超音波取得設定は、ユーザインターフェース142(
図1)を使用してユーザが選択することができる。例えば、ユーザは、ディスプレイ138上に示されたGUIの1つまたは複数のインターフェース構成要素を選択することによって、ユーザインターフェース142を使用して、超音波プローブ126の利得、パワー、時間利得補償(TGC)、および/または解像度などを定義することができる。さらに、またはあるいは、超音波取得設定は、回路252から266のうちの1つまたは複数に対応するインターフェース構成要素の選択に基づくことができる。例えば、ユーザは、制御器回路136に、超音波プローブ126の超音波取得設定を構成し、受信した超音波撮像データを処理してBモード回路256によりBモードデータ276を生成するよう指示するBモード取得インターフェース構成要素を選択することができる。超音波取得設定に基づいて、超音波プローブ126の変換器素子124は、患者の心臓の心尖部長軸に沿って超音波パルスを放出し、パルス状の超音波信号の少なくとも一部は、心臓の部分から後方散乱してエコーを生成し、変換器素子124によって受信される。変換器素子124は、受信したエコー信号を、
図1を参照して説明したように、制御器回路136が受信することができる電気信号に変換する。
【0046】
図3Aに戻ると、304において、制御器回路136は、超音波画像400内の関心領域(ROI)402を指定することができる。ROI402は、LVOTなどの超音波画像400内の速度情報(例えば、ドップラーデータ)を取得して心臓の心室から圧送された血液を測定する領域に対応することができる。
図4に関連して、制御器回路136は、1つまたは複数のインターフェース構成要素の選択に基づいて、超音波画像400にROI402を自動的に重ねることができる。
【0047】
例えば、GUIは、心拍出量測定に対応するインターフェース構成要素を含むことができる。ユーザによって選択されると、制御器回路136は、分類アルゴリズムを実行することによってROI402を自動的に配置することができる。分類アルゴリズムは、メモリ140に格納することができ、先験的な情報に基づいて分類アルゴリズム(例えば、ランダムフォレスト分類器)またはセグメント化アルゴリズム(例えば、リアルタイム追跡輪郭追跡ライブラリ)に基づく機械学習アルゴリズムに対応することができる。分類アルゴリズムは、画素レベル分類器を利用して、LVOTなどの流出路に対応する超音波画像400内の領域を判定する。分類アルゴリズムは、超音波画像400のピクセルの様々な強度および/または空間的位置に基づいて、ピクセルの特徴空間から超音波画像400の室を判定することができる。
【0048】
制御器回路136は、分類アルゴリズムを実行することによって、ピクセル強度の変化に基づいて、個々の室404から410を形成することを決定することができる。例えば、室404から410は低強度ピクセルのクラスタとして表される。比較的高輝度のピクセル(例えば、中隔を表す)によって囲まれている。例えば、室404は残りの室406から410に対してより大きいので、制御器回路136は、室404が左心室に対応すると判定することができる。隣接する室406から408および412の室404に対する、および超音波画像400内の、空間的位置に基づいて、制御器回路136は、心室406から408および412を分類することができる。例えば、室406は、室404に対して水平軸に隣接してほぼ平行に配置されているので、制御器回路136は、室406を右心室として分類することができる。別の例では、室412が超音波画像400内の中心に配置され、および/または室404から410の全てに隣接しているので、制御器回路136は、室412を大動脈弁として分類することができる。
【0049】
左心室および大動脈弁としての室404および室412の分類に基づいて、制御器回路136は、LVOTなどの流出路に対応する超音波画像400上のROI402を指定または規定することができる。例えば、制御器回路136は、大動脈弁として識別された室412に隣接する左心室の一部が左心室の流出路に対応すると判定し、室412の部分でROI402を指定することができる。任意選択的に、ROI402のサイズは、室404の境界(例えば、より高い強度のピクセルで表される中隔)に一致するように制御器回路136によって調整することができる。
【0050】
任意選択的に、制御器回路136は、ユーザインターフェース142を介して受信したユーザ選択に基づいてROI402の位置を調整することができる。例えば、ユーザは、超音波画像400に関してROI402を再配置することを選択することができる。別の例では、ユーザは、ROI402の一部(例えば、辺の1つ)を選択して、超音波画像400に対するROI402の全体的なサイズを調整することができる。
【0051】
さらに、またはあるいは、ユーザはROI402の位置を指定することができる。例えば、ユーザは、ROI402の位置を定義または指定するために、ユーザインターフェース142を介して超音波画像400の領域の輪郭を描くことができる。
【0052】
図3Aに戻ると、306において、制御器回路136は、ROI402内の対応する候補ドップラーゲートのスペクトル・データ・セットを取得することができる。
図1に関連して、制御器回路136は、ROI402内の変換器素子124からの並列超音波パルスを送信するよう超音波プローブ126に指示することができる。例えば、制御器回路136は、変換器素子124にROI402を横切って(X方向とY方向の両方で)走査し、ROI402内の、ドップラーデータに対応する、1つまたは複数の位置、特にドップラーゲートの、エコー信号を放出および受信するよう指示することができる。
【0053】
様々な実施形態では、
図5に関連して、制御器回路136は、変換器素子124に、ROI404内の複数のドップラーゲートを取得するために、並列または複数ライン取得(MLA)技術を利用して、広い送信ビームを放射するよう指示することができる。
【0054】
図5は、ROI402内で取得されたドップラーゲート500の一部を示す。制御器回路136は、変換器素子124に、ROI402のサイズに基づいて2センチメートルの領域をカバーする128個のパルス列(例えば、パケットサイズ)を有する広い送信ビームを放射するよう指示することができる。受信器128は、16個の平行ビームからのエコー信号を受信することができ、これらは、デジタル化データに変換される。ビーム形成器プロセッサ130は、ROI402の深さ(例えば、10センチメートル)に基づいてデジタル化データ(例えば、タイムスロット)を分離し、1つまたは複数のスペクトル・データ・セットに対応する選択されたデジタル化データをビーム形成する。例えば、デジタル化データは、メモリ140内のドップラーデータとして格納された広い送信ビームから測定された、ビーム当たり25のドップラーゲートまたは400のドップラーゲートを含むことができる。
【0055】
ドップラーゲート500の各々は、経時的な速度のスペクトルに対応するスペクトル・データ・セットを含む。スペクトル・データ・セットは、時間の経過と共に対応するドップラーゲート500内で測定された動き(例えば、血流)の変化に対応することができる。様々な実施形態において、送信ビームによってカバーされる領域は、2センチメートルよりも広くてもよく、または2センチメートルよりも細くてもよいことに留意されたい。さらに、様々な実施形態において、深さは10センチメートルより深くても、10センチメートルよりも浅くてもよいことに留意されたい。
【0056】
さらに、またはあるいは、超音波撮像データおよびドップラーデータは、超音波プローブ126によって取得された場合にインターリーブされる。例えば、
図6に関連して、超音波プローブ126の取得時間期間602aから602nは、ドップラーデータ612、614または超音波撮像データ606から610の取得に対応する交互のフレームに細分することができる。
【0057】
図6は、超音波プローブ126が、超音波撮像データおよびドップラーデータを取得し、制御器回路136が、ROI402内の、超音波画像400などの、超音波画像およびドップラーゲート508のフレームを生成する時間(例えば、30ミリ秒、15ミリ秒)をそれぞれ表す取得時間期間602aから602nを示す。取得時間期間602aから602nの各々の間に、制御器回路136は、取得時間期間602aから602nのフレーム、例えば、606から614の間、超音波信号の送信と受信を切り替えるよう変換器アレイ112に指示することができる。例えば、ドップラーデータの取得に対応するフレーム612から614が、超音波撮像データの取得に対応するフレーム606から610の間に介在および/または配置される。各フレームは、超音波プローブ126が超音波撮像データ(例えば、フレーム606から610)またはドップラーデータ(例えば、フレーム612から614)を取得する取得時間期間602aから602n内の所定の時間に対応することができる。
【0058】
例えば、取得時間期間602aの開始時に、フレーム606の間、制御器回路136は、超音波プローブ126の変換器素子124に、超音波信号(例えば、そのようなパルスまたは波)を放射し、Bモード回路256によって処理される、超音波撮像データを取得するよう指示することができる。任意選択的に、制御器回路136は、フレーム606内の超音波信号の送信を停止して、超音波撮像データに対する超音波信号に応じて組織によって反射された受信エコーが、後続のフレーム、フレーム612の間に超音波プローブ126によって受信されないことを保証することができる。フレーム612の間、制御器回路136は、変換器素子124に、マルチゲートドップラー回路264によって処理される、ROI402からのドップラーデータ、例えば、128個のパルス列(例えば、パケットサイズ)を有する広い送信ビームを取得するために、超音波信号(例えば、発射)を放射するよう指示することができる。
【0059】
超音波撮像データおよびドップラーデータの取得は、対応するフレーム606から614で行われるが、Bモード回路256およびマルチゲートドップラー回路264、または一般に制御器回路136は、複数のフレームにわたって独立してデータを処理することができることに留意されたい。例えば、制御器回路136は、超音波撮像データが、後続のフレーム中に超音波プローブ126によって取得されている間、ドップラーデータを独立して処理することができる。
【0060】
任意選択的に、制御器回路136は、ドップラーデータ取得の時間スケール(例えば、周波数)を維持するために等間隔でドップラーデータを取得できるように、フレーム606から610の持続時間などの取得時間期間602aから602nを定義することができる。例えば、取得時間期間602aから602nの開始および終了を定義するフレーム606および610の持続時間は、フレーム608の持続時間の半分である。具体的には、結合されたフレーム606および610の持続時間616は、フレーム608の継続時間とほぼ同じである。これにより、時間618のような複数の取得時間期間602aから602bにわたって、ドップラーデータの取得に対応するフレーム612から614は、フレーム608の持続時間および持続時間616(例えば、フレーム606とフレーム610との組み合わせ)によって規定される設定された間隔で周期的に発生する。
【0061】
図3Aに戻ると、307で、制御器回路136は、候補ドップラーゲートからドップラーゲートを選択することができる。例えば、制御器回路136は、ドップラーゲート502を選択して、さらなる分析を実行することができる。
【0062】
308において、制御器回路136は、関心特性に関して選択されたドップラーゲート502のスペクトル・データ・セットを分析することができる。
図7に関連して、スペクトル・データ・セットをプロットしてスペクトル波形を形成することができる。関心特性は、持続時間(例えば、スペクトル波形の長さ)、方向、ピーク速度、パワー、および/または速度変化などのスペクトル波形の形態に基づくことができる。形態は、ピーク振幅、ピークの数、ピーク幅、ピークレイテンシ、スペクトル波形内のピクセルの強度、ならびに/もしくは下降および/または上昇傾きなどに対応することができる。スペクトル波形の形態は、例えば、時間経過に伴うスペクトル波形の変化に基づいて、制御器回路136によって決定することができる。
【0063】
図7は、選択されたドップラーゲート502のスペクトル波形700を示す。スペクトル波形700は、水平軸704によって表される時間に対する周波数(例えば、速度に対応する)を表す垂直軸702に沿ってプロットされている。制御器回路136は、スペクトル波形700の大きさに基づいて血流の方向を判定することができる。例えば、正の大きさ(例えば、水平軸704の上)を有するスペクトル波形700の部分は、超音波プローブ126に向かって移動および/または方向付けされる速度に対応する血流の動きを表し、負の大きさ(例えば、水平軸704の下)を有するスペクトル波形700の部分は、超音波プローブ126から移動するおよび/または遠ざかる方向に向かう速度に対応する血流の動きを表す。
【0064】
制御器回路136は、スペクトル波形700の1つまたは複数のピークの大きさまたは頂点に基づいてピーク速度を決定することができる。ピーク速度は、スペクトル波形700によって表される心臓周期の位相に対応することができる。例えば、制御器回路136は、ピーク収縮期速度を決定することができ、または負のピーク706の頂点を識別することによって心周期の収縮期がいつ生じるかを判定することができる。制御器回路136は、頂点に対応する勾配の大きさの変化に基づいてピークが発生する時期を判定することができる。例えば、スペクトル波形700の負の勾配から正の勾配への変化は、負のピークを示すことができる。さらに、またはあるいは、制御器回路136は、スペクトル波形700の微分を取って、ゼロの値を有するピークの頂点を決定することができる。
【0065】
制御器回路136は、スペクトル波形700を形成するピクセルの強度に基づいて、スペクトル波形700のパワーを決定することができる。スペクトル波形700のパワーは、スペクトル波形700によって表されるドップラーデータの全体強度に対応することができる。例えば、制御器回路136は、スペクトル波形700のパワーに対応するスペクトル波形700の平均ピクセル強度を決定することができる。さらに、またはあるいは、制御器回路136は、平均ピクセル強度を、メモリ140に格納されたパワースケールと比較して、スペクトル波形700のパワー値を決定することができる。
【0066】
制御器回路136は、次のピークの大きさまたは頂点の変化を比較することによって速度の変化を判定することができる。速度の変化は、2つの隣接する心臓周期の間の血流の速度の変化に対応することができる。例えば、負のピーク706、710はそれぞれ、異なる心臓周期の収縮期の間の収縮期速度に対応することができる。制御器回路136は、負のピーク706および710の頂点の大きさを比較して、スペクトル波形700の速度の変化を決定することができる。
【0067】
さらに、またはあるいは、制御器回路136は、スペクトル・データ・セットの平均速度を計算することができる。例えば、制御器回路136は、スペクトル・データ・セットの平均速度に対応する経時的なスペクトル波形700の平均振幅を計算することができる。
【0068】
図3Aに戻ると、309において、制御器回路136は、308において追加の候補ドップラーゲートを分析する必要があるかどうかを判定することができる。例えば、制御器回路136が、ドップラーゲートの1つまたは複数のスペクトル・データ・セットが関心特性に関して分析されていないと判定した場合、制御器回路136は、311において残りのまたは代替のドップラーゲートのうちの1つを選択し、308に戻ることができる。
【0069】
制御器回路136は、309において、追加のドップラーゲートを分析する必要がないと判定した場合、310で、制御器回路136は、基準閾値を満たす関心特性の値を有する候補ドップラーゲートの1つを識別することができる。関心特性の値は、308で判定された関心特性の値に対応することができる。例えば、関心特性がピーク速度である場合、その値は、候補ドップラーゲートのピーク速度とすることができる。基準閾値は、候補ドップラーゲートの1つに基づくことができる。
【0070】
例えば、制御器回路136は、第1の候補ドップラーゲートの関心特性の値として初期基準閾値を定義することができる。制御器回路136は、別の候補ドップラーゲートからの関心特性の値を比較して、どの候補ドップラーゲートが後の測定(例えば、322での心拍出量測定)を選択するかを決定することができる。代替候補ドップラーゲートの値が基準閾値を超える場合、制御器回路136は、代替候補ドップラーゲートの値と一致するよう基準閾値を調整し、ドップラーゲートの値を絶えず比較して、基準閾値に使用される候補ドップラーゲートに対応することができる、候補ドップラーゲートを識別することができる。例えば、制御器回路136は、他の候補ドップラーゲートの残りのスペクトル波形よりも大きなパワー、持続時間、および/またはピーク速度を伴うスペクトル波形を有する候補ドップラーゲートを識別することができる。
【0071】
さらに、またはあるいは、基準閾値は、メモリ140に格納された所定の閾値とすることができる。例えば、制御器回路136は、どの候補ドップラーゲートが基準閾値を超える1つまたは複数の関心特性を有するかに基づいて、ドップラーゲートを選択することができる。例えば、関心特性は、パワー、持続時間、ピーク速度、およびピーク間の速度の変化に対応することができる。制御器回路136は、候補ドップラーゲートに対して基準閾値を上回るより多くの値を有するドップラーゲートを選択することができる。
【0072】
任意選択的に、制御器回路136は、候補ドップラーゲートに基づいてROI402のサイズを調整することができる。例えば、制御器回路136は、基準閾値の設定閾値内にない値を有する候補ドップラーゲートに対応するROI402の部分を省略することができる。例えば、スペクトル波形が所定のパワーおよび/または速度閾値よりも低い場合、制御器回路136は、対応する候補ドップラーゲートの位置を含まないようにROI402のサイズを調整および/または削減することができる。
【0073】
さらに、またはあるいは、制御器回路136は、スペクトル・データ・セットの分析に基づいて、ROI402内の候補ドップラーゲートの1つまたは複数の特性(例えば、収縮速度、平均速度、スペクトルパワー)を示す指標(例えば、数値、グラフィックス)を表示することができる。様々な実施形態において、1つまたは複数の特性は、関心特性などの、候補ドップラーゲートのスペクトル・データ・セットからのものとすることができる。例えば、制御器回路136は、スペクトル・データ・セットの1つまたは複数の特性に基づいて、各候補ドップラーゲートの収縮速度、平均速度、および/またはスペクトルパワーを表す色を決定することができる。制御器回路136は、候補ドップラーゲートの位置を表すROI402内の対応するピクセルへの色情報を含むことができる。例えば、制御器回路136は、スペクトル・データ・セットの1つまたは複数の特性に対応する色を超音波画像400上の候補ドップラーゲートに重ね合わせることができる。別の例では、制御器回路136は、候補ドップラーゲートの1つまたは複数の特性に対応する超音波画像400することができる。
【0074】
図3Bに関連して、312で、制御器回路136は、選択されたドップラーゲートがユーザによって承認されたかどうかを判定する。例えば、制御器回路136は、310においてスペクトル波形700(
図7)を選択し、ROI402内の選択ドップラーゲートの対応する位置と同時にディスプレイ上にスペクトル波形700を表示することができる。制御器回路136は、ディスプレイ138上に、例えば、1つまたは複数のインターフェース構成要素を有するGUIのポップアップウィンドウなどの通知を表示することができる。ユーザは、ユーザインターフェース142を介して選択されたドップラーゲートを確認および/または調整するためにインターフェース構成要素の1つを選択することができる。
【0075】
任意選択的に、314において、制御器回路136は、残りの候補ドップラーゲートから代替のおよび/または別の選択ドップラーゲートを受信することができる。様々な実施形態では、制御器回路136は、ユーザインターフェース142を介して、交換の、または代替の選択ドップラーゲートを受信することができる。例えば、ユーザは、ROI402内の代替候補ドップラーゲートに対応する位置を選択することによって、別のドップラーゲートを選択することができる。別の例では、制御器回路136は、候補ドップラーゲート500の一部分を近似および/または選択ドップラーゲートに隣接して表示することができ、ユーザは、表示された候補ドップラーゲートの1つを代替および/または新しい選択ドップラーゲートとして選択することが可能となる。
【0076】
316で、制御器回路136は、選択スペクトル波形(例えば、スペクトル波形700)に基づいて速度時間積分(VTI)を計算することができる。VTIは、スペクトル波形700のピーク706および710の1つから制御器回路136によって計算することができる。
図7に関連して、制御器回路136は、メモリ140に格納された輪郭アルゴリズム(例えば、アクティブ輪郭モデル、スネーク)を実行することによって、ピーク706、710の1つをトレースして、ピークの枠712および/または境界を形成することができる。例えば、輪郭アルゴリズムを実行する場合、制御器回路136は、ピクセル強度の変化に基づいて、および枠712を形成する水平軸704によって、ピーク706のエッジおよび/または境界を識別することができる。
【0077】
さらに、またはあるいは、制御器回路136は、ユーザインターフェース142によって受信された信号に基づいて、ピーク706、710のうちの1つをトレースすることができる。例えば、ユーザは、制御器回路136によって受信される、ユーザインターフェース142を使用して枠712を形成するためにピーク706をトレースすることができる。
【0078】
枠712が形成されると、制御器回路136は、枠712からVTIを計算することができる。例えば、制御器回路136は、枠712の面積を積分および/または計算してVTIを決定し、VTIをメモリ140に格納することができる。任意選択的に、制御器回路136は、例えば、ROI402に隣接して、および/またはROI402内で、ユーザのディスプレイ138上にVTIを表示することができる。
【0079】
図3Bに戻ると、318において、制御器回路136は、LVOTの断面積(CSA)を決定することができる。例えば、CSAは、ROI402内のLVOTの面積を測定することによって、制御器回路136によって計算することができる。他の様々な実施形態では、LVOTのCSAは、患者の人口統計学的特性に基づいて決定することができる。
【0080】
例えば、ROI402は、患者のLVOTを含むことができ、および/または対応することができる。制御器回路136は、患者の身長、体重、または性別の少なくとも1つを含むことができる、患者の1つまたは複数の人口統計学的特性を受信することができる。例えば、制御器回路136は、ユーザインターフェース142からの、および/または医学的作業リストにおけるデジタル撮像および通信から遠隔受信される、1つまたは複数の人口統計学的特性を受信することができる。制御器回路136は、メモリ140に格納された解剖学的データベースと1つまたは複数の人口統計学的特性とを比較することができる。解剖学的データベースは、対応する人口統計学的特性を有するLVOTの候補CSAの集合とすることができる。制御器回路136は、ROI402の患者の人口統計学的特性に合致する候補CSAの1つを選択することができる。
【0081】
320で、制御器回路136は、選択スペクトル波形(例えば、スペクトル波形700)に基づいて患者の心拍数を計算することができる。
図7に関連して、制御器回路136は、スペクトル波形700のピーク(例えば、ピーク706および710)に基づいて心拍数を計算することができる。例えば、ピーク706および710は、異なる心臓周期の間、具体的には心臓周期の収縮期の間に生じる。制御器回路136は、心臓の心臓周期の長さおよび/または期間708に対応する、ピーク706と710との間の時間差を判定することができる。心臓周期の長さ708に基づいて、制御器回路136は、患者の心拍数を判定することができる。例えば、分当たりの拍動で心拍数を計算するために、制御器回路136は、心臓周期の秒単位の長さ708で60を除算することができる。
【0082】
322において、制御器回路136は、患者の心拍出量を計算することができる。心拍出量は、以下に示す式1に基づいて制御器回路136によって計算することができる。変数Qによって表される心拍出量は、316で決定されたVTIと、318で決定されたCSAと、320で決定された変数HRで表される心拍数との積から、制御器回路136によって計算することができる。
【0083】
式(1):Q=VTI×CSA×HR
図1の超音波撮像システム100は、ラップトップコンピュータまたはポケットサイズのシステムなどの小型システム、およびより大きなコンソールタイプのシステムで実施することができる。
図8および
図9は小型システムを示し、
図10はより大きなシステムを示す。
【0084】
図8は、3D超音波データまたはマルチプレーン超音波データを取得するよう構成することができるプローブ832を有する、3D対応小型超音波システム800を示す。例えば、プローブ832は、プローブに関して前述したような要素の2Dアレイを有することができる。オペレータからのコマンドを受信するために、(統合ディスプレイ836を含むこともできる)ユーザインターフェース834が設けられる。本明細書で使用される場合、「小型化された」とは、超音波システム800が、ハンドヘルド、すなわち、手持ち式の装置であるか、または人の手、ポケット、ブリーフケースサイズのケース、もしくはバックパックで運べるよう構成されることを意味する。例えば、超音波システム800は、典型的なラップトップコンピュータのサイズを有する手持ち式装置とすることができる。超音波システム800は、オペレータが容易に携帯することができる。統合ディスプレイ836(例えば、内部ディスプレイ)は、例えば、1つまたは複数の医用画像を表示するよう構成される。
【0085】
超音波データは、有線または無線ネットワーク840(または、例えば、シリアルもしくはパラレルケーブルもしくはUSBポートを介した、直接接続)を介して外部装置838に送信することができる。いくつかの実施形態では、外部装置838は、ディスプレイを有するコンピュータまたはワークステーションとすることができる。あるいは、外部装置838は、手持ち式超音波システム800から画像データを受け取り、統合ディスプレイ836よりも高い解像度を有する可能性がある画像を表示または印刷することができる別個の外部ディスプレイまたはプリンタであってもよい。
【0086】
図9は、ディスプレイ952およびユーザインターフェース954が単一のユニットを形成する手持ち型またはポケットサイズの超音波撮像システム900を示す。一例として、ポケットサイズの超音波撮像システム900は、幅約2インチ、長さ約4インチ、深さ約0.5インチ、重量が3オンス未満のポケットサイズまたはハンドサイズの超音波システムとすることができる。ポケットサイズの超音波撮像システム900は、一般に、ディスプレイ952、ユーザインターフェース954を含み、キーボードタイプのインターフェース、および、例えば、超音波プローブ956などの、走査装置への接続のための入力/出力(I/O)ポートを含んでも含まなくてもよい。ディスプレイ952は、例えば、320×320ピクセルのカラーLCDディスプレイ(医用画像990を表示することができる)とすることができる。任意選択的に、ボタン982のタイプライター式キーボード980をユーザインターフェース954に含めることができる。
【0087】
多機能制御部984には、システム操作のモード(例えば、異なるビューを表示する)に従って、それぞれ機能を割り当てることができる。したがって、多機能制御部984のそれぞれは、複数の異なる動作を提供するよう構成することができる。ディスプレイ952には、必要に応じて、多機能制御部984に関連付けられたラベル表示領域986などの1つまたは複数のインターフェース構成要素を含むことができる。システム900は、「フリーズ」、「深さ制御」、「利得制御」、「カラーモード」、「プリント」、および「格納」を含むことができるが、これらに限定されない、特殊機能のための追加のキーおよび/または制御部988を有することもできる。
【0088】
1つまたは複数のラベル表示領域986は、表示されているビューを示すためのラベル992を含むことができ、またはユーザが表示対象の画像化されたオブジェクトの異なるビューを選択することを可能にすることができる。異なるビューの選択は、関連する多機能制御部984を介して提供してもよい。ディスプレイ952はまた、表示された画像ビュー(例えば、表示された画像に関連するラベル)に関する情報を表示するためのテキスト表示領域994に対応する1つまたは複数のインターフェース構成要素を有することができる。
【0089】
様々な実施形態は、寸法、重量、および電力消費量が異なる小型化または小型の超音波システムに関連して実施することができることに留意されたい。例えば、ポケットサイズの超音波撮像システム900および小型化された超音波システム800は、システム100と同じ走査および処理機能を提供することができる。
【0090】
図10は、可動ベース1002上に設けられた超音波撮像システム1000を示す。携帯型超音波撮像システム1000は、カートベースシステムとも呼ぶことができる。ディスプレイ1004およびユーザインターフェース1006が設けられており、ディスプレイ1004は、ユーザインターフェース1006とは別個でもよいし、分離可能でもよいことを理解されたい。ユーザインターフェース1006は、任意選択的に、タッチスクリーンであってもよく、オペレータは、表示されたグラフィックスおよびアイコンなどに触れることによってオプションを選択することを可能にすることができる。
【0091】
ユーザインターフェース1006はまた、所望の、もしくは必要な、および/または通常提供される携帯型超音波撮像システム1000を制御するために使用することができる制御ボタン1008を含む。ユーザインターフェース1006は、ユーザが物理的に操作して、超音波データおよび表示することができる他のデータと対話し、情報を入力し、走査パラメータおよび視野角などを設定および変更することができる複数のインターフェースオプションを提供する。例えば、キーボード1010、トラックボール1012、および/または多機能制御部1014を提供することができる。
【0092】
様々な実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせで実施することができることに留意されたい。様々な実施形態および/または構成要素、例えばモジュールまたはその内部の構成要素および制御器もまた、1つもしくは複数のコンピュータまたはプロセッサの一部として実現することができる。コンピュータまたはプロセッサは、例えばインターネットにアクセスするために、コンピューティング機器、入力機器、表示ユニットおよびインターフェースを含むことができる。コンピュータまたはプロセッサは、マイクロプロセッサを含むことができる。マイクロプロセッサは、通信バスに接続することができる。コンピュータまたはプロセッサはまた、メモリを含むことができる。メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)および読み出し専用メモリ(ROM)を含むことができる。コンピュータまたはプロセッサはさらに記憶装置を含むことができ、それはハードディスクドライブ、あるいは半導体ドライブ、および光学ディスクドライブなどの取り外し可能な記憶ドライブであってもよい。記憶装置はまた、コンピュータプログラムまたは他の命令をコンピュータまたはプロセッサにロードするための他の類似の手段であってもよい。
【0093】
本明細書に使用されるとき、「コンピュータ」または「モジュール」という用語は、あらゆるプロセッサ式またはマイクロプロセッサ式のシステムを含むことができ、このシステムはマイクロ制御器、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、ASIC、論理回路、および本明細書に記載した機能を実行可能な任意の他の回路またはプロセッサを使用するシステムを含む。上記の例は例示のためだけであり、それ故に「コンピュータ」という用語の定義および/または意味を何ら限定することを意図しない。
【0094】
コンピュータまたはプロセッサは、入力データを処理するために1つまたは複数の記憶素子に格納される一組の命令を実行する。記憶素子はまた、所望または必要に応じてデータまたは他の情報を格納することができる。記憶素子は、処理装置内の情報源または物理メモリ素子の形態であってもよい。
【0095】
命令のセットは、処理機械としてのコンピュータまたはプロセッサに、様々な実施形態の方法および処理などの特定の動作を実行するよう指示する様々なコマンドを含むことができる。命令セットは、ソフトウェアプログラムの形態であってもよい。ソフトウェアは、システムソフトウェアまたはアプリケーションソフトウェアなどの様々な形態であってもよく、有形の非一時的なコンピュータ可読媒体として具体化することができる。さらに、ソフトウェアは、個々のプログラムもしくはモジュールの集合、より大きなプログラム内のプログラムモジュール、またはプログラムモジュールの一部の形態であってもよい。ソフトウェアはまた、オブジェクト指向プログラミングの形態のモジュール方式プログラミングを含むことができる。処理装置による入力データの処理は、オペレータコマンドに応答して、あるいは前の処理の結果に応答して、あるいは別の処理装置によってなされる要求に応答して行ってもよい。
【0096】
本明細書で使用される、タスクまたは動作を実行するように「構成された」構造、制限、または要素は、タスクまたは操作に対応するように特に構造的に形成され、構築され、または適合される。明瞭にし、かつ疑念を回避するために、タスクまたは動作を実行するために修正することができるだけの対象物は、本明細書で用いられるようなタスクまたは動作を実行するために「構成される」ものではない。代わりに、本明細書で用いられる「構成される」の使用は、構造的な適応または特性を意味しており、タスクまたは動作を実行するように「構成される」と記載された任意の構造、制限、または要素の構成要件を意味する。例えば、タスクまたは動作を実行するように構成された制御器回路、プロセッサ、またはコンピュータは、タスクまたは動作を実行するように特に構成されている(例えば、それに格納された、またはそれに関連して使用される、タスクまたは動作を実行するように調整または意図された1つまたは複数のプログラムまたは命令を有する、かつ/あるいはタスクまたは動作を実行するように調整または設計された処理回路の構成を有する)と理解することができる。明瞭化および疑念の回避のために、汎用コンピュータ(適切にプログラムされていれば、タスクまたは動作を実行するように「構成され」得る)は、タスクまたは動作を実行するために具体的にプログラムされ、あるいは構造的に変更されない限り、タスクまたは動作を実行するように「構成され」ていない。
【0097】
本明細書で使用される場合、「ソフトウェア」および「ファームウェア」は交換可能であり、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、および不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含む、コンピュータが実行するメモリ内に格納された任意のコンピュータプログラムを含む。上記のメモリのタイプは単なる例示に過ぎず、したがってコンピュータプログラムの格納のために使用可能なメモリのタイプを限定するものではない。
【0098】
上記の説明は例示するものであって、限定することを意図したものではないことを理解すべきである。例えば、上記の実施形態(および/またはその態様)は、互いに組み合わせて用いることができる。さらに、様々な実施形態の範囲を逸脱せずに特定の状況または材料を様々な実施形態の教示に適応させるために、多くの修正を行うことができる。本明細書で説明した材料の寸法および種類は、様々な実施形態のパラメータを定義することを意図するが、それらは、限定するものではなく、単なる例示である。多くの他の実施形態は、上記の説明を検討すると当業者には明らかであろう。したがって、様々な実施形態の範囲が、添付の特許請求の範囲、およびそのような特許請求の範囲による等価物の全範囲を参照して判断される。添付した特許請求の範囲において、「含む(including)」および「そこにおいて(in which)」という用語は、それぞれ「含む(comprising)」および「そこにおいて(wherein)」という用語の平易な英語に相当するものとして用いられる。さらに、以下の特許請求の範囲において、「第1の」、「第2の」、および「第3の」等の用語は、単にラベルとして用いており、それらの対象物に対して数の要件を課すことを意図するものではない。また、以下の特許請求の範囲の制限は、このようなクレームの制限が、さらなる構造を欠いた機能の記述の後に、明示的に「〜する手段(means for)」という語句を用いていない限り、ミーンズプラスファンクションの形式では書かれておらず、米国特許法 112条に基づいて解釈されることを意図していない。
【0099】
本明細書は最良の形態を含む様々な実施形態を開示するため、および、あらゆるデバイスまたはシステムを製作し、ならびに使用し、およびあらゆる組込方法を実行することを含む任意の当業者が様々な実施形態を実施することを可能にするための例を用いる。様々な実施形態の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到するその他の実施例を含むことができる。このような他の実施例が特許請求の範囲の文字通りの言葉と異ならない構造要素を有する場合、または、実施例が特許請求の範囲の文字通りの言葉と実質的な差異がなく等価な構造要素を含む場合には、このような他の実施例は特許請求の範囲内であることを意図している。
[実施態様1]
心拍出量を測定する方法であって、超音波プローブ(126)によって取得される患者の超音波撮像データに基づいて超音波画像(400)を生成するステップと、前記超音波画像(400)内の関心領域(ROI)(402)を自動的に指定するステップと、前記超音波プローブ(126)によって取得されたドップラーデータ(612、614)に基づいて、前記ROI(402)内の対応する候補ドップラーゲートのスペクトル・データ・セットを取得するステップと、前記スペクトル・データ・セットの特性に基づいて前記候補ドップラーゲートから選択ドップラーゲートを自動的に識別するステップと、前記選択ドップラーゲートに基づいて前記患者の心拍出量を計算するステップと、を備える、方法。
[実施態様2]
前記ドップラーデータ(612、614)および前記超音波撮像データは、前記超音波プローブ(126)によって取得される場合にインターリーブされる、実施態様1に記載の方法。
[実施態様3]
前記選択ドップラーゲートを識別するために、前記特性に関する前記スペクトル・データ・セットを分析するステップをさらに備える、実施態様1に記載の方法。
[実施態様4]
前記選択ドップラーゲートのスペクトル・データ・セットに基づいて選択スペクトル波形のピークをトレースして、枠を形成するステップと、前記枠から速度時間積分(VTI)を計算するステップであって、VTIが心拍出量を計算するために使用される、ステップと、をさらに備える、実施態様1に記載の方法。
[実施態様5]
左心室流出路(LVOT)が前記ROI(402)内にあり、前記患者の身長、体重、または性別の少なくとも1つに基づいて前記LVOTの断面積を受信するステップであって、前記LVOTの前記断面積が前記心拍出量を計算するために使用される、受信するステップをさらに備える、実施態様1に記載の方法。
[実施態様6]
前記選択ドップラーゲートのスペクトル・データ・セットに基づいて、選択スペクトル波形内に第1のピークおよび第2のピークがいつ生じたかを判定するステップと、前記第1のピークおよび前記第2のピークがいつ発生したかに基づいて心拍数を計算するステップであって、前記心拍数が前記心拍出量を計算するために使用される、計算するステップと、をさらに備える、実施態様1に記載の方法。
[実施態様7]
前記特性は、持続時間、方向、ピーク速度、パワー、または速度の変化のうちの少なくとも1つに対応する、実施態様1に記載の方法。
[実施態様8]
ユーザ選択に基づいて前記ROI(402)の位置を調整するステップをさらに備える、実施態様1に記載の方法。
[実施態様9]
ユーザ選択に基づいて前記候補ドップラーゲートから代替選択ドップラーゲートを選択するステップをさらに備える、実施態様1に記載の方法。
[実施態様10]
前記候補ドップラーゲートの1つまたは複数の特性を示す指標を前記ROI(402)内に表示するステップをさらに備える、実施態様1に記載の方法。
[実施態様11]
心拍出量を測定するための超音波撮像システム(100、800、900、1000)であって、患者の超音波撮像データおよびドップラーデータ(612、614)を取得するよう構成される超音波プローブ(126)と、プログラムされた命令を格納するよう構成されるメモリ(140、290)と、前記メモリ(140、290)に格納された前記プログラムされた命令を実行するよう構成される1つまたは複数のプロセッサであって、前記プログラムされた命令を実行する場合、以下の動作を実行する、すなわち、前記超音波撮像データに基づいて超音波画像(400)を生成し、前記超音波画像(400)内の関心領域(ROI)(402)を指定し、前記ドップラーデータ(612、614)に基づいて前記ROI(402)内の対応する候補ドップラーゲートのスペクトル・データ・セットを取得し、前記スペクトル・データ・セットの特性に基づいて前記候補ドップラーゲートから選択ドップラーゲートを識別し、前記選択ドップラーゲートに基づいて前記患者の心拍出量を計算する、1つまたは複数のプロセッサと、を備える、超音波撮像システム(100、800、900、1000)。
[実施態様12]
前記ドップラーデータ(612、614)および前記超音波撮像データは、前記超音波プローブ(126)によって取得される場合にインターリーブされる、実施態様11に記載の超音波撮像システム(100、800、900、1000)。
[実施態様13]
前記1つまたは複数のプロセッサは、前記選択ドップラーゲートを識別するために前記特性に関する前記選択スペクトル・データ・セットをさらに分析する、実施態様11に記載の超音波撮像システム(100、800、900、1000)。
[実施態様14]
前記1つまたは複数のプロセッサが、前記患者の身長、体重、または性別の少なくとも1つに基づいて前記ROI(402)内の左心室流出路(LVOT)の断面積をさらに判定し、前記LVOTの前記断面積は、前記心拍出量を計算するために前記1つまたは複数のプロセッサによって使用される、実施態様11に記載の超音波撮像システム(100、800、900、1000)。
[実施態様15]
前記1つまたは複数のプロセッサが、前記選択ドップラーゲートのスペクトル・データ・セットに基づいて、選択スペクトル波形内に第1のピークおよび第2のピークがいつ生じたかをさらに判定し、前記第1のピークおよび前記第2のピークがいつ生じたかに基づいて心拍数を計算し、前記心拍数が、前記心拍出量を計算するために前記1つまたは複数のプロセッサによって使用される、実施態様11に記載の超音波撮像システム(100、800、900、1000)。
[実施態様16]
前記特性が、持続時間、方向、ピーク速度、パワー、または速度の変化のうちの少なくとも1つに対応する、実施態様11に記載の超音波撮像システム(100、800、900、1000)。
[実施態様17]
ユーザインターフェース(142、834、954、1006)をさらに備え、前記1つまたは複数のプロセッサが、前記ユーザインターフェース(142、834、954、1006)からのユーザ選択に基づいて前記候補ドップラーゲートから代替の選択ドップラーゲートをさらに選択する、実施態様11に記載の超音波撮像システム(100、800、900、1000)。
[実施態様18]
有形の非一時的コンピュータ可読媒体であって、1つまたは複数のプロセッサに、超音波プローブ(126)によって取得される患者の超音波撮像データに基づいて超音波画像(400)を生成し、前記超音波画像(400)内の関心領域(ROI)(402)を自動的に指定し、前記超音波プローブ(126)によって取得されたドップラーデータ(612、614)に基づいて前記ROI(402)内の対応する候補ドップラーゲートのスペクトル・データ・セットを取得し、前記スペクトル・データ・セットの特性に基づいて前記候補ドップラーゲートから選択ドップラーゲートを自動的に識別し、前記選択ドップラーゲートに基づいて前記患者の心拍出量を計算する、ように指示するよう構成される1つまたは複数のコンピュータソフトウェアモジュールを備える、有形の非一時的コンピュータ可読媒体。
[実施態様19]
前記ドップラーデータ(612、614)および前記超音波撮像データが、前記超音波プローブ(126)によって取得される場合にインターリーブされる、実施態様18に記載の有形の非一時的コンピュータ可読媒体。
[実施態様20]
前記1つまたは複数のプロセッサが、前記選択ドップラーゲートの選択スペクトル・データ・セットのピークをトレースして枠を形成し、前記枠から速度時間積分(VTI)を計算するようさらに指示され、前記VTIが心拍出量を計算するために使用される、実施態様18に記載の有形の非一時的なコンピュータ可読媒体。