【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点では、廃ガスを処理する処理装置であって、燃焼チャンバと、バーナと、二次燃焼用空気を受け入れる入口と、排気ガスを燃焼チャンバから出力する排気ガス出口と、第1および第2の流体流路をそれぞれ通って流れる第1の流体と第2の流体との間で熱を交換する熱交換器とを有し,第1の流体流路は、二次燃焼用空気が入口から第1の流体流路中に流れるよう入口に連結され、第2の流体流路は、出口のところで受け入れられた排気ガスが第2の流体流路中に流れるよう出口に連結され、熱交換器は、第2の流体から第1の流体中への排気ガスの一部分の流れのための経路となる流体流れ連通経路を有し、処理装置は、第1の流体を燃焼チャンバに入力するための少なくとも1つの入口孔を更に有することを特徴とする処理装置が提供される。
【0008】
本発明の発明者は、プロセスガスを処理するための燃焼チャンバを最適化する場合、特に二次燃焼用空気を燃焼チャンバに入力する場合に競合する要件が存在することを認識した。この点に関し、混合が燃焼を向上させる場合に二次燃焼用空気と廃ガスとの混合が必要であるが、燃焼チャンバ内における乱流の増大により、マイナスの効果が生じる場合があり、場合によって高温領域内における廃ガスの滞留時間が減少し、廃ガスのうちの何割かによるこの領域のバイパスの可能性があり、粒子が燃焼中に生じる場合にはバーナヘッドのファウリングが生じる。
【0009】
これらの問題は、二次燃焼用空気が低温である場合、そしてこの二次燃焼用空気が、酸素の少ない空気の源として燃焼チャンバからの排気ガスを含む場合、悪化することがある。かかるガスは、燃焼チャンバ内の粒子を増加させ、それにより乱流が一問題であるファウリングが増大する。
【0010】
これら競合する問題は、本発明では熱交換器を用いて排気ガスの流れと二次燃焼用空気の流れとの間で熱を交換することによって対処された。これにより、二次燃焼用空気を燃焼チャンバへの導入に先立って予熱することができるだけでなく、排気ガスを冷却するという別の利点が得られ、それによりこのシステムからのその排出を安価なダクトの使用によりそして安全な仕方で実施することができる。さらに、排気ガスの一部分を二次燃焼用空気と混合させるようになった熱交換器を用いると、2つの流体の幾分かの混合が燃焼チャンバへの導入に先立って起こる場合、酸素含有量が減少した二次燃焼用空気が得られる。
【0011】
上述したように、排気ガスを燃焼チャンバ中に導入する場合の問題は、もっともなこととして排気ガス中に粒子が含まれていることがあり、それにより乱流を制御することが特に重要になるということである。2つの流体の流れ相互間で熱を交換するだけでなく排気ガスの一部分を二次燃焼用空気流中に導入することができる熱交換器を用いることにより、予熱され、そして単一の流れとして燃焼チャンバ中に導入できる酸素含有量の少ない二次燃焼用空気流が得られる。ガスを単一の流れで導入することにより、一方だけの流体流れについて実施されるべき必要とされる混合および乱流の制御が可能であり、予熱され、そして酸素含有量の減少した燃焼用空気を提供するという追加の利点が得られる。さらに、冷却された排気ガスもまた生じる。
【0012】
幾つかの実施形態では、流体流れ連通経路は、第1の流体への第2の流体の所定の量および比率のうちの少なくとも一方を提供するよう構成されている。
【0013】
二次燃焼用空気中への排気ガスの一部分の追加は、その燃焼用空気の酸素含有量を減少させるのを助けるとともに更に入口ガスの幾分かの追加の加温をもたらすのを助けることができる。しかしながら、プロセスガスの燃焼が所望量の酸化をもたらす場合にはこのガスの量を制御することが重要である。この点に関し、酸素減少空気を追加することにより、望ましくないNO
Xガスとなる窒素ガスの酸化量を減少させることができるが、存在する他のガスが酸化を必要とすることになる。かくして、酸素の減少量を制御することが重要であり、これは、二次燃焼用空気に追加される排気ガスの比率および/または量を制御することによって達成できる。
【0014】
幾つかの実施形態では、流体流れ連通経路は、第2の流体流路から第1の流体流路内のベンチュリ中に延びる較正流れ入口を有する。
【0015】
第1の流体に対するこの第2の流体の所定の比率を提供する一手法は、較正流れ入口を備えたベンチュリの使用による。ベンチュリは、可動部品を備えていない単純な装置であるという利点を有する。燃焼チャンバの近くの環境は、極めて高温であり、排気ガスは、酸性である場合がありかつ粒子を含む場合がある。かくして、これらの環境では、可動部品を備えた装置は、故障する場合がある。さらに、これら装置は、不便であると言える点検整備を必要とする場合がある。ベンチュリの使用によりこれらの欠点が回避され、またかかるベンチュリの使用は、所望の量の排気ガスを二次燃焼用流れに提供するという単純ではあるがエレガントな手法であり、それによりかかる排気ガス量を処理されるべき廃ガスに基づく較正流れ入口の選択によって定めることができる。
【0016】
幾つかの実施形態では、ベンチュリは、較正流れ入口に向いていて、増大した圧力状態にあるガスを受け入れるよう洗浄モードで動作可能な追加の入口を有し、増大した圧力状態にあるガスは、較正流れ入口から粒子を取り除くよう作用する。
【0017】
ベンチュリは、可動部品を備えておらず、したがって所要量の流体を提供する手堅いやり方であるが、ベンチュリは、流体が粒子を含む場合には閉塞状態になる場合がある。かくして、較正流れ入口を洗浄ガスのブラストで定期的に洗浄することができるよう較正流れ入口に面した入口を提供することが有利な場合があり、それにより、入口表面周りに堆積している場合のある粒子の除去が可能である。
【0018】
幾つかの実施形態では、第1の流体流路は、複数の管を有し、第2の流体流路は、別の管を有し、複数の管は、この別の管内に位置している。
【0019】
熱交換器は、2つの流体相互間の熱を交換することができる表面が設けられることを条件として、多くの仕方で設計することができるが、熱交換器を提供する都合の良い一手法は、加熱されるべき燃焼用空気である第1の流体を受け入れる複数の管を提供することによってであり、これら複数の管は、別の管内に位置し、排気ガスの流れを含む第2の流体がこの別の管を通って流れるようにする。このようにすると、排気ガスは、二次燃焼用空気を流通させる管を加熱する。注目されるべきこととして、2つの流体の流れ方向が互いに逆であり、その結果、最も高温の排気ガスが既に加熱された燃焼用空気に接触すれば望ましい。かくして、排気ガスは、バーナから見て遠くに位置する燃焼チャンバの端部から出ることができ、そしてバーナに向かって燃焼チャンバ壁に沿って移動することができ、これに対し、二次燃焼用空気は、バーナの近くの端部で入力されて排気ガス入口に向かって移動することができる。
【0020】
幾つかの実施形態では、処理装置は、燃焼チャンバおよび熱交換器の周りに配置された冷却ジャケットを有し、冷却ジャケットは、冷却用流体の流れを受け入れるよう構成され、熱交換器は、排気ガス流れが熱交換器の外周周りの互いに異なる配置場所に配置された複数の出力孔のところで冷却ジャケット内の冷却用流体に出力されるよう構成される。
【0021】
燃焼チャンバおよび熱交換器の外面を安全上の理由で冷却することが望ましい場合があり、かくして、冷却用空気であるのが良く冷却用空気であっても良い冷却用流体を保持する冷却ジャケットが燃焼チャンバおよび熱交換器の周りに配置されるのが良く、そして冷却用空気の流れがこれを通過するのが良い。燃焼チャンバから排出されるべき排気ガスは、この冷却用流体に出力されるのが良く、これにより、これらの温度が減少し、排気ガスを燃焼チャンバから、より安全な仕方でダクトの加熱具合を減少させた状態で導き出すことができる。さらに、排気ガスが互いに異なる円周方向場所に配置された複数の孔を経て冷却用流体に出力される場合、排気ガスは、冷却用流体と混合し、これによりダクトの局所加熱が回避されまたは少なくとも部分的に減少し、それにより広範な材料を用いてこれらダクトを形成することができ、しかも安全な使用が可能である。
【0022】
幾つかの実施形態では、複数の出力孔は、上述の別の管の円周方向外面周りに配置される。
【0023】
熱交換器が燃焼用空気を外側管内で流通させる複数の管を有し、排気ガスがこの外側管を通って流れる場合、排気ガスを出力する孔は、この別の管の円周方向外面に沿って配置されるのが良く、幾つかの場合、これら孔は、周囲に沿ってぐるりと螺旋状に配置されるのが良く、その結果、互いに異なる円周方向位置だけでなく別の長手方向位置においてもこれらの出力が行われ、それにより排気ガスと冷却用流体の混合が一段と促進される。
【0024】
幾つかの実施形態では、上述の別の管は、一端部で排気ガスを受け入れるよう構成され、複数の出力孔は、この別の管の他端部寄りに配置される。
【0025】
排気ガスは、出力に先立って熱交換器を通って流れるので、出力は、排気ガスの入口から見て遠くに位置する別の管の端部のところに位置することが望ましい場合があり、それにより二次燃焼用空気との熱の交換時間を得ることができる。
【0026】
幾つかの実施形態では、複数の管は、別の管内に配置された内側管に連結されていて、第1の流体は、複数の管から内側管に流れ、少なくとも1つの孔は、内側管の内面上に位置する複数の入口孔を含む。
【0027】
二次燃焼用空気は、チャンバ壁に設けられた孔を経て燃焼チャンバに出力されるのが良い。チャンバ壁は、パイプ状構造体の内面を形成するのが良く、二次燃焼用ガスは、熱交換器を出る際にこのパイプ状構造体中に出力される。
【0028】
幾つかの実施形態では、複数の入口孔は、燃焼チャンバの外面の長さに沿って複数のリングの状態に配置される。
【0029】
上述したように、燃焼チャンバ中への二次燃焼用空気の入力は、燃焼チャンバの温度を減少させるという望ましくない効果を有する場合があり、それにより火炎のクエンチングが生じるとともに、結果として粒子がバーナヘッド上に集まるようにする場合のある過度の乱流が生じる。しかしながら、燃焼中における二次燃焼用空気と廃ガスとの幾分かの混合は、二次燃焼用空気が望ましい効果を発揮するようにするためには必要とされる。したがって、この混合が過度の乱流なしで所望量の混合を影響するよう注意深く制御されることが重要である。複数の入口孔を燃焼チャンバの外面の長さに沿ってリング状に配置することにより、排気ガスの一部分を含む二次燃焼用空気を制御された箇所でかつ制御された仕方で入力することができる。さらに、ガスの予熱および排気ガスの所望の比率の入力により、二次燃焼用空気に所望の減少酸素レベルが与えられ、そしてこの二次燃焼用空気が増大した温度で得られる。これは、燃焼効率を向上させるとともに望ましくない乱流を減少させるよう更に作用する。
【0030】
幾つかの実施形態では、複数の入口孔は、燃焼チャンバの長さに沿って変化するサイズを有する。
【0031】
乱流および二次燃焼用空気と廃ガスの混合を制御する別の仕方は、二次燃焼用空気を燃焼チャンバに流入させる孔のサイズを変化させることである。このようにすると、二次燃焼用ガスの量および流れの注意深い制御が可能であり、これは、この場合もまた、乱流に影響を及ぼして望ましい流れをもたらすことができる。注目されるべきこととして、変化は、特定の設計および特定のプロセスに依存する。幾つかの場合、孔がバーナに近いところよりも排気出口のところに近い方が小さいように漸減サイズの孔を提供することが望ましい場合がある。
【0032】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの入口孔は、孔と関連した流体偏向要素を有する。
【0033】
この流体の流れの入力を制御する別の仕方は、フィンの形態を取るのが良くかつ流れを所要の方向に差し向けるよう設計できる流体偏向要素の使用によってである。幾つかの場合、これは、燃焼チャンバの壁に沿う流れをバーナヘッドから遠ざかるよう差し向けることであるのが良い。かかる流れは、より温度の高い中央領域に向かう廃ガスを維持するのを助ける燃焼チャンバの縁周りにカーテンを形成することができる。各孔と関連して流体偏向要素が設けられても良く、またはサブセット(部分的な集まり、subset)をなす孔と関連した流体偏向要素が設けられても良い。
【0034】
幾つかの実施形態では、廃ガスの燃焼中に生じる流体内の粒子がバーナに向かって偏向されてこれらバーナを汚すおそれを減少させるために、流体偏向要素は対応の入口によって出力される流体を偏向させてバーナから遠ざけるよう構成されている。この点に関し、従来、酸素が減少した燃焼用空気が排気ガスによって提供されている場合、これは、燃焼チャンバ内におけるこれらガスの再循環によって行われていた。これにより、必然的にバーナヘッドへの逆流が生じ、その結果ファウリングが増大した。排気ガスを燃焼チャンバへの流入前に二次燃焼用空気に追加することによって、この空気中の酸素の減少が燃焼チャンバ中への流入に先立って達成され、チャンバ内で燃焼用空気と排気ガスを混合させる必要性がなくなり、したがって排気ガスをバーナヘッドの方に送り戻してこれを燃焼用空気と混合させる必要性は、もはや存在しない。
【0035】
この処理装置は、多くの形式の燃焼チャンバで有利である場合があるが、バーナが直火バーナである場合に特に有利であり、というのは、バーナは、特に粒子によって閉塞状態になりがちだからである。
【0036】
さらに、バーナが複数のバーナヘッドを有する場合、燃焼チャンバ内における乱流により火炎が互いに相互作用し、一方によって生じた粒子が他方のバーナヘッドを汚し得るため、かかる構成例では、提案されている処理装置は、特に有利である。
【0037】
幾つかの実施形態では、排気ガス出口は、バーナとは反対側の燃焼チャンバの端部のところに位置する。
【0038】
上述したように、排気ガスがバーナヘッドから遠くに離れて保たれ、かくしてバーナと反対側の燃焼チャンバの端部のところに排気ガス出口を設けることにより、流れを出口の方へバーナから遠ざけて差し向けることができ、それによりバーナヘッドのファウリングを減少させることができれば、それが望ましい。
【0039】
熱交換器は、燃焼チャンバから見て遠くに配置されるのが良いが、熱交換器は、燃焼チャンバの周りに配置されても有利であり、というのは、これによりコンパクトなシステムが提供され、しかも燃焼チャンバの熱が二次燃焼用空気の幾分かの加熱をもたらすことができ、そして二次燃焼用空気は、燃焼チャンバの外側部分の幾分かの冷却をもたらすことができるからである。
【0040】
本発明の第2の観点では、燃焼チャンバ内のバーナを用いて廃ガスを処理する方法であって、この方法は、入口のところで二次燃焼用空気を受け入れるステップと、二次燃焼用空気を熱交換器内の第1の流体流路に通して、第1および第2の流体流路をそれぞれ通って流れる第1の流体と第2の流体との間で熱を交換するステップと、燃焼チャンバからの排気ガスを熱交換器内の第2の流体流路に通すステップとを含み、熱交換器は、熱交換器を通って流れている第2の流体の一部分が第1の流体中に流れるよう第1の流体と第2の流体との間に位置する流れ連結経路を有し、この方法は、第1の流体を複数の孔から燃焼チャンバに入力するステップを更に含むことを特徴とする方法が提供される。
【0041】
別の特定のかつ好ましい観点が添付の独立形式および従属形式の請求項に記載されている。従属形式の請求項の特徴を適宜、そして特許請求の範囲に明示的に記載されている組み合わせ以外の組み合わせで独立形式の請求項の特徴と組み合わせることができる。
【0042】
機能を実行するよう動作可能であるものとして装置の特徴を説明したが、かかる装置特徴は、その機能をもたらしあるいはその機能をもたらすようになっておりまたは構成されている装置特徴を含むことは理解されよう。
【0043】
次に、添付の図面を参照して本発明の実施形態について更に説明する。