特許第6987070号(P6987070)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許69870704−((6−(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロ−2−オキソエチル)ピリジン−3−イル)オキシ)ベンゾニトリル及び製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987070
(24)【登録日】2021年12月2日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】4−((6−(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロ−2−オキソエチル)ピリジン−3−イル)オキシ)ベンゾニトリル及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/65 20060101AFI20211213BHJP
【FI】
   C07D213/65CSP
【請求項の数】21
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-545127(P2018-545127)
(86)(22)【出願日】2016年11月17日
(65)【公表番号】特表2018-535262(P2018-535262A)
(43)【公表日】2018年11月29日
(86)【国際出願番号】US2016062405
(87)【国際公開番号】WO2017087597
(87)【国際公開日】20170526
【審査請求日】2019年11月8日
(31)【優先権主張番号】62/256,399
(32)【優先日】2015年11月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501035309
【氏名又は名称】コルテバ アグリサイエンス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ハオ
(72)【発明者】
【氏名】サラ・ライアン
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・ホワイトカー
【審査官】 二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−517068(JP,A)
【文献】 特表2014−518220(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/143142(WO,A1)
【文献】 特表2004−521077(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/043376(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/143192(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/193974(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/037534(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/049304(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/007910(WO,A1)
【文献】 特表2018−522821(JP,A)
【文献】 Kitazume, Tomoya; Kataoka, Junichi,Study on the effect of di- and trifluoromethyl groups on the Baeyer-Villiger reaction,Journal of Fluorine Chemistry ,1996年,80(2),,157-158
【文献】 ISHIDA ET AL.,Synthesis of Pyridine-N-oxide-Borane Intramolecular Complexes by Palladium- Catalyzed Reaction of 2-Bromopyridine-N-oxides with Alkynyltriarylborates.,ORGANIC LETTERS,2011年,vol. 13, no. 12,3008 - 3011
【文献】 KRASOVSKIY ET AL.,A LiCl-Mediated Br/Mg Exchange Reaction for the Preparation of Functionalized Aryl- and Heteroarylmagnesium Compounds from Organic Bromides.,ANGEW. CHEM. INT. ED.,,2004年,vol. 43,3333 - 3336
【文献】 Matsui, Masaki; Yamada, Kaede; Funabiki, Kazumasa,Hemiacetal and hemiaminal formation at fluoroacyl moiety,Tetrahedron,2005年,61(19),4671-4677
【文献】 日本薬学会編,知っておきたい有機反応100,第1版,2006年,pp. 120-121
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 213/65
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
の化合物の製造方法であって、式II:
【化2】
の化合物を、1−ブロモ−2,4−ジフルオロベンゼンと金属又は有機金属試薬とを混合することによって形成される混合物、及び酸と接触させて、式IIa:
【化3】
のヘミケタール中間体を生成させる工程、及びこの式IIaのヘミケタール中間体を単離した後、酸または熱を加えて式Iの化合物を得る工程を含む、方法。
【請求項2】
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、トルエン、ジオキサン、メチルt−ブチルエーテル、及びこれらの混合物から選択される非プロトン性溶媒をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属がマグネシウムであり、前記有機金属試薬がアルキルリチウム又はアルキルマグネシウムハライドである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
アルキルリチウムがn−ブチルリチウムであり、アルキルマグネシウムハライドがイソプロピルマグネシウムクロライドである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記接触が、−80℃〜50℃の間で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
式IIの化合物と接触する前記酸が、HCl、HBr、HSO、HPO、HNO、酢酸、及びトリフルオロ酢酸を含む群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
式III:
【化4】
の化合物を、エチル2−ブロモ−2,2−ジフルオロアセテート及び金属と接触させて、式IIの化合物を調製する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記金属が銅である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
DMSO、DMF、THF、NMP、及びこれらの混合物を含む群から選択される溶媒をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記接触が、20℃〜100℃の間で実施される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
式IV:
【化5】
の化合物を、4−フルオロベンゾニトリル又は4−ニトロベンゾニトリル、及び塩基と接触させて、式IIIの化合物を調製する工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記塩基が、炭酸セシウム及び炭酸カリウムから選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記式IVの化合物を4−フルオロベンゾニトリル又は4−ニトロベンゾニトリル、及び塩基と接触させる工程が、溶媒をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒が、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、及びこれらの混合物を含む群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記式IVの化合物を4−フルオロベンゾニトリル又は4−ニトロベンゾニトリル、及び塩基と接触させる工程が、20℃〜120℃の温度で実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
式V:
【化6】
の化合物を、マグネシウム−ハロゲン交換試薬、ホウ酸エステル、及び酸化剤と接触させて、式IVの化合物を調製する工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記マグネシウム−ハロゲン交換試薬が、iso−プロピルマグネシウムクロライドである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ホウ酸エステルが、B(OMe)、B(OEt)、及びB(Oi−Pr)を含む群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記酸化剤が、過酸化水素、過酢酸、並びに過酸化水素及び酢酸の混合物を含む群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、メチルt−ブチルエーテル、ジオキサン、及びこれらの混合物を含む群から選択される溶媒をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
下記式:
【化7】
の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年11月17日に出願された米国特許仮出願第62/256,399号に基づく優先権を主張し、その全体を参照により本明細書に組み入れる。
本明細書は、4−((6−(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロ−2−オキソエチル)ピリジン−3−イル)オキシ)ベンゾニトリル及びその製造方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願第13/527,387号、第13/527,426号、及び第13/528,283号には、とりわけ、特定のメタロエンザイム阻害化合物及びその殺菌剤としての使用が記載されている。これらの各特許出願の開示を、参照により本明細書に明示的に組み入れる。これらの各出願には、メタロエンザイムを阻害する殺菌剤を生じさせる様々なルートが記載されている。メタロエンザイムを阻害する殺菌剤及び関連する化合物を調製するための直接的かつ効果的な方法を、例えば改善された時間的及び費用的効率をもたらす試薬及び/又は化学中間体を使用することによって、提供することが有利となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願第13/527,387号明細書
【特許文献2】米国特許出願第13/527,426号明細書
【特許文献3】米国特許出願第13/528,283号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書は、4−((6−(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロ−2−オキソエチル)ピリジン−3−イル)オキシ)ベンゾニトリル(I)及びその製造方法を開示する。本明細書で開示する1つの実施態様では、式I:
【化1】
の化合物の調製方法であって、式II:
【化2】
の化合物を、1−ブロモ−2,4−ジフルオロベンゼンと金属又は有機金属試薬とを混合することによって形成される混合物、及び酸と接触させる工程を含む方法を提供する。
【0005】
別の実施態様では、式III:
【化3】
の化合物を、エチル2−ブロモ−2,2−ジフルオロアセテート及び金属と接触させることによって、式IIの化合物を調製することができる。
【0006】
別の実施態様では、式IV:
【化4】
の化合物を、4−フルオロベンゾニトリル又は4−ニトロベンゾニトリル、及び塩基と接触させることによって、式IIIの化合物を調製することができる。
【0007】
別の実施態様では、式V:
【化5】
の化合物を、マグネシウム−ハロゲン交換試薬、ホウ酸エステル、及び酸化剤と接触させることによって、式IVの化合物を調製することができる。
【0008】
用語「ヒドロキシル」は、―OH置換基を指す。
【0009】
用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、F、Cl、Br、及びIとして定義される、1つ以上のハロゲン原子を指す。
【0010】
用語「有機金属」は、金属を含有する有機化合物、特に金属原子が直接炭素原子に結合した化合物を指す。
【0011】
室温(RT)は、本明細書において、約20℃〜約25℃として定義される。
【0012】
本明細書に開示された特定の化合物は、1つ以上の異性体として存在し得る。1つの異性体が他の異性体よりも活性である場合があることが当業者に理解されるであろう。本開示に記載された構造は、明確のために1つだけの幾何異性体で描かれているが、その分子の全ての幾何形態及び互変異性形態を代表することが意図されている。
【0013】
上述した実施態様は、単に例示することを意図したものであり、当業者であれば、特定の方法、材料、及び手順と等価なものが多様に存在することを理解し、あるいは日常的な範囲を超えない試験によって確認することができる。そのような等価なものの全ては、本発明の範囲内であり、添付の特許請求の範囲に包含される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
4−((6−(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロ−2−オキソエチル)ピリジン−3−イル)オキシ)ベンゾニトリル(I)は、本明細書に開示され、2,5−ジブロモピリジン(V)から実施例1〜4に示すとおりに調製することができる。
【化6】
【実施例】
【0015】
[実施例1]:6−ブロモピリジン-3−オール(IV)の調製
【化7】
機械的攪拌機、熱電対、及び窒素注入口を備えた250 mLの三つ口フラスコ内、窒素下で、2,5−ジブロモピリジン(V)(9.98 g, 42.1 mmol)を、53 mLの無水THFに溶解させた。淡黄褐色溶液が形成された。エーテル中2Mのi-PrMgCl (23 mL)を、シリンジを介して3分間かけて添加した。約50%のこのグリニャール溶液が添加された時点で、茶色の懸濁液が形成された。i-PrMgClの添加により、発熱が生じ、36℃にまで昇温した。90分間撹拌した後、懸濁液を2℃に冷却し、ニート(neat)のホウ酸トリメチルを、シリンジによって迅速に添加した。この反応は6℃にまで発熱した。氷浴を外した。一晩撹拌した後、氷酢酸(3.79 g)を添加したところ、全ての固体が溶解し、暗茶色の溶液が形成された。この溶液を氷浴で冷却し、5.25 g の30%過酸化水素(酸化剤)を、反応温度が12℃を超えないで保たれる速度で、滴下により添加した。この反応混合物を、90分間撹拌した後、ジエチルエーテル(150 mL)及び水(100 mL)を添加した。水相を分離し、エーテルで抽出した(2 × 100 mL)。合わせた有機相を、100 mLの10%亜硫酸水素ナトリウム溶液、次いで塩水で洗浄した。抽出液を無水にし(MgSO4)、ロータリーエバポレーターで蒸発させて、静置により黄褐色固体を形成する茶色オイルを得た(7.95 g)。粗生成物を、15 gのセライト(登録商標)に吸着させ、220 gのシリカカラム及びヘキサン/EtOAc勾配(gradient)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。フラクションを蒸発させて、4.81 g (収率66%)の灰白色固体を得た。NMRスペクトルは、6-ブロモ-3-ピリジノールの真正試料のものと同一であった。
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ:10.24 (s, 1H), 7.94 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.42 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.17 (dd, J = 3.0, 8.6 Hz, 1H);
13C NMR (DMSO-d6, 101 MHz) δ:153.74, 138.13, 129.30, 128.14, 126.21.
【0016】
実施例1に例示した方法は、追加のグリニャール試薬、例えば、EtMgX、MeMgX、i−PrMgX、n−BuMgX、又はPhMgX(式中、XはCl又はBrである)等を用いて実施してもよい。記載したこの方法は、グリニャール試薬、例えば、金属−ハロゲン交換試薬(例えば、n−BuLi等)の存在下のn−BuMgX等を用いて実施してもよい。記載したこの方法は、代替的なホウ酸エステル、例えば、B(OEt)又はB(Oi−Pr)等を用いて実施してもよい。この方法に用いる溶媒には、THF、2−MeTHF、MTBE、及びジオキサンから選択されるものが含まれる。
【0017】
実施例1に例示される方法において用いる酸化剤は、過酸化水素、過酢酸、並びに過酸化水素及び酢酸の混合物を含む群から選択され得る。
【0018】
[実施例2]:4−(6−ブロモピリジン-3−イル)オキシ)ベンゾニトリル(III)の調製
【化8】
【0019】
[方法A]:250 mLフラスコに、6-ブロモピリジン-3-オール(IV) (10 g, 57.5 mmol)、4-フルオロベンゾニトリル(8.35 g, 69.0 mmol)、炭酸カリウム(15.89 g, 115 mmol)、及びDMF (50 mL)を入れた。この反応物を、90℃にて20時間加熱した。20時間後に、HPLC分析によって、反応が完結したことが示された。この反応混合物を、20℃に放冷した後、さらに0℃に冷却した。その内部の温度を15℃未満に維持しながら、水 (150 mL)を添加した(水の添加の際に発熱する)。得られた懸濁液を、20℃で1時間撹拌し、ろ過した。ろ過ケーキを、水(2 × 25 mL)で洗浄して、白色固体を得た。この固体を95%エタノール(65 mL)に懸濁させ、75℃に加熱して、透明な溶液を得た。この溶液を1時間かけて20℃に冷却し、得られた白色懸濁液を20℃にて2時間撹拌した。この懸濁液をろ過し、固体を95%エタノール(2 × 10 mL)でリンス(rinse)した。固体を真空で乾燥して、所望の生成物を白色固体として得た(13.2 g、収率83%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ:8.22 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.73 - 7.63 (m, 2H), 7.53 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.33 - 7.23 (m, 1H), 7.14 - 7.00 (m, 2H);
13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ:160.13, 151.47, 142.54, 136.81, 134.47, 130.10, 129.12, 118.33, 118.23, 107.56;
ESIMS: m/z 277.1 ([M+H]+).
【0020】
[方法B]:250-mL の丸底フラスコに、6-ブロモピリジン-3-オール(IV) (10 g, 57.5 mmol)、4-ニトロベンゾニトリル(8.94 g, 60.3 mmol)、炭酸カリウム(15.9 g, 114.9 mmol)、及びDMF (30 mL)を入れた。この反応物を、90℃にて18時間加熱した。18時間後に、HPLC分析によって、反応が完結したことが示された。この反応物を、20℃に放冷した後、50℃未満で、水 (90 mL)で希釈した。得られた懸濁液を、1時間撹拌し、ろ過した。ろ過ケーキを、水(2 × 50 mL)で洗浄して、灰白色固体を得た。得られた固体をEtOH(40 mL)に懸濁させ、75℃に加熱して、透明な溶液を得た。この溶液を2時間かけて20℃に冷却し、得られた白色懸濁液を20℃にて2時間撹拌し、この温度で1時間撹拌した。得られた懸濁液をろ過し、ろ過ケーキを95%EtOH(2 × 10 mL)でリンスした。このろ過ケーキを乾燥して、所望の生成物を白色固体として得た(12.9 g、収率82%)。
mp: 116〜119 °C.
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ:8.22 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.67 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.53 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.29 (dd, J = 8.7, 2.9 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 8.8 Hz, 2H).
13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ:160.13, 151.47, 142.55, 136.81, 134.48, 130.13, 129.13, 118.34, 107.55.
ESIMS: m/z 277.0 ([M+H]+).
【0021】
実施例2で例示されるこの方法は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、及びN−メチル−2−ピロリドン(NMP)の1つ以上から選択される溶媒中、塩基、
例えば、金属カーボネート(例えば、炭酸カリウム及び炭酸セシウム等)、水素化金属(例えば、NaH等)、水酸化金属(例えば、NaOH及びKOH)、及び重炭酸金属塩が含まれ得る塩基を用いて実施することができる。
【0022】
実施例2で例示されるこの方法は、室温から約120℃の間の温度で実施することができる。
【0023】
[実施例3]:エチル2−(5−(4−シアノフェノキシ)ピリジン-2−イル)-2,2−ジフルオロアセテート(II)の調製
【化9】
【0024】
[方法A]:エチル 2-ブロモ-2,2-ジフルオロアセテート(12.27 mL, 94 mmol)及び銅粉(14〜25 μm, 9.60 g, 151 mmol)を、窒素下で、4-((6-ブロモピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(III) (20 g, 72.0 mmol)のDMF (140 mL)中の溶液に添加した。得られた茶色の懸濁液を、窒素下で、60℃にて18時間加熱した。この時点で、HPLC分析により反応が完結したことが示された。この混合物を、20℃に冷却し、MTBE (280 mL)を添加した。得られた混合物を、10分間撹拌し、セライト(登録商標)パッドを通してろ過した。このセライト(登録商標)パッドをMTBE (2×140 mL)でリンスした。ろ液を、飽和NH4Cl(200 mL)、塩水(3×140 mL)、及び水 (2×140 mL)で洗浄した。有機相を、無水Na2SO4で無水にし、ろ過し、濃縮して、粗生成物を、淡茶色オイル (21 g, 92%)として、次の工程に直接使用するために十分な純度で得た。この粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(10〜20% EtOAc/ヘキサン)によってさらに精製して、所望の生成物を白色固体として得た(16 g, 収率70%)。
mp 45〜48 °C.
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ:8.44 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.79 (dd, J = 8.6, 0.7 Hz, 1H), 7.73 - 7.66 (m, 2H), 7.49 (dd, J = 8.6, 2.7 Hz, 1H), 7.14 - 7.08 (m, 2H), 4.40 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 1.36 (t, J = 7.1 Hz, 3H);
ESIMS m/z 319.1 ([M+H]+).
【0025】
[方法B]:15 Lのジャケット型反応器に、窒素下で、4-((6-ブロモピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(III) (900 g, 3173 mmol)、エチル2-ブロモ-2,2-ジフルオロアセテート(541 mL, 4125 mmol)、銅 (423 g, 6664 mmol)、及びDMSO (4500 mL)を添加して、茶色の懸濁液を得た。この反応物を、40℃で8時間加熱した。この時点で、HPLC分析により、反応が完結したことが示された。これを、20℃に冷却し、MTBE (4000 mL)を添加した。この混合物を、30分間撹拌し、セライト(登録商標)パッドを通してろ過した。このフィルターパッドをMTBE (2×1000 mL)でリンスし、合わせたろ液を、塩水 (3×2000 mL)で洗浄した。最初の水性相を、MTBE (2×1000mL)で抽出した。合わせた有機相を、飽和NH4Cl溶液(2×2000 mL)、及び塩水 (3×2000 mL)で洗浄し、濃縮して、所望の生成物を、茶色オイルとして得た(1030 g, 収率96%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ:8.44 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.79 (dd, J = 8.6, 0.7 Hz, 1H), 7.73 - 7.66 (m, 2H), 7.49 (dd, J = 8.6, 2.7 Hz, 1H), 7.14 - 7.08 (m, 2H), 4.40 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 1.36 (t, J = 7.1 Hz, 3H)
【0026】
実施例3で例示されるこの方法は、DMSO、DMF、THF、及びNMPから選択される溶媒中で、金属、例えば銅等を用いて実施することができる。
【0027】
実施例3で例示されるこの方法は、室温から約100℃の間で実施することができる。
【0028】
[実施例4]:4−((6−(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロ−2−オキソエチル)ピリジン−3−イル)オキシ)ベンゾニトリル(I)の調製
【化10】
【0029】
[方法A]:削り状のMg(3.47 g, 143 mmol)のTHF (250 mL)中の懸濁液を、窒素下で35℃に加熱した。1-ブロモ-2,4-ジフルオロベンゼンの一部(1 mL, 8.85 mmol)をこの反応器に添加し、得られた混合物を35℃にて30分加熱して、反応を開始させた。この反応混合物を30℃に冷却し、残りの1-ブロモ-2,4-ジフルオロベンゼン(16.4 mL, 145.15 mmol)を28〜32℃にて30分かけて反応器に添加した。この反応液を30℃にて2時間撹拌した。この時点で、Mgの完全な消費が観察された。この反応液を0℃未満に冷却し、エチル2-(5-(4-シアノフェノキシ)ピリジン-2-イル)-2,2-ジフルオロアセテート(II) (35 g, 110 mmol)のTHF (100 mL)中の溶液を、5℃未満で30分かけて添加した。この反応物を、0℃にて1時間撹拌し、10℃未満の2N HCL溶液(150 mL)に注ぎ入れて反応を停止させた(pH = 1〜2)。この反応物を20℃にて18時間撹拌した。この時点で、HPLC分析により、約10%のヘミケタール中間体(IIa)がまだ残存していることが示された。この反応物を30℃にて5時間撹拌した。この時点で、HPLC分析により、ヘミケタール中間体が十分に消費されたことが示された。相を分離し、水性相をEtOAc (100 mL)で抽出した。合わせた有機層を、飽和NaHCO3溶液(100 mL)で洗浄し、無水Na2SO4で無水にし、濾過し、濃縮して、淡黄褐色固体 (45.6 g)を得た。この固体を、60℃にてEtOAc (60 mL)に溶解させ、ヘプタン(100 mL)を添加した。この混合物に種晶を入れ、20℃にて18時間撹拌して、懸濁液を得た。この懸濁液を濾過し、固体を乾燥させて、所望の生成物(I)を白色固体(25.5 g)として得た。濾液を濃縮し、MTBE (50 mL)及びヘプタン(100 mL)から再結晶させて、乾燥した後で、淡茶色の固体(14.1 g)を得た。合わせた収率は90%であった。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ:8.37 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.08 (td, J = 8.4, 6.4 Hz, 1H), 7.87 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.75 - 7.66 (m, 2H), 7.54 (dd, J = 8.6, 2.8 Hz, 1H), 7.17 - 7.08 (m, 2H), 7.01 (dddd, J = 8.6, 7.6, 2.5, 0.9 Hz, 1H), 6.84 (ddd, J = 11.0, 8.6, 2.4 Hz, 1H);
ESIMS m/z 387.0 ([M+H]+).
【0030】
[方法B]:削り状のMg(107 g, 4.3 mol)のTHF (6000 mL)中の懸濁液を、窒素下で35℃に加熱した。1-ブロモ-2,4-ジフルオロベンゼンの一部(32 mL, 0.28 mol)をこの反応器に35℃で添加し、得られた混合物を35℃にて30分加熱して、反応を開始させた。この反応混合物を15℃に冷却し、残りの1-ブロモ-2,4-ジフルオロベンゼン(500 mL, 4.45 mol)を15〜20℃にて80分かけて反応器に添加した。この反応液を20℃にて1時間撹拌し、-20℃に冷却した。エチル2-(5-(4-シアノフェノキシ)ピリジン-2-イル)-2,2-ジフルオロアセテート(II) (1052 g, 3.07 mol)のTHF (100 mL)中の溶液を、-5℃未満で40分かけて添加した。容器及び滴下漏斗をTHF (200 mL)を用いてリンスし、リンス溶媒を反応液に添加した。この反応物を、-20℃にて2時間撹拌した後、10℃未満の4N HCL溶液(1500 mL)に注ぎ入れて反応を停止させた。この反応物を20℃に自然に戻し、16時間撹拌した。この時点で、HPLC分析により、反応が完結したことが示された。相を分離し、水性相をMTBE (3×400 mL)で抽出した。合わせた有機層を、飽和NaHCO3溶液(2×1000 mL)、塩水(2×1000 mL)、及び水(1000 mL)で洗浄した。有機層を無水にし、濾過し、濃縮して、茶色固体(1264 g)を得た。得られた固体を、3:1 ヘプタン/MTBE (1000 mL)に懸濁させ、60℃にて1時間加熱した。得られた懸濁液を周囲温度に冷却し、濾過して、所望の生成物(I)を、乾燥した後、黄褐色固体として得た(1080 g、収率86%)。単離した生成物の分析結果は、上で得られた試料のものと一致した。
【0031】
実施例4で例示されるこの方法は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、トルエン、ジオキサン、及びメチルt−ブチルエーテル(MTBE)のうちの1つ以上から選択される非プロトン性溶媒である溶媒中で実施することができる。
【0032】
実施例4で例示されるこの方法は、有機金属試薬〔2,4−ジフルオロ−1−ブロモベンゼンと、マグネシウム及びアルキルリチウム試薬(例えば、n−ブチルリチウム等)のうちの1つとの反応によって形成されたアリールグリニャール試薬又はアリールリチウム試薬のいずれかであるもの〕、又はグリニャール試薬(例えば、イソプロピルマグネシウムクロライド等)を用いて実施することができる。
【0033】
実施例4で例示されるこの方法は、約−80℃から約50℃の間で実施することができる。
【0034】
式IIaのヘミケタールは、特定の反応条件下で式Iの化合物を調製する方法(例えば、実施例5を参照)において、中間体として単離することができる。この式IIaのヘミケタールに酸を添加する(例えば、実施例6を参照)か、あるいはこれを高温に加熱する(例えば、実施例7を参照)と、所望の式Iの生成物に結果として変換される。
【0035】
実施例4で例示されるこの方法に用いるために好適な酸には、HCl、HBr、HSO、HPO、HNO、酢酸、トリフルオロ酢酸、及びこれらの混合物が含まれる。
【0036】
[実施例5]:4−((6−(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−エトキシ−1,1−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル)ピリジン−3−イル)オキシ)ベンゾニトリル(IIa)の調製
【化11】
削り状のMg(0.458 g, 18.85 mmol)のTHF (25 mL)中の懸濁液を、窒素下で35℃に加熱した。1-ブロモ-2,4-ジフルオロベンゼンの一部(0.25 mL, 2.99 mmol)をこの反応器に添加し、得られた混合物を35℃にて30分加熱して、反応を開始させた。この反応混合物を30℃に冷却し、残りの1-ブロモ-2,4-ジフルオロベンゼン(1.46 mL, 17.43 mmol)を35℃未満で反応器に添加した。この反応液を30℃にて2時間撹拌した。この時点で、Mgの完全な消費が観察された。この反応液を0℃未満に冷却し、エチル2-(5-(4-シアノフェノキシ)ピリジン-2-イル)-2,2-ジフルオロアセテート(II) (5.0 g, 15.71 mmol)のTHF (25 mL)中の溶液を、5℃未満で添加した。この反応物を、0℃にて1時間撹拌し、10℃未満の2N HCL溶液(24 mL)に注ぎ入れて反応を停止させた。この反応物を水 (30 mL)で希釈し、EtOAc (50 mL)で抽出した。有機相を濃縮して、半固体を得た。この粗生成物を、EtOAc (5 mL)に加熱により溶解させ、ヘプタン(40 mL)を15分かけて添加して、黄色懸濁液を得た。この混合物を20℃にて1時間撹拌し、濾過した。固体をヘプタン (2 × 10 mL)でリンスし、空気乾燥して、所望の生成物を黄色固体として得た(5.1 g、収率75%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ:8.43 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.89 - 7.77 (m, 2H), 7.75 - 7.67 (m, 2H), 7.59 - 7.49 (m, 1H), 7.25 (s, 1H), 7.17 - 7.10 (m, 2H), 6.95 (tdd, J = 8.7, 2.6, 0.9 Hz, 1H), 6.85 (ddd, J = 11.4, 8.9, 2.6 Hz, 1H), 3.66 (dq, J = 9.6, 7.1 Hz, 1H), 3.33 (dq, J = 9.6, 7.0 Hz, 1H), 1.04 (t, J = 7.1 Hz, 3H);
ESIMS m/z 433.1 ([M+H]+).
【0037】
[実施例6]:4−((6−(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロ−2−オキソエチル)ピリジン−3−イル)オキシ)ベンゾニトリル(I)の調製
【化12】
4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-エトキシ-1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエチル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(IIa) (200 mg, 0.463 mmol)を、2 N HCl (1 mL)及びTHF (2 mL)に溶解させ、20℃で18時間撹拌した。これを、NaHCO3で、pH 6〜7に中性化し、EtOAcで抽出した。有機相を濃縮して乾燥させて、所望の生成物を黄色オイルとして得た。単離した生成物の分析結果は、以前に得られた試料のものと一致した。
【0038】
[実施例7]:4−((6−(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロ−2−オキソエチル)ピリジン−3−イル)オキシ)ベンゾニトリル(I)の調製
【化13】
4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-エトキシ-1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエチル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(IIa) (8.8 g, 20.35 mmol)を、トルエン(30 mL)に懸濁させ、105℃にて8時間加熱した。これを、20℃に冷却し、減圧下で濃縮して、黄色オイルを得た。この残渣をEtOAc(8 mL)に溶解させ、ヘプタン(64 mL)を添加した。この混合物を2時間撹拌し、濾過した。濾過ケーキを、ヘプタン(2 × 20 mL)でリンスし、乾燥させて、淡黄色固体を得た(5.8 g、収率74%)。単離した生成物の分析結果は、上で得られた試料のものと一致した。