(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記熱電素材層及び前記第1接合層との間の境界面から前記第1接合層及び前記第1メッキ層との間の境界面までのTeの重量比の変化率は、0.8〜1であることを特徴とする、請求項1に記載の熱電レグ。
前記熱電素材層は、アンチモン(Sb)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、鉛(Pb)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、テルル(Te)、ビスマス(Bi)及びインジウム(In)のうち少なくとも一つをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱電レグ。
前記熱電素材層の中心から前記熱電素材層と前記第1接合層との間の境界面までのTeの重量比の変化率は、0.9〜1であることを特徴とする、請求項1に記載の熱電レグ。
前記第1メッキ層及び前記第2メッキ層のうち少なくとも一つは、それぞれNi、Sn、Ti、Fe、Sb、Cr及びMoのうち少なくとも一つの金属を含むことを特徴とする、請求項2に記載の熱電レグ。
前記第1接合層及び前記第2接合層のうち少なくとも一つは、前記第1メッキ層及び前記第2メッキ層から選択された少なくとも一つの金属を含むことを特徴とする、請求項6に記載の熱電レグ。
前記第1接合層と前記第1メッキ層との間の境界面及び前記第2接合層と前記第2メッキ層との間の境界面のうち少なくとも一つのTeの重量比は、前記熱電素材層の中心のTeの重量比の0.9〜1倍であることを特徴とする、請求項1に記載の熱電レグ。
前記第1接合層と前記第1メッキ層との間の境界面及び前記第2接合層と前記第2メッキ層との間の境界面のうち少なくとも一つのTeの重量比は、前記熱電素材層の中心のTeの重量比の0.95〜1倍であることを特徴とする、請求項1に記載の熱電レグ。
前記熱電素材層及び前記第1接合層との間の境界面から前記第1接合層及び前記第1メッキ層との間の境界面までのTeの重量比の変化率は、0.8〜1であることを特徴とする、請求項14に記載の熱電素子。
前記熱電素材層は、アンチモン(Sb)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、鉛(Pb)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、テルル(Te)、ビスマス(Bi)及びインジウム(In)のうち少なくとも一つをさらに含むことを特徴とする、請求項14〜請求項16のいずれか一項に記載の熱電素子。
前記第1メッキ層及び前記第2メッキ層のうち少なくとも一つは、それぞれNi、Sn、Ti、Fe、Sb、Cr及びMoのうち少なくとも一つの金属を含むことを特徴とする、請求項15に記載の熱電素子。
前記第1接合層及び前記第2接合層のうち少なくとも一つは、前記第1メッキ層及び前記第2メッキ層から選択された少なくとも一つの金属を含むことを特徴とする、請求項19に記載の熱電素子。
前記第1接合層と前記第1メッキ層との間の境界面及び前記第2接合層と前記第2メッキ層との間の境界面のうち少なくとも一つのTeの重量比は、前記熱電素材層の中心のTeの重量比の0.9〜1倍であることを特徴とする、請求項14に記載の熱電素子。
前記第1接合層と前記第1メッキ層との間の境界面及び前記第2接合層と前記第2メッキ層との間の境界面のうち少なくとも一つのTeの重量比は、前記熱電素材層の中心のTeの重量比の0.95〜1倍であることを特徴とする、請求項14に記載の熱電素子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が達成しようとする技術的課題は、熱電性能に優れた熱電素子及びこれに含まれる熱電レグを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施例による熱電レグは、Bi及びTeを含む熱電素材層と、前記熱電素材層の一面及び前記一面の他の面上にそれぞれ配置される第1金属層及び第2金属層と、前記熱電素材層と前記第1金属層との間に配置され、前記Teを含む第1接合層及び前記熱電素材層と前記第2金属層との間に配置され、前記Teを含む第2接合層と、前記第1金属層と前記第1接合層との間に配置される第1メッキ層及び前記第2金属層と前記第2接合層との間に配置される第2メッキ層と、を含み、前記熱電素材層は、前記第1金属層及び前記第2金属層との間に配置され、前記熱電素材層の中心面から前記熱電素材層と前記第1接合層との間の境界面まで前記Te含量は前記Bi含量より高く、前記熱電素材層の中心面から前記熱電素材層と前記第2接合層との間の境界面まで前記Te含量は前記Bi含量より高い。
【0010】
前記熱電素材層の中心面から前記熱電素材層と前記第1接合層との間の境界面内の所定地点での前記Te含量は、前記熱電素材層の中心面のTe含量に対して0.8倍〜1倍であってもよい。
【0011】
前記第1接合層のTe含量は、前記熱電素材層のTe含量の0.8倍〜1倍であってもよい。
【0012】
前記熱電素材層と前記第1接合層との間の境界面から前記第1接合層と前記第1メッキ層との間の境界面までのTe含量は、同一であってもよい。
【0013】
前記熱電素材層と前記第1接合層との間の境界面から前記熱電素材層の中心面の方向に100μm厚さ内の所定地点でのTe含量は、前記熱電素材層の中心面のTe含量に対して0.8倍〜1倍であってもよい。
【0014】
前記第1メッキ層及び前記第2メッキ層のうち少なくとも一つは、それぞれNi、Sn、Ti、Fe、Sb、Cr及びMoのうち少なくとも一つの金属を含んでいてもよい。
【0015】
前記第1接合層及び前記第2接合層のうち少なくとも一つは、前記第1メッキ層及び前記第2メッキ層から選択された少なくとも一つの金属をさらに含んでいてもよい。
【0016】
前記第1金属層及び前記第2金属層のうち少なくとも一つは、銅、銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金から選択されることができる。
【0017】
前記第1接合層及び前記第2接合層のうち少なくとも一つの前記Te含量は、前記熱電素材層のTe含量の0.9〜1倍であってもよい。
【0018】
前記第1接合層及び前記第2接合層のうち少なくとも一つの前記Te含量は、前記熱電素材層のTe含量の0.95〜1倍であってもよい。
【0019】
前記第1メッキ層の厚さは、1μm〜20μmであってもよい。
【0020】
前記熱電素材層と前記第1接合層は互いに直接接触し、前記熱電素材層と前記第2接合層は互いに直接接触することができる。
【0021】
前記第1接合層と前記第1メッキ層は互いに直接接触し、前記第2接合層と前記第2メッキ層は互いに直接接触することができる。
【0022】
前記第1メッキ層と前記第1金属層は互いに直接接触し、前記第2メッキ層と前記第2金属層は互いに直接接触することができる。
【0023】
本発明の一実施例による熱電素子は、第1基板と、前記第1基板上に相互に配置される複数のP型熱電レグ及び複数のN型熱電レグと、前記複数のP型熱電レグ及び前記複数のN型熱電レグ上に配置される第2基板と、前記複数のP型熱電レグ及び前記複数のN型熱電レグを直列連結する複数の電極と、を含み、前記複数のP型熱電レグ及び前記複数のN型熱電レグは、それぞれBi及びTeを含む熱電素材層と、前記熱電素材層の一面及び前記一面の他の面上にそれぞれ配置される第1金属層及び第2金属層と、前記熱電素材層と前記第1金属層との間に配置され、前記Teを含む第1接合層及び前記熱電素材層と前記第2金属層との間に配置され、前記Teを含む第2接合層と、前記第1金属層と前記第1接合層との間に配置される第1メッキ層及び前記第2金属層と前記第2接合層との間に配置される第2メッキ層と、を含み、前記熱電素材層は、前記第1金属層及び前記第2金属層との間に配置され、前記熱電素材層の中心面から前記熱電素材層と前記第1接合層との間の境界面まで前記Te含量は前記Bi含量より高く、前記熱電素材層の中心面から前記熱電素材層と前記第2接合層との間の境界面まで前記Te含量は前記Bi含量より高い。
【0024】
本発明の一実施例による熱電レグを製造する方法は、第1金属基板を準備するステップと、前記第1金属基板上に第1メッキ層を形成するステップと、前記第1メッキ層上にTeを含む第1接合層を形成するステップと、前記第1接合層の上面にBi及びTeを含む熱電素材層を配置するステップと、前記熱電素材層上に第2接合層及び第2メッキ層が形成された第2金属基板を配置するステップと、焼結するステップと、を含む。
【0025】
前記第1接合層を形成するステップは、前記第1メッキ層上にTeを含むスラリーを塗布するステップと、熱処理するステップと、を含んでいてもよい。
【0026】
前記第1接合層を形成するステップは、前記第1メッキ層上にTe及び前記第1メッキ層の物質を含むソースを投入して真空蒸着するステップを含んでいてもよい。
【0027】
前記第1接合層を形成するステップは、前記第1メッキ層を形成するためのメッキ溶液内にTeイオンを追加するステップを含んでいてもよい。
【0028】
前記熱電素材層は、前記第1接合層及び前記第2接合層との間に配置され、前記第1接合層及び前記第2接合層は互いに対向することができる。
【0029】
前記焼結するステップは、加圧するステップをさらに含んでいてもよい。
【0030】
前記金属基板は、銅、銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金から選択することができる。
【0031】
前記第1メッキ層は、Ni、Sn、Ti、Fe、Sb、Cr及びMoのうち少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0032】
前記第1接合層は、Ni、Sn、Ti、Fe、Sb、Cr及びMoのうち少なくとも一つをさらに含んでいてもよい。
【0033】
前記焼結するステップは、放電プラズマ焼結法を含んでいてもよい。
【0034】
前記熱処理するステップは、前記第1メッキ層の表面層からTeが拡散して反応して形成されるステップを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0035】
本発明の実施例によると、熱電性能に優れ、且つ薄型及び小型の熱電素子を得ることができる。特に、電極に安定的に結合すると共に半導体材料の分布が均一であるので、安定的な熱電性能を提供する熱電レグを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、多様に変更可能であり、さまざまな実施例を有することができる。以下、特定実施例を図面に例示して説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むことと理解すべきである。
【0038】
第2、第1などのように序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するために用いられるが、前記構成要素は前記用語によって限定されるものではない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するための目的のみで用いられる。例えば、本発明の権利範囲を脱しない限り、第2構成要素は第1構成要素と命名されることができ、類似に第1構成要素も第2構成要素と命名されることができる。「及び/又は」という用語は、複数の関連された記載項目の組合せ又は複数の関連された記載項目のうちいずれか項目を含む。
【0039】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されている」か「接続されている」と言及された場合には、その他の構成要素に直接的に連結されているか又は接続されていることもできるが、中間に他の構成要素が存在することもできると理解すべきである。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されている」とか「直接接続されている」と言及された場合には、中間に他の構成要素が存在しないことと理解すべきである。
【0040】
本出願で使用した用語は、ただし、特定の実施例を説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。単数の表現は、文脈上明白に異に意味しない限り、複数の表現を含む。本出願で、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はそれらを組み合わせたのが存在することを指定するためのものであって、一つ又はその以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はそれらを組み合わせたものなどの存在又は付加可能性をあらかじめ排除しないことと理解すべきである。
【0041】
異に定義しない限り、技術的や科学的な用語を含めてここで使用する全ての用語は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有した者により一般的に理解されることと同一の意味を有している。一般的に用いられる辞典に定義されている用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有することと解釈すべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的や過度に形式的な意味に解釈されない。
【0042】
以下、添付図面を参照して実施例を詳しく説明するが、図面符号に関係なく同一であるか対応する構成要素には同一の参照番号を付与し、これに対する重複説明は省略する。
【0043】
図1は、熱電素子の断面図であり、
図2は、熱電素子の斜視図である。
【0044】
図1及び
図2を参照すると、熱電素子100は、下部基板110、下部電極120、P型熱電レグ130、N型熱電レグ140、上部電極150及び上部基板160を含む。
【0045】
下部電極120は、下部基板110とP型熱電レグ130及びN型熱電レグ140の下部底面との間に配置され、上部電極150は、上部基板160とP型熱電レグ130及びN型熱電レグ140の上部底面との間に配置される。これによって、複数のP型熱電レグ130及び複数のN型熱電レグ140は、下部電極120及び上部電極150により電気的に連結される。下部電極120と上部電極150との間に配置され、電気的に連結される一対のP型熱電レグ130及びN型熱電レグ140は、単位セルを形成することができる。
【0046】
例えば、リード線181、182を通じて下部電極120及び上部電極150に電圧を印加すると、ペルチェ効果によりP型熱電レグ130からN型熱電レグ140に電流が流れる基板は熱を吸収して冷却部として作用し、N型熱電レグ140からP型熱電レグ130に電流が流れる基板は加熱されて発熱部として作用することができる。
【0047】
ここで、P型熱電レグ130及びN型熱電レグ140は、ビスマス(Bi)及びテルル(Te)を主原料で含むビスマステルライド(Bi−Te)系熱電レグであってもよい。P型熱電レグ130は、全体重量100wt%に対して、アンチモン(Sb)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、鉛(Pb)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、テルル(Te)、ビスマス(Bi)及びインジウム(In)のうち少なくとも一つを含むビスマステルライド(Bi−Te)系主原料物質99〜99.999wt%とBi又はTeを含む混合物0.001〜1wt%を含む熱電レグであってもよい。例えば、主原料物質がBi−Se−Teであり、Bi又はTeを全体重量の0.001〜1wt%でさらに含んでいてもよい。N型熱電レグ140は、全体重量100wt%に対して、セレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、鉛(Pb)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、テルル(Te)、ビスマス(Bi)及びインジウム(In)のうち少なくとも一つを含むビスマステルライド(Bi−Te)系主原料物質99〜99.999wt%とBi又はTeを含む混合物0.001〜1wt%を含む熱電レグであってもよい。例えば、主原料物質がBi−Sb−Teであり、Bi又はTeを全体重量の0.001〜1wt%でさらに含んでいてもよい。
【0048】
P型熱電レグ130及びN型熱電レグ140は、バルク型又は積層型に形成されてもよい。一般に、バルク型P型熱電レグ130又はバルク型N型熱電レグ140は、熱電素材を熱処理してインゴット(ingot)を製造し、インゴットを粉砕してスクリーニングして熱電レグ用粉末を獲得した後、これを焼結し、焼結体をカッティングする過程を通じて得られる。積層型P型熱電レグ130又は積層型N型熱電レグ140は、シート状の基材上に熱電素材を含むペーストを塗布して単位部材を形成した後、単位部材を積層してカッティングする過程を通じて得られる。
【0049】
このとき、一対のP型熱電レグ130及びN型熱電レグ140は、同一の形状及び体積を有するか、互いに異なる形状及び体積を有することができる。例えば、P型熱電レグ130とN型熱電レグ140の電気伝導特性が相異なっているので、N型熱電レグ140の高さ又は断面積をP型熱電レグ130の高さ又は断面積と異に形成してもよい。
【0050】
本発明の一実施例による熱電素子の性能は、ゼーベック指数で示すことができる。ゼーベック指数(ZT)は、数学式1のように示すことができる。
【0052】
ここで、αは、ゼーベック係数[V/K]であり、σは、電気伝導度[S/m]であり、α
2σは、力率(Power Factor、[W/mK2])である。そして、Tは、温度であり、kは、熱伝導度[W/mK]である。kは、a・cp・ρで示すことができ、aは、熱拡散度[cm
2/S]であり、cpは、比熱[J/gK]であり、ρは、密度[g/cm
3]である。
【0053】
熱電素子のゼーベック指数を得るために、Zメーターを用いてZ値(V/K)を測定し、測定したZ値を用いてゼーベック指数(ZT)を計算することができる。
【0054】
ここで、下部基板110とP型熱電レグ130及びN型熱電レグ140との間に配置される下部電極120、そして、上部基板160とP型熱電レグ130及びN型熱電レグ140との間に配置される上部電極150は、銅(Cu)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)及びニッケル(Ni)のうち少なくとも一つを含み、0.01mm〜0.3mmの厚さを有することができる。下部電極120又は上部電極150の厚さが0.01mm未満である場合、電極としての機能が落ちるようになって電気伝導性能が低くなることがあり、0.3mmを超過する場合、抵抗の増加により伝導効率が低くなることがある。
【0055】
そして、相互対向する下部基板110と上部基板160は、絶縁基板又は金属基板であってもよい。絶縁基板は、アルミナ基板又は柔軟性を有する高分子樹脂基板であってもよい。柔軟性を有する高分子樹脂基板は、ポリイミド(PI)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、レジン(resin)のような高透過性プラスチックなどの多様な絶縁性樹脂材を含んでいてもよい。金属基板は、Cu、Cu合金又はCu−Al合金を含んでいてもよく、その厚さは、0.1mm〜0.5mmであってもよい。金属基板の厚さが0.1mm未満であるか、0.5mmを超過する場合、放熱特性又は熱伝導率が過度に高くなることがあるので、熱電素子の信頼性が低下されることができる。また、下部基板110と上部基板160が金属基板である場合、下部基板110と下部電極120との間及び上部基板160と上部電極150との間には、それぞれ誘電体層170がさらに形成されることができる。誘電体層170は、5〜10W/Kの熱伝導度を有する素材を含み、0.01mm〜0.15mmの厚さに形成できる。誘電体層170の厚さが0.01mm未満である場合、絶縁効率又は耐電圧特性が低下することがあり、0.15mmを超過する場合、熱電伝導度が低くなって放熱効率が落ちることがある。
【0056】
このとき、下部基板110と上部基板160の大きさは、異に形成してもよい。例えば、下部基板110と上部基板160のうち一つの体積、厚さ又は面積は、他の一つの体積、厚さ又は面積より大きく形成できる。これによって、熱電素子の吸熱性能又は放熱性能を高めることができる。
【0057】
また、下部基板110と上部基板160のうち少なくとも一つの表面には、放熱パターン、例えば、凹凸パターンが形成されてもよい。これによって、熱電素子の放熱性能を高めることができる。凹凸パターンがP型熱電レグ130又はN型熱電レグ140と接触する面に形成される場合、熱電レグと基板間の接合特性も向上することができる。
【0058】
一方、P型熱電レグ130又はN型熱電レグ140は、円筒状、多角柱状、楕円形柱状などを有することができる。
【0059】
本発明の一実施例によると、P型熱電レグ130又はN型熱電レグ140は、電極と接合する部分の幅が広く形成できる。
【0060】
図3は、本発明の一実施例による熱電レグ及び電極の断面図を示す。
【0061】
図3を参照すると、熱電レグ130は、第1断面積を有する第1素子部132と、第1素子部132と対向する位置に配置されて第2断面積を有する第2素子部136と、第1素子部132及び第2素子部136を連結して第3断面積を有する連結部134と、を含んでいてもよい。このとき、連結部134の水平方向の任意の領域での断面積が第1断面積又は第2断面積より小さく形成できる。
【0062】
このように、第1素子部132及び第2素子部136の断面積を連結部134の断面積より大きく形成すると、同一の量の材料を用いて第1素子部132と第2素子部136の間の温度差(T)を大きく形成することができる。これによって、発熱側(Hot side)と冷却側(Cold side)の間に移動する自由電子の量が多くなるので、発電量が増加するようになり、且つ発熱効率又は冷却効率が高くなる。
【0063】
このとき、連結部134の水平断面のうち最長幅を有する断面の幅Bと、第1素子部132及び第2素子部136の水平断面のうちさらに大きい断面の幅(A or C)の間の比が、1:(1.5〜4)であってもよい。これによって、発電効率、発熱効率又は冷却効率を高めることができる。
【0064】
ここで、第1素子部132、第2素子部136及び連結部134は、同一の材料を用いて一体に形成できる。
【0065】
本発明の一実施例による熱電レグは、積層型構造を有することができる。例えば、P型熱電レグ又はN型熱電レグは、シート状の基材に半導体物質が塗布された複数の構造物を積層した後、これを切断する方法により形成できる。これによって、材料の損失を阻んで電気伝導特性を向上させることができる。
【0066】
図4は、積層型構造の熱電レグを製造する方法を示す。
【0067】
図4を参照すると、半導体物質を含む材料をペースト形態で製作した後、シート、フィルムなどの基材1110上に塗布して半導体層1120を形成する。これによって、一つの単位部材1100が形成できる。
【0068】
複数の単位部材1100a、1100b、1100cを積層して積層構造物1200を形成し、これを切断すると、単位熱電レグ1300を得ることができる。
【0069】
このように、単位熱電レグ1300は、基材1110上に半導体層1120が形成された単位部材1100が複数に積層された構造物により形成されることができる。
【0070】
ここで、基材1110上にペーストを塗布する工程は、多様な方法で行われることができる。例えば、テープキャスティング(Tape casting)方法で行うことができる。テープキャスティング方法は、微細な半導体物質の粉末を水系又は非水系溶媒(solvent)、結合剤(binder)、可塑剤(plasticizer)、分散剤(dispersant)、消泡剤(defoamer)及び界面活性剤のうち選択される少なくとも一つと混合してスラリー(slurry)形態で製造した後、動く刃(blade)又は動く基材上で成形する方法である。このとき、基材1110は、10μm〜100μm厚さのフィルム、シートなどであってもよく、塗布される半導体物質としては、上述したバルク型素子を製造するP型熱電材料又はN型熱電材料がそのまま適用できる。
【0071】
単位部材1100を複数の層にアラインして積層する工程は、50〜250℃の温度で圧着する方法で行うことができ、積層される単位部材1100の数は、例えば、2〜50個であってもよい。以後、希望する形態とサイズで切断することができ、焼結工程が加えられる。
【0072】
このように製造される単位熱電レグ1300は、厚さ、形状及び大きさの均一性を確保することができ、薄型化が有利であり、材料の損失を減らすことができる。
【0073】
単位熱電レグ1300は、円柱状、多角柱状、楕円形柱状などであってもよく、
図4の(d)で例示したような形状で切断してもよい。
【0074】
一方、積層型構造の熱電レグを製造するために、単位部材1100の一表面に伝導性層をさらに形成してもよい。
【0075】
図5は、
図4の積層構造物内の単位部材の間に形成される伝導性層を例示する。
【0076】
図5を参照すると、伝導性層Cは、半導体層1120が形成される基材1110の反対面に形成でき、基材1110の表面の一部が露出するようにパターン化することができる。
【0077】
図5は、本発明の実施例による伝導性層Cの多様な変形例を示す。
図5の(a)及び
図5の(b)に示したように、閉鎖型開口パターンC1、C2を含むメッシュタイプ構造又は
図5の(c)及び
図5の(d)に示したように、開放型開口パターンC3、C4を含むラインタイプ構造などで多様に変形できる。
【0078】
このような伝導性層Cは、単位部材の積層型構造により形成される単位熱電レグ内の単位部材の間の接着力を高めることができ、単位部材間の熱伝導度を低め、電気伝導度は向上させることができる。伝導性層Cは、金属物質、例えば、Cu、Ag、Niなどが適用されることができる。
【0079】
一方、単位熱電レグ1300は、
図6に示したような方向に切断することができる。このような構造によると、垂直方向の熱伝導効率を低めると同時に電気伝導特性を向上することができるので、冷却効率を高めることができる。
【0080】
本発明の一実施例によると、熱電レグと電極との間の安定的な結合のために、熱電レグの両面に金属層を形成する。
【0081】
図7は、本発明の一実施例による熱電レグの断面図であり、
図8の(a)は、
図7の熱電レグの概略図であり、
図8の(b)は、
図8の(a)の熱電レグを含む熱電素子の断面図である。
【0082】
図7、
図8の(a)及び
図8の(b)を参照すると、本発明の一実施例による熱電レグ700は、熱電素材層710と、熱電素材層710の一面上に配置される第1メッキ層720と、熱電素材層710の一面と対向して配置される他の面に配置される第2メッキ層730と、熱電素材層710と第1メッキ層720との間及び熱電素材層710と第2メッキ層730との間にそれぞれ配置される第1接合層740及び第2接合層750と、第1メッキ層720及び第2メッキ層730上にそれぞれ配置される第1金属層760及び第2金属層770と、を含む。
【0083】
すなわち、本発明の一実施例による熱電レグ700は、熱電素材層710と、熱電素材層710の一面及び前記一面に対向する他の面上にそれぞれ配置される第1金属層760及び第2金属層770と、熱電素材層710と第1金属層760との間に配置される第1接合層740及び熱電素材層710と第2金属層770との間に配置される第2接合層750と、第1金属層760と第1接合層740との間に配置される第1メッキ層720及び第2金属層770と第2接合層750との間に配置される第2メッキ層730と、を含む。このとき、熱電素材層710と第1接合層740は互いに直接接触し、熱電素材層710と第2接合層750は互いに直接接触することができる。そして、第1接合層740と第1メッキ層720は互いに直接接触し、第2接合層750と第2メッキ層730は互いに直接接触することができる。そして、第1メッキ層720と第1金属層760は互いに直接接触し、第2メッキ層730と第2金属層770は互いに直接接触することができる。
【0084】
ここで、熱電素材層710は、半導体材料であるビスマス(Bi)及びテルル(Te)を含んでいてもよい。熱電素材層710は、
図1〜
図6で説明したP型熱電レグ130又はN型熱電レグ140と同一の素材又は形状を有することができる。
【0085】
また、第1金属層760及び第2金属層770は、銅(Cu)、銅合金、アルミニウム(Al)及びアルミニウム合金から選択されることができ、0.1〜0.5mm、好ましくは、0.2〜0.3mmの厚さを有することができる。第1金属層760及び第2金属層770の熱膨脹係数は、熱電素材層710の熱膨脹係数と類似であるか、さらに大きいので、焼結するとき第1金属層760及び第2金属層770と熱電素材層710との間の境界面で圧縮応力が加えられるので、亀裂又は剥離を防止することができる。また、第1金属層760及び第2金属層770と電極120、150との間の結合力が高いので、熱電レグ700は電極120、150と安定的に結合することができる。
【0086】
次に、第1メッキ層720及び第2メッキ層730は、それぞれNi、Sn、Ti、Fe、Sb、Cr及びMoのうち少なくとも一つを含んでいてもよく、1〜20μm、好ましくは、1〜10μmの厚さを有することができる。第1メッキ層720及び第2メッキ層730は、熱電素材層710内の半導体材料であるBi又はTeと第1金属層760及び第2金属層770との間の反応を阻むので、熱電素子の性能低下を防止することだけではなく、第1金属層760及び第2金属層770の酸化を防止することができる。
【0087】
このとき、熱電素材層710と第1メッキ層720との間及び熱電素材層710と第2メッキ層730との間には、第1接合層740及び第2接合層750が配置されることができる。このとき、第1接合層740及び第2接合層750は、Teを含んでいてもよい。例えば、第1接合層740及び第2接合層750は、Ni−Te、Sn−Te、Ti−Te、Fe−Te、Sb−Te、Cr−Te及びMo−Teのうちで少なくとも一つを含んでいてもよい。本発明の実施例によると、第1接合層740及び第2接合層750のそれぞれの厚さは、0.5〜100μm、好ましくは、1〜50μmであってもよい。接合層の厚さによる抵抗変化率を示すグラフである
図9を参照すると、接合層の厚さが厚くなるによって抵抗変化率が増加することが分かる。特に、接合層の厚さが100μmを超過する場合、抵抗変化率は急激に増加し、結果的に熱電素子の熱電性能に良くない影響を及ぼすことができる。これに対して、接合層の厚さを100μm以下に制御する場合、抵抗変化率を2%以内に制限することが可能である。
【0088】
一般に、熱電素材層710に含まれる半導体材料のうちTeは、Ni、Sn、Ti、Fe、Sb、Cr及びMoのうち少なくとも一つを含む第1メッキ層720及び第2メッキ層730に拡散しやすい。熱電素材層710内のTeが第1メッキ層720及び第2メッキ層730内に拡散すると、熱電素材層710と第1メッキ層720及び第2メッキ層730との間の境界付近にはTeに比べてBiがたくさん分布する領域(以下、Biリッチ(rich)領域と言う)が生ずることができる。Biリッチ領域により熱電レグ700内の抵抗が高くなり、結果的に熱電素子の性能低下を起こすことができる。
【0089】
しかし、本発明の実施例によると、熱電素材層710と第1メッキ層720及び第2メッキ層730との間にTeを含む第1接合層740及び第2接合層750をあらかじめ配置することで、熱電素材層710内のTeが第1メッキ層720及び第2メッキ層730に拡散することを防止することができる。これによって、Biリッチ領域の発生を防止することができる。
【0090】
これによって、熱電素材層710の中心面から熱電素材層710と第1接合層740との間の境界面までのTe含量は、Bi含量より高く、熱電素材層710の中心面から熱電素材層710と第2接合層750との間の境界面までのTe含量は、Bi含量より高い。そして、熱電素材層710の中心面から熱電素材層710と第1接合層740との間の境界面内の所定地点でのTe含量又は熱電素材層710の中心面から熱電素材層710と第2接合層750との間の境界面内の所定地点でのTe含量は、熱電素材層710の中心面のTe含量に対して、0.8〜1倍であってもよい。例えば、熱電素材層710と第1接合層740との間の境界面から熱電素材層710の中心面の方向に100μm厚さ内の所定地点でのTe含量は、熱電素材層710の中心面のTe含量に対して、0.8〜1倍であってもよい。
【0091】
また、第1接合層740又は第2接合層750内のTeの含量は、熱電素材層710内のTeの含量の0.8〜1倍であってもよい。そして、第1接合層740内の第1メッキ層720と接する面、すなわち、第1メッキ層720と第1接合層740との間の境界面又は第2接合層750内の第2メッキ層730と接する面、すなわち、第2メッキ層730と第2接合層750との間の境界面でのTeの含量は、熱電素材層710内の第1接合層740と接する面、すなわち、熱電素材層710と第1接合層740との間の境界面の熱電素材層710内の第2接合層750と接する面、すなわち、熱電素材層710と第2接合層750との間の境界面でのTeの含量の0.8〜1倍であってもよい。そして、熱電素材層710と第1接合層740との間の境界面又は熱電素材層710と第2接合層750との間の境界面のTe含量は、熱電素材層710の中心面のTe含量の0.8〜1倍であってもよい。
【0092】
図10は、本発明の一実施例による熱電レグの製造方法を示すフローチャートである。
【0093】
図10を参照すると、金属基板を準備する(ステップS100)。ここで、金属基板は、
図7の熱電レグ700の第1金属層760及び第2金属層770になることができる。すなわち、金属基板は、銅(Cu)、銅合金、アルミニウム(Al)及びアルミニウム合金から選択できる。
【0094】
次に、金属基板の一面上にNiメッキ層を形成する(ステップS110)。ここで、メッキ層は、NiだけでなくSn、Ti、Fe、Sb、Cr及びMoのうち少なくとも一つの金属に形成してもよい。また、メッキ層は、金属基板の両面に形成してもよい。本明細書で、Ni、Sn、Ti、Fe、Sb、Cr及びMoのうち少なくとも一つの金属を含む層をメッキ層と表現しているが、これはメッキにより形成された層だけではなく、多様な技法により蒸着された層を全て含むことを意味することができる。
【0095】
次に、メッキ層上にTeを含む接合層を形成する(ステップS120)。それのために、メッキ層上にTe粉末及びアルコールを混合したスラリーを塗布した後、300〜400℃の温度で熱処理する。これによって、メッキ層上に塗布されたTeがメッキ層に向かって拡散してNiと反応して接合層が形成できる。このとき、Teと反応した厚さほどNi−Te接合層が形成される。ここで、接合層は、Niだけでなく、Sn、Ti、Fe、Sb、Cr及びMoのうち少なくとも一つの金属がTeと反応して形成されてもよい。以後、接合層上で反応しないで残ったTe粉末を洗浄して除去する。
【0096】
又は、接合層は、メッキ層上にTeソースを真空蒸着して形成してもよい。すなわち、接合層は、メッキ層上に蒸着されたTeがメッキ層に向かって拡散してNiと反応して形成してもよい。又は、接合層は、メッキ層上にNi−Teソースを真空蒸着して形成してもよい。又は、接合層は、メッキ層を形成するステップS110を省略し、金属基板上にすぐNi−Teソースを投入してNi−Te真空蒸着層を形成してもよい。
【0097】
又は、接合層は、ステップS110で、所定の厚さでメッキ層を形成した後、メッキ溶液内にTeイオンを追加する方法で希望する厚さに形成してもよい。
【0098】
次に、ステップS100〜ステップS120を通じて形成された二つの金属基板/メッキ層/接合層の間にBi及びTeを含む熱電素材を配置した後、加圧及び焼結する(ステップS130)。ここで、ステップS100〜ステップS120を通じて製造された金属基板/メッキ層/接合層を所定の大きさによって切断し、熱電素材の両面に配置した後、加圧及び焼結することができる。又は、ステップS100〜ステップS120を通じて所定の大きさで金属基板/メッキ層/接合層を製造した後、ステップS100〜ステップS120を繰り返して所定の大きさで金属基板/メッキ層/接合層を製造し、熱電素材の両面に配置した後、加圧及び焼結してもよい。
【0099】
ここで、加圧及び焼結は、ホットプレス(Hot Press)工程で行うことができる。ホットプレス工程は、DC(Direct Current)電源からパルス電流を印加してジュール熱を発生させる放電プラズマ焼結(SPS、Spark Plasma Sintering)工程であってもよい。放電プラズマ焼結工程は、瞬間的に発生する放電現象によって高いエネルギーが粒子間の熱拡散を促進させる過程を通じて進行されるので、優れた焼結制御性、すなわち、粒成長が少ない焼結微細組職の制御が容易である。このとき、熱電素材は、非晶質リボンと共に焼結されてもよい。熱電レグ用粉末が非晶質リボンと共に焼結されると、電気伝導度が高くなるので、高い熱電性能を得ることができる。このとき、非晶質リボンは、Fe系非晶質リボンであってもよい。例えば、非晶質リボンは、熱電レグの側面に配置された後焼結されることができる。これによって、熱電レグの側面に沿って電気伝導度が高くなることができる。それのために、非晶質リボンがモールドの壁面を取り囲むように配置された後、熱電素材を満たして焼結することができる。このとき、非晶質リボンは、熱電レグのうち熱電素材層の側面に配置されることができる。
【0100】
図11は、
図10の方法によって製造された熱電レグ内のTe含量分布を概略的に示す図であり、
図12は、
図10の方法によって製造された熱電レグ内の領域別組成分布を分析したグラフである。そして、
図13は、比較例によって製造された熱電レグ内のTe含量分布を概略的に示す図であり、
図14は、比較例によって製造された熱電レグ内の領域別組成分布を分析したグラフである。
【0101】
図11及び
図12を参照すると、実施例では、約0.2〜0.3mm厚さのアルミニウム(Al)基板760、770上にメッキ層720、730を形成した後、メッキ層720、730上にTeを塗布して熱処理することで接合層740、750を形成し、二つのアルミニウム基板/メッキ層/接合層の間にBi及びTeを含む約1.6mm厚さの熱電素材710を配置した後、加圧及び焼結した。メッキ層上にTeを塗布して熱処理する過程を通じて、塗布されたTeはメッキ層表面のNiに向かって拡散してNiと反応し、これによって、Ni−Teを含む接合層が形成された。このとき、メッキ層の厚さは、約1〜10μmに形成され、接合層の厚さは、約40μmに形成された。
【0102】
そして、
図13及び
図14を参照すると、比較例では、約0.2〜0.3mm厚さのアルミニウム(Al)基板860、870上にメッキ層820、830を形成した後、二つのアルミニウム基板/メッキ層の間にBi及びTeを含む約1.6mm厚さの熱電素材を配置し、加圧及び焼結した。加圧及び焼結する過程を通じて、熱電素材内のTeがメッキ層表面のNiに向かって拡散してNiと反応し、これによって、Ni−Teを含む接合層840、850が形成された。そして、熱電素材の縁にはTeがメッキ層に向かって拡散することで相対的にBi含量が高くなったBiリッチ層が形成された。
【0103】
図11〜
図14を参照すると、第1メッキ層720、820又は第2メッキ層730、830内のTeの含量は、熱電素材層710、810内のTeの含量及び第1接合層740、840又は第2接合層750、850内のTeの含量より低く現われることが分かる。
【0104】
このとき、
図11及び
図12によると、熱電素材層710の中心面CのTe含量は、熱電素材層710と第1接合層740との間の境界面又は熱電素材層710と第2接合層750との間の境界面のTe含量と同一であるか類似に現われることが分かる。本明細書で、中心面Cは、熱素材層710の中心面C自体を意味するか、又は中心面Cと中心面Cから所定距離内に隣接する中心面Cの周辺領域を含むことを意味することができる。そして、境界面は、境界面自体を意味するか、又は境界面と境界面から所定距離内に隣接する境界面の周辺領域を含むことを意味することができる。例えば
、熱電素材層710と第1接合層740との間の境界面又は熱電素材層710と第2接合層750との間の境界面のTe含量
は、熱電素材層710の中心面CのTe含量の0.8〜1倍、好ましくは、0.85〜1倍、より好ましくは、0.9〜1倍、さらに好ましくは、0.95〜1倍であってもよい。ここで、含量は、重量比であってもよい。
【0105】
また、熱電素材層710の中心面CのBi含量は、熱電素材層710と第1接合層740との間の境界面又は熱電素材層710と第2接合層750との間の境界面のBi含量と同一であるか類似に現われることが分かる。これによって、熱電素材層710の中心面Cから熱電素材層710と第1接合層740との間の境界面又は熱電素材層710と第2接合層750との間の境界面に至るまでTeの含量がBiの含量より高く現われるので、熱電素材層710と第1接合層740との間の境界面の周辺又は熱電素材層710と第2接合層750との間の境界面の周辺でBi含量がTe含量を逆転する区間が存在しない。例えば
、熱電素材層710と第1接合層740との間の境界面又は熱電素材層710と第2接合層750との間の境界面のBi含量
は、熱電素材層710の中心面CのBi含量の0.8〜1倍、好ましくは、0.85〜1倍、より好ましくは、0.9〜1倍、さらに好ましくは、0.95〜1倍であってもよい。ここで、含量は、重量比であってもよい。
【0106】
これに反して、
図13及び
図14によると、熱電素材層810の中心面CのTe含量に比べて熱電素材層810と第1接合層840との間の境界面又は熱電素材層810と第2接合層850との間の境界面のTe含量が低く現われることが分かる。これは、熱電素材層810内の半導体材料であるTeが第1メッキ層820及び第2メッキ層830と反応するために第1メッキ層820及び第2メッキ層830に自然拡散するからである。これによって、熱電素材層810の中心面Cから縁に向くほどTeの含量が減るようになり、第1メッキ層820及び第2メッキ層830と反応するために拡散した地点から熱電素材層810と第1メッキ層820及び第2メッキ層830の境界までBiリッチが形成される。前記Biリッチ層は、200μm以下の厚さに形成できる。すなわち、熱電素材層710の中心面Cの周辺には、Teの含量がBiの含量より高く現われるが、熱電素材層710と第1接合層740との間の境界面の周辺又は熱電素材層710と第2接合層750との間の境界面の周辺でBi含量がTe含量を逆転する区間が存在するようになる。Biリッチ層は、熱電素材の基本構成物質であるBiとTeの間の適正な化学量論比が破壊される領域であって、熱電素材810と接合層840、850との間の境界面まで形成されることができる。Biリッチ層が厚くなるほど抵抗変化率が増加するようになり、これは熱電レグ内部の抵抗増加の主要因になる。
【0107】
また、
図11及び
図12によると、第1接合層740又は第2接合層750内のTeの含量は、熱電素材層710内のTeの含量と同一であるか類似に現われることが分かる。例えば、第1接合層740又は第2接合層750内のTeの含量は、熱電素材層710内のTeの含量の0.8〜1倍、好ましくは、0.85〜1倍、より好ましくは、0.9〜1倍、さらに好ましくは、0.95〜1倍であってもよい。ここで、含量は、重量比であってもよい。例えば、熱電素材層710内のTeの含量が50wt%で含まれる場合、第1接合層740又は第2接合層750内のTeの含量は、40〜50wt%、好ましくは、42.5〜50wt%、より好ましくは、45〜50wt%、さらに好ましくは、47.5〜50wt%であってもよい。また、第1接合層740又は第2接合層750内のTeの含量は、Niに比べて大きくなることができる。第1接合層740又は第2接合層750内でTeの含量は、一定に分布する一方、Ni含量は、第1接合層740又は第2接合層750内で熱電素材層710方向に隣接するほど減少することができる。
【0108】
一方、各層に含まれる物質の一部は、各層と隣接する層間の境界面から拡散して隣接する層内で検出されることがある。例えば、金属層に含まれる物質の一部は、金属層とメッキ層の間の境界面から拡散してメッキ層内で検出されることがあり、メッキ層に含まれる物質の一部は、メッキ層と接合層の間の境界面から拡散して接合層内で検出されることがあり、接合層に含まれる物質の一部は、接合層と熱電素材層の間の境界面から拡散して熱電素材層内で検出されることがある。そして、メッキ層に含まれる物質の一部は、金属層とメッキ層の間の境界面から拡散して金属層内で検出されることがあり、接合層に含まれる物質の一部は、メッキ層と接合層の間の境界面から拡散してメッキ層内で検出されることがあり、熱電素材層に含まれる物質の一部は、接合層と熱電素材層の間の境界面から拡散して接合層内で検出されることがある。
【0109】
これに反して、
図13及び
図14によると、第1接合層840又は第2接合層850内のTeの含量は、熱電素材層810内のTeの含量に比べて低く現われることが分かる。これは、
図11及び
図12では、第1接合層740又は第2接合層750を形成するために第1メッキ層720又は第2メッキ層730上にTeを塗布するので、Teの含量が一定に維持されるが、
図13及び
図14では、熱電素材層810内のTeが第1メッキ層820又は第2メッキ層830と反応するために自然拡散するからである。
【0110】
また、
図11及び
図12によると、第1メッキ層720と第1接合層740との間の境界面又は第2メッキ層730と第2接合層750との間の境界面でのTeの含量は、熱電素材層710と第1接合層740との間の境界面又は熱電素材層710と第2接合層750との間の境界面でのTeの含量と同一であるか類似に現われることが分かる。例えば、第1メッキ層720と第1接合層740との間の境界面又は第2メッキ層730と第2接合層750との間の境界面でのTeの含量は、熱電素材層710と第1接合層740との間の境界面又は熱電素材層710と第2接合層750との間の境界面でのTeの含量の0.8〜1倍、好ましくは、0.85〜1倍、より好ましくは、0.9〜1倍、さらに好ましくは、0.95〜1倍であってもよい。ここで、含量は、重量比であってもよい。
【0111】
これに反して、
図13及び
図14によると、第1メッキ層820と第1接合層840との間の境界面又は第2メッキ層830と第2接合層850との間の境界面でのTeの含量は、熱電素材層810と第1接合層840との間の境界面又は熱電素材層810と第2接合層850との間の境界面でのTeの含量に比べて低く現われることが分かる。これは、
図11及び
図12では、第1接合層740又は第2接合層750を形成するために第1メッキ層720又は第2メッキ層730上にTeを塗布するので、Teの含量が一定に維持されるが、
図13及び
図14では、熱電素材層810内のTeが第1メッキ層820又は第2メッキ層830と反応するために自然拡散するからである。
【0112】
表1は、実施例及び比較例によるP型熱電レグの電気抵抗を比較した表である。
【0114】
表1を参照すると、比較例、すなわち、
図13及び
図14によって製造された熱電レグに比べて実施例、すなわち、
図11及び
図12によって製造された熱電レグの電気抵抗が小さく現われることが分かる。特に、熱電レグの大きさが小型化される場合、電気抵抗の減少率は一層大きくなることが分かる。これは、熱電レグ内のTe含量が均一に分布し、Biリッチ層の形成が抑制されるからであり、熱電レグの抵抗減少は、熱電素子の電気伝導度の減少を防止することができるので、熱電素子のゼーベック指数を高める主要因になる。
【0115】
表2は、実施例及び比較例による4mm×4mm×5mmサイズの各熱電レグの引張強度を比較した表である。
【0117】
表2を参照すると、比較例、すなわち、
図13及び
図14によって製造された熱電レグに比べて実施例、すなわち、
図11及び
図12によって製造された熱電レグの引張強度がさらに大きく現われることが分かる。引張強度は、熱電レグ内の層間接合力を意味するものであって、製造された熱電レグの両側の第1及び第2金属層に人為的に金属ワイヤをそれぞれ接合し、接合された両側の金属ワイヤを互いに反対方向に引いたとき耐える最大の荷重を示す。引張強度が大きいほど熱電レグ内の層間接合力が高いので、熱電素子の駆動時に熱電レグ内の金属層、メッキ層、接合層及び熱電素材層のうち少なくとも一部が隣接して配置された層から脱落する問題を防止することができる。本発明の実施例による熱電素子は、発電用装置、冷却用装置、温熱用装置などに適用できる。具体的には、本発明の実施例による熱電素子は、主に光通信モジュール、センサー、医療機器、測定器機、航空宇宙産業、冷蔵庫、チラー(chiller)、自動車通風シート、カップホルダー、洗濯機、乾燥器、ワインセラー、浄水器、センサー用電源供給装置、サーモパイル(thermopile)などに適用できる。
【0118】
ここで、本発明の実施例による熱電素子が医療機器に適用される例として、PCR(Polymerase Chain Reaction)機器がある。PCR機器は、DNAを増幅してDNAの塩基配列を決定するための装備であって、精緻な温度制御が要求され、熱循環(thermal cycle)が必要な器機である。それのために、ペルチェ基盤の熱電素子が適用できる。
【0119】
本発明の実施例による熱電素子が医療機器に適用される他の例として、光検出器がある。ここで、光検出器は、赤外線/紫外線検出器、CCD(Charge Coupled Device)センサー、X−ray検出器、TTRS(Thermoelectric Thermal Reference Source)などがある。光検出器の冷却(cooling)のためにペルチェ基盤の熱電素子が適用できる。これによって、光検出器内部の温度上昇による波長変化、出力低下及び解像力低下などを防止することができる。
【0120】
本発明の実施例による熱電素子が医療機器に適用されるまた他の例として、免疫分析(immunoassay)分野、インビトロ診断(In vitro Diagnostics)分野、温度制御及び冷却システム(general temperature control and cooling systems)、物理治療分野、液状チラーシステム、血液/プラズマ温度制御分野などがある。これによって、精緻な温度制御が可能である。
【0121】
本発明の実施例による熱電素子が医療機器に適用されるまた他の例として、人工心臓がある。これによって、人工心臓に電源を供給することができる。
【0122】
本発明の実施例による熱電素子が航空宇宙産業に適用される例として、スタートラッカーシステム、熱イメージングカメラ、赤外線/紫外線検出器、CCDセンサー、ハッブル宇宙望遠鏡、TTRSなどがある。これによって、イメージセンサーの温度を維持することができる。
【0123】
本発明の実施例による熱電素子が航空宇宙産業に適用される他の例として、冷却装置、ヒーター、発電装置などがある。
【0124】
この外にも本発明の実施例による熱電素子は、その他産業分野に発電、冷却及び温熱のために適用できる。
【0125】
上記では本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野の熟練された当業者は、下記の特許請求の範囲に記載した本発明の思想及び領域から脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更できることは理解すべきである。