(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載のインクジェットプリントヘッドにおいて、複数のウェブは、前記弦の間に形成されたギャップに沿って延びる波状構造により連続的に形成されることを特徴とする、インクジェットプリントヘッド。
請求項1に記載のインクジェットプリントヘッドにおいて、突合せた複数のプリントヘッドチップが前記トラス構造に沿って一列に配置されていることを特徴とする、インクジェットプリントヘッド。
請求項4に記載のインクジェットプリントヘッドにおいて、前記トラス構造は、チップ接合領域に接合ウェブを含み、突合せた各対のプリントヘッドチップは、前記接合ウェブのうちの1つにより共通に支持されるそれぞれの突合せ端部を有することを特徴とする、インクジェットプリントヘッド。
請求項6に記載のインクジェットプリントヘッドにおいて、前記プリントヘッドチップは、前記対向する弦の間の距離より小さい幅を有し、前記接着フィルムは、前記プリントヘッドチップの縁部と前記弦との間のギャップを封止することを特徴とする、インクジェットプリントヘッド。
請求項1に記載のインクジェットプリントヘッドにおいて、各流体出口の幅広の端部が、それぞれのプリントヘッドチップの長手方向縁部を越えて延びることを特徴とする、インクジェットプリントヘッド。
請求項10に記載のインクジェットプリントヘッドにおいて、各気泡抜きキャビティは、それぞれのプリントヘッドチップの長手方向縁部を越えて位置することを特徴とする、インクジェットプリントヘッド。
請求項12に記載のインクジェットプリントヘッドにおいて、前記フロアは、前記それぞれの流体出口の方に下向きにカーブしていることを特徴とする、インクジェットプリントヘッド。
【背景技術】
【0002】
出願人は、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれるWO2011/143700、WO2011/143699、及びWO2009/089567に記載されるような広範囲のMemjet(登録商標)インクジェットプリンタを開発している。Memjet(登録商標)プリンタは、シングルパス方式でプリントヘッドを超えて印刷媒体を供給する供給機構を併用した固定プリントヘッドを採用している。 従って、Memjet(登録商標)プリンタは、従来のスキャンインクジェットプリンタよりも遥かに速い印刷速度を提供する。
【0003】
マルチカラーのMemjet(登録商標)プリントヘッドカートリッジは、一般的に、その内容が参照により本明細書に組み込まれるUS7347534に記載の液晶高分子(LCP)マニホールドに基づいている。複数の突合せMemjetチップが、開口ダイ取付フィルムを介して、LCPマニホールドの表面に接合される。LCPマニホールドはダイ取付フィルムと協働して、5つの主インクチャンネルから、一連の曲がりくねったインク流路を介して、Memjet(登録商標)チップのそれぞれのカラープレーンにインクを送る。
【0004】
その内容が参照により本明細書に組み込まれるUS8025383に記載のように、LCPマニホールドは、静水圧力の変動を減衰させるため、5つの主インクチャンネル上に位置する一連のエアボックスを更に組み込む。
【0005】
上述のLCPマニホールドを具えるMemjet(登録商標)プリントヘッドカートリッジは、オフィスプリンタ、ラベルプリンタ、大判シートプリンタ、及び業務用プリンタを含む、広範囲のシングルパス方式のインクジェットプリンタの構築のために様々な用途で利用可能なプラットフォームを提供する。業務用プリンタは、通常、その内容が参照により本明細書に組み込まれるUS8845080に記載のような、媒体供給方向に並べられた複数のプリントヘッドを有する。
【0006】
Memjet(登録商標)プリントヘッドカートリッジは、マルチカラー印刷用に設計されているが、モノクロ印刷のみを要するプリンタが一部存在する。例えば、US8845080に記載の業務用プリンタは、印刷速度を最大にするために5つのモノクロプリントヘッドカートリッジを採用している。自明なことだが、LCPマニホールドは、単色のインクを通すことができ、名目上は5色のMemjet(登録商標)プリントヘッドチップからモノクロ印刷を提供する。しかし、印刷速度が非常に高速な場合、LCPマニホールドは実用的な面で限界がある。LCPマニホールドからプリントヘッドチップまでの複雑なインクの経路は、プリントヘッドが高速で走行中に予期せぬデプライミングを引き起こす原因となり得る。プリントヘッドチップに近いインクの中身が十分でなければ、チップは、インクの需要が高い時期にインク不足が生じ、チップのデプライミングをもたらす。第2に、複雑なインク経路は気泡のトラップが生じやすくなり、気泡がシステム内でトラップされると、プリントヘッドチップは、インク不足となってデプライムが生じる。第3に、エアボックスは静圧システムで比較的剛性なコンプライアンスを提供するが、特定のノズル群がより多くのインク流量を必要とする場合、エアボックスの抵抗が大きすぎるため、静圧システムが需要増に対して機動的に対処できなくなる。
【0007】
従って、上述のLCPマニホールドの欠点のうち少なくとも一部に対処する、高速モノクロ印刷用に構成されたプリントヘッドアセンブリを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
第1の態様において、トラス構造を含むベースを有する細長い流体マニホールドであって、トラス構造は、対向する弦の間に延びるウェブを有し、ウェブと弦との間の複数の開口部が流体出口を形成する、細長い流体マニホールドと、
トラス構造のウェブに取り付けられた1つ以上のプリントヘッドチップであって、各プリントヘッドチップが複数の流体出口からの印刷流体を収容する、プリントヘッドチップと
を具えることを特徴とする、インクジェットプリントヘッドが提供される。
【0009】
第6の態様に係るインクジェットプリントヘッドは、プリントヘッドチップを取り付けるのに非常に安定した構造を提供すると同時に、大きなインク流量及び気泡抜き経路が可能になるオープンな流体アーキテクチャを提供する。
【0010】
好ましくは、複数のウェブは、弦の間に形成されたギャップに沿って延びる波状構造により連続的に形成される。
【0011】
好ましくは、流体出口は略三角形又は垂鐘型である。
【0012】
好ましくは、複数の突合せプリントヘッドチップがトラス構造に沿って一列に配置されている。
【0013】
好ましくは、トラス構造はチップ接合領域に接合ウェブを含み、突合せた各対のプリントヘッドチップは、接合ウェブのうちの1つにより共通に支持されるそれぞれの突合せ端部を有する。
【0014】
好ましくは、プリントヘッドチップは、接着フィルムを介してベースに取り付けられる。
【0015】
好ましくは、プリントヘッドチップは、対向する弦の間の距離より小さい幅を有し、接着フィルムは、プリントヘッドチップの縁部と弦との間のギャップを封止する。
【0016】
好ましくは、流体マニホールドは成形高分子材料からなる。
【0017】
好ましくは、各流体出口は、それぞれのプリントヘッドチップの一方の側から、プリントヘッドチップの他方の側に向かって横方向に広がる。
【0018】
好ましくは、各流体出口の幅広の端部が、それぞれのプリントヘッドチップの長手方向縁部を越えて延びる。
【0019】
好ましくは、各流体出口は、それぞれの気泡抜きキャビティに向かって広がる。
【0020】
好ましくは、各気泡抜きキャビティは、それぞれのプリントヘッドチップの長手方向縁部を越えて位置する。
【0021】
好ましくは、各気泡抜きキャビティは、それぞれの流体出口から階段状に並んだシェルフにより形成されたフロアを有する。
【0022】
好ましくは、フロアは、それぞれの流体出口の方に下向きにカーブしている。
【0023】
第2の態様において、少なくとも1つの縦方向に延びるチャンネルを具える細長い流体マニホールドであって、流体マニホールドは複数の流体出口を形成するベースを有し、流体出口はチャンネルのフロアに沿って縦方向に位置する、細長い流体マニホールドと、流体マニホールドのベースに取り付けられた複数のプリントヘッドチップであって、各プリントヘッドチップは1つ以上の流体出口からの印刷流体を収容する、プリントヘッドチップと、チャンネルのルーフに沿って縦方向に延びる細長い可撓性フィルムであって、可撓性フィルムは複数の流体出口に対向して位置する、細長い可撓性フィルムと、を具えることを特徴とする、インクジェットプリントヘッドが提供される。
【0024】
第2の態様に係るプリントヘッドは、有利には、インクで静圧スパイクを減衰させると同時に、プリントヘッドチップへのインク流量を最大にする。
【0025】
好ましくは、インクマニホールドは、上部と下部とを具え、上部及び下部が協働してチャンネルを形成する。
【0026】
好ましくは、上部は可撓性フィルムを具える。
【0027】
好ましくは、下部は複数のインク供給出口を具える。
【0028】
好ましくは、インクマニホールドのルーフが細長い開口部を形成し、可撓性フィルムが細長い開口部を封止する。
【0029】
第3の態様において、流体マニホールドのベースに沿って縦方向に位置する複数の流体出口を有する細長い流体マニホールドであって、各対の隣接する流体出口が、支持ウェブにより隔離された、細長い流体マニホールドと、一列に配置され、流体マニホールドのベースに取り付けられた突合せた複数のプリントヘッドチップであって、各プリントヘッドチップが1つ以上の流体出口からの印刷流体を収容する、突合せプリントヘッドチップと、を具え、突合せた各対のプリントヘッドチップは、支持ウェブのうちの1つにより共通に支持されるそれぞれの突合せ端部を有することを特徴とする、インクジェットプリントヘッドが提供される。
【0030】
第3の態様に係るプリントヘッドは、有利には、プリントヘッドチップを突き合わせる実装配置を提供し、プリントヘッドチップの裏面に形成されるインク供給チャンネルの閉塞を最小にする。
【0031】
好ましくは、各インク供給スロットは、インクマニホールドの縦軸に沿った各支持ウェブよりも相対的に長い。
【0032】
好ましくは、各支持ウェブは、各プリントヘッドチップの背面に形成されたインク供給チャンネルの領域のうちの10%以下、8%以下、又は5%以下を塞ぐ。
【0033】
好ましくは、突合せ端部を支持する支持ウェブは、プリントヘッドチップの端部に対応する外形を有する。
【0034】
好ましくは、突合せ端部を支持する支持ウェブのそれぞれは、その両側で流体出口の間に斜めに延びる。
【0035】
好ましくは、各プリントヘッドチップは、対向する端部の間に中央部分を有し、その中央部分は1つ以上の支持ウェブにより支持される。
【0036】
好ましくは、各プリントヘッドチップの中央部分を支持する支持ウェブの数は、5個以下である。
【0037】
好ましくは、各流体出口は、各プリントヘッドチップの幅の少なくとも半分の幅を有する。
【0038】
好ましくは、印刷流体を1つのプリントヘッドチップに供給する流体出口の結合領域は、少なくともプリントヘッドチップの全体面積の半分である。
【0039】
好ましくは、プリントヘッドチップは、接着フィルムを介してインクマニホールドのベースに取り付けられ、接着フィルムは流体出口と並べられた開口部を有する。
【0040】
第4の態様において、複数の流体出口を形成するベースを有する細長い流体マニホールドと、流体マニホールドのベースに取り付けられた複数のプリントヘッドチップであって、各プリントヘッドチップが1つ以上の流体出口からのインクを受け取る、プリントヘッドチップと、を具え、各流体出口は、インクマニホールドを横切って横方向に延び、各プリントヘッドチップの幅の少なくとも半分延びることを特徴とする、インクジェットプリントヘッドが提供される。
【0041】
好ましくは、インクを1つのプリントヘッドチップに供給する流体出口の結合領域は、少なくともプリントヘッドチップの全体面積の半分である。
【0042】
第4の態様に係るプリントヘッドは、有利には、各プリントヘッドチップで可能なインクの量を最大にし、拡散速度を上げ、インクジェットノズルがインクで詰まってしまう傾向を低減する。
【0043】
第5の態様において、少なくとも1つの縦方向に延びるチャンネルを具える細長い流体マニホールドであって、流体マニホールドは複数のインク出口を形成するベースを有し、インク出口はチャンネルのフロアに沿って縦方向に間隔が空けられる、細長い流体マニホールドと、流体マニホールドのベースに結合される複数のプリントヘッドチップであって、各プリントヘッドチップが1つ以上の流体出口からのインクを受け取る、プリントヘッドチップと、チャンネルを横切って位置する複数の横リブであって、各横リブがチャンネルのフロアから上向きに延びる、横リブと、を具え、1つ以上の横リブは凹部を有し、横リブの間のチャンネルのフロアに沿った流体流れが可能になることを特徴とする、インクジェットプリントヘッドが提供される。
【0044】
第5の態様に係るプリントヘッドは、有利には、トラップした気泡が流体マニホールドから流れ出ることが可能になり、流体マニホールドの構造的剛性を最大にする。
【0045】
好ましくは、流体マニホールドは、上部と下部とを具え、上部及び下部が協働してチャンネルを形成する。
【0046】
好ましくは、下部は横リブと複数の流体出口とを具える。
【0047】
好ましくは、上部は、チャンネルを横切って延びる更なる横リブを具える。
【0048】
第6の態様において、細長い流体マニホールドであって、流体マニホールドのベースに沿って縦方向に位置する複数の流体出口を有する、細長い流体マニホールドと、流体マニホールドのベースに取り付けられた1つ以上のプリントヘッドチップであって、各プリントヘッドチップが1つ以上の流体出口からの印刷流体を収容する、プリントヘッドチップと、を具え、各流体出口はそれぞれのプリントヘッドチップの長手方向縁部に向かって横方向に広がることを特徴とする、インクジェットプリントヘッドが提供される。
【0049】
第6の態様に係るプリントヘッドは、有利には、気泡がプリントヘッドチップのフットプリントから横方向に離れて移動するのを容易にする。
【0050】
好ましくは、流体出口は、交互にプリントヘッドチップの対向する長手方向縁部に向かって横方向に広がる。
【0051】
好ましくは、複数の突合せプリントヘッドチップは、流体マニホールドのベースに沿って一列に配置される。
【0052】
好ましくは、各流体出口は、それぞれのプリントヘッドチップに面する略三角形又は垂鐘型の開口部を有する。
【0053】
好ましくは、各流体出口は、それぞれのプリントヘッドチップの一方の側からプリントヘッドチップの他方の側に向かって横方向に広がる。
【0054】
好ましくは、プリントヘッドチップは、接着フィルムを介して流体マニホールドに取り付けられ、フィルムは流体出口と並べられた開口部を有する。
【0055】
好ましくは、各流体出口の幅広の端部が、それぞれのプリントヘッドチップの長手方向縁部を越えて延びる。
【0056】
好ましくは、各流体出口は、それぞれの気泡抜きキャビティに向かって広がる。
【0057】
好ましくは、各気泡抜きキャビティは、それぞれのプリントヘッドチップの長手方向縁部を越えて位置する。
【0058】
好ましくは、各気泡抜きキャビティは、それぞれの流体出口から階段状に並んだシェルフにより形成されたフロアを有する。
【0059】
好ましくは、フロアは、それぞれの流体出口の方に下向きにカーブしている。
【0060】
第7の態様において、複数の流体送りコンパートメントを含むベースを有する細長い流体マニホールドであって、各コンパートメントは流体出口と気泡抜きキャビティとを有する、細長い流体マニホールドと、ベースに取り付けられた1つ以上のプリントヘッドチップであって、各プリントヘッドチップは1つ以上の流体出口からの印刷流体を収容する、プリントヘッドチップと、を具え、各流体出口は、それぞれのプリントヘッドチップと並べられ、各気泡抜きキャビティがそれぞれのプリントヘッドチップからオフセットされることを特徴とする、インクジェットプリントヘッドが提供される。
【0061】
第7の態様に係るインクジェットプリントヘッドは、有利には、空気を抜かれた泡が流体出口に流れてプリントヘッドチップへのインクの流れの経路を塞がないように、気泡抜きを容易にする。
【0062】
好ましくは、各流体出口は、泡が気泡抜きキャビティに向かって移動するよう構成される。
【0063】
好ましくは、各流体出口は、気泡抜きキャビティに向かって広がる。
【0064】
好ましくは、各流体送りコンパートメントは、気泡抜きキャビティ用のフロアを形成するシェルフを具える。
【0065】
好ましくは、シェルフは、流体出口の方にカーブした縁部を有する。
【0066】
好ましくは、プリントヘッドチップの1つ以上の流体供給チャンネルは、各流体出口と並べられる。
【0067】
好ましくは、流体出口は、交互にプリントヘッドチップの対向する長手方向縁部に向かって横方向に広がる。
【0068】
第8の態様において、細長い流体マニホールドであって、入口ボスと、出口ボスと、入口ボスと出口ボスとの間に延びる縦チャンネルと、流体マニホールドのルーフキャビティで縦チャンネル上に位置する複数のエアキャビティと、縦チャンネルのフロアに形成された複数の流体出口とを具える、細長い流体マニホールドと、流体マニホールドのベースに取り付けられた複数のプリントヘッドチップであって、各プリントヘッドチップが1つ以上の流体出口からの印刷流体を収容する、プリントヘッドチップと、を具え、エアキャビティは、流体マニホールドのルーフから縦チャンネルに向かって延びるリブにより形成され、各リブは、入口ボス及び出口ボスの下面を越えて突出するリップを有することを特徴とする、インクジェットプリントヘッドが提供される。
【0069】
第8の態様に係るインクジェットプリントヘッドは、有利には、エアキャビティの自己調節を提供し、流体マニホールドの入口ボスと出口ボスとの間のインクの流れを用いて、エアキャビティから突出する気泡がせん断される。
【0070】
好ましくは、流体マニホールドは、上部と下部とを具え、上部及び下部が協働してチャンネルを形成する。
【0071】
好ましくは、上部は入口ボスと、出口ボスと、エアキャビティとを具える。
【0073】
好ましくは、上部及び下部はそれぞれ、協働してチャンネルの側壁を形成する壁を具える。
【0074】
第9の態様において、少なくとも1つの縦方向に延びるチャンネルを具える細長い流体マニホールドであって、流体マニホールドは複数の流体出口を形成するベースを有し、流体出口は、チャンネルのフロアに沿って間隔が空けられる、細長い流体マニホールドと、流体マニホールドのベースに結合された複数のプリントヘッドチップであって、各プリントヘッドチップは1つ以上の流体出口からの印刷流体を収容する、プリントヘッドチップと、チャンネルを横切って位置する複数の横リブであって、各横リブがチャンネルのフロアから上向きに延びる、横リブと、を具えることを特徴とするインクジェットプリントヘッドが提供される。
【0075】
好ましくは、チャンネルの長手方向端部に向かって位置する1つ以上の横リブの高さは、チャンネルの中央部分に位置する横リブよりも低い。
【0076】
好ましくは、横リブの高さは、チャンネルの長手方向端部に向かって先端が細くなる。
【0077】
好ましくは、1つ以上の横リブは、逆さのアーチの外形を有する。
【0078】
好ましくは、チャンネルの長手方向端部に向かって位置する横リブは、逆さのアーチの外形を有する。
【0079】
好ましくは、チャンネルの一方の長手方向端部は入口端部で、チャンネルの他方の長手方向端部は出口端部である。
【0080】
好ましくは、インクの流れの方向は、入口端部及び出口端部で垂直方向に変わる。
【0081】
好ましくは、流体マニホールドは、上部と下部とを具え、上部及び下部が協働してチャンネルを形成する。
【0082】
好ましくは、下部は横リブと複数の流体出口とを具える。
【0083】
好ましくは、上部は、チャンネルの入口端部及び出口端部にそれぞれ合う入口ボスと出口ボスとを具える。
【0084】
好ましくは、上部はチャンネルのルーフを横切って延びる、更なる横リブを具える。
【0085】
好ましくは、下部の横リブ及び上部の更なる横リブは、互いにオフセットされている。
【0086】
本明細書で用いられるように、「インク」という用語は、インクジェットプリントヘッドから印刷され得る任意の印刷流体を意味するものとする。インクは、着色剤を含んでもよく、又は含まなくてもよい。従って、「インク」という用語は、従来のダイベース又は顔料ベースのインク、赤外線インク、媒染剤(例えば、プレコート又はフィニッシャ)、3D印刷流体等を含んでもよい。
【0087】
本明細書で用いられるように、「実装される」という用語は、介在部を介した直接実装及び間接実装の両方を含む。
【発明を実施するための形態】
【0089】
図1を参照すると、ユーザがプリンタ(図示せず)に挿入する付替プリントヘッドカードリッジの形をした、インクジェットプリントヘッド1が示されている。プリントヘッド1は、ユーザによる取り外し及び挿入を容易にする、中央グリップ部5を有する細長い本体3を具える。第1の結合部7は、細長い本体3の一方の長手方向端部に位置し、第2の流体結合部9は、細長い本体の反対側の長手方向端部に位置する。第1の流体結合部7及び第2の流体結合部9は、例えば、プリントヘッド1に且つプリントヘッド1からインクを供給するインク送出モジュールからなる相補的な流体結合部(図示せず)と結合するために構成される。流体結合部は、プリントヘッドの全体的なフットプリントを最小にして、複数のプリントヘッドを媒体搬送路に沿ってぎっしりと充填できるように、プリントヘッド1のノズルプレートに対して垂直方向に略上方に延在する。
【0090】
本体3は、スナップフィット係合により本体に取り付けられたインクマニホールドアセンブリ10を剛性のあるものにして、支える。インクマニホールドアセンブリ10は、上部インクマニホールド12と下部インクマニホールド14とを具え、それらは本体3の流体結合部7及び9と流体連通している。上部インクマニホールド12及び下部インクマニホールド14は、典型的に、液晶高分子(LCP)等の硬い材料からなるが、言うまでもなく、他の硬い材料(例えば、ガラス、セラミック等)も本発明の範囲内である。
【0091】
図2に移ると、プリントヘッドの集積回路(「チップ」)16のアレイが、エンドツーエンドで一列に突合せられ、ダイ取付フィルム18を介して、下部インクマニホールド14の裏面に取り付けられる。ダイ取付フィルム18は、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれるUS7736458及びUS7845755に記載の、インクを送出するのに適したレーザドリル開口部を有する両面の接着フィルムを具える。プリントヘッドチップ16は、インクマニホールド10に回り込まれたフレックスPCB20から電力及びデータ信号を受信し、フレックスPCBは、同様に、プリントヘッド1に沿って縦方向に延びる一連の電気接触部22を介して、プリンタコントローラ(図示せず)から電力及びデータ信号を受信する。各プリントヘッドチップ16は、ワイヤボンドを介して、フレックスPCB20から電力及びデータの信号を受信し、ワイヤボンドは、各プリントヘッドチップの一方の長手方向縁部の領域に沿って延びるシール材で保護されている。適切なワイヤボンドの配置は当業者に周知で、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれるUS8025204に記載されている。
【0092】
図3は、プリントヘッド1の主要構成要素を、明瞭性のためにフレックスPCB20を除いた状態にして分解斜視図で示す。上部インクマニホールド12及び下部インクマニホールド14が互いに密に接合することでインクマニホールドアセンブリ10が形成され、同時に、上部インクマニホールドは、相補的なスナップロック機能により本体3に固定される。上部インクマニホールド12及び下部インクマニホールド14の詳細、ならびにそれらの別の実施形態について、残りの図面を参照しながら説明する。
【0093】
上部インクマニホールド12及び下部インクマニホールド14が共に接合され、協働することで、インクマニホールドアセンブリ10に沿って縦方向に延びる主インクチャンネル25が形成される。インクは、上部インクマニホールド12の一方の端部に形成された入口27を介して第1の流体結合部7から主インクチャンネル25に受け取られ、インクは、上部インクマニホールド12で主インクチャンネル25の反対側の長手方向端部に形成された出口29を介して第2の流体結合部9から出る。
【0094】
図7及び8に最も良く示されるように、上部インクマニホールド12は、入口27及び出口29のそれぞれの入口ボス27Aと出口ボス29Aとの間に延びる一対の対向する長手方向の側壁30を具える。入口ボス27A及び出口ボス29Aは、側壁30の下面と同一平面上にある下面を形成する。一連の第1のリブ32は、上部インクマニホールド12のルーフキャビティ内、且つ複数の長手方向の側壁30の間に横方向に延びる。第1のリブ32は、上部インクマニホールド12のルーフから主インクチャンネル25に向かって略下方に延びる。従って、上部インクマニホールド12のルーフキャビティに位置する第1のリブ32は、使用中は空気で満たされている多数の個々のキャビティ26を形成する。
【0095】
図5及び6を参照すると、上部インクマニホールド12のルーフは、ペリメータリップ34を画定し、ペリメータリップ34は、エアキャビティ26を覆って封止するようにペリメータリップ34に接合された細長い可撓性フィルム36(例えば、高分子フィルム)を有する。対応するペリメータシール38がペリメータリップ34の周囲に位置し、可撓性フィルム36によってエアキャビティ26を効果的に封止できるようにする。堅いカバー(図示せず)が、可撓性フィルム36をダメージから守り、蒸気がフィルムを通過するのを最小限にするよう、可撓性フィルム36の上に配設されてもよい。
【0096】
可撓性フィルム36は、エアキャビティ26と共に、その内容が参照により本明細書に組み込まれるUS8025383に記載のエアボックスと同様の方法で、静水圧の変動を減衰させる役割を果たす。例えば、印刷が突然停止した場合、可撓性フィルム36はインクラインの圧力スパイクを吸収して、最終的にプリントヘッドの表面の漏れを最小限にすることが出来る。しかし、可撓性フィルム36は、エアボックス単体よりもコンプライアンスが高いため、プリントヘッド1は、特に高速印刷に効果が高い湿し水を提供する。更に、可撓性フィルム36は、必要であればプリントヘッドチップ16側に曲がることが可能なため、高速印刷の高流量の要求に迅速且つ動的に対処するのに適している。言うまでもなく、一部の実施形態において、フィルム36が存在しなくてもよく、エアキャビティ26が、US8025383に記載の配置と同様のルーフ構造で圧力変動を減衰させてもよい。他の実施形態において、エアキャビティをなくして、フィルム36単独でプリントヘッド1の圧力変動の減衰を行ってもよい。
【0097】
図8に最も良く示されるように、下部インクマニホールド14は、上部インクマニホールド12の下面との相補的係合のために構成された上面を有する。特に、細長いペリメータの側壁37は、上部インクマニホールド12の長手方向の側壁30に合うように位置することで、主インクチャンネル25が形成される。ペリメータの側壁37は、各長手方向端部に曲がり端部壁39を有し、曲がり端部壁39は上部インクマニホールド12の入口ボス27A及び出口ボス29Aをそれぞれ封止する。複数の第2のリブ40は、ペリメータの側壁37の対向する縦断面の間を横方向に延びる。第2のリブ40は、下部インクマニホールド14に構造的剛性をもたらすと同時に、主インクチャンネル25の容量を最大にする。第1のリブ32及び第2のリブ40は、インクが主チャンネル25を流れることが可能になるように間隔が空けられた表面を有する。第1のリブ32及び第2のリブ40は、主インクチャンネル25を通るインク流路にピンチポイントができないようにするために、互いにオフセットされる。
【0098】
上部インクマニホールドの入口ボス27A、出口ボス29A、及び長手方向の側壁30の下面は、同一面上にあり、エアキャビティ26が空気に満たされている場合に主インクチャンネル25の上限を定める。
図9に最も良く示されるように、第1のリブ32はそれぞれ、入口ボス27A、出口ボス29A、及び長手方向の側壁30の同一面上の下面を越えて突出するリップ33を有する。この配置により、エアキャビティ26の自己調節が最適化される。従って、エアキャビティ26のいずれかで空気がいっぱいになった場合、インクが主インクチャンネル25を通って流れると、主インクチャンネルに広がる気泡がせん断されて、出口29から流し出される。このように、エアキャビティ26内の空気量は自己調節式で、エアキャビティには、(例えば、ノズルの「ガルピング(gulping)」により)下部マニホールド14から立ち上がる気泡により空気が補充され、突出するリップ33を有するリブ32の設計により、出口29に向かうインクの流れに余剰な空気が巻き込まれるようにする。
【0099】
図10乃至16を参照すると、第1の実施形態において、下部インクマニホールド14のベース41は、主インクチャンネル25のフロア42を有し、フロア42は、複数のインク供給スロット44を形成する。インク供給スロット44は、主インクチャンネル25からインクを受け取り、ダイ取付フィルム18を介して、プリントヘッドチップ16の裏側にインクを供給する。インク供給スロット44は、フロア42の長さに沿って縦方向に間隔が空けられ、斜め接合ウェブ46及び横ウェブ48の形をした支持ウェブにより互いに隔離される。プリントヘッドチップ16は、粘着性のダイ取付フィルム18を介して、下部インクマニホールド14のベース41に取り付けられる。ダイ取付フィルム18は、インク供給スロット44と鏡面対称の複数のスロット開口部50と、下部インクマニホールド14の斜め接合ウェブ46及び横ウェブ48と鏡面対称の複数のフィルムウェブ52とを有する。
【0100】
主インクチャンネル25及びインク供給スロット44の配置は、それぞれのプリントヘッドチップ16で利用可能なインク量を最大にするように設計される一方で、プリントヘッドチップをベース41に取り付けるのに十分な支えを提供する。それぞれのプリントヘッドチップ16の端部は、斜めの接合ウェブ46により支持され、最小限の横ウェブ48が、それぞれのプリントヘッドチップの中間部分を支持するため、斜めの接合ウェブの間に位置する。突合せた各対のプリントヘッドチップ16は、共通の斜め接合ウェブ46上に支持された長手方向端部をそれぞれ有する。
【0101】
インク供給スロット44は、プリントヘッドチップ16の幅の少なくとも半分の幅を有する。更に、インクを1つのプリントヘッドチップ16に供給するインク供給スロット44を合わせた領域は、少なくともプリントヘッドチップの全体面積の半分である。この配置により、プリントヘッドチップ16へのインクの流れが最大になるとともに、オープンアーキテクチャを提供し、気泡をプリントヘッドチップからインクマニホールドアセンブリ10に抜くことが可能になる。
【0102】
気泡のトラップは、インクジェットプリントヘッドの設計において常に存在する問題である。
図16は、下部インクマニホールド14の変形例で、各々の第2のリブ40は、インク供給スロット44に対向する下側凹部52を有する。凹部52は、プリントヘッドチップ16から通気路を提供するように位置し、インクの流れが、第2のリブ40の上下の主インクチャンネル25を通ることが可能になる。このように、気泡のトラップは、主インクチャンネル25からより容易に流れ得る。
【0103】
図17乃至22を参照すると、下部インクマニホールド14の第2の実施形態において、ベース41は、プリントヘッドチップ16を支持するトラス構造60を有する。トラス構造60は、第1の弦62と、それに対向する第2の弦64とを有し、複数のトラスウェブ66が2つの弦の間に延びて、横方向に広がったインク出口61を形成する。トラスウェブ66は、各プリントヘッドチップの長さに沿って第1の弦62と第2の弦64との間に延びる略波状構造によって連続的に形成される。他のトラス構成(例えば、通常の斜めのウェブ)は、言うまでもなく本発明の範囲内である。
【0104】
トラス構造60は、プリントヘッドチップ16の実装に良好な機械的支持を提供する。トラスウェブ66により、プリントヘッドチップ16が、最小限のチップの割れで、下部インクマニホールド14のベース41に実装されることが可能になる。更に、横方向に広がったインク出口61は、気泡抜き、並びにプリントヘッドチップへのインクの流れのために最適化されている。
【0105】
図18において最も良く示されるように、インク出口61は、トラスウェブ66と弦62及び64との間の開口部により形成され、それらは略三角形又は垂鐘型である。従って、プリントヘッドチップをトラス構造60に実装するとき、インク出口61は、交互にプリントヘッドチップ16の反対側の長手方向縁部に向かって横方向に広がる。広がった配置により、気泡がプリントヘッドチップの長手方向縁部に向かって(且つそれを越えて)、最終的にはプリントヘッドチップのフットプリントの外側に移動するよう促される。よって、第2の実施形態の設計は、第1の実施形態の通常のスロット設計(
図10及び11を参照)における潜在的な問題に対処する。長方形のインク供給スロット44では、浮遊気泡は、プリントヘッドチップ16に流れるインクの下方への力を克服できないため、スロット内にトラップされ得る。しかし、横方向に広がったインク出口61により、気泡がプリントヘッドチップ16の縁部に向かって、且つそれを越えて横方向に移動するよう促される場合、インク出口から逃れるのに十分な浮力がない気泡によって、プリントヘッドに流れるインクを遮断することはできない。その代り、十分な浮力がない気泡は、インクマニホールドアセンブリ10に上向きに逃れるのに十分な浮力を得るまで、プリントヘッドチップからオフセットされた横の気泡抜きキャビティ70に移される。インク出口61の横の広がりにより、気泡がプリントヘッドチップ16から所望の方法で離れるよう促される。
【0106】
図19乃至21を参照すると、複数のインク送出コンパートメント68が、第2の実施形態に係る下部インクマニホールド14のベースに形成される。各インク送出コンパートメント68は、プリントヘッドチップ16と並べられた、横方向に広がったインク出口61と、プリントヘッドチップからオフセットされた気泡抜きキャビティ70とを具える。気泡抜きキャビティ70は、インク出口61の広がった(幅広の)端部71に接触し、そこから気泡を受け取るよう構成される。インク送出コンパートメント68は、気泡抜きキャビティ70のフロアを形成するシェルフ72を具える。シェルフ72は、プリントヘッドチップ16の方へ、且つ広がったインク出口61の方へ下向きにカーブした横縁部74を有する。従って、インク出口61の気泡は、インク出口から気泡抜きキャビティ70に横方向且つ上向きに移動するよう促される。
【0107】
図23に示すように、第2の実施形態のダイ取付フィルム18は、交互に反転した台形の開口部75を有し、インクはそこを通って、下部インクマニホールド14のインク出口61から、プリントヘッドチップ16に受け取られる。
図22を参照すると、ダイ取付フィルム18が下部インクマニホールド14のベースに透明に重ねて示され、インク出口61、プリントヘッドチップ16、及びダイ取付フィルムに形成された台形の開口部75との位置関係を明らかにしている。台形の開口部75はそれぞれ、インク出口61と並べられ、各インク出口の広がった端部71は、台形の開口部の幅広の端部を越えて広がっている。プリントヘッドチップ16が、ダイ取付フィルム18を介して下部インクマニホールド14のベースに実装されることで、インク出口61の広がった端部71も、プリントヘッドチップの長手方向縁部を越えて突出する。従って、ダイ取付フィルム18及びトラス構造60が協働して、プリントヘッドチップ16を下部インクマニホールド14のベースに密封して取り付ける一方で、プリントヘッドチップから立ち上がった気泡が、プリントヘッドチップのフットプリントの外側に移動することが可能になる。
【0108】
図24を参照すると、下部インクマニホールド14の第2の実施形態において、長手方向の側壁37の間で横方向に延びる第2のリブ40は、主インクチャンネル25の端部に向かって異なる外形を有する。特に、第2のリブ40の高さは、それぞれの曲がり端部壁39に向かうにつれて低くなる。
図24に示すように、端部壁39及び上部インクマニホールド12の出口ボス29Aに最も近い第2のリブ40Aは、逆さのアーチの外形を有し、最も低い。端部壁39に2番目に近い第2のリブ40Bは、逆さのアーチの外形を有し、第2のリブ40Aより相対的に高い。端部壁39に3番目に近い第2のリブ40Cは、第2のリブ40Bより相対的に高い。残りの第2のリブ40は、同じ高さを有し、長手方向の側壁37の高さ以下である。
【0109】
主インクチャンネル25のそれぞれの端部に向かうにつれて第2のリブ40の高さを低くすることにより、インクが入口27から主チャンネルへと方向を変えるにつれ、また同様に、インクが主インクチャンネルから出口29に方向を変えるにつれ、インクの流れ抵抗が低減する。このことは、プリントヘッド1の全長に亘り相対的に一定した流れ抵抗を維持するのに役立ち、インクの方向が変わる端部領域で流れ抵抗が相対的に増える結果生じる可能性のある印刷のアーチファクトを最小化する。
【0110】
言うまでもなく、本発明は例示のみによって説明されてきたが、詳細部分は、添付図面に定められた本発明の範囲内で変更され得ることが理解されるだろう。